「やっとR指定に出られた」“悪人”西田敏行が語る、北野映画と正義の秤

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 2010年公開の北野武監督作品『アウトレイジ』は、容赦のない暴力描写と端役に至るまでの細かな人間描写、そしてそれを演じる俳優陣の豪華さもさることながら、ヤクザ同士の権力争いを乾いたトーンで描き、ヒット作となった。あれから2年。生き残った人物たちのその後を描く形での続編『アウトレイジ ビヨンド』が、まもなく公開される。ストーリー展開も暴力描写も、すべてがパワーアップし、出演する俳優たちもそれぞれが映画の主役を張れるほどの実力者ばかり。一瞬も見逃すことができない傑作エンタテインメントだ。  前作では、関東を牛耳る巨大組織・山王会内部の熾烈なトップ抗争劇が描かれて終わったが、今作では、関東のみならず日本の政治にも口を出すようになった山王会を潰すため、警察が動きだす。山王会に対抗できる組織として登場するのが、関西を代表する暴力団の花菱会。その若頭になんと、国民的俳優の西田敏行がキャスティングされた。笑顔が何より似合うあの人から、泣く子も黙るほどの脅し文句が放たれる日が来るとは、誰が想像しただろう。撮影前も後も興奮しっぱなしだったというご本人にインタビューを敢行した。インタビューでの語り口からはいつもの優しさがあふれていたので、ご安心を。 ――西田さんがこの作品に出ると聞いた時点で驚きましたし、見終わった後もまだ信じられない気分でした。しかし、西田さんは北野作品への出演を熱望されていたそうですね。 西田敏行(以下、西田) 前作の『アウトレイジ』を見て、俺もあそこにいなくちゃおかしいんじゃないかなって思ったんですよ(笑)。なので、北野監督に会ったときに、パート2を作る予定はあるかどうか尋ねたんです。「もし作るのであれば、ぜひ私も参加したいんです」って意思表示をして。 ――もちろんヤクザ役で、と? 西田 ええ(笑)。「いいんですか? やるんですか?」って何度か念を押されましたけど。「大丈夫です」って。 ――ここ数年、西田さんが悪役を演じているイメージがありません。 _MG_0112_1.jpg 西田 そうですね。映画においては以前、『寒椿』(降旗康男監督)という作品で女衒の役をやりましたけど、ずいぶんたってますし。それからはずっと、文科省大好きみたいな映画が多かった中で、やっとR指定に出られた。文科省的映画での僕の演技が好きな方にとってはちょっと、軽い裏切り行為になるかもしれないですけどねぇ(笑)。 ――関西ヤクザの役作りは、どのように? 西田 役者としてシンプルにやりました。男優だったら誰もが一度はやってみたいのが、こういう無法者。演技だから何をやっても大丈夫ですし。インモラルな世界に身を置いてみたとき、自分はどんなふうに生きるのか、どんな顔になるのか、どういう野郎になっていくんだろうみたいな客観的な好奇心は、きっとありますから。弱肉強食、法も何もない。守ってくれるのは拳銃と、自分の根性と言葉でしかない。そんなスレスレのところで生きている人たちの心に触れてみたいと思っていました。 ――北野監督からは、どのような演出があったんですか? 西田 ほとんど「ご自由にやってください」でした。アドリブも自由です、とまで言われたんだけど、そう言われると固まっちゃうものなんですよ。人間は不思議なもので、逆に「台本通りに」って言われると、かえってレギュレーションから外れたくなる。人間って、みんなそうなんじゃないかな。そういう心理を、うまいこと監督は引き立ててくれたというかね。逆に監督の思うつぼだったのかもしれないと、今になって思いますね。 ――西田さんと、同じく花菱会の塩見三省さんによる恫喝シーンが本当に恐ろしくて(笑)。 西田 塩見とは兄弟分の役ですからね。おっそろしい顔してますよねぇ、ホントにね(笑)。あれと兄弟だと思うとね……(泣く)。 ――確かにドスをきかせた塩見さんの顔は、正直かなり震え上がりました。 西田 すごかったですよねぇ。撮影終わってから、彼とふたりでしみじみと「いや楽しかったなぁ!」「ふたりとも結構ワルやなぁ」って悦に入ってましたから(笑)。 ――緊迫したシーンだったので、撮影後はどんな気分だったのだろうと気になりました。 西田 もうね、全部の毒を吐いちゃったみたいな感じ。スッキリするんですよ。ずっと続いていた高熱が下がったときの、新しい人生が来たような気分……ま、そんな大げさなものじゃないか(笑)。とにかく爽快感がありましたよね。塩見くんとは離れがたい友情が芽生えましたよ(笑)。 _MG_0114_1.jpg ――しかも西田さんが演じた花菱会若頭の西野は、最初はそこそこ穏やかそうに見えて、キレたときが本当に怖いという。 西田 ジョー・ペシみたいな芝居をしたいなと、いつも思ってるんですよね。急に怖くなる彼のあの感じを出したくて、どこかでそれを意識してましたね。 ――ほかに印象深いセリフやシーンはありますか? 西田 僕が、(北野)監督演じる大友に対して、「コラァ、腐れ外道!」ってアドリブで言ったんです。それをとても監督が気に入ってくれて。「そうなんです、外道なんですよ。道から外れてるんですよ」って。道から外れるってどういうことなのか、みんなも考えてみてほしいなって思います。中国での反日デモで、強奪したり破壊したりすることにひとつのカタルシスを覚えている人たちも、一部見受けられましたよね。日本でも60~70年代に若者たちがヘルメットをつけて社会を破壊し続けましたけど、その破壊はどういうことだったのかを考えてほしい。その頃の僕らはちょうど、深作欣二監督の『仁義なき戦い』や高倉健さんの任侠映画を見ていたんです。学生闘争の時代にあれを見て、なんともしれない気持ちになって、思わず拍手をしたんですよね。健さんが悪い親分を斬りつけると、客席みんながワーッと拍手する。今は、あの感じと似た時代なのかなって思います。 ――なるほど。そしてこの作品は、現代版『仁義なき戦い』でもあると。 西田 現代の『仁義なき戦い』と呼ばれることを監督はよしとしないかもしれないけど、時代は巡ってるなと。今若い人たちが欲している映画のひとつじゃないかなって思います。僕らも当時、そういう映画に飢えてましたから。見終わってスカッとする映画ですからね。 ――この映画は前作に続き、「全員悪人」というキャッチコピーが印象的です。西田さんは、悪人とはどういう人を指すと思いますか? 西田 日本人らしい心理なんでしょうか、死んでしまうと善人に思えてしまう(笑)。この中で本当に悪いのは、生き残った奴らなのかもしれないですね。世間の良識の中で生きていても、「あいつ悪いな」って思う奴っていますもんね。ものすごく社会的地位もある人で、「でもあいつワルだよなぁ」みたいなのとか。 ――いかにも悪いことをしていそうというか。 西田 映画での彼らは、ワルをワルとして演じているというか。自分の感情を、生き物としての本能を、素直にさらけ出して生きている人たちですから。それに対して、人間の知恵やモラルとかでルールや法律を作った形が、実際の町だったり県であったり国であったりするわけでしょ。国同士のやりとりも、こういう組織同士のやりとりとあまり変わらない。国単位でいうところの国益は、「それはうちの組の得になるのか」と同じ。そのへんを深く、しかも面白く皮肉っているところも、僕はこの映画の深さだと思ってるんですけどね。 ――男はここまで体と命を張れるのか、という素直な驚きもありました。 西田 でも、子どもですよね(笑)。結局は「えーい!」って殴り合いしないと収まらないというところがある。この作品での殺しは、そのまま相手の命をとってしまうということだけど、ほかにもいろんな殺し方があると思うんです。今のいじめの問題もそうかもしれない。暴力を振るってなくても、ひとりの人間を社会的に殺してしまうこともできるわけです。組織や、人間が集まる場所には、そういうことが起きる。 ――人が集まると悪が生まれやすい。悪いことをしているつもりはなくとも、無意識に悪に加担しているかもしれないですしね。 西田 そういうことを是認する社会もまた悪だと、僕は思いますけどね。そういう複雑な人間の心理というか業みたいなものを完全抽出して、駄目なところだけを画にしてるのが、この映画のすごいところだと思うんですよ。 ――最後に西田さんから日刊サイゾー読者へ、映画の見どころをお願いします。 西田 これは格好いいヒーロー映画でもないけども、この人間たちのうごめきを見ることによって、世の中に固まっている業みたいなものが見えてくると思うんです。それに憧れるでもなく、嫌うでもなく、冷静に見られる自分がいればいい。それこそ、自分の正義の秤だと思います。自分の中での正義の秤みたいなものは、自分で推し量ってみてもわからない部分があるのでね。今は混沌としてるし、地球全体がちょっとカオスの状態にある。そういった意味でも、また新しい価値観や見方が生まれる。この作品を見て、それをじっと待ってみると面白いんじゃないかなと思いますね。 (取材・文=大曲智子/撮影=後藤秀二) ●にしだ・としゆき 1947年11月4日生まれ、福島県出身。70年、劇団青年座に入団。同年、「情痴」で初舞台を踏む。71年、同劇団公演「写楽考」で初主演。以降、数多くのTVドラマや映画に出演。08年、紫綬褒章を受章。主な出演映画に、86年『植村直己物語』、88年~『釣りバカ日記』シリーズ、93年~『学校』シリーズ、11年『星守る犬』、『ステキな金縛り』など多数。公開待機作に『黄金を抱いて翔べ』(11月3日より全国公開)、『大奥~永遠~[右衛門佐・綱吉篇]』(12月22日公開)がある。 or2nishida.jpg ●『アウトレイジ ビヨンド』 監督・脚本・編集:北野 武/出演:ビートたけし 西田敏行 三浦友和 加瀬 亮 中野英雄 松重 豊 小日向文世ほか/配給:ワーナー・ブラザース オフィス北野 新宿バルト9&新宿ピカデリーほか全国上映中 (c) 2012 「アウトレイジ ビヨンド」製作委員会 公式サイト <http://www.outrage-movie.jp>

これは小説なのか!? 気鋭の芥川賞候補作家が放つ、斬新な言語世界『緑のさる』

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『緑のさる』(平凡社)
 小説を読むと、ときに重箱の隅をつつくように作品のアラを探し、つじつま合わせに終始してしまうことがありはしないだろうか。また逆に、つじつまが合っていることが小説の“おもしろさ”なのだろうか。  緻密な構成、流れるような筋書き、論理的な仕掛け、そのような整然とした小説の醍醐味といわれているものに、真っ向から疑問をぶつけたのが山下澄人『緑のさる』(平凡社)だ。山下氏は2005年、「演劇界の芥川賞」と呼ばれる岸田國士戯曲賞候補となり、このたび第147回(2012年上半期)芥川賞候補にもなった気鋭の作家だ。  『緑のさる』は全8編のごく短い章で構成された連作短編。とある劇団に所属し、葬儀屋のアルバイトで生計を立てている“わたし”は、ある日突然、劇団のリーダーであるサカタから劇団の解散を告げられる。“わたし”の元恋人で劇団員のノジマヨウコとサカタが付き合い始めたことが解散の理由だ。しかしこの導入は、その後さしたる発展も見せず、病室や浜辺へ、次々と場面が転換される。それぞれの物語がつながっているのか、繰り返される記号に何か意味があるのか。ひとつの眠りの中で、複数の物語が同時進行していく夢のような小説だ。  中でも7章「ぎそくのゆめ」が出色だ。浜辺で会った男・キンバラが、見た夢の内容を語り出す。キンバラはサチコという少女になり、交通事故で片足を失ったこと、スナックで働いていたこと、トウドウという男と恋をし、結婚したこと、DVを受けたことなど、少女の生涯を断片的に経験する。初めて義足をつけたときの痛みなどが瑞々しく描かれており、不思議で、心温まるエピソードだ。  脈絡も結末もなく、「だからどうした」と言われればそれまでなのだが、そもそも作者は整然とした筋を描こうとしておらず、意味づけを拒否しているようにも思える。ラストでかごの中から「マンキー、ニィー」と笑う緑色のさるは、まっとうな世界(常識的な物語)をせせら笑っているのではないだろうか。  小説らしい小説にヘキエキしている方は、この『緑のさる』を一度手に取ってみるといい。幼いころのように、素直に物語を読む楽しさを思い出させてくれるはずだ。 (文=平野遼)

「一般コミックでも大丈夫……じゃなかった!」不健全図書指定された『ぽちとご主人様』の顛末

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不健全図書指定後に全年齢向けコーナーに
陳列されていた事例(現在は、棚を移動済み)。
「大丈夫!アスキー・メディアワークスの一般コミックだよ!」  8月、都内の書店で販売されたある単行本に、こんなPOPがつけられていた。POPが意味するのは、出版社側が18歳未満への販売を自主規制する「成年コミックマーク」をつけていない=すなわち小学生でも購入できるということだ。  その単行本が、綾乃れな著『ぽちとご主人様』(アスキー・メディアワークス)だ。書店のPOPは「大丈夫!」と銘打っていたにもかかわらず、東京都は、9月の東京都青少年健全育成審議会に、この本を提出。参加した委員から「指定やむなし」という多数意見を得て、不健全図書に指定された。  この作品は、SkyFish pocoが発行する同名の美少女ゲームをコミカライズしたもので、アスキー・メディアワークスが発行する雑誌「電撃HIME」などに連載されていた。ドエスな主人公と幼なじみが互いの親の婚約によって兄妹になってしまうが、幼なじみは主人公のペットになることを提案するという物語だ。  東京都青少年課は、この単行本を不健全図書の候補として審議会に挙げた理由を次のように語る。 「従来の基準に従って、精液や擬音から卑わい性があると判断しました」(都青少年課の佐藤久光課長)  審議会の前に自主規制団体から意見を聞く、諮問候補図書に関する打ち合わせ会では(昨年改定施行された条例で追加された指定基準である)近親相姦描写についても、規制に該当するという意見が出たが、都側は「あくまで新基準は従来の基準では指定対象にならない場合に用いるもの」として、採用しなかった。都は、あくまで問題なのは作品中の描写の「卑わい性」だというわけだ。  そもそも「卑わい性」とは、非常に曖昧な概念である。資料によれば、この作品は、条例を運用するために定めている施行規則に記された基準のうち、第15条第1項第一号イ・ロの部分に該当しているとされる。その基準は、次のようなものである。 「イ 全裸若しくは半裸又はこれらに近い状態の姿態を描写することにより、卑わいな感じを与え、又は人格を否定する性的行為を容易に連想させるものであること。 ロ 性的行為を露骨に描写し、又は表現することにより、卑猥な感じを与え、又は人格を否定する性的行為を容易に連想させるものであること」  この基準も「一体どこまで描写したらアウトなのか」判然としない、極めて曖昧なものだ。となると、恣意的に決めているのではないかという疑念が湧くが、少なくとも今回に限っては反論が難しい。というのも、この作品が連載されていた「電撃HIME」が、表紙に成年向けマークを表示した雑誌だからだ。  出版社が雑誌・単行本の表紙に「18禁」、あるいは「成年向け」のマークを印刷する自主規制の目的は、過激な表現を扱っていることを示し、書店に18禁コーナーなど子どもの手には届かない場所で販売することを促すもの。  つまり、過激で子どもが買ってはいけない内容であることを出版社が自覚している雑誌で連載していた作品なのに、単行本になったら子どもでも買える珍妙な現象が起きてしまったというわけだ。  「電撃HIME」に連載された作品は、青年向けコミックレーベル「電撃ジャパンコミックス」として販売されている。「電撃HIME」で連載された作品は、ほかにも単行本化されているが、いずれも黄色い楕円の自主規制マーク「成年向けコミック」マークはつけていない。アスキー・メディアワークスが、マークをつけなかった理由はなんなのだろうか。 「今回のコミックスの内容は、不健全図書指定を受けるような水準ではないという判断をしてしまいました」 と、同社の担当者は話す。東京都が不健全図書指定の候補に挙げる判断をする基準として「擬音と体液の量」を重視していることは、同社も知っていたと話す。また、日本雑誌協会には角川グループパブリッシング(角川グループの各出版社の発売元)が加盟しており、規制問題に関する情報はきちんと入手しているという。  実のところ、今回の一件を同社の「ミス」と責めるのは酷である。というのも、この作品で扱われている描写は、かなり微妙なラインなのだ。成年向けマークつきの雑誌・単行本も含めて、昨今のエロ描写強めの作品に日常的に触れていると、この描写で指定を受けるか否か? あるいは、マークなしでも大丈夫か否かの判断は、迷うところだ。 「今後は、同様の指定を再度受けないような表現内容の基準を設けるなど対応したいと思います」 という同社担当者の言葉からは、大手出版社ならではの責任感が感じられる。  あくまで推測にすぎないが、もし描かれているのが成人女性だったら、指定を受けていたかは微妙なところである。やはり、指定候補の雑誌・単行本を買い集める都の職員、審議会のメンバー構成を考えると、ロリ表現は、悪い意味で下駄を履かされる面が否めない。  また、この作品の場合は冒頭で触れた書店のPOPのように、平積みされて非常に目立っていたことも、指定候補に挙げられた理由ではないかと考えられる。指定候補の雑誌・単行本は、都の職員が実店舗を回って購入するスタイルだ。この作品は、良くも悪くも目立ったがために、指定に至ったとも見ることができる。今年は創立20周年を迎え、長く日本のオタク文化を牽引してきた同社には、今回のことで萎縮することなく、読者を驚かせる表現を追求してほしいものだ。 ■不健全図書指定後も区分陳列しない書店が  一方で『ぽちとご主人様』は、予想を超えたあり得ない問題を引き起こしていた。それは、多くの書店で不健全図書に指定された後も、必要な対応が取られていなかったことだ。  『ぽちとご主人様』が不健全図書指定された審議会が開催されたのは、9月10日。翌11日には報道発表がなされ、14日には都からの通達も行われた。  不健全図書指定された場合、指定を受けた雑誌・単行本を店頭で販売する際に書店は、包装した上で18禁コーナーに区分陳列し、18歳未満には売らない措置を取らなければならない。  ところが、9月26日に秋葉原の書店をめぐってみたところ、なおも全年齢向けの書棚に、ほかの「電撃ジャパンコミックス」レーベルの単行本と一緒に並べられていたので驚いた! 早速、本を手に取って、店員に「これは、18禁じゃないのか?」と聞いたところ、きょとんとしながら 「いえ、一応大丈夫です」 と、返された。一体、何が大丈夫なのだろうか? もしや、石原都政に対する新たな挑戦なのかと、この書店に取材してみたところ、驚きの回答が返ってきた。  東京都では9月14日に郵送で通知をしたというのだが、この書店では 「当社及び秋葉原店を含めた当社各店舗への東京都からの通知の到達が確認できておらず、現在、事実関係につき調査中です」 というのだ。  早速、前出の都青少年課の佐藤課長に再度問い合わせてみたところ、 「正直、100%すべての書店に通知を発送できてはいないと思います」 と、これまた驚きの答えが。佐藤課長は続ける。 「東京都でも電話帳などで確認して随時更新をしておりますが、書店は登録制の事業ではないため、若干反映しきれていないところもあります。書店組合などに加盟していれば、そういった団体を通じて別途、通達が行っていると思うのですが……」  てっきり「届いてないハズがない」と反論されるかと思いきや、予想外の自信のない回答だった。だが、この書店は別件で取材した際に、東京都からも立ち入り調査を受けて「ちゃんと年齢区分していて問題がない」と太鼓判を押されたこともあると話していたのだが……真相は藪の中である。  ただこの書店も、当惑しつつも 「直ちに全年齢向けコーナーでの陳列を中止し、条例に適した陳列・販売方法への変更を行っていきます。また、現時点では、18歳未満のお客様がご購入された事実は確認できておりません」 と、対応は真摯であったことを、付け加えておきたい。  不健全図書指定が決まった後の運用に、若干の漏れがあることが明らかになってしまった今回の一件。全体を総括する中で見えてくるのは、表現が多様化する中で18禁と全年齢を区分するだけの、自主規制ができなくなってきていることだ。そろそろ、本気で15禁の導入など、あくまで自主規制としてレーティングを細分化する必要性が出てきているのではなかろうか。インターネットも普及し、いつでもどこでもエロを手に入れることができるようになった昨今、ちょっとは少年少女にも、エロを手に入れる苦労とドキドキ感を味合わせたほうがよい。 (取材・文=昼間たかし)

“規制国家ニッポン”の根っこを見据える『踊ってはいけない国、日本』

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『踊ってはいけない国、日本
風営法問題と過剰規制される社会』
(河出書房新社)
 世界中のどこにでもあるような、とある国の物語。ある日、その国で「茶色以外のペットは飼わないことを奨励する」という奇妙な法律が制定される。茶色の犬や猫のほうがより健康で都市生活にもなじむ、というのがその理由だ。毛の色が茶色じゃない犬と猫を飼っていた主人公とその友人は、違和感を覚えたり、自分のペットを安楽死させなきゃいけないことに胸を痛めたりしながらも、「まあ、しょうがないか」と、そのことを受け入れる。  それからも、いろんな言葉に「茶色の」という形容詞が自主的につけられるようになったり、新聞が発行停止になったり、少しずつ日常は変わり続けていく。「なんだか嫌だな」とか「心配しすぎかな」とか「でもそれで守られた安心も悪くないかな」とか、いろんなことを思いながらも、主人公とその友人は変わらない平穏な毎日を過ごし続ける。しかし、ある日突然、主人公は「過去に茶色以外のペットを飼ったことのある人」も自警団による取り締まりの対象になったことを知らされる。そして次の日の朝、彼は自宅のドアを強くノックする音で目が覚める――。  これは、心理学者フランク・パブロフの著による『茶色の朝』のあらすじ。ファシズムや全体主義を批判する寓話として1998年にフランスで刊行されたこの本は、排外主義を唱える極右政党が大きく躍進した2002年のヨーロッパの社会状況を背景に、03年、フランスでベストセラーを記録した。この『茶色の朝』と、ここで取り上げる『踊ってはいけない国、日本 風営法問題と過剰規制される社会』(河出書房新社)の内容とは、直接的な関連はまったくない。けれど、この一冊に寄せられたさまざまな論考を読んでいると、まるでデジャヴュのように『茶色の朝』の風景が頭をよぎる。「何かおかしなことが起こっている」ということには、実は多くの人が最初から気付いている。そういう人は、違和感や嫌悪感もちゃんと持っている。でも、日々の仕事もあるし、自分が直接的に関係することでもないし、決まったことを覆すのは覚悟がいるし、何よりきちんと問題にコミットするには労力がかかるし。そういうわけで、ほとんどの人が「まあ、しょうがないか」とそれを放っておく。そうしているうちに、「何かおかしなこと」=社会から異質なものを排除しようとする動きは徐々に拡大していく。それが、10年前のヨーロッパで、そして今の日本で起こっていることだ。 『踊ってはいけない国』は、その名の通り、昨年の大阪・アメリカ村のクラブ一斉摘発を発端とした「風営法によるクラブシーンの取り締まり激化」を中核のテーマに緊急出版された一冊だ。音楽ライターの磯部涼氏が編著を務め、m-floの☆Taku、津田大介、坂口恭平、開沼博、松沢呉一、宮台真司×モーリー・ロバートソン(対談)など、幅広いフィールドの論者が寄稿し、登場している。なので、実際のところ、クラブシーンと風営法の問題だけを取り扱った一冊というよりも、それが象徴する「規制が過剰に拡大する社会で、今、何が起こっているのか」ということを俯瞰するような本になっている。  そのキーワードとなるのが「グレーゾーン」。実は、現在営業しているほとんどのクラブは、いわば脱法行為によって成立している。85年に改正された風営法は「深夜1時以降にダンスフロアで客を踊らせること」を規制している。だから、ほとんどの店は「踊らせる」のではなく「音楽を聴かせる」という体裁で営業許可を取っていて、警察も半ばそれを黙認してきたというのが実情だ。しかし、今になって「無許可で客を踊らせている」と、そのことを理由に大々的に摘発されるようになった。つまり、かつてはグレーゾーンの中で許されてきたものが、もはや許されなくなってきているというのが、ことの本質なのである。  そして、そういう「グレーゾーンの消滅」はクラブシーンや音楽だけの問題ではない。繁華街の浄化作戦、違法ダウンロード刑罰化、脱法レバ刺しまで、さまざまな場面で立ち現れている。それが本書の主張の骨子だ。  本書に登場する論者たちによって繰り返し指摘されているのは、そういった規制は決して「上から押し付けられる」ものではない、ということ。規制への欲望は、むしろ宮台真司が「新市民」と呼ぶような、一人一人の市民が持っている。彼らの持つ「何か起きたら怖いから行政が責任とってくれよ」というクレーマー的な不安や依存の集積が、その欲望を駆動している。だから、取り締まりに遭ったクラブの客がただ「警察の横暴だ!」と叫んでみたところで、問題は何ら解決しない。  では、どうしたらいいのか? 本書に挙げられている対処策は、実のところは、てんでバラバラだ。業界団体を作ってロビーイングをし、風営法の改正を求めて政治家に訴えるべきだと、編著者の磯部涼氏は主張する。実際、「Let's Dance」と銘打った法改正のための署名運動もスタートしている。クラブシーンを観光地化してマネタイズできる場所にするべきだという☆Taku氏の提言もある。リアリストの戦略も、ビジネスの提案もある。そして、そもそも風営法自体が憲法違反であるとする佐々木中氏や、「金本位制ホームパーティー」を夢想する坂口恭平氏のような、ラディカルな主張もある。  はっきり言って、一冊読んでも「こうすればいい」というクリアな回答はまったく浮かび上がってこない。それぞれの論者が示す指針のベクトルは、それぞれまったく別の方向を向いている。けれど実は、そういう雑多な多様性こそが、「規制でがんじがらめになっていく社会」への対処策を示唆しているともいえる。つまり、江戸アケミの言を借りるなら、「自分の踊り方で踊ればいいんだよ」ということだ。 「いや……そう言われても、別にクラブとか行かないし。クラブなんてなくなっても、踊れなくても、別に何も困らないです」  それでも、クラブカルチャーに興味がない人の中には、そんなふうに思う人も多いだろう。逆に、生計がかかっているクラブ関係者の中には「何も言わずにやり過ごしたほうが賢明だ」と声を上げず黙っている人も多いと、本書にはある。しかし、本書を読む限り、どうやら黙っていることが正解でもなさそうだ。  前述した通り、クラブだけではなく、社会のさまざまな場所で「排除の論理」は立ち現れている。ルールを増やし厳格化することで「何が起こるかわからない」という不安を打ち消そうとする動きが、あちらこちらで現前化している。それはどういうことか? いろいろな意味で、生活から「遊び」が奪われていく、ということである。そして、もしそれがつまらないと思うなら、「遊び」を取り戻すためには、既存のルールを読み替え、書き換えるたくさんのアイディアが必要だ。本書には、その種になる多くの考え方が示されている。 「一人一人が考えることが必要です」という結論は、紋切り型の思考停止の文句のようであまり好きじゃないけれど、クラブシーンの規制が象徴する「健全で清潔な社会」への志向がどういうものか、多くの人に考えてほしいと思う。少なくとも「なんだか嫌だな」「でも俺には関係ないな」「まあ、しょうがないな」と思って何もしないでいたら、ある日突然「茶色の朝」を迎えることになるかもしれないわけだから。 (文=柴那典)

iPhone 5からGoogleマップがなくなったワケと対処法

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iPhone 5でもGoogleマップが活用できる!?
 先月発売され、大ヒット中のiPhone 5。搭載されているiOS 6では、マップアプリが変更された。従来はGoogleマップだったのだが、Appleのオリジナルマップになったのだ。iPhone 5やiOS 6はすこぶる評判がいいのだが、マップアプリだけは大不評。地図データはすかすかだし、地名や駅名などが変な名称になっていたりと、Googleマップと比べると精度が大幅に劣っているのだ。日本でiPhoneを発売しているauとソフトバンクには苦情が殺到したようだが、これはApple側の問題だ。  アップルの開発者会議「WWDC 2012」でiPhone 5が発表された時のプレゼンを見ていたのだが、その時はGoogleマップのような画像ではなく、ベクタデータを使った新しいシステムのマップに進化したように聞こえた。3D表示や音声案内が可能なナビ機能など、Googleマップではできない機能を実現したように見えたのだ。
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iOS 6のマップアプリ(左)、モバイルGoogleマップ(右)で
JR五反田駅周辺を表示したところ。
 だが、現実は違った。あまりに新しいマップへの苦情が多いため、Appleの最高経営責任者(CEO)であるティム・クックは、ホームページ上に謝罪文を公開。しかも、「地図マピオン」や「地図 Yahoo!ロコ」などのアプリをダウンロードしたり、Googleマップのウェブサイトを利用することを推奨している。これは、Appleに限らず異例のことだ。  すると、気になるのはAppleがGoogleマップを外した理由だ。公式には一切発表されていないが、バックグラウンドを探ると状況が見えてくる。Appleの時価総額は6,230億ドル(約49兆5000億円)という莫大なものになった。当然、将来のことも考える。今はiPhoneが大ブレイクしているが、近いうちに飽和して頭打ちになることは間違いない。その時、ソフトやサービスで儲けていかなければならない。アプリや音楽の環境はがっちり固めたが、Googleのサービスを使っている限り、地図や動画(YouTube)からは一切収益が上がらないのが悩みどころ。いつかは自前でサービスを持ち、収益につながるようにする必要がある。そこで、3年ほど前からいくつもの地図関連企業を買収し、準備を進めてきた。  2011年初めに、GoogleはGoogle Maps APIの有料化を発表した。これは、Googleマップのデータを利用するアプリやサービスの提供者に課金するということ。そのため、Foursquareのような有名サービスはGoogleマップを使わなくなった。また、あるニュースサイトでは、AppleがGoogleマップの音声ナビ機能を求めたのに提供してもらえなかったことが原因、という報道もあった。
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モバイルGoogleマップのページをホーム画面に追加して、
アプリのように起動できる。
 Googleにとっても、iOSから外されるのにはなんの不満もない。iOSの標準機能として提供すると、Googleマップに広告を表示できないためだ。さらに、Googleマップが優れていることがわかれば、Androidスマートフォンへの強力な誘導にもなる。  これら、もろもろが重なって、不十分なマップへの強制移行が起きたと考えられる。とはいえ、ユーザーにとってはそんなことは関係ない。不便なマップを使い続けるわけにはいかない。そこで、iOS端末でGoogleマップを使う方法を紹介しよう。  まずは、モバイルGoogleマップ(http://m.google.co.jp/maps)を表示し、矢印アイコンをタップ。送信先の選択画面が開くので、「ホーム画面に追加」をタップしよう。アプリ名を「GoogleMap」にすれば、ホーム画面にGoogleマップのショートカットが作成される。これで、アプリのようにGoogleマップを利用できる。しかも、GoogleはモバイルGoogleマップでストリートビューを使えるようにすると発表。モバイルGoogleマップなら、PCで作成したマイマップ機能も利用できるというメリットもある。Appleのマップが改善されるか、GoogleマップのネイティブアプリがApp Storeに登場するまでは、この手でしのいでいただきたい。 (文=柳谷智宣)

秋の夜長にメカバトル! 期待の秋クールスタートのロボットアニメ

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テレビ東京『超速変形ジャイロゼッター』
 かっこいいロボットやメカの活躍が見たいんだ!  そんな少年の心を忘れないアニメファンのためのアニメが、2012年秋クールから続々とスタートする。  まずは、テレビ東京系列の夕方枠でスタートした『超速変形ジャイロゼッター』を挙げたい。ある日突然「君は選ばれたドライバーだから、これに乗りなさい」と言われた主人公・轟き駆流が、巨大な人型ロボットに変形する赤いスポーツカー「ジャイロゼッター・ライバード」を託され、悪者と戦う。  この上なくシンプルで分かりやすく、少年の心を滾らせるストーリーだが、これぞロボットアニメ。『ガンダム』シリーズや『マクロスF』でメカデザインを担当した石垣純哉による、マッシブなロボットのデザインもさることながら、さまざま自動車メーカーの協力で実現した「実在の自動車が変形する」というコンセプトもなかなかそそるものがある。そのロボットがPerfumeよろしくグリグリとダンスを踊るED映像も、一部のアニメファンの間で話題となっている。  もしかしたら、今期アニメにおけるダークホースといえるかもしれない。  アニメファンにとってのゴールデンタイム・深夜枠に目を向けると、『武装神姫』(TBSほか)がなかなかイイ感じだ。  コナミデジタルエンタテインメントが2006年より展開する「MMSフィギュア」と呼ばれる可動モデルに、メカニカルな武装を施した「武装神姫」シリーズを題材とした本作は、主人公の男子高校生・理人と4体の美少女武装神姫たちの生活や活躍を描く。イメージとしては『プラレス3四郎』の世界観でチャム・ファウがMS少女みたいな格好で戦う感じだろうか。違うか。失礼しました。  ……さて。この世界では、手のひらサイズの美少女フィギュアである武装神姫たちは量産され、ショップで売られていることが普通となっている。そのため、ヒロインたちはホビーの一種といえる。実際に彼女たちの間接や背中のビス穴などが描かれ、あくまで「フィギュア」として徹底的に描かれる。  その一方で、武装神姫たちは主人公に対する好意を寄せ、時には普通の女の子のように恥じらい、愛情を表現もする。これがまた、ペットのようにかわいらしいのだ。  これだけだと、また「フィギュア萌え族」だのなんだのとバッシングを受けそうだが、いざアクションシーンが始まると巨大でゴテゴテしたメカニックパーツが武装神姫たちの全身を覆い、3D映像を駆使したアクロバティックで非常にスピーディなバトルを繰り広げる。  本作の3D監督を担当するのは、『IS』や『創聖のアクエリオン』も手がけた井野元英二。その名前は知らずとも、仕事ぶりは作品を通して多くのアニメファンが知るところだろう。とにかく少年の心を燃え上がらせる「かっこいい」と「かわいい」。そして、思わず手元に置いておきたくなるようなヒロインたちのキャラクター設定など、心揺さぶられる要素がこれでもかと詰まっているのだ。  ちなみに、本作の主題歌や劇伴を手がけるのは織田哲郎だ。90年代、良質なアニメソングを多数生み出した彼のハイクオリティなサウンドにも注目したい。  そして10月11日より、アニメファン最大の注目タイトル『ROBOTICS;NOTES』(フジテレビ系)がスタートする。ゲーム版に続き、昨年テレビ版が放送され、来年には劇場版の公開が予定されているヒット作『STEINS;GATE』と世界観を同じくする「科学アドベンチャーシリーズ」最新作の本作にも、ロボットが登場する。本作ももともとはゲームが原作だが、アニメ作品としてロボットがどのような活躍を見せてくれるのか。放送が待ち遠しい限りだ。 (文=龍崎珠樹) ■バックナンバー 【第22回】『マブヤー』に続け! 沖縄発ご当地アニメ『はいたい七葉』が全国制覇を狙う!? 【第21回】まるで電波少年!? 『ココロコネクト』ドッキリ事件が業界を巻き込み大炎上中! 【第20回】新ジャンル? 「不憫萌え」の女王・高垣彩陽の演技が光る話題作『ソードアート・オンライン』 【第19回】「売りスレ」では計測不能!? アニメDVDの売り上げを陰で支えるレンタル市場 【第18回】「求められるのは声優ソングばかり……」表舞台を追われたアニソン歌手の現在 【第17回】美少女たちが追いつめられる姿にゾクゾク!? リアル系ロボットアニメ『トータル・イクリプス』 【第16回】夏アニメの穴馬!? “いわく付き”SNSゲームアニメ『探検ドリランド』に熱視線 【第15回】 キーワードはホモソーシャルな描写!? 今夏は「乙女ゲーム原作アニメ」が熱い! 【第14回】「まるで90年代の夕方6時枠アニメ!?」『モーレツ宇宙海賊』の大器晩成ぶり 【第13回】もはや“声優アイドルフェス”!? アニソン重鎮不在の「アニサマ2012」に不安の声 【第12回】「期待外れ?」「これぞ京アニ?」 賛否両論『氷菓』の本当の見どころ 【第11回】「燃え上がれ、俺の小宇宙よ!」前作ファンもニヤリ『聖闘士星矢Ω』 【第10回】「見たかったのはコレジャナイ!?」声優アイドルアニメ『夏色キセキ』に早くも黄色信号 【第9回】大コケの『機動戦士ガンダムAGE』を徹底検証! 求められる新たな「ガンダム像」とは? 【第8回】アニメ業界の新トレンド!? “分割2クール作品”急増の裏事情 【第7回】ついに世代交代!? 若手アイドル声優が続々歌手デビュー 【第6回】AKB48 vs 声優アイドルユニット アニメ界もついにアイドル戦国時代突入か!? 【第5回】一流アニメファンなら女児向け作品もチェックせよ!? 『スマイルプリキュア!』 【第4回】過激なピンク描写が男子の下半身を直撃!『アマガミSS+ plus』 【第3回】今クール話題の学園モノを徹底分析!『男子高校生の日常』『Another』 【第2回】ロボット好き必見! 洗練されたメカたちが大活躍『輪廻のラグランジェ』 【第1回】水樹奈々が歌いながらバトル!? 「戦うヒロイン」アニメに大注目!

セックス教団の合宿に潜入!?『「カルト宗教」取材したらこうだった』

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『「カルト宗教」取材したらこうだった』
(宝島社新書)
 1995年3月20日、地下鉄内でサリンが撒かれ、13人が死亡、6, 000人以上が負傷した、オウム真理教による地下鉄サリン事件。その莫大な被害者の数に加え、首都中心部での犯行だったため、地下鉄の利用者はもちろん、日本中の人々を大混乱に陥らせた。  あれから17年。昨年末には、特別手配中だった逃亡犯の平田信容疑者が自ら警視庁に出頭、今年6月には相次いで、同じく特別手配中だった菊地直子容疑者、高橋克也容疑者も逮捕された。これにより、地下鉄サリン事件はようやく一段落、あるいは、この事件が「ナゼ」起こったのか、を解明する兆しが見えてきた。  この事件が起こった当時、私はまだ小学生だった。テレビでは事件の報道が繰り返し、繰り返し流れ、死亡した遺族や後遺症が残る被害者らが、怒り、涙し、吼えていた。とんでもない事件が起こった。その事実を受け止めるのに、精一杯だった。  だが、そんな事件の残虐さとは別に、小学生たちの心を釘付けにしたのが、オウム真理教の信者たちの行動だった。ボクシングのヘッドギアのようなものを頭に装着し、修行する信者。「しょーこー、しょーこー、しょこしょこしょーこー、あーさーはーらー、しょーこー♪」と、無我夢中で歌う信者。  これらの映像に、子どもたちは一瞬で食いついた。「うわー、なにあれ」「大の大人がヤバイっしょー」とバカにしつつも、なんだか面白い。そんな理由から、深い考えもなく無邪気にアノ歌を歌い、中にはヘッドギア代わりに包帯を頭にかぶり、信者の真似をして一心不乱に歌い出す子もいて、みんなで爆笑していた記憶がある。  今回、紹介する『「カルト宗教」取材したらこうだった』(宝島社新書)は、カルト宗教が起こす事件の残虐性ではなく、どちらかというと、カルト宗教が、時として起こす「とんでもない行動」ぶりに注目。  著者は、ニュースサイト「やや日刊カルト新聞」の運営者で、カルト宗教を専門とするライターの藤倉善郎氏。本書では、14年以上にわたる体当たり取材に挑み続ける中での、カルト集団との交流、そして、闘いの結果がまとめられている。  中でも気合が入っているのが、週刊誌等でセックス教団と名づけられた「ラエリアン・ムーブメント」への潜入取材。5泊6日の合宿に参加している。  この宗教は、フランス人教祖ラエル氏が宇宙人と遭い、UFOに乗せてもらったと主張している団体で、宇宙人となんの関係があるのかはナゾだが、フリーセックスを提唱。そんなナゾの宗教の合宿では、教祖ラエル氏による“愛”のレクチャーが、日に何度も行われていた。 「もし今から10秒後に、10トンの隕石がここに落ちてくるとしたらどうしますか? 私だったら、ソフィー(妻の名前)とセックスをします。落ちていく飛行機の中で、いままでにないくらいのオーガズムを感じ、墜落の瞬間クライマックスに達する。しかし、隕石が落ちてくるここでは、セックスしている暇はない。6、5、4……。いい知らせです。安心してください。隕石はやってきません。人生について考えてもらうための想像です」 「愛とは感情ではありません。“Make Love”とは、“愛を作る”ことではありません。セックスすることです。“愛のあるセックスと愛のないセックス”という言い方があるが、両者を分ける必要などない。どちらもすばらしいのです」(本文より) などなど、内容はセックスに尽きる。  合宿では、初日にホテルで色つきの輪ゴムを渡され、黒「私は未成年者なので性行為はしない」、白「私は新たなセックス・パートナーを望まない」、ピンク「私は異性のセックス・パートナーを求めている」などの中から、希望のものをつける仕組みになっていた。  藤倉氏は、もちろん「私は異性のセックス・パートナーを求めている」を選択。その結果、彼の身に何が起きたか。それは、ぜひ自由に妄想していただきたい。  本書では、このセックス教団以外にも、“治療中”と称し、遺体をミイラ化させた「ライフスペース」、“スカラー波”なるものを恐れ、白装束であちこち動き回る「パナウェーブ研究所」など、かつて世間を騒がせたカルト宗教のその後を追っている。  また、“カルト宗教の面白さは危険の裏返し”と、カルト宗教に対する注意も促している。一般人からすると突飛な行動や言動を、彼らは正しいことだと信じているわけで、批判されれば攻撃もする。  世の中には一体どういう宗教があり、内部ではどんなことが行われているのか。それを知る、ひとつのきっかけになるかもしれない。 (文=上浦未来) ●ふじくら・よしろう 1974年、東京生まれ。北海道大学文学部中退。在学中から「北海道大学新聞会」で自己啓発セミナーを取材し、中退後、東京でフリーライターとしてカルト問題のほか、チベット問題やチェルノブイリ・福島第一両原発事故の現場を取材。ライター活動と並行して2009年からニュースサイト「やや日刊カルト新聞」(記者9名)を開設し、主筆として活動。特に幸福の科学をめぐるトラブルや、大学生を勧誘する各カルト集団に注目して記事を執筆している。 やや日刊カルト新聞 <http://dailycult.blogspot.jp/>

「食べていけるのはごく一握り」名ドラマーの悲報とベテラン音楽家の嘆き

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『究極のベスト! 憂歌団』
(ワーナーミュージック・ジャパン)
 1998年に解散したブルースバンド憂歌団のドラマー、島田和夫さんが2日未明に自宅前で死去したと報道された。自宅で「もう生きていけない」とのメモが発見されたとして、兵庫県警生田署は自殺の可能性を指摘している。 「憂歌団は関西ブルースシーンを代表するバンドで、島田さんも名ドラマーとして人気の高い方でした。解散後も多くのプロジェクトやコンサートに呼ばれて演奏するなど、同世代のバンドマンの中では群を抜いて活躍していた。仮に自殺であったとしても、音楽活動の行き詰まりが原因とは考えにくい。もしそうなら、中高年のバンドマンのほとんどは厳しい状態ということになる」(ライブハウス関係者)  島田さんの悲報は、同業者にも衝撃を与えている。多くの中高年のミュージシャンが置かれている経済的な苦境が連想されたからだ。有名バンドの元メンバーであっても、スタジオミュージシャンなどで“食べていける”のはごく一握り。そう語るのは、あるベテランギタリストである。 「今の音楽界ではスタジオミュージシャンのギャラの水準が下がり続けていて、一部の大御所を除けばアルバイト的な金額しか出ない。人気バンドの全国ツアーに帯同すると多少まとまった金額が出るが、その間は細かい仕事ができないから、次の仕事が来なくなるリスクもある。いちばん安定しているのは音楽スクールの講師だが、最近は大御所クラスまでやりたがっているから、なかなか席が空かない。音楽では食っていけないと見切りをつけ、まったく違う仕事に転職した仲間も多いね」  実際、一時代を築いた人気バンドのメンバーが、意外な職業に転じたケースは少なくない。建築業に転職した有名バンドRのベーシストや、バーテンダーとなった元カリスマシンガーSなどだ。 「アメリカでは、中高年向けのコンサート市場が充実しているため、ベテランのバンドマンも演奏活動をして食べていくことができます。日本でも、元アイドルグループなどはディナーショーや地方自治体主催のコンサートで稼ぐことができますが、ロックやポップス系はイベント出演などがメインで、ライブハウスでやっても集客は弱い。今後は中高年向けに配慮した、イス付きのライブ会場などの整備が求められるでしょう」(前出のライブハウス関係者)  いまやロックやポップスを聴いて育った世代も、50~60代に差し掛かっている。往年の名ミュージシャンを盛り立てるためにも、中規模コンサート会場の充実や、チケット販売の多様化が望まれる。 (文=島未知也)
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「なんだ、このヤロー!」予想のつかない劇的ラストを見逃すな!!『アウトレイジ ビヨンド』

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(C)2012『アウトレイジ ビヨンド』製作委員会
 「全員悪人」のキャッチコピーで注目を集め、大ヒットを記録した北野武監督・主演のバイオレンス映画『アウトレイジ』(10)。ヤクザ同士の壮絶な権力争いを描いた同作の続編が、10月6日公開の『アウトレイジ ビヨンド』(R15+指定)だ。  関東最大の暴力団組織・山王会は、5年前の熾烈な抗争を制し会長にのし上がった加藤(三浦友和)と、壊滅した大友組の生き残りで加藤に取り入った若頭の石原(加瀬亮)を中心に勢力を拡大。いまや国政にまで影響を及ぼすほどになり、警察は危機感を強めていた。警視庁“マル暴”の片岡(小日向文世)は、関西の巨大暴力団・花菱会に目をつけ、表面上は友好関係にある東西の組織を対立させようと画策。さらに片岡は、獄中死したと思われていた元組長の大友(ビートたけし)を仮出所させ、ヤクザ同士のつぶし合いを加速させる。  「度を超した怒り・狂気」(outrage)を強烈な残虐シーンで視覚的に表現した前作を受け、本作は一触即発の怒気を帯びた激しい言葉の応酬と、観客にじわじわと痛みを想像させる間接的な表現で「その先」(beyond)を描く。バイオレンスとエンタテインメントの融合という道を極める、北野監督流の“落とし前”がここにある。従来は善人役の多い三浦、小日向、西田敏行らも北野作品の中で見事にワルになり切っている点も見どころ。桐谷健太と新井浩文の若さ、高橋克典のクールさも男の色気を添える。  「全員悪人、完結。」がキャッチコピーの今作で、彼らが果たしてどんな結末を迎えるのか。あるいは、たけし扮する大友が復活したように、終わったと見せかけて次につながる伏線を張っているのか。予想のつかない劇的ラストを、ぜひ映画館で目撃していただきたい。 (文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉) 『アウトレイジ ビヨンド』作品情報 <http://eiga.com/movie/56609/>

「なんだ、このヤロー!」予想のつかない劇的ラストを見逃すな!!『アウトレイジ ビヨンド』

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(C)2012『アウトレイジ ビヨンド』製作委員会
 「全員悪人」のキャッチコピーで注目を集め、大ヒットを記録した北野武監督・主演のバイオレンス映画『アウトレイジ』(10)。ヤクザ同士の壮絶な権力争いを描いた同作の続編が、10月6日公開の『アウトレイジ ビヨンド』(R15+指定)だ。  関東最大の暴力団組織・山王会は、5年前の熾烈な抗争を制し会長にのし上がった加藤(三浦友和)と、壊滅した大友組の生き残りで加藤に取り入った若頭の石原(加瀬亮)を中心に勢力を拡大。いまや国政にまで影響を及ぼすほどになり、警察は危機感を強めていた。警視庁“マル暴”の片岡(小日向文世)は、関西の巨大暴力団・花菱会に目をつけ、表面上は友好関係にある東西の組織を対立させようと画策。さらに片岡は、獄中死したと思われていた元組長の大友(ビートたけし)を仮出所させ、ヤクザ同士のつぶし合いを加速させる。  「度を超した怒り・狂気」(outrage)を強烈な残虐シーンで視覚的に表現した前作を受け、本作は一触即発の怒気を帯びた激しい言葉の応酬と、観客にじわじわと痛みを想像させる間接的な表現で「その先」(beyond)を描く。バイオレンスとエンタテインメントの融合という道を極める、北野監督流の“落とし前”がここにある。従来は善人役の多い三浦、小日向、西田敏行らも北野作品の中で見事にワルになり切っている点も見どころ。桐谷健太と新井浩文の若さ、高橋克典のクールさも男の色気を添える。  「全員悪人、完結。」がキャッチコピーの今作で、彼らが果たしてどんな結末を迎えるのか。あるいは、たけし扮する大友が復活したように、終わったと見せかけて次につながる伏線を張っているのか。予想のつかない劇的ラストを、ぜひ映画館で目撃していただきたい。 (文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉) 『アウトレイジ ビヨンド』作品情報 <http://eiga.com/movie/56609/>