リアル・マカオ・ノワールの衝撃作『ルーレットシティ』がついに日本上陸!

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 今週末より、全国順次劇場公開される衝撃作『ルーレットシティ』。2010年のシンガポール国際映画祭、マカオ国際映画祭で注目を浴びた衝撃作だ。  監督、脚本を手掛けるのは、中国や香港のテレビドラマ、映画などで活躍するシンガポール出身の若手俳優、トーマス・リム。第一回監督作品にもかかわらず、監督・脚本・主演という離れ業を演じ、さらに全編マカオ・ロケで製作されたもの。しかも、アジア圏の国際映画祭で続々と招待上映も決まっているばかりか、その勢いに乗ってシンガポール国内では早くも劇場公開を果たし、スマッシュ・ヒットを記録しているというから、目を見張るものがある。日本公開にあたって、来日したリム監督に話を聞いた。  日頃のトーマス監督は、作品とは対照的に物静かで穏やかな人物だ。やはり気になるのは、全編をマカオでロケしたということ。対岸の香港は映画の都として知られるが、マカオで映画と聞いてピンと来るものがないのは、筆者だけではないだろう。  リム監督によれば、基本的にマカオには映画業界というものがないという。 「たまに香港のジョニー・トー監督がマカオで撮影する映画などはありますが、私が知る限り、ここ5~6年の間にマカオで製作された劇場長編映画は、この『ルーレットシティ』だけです」  そんなマカオに日本人が抱くイメージといえば、本作のテーマにもなっているカジノ。シンガポール出身であるリム監督にとっても、やはり魅力ある題材だったのだろうか? 「マカオのカジノ業界が収益的にピークを迎えたのは2007年なのですが、たくさんの中国人が国境を越えてマカオにやってきました。それと同時に、カジノをめぐるさまざまな事件が起き、私もこの問題に非常に興味を持ち、取材をしたんです」  このように本作の第一の魅力は、日本と同じ東アジアに位置しながら、あまり情報の入ってこないマカオの、今まさに起こっている出来事を題材にしていることにある。しかも、テーマの魅力だけでなく、ストーリーも、とても第一回監督作品とは思えないほど練られている。いったい、どのような過程を経て、本作を完成に導いたのだろうか? 「私は俳優から映画監督になるために、ラブストーリー作品の脚本を書こうと決めていました。中国人の男とマカオの女がカジノをめぐってトラブルに巻き込まれる、というストーリーを考えたわけですが、この映画の男女のラブストーリーは、ある種の暗喩だと考えています。つまり、一攫千金を夢見て大陸から来た男・タクと、マカオに住み、カジノで働くことで高収入を得ている女・アマンダというキャラクターは、同じ中国人でありながらマカオでは違う存在なのです。マカオで実際に取材した要素をラブストーリーにプラスすることで、このラブストーリー自体がカジノにおける中国人同士のギャップを象徴するものになったと思います。それを脚本として書くために1年近くかかりました」  リム監督は俳優業の傍ら、映像編集や映画監督としての勉強を重ねてきた来歴の持ち主。今回の作品も脚本執筆に1年を要したばかりか、撮影準備に入ったのは2008年から。そして2009年にようやくクランクイン。本人も「危険だった」と語るマカオ・ロケを経て、自ら編集してなんとか完成させることができたという。  2010年のシンガポール国際映画祭とマカオ国際映画祭で初上映され、劇場公開も果たせて幸運だったと笑顔で語るリム監督だが、演技力も目を見張る。主人公のタクを演じている時の鬼気迫る緊張感は素晴らしい。叔父のワイを演じた香港演劇界のベテラン俳優であるキュー・ポウチョンとの激しい競演シーンは特におすすめだ。一方で、後半になるにつれてさまざまな駆け引きに対処する際のポーカーフェイスも実にサマになっているなど、柔軟な演技力の持ち主なのである。  本作にはミス・マカオ出身のエニー・ロイ、香港の演劇・映画で活躍するジョセフィン・チャイなどの女優陣のほか、アジア映画界で勝負する個性派俳優たちが数多く出演している。ルーレット、カジノ、ギャンブル等々、日本人の日常生活からは見事にかけ離れたイメージで全編構成されるノワール的な無常観を、監督であるトーマス・リムがマカオの深い闇へと身を投じ、リアリティー満点に描写する傑作なのは、間違いないだろう。  なお、『ポチの告白』『GOTH』の監督・高橋玄が、本作の日本語字幕の翻訳監修を手掛けている。 『ルーレットシティ』 監督:トーマス・リム(林毅煒) 出演:トーマス・リム キュウ・ポウチョン ジョセンフィン・チャイ チョン・ユーシン エニー・ロイ 2011年製作/上映時間76分 2012年8月11日(土)より、新宿バルト9にて東京公開 その後、梅田ブルク7、横浜ブルク13、T・ジョイ京都、T・ジョイ博多にて順次劇場公開 <作品のご紹介 & 劇場情報> KINEZO PREMIERE 公式HP http://premiere.kinezo.jp/lineup/movie5.html

ガリガリ君でスタミナアップ!?「ガ~リガ~リック♪」(しょうがとニンニクのチャーハン) 

IMGP7985.jpg 料理の数だけダジャレがある――。ダジャレをこよなく愛する男が考案する、笑えるおいしいレシピ。  「ただいまー。いやー、今日も暑かった」  「おかえりなさい。あら、ガリガリ君買ってきたの?」  「今日のご飯、これでいいや。食欲なくて……」 IMGP7951.jpg  「アイスもいいけど、それだけじゃ夏バテしちゃうわよ。そうだ、スタミナたっぷりのガリガリ君を作ってあげる!」  「え、何それ?」  「まずは、ごま油でたっぷりのニンニクを炒めるの」 IMGP7961.jpg  「いいね、なんだかこの匂いだけで元気になりそう!」  「ニンニクが色づいてきたら、ご飯を入れて炒めまーす」  「なるほど。ガリガリ君の代わりにガーリックライスか。ダジャレのレベルとしては低いけど、これ好きなんだよね」 IMGP7967.jpg  「あら、これだけじゃないわよ。ここに甘酢しょうがを刻んで加えるの」  「え、甘酢しょうが?」 IMGP7971.jpg  「塩、こしょうで味を調えて、しょうゆをチョロリ。さあ、できたわよ」  「甘酢しょうがって、お寿司屋さんで出てくるガリのことだよね」  「そう、ガリとガーリックよ。ということは?」  「ガリとガーリック……」 父&母 「ガーリガーリック♪ ガーリガーリック♪ ガーリガーリック♪(ガリガリ君のジングルで)」 IMGP8004.jpg  「ガリガリ君だけに、うまソーダ。炒めた甘酢しょうがって、甘酸っぱくて不思議な味だね。でもクセになりそう。うまいよ、コレ!」  「アイスばっかり食べていないで、ライスも食べないとね!」 ■材料  ・ご飯 ・ニンニク ・甘酢しょうが ・ごま油 ・調味料(塩、こしょう、しょうゆ) ■作り方 1、フライパンにごま油とみじん切りにしたニンニクを入れ、キツネ色になるまで加熱する。 2、ご飯を加え、ほぐすようにしっかりと炒める。 3、甘酢しょうがを軽く絞って刻んだものを加えて、軽く混ぜ合わせる。 4、調味料で味を調えたら完成。 ■玉置メモ ・甘酢しょうがを炒めるということはあまりしませんが、東南アジアっぽい不思議な味に仕上がります。焼きそばやパスタで作ってもおいしいですよ。 ・今回はシンプルにガリとガーリックだけで作りましたが、お好みでしそ、かつお節、卵などを加えてください。 ・ガーリーな女装をして、「ガーリーガーリー君」と言おうかと思いましたが、ひげが濃いのでやめました。 ・もしお口に合わなかったら、「ガリガリ君だけに、この味はナシだな」と、ダメ出ししてください。 (文=玉置豊) ■男のダジャレレシピ・バックナンバー 【第28回】生レバー難民必見! 食感と滑らかさの絶妙ハーモニー「生レバー丼」 【第27回】新感覚スウィーツ!?  夏はICECREAMで「アイススーパーカップヌードル」 【第26回】初夏の新定番! スパルタンな「カツオの100タタキ」 【第25回】勝手にコラボ! ケンタッキーフライドチキンラーメン 【第24回】炊飯器で作る簡単ピラフ!「SPAM × SPAM」(SMAP×SMAP) 【第23回】北北西を向いてガブリ!「......え、フォー巻き!」 (恵方巻き) 【第22回】アラフォーはちょっとツラい!? 「とってもジューシー(牛脂)な格安すき焼き 」 【第21回】悪い酔いスウィーツで年忘れ!「レディーボーデン会 」(女子の忘年会) 【第20回】万能味噌を使った魔法の料理「西京の相性は黄身」(最強の相性はキミ) 【第19回】旬のサンマをギニア風に「イイコブ、ニコム、サンコン!」(イッコン、ニコン、サンコン) 【第18回】永谷園で作る秋の味覚「松タケご飯 」(まつたけご飯) 【第17回】アジ釣りで大漁! 「アジしめちゃいました」(味占めちゃいました) 【第16回】うなぎと乗り切れ! "ダシ"が違う夏のひつまぶし 【第15回】夏にピッタリ! 旬の魚で手軽にできちゃう「狂う水」(クールビス) 【第14回】蒸し暑い時期にピッタリ! 梅干しの酸味が効いた「上を向いて歩こう」(梅と麦とアルコール) 【第13回】レストランにも行きたくない出無精なあなたに「大型連休ギュウギュウ詰め」(O型レンコン牛牛詰め) 【第12回】旬の素材が盛りだくさん「ネギに大葉 ヤマウド・ノビル 初鰹」(目には青葉 山ほととぎす 初鰹) 【第11回】スタミナ満点! よくばりどんぶり「ごはんと胃・レバー・牛たくさん」(ゴホンと言えば、龍角散) 【第10回】甘党にはたまらん!  「オリゴ糖、黄身と和えて、ようかん食った」(ありがとう、君と逢えて、よかった) 【第9回】捌けなくても大丈夫! 包丁要らずのカンタン鍋「捌き無知鍋」(サバキムチ鍋) 【第8回】惚れてしまいそうな大人の味「バーレーン・タイ キッシュ」(バレンタイン・キッス) 【第7回】3分で出来るお祝い料理「脂肪コーン、5を書く!」(志望校合格) 【第6回】正月ボケに効果てきめん「意外! タイなら七臭粥」(胃が痛いなら七草粥) 【第5回】気分次第でアレンジ可能「麻婆茄子! 干し芋乗っかっちゃう!」(まーボーナス! 欲しいもの買っちゃう) 【第4回】三つの味が楽しめる豪華ディナー「三択ロース」(サンタクロース) 【第3回】ぜいたくの極み! 「いい肝のカワハギのいい肝ばかり」(『いきものがかり』のいきものばかり) 【第2回】ひと手間かければ豪華な一皿! 「タンカレー ナンバナナ天」(タンカレー No.10) 【第1回】甘くて辛い 大人のおつまみ「マスタードナッツ」(ミスタードーナツ)

「売りスレ」では計測不能!? アニメDVDの売り上げを陰で支えるレンタル市場

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 今回は、一部の業界では当たり前のことだが、意外と知られていないパッケージ商品の売り上げに関する話をしよう。  ここ最近、ネット上でアニメ関連の情報を収集していると、しばしば見かけるのが「覇権アニメ」というワードである。これは「最も売れた新作アニメ」を指すワードであり、「年間覇権」は一年間を通して最も売れたアニメ、「クール覇権」は各クールで最も売れた、そのクールを代表するアニメという感じで使用される。  もともと、ネット掲示板にある「売りスレ」と呼ばれる「アニメDVDの売り上げデータを収集・分析し、それをネタに雑談をする」ことが趣旨のスレッドから発祥したワードらしく、当初は「天下」「ベスト」などさまざまな類義語が存在していたところ、2010年、テレビアニメ『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』のネット番組配信中に、アニプレックス広報の高橋祐馬氏が、「このアニメで秋の覇権を握りますよ」と発言したことから現在の「覇権」というワードに統一されたという経緯がある。  くだんの「売りスレ」では、アマゾンランキングやオリコンチャート、映画の興行収入。また、視聴率や話題性、ネット掲示板のスレッド数など、さまざまな要素を踏まえた分析が行われており、業界関係者も密かにチェックしているとかいないとか。2011年には『IS』のヒロインを元ネタにしたマスコットキャラ「モッピー」が誕生し某漫画でネタにされるなど、現在アニメを語る上で無視することのできない存在となりつつあるのだ。  そんな非常に優秀なデータ収集力を持つリサーチャーが集う「売りスレ」だが、そこでどうしても集めることのできないデータがあるのはご存じだろうか? それは「レンタル商品の数字」である。  通常、一般流通に流されるセル商品とTSUTAYA、GEOなどに代表されるレンタルショップに流されるレンタル商品は別物となっており、レンタル商品が各店舗に卸される数は非公開となっている。そのため、現在の「売りスレ」では、全国に数千店舗存在するレンタルショップに卸されるレンタル商品の売り上げ枚数は計上されていないのだ。また、「売りスレ」では、「○○制作のアニメは毎回売り上げ枚数が少ない。資金は回収できているのか」といった会話が飛び出すこともあるのだが、レンタル商品の価格はセル商品の数倍に設定されている。  このことを考慮すると、(すべてのレンタルショップで、すべてのアニメがレンタルされるとは限らないが)売りスレで出てくる数字をはるかに上回る枚数のレンタル商品が市場に出回り、それらが予想以上の利益をアニメ業界にもたらしていることが想像できるだろう。  つまり、現在アニメ業界において、レンタル業界は非常に大きな存在となっているのだ。  「最近は、レンタル業界がアニメのプロモーションに口を出すことが増えましたね。レンタルショップがセル商品に先行して、アニメのDVDや主題歌CDをレンタルすることも増えてきました。話題作を先行してレンタルできれば、レンタルショップも大きな利益を得ますし、アニメ業界としてもタイアップによって確実に利益を見込むことができるということで、win-winの関係なんじゃないでしょうか」 とはレンタル業界関係者の弁だ。  確かにレンタル業界、アニメ業界共に潤う素晴らしいタイアップといえるが、とはいえヒットを見込んでレンタル業界側がプッシュした作品が、フタを開けてみたらそんなに大コケだった……なんてこともないとはいえない。「本当にヒットしている作品」なのか、「レンタルショップが推したい作品」なのか。そういった思惑も踏まえてアニメDVDの売り上げを分析してみると、さらに業界の表と裏が見えてくるのではないだろうか。 (文=龍崎珠樹) ■バックナンバー 【第18回】「求められるのは声優ソングばかり……」表舞台を追われたアニソン歌手の現在 【第17回】美少女たちが追いつめられる姿にゾクゾク!? リアル系ロボットアニメ『トータル・イクリプス』 【第16回】夏アニメの穴馬!? “いわく付き”SNSゲームアニメ『探検ドリランド』に熱視線 【第15回】 キーワードはホモソーシャルな描写!? 今夏は「乙女ゲーム原作アニメ」が熱い! 【第14回】「まるで90年代の夕方6時枠アニメ!?」『モーレツ宇宙海賊』の大器晩成ぶり 【第13回】もはや“声優アイドルフェス”!? アニソン重鎮不在の「アニサマ2012」に不安の声 【第12回】「期待外れ?」「これぞ京アニ?」 賛否両論『氷菓』の本当の見どころ 【第11回】「燃え上がれ、俺の小宇宙よ!」前作ファンもニヤリ『聖闘士星矢Ω』 【第10回】「見たかったのはコレジャナイ!?」声優アイドルアニメ『夏色キセキ』に早くも黄色信号 【第9回】大コケの『機動戦士ガンダムAGE』を徹底検証! 求められる新たな「ガンダム像」とは? 【第8回】アニメ業界の新トレンド!? “分割2クール作品”急増の裏事情 【第7回】ついに世代交代!? 若手アイドル声優が続々歌手デビュー 【第6回】AKB48 vs 声優アイドルユニット アニメ界もついにアイドル戦国時代突入か!? 【第5回】一流アニメファンなら女児向け作品もチェックせよ!? 『スマイルプリキュア!』 【第4回】過激なピンク描写が男子の下半身を直撃!『アマガミSS+ plus』 【第3回】今クール話題の学園モノを徹底分析!『男子高校生の日常』『Another』 【第2回】ロボット好き必見! 洗練されたメカたちが大活躍『輪廻のラグランジェ』 【第1回】水樹奈々が歌いながらバトル!? 「戦うヒロイン」アニメに大注目!

「CM露出は1位だけれど……」上半期ランキングに見る“女王”上戸彩の凋落と武井・剛力時代の幕開け

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『上戸彩 20・25』
(角川マーケティング)
 8日に発表された今年上半期のテレビCM露出秒数ランキングで、上戸彩が1位を獲得。昨年の年間ランキングに続いて、またしてもCM女王の座を手に入れた。  また2位に武井咲、4位には剛力彩芽が入り、上位5人中3人をオスカープロモーションが占めるという結果に。伸び盛りの後輩を抑えて1位をキープした上戸が強さを見せつけた形になったが、広告業界では、すでに上戸の天下は終わっていると見る向きもあるのだという。 「この上戸の1位にはカラクリがあって、要するに上戸がCM出演しているソフトバンクが一企業でむちゃくちゃな量のCMを打っているということなんです。その証拠に、同じCMシリーズに出演している樋口可南子が7位、ダンテ・カーヴァーが10位に入っています。この2人が、AKB48の篠田麻里子や小嶋陽菜より上にランクされているのですから、いかにソフトバンクCMの放送量が突出しているか分かりますよ」(広告代理店関係者)  つまり、上戸の1位はソフトバンク1社の貢献によって支えられているだけで、より多くの業種・企業からオファーのある武井や剛力のほうが、広告業界での価値は上ということだ。 「昨年の年間ランキングでは、若手俳優の大和田健介がACジャパンのCMだけで、上戸に次ぐ2位に入っています。金のある企業が大量の広告を打てば、たまたま出演しているタレントが上位に来ることになる。この露出ランキングで、広告タレントとしての価値や需要を測ることはできませんよ」(同)  昨今では出演ドラマの視聴率も奮わない上戸だが、“CM女王”の座もそろそろ危ういかもしれない。

あのゲーム『人狼』が著名声優大集結でドラマCD化! 過去最大のブームに乗り遅れるな!?

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 『人狼』というパーティーゲームをご存じの方も多いかもしれない。人間の村に人狼が忍び込み、村人を殺めていく。昼フェイズでは村人たちが人狼をあぶり出すために誰かを「吊り」、狩人による護衛以外に村人の防御手段がない夜フェイズには人狼が誰かを「噛む」。この繰り返しで数を減らしていき、人狼が全滅するか、村人の数が人狼の数を下回れば勝敗が決着する。プレーヤーが各自に与えられた役割をCO(カミングアウト)しないかぎり正体はわからず、そのCOも信用できるかどうかはわからない。誰が本当のことを言っているのかを探る心理戦が醍醐味だ。言うなれば、かなり手の込んだ「本物は誰だ」。推理のスリルを押し出したゲーム性の塊のようなこの『人狼』が、今ブームになっているという。 「んん? 人狼? 前にもブームになったのでは?」  その通り、このゲームルールは前世紀から存在しているし、代名詞ともなっている輸入カードセット『汝は人狼なりや?』(原題『Are You a Werewolf?』、Looney Labs.)のアメリカ発売は2001年だ。今ではBBS、チャット、Skypeを駆使したネット人狼もあるし、iPhoneアプリにもなっている。しかし、そうした諸々をひっくるめ、『人狼』は過去何度目かのブームを迎えている。各種の媒体で紹介されるケースが増えていることにお気づきだろうか?  となれば、メディアが活気づかないわけがなく、この度『人狼 -Chaotic Time-』と題したドラマCDが株式会社MFSよりリリースされることが決定した。9月26日からの一般発売に先駆け、8月10日~12日のコミックマーケット82で先行販売する。  なぜ、今ブームなのか。自身も愛好者である、『人狼 -Chaotic Time-』の脚本を執筆した酒井啓之氏に訊いた。 ──この盛り上がりを、どうご覧になっていますか? 酒井 そうですね、今までも何度か『人狼』ブームが来ていたのですが、今回のブームは特に大きな波が来ていると感じます。個人的には、昨今の電力不足から来る非電源系ゲームの見直し、そして推理ブームと重なっていることも後押しになっているのではないかと……。この機会に、より多くの方に『人狼』というゲームを知っていただけるといいですね。 ──その答えと関連してきそうですが、ドラマ化の狙いはどの辺りに? 酒井 『人狼』は初めてプレーする人にとって、決して敷居が低いゲームではありません。長きにわたってプレーされてきたことによるセオリーの確立や、熟練プレーヤーと初心者の壁など、プレー人口の増加にストップをかけている要因はいくつもあります。しかし、ゲーム自体は人が集まらないと成り立たないという矛盾……。今までのブームはこのこともあり、波が収まっていったように思えます。僕らは、今回のドラマCDを通じて、まだ『人狼』という素晴らしいゲームを知らない人たちに、このゲームの楽しさを広めるとともに、熟練プレーヤーの方々に対しても、もう一度『人狼』というゲームを見つめ直していただける機会になればと考えています。 ***  オーディオドラマを盛り上げる声優陣は、豪華のひとことに尽きる。小野友樹、江口拓也、岡本信彦、小林直人、三森すずこ、東山奈央、茅野愛衣、日高里菜、たみやすともえ、小松未可子など、人気声優が集結した。  ストーリーの詳細は公表されていないが、ユウキ役を演ずる小野友樹の以下の自己紹介コメントからすると、この方が主役のような気も。
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ユウキ役の小野友樹。
「ユウキ役をやらせていただいた小野友樹です。名前が一緒ですが、性格も似ているかというと、正義感が強くて、リーダーシップを発揮していたので……似てる……かな?(笑) 全体の進行役を買って出たりして、みんなを引っ張っていく位置にいるキャラクターです。時にはちょっと残酷に見える部分も……」  プライベートで小野とともに『人狼』をプレーしたことがあるという江口拓也(信頼厚い神父モリソン役)と岡本信彦(自分を守る発言をしない青年ライル役)は、それぞれ『人狼 -Chaotic Time-』の作品性をこう語っている。 「台本を読んで、『人狼』をオーバーに表現すると、こういうふうになるんだなと思いました。ストーリーはとても『人狼』らしくて、『ザ・人狼』と言えるんじゃないでしょうか」(江口) 「人狼は難しいので、知らない人が聞いてどこまでわかってもらえるか心配ではあるんですが、音声化の難しい作品をここまで作ったことにはびっくりしています」(岡本)  パーティーゲームである『人狼』には芝居にも似たライヴ感があり、たとえば東山奈央の経験談からは、ゲームの経験が今回の出演に役立っていそうなニュアンスも伝わってくる。 「演劇部の友人に誘われて、一度混ぜてもらったことがあります。当時はルールがわからなくて、見学しようと思っていたら、『やっているうちにわかるから!』と言われて参加することに。村人だったのですが、周りの空気に合わせてウソをつきまくった結果、人狼と間違われて殺されてしまいました(笑)。黙っていればよかったです……(笑)」  一方、「今回収録をしてみて、実際にゲームをやるなら、やってみたい役職はありますか?」と問われた小野は、次のように答えている。 「人狼ですね。普段はウソをついたりしないので……だからこそ、ゲームではほかのプレーヤーをダマせる自信があります。以前プレーしたときに、人狼をやっていて、隣の人が自分のことをひたすら信じてくれているのに、ほかの人狼と、『この人どうする?』みたいなやりとりをしたことがありました。今回のドラマCDをやったことで、ひとりひとりを掘り下げていくと、それぞれにドラマがあることがわかったので、次にやるときは発言だけでなく、態度に注目したいと思います」  うーん、恐ろしい! 日本的儒教的な善悪観だけでは測りきれない心理戦の果てに、生き残るのは誰か。このドラマCDを聞いてからゲームをやったほうが、生存率が上がるかもしれない。 (取材・構成=後藤勝) ●自己紹介キャストコメント たみやすともえ/アニー役 アニー役をやらせていただきました。アニーちゃんは15歳の女の子なんですが、感情的にならないよう、冷静に演じさせていただきました。年齢のわりに鋭い発言をぼそっと言うところがあります。また、人狼退治経験があるという裏設定があるので、ほかの人に比べて、今回の事態に慣れている感じがあります。 小松未可子/ソフィア役 ソフィア・ハイン役で出演しました。ソフィアは親が人狼に殺されていて、人狼をすごく憎んでいます。人の意見にわりと左右されやすいのですが、まっすぐな部分もあり、気の強い女の子です。 東山奈央/ステイシー役 ステイシー役の東山奈央です。ステイシーは、お兄ちゃんのライルのことが好きな女の子です。病弱なのですが、だからといって引っ込み思案ではなく、明るい子です。周りの人たちに愛されて育ってきました。 小林直人/ファン役 今回、ファン・ユージスを担当させていただきました。一番最初は目立たないのですが……。 三森すずこ/メイ役 私の演じるメイちゃんは、14歳なのに雑貨屋を営んでいる経営者であるという、若いながらもしっかりしている女の子です。話し合いの時は、いろんな人に話を振ったりしていて、仕切りたがり屋な一面も。まだ子どもらしいところもあったりする、かわいい子です。 江口拓也/モリソン役 神父をやらせていただきました。モリソンはみんなから信頼されていて、ユウキの次くらいに作品を引っ張っているんじゃないかと思います。 日高里菜/サーシャ役 サーシャ役をやらせていただきました。サーシャは優しい男の子です。人が死ぬシーンでは相手を思いやっていて、優しい子だなって思いました。今まで男の子をやったこともなく、オーディションを受けたこともなかったので、演じることができてうれしいです。 岡本信彦/ライル役 ライル役を演じさせていただきました。ライルはぶっきらぼうというか、自分を保守するような発言をあまりしない、ある意味率直な青年です。 茅野愛衣/アロナ役 アロナ役をやらせていただきました。普段、話をしている感じを取り入れつつ、大人の人を意識して演じました。寡黙なキャラクターだと思っていたら、結構意見をしっかり言っていて認識が変わりました。 コミックマーケット82(8月10日~12日)では企業ブース内ブースNo.421「音泉」とブースNo.633「株式会社sunset creative」にて販売。 キャストなど作品の情報は< http://www.koepota.jp/wearwolf/ >まで。

「たけしを突き飛ばしたことも」わが道を行った“稀代の破天荒”浜田幸一さんを偲ぶ

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『YUIGON~もはや最期だ。すべて
を明かそう。』
(ポプラ社)
 5日に急性心不全のため亡くなった「ハマコー」こと、浜田幸一さんの武勇伝は数知れず。政治家時代は“政界の暴れん坊”と呼ばれたが、そのプライドの高さでも有名だった。  生前の浜田さんを取材したジャーナリストの片岡亮氏によると「例えばテレビ番組の出演依頼も、ほかのゲストの出演料を聞いて、自分が一番高くないと出ないと、ご本人が言っていたほど」だという。 「それで近年の出演料は、出演時間に関係なく一律50万円となっていました。これはアントニオ猪木さんと同等で、業界では破格に高い。あれだけ面白いキャラクターながら、情報番組などに出ることが少なかったのもそのせいでは?」(片岡氏)  50万円とは、1時間番組のゲスト出演で換算すると、相場の3~5倍の額だ。昨今はテレビ界の不況から、どこも経費削減の傾向が強く、確かに浜田さんが出演した番組はゴールデンタイムや予算に余裕のある人気番組に限られていた。  中でもテレビ朝日系の討論番組『ビートたけしのTVタックル』は人気で、番組に“悪党党・幹事長”という肩書で登場し、強烈な発言でスタジオ内を沸かせた。一方で、感情が高ぶって「もうオレは帰る!」と収録を投げ出して退場してしまうことも多く、2008年には出演者とのつかみ合いの乱闘に発展、降板となっている。当時の番組ディレクターによると「当然このシーンはカットされた」という。 「表向きは“暴言程度”のことがあったとしていますが、浜田さんの意見に茶々を入れた司会のビートたけしさんにまで怒って、胸を突き飛ばすなどしたことが大問題となってしまったんです」(同)  ただ、関係者によると最近は静かな余生を過ごしていたようで、サークルに通うほど大好きだった囲碁をしに出ることもなくなり、外出は激減していたという。昨年、借金の担保に差し出した株の無断売却で背任の罪に問われたが、公判にも車椅子で出廷し、非常に弱々しい声で弁明していたことが報道陣を驚かせた。 「ただ、それも浜田流の作戦だったというウワサもあります。認知症と診断され公判停止となりましたが、ごく親しい関係者とは電話で普通に会話していたり、そこは策士だけに分からなかったですね」(朝刊紙記者)  政治が混迷する今こそ、あのキャラクターで政界に喝を入れてほしかったが、最期は呼吸器の炎症による脱水症状から、波乱万丈の人生は幕を閉じた。 (文=鈴木雅久)

「在京球団の選手はかわいそう」阿部はまだまだ甘い!? 地方球団選手たちの乱れきった下半身事情

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「【プロ野球オーナーズリーグ】
阿部慎之助 読売ジャイアンツ
グレート」(バンダイ)
 「週刊ポスト」(小学館)8月17・24日号が報じた、プロ野球・巨人の阿部慎之助とGカップグラドル小泉麻耶の、東京・広島での3日連続の密会不倫交際だが、スポーツ紙による後追い報道は一切なかった。 「現在、巨人は首位で阿部は首位打者。各スポーツ紙は、ヘタなことを書いたら出禁にされてしまう。一方、小泉は大手芸能プロ・ケイダッシュの系列事務所に所属。こちらはこちらで揉めるといろいろ面倒なので、どこも報じなかった」(スポーツ紙デスク)  阿部は元モデルの妻との間に3人の子どもがいるだけに、「週刊文春」(文藝春秋)でホステスの女性から不倫関係にあったことを暴露された7人の子どもがいる橋下徹大阪市長同様、家庭内でかなりキツイお灸を据えられることになりそうだ。しかし、「本当に、在京球団の選手たちはかわいそう。ほかの地域だったら地元メディアはスルーなので、やりたい放題」と阿部に同情するのは、地方に本拠地がある球団の関係者だ。 「たとえば、巨人の選手が東京・六本木で飲んでどんちゃん騒ぎをしていれば、それだけで記事になるが、阪神の選手が大阪・北新地で同じことをしても書き立てられることがない。もっと西のほうの球団だと、かつては大活躍したが最近はさっぱり活躍せず、チーム内から“お荷物”の呼び声も高いベテラン選手は遠征に愛人同伴。同じ飛行機に乗り込んでイチャイチャしているが、地元のスポーツ紙の記者が同じ飛行機に乗り込んでも見て見ぬふり。それをいいことに、その選手も調子に乗っている」(同)  地方都市でも1軍ならばそれなりの大都市に本拠地の球場があるため、夜の遊びにも事欠かない。一方、2軍の本拠地は交通の便が悪いところにあり、周辺に遊ぶところもない場合が多いが、それなりに満喫しているようだ。 「東のほうの球団の2軍やさほど金がない1軍の若手選手の話だが、何人かの選手が金を出し合って、球団の目の届かないようなところの小ぎれいなマンションを“ヤリ部屋”として借りる。そこにデリヘル嬢を呼んだり、キャバ嬢を連れ込んだり。いまや国民的エースといわれるあの投手も、若いころはそうやって遊んだようだ」(同)  表に出た阿部の不倫密会報道は、野球界全体からすれば“氷山の一角”といったところか。現在、セ・リーグ首位打者(6日現在)と結果を出している阿部をいい意味で見習い、他の選手たちは大いに遊んでも、くれぐれも本業の野球で結果を出してほしいものだ。

「金鳥の夏、日本の夏」はもう古い? 業界を席巻する「家庭教師のトライ」のユニークCM

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「家庭教師のトライ」公式サイトより
 真面目+メガネ+スーツ姿の男性「トライさん」が、ハイジと一緒に草原を歩いたり、ブランコに乗ったり……。やがてみんながアルムおんじの元へ駆け寄り、「おし~えて、おじい~さん~♪」という歌詞が流れると、おんじは一言。 「わしゃ~、無理」  そして、ハイジの冷たい返事。 「知ってる」  6月20日から放送されている、ミスマッチでシュールな世界観がおかしい「家庭教師のトライ」のCMが話題だ。  それにしても、かつては“夏のユニークなCM”というと、「金鳥」が独走状態だったのに、いつの間にか近年は「家庭教師のトライ」が夏の面白CM王者として君臨してきている。  昨年放送された、昭和の刑事ドラマ『特捜最前線』(テレビ朝日系)にアテレコをつけたCMのインパクトもまだ記憶に新しい。  お母さんが涙を流し、絶叫するシリアスなシーンに合わせて「トライ」を連呼するものや、刑事が電話の相手に対して家庭教師を宣伝するものなどだ。  本来、お堅いイメージの教育業界において、なぜこうした面白CMを? トライグループの宣伝部に聞いた。 「多くの方が勉強のことを考える時期は、年度始まりの春と、夏休みなんです。そのため、ちょうど夏頃にCMが替わるタイミングが多いんですが、CMの感じ方は人それぞれで、特に堅くとか、やわらかくとか思ってやっているわけではありません(笑)。弊社では『夏休みにそろそろ本格的に勉強を』と思っているお子さんや親御さんに、『トライと一緒に勉強を頑張ろう』というメッセージをきちんと届けようと、毎夏、制作に取り組んでいます」  『アルプスの少女ハイジ』を今回起用した理由については、次のように話す。 「前回はAKB48だったんですが、とにかくインパクトが大きいので、それを超えるキャラクターを探すのは本当に大変でした。そこで、親御さんなど、広く世代を超えて愛されている名作であり、キャラクターとしてもインパクトがある『ハイジ』に着目しました。ちょうど『おしえて』という歌詞もあること、おんじにさまざまなことを教わり、ハイジが成長していくさまが描かれていることもあり、教育との親和性も非常に高いと判断しました」  ちなみに、『特捜最前線』CMの前も、バカボンを使っていたり、「家庭教師のトライ」CMはここ6~7年ユニークなものが続いている。きっかけは「特にない」そうだが、「夏=金鳥」ではなく「夏=トライ」を意識していたりして? 「いやいや、全然意識していないです(笑)。夏といえば、確かに金鳥ですので、そうおっしゃっていただけるのは光栄ですが。今後もさまざまな方法で、メッセージをきちんとお届けしていければと思います」  トライCMで、「次は何がくるんだろう?」と、ひそかに楽しみになっている人もいるはず。今後にも期待したい。

「金鳥の夏、日本の夏」はもう古い? 業界を席巻する「家庭教師のトライ」のユニークCM

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「家庭教師のトライ」公式サイトより
 真面目+メガネ+スーツ姿の男性「トライさん」が、ハイジと一緒に草原を歩いたり、ブランコに乗ったり……。やがてみんながアルムおんじの元へ駆け寄り、「おし~えて、おじい~さん~♪」という歌詞が流れると、おんじは一言。 「わしゃ~、無理」  そして、ハイジの冷たい返事。 「知ってる」  6月20日から放送されている、ミスマッチでシュールな世界観がおかしい「家庭教師のトライ」のCMが話題だ。  それにしても、かつては“夏のユニークなCM”というと、「金鳥」が独走状態だったのに、いつの間にか近年は「家庭教師のトライ」が夏の面白CM王者として君臨してきている。  昨年放送された、昭和の刑事ドラマ『特捜最前線』(テレビ朝日系)にアテレコをつけたCMのインパクトもまだ記憶に新しい。  お母さんが涙を流し、絶叫するシリアスなシーンに合わせて「トライ」を連呼するものや、刑事が電話の相手に対して家庭教師を宣伝するものなどだ。  本来、お堅いイメージの教育業界において、なぜこうした面白CMを? トライグループの宣伝部に聞いた。 「多くの方が勉強のことを考える時期は、年度始まりの春と、夏休みなんです。そのため、ちょうど夏頃にCMが替わるタイミングが多いんですが、CMの感じ方は人それぞれで、特に堅くとか、やわらかくとか思ってやっているわけではありません(笑)。弊社では『夏休みにそろそろ本格的に勉強を』と思っているお子さんや親御さんに、『トライと一緒に勉強を頑張ろう』というメッセージをきちんと届けようと、毎夏、制作に取り組んでいます」  『アルプスの少女ハイジ』を今回起用した理由については、次のように話す。 「前回はAKB48だったんですが、とにかくインパクトが大きいので、それを超えるキャラクターを探すのは本当に大変でした。そこで、親御さんなど、広く世代を超えて愛されている名作であり、キャラクターとしてもインパクトがある『ハイジ』に着目しました。ちょうど『おしえて』という歌詞もあること、おんじにさまざまなことを教わり、ハイジが成長していくさまが描かれていることもあり、教育との親和性も非常に高いと判断しました」  ちなみに、『特捜最前線』CMの前も、バカボンを使っていたり、「家庭教師のトライ」CMはここ6~7年ユニークなものが続いている。きっかけは「特にない」そうだが、「夏=金鳥」ではなく「夏=トライ」を意識していたりして? 「いやいや、全然意識していないです(笑)。夏といえば、確かに金鳥ですので、そうおっしゃっていただけるのは光栄ですが。今後もさまざまな方法で、メッセージをきちんとお届けしていければと思います」  トライCMで、「次は何がくるんだろう?」と、ひそかに楽しみになっている人もいるはず。今後にも期待したい。

「『圏内の歌』は避難勧告の歌じゃない」言葉にならない無数の歌と向き合った七尾旅人の500日

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撮影=佐藤裕之
 黒い衣装に身を包み、頭には麦わら帽子、足元には下駄。一風変わった風貌のこの男は、シンガーソングライターの七尾旅人だ。東日本大震災後は足しげく東北を訪れ、ライブ活動を行ったり、開発に携わってきた自力音源配信ウェブサービス「DIY STARS」(http://www.diystars.net/)を使って、「DIY HEARTS 東日本大震災 義援金募集プロジェクト」を開始。現在までに1,300万円以上を集め、震災孤児に寄付している。  そんな七尾氏が8月8日、ニューアルバム『リトルメロディー』を発売した。各所で話題になった「圏内の歌」をはじめ、震災以降、織り上げられた曲が大半を占めてはいるが、ポップで親しみやすい曲ばかりがちりばめられている。七尾氏がこのアルバムに込めた思い、そして震災後、約500日にわたる自身の音楽活動を振り返ってもらった。 ――前作から約2年ぶりのアルバムですが、やはり震災の影響は大きいですか? 七尾旅人(以下、七尾) 本当にいろいろなことが起こって、やっぱり震災以降はどうしても自分の意識を変えざるを得なかった。そういう部分も、今回のアルバムには反映されているとは思います。震災直後に100曲以上ある自分のライブ・レパートリーを振り返ったんですが、以前と同じように、すぐにお客さんの前で歌える曲が1~2曲しかなかったんです。こういうみんながボロボロになって、世の中がものすごく大きく動いているときに、ひしひしと自分の無力感を感じましたね。もうこれまでと同じ意識でやっていてもしょうがない、ゼロからやり直そうと思ったんです。 ――その後、1カ月たたないうちに、友人でありタブラ奏者のユザーン氏と一緒に福島へ入り、ライブを行ったそうですね。 七尾 まだ早い段階でしたので、車で行ってライブをやらせてもらうことが本当に正しいのか、逡巡もあったし、ある程度、覚悟は必要でした。でも、自分のお客さんたちが大変な目に遭っている。地震が来て津波が来て、その上、放射能が降っている。そんな状況に置かれた人の顔を思い浮かべることができますか? とにかく顔を見に行こうと思ったんです。で、実際に行ってみると、東京で飛び交っている情報とはまた違っていて。都市部で強く叫ばれているスローガンとはちょっと違う形の、複雑な言葉や感情があったんです。「頑張ろう、日本」や「原発反対」だったり、それらも真摯で重い言葉ですが、そのはざまに、もっともっと複雑で読み解きにくい言葉、パッと聞きわかりにくい言葉というものが、さまよっていたんです。 L1092381.jpg  例えば、福島で出会った人たちの「ふっ」というつぶやき。その一見わかりにくい、小さな言葉の中に歌を感じたんです。だから、自分の中の感情もあまりシンプルにせずに、本当の意味で歌いたいことを歌おうと思いました。強い言葉の陰で、相変わらず圧迫され、追いやられたまま痛めつけられている人もまたいて、そういう小さな歌声が、自分の中ではとてつもなく重い大きなものに聴こえたんです。一行のキャッチコピーにはできないような、複雑な悲しみとか喜びを、うまくすくい上げられないかなって。 ――そういう小さな歌声に耳を傾けるために、南相馬のご友人の家に泊まり、たくさん曲を書かれたそうですね。 七尾 はい。それだけを集めてアルバムを作ることもできたけど、それも違う気がしたんです。そうじゃなくて、震災以降の自分のちっぽけさとかずるさとか小汚さとか、一口には捉えきれない今というものを映し出すには、「こんなアルバムなんです」ってシンプルにプレゼンできるようなものを作っちゃだめだと思ったんです。とにかく、正直に、人間の小ささや、本当にうれしかったこと、本当に悲しかったことを入れようと思った。自分の身の丈から言葉を発したかったんです。 ――アルバムに収録されている「圏内の歌」は、「子供たちだけでも/どこか遠くへ/逃がしたい」という強烈な歌詞が、話題になりました。 七尾 放射能が降り注ぐ環境の中で、それでも表向き笑顔で生きている女の人が主人公の曲なんです。福島の友達に聞く話と東京で伝えられている情報の齟齬、スキマがいろんな形で埋められるべきだと思っていたので、こういう曲ができたんだと思います。避難勧告の歌だと誤解されがちなんですが、そうではない。例えば、自分の家を追い出されてもう帰れないし、仕事も失って、それなのに罪悪感も持っていたりするんですよ。「私たちが放射能ばらまいた」みたいな。悲しみ、怒り、罪悪感、悔しさとか、一口でなんてとても言えないんですよ。すごく複雑で、なかなか言葉じゃ捉えきれない。音とメロディとリズムを総動員して、なんとかパッケージしないと、捕まえ損ねてしまう。 ――ご自身にとってもとても大切な曲だと思いますが、約1年半歌い続けてきて、何か気持ちの変化などはありましたか? 七尾 昨年5月に作曲したばかりの頃は、渦中でそれを歌い続けることに葛藤もありましたが、1年以上たつと、歌うたびに僕自身がそのときの感覚を鮮明に思い起こし、再考し続けるための装置にもなっています。たぶん新聞記事だけだったら、100年後は、まるで太平洋戦争中の新聞と同様に、共感しづらいものになる。政治や科学やジャーナリズムの言葉だけでは、よくわからない。でも、そこに音楽、あるいは映画とか、文化がついてきて初めて、そのときどんな人がどんな複雑な気持ちを抱えて、どんなことを恐れていたり、どんなことに喜んでいたかが、やっと見えてくると思うんですよね。 L1092332.jpg  「圏内の歌」には悲しみが満ちていますが、悲痛な表情で歌う曲ではなく、自然と微笑みながら歌うような形になる。歌が持っているエモーションが演者をそうさせるんです。人を糾弾したり、悲しいんだ、痛いんだというのを出す曲ではないんです。どうしようもなく困難な状況で、見たこともなかったような人間の美しさが発露してくる。それを見てしまう、見つけてしまう、そんなとき、歌ができてしまうんです。 ――七尾さんは9.11の後に『911 FANTASIA』という3枚組のアルバムをリリースされていますが、こういう複雑な気持ちというのは、9.11のときにも感じたものですか? 七尾 9.11のときは個人的にもすごく苦しい時期で、年齢も21歳と若かったので、いっぱいいっぱいだったんです。自分の心象風景と、ビルに飛行機が突っ込むという風景が渾然一体になってしまって、「自分はもうダメだし、世の中は破滅に向かっているし……」と思ってしまったんです。すごく観念的に捉えてしまって、海の向こうのことだけど他人事じゃない、世界の一大時だと。まあ、それゆえにあそこまでの情熱で作品化できたわけですが、今は30歳を過ぎたので、情緒的になるより先に、心配事が浮かんできましたね。単純に東北の友達の安否や、周りの不安がっている仲間のこと。それに、こんな状態で今までの曲歌ったってしょうがないな、とかね。東北という、仲間の顔が見える範囲の出来事だったので、ショックがでかすぎて……。でも、それがその直後の動きにつながったとは思いますね。 ――震災直後に書かれた楽曲「帰り道」のYouTubeへのアップ(http://www.youtube.com/watch?v=XNLAT6t67i4)から始まって、被災地でのライブ、チャリティーイベントの参加、義援金募集サイト「DIY HEARTS」の立ち上げなど、目まぐるしい1年半だったと思いますが、それらの活動によって気持ちの面では少し楽になったのでしょうか? 七尾 迷いっぱなしですよ。悩み終わったこともいくつかありますけど、自分の中で解決できていない問題のほうがはるかに多いです。ただ1年半いろいろやってきて今言えることは、考え続けるのと手を動かし続けるしかないということですね。 ――ライブで歌うということは、ご自身の気持ちを吐き出す行為でもあるんでしょうか? 七尾 いえ、作曲は気持ちを表現することで吐き出していたり、整理している部分がどこかにありますし、できあがったものを聴いて、冷静に自分を分析できたりもする。一方ライブの場では、演者として芸人として、お客さんを楽しませたいと思っています。音源、そして「百人組手」のような自主イベントや「DIY STARS」のような配信システム、僕の創作にまつわるすべてに言えることですが、お客さんに驚きを与えたいという気持ちが強くて、今も昔も「わー!」と言わせたいと思っているし、僕自身も音楽にはそれを求めています。父親がジャズファンだったんで、黒人がものすごい速さで鍵盤を叩いたり、顔をほとんど異形化させた状態でトランペットを吹いているとか、子ども心に、まるで超人だなって思って。そういうのが原体験にある。「人間がここまでやれるの? それなら僕も希望を持つことができる、自分もいつかきっと」って。音楽って、ちまちましたもんじゃないんです。僕はシンガーソングライターなので、まあ内省的ではあるけれど、志向としては、むしろ、サーカスとか大道芸とか、シルク・ドゥ・ソレイユに負けないくらいの領域に、おじいさんになる頃には到達したいんですよね。 L1092361.jpg ――なるほど。確かに七尾さんのライブは、サプライズの連続ですよね。毎回、「今日はどんなことをやってくれるんだろう」というワクワク感があります。では最後に、震災後のさまざまな感情を吐き出した今回のアルバムは、七尾さんにとってどんなアルバムですか? 七尾 今回のアルバムは、自分の表現の一番コアな部分を取り戻していくためのプロセスのひとつだと思うんです。前作『billion voices』のときはいろいろなことに恵まれていたので、自分もノリノリで、すごく明るいアルバムだったんです。「DIY STARS」の立ち上げなどいろいろなことが同時に起こって、みんなCDが売れないってすごく悲壮感が漂っていたけれど、僕は「今が一番楽しいよ。確かに20世紀のポップシステムは壊れたけど、ポップミュージックまで壊れたって言うのやめてくれる?」って思っていたんです。「僕より年下の10代とか20代の奴が今どんだけ面白いことやってるか知ってる? 知りもしないクセに、『若い奴がやってることはつまらない』とか言うなよ」って。だから意図的にああいうジャケットにしてコンセプチュアルにまとめたんですが、翌年の3月11日でガラッと世の中が変わってしまったから、それまでに考えていた次作のアイデアを全部捨てたんです。それでこういうアルバムになった。そういう意味では、『billion~』とはかけ離れている。『911』とか昔のアルバムに近いのかもしれない。挫折感もあったし、いろんな軋轢とかある中で、もう一度自分を組み立て直そうとしたプロセスだと思うんです。  ある種の公共性を伴った曲もあると思うけれど、僕としてはすごく自己表現をやりたかった。こういうときだからこそ、そういうことをやらないと前に進めないと思った。先に行けないなって。こういうことを歌ったら誰かを傷つけてしまうんじゃないかとか、1円でも多く義援金を集めたいという気持ちは今でもぜんぜん消えていないんですけど、このアルバムに関しては、やっぱり表現者として生きて死んでいくわけだから、善も悪も超えて、自分が本当に歌いたいことを歌ってみると。そういう意味ではすごく、自分にとっては大事な作品ですね。 (取材・文=編集部) ●ななお・たびと シンガーソングライター。1998年のデビュー以来、驚異の3枚組アルバム『911 FANTASIA』や、新世代のフロアーアンセムとも称される「Rollin' Rollin'」、21世紀の新しい音楽の可能性を感じさせる『billion voices』などで旋風を巻き起こす。唯一無二のライブパフォーマスは必見。自身のライフワークと位置付け、全国各地で開催してきた弾き語り独演会「歌の事故」、全共演者と立て続けに即興対決を行う「百人組手」の2つの自主企画を軸に、各地のフェス、イベント、USTREAMでも伝説的なステージを生みだし続けている。 公式ブログ< http://tavito.net/> Twitter <https://twitter.com/#!/tavito_net>