
(C)2012 The Land of Hope Film Partners
10月20日(土)より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー
コミック原作の『ヒミズ』(12)の脚本を震災後に大幅に書き換え、批判を恐れずがれきの荒野と化した被災地の映像を商業映画のシーンにいち早く取り入れた園子温監督。そんな園監督が描く「3.11後」の第2弾が、オリジナル脚本で10月20日公開の『希望の国』だ。
東日本大震災から数年後の20XX年、長島県。酪農家の小野泰彦(夏八木勲)は、認知症の妻・智恵子(大谷直子)と息子の洋一(村上淳)、その妻いずみ(神楽坂恵)と慎ましくも穏やかな日々を送っていた。だがある日、長島県をマグニチュード8.3の地震が襲い、再び深刻な原発事故が発生。原発から半径20キロ圏内が警戒区域に指定され、強制的に避難させられる中、道路ひとつ隔てただけで小野家は避難区域外に。国の事故対応を信用しない泰彦は、息子夫婦を説得して避難させ、自らは家に留まる。一方、避難先で妊娠がわかったいずみは、放射能への恐怖を募らせ、周囲から孤立していく。
園監督は、『冷たい熱帯魚』(11)、『恋の罪』(同)で際立っていたバイオレンスとエロスの表現を今作では封印し、福島の農家や避難先で生活する被災者らに取材した「言葉」を脚本に反映させていった。ジャンルとしてはフィクションだが、原発事故で家や土地を奪われた人々の無念さと悔しさ、子を持つ親が抱く放射能への恐怖と周囲の当惑といった真実が、ドキュメンタリー作品以上のリアルさを持って見る者の胸に突き刺さる。
20キロ圏の境界に杭を打ち黄色いテープを張っただけで、強制避難させるかどうかを区分けするという、杓子定規なお役所仕事をカリカチュアライズした場面もあり、不条理な状況に思わず苦笑させられるが、そんな国に私たちが今まさに住んでいることを痛感し、笑いを引きつらせるしかない。一方で、がれきに埋もれた町を一歩一歩と歩き続ける若いカップルや、雪原の上で踊る泰彦と智恵子など、悲しく美しいシーンも印象に残る。
映画を見終えて、『希望の国』というタイトルの意味を改めて想像する人も多いだろう。確かに、商業映画にありがちな分かりやすい「希望」は、本作には用意されていない。だが、今まで隠されていた、あるいは無意識のうちに私たちが見過ごしてきたさまざまなこの国の問題が、原発事故によって明らかになってきたという一面もある。パンドラの箱を開けたら諸悪が飛び出し、その後に希望だけが残ったというギリシャ神話のように、きっとこの国には、あるいは私たちの心の中には、「希望」が確かに残っていると思いたい。
(文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉)
『希望の国』作品情報
<http://eiga.com/movie/57744/>
投稿者「kitamura」のアーカイブ
「声優の取り分は7~8割」あまりの儲からなさに、悲鳴を上げる声優事務所が続出中!

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声優人気なんて幻想に過ぎない!? オタク文化の一ジャンルとして定着した声優。男女共に、多くのアイドル声優が人気を博しているのはよく知られている。まったく売れない音楽CDの世界で、声優の音楽CDや、キャラソンは唯一「好調」なジャンルといってよいだろう。
しかし、一部のアイドル化した声優を除けば、声優は“寒い商売”だということを知る者は少ない。もはや声優事務所は、ビジネスモデルとして崩壊しかかっているのだ。
「声優事務所は、基本的に所属している声優の出演料だけでは儲からないシステムになっています。売り上げの取り分が8:2、あるいは7:3に設定されているためです」(声優事務所のマネジャー)
取り分を聞いて、随分と儲かっているんじゃないかと思ったら、なんと少ない数字のほうが事務所なのだ。つまり、ギャラが1万円だとすると、事務所に入ってくる金額は2,000~3,000円に過ぎない。一般芸能の場合、近年では5:5にしているところが大半といわれており、これはかなり声優に有利な取り分の設定といえる。
声優業界では、日本俳優連合(日俳連)制度が使われるのが一般的で、声優のギャラの設定はランク制となっている。ランク制とは出演料の規定のことで、年1回更新され、キャリアを積み重ねたり、人気を得ることで最低出演料がアップしていくシステムだ。この制度の下では、役柄やセリフの数によらず、規定の出演料が支払われる。
かつて一般芸能でもランク制は存在していたのだが、いつの間にか消滅してしまった。この制度では、キャリアを積めばギャラはアップしていくため、声優にとっては有利なシステムに思えるが、現在、この制度が声優自身の首を絞めることになっているという。
「キャリアを積めばランクが上がり、出演料がアップします。ところが、キャリアがあっても名が売れていなければ、ギャラが安くて済む若い子に仕事が回ってしまうんです」(同)
結局、声優という職業を長く続けていこうと思ったら、アイドル化するしかない。アイドル化すれば、CDや写真集など多方面で活躍でき、キャリアが長くなっても仕事が途切れることはない。ただ、CDや写真集にはさまざまな企業が絡むわけだから、やっぱり事務所に入ってくる金額が大きくはならない。
「ここまで営業利益の少ない業種もほかにないでしょう。事務所の取り分からマネジャーなどの人件費はもちろん、宣伝費等々も捻出しなければならないのですから、今でも経営が回っていること自体がおかしいと思いますよ。単純に考えると、営業をして売り上げを増やすのがよいのでしょうが、マネジャーを増員するわけにもいかないから、限界があります」(同)
この悪循環から脱出する方法があるとすれば、ギャラから声優の取り分を設定する方式をやめて、給料制に移行することだ。給料制ならば、会社も利益を確保することができ、結果的に営業力も強くなる。しかし、ある程度売れている声優からしてみれば、取り分が減ることになるためか、まだ給料制は主流にはなり得ていない。
さらに考えられるべき手段は、CDや写真集といったアイドル売りの展開を、事務所が自前で切り盛りすることだ。これまで、声優事務所は本業の部分以外は、レコード会社など、別の企業に頼る感じで展開してきた。もはや、本業では収益を上げることができなくなった現在、発想の転換が求められているのは間違いない。ただ、自前ですべてを回せるほどの力量を持つ事務所は少ない。もう、声優事務所も淘汰の流れに入っているのだろうか? 合掌。
(取材・文=三途川昇天)
韓国アーティストPSYの“ランキング騒動”に見る「YouTube○○回再生!」広告手法の不確かな未来

動画投稿サイトYouTubeでの再生回数が間もなく5億回を超えようかという韓国人アーティスト・PSYの「江南スタイル」に異変が起こっている。16日、前週まで当然のようにトップを走っていたYouTube内の音楽チャートで、突然ランキングから消滅。ところが、翌17日には早くもトップに返り咲き、それどころか別バージョンの「江南スタイル」オフィシャル動画が3位、72位、78位にランキングされるなど、不可解な動きを見せているのだ。
「ネット上の一部の掲示板などでは、従来から『江南スタイル』の異常な再生回数は“水増し”ではないかと言われてきました。それに加えて、YouTubeを運営するGoogleが、ランキング表示の仕組みを変更し、単純なクリック回数より視聴時間を重視する方針を12日付の開発者向けブログで打ち出していた。そんなこともあって、各媒体とも“YouTubeが『江南スタイル』を追い出した”というニュアンスでの報道でした」(ネットに詳しい編集者)
確かに16日のランキングでは「江南スタイル」以外の上位に目立った変動はなく、PSYだけが圏外に消えており、そうした憶測に拍車をかけた部分はあった。
「17日の返り咲きについても、ネット上では様々な憶測が飛び交っています。PSY側が対策ツールを新たに作ったか、あるいはYouTube側がなんらかの仕様変更を行ったか……いずれにしろ、ランキングを巡るイタチゴッコは続いていくのかもしれません」(同編集者)
また、こうした動きに注目しているのは、韓流ばかりではない。日本国内の広告業界も今回の騒動には注目しているのだという。
「ネット上ではPSYのランキング消滅ばかりが取り沙汰されていますが、日本国内でもさまざまなアーティストや業者が、この『YouTube○○回再生!』広告手法を利用しています。新興のネットコンサルの中には『YouTubeの再生回数を稼ぐ』という行為そのものを、商品として売っている業者も少なくない。今回の騒ぎが大きくなれば、ユーザーには“YouTubeの再生回数”という宣伝文句そのものに不信感が植えつけられることになります。おのずと、そのアーティストや商品の魅力そのもので勝負せざるを得なくなっていくでしょうね」(広告代理店関係者)
なお、今回のGoogleの施策によって、誰でも無料で気軽に使えるYouTubeの便利さはまったく損なわれておらず、通常の利用者にはほとんど影響のない変更のようだ。
“無意識の湖”に身を投じたユングと女性患者の行方──クローネンバーグの恋愛サスペンス『危険なメソッド』

デヴィッド・クローネンバーグ監督の最新作『危険なメソッド』。
同名舞台の映画化。東海テレビの昼ドラもびっくりな、怒濤のメロドラマが繰り広げられる。
フロイトとユングといえば精神分析学を語る上で欠かせない2大ビッグネームだが、その2人に多大な影響を与えたひとりの女性がいた。その女性から刺激を受けたことで、フロイトは“タナトス概念”を、ユングは『アニムス・アニマ論』を生み出したと言われている。ただし、その女性はスキャンダラスな存在だったため、歴史から名前が抹消されてしまった。その女性とはロシア系ユダヤ人のザビーナ・シュピールライン(1885〜1942年)。18歳のときに精神患者として、精神科医になりたてだったユングと出会い、症状の回復と共にユングと愛人関係になった。既婚者だったユングは医学界でこのスキャンダルが発覚することを恐れ、一方的に別れを告げる。その後、ザビーナ自身も精神科医となり、ユングの師匠であったフロイトに招かれて精神分析学協会に参加するようになる。フロイトとユングとザビーナは、まるでビリヤードの球のようにお互いを衝き合った。20世紀初頭のヨーロッパで、奇妙な三角関係を描きながら転がり続けた。『スキャナーズ』(81)、『ザ・フライ』(86)から『イースタン・プロミス』(07)に至るまで一貫して人間が変化、変容する様を描いてきたデヴィッド・クローネンバーグ監督が、男と女の心変わり、師と弟子との立ち場の移ろいをケレン味に走らずにしっとりと描いている。
時代は1904年。日本がちょうど帝政ロシアとの日露戦争に突入した頃だ。スイス・チューリヒの大学病院に、18歳の少女ザビーナ(キーラ・ナイトレイ)が運び込まれてくる。裕福なロシア系ユダヤ人の家庭で育ったザビーナは、思春期からずっと精神を患っており、ロシアからはるばるスイスまで最新の治療を求めてきたのだ。エリート精神科医のユング(マイケル・フェスベンダー)にとっては初めての患者。フロイトが提唱したばかりの“談話療法”をザビーナに試してみる。どうやらザビーナは幼少期の体験が原因で、トラウマを抱え込んでいるらしい。ある日、ユングはザビーナを森への散歩に誘うが、ユングがザビーナのコートに付いた土ぼこりをステッキで叩き払おうとすると彼女は表情を一変させる。ステッキがコートを叩く音を耳にしただけで、ザビーナの乳首はキィーンッと硬くなるのだった。ザビーナは幼い頃に厳格な父親から折檻された際に、屈辱と同時に快感を覚えたことを告白する。心を丸裸にされたザビーナはユングのことをすっかり信頼し、またユングは観察力の鋭いザビーナに自分の研究を手伝わせるようになる。すべては治療の一環だった。症状が回復へと向かったザビーナは、ユングが教壇に立つチューリヒ大学医学部に入学。医者と患者という立ち場を離れ、非常に親密な関係となっていく。

師弟関係にあったフロイト(ヴィゴ・モーテンセン)と
ユング(マイケル・ファスベンダー)だが、ユングは神秘主義、錬金術へ傾倒する。
その一方、ユングはそれまで手紙でやりとりをしていたフロイト(ヴィゴ・モーテンセン)に対面し、フロイトから「自分の後継者だ」と呼ばれるほどの寵愛を受ける。ユダヤ人で無宗教だったフロイトは医学界で極めて異端な存在で、チューリヒ大学に勤めるスイス人のユングが自分の学説を支持してくれていることは政治的に大きな意味があったのだ。エマ(サラ・ガドン)という愛妻がいながら、破滅になりかねないユダヤ人患者との不倫愛に走るユングを、フロイトはなだめようとする。しかし、フロイトとユングの蜜月期間もそう長くは続かなかった。ユングは次第に“超心理”への関心を深めていき、“超心理”を否定するフロイトとの間に大きな溝が生じていく。ユングとザビーナの男女の関係が、フロイトとユングの師弟関係が、それぞれの家庭環境、学界の事情、そして自我の増長によって揺れ動き、バランスを失っていく。
ヴィゴ・モーテンセンはクローネンバーグの世界を体現化する重要な俳優だ。『ヒストリー・オブ・バイオレンス』(05)ではヴィゴ演じる父親の過去を知った家族の意識が変容していった。『イースタン・プロミス』では裏社会で暮らしていく中でロシアン・マフィアと同化していく。本作ではヴィゴ扮するフロイトが創り出した“精神分析”の世界で、愛憎の物語が展開される。その当事者であるユングとザビーナが男と女の関係へと踏み出す際のトリガーの役目を果たすのは、『イースタン・プロミス』にも出ていた個性派俳優ヴァンサン・カッセル。カッセル演じるグロスも優秀で野心的な精神科医だが、薬物に溺れてしまって自分が治療を受ける側になってしまった。ユングはグロスにも談話療法を試みるが、グロスは一夫一妻制を否定する快楽主義者。「患者と寝たことはあるか?」「快楽を拒むな」「衝動に降伏しろ」とグロスは囁く。言葉の毒がユングを蝕む。もうユングは心の奥底から欲望が突き上げてくるのを抑えることができない。ユングがザビーナの下宿先へと向かうと、彼女はユングがドアをノックするのをずっと待っていた。父親と同じようにユングにぶたれたザビーナは歓喜に悶え、乳首をカチンカチンに硬くする。2人は医者と患者、先生と教え子という束縛を棄てて、快楽という名の湖へと身を投じる。

感受性が豊かなザビーナ(キーラ・ナイトレイ)。
人を愛することは相手を傷つけ、また自分自身も傷つくことを思い知る。
劇中、ユングは何度もボートに乗る。将来を約束されたエリートで、幸福な家庭にも恵まれたユングだが、無意識という広大な湖の上でゆらゆらと揺れるちっぽけな自我でしかない。精神分析医だが、自分自身は分析できない。彼にできたことはザビーナに対し「君には治療費を請求しなかったよ」という別れの台詞を吐いて、彼女を逆上させたことぐらい。妻エマと離婚することはなかったが、また別の女性患者を愛人にしてしまう。ユングと別れて精神科医となったザビーナは、自分自身の気が狂いそうになる実体験を基に“破壊衝動論”へと辿り着く。人間には自己破壊の本能があること、死の衝動によって生の欲望を得るということ、そしてエロスとタナトスは裏表一体の関係であることにザビーナは突き当たる。ユングとフロイトはザビーナの学説に大きな影響を受けるが、フロイトは自著の欄外に小さくザビーナの名前を触れただけにとどめ、ユングはまったくザビーナの存在には言及していない。
これまでのクローネンバーグ作品にはグロテスクさに満ちたバイオレンスシーンが盛り込まれてきたが、『危険なメソッド』では冷静さを装った常識人の残酷さがザビーナをズタズタに打ちのめす。そして、その残酷なオノを振り上げたユングたちも、その返り血を浴びることになる。どうやら、超能力集団スキャナーズや物質移転装置が生み出したハエ男よりも、無意識と自我のはざまで揺れ動く人間の心理がいちばん厄介な存在らしい。その後、ザビーナもユングもフロイトも、第二次世界大戦という世界中がうなされた国家・民族レベルでの巨大な破壊衝動に飲み込まれていく。とりわけザビーナの末路はあまりにも悲劇的すぎる。鬼才クローネンバーグでさえ、彼女の過酷な運命を描き切ることはできなかったようだ。
(文=長野辰次)

『危険なメソッド』
原作/ジョン・カー 脚本/クリストファー・ハンプソン 監督/デヴィッド・クローネンバーグ 出演/キーラ・ナイトレイ、ヴィゴ・モーテンセン、マイケル・ファスベンダー、ヴァンサン・カッセル、サラ・ガドン 配給/ブロードメディア・スタジオ PG12 10月27日(土)よりTOHOシネマズシャンテ、Bunkamuraル・シネマほか全国ロードショー
(c)2011 Lago Film GmbH Talking Cure Productions Limited RPC Danger Ltd Elbe Film GmbH. All Rights Reserved.
<http://dangerousmethod-movie.com>
●深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】INDEX
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[第183回]“校内格差社会”に出現した異分子(ゾンビ)たち! 青春のカタルシス『桐島、部活やめるってよ』
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[第173回]“三島割腹事件”を若松孝二監督が映画化!『11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち』
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[第170回] 世界興収100億突破のSF大作『ロボット』はあらゆる既成概念を破壊する!!
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[第102回]園子温の劇薬ムービー『冷たい熱帯魚』"救いのない結末"という名の救い
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[第93回]朝ドラと異なる映画『ゲゲゲの女房』ゴールなき"貧乏耐久"2人3脚走
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[第90回]"世界のナベアツ"大阪府知事に就任! 政治コメディ『さらば愛しの大統領』
[第89回]自分の恋愛もプロデュースする女優、ドリュー・バリモア主演『遠距離恋愛』
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[第87回]元"おはガール"安藤聖の再起動ドラマ 就職氷河期を生きる『バカがウラヤマシイ』
[第86回]マイノリティーは"理想郷"を目指す。筒井文学の金字塔『七瀬ふたたび』
[第85回]清純派・佐藤寛子が美しく"変態"! 官能サスペンス『ヌードの夜──』
[第84回]死を意識して、ギラギラ輝く男たち! 三池節、大バクハツ『十三人の刺客』
[第83回] 女を食い物にする男どもは全員処刑! モダン社会の闇を暴く『ミレニアム』
[第82回] "企画AV女優"たちの青春残酷物語 性なる鎮魂劇『名前のない女たち』
[第81回]猫を見れば、人間社会が見えてくる! 世界の人気猫大集合『ネコを探して』
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[第79回]米軍に実在した"超能力部隊"の真実!? ムー民、必見『ヤギと男と男と壁と』
[第78回]戦場から帰還した夫は"芋虫男"だった! ヤクザ監督の反戦映画『キャタピラー』
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[第75回] "生きる"とは"見苦しい"ということ 藤沢周平の時代活劇『必死剣 鳥刺し』
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[第1回]堤幸彦版『20世紀少年』に漂うフェイクならではの哀愁と美学
コンシューマーゲーム信仰と嫌儲思考がゲーム業界を滅ぼす!?

大ヒットとなったソーシャルゲーム
『怪盗ロワイヤル』。
ソーシャルゲームの勢いが止まらない。9月に開催された、毎年恒例の世界最大規模のゲーム見本市「東京ゲームショウ2012」は、出展社数209社、来場者数22万3,753人と、過去最多となった。華やかな数字が喧伝される一方で、ゲーム業界の先行きは不透明だ。その中で、一際目立つのがソーシャルゲームである。今回のゲームショウでは、出展の7割がソーシャルゲーム関連で占められるまでになった。
もはや、ゲーム業界の主流となった感もあるソーシャルゲーム。現在のところ、ほとんどのゲームがカードバトルのスタイルで運営されている。今後、ほかのジャンルへの展開や技術革新が進めば「バブル」と呼ばれる状況から、安定成長へと転換することができるだろう。しかし、そこに至るには、まだ大きな壁が立ちはだかっている。コンシューマーゲームへの篤い信仰と、ユーザーと開発者の双方が持つ「嫌儲」の意識が、それだ。
月々の稼ぎの中で、娯楽に費やせる金額が減少している中で、コンシューマーゲームの参入障壁は高くなっている。ファミコン時代のような「ゲーム機ならば、これが主流である」という状況がなくなり、据置型ゲーム機から携帯ゲーム機まで、さまざまなものが乱立している。限られた小遣いの中で、多くのゲームを購入して楽しむことは困難だ。それに、長い時間を費やして遊ぶスタイルも、もはやコアなユーザーを除いては敬遠されるようになった。誰もが持っている携帯電話で手軽に遊ぶことができるソーシャルゲームの普及は、社会状況を考えれば自明の理といえる。ソーシャルゲームは、これまでとは違うユーザー層、あるいは、極めてライトなユーザー層を取り込むことに成功しているのだ。
ところが、既存のゲームユーザーの中には、いまだにコンシューマーゲームへの「信仰」が根強い。そして開発の現場でも、それは同じく信じられている。大手開発会社のゲームプロデューサーは語る。
「新入社員にコンシューマーゲームとソーシャルゲームと、どちらに行きたいかを聞くと、ほぼ間違いなくコンシューマーゲームを選びます。やはり、コンシューマーゲームがゲーム業界の頂点であるという意識は根強いです」
ゲームユーザーのコンシューマー信仰を最も如実に表しているのは、既存のゲーム情報誌だ。例えば、もっとも権威のあるゲーム情報誌「週刊ファミ通」(エンターブレイン)で、ソーシャルゲームが扱われることはほとんどない。増刊枠でソーシャルゲーム専門誌は発行されているものの、本誌やオフィシャルサイトでソーシャルゲームが扱われることはほぼないのが実情だ。普段目にすることのできるゲーム情報誌やサイトで何かとスポットを浴びることができるコンシューマーゲームに対して、ソーシャルゲームは日陰者のような扱いなのだから、あえて選択する者が限られるのはよくわかる。だが、もはやコンシューマーゲームに身を投じてもスポットライトを浴びることができるとは限らない。
「ソーシャルゲームが『メタルギアソリッド』シリーズよりも売り上げが高かったとしても、小島秀夫監督のようにスタッフの名前が出ることはめったにありません。片やコンシューマーゲームは、1タイトル当たりの売り上げが落ちているにもかかわらず賞賛されています。その構図は、文芸の世界のように見えますね。さほど売れなくても“大先生”と呼ばれるような業界で、若い才能が生まれるはずはありません」(同)
このことは、名の知れているコンシューマーゲームのゲームクリエイターを考えてみれば、おのずと理解できる。いまや大御所クラスといえる小島秀夫氏、名越稔洋氏、宮本茂氏、野村哲也氏くらいは、ある程度以上のコンシューマーゲームのユーザーなら、すぐに出てくるだろう。しかし、5年前に名の知れているコンシューマーゲームのクリエイターとして名前を挙げられたのも彼らのハズ。となると、5年後もそうだろう。もはや、新たな才能が生まれることはなく、大御所クラスがいつまでも「大先生」として君臨しているのがコンシューマーゲーム業界の一側面なのだ。新陳代謝のない業界に先があるとは思えない。
「現在のゲームメディアは、既存のコンシューマーゲーム業界を支えるための“御用マスコミ”でしかありません。そして、そうしたメディアだけで支えることができるくらいの市場規模しかないんです。もし、業界に革新を起こすとしたら『週刊ファミ通』が“偉い人を使うのをやめる”くらいしないとダメなんじゃないでしょうか」(同)
結局、既存のファンが限られた情報だけしか掲載しないメディアを通じて情報を得て、ゲームを購入することで成り立っているコンシューマー業界。それは、縮小再生産でしかないのだ。
コンシューマーゲームへの信仰心と並んで、ソーシャルゲームの成長を阻むのが「嫌儲」の感覚だ。
「MMOを制作する時、多くのクリエイターはアイテム課金ではなく月額課金にしたがります。企業としての利益はアイテム課金のほうがずっと増えるにもかかわらず、です。クリエイター、ユーザーであるかにかかわらず、世の中全体に金を取ることや、不公平なことへの拒否感が増加していると思います。そうした中で、ソーシャルゲームは“お金の取り方が汚い”という批判をされます。でも、それは単なるエゴなんじゃないでしょうか」
と、別の大手開発会社の社員は話す。この人物は、ソーシャルゲームはむしろ公平なゲームであると主張する。
「ソーシャルゲームは、むしろ公平だと思います。課金しなくても、時間をかければ(カードバトルの場合だと)レアカードはちゃんと入手できます。逆に時間がなければ、課金すれば短時間で強いカードを手に入れることもできます。時間か金かどちらを費やすか選択肢があるのですから、従来のゲームよりも公平だとは思いませんか?」
どうもゲームユーザーたちの間では、金を儲けることへの嫌悪感、さらにむやみやたらと公平感を求めている人ばかりが「声が大きい」ようだ。そんなものを気にしていては、ちゃんと企業が潤うゲームを開発するなんて不可能だ。『ドラゴンクエストX』は、元気玉システムの導入に見られるように、公平感に配慮しているが、それでも問題が発生している。もう「ソーシャルゲームが嫌い」「課金が嫌い」「強いヤツがいるのが不公平」「俺がカネを払っているのに、儲けているヤツがいるのは許せん」みたいな思考の人々を、相手にしていられない。
「東京ゲームショウ2012」出展社数が過去最多となった一方で、出展を見送り注目されたのがマイクロソフトと任天堂だ。特に、マイクロソフトが出展を見送ったことは、日本のゲーム業界が世界市場から見限られつつあることを如実に示した。
「マイクロソフトが出展しなかった理由は明白です。同社が最も推しているのはKinectなのですが、海外では好評を得ているにもかかわらず、日本ではあまり売れていません。同社はもう、日本市場を切り捨てたと考えてよいでしょう」
と、海外事情に詳しい業界関係者は話す。
コンシューマーゲームが勢いを失い、海外市場からも見離される状況で、唯一、可能性があるのがソーシャルゲーム業界なのは間違いない。ほとんどすべてがカードバトルで占められている現状は大いに問題があるとしても、ユーザーの参入障壁の低いソーシャルゲーム、あるいはブラウザゲームがゲームの主流になっていくのは間違いない。だが、ゲーム業界内外のさまざまな動きが成長を阻害している。
(取材・文=昼間たかし)
「AKB岩佐か、臼澤みさきか」芸能界の重鎮たちの思惑渦巻く『レコ大』新人賞の行方

「無人駅」(徳間ジャパンコミュニケーションズ)
芸能取材歴30年以上、タブー知らずのベテランジャーナリストが、縦横無尽に話題の芸能トピックの「裏側」を語り尽くす!
今年5月2日にハワイのゴルフ場で不慮の事故死を遂げた“演歌界のドン”と呼ばれる「長良プロダクション」の故・長良じゅん会長。同会長の遺志を継いで、芸能界の重鎮たちが、AKB48初の演歌歌手・岩佐美咲に今年の日本レコード大賞の新人賞を獲得させるべく、全面的なバックアップ体制に入ったことは以前伝えた(※記事参照)。
だがその後、岩佐は“AKB48での活動歴があるために、新人賞には該当しない”と、レコ大運営サイドが結論付けたことが判明。しかし、筆者はこの決定には納得がいかない。
岩佐は、そもそもAKB48のメンバーが多数所属する「プロダクション尾木」に所属していたが、「本格的に演歌を歌いたい」という本人の希望で、総合プロデューサーの秋元康が「演歌をやるなら、長良会長のもとしかない」と昨年4月1日付で長良プロに移籍。今年2月1日には「無人駅」で徳間ジャパンからソロデビューした。
長良会長は、岩佐がデビューする前から「レコ大で新人賞を取らせる」と、積極的にプロモーションに動いていた。ところが、5月2日に亡くなった。これはさぞ、無念だっただろう。
死後、長良会長と親しかった芸能界の重鎮たちは、同会長が通った六本木のクラブに集まり、故人を偲んだ。そこで、誰が言うでもなく「長良さんの遺志を継いで、岩佐に新人賞を取らせよう」という声が挙がって、全面的に協力することを誓ったと言う。
ところが、その直後に岩佐の前に強敵が現れた。7月25日に「故郷~Blue Sky Homeland~」でデビューした岩手県出身の13歳の民謡歌手の臼澤みさきだ。臼澤をプッシュしたのが、「岩佐を新人賞に推す」と約束した重鎮の一人A氏だったことから、ほかの重鎮からは「そりゃ、ないだろ」と激しい批判の声が上がった。そのため、これまでレコ大に絶大な影響力を誇ってきたA氏が、臼澤を堂々と推せなくなったことは想像に難くない。
A氏が矛先を収め、その後、岩佐の新人賞獲りはスムーズに運んでいるものだとばかりに思っていた。ところが、驚きの事態が起こった。岩佐は05年にデビューしているAKB48のメンバーのため、新人賞には該当しないという理屈をレコ大運営サイドが持ちだしてきた。その根拠として、板野友美の前例を挙げたという。
板野は昨年1月26日に「Dear J」でソロデビュー。発売初週に16万枚以上売り上げるという記録を作った。7月にはセカンドシングルを発売して、実績的には新人賞の最有力候補と言われた。しかし、AKB48のメンバーということで、新人賞には該当しないと運営サイドは判断。ノミネートすらされなかった。
しかし、これには政治的な計らいがあったと見るのが妥当だ。昨年のレコ大のグランプリはAKB48が受賞。板野が新人賞を取れば“W受賞”になってしまう。これでは、ほかの事務所からの反発は必至だ。しかし、板野をノミネートすらしなかったり、ノミネートして受賞させなかったりすれば、「どうして、あれだけ売れた板野が受賞しないのだ?」という、視聴者の反発を食らう。そのため、「板野は新人賞に該当しない。だから、ノミネートはできない」という理屈を後から持ちだしたのではないか。そう疑われて当然なほど、過去にもレコ大は受賞者の該当基準をその都度変更してきた。
90年には、各方面からの要請を汲んで、最優秀新人賞を音楽ジャンルごとに4人も選出したという節操もないことをしたこともある。09年にインディーズ・レーベルからデビューしていたスマイレージについては、「メジャーデビューは10年だった」という理屈で、同年の新人賞を受賞させている。このように、都合に合わせて基準を緩めてきたという流れの中でみれば、「AKB48でデビューしていたから」などという理屈は説得力のないものだ。
生前、長良会長は「岩佐を新人賞に!」と言っていた。レコ大などの“賞レース”を長年経験してきた長良会長が、該当基準すら満たしていない岩佐を「新人賞に!」と言うわけがない。レコ大運営サイドとも確認の上、同会長なりの勝算やロジックはあったはずだ。しかし、長良会長亡き後、運営サイドはひるがえった。臆測ではあるが、A氏が臼澤に新人賞を取らせるために板野の前例を持ち出し、それに運営サイドが押し切られたとしか思えない。このままでは、長良会長も浮かばれない。生前、長良会長と親しかった芸能界の重鎮たちには、前例を覆す行動を起こすことを期待したい。
(文=本多圭)
「あっちに行きたい……」2週連続1ケタ『平清盛』隣接スタジオで20%超え『梅ちゃん先生』撮影していた

NHK大河ドラマ『平清盛』公式サイトより
まさかの2週連続の1ケタ視聴率を記録して、もはや視聴率の低下しか話題にならないNHK大河ドラマ『平清盛』。まだ放送が残っているだけに、どこまで数字が低下するかだけが見ものなのも寂しい限りだ。
「主演の松山さんも、当初は現場を盛り上げて、花見を企画するなど和気あいあいの雰囲気でしたが、今となっては黙ってしまって、ただこなすだけのような感じがしますね。もともとプロデューサーたちは数字にこだわらないと言っていましたが、ここまでヒドいと放送終了後はどんな粛正が待っているか戦々恐々としていますよ」(NHK関係者)
そんな『平清盛』と明暗を分けたのが、朝の連続テレビ小説『梅ちゃん先生』だ。
「こちらは、先月末に放送終了したのですが、平均視聴率が20%を超えるなど、『平清盛』の倍近くの数字を取っていました。NHKの収録スタジオは1階に2つしかなく、この2つの番組が使っていたのですが、ホントに“明と暗”でしたね。顔を見れば、どちらのスタッフかが一目瞭然でしたから(笑)」(芸能事務所関係者)
当然、スタッフの間でも『梅ちゃん先生』の話題で持ち切りだったという。
「みんな『あっちのスタジオに行きたい』と、公然と口にしていました。もちろん、松山さんの耳にも入っていると思いますよ。でも、結果がすべてですから何も言えないんでしょうね」(前出・NHK関係者)
今月末にも打ち上げが行われるというが、そこで松ケンは一体何を語るのだろうか……。
「まるで高級ラブドール!?」浜崎あゆみ(34)の“すっぴん”が「ツルツルすぎて怖い」の声

『LOVE』(avex trax)
「まるでオリエント工業──!?」
一部ネットユーザーからそう言われているのが、浜崎あゆみが来月発売するミニアルバムのジャケット写真だ。浜崎は、この『LOVE』(avex trax)のジャケットで“すっぴん”に挑んだといい、スポーツ紙などでは「まつげエクステこそしているものの、ファンデーションすら塗っていないナチュラルで美しい素顔」などと報道されている。しかし、このジャケット写真、年相応のシワも毛穴もない、ツルツルの顔なのだ。
13日にこのジャケットが公開されると、ネット上の掲示板などはすぐさま大紛糾。「フォトショ乙」「すっぴんでもお修正しちゃ意味ないだろ」「高級ラブドールかよwwwツルツル過ぎて怖いwwwオリエント工業www」などと書き込まれているのだ。
「もはや女性誌業界では、“すっぴん”というのはノーメイクではなく、ナチュラルメイクを指す言葉になっています。それにしても、今回の浜崎さんサイドは、メイクを盛るかわりに話を盛り過ぎた感じですね。いくらなんでも、この肌で“ファンデーションなし、加工なし”は通らないですよ。素直に『今回はナチュラルテイストです』と言えばよかったのでは?」(女性誌編集者)
CD発売のたびに、マスコミを使って騒ぎを扇動する浜崎あゆみ。万事に渡って話題性を求められる、大スターの宿命といったところだろうか。
お菓子なの? パスタなの? ペペロンムーチョとカールボナーラ

料理の数だけダジャレがある――。ダジャレをこよなく愛する男が考案する、笑えるおいしいレシピ。
男 「今日のランチは、軽くペペロンチーノにしようか」
女 「いいわよ。あなたの作るパスタ、おいしいものね」
男 「まずはフライパンに多めのオリーブオイルを注ぎ、荒くみじん切りにしたニンニクを弱火で揚げるようにして、香りを移すのがコツなんだ」
女 「いい匂い!」
男 「一緒に唐辛子を入れて、辛さをプラスしてと。……あ、しまった。唐辛子がないぞ」
女 「えー、それじゃペペロンチーノにならないじゃない。困ったわね」
男 「何か変りはないかな。辛いもの、辛いもの……。あ、これでどうだろう」
女 「カラムーチョ? まあ、確かに辛そうだけど」
男 「茹であがったパスタを入れたら、砕いたカラムーチョを入れてみるか」
男 「塩、こしょう、しょうゆで味を調えたら、さらに仕上げにもカラムーチョを振りかけて完成!」
女 「やっていることはめちゃくちゃだけど、見た目は意外とまともね!」
男 「だろう。カラムーチョのペペロンチーノだから……」
男&女 「ペペロンムーチョ!」
女 「カラムーチョがサクサクして、ほどよい刺激でとってもおいしい! でも、なんだかまだ食べ足りないわ」
男 「じゃあレトルトだけど、カルボナーラでも食べようか」
女 「わーい!」
男 「おっと、今度はパスタがもうないや。でも大丈夫だ。そんなときは、カールのチーズ味にこれをかければ……」
男&女 「カールボナーラ!」
■材料
・パスタ
・ニンニク
・オリーブオイル
・カラムーチョ
・調味料(塩、こしょう、しょうゆなど)
■作り方
1、塩を入れたたっぷりのお湯で、パスタを茹でる。
2、フライパンにオリーブオイルを多めに入れ、荒くみじん切りにしたニンニクを揚げるように炒める。
3、フライパンにパスタと茹で汁少々を加えて絡め、砕いたカラムーチョを加える。
4、お好みで塩、こしょう、しょうゆなどで味を調整する。
5、仕上げにさらにカラムーチョを振りかける。
■玉置メモ
・今回は唐辛子の替わりにカラムーチョを使いましたが、唐辛子とカラムーチョの両方を使ってもいいですね。たぶん、それが正解です。
・おまけに作ったカールボナーラですが、実はこれが絶品。カールがサクサクのうちに食べても良し、フニャっとしてから食べても良し。よく冷やした白ワインのツマミに合うのです。
(文=玉置豊)
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【第13回】レストランにも行きたくない出無精なあなたに「大型連休ギュウギュウ詰め」(O型レンコン牛牛詰め)
【第12回】旬の素材が盛りだくさん「ネギに大葉 ヤマウド・ノビル 初鰹」(目には青葉 山ほととぎす 初鰹)
【第11回】スタミナ満点! よくばりどんぶり「ごはんと胃・レバー・牛たくさん」(ゴホンと言えば、龍角散)
【第10回】甘党にはたまらん! 「オリゴ糖、黄身と和えて、ようかん食った」(ありがとう、君と逢えて、よかった)
【第9回】捌けなくても大丈夫! 包丁要らずのカンタン鍋「捌き無知鍋」(サバキムチ鍋)
【第8回】惚れてしまいそうな大人の味「バーレーン・タイ キッシュ」(バレンタイン・キッス)
【第7回】3分で出来るお祝い料理「脂肪コーン、5を書く!」(志望校合格)
【第6回】正月ボケに効果てきめん「意外! タイなら七臭粥」(胃が痛いなら七草粥)
【第5回】気分次第でアレンジ可能「麻婆茄子! 干し芋乗っかっちゃう!」(まーボーナス! 欲しいもの買っちゃう)
【第4回】三つの味が楽しめる豪華ディナー「三択ロース」(サンタクロース)
【第3回】ぜいたくの極み! 「いい肝のカワハギのいい肝ばかり」(『いきものがかり』のいきものばかり)
【第2回】ひと手間かければ豪華な一皿! 「タンカレー ナンバナナ天」(タンカレー No.10)
【第1回】甘くて辛い 大人のおつまみ「マスタードナッツ」(ミスタードーナツ)
園子温が描く“希望のない国”に残された希望とは?「後から嘆くのではなく、今やるべきことがあるはず」

精力的な活動が続く園子温監督。「今回の映画だけで原発ものは終われない。
娯楽作品も撮りながら、被災地に通い続けるつもりです」と語る。
娯楽作品も撮りながら、被災地に通い続けるつもりです」と語る。
──これまでテーマにしてきた家族の描き方が変わるほど、「3.11」は園子温監督の意識を大きく揺さぶったということでしょうか? 園 意識が変わったと言っても過言じゃないでしょうね。『ヒミズ』の撮影に入る1カ月前に大震災が起き、シナリオに修正を加えて震災から1カ月しかたっていない状況の中で『ヒミズ』の撮影に入ったわけです。それまでは実際に起きた事件にすぐ足を突っ込むことはせず、一度じっくり自分の中で咀嚼してから数年後に作品にまとめるように心掛けていました。ですから『ヒミズ』の撮影直前に生々しい現実を目の前にして、すぐ撮るということは初めての経験でした。それで『ヒミズ』は石巻でもロケをさせてもらったんですが、「はい、撮影終わり。じゃあ、別の作品に取り掛かります」というわけにはいかなくなった。少なくとも、もう1本は撮らないことには落ち着きようがなかった。『ヒミズ』よりも、もっと踏み込まざるを得なかったということですね。3.11の衝撃をそのまま撮った『ヒミズ』とは違って、今回は津波と放射能をセットにしないで、まずは放射能を、原発の映画を撮ろうということでした。それも、原発に対する感情が風化しないうちに映画にしようと思ったんです。 ──『ヒミズ』が公開されていた今年の1月には、すでに『希望の国』の撮影に入ったわけですね。なるべく早く『希望の国』も公開しようと……。 園 公開は、早いに越したことはなかったんです。10月公開じゃなくて、もっと早く公開してほしかった。でも、まぁ、この時期に公開するのは、それでまた意義がある。チェルノブイリ事故のときは広瀬隆の『危険な話』(八月書館)がベストセラーになり、忌野清志郎が原発問題を歌ったアルバムが発売中止になったりしたけど、結局はそのときの日本では原発事故は起きず、「みんな騒ぎ過ぎです」という形でしかなかった。今は首相官邸前で集会やっているけど、人が少なくなってくると原発反対が言えなくなってきますよね。それは日本人が個人で何かを宣言したりできない性質を表してますよね。 ──園監督は「映画には社会を変える力がある」と信じている? 園 そう思いますね。こうやって原発を描いた作品を公開することは、決してムダなことだとは思いません。映画の世界でしか表現できないこともあるわけですから、「こんな劇映画もあるのか」と思わせるだけでも意味があると思うんです。いろんな人たちが原発についてのテーゼを語る時代なんだと知ってもらうだけでも、十分な効果があるはずです。ひとつの業界が完全に黙っていれば、「あぁ、やっぱりそういうもんだよな」ということになってしまう。扉が少し開くだけでも、どこかの窓をひとつ開けることにつながると思うんです。 ■声高に叫ばなくても、個人でやれる抗議活動はあると思う園監督が被災地を取材して撮り上げた『希望の
国』。放射能事故によって引き離された家族
がそれぞれ選択した道を進んでいくことに。
9月30日にNHK ETVで放映されたドキュメンタリー番組『映画にできること 園子温と大震災』を見て、意外に感じた人もいたのではないだろうか。『愛のむきだし』『冷たい熱帯魚』など過激な作品を撮り続け、撮影現場では厳しい演出で知られる園監督だが、『希望の国』の取材でお世話になった被災地の人たちには非常に丁重で繊細な一面を見せていた。『希望の国』のモデルとなった一家の居間で、恐縮して正座する姿が画面に映し出されていた。大胆さと繊細さが同時に両立しているところが、この人の魅力なのだろう。今回のインタビューでも詩人らしい時代への批評性、映画づくりに対する真摯さ、そして熟成することのないやんちゃぶりを感じさせる園子温監督だった。 ──2011年の園監督は、『冷たい熱帯魚』の公開、『ヒミズ』の撮影とベネチア映画祭への参加、『恋の罪』の公開……と怒濤の1年を過ごしたわけですが、合間を縫って被災地を取材して回っていたんですね。園子温監督が自身の姿を投影したという小野家
の息子・洋一(村上淳)とその妻・いずみ(神
楽坂恵)。洋一は実家を出ることに抵抗を感
じる。
園 半年間くらい取材に時間を費やしました。『ヒミズ』の冒頭の被災地に主人公が佇むシーンは石巻で撮影させてもらったんです。そこで地元の人たちにずいぶん協力してもらい、避難所の人々にもお世話になった。それもあって俳優の深水元基くんが被災地の人たちにボランティアで何かしたいと言うので、みんなで行ったんです。そのときに石巻とは別に福島の映画も撮りたいと考え始めました。2011年の8月くらいから避難所などで、3.11とそれから1カ月の間に何が起きたのかを、避難所の方たちや被災地を回って取材するようになったんです。12月31日は石巻で除夜の鐘を聞き、それから移動して福島で初日の出を見ました。『希望の国』のセリフのほとんどは、実際に被災地や避難所の人たちを取材した際に聞いた言葉です。前半は特にそうですね。ボクが頭の中で考えた言葉は、なるべく使わないようにしました。主人公一家である小野家の庭の真ん中で20km圏内と圏外に分けられていますが、あれは実際にそういう家があって、そこを取材させてもらったんです。この家族を主人公にすれば、放射能がもたらす不条理を映画にできるなと思ったんです。 ──園作品にはシュールなイメージがありましたが、実際の被災地には現実として不条理なことがいろいろと存在したわけですか。 園 不条理なことがいっぱいありました。どうしてマスコミは報道しないんだろうなと、不思議に思いましたよ。それで家の敷地の真ん中で20km圏内と圏外の境界が引かれてしまい、庭の半分は水がやれずに花が枯れてしまっているシーンを映画の中にも登場させたんです。目には見えない放射能がもたらす不条理さですよ。20km圏の境界線近くに一軒だけ残っていたゲームセンターで、ゾンビを撃ち殺すシューティングゲームをしている女子高生もいました。ゲームセンターのすぐ外はゴーストタウン化しているのに、あまりにもシュールでしょ(苦笑)。今回は舞台を「長島県」という架空の地名にしています。もちろん福島で取材した話もすごく良かったんですが、福島を舞台にすると他の被災地で取材した話を使えなくなってしまう。それで長崎と広島と福島を組み合わせた「長島県」にしたんです。東日本大震災から数年後に再び原発事故が起きたという近未来SFなんです。 ──2012年の元旦を福島で迎えたということですが、園監督は初日の出を見ながら何を考えたんでしょうか? 園 『希望の国』の撮影を2週間後に控えていたんですが、まだ脚本の最後の部分を書き上げていなかったんです。最終的に若い息子夫婦(村上淳、神楽坂恵)はひとつのあきらめと妥協を感じざるを得なくなってしまう。いろんな残念な気持ちを抱え込まざるを得ない。でも、自分たちさえしっかりしていけば、なんとか生きていけるんじゃないかと。放射能はもうどうしようもない。どこまで逃げてもやってくる。それでも、そこに希望があるんじゃないかと感じられたのは、ゴーストタウンみたいになった南相馬の20km圏内で初日の出を見たときだったんです。20km圏内だから、それなりに放射能があったと思います。でも、海から昇ってくる太陽が、ものすごく美しかった。数カ月前に初めて20km圏内に入ったときは、それまで東京にいたからでしょうけど、ブルブル震えていたんです。汚染された土地に足を踏み入れてしまった、なるべく息を吸わないよう、物に触れないようにしようとしていました。それが訪ねるたびに、悪い意味での“慣れ”、良い意味での放射能との“共生”をせざるを得ないという心境に至ったわけです。20km圏内で見たあの日の出は大きかったですね。被災した原発から20km圏上に境界線が引か
れる。強制退去を命じられた人々の怒りや不
安が、園監督流演出によって浮かび上がる。
──20km圏内と圏外の境界線上で酪農を営む小野家の家長・泰彦(夏八木勲)が息子に言う「杭が打たれたんだ。逃げろ。逃げることは強さだ」という台詞がとても印象的です。あの台詞は……? 園 被災地で取材して聞いた言葉をなるべく盛り込むようにしましたが、「杭が打たれた」はボクが考えたものです。詩人の金子光晴のエピソードから思い付きました。戦時中に金子光晴は息子に赤紙が届いたので、葉っぱをいぶして息子に吸わせて喘息状態にしたそうです。そのかいあって、光晴の息子は徴兵検査で落ちて、帰ってきた息子に向かって光晴は「バンザーイ!」と出迎えて赤飯を炊いているんです。戦時中にそんなことをすれば後ろ指をさされますが、終戦になった途端に「うちも金子家みたいにしておけばよかった」ということになるわけです。必ずしも集団でデモをして「戦争反対!」と叫ばなくても、個人個人で家族を戦争へ行かせないなどの反戦のやり方はあるんです。そういう意味では、いつの時代でも召集令状だったり原発問題だったりと、杭を打ちにくるヤツが現れる。そういうときは、政治家だとか市長だとかエラい人を頼るわけにはいかない。自分たちで考えて行動するしかないんです。金子光晴の赤紙に対する行動への、ひとつの回答のつもりです。戦争が終わってから「息子を返せ」と泣き叫ぶのではなく、そのときにやるべきことをやるんだということです。 ──『野性の証明』(78)の夏八木勲さん、『肉弾』(68)の大谷直子さんが熱演していることもあって、とても日本映画らしい作品になっています。 園 昔は緒形拳さんや太地喜和子さんとか骨太でスクリーンで輝く役者さんがたくさんいたんですが、最近はいないですよね。数少ない中から選んだのが夏八木さんと大谷さんです。夏八木さんは70歳過ぎてますけど、大変な現場だったにもかかわらず、すごく元気でした。イーストウッドみたいに、もっと主演作が作られていいはずの人なのに、もったいない。最近の映画はどれも、キャスティングが一辺倒すぎますよ。あっ。業界の悪口はもう言わないと決めてたんだけど、つい出てしまうなぁ(苦笑)。東京スポーツで痛い目に遭ってから、悪口は言わないようにしてるんです。「キムタクを安易に使うプロデューサー」みたいな批判をしたら、「園子温はキムタクが大キライ」って記事になって東スポに出たんです。そんなことは、ひと言も言ってないのに(笑)。いずみ(神楽坂恵)は妊娠していることに気づ
き、避難先でも防護服が手放せなくなる。ど
こまで防護すれば安全なのか?
──その点、日刊サイゾーは大丈夫(だと思います)! 今回は資金集めに苦労したそうですね。 園 そうです、情けないですよね。原発を扱うということで日本だけでは製作費が集まらず、海外にも協力を求めざるを得なかった。出資した会社は「反原発」を支持するようなものですから、カドが立つということでしょうか。つまんないですよ。企画があればなんでもいいから持ってきてと言っていたプロデューサーも「いや、これだけは困る……」ということだったようです。そういう意味では、原発はエログロよりもタブーだったみたいです。でも、それは向こうが勝手に自粛してタブーにしてしまっているだけですよ。別にボクは原発をタブーだとは思わない。 ──最後の質問です。園子温にとって、女性、そして女優とはどんな存在でしょうか? 園 やっぱり女性は強いですよ。原発問題を取材していても、実際に強いのは女性です。子どもを連れて外へ向かっていくのは奥さんの方なんです。女性の場合は妊娠・子育ての問題があるから、自分が動かなくちゃいけないという意識が強いように感じましたね。それに対して男はマッタリしがちというか、根を張ってしまう。それで被災地では、家族離散や離婚問題が生じているんです。もちろん、ボクにとっても女性は強い存在ですよ。創作意欲をかき立てる存在です。最近で言うと『冷たい熱帯魚』『恋の罪』『ヒミズ』『希望の国』。どれをとっても、女の年齢や状況は違えど、ストーリーの主軸となって展開していきます。女優が作品の色を決めると言っていいくらいです。 ──“園子温作品は女によって創られている”と言っていい? 園 えぇ、大丈夫です。そう言っていただいて構いません(笑)。 (取材・文=長野辰次)園監督に“今の日本映画の状況をどう感じる?”
と問い掛けたところ、「日本映画は年に1本
観るかどうか。ボクにとっては拷問ですよ。若
い監督の追い上げも感じない。ボクのほうが
ピチピチしてます(笑)」。
●『希望の国』原作・脚本・監督/園子温 出演/夏八木勲、大谷直子、村上淳、神楽坂恵、清水優、梶原ひかり、菅原大吉、山中崇、河原崎建三、筒井真理子、でんでん 配給/ビターズ・エンド 10月20日(土)より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー公開
(c)The Land of Hope Film Partners
http://www.kibounokuni.jp
●その・しおん
愛知県出身。1987年に『男の花道』でPFFグランプリを受賞。詩人としても活動し、路上パフォーマンス集団「東京ガガガ」を主宰した。17歳で家出を経験した園監督の自伝色の強い『紀子の食卓』(06)では吉高由里子、上映時間4時間の大作『愛のむきだし』(08)では満島ひかり、と次々と若手女優を育て上げている。実在の猟奇殺人事件をベースにした『冷たい熱帯魚』(11)と『恋の罪』(同)もR18指定ながら大ヒットを記録。『ヒミズ』(12)では染谷将太と二階堂ふみにベネチア映画祭最優秀新人賞をもたらした。最新作『地獄でなぜ悪い』は、13年3月に公開予定。本作の原作小説「希望の国」、自伝『非道に生きる』が発売中のほか、11月2日(金)に『園子温監督初期作品集DVD-BOX』も発売される。




