
かつての視聴率「三冠王」の面影なし!?
9月に『はねトび』が、年内には『HEY!HEY!HEY!』と、一時期フジテレビの看板だった番組が次々幕を下ろしていく。ロンドンブーツの田村淳をメインMCに据えたお昼の情報番組『知りたがり!』も8月には視聴率1%台を記録するなど、低迷が続く。
『ほこ×たて』や『ピカルの定理』など、近年のヒット番組は複数あるものの、雑誌やインターネットなどでもフジの不調が話題になることが多くなっている。その際、よく引き合いに出されるのが、『お試しかっ!』や『お願い!ランキング』などが好調のテレビ朝日だが、テレ朝とフジの現状の違いについて、人気番組を担当する放送作家に聞いてみた。
「フジに限らず、各局がテレ朝にヤラれているという印象はありますね。テレ朝は、独自のモノを作ってきたというよりは、ある意味でベタに徹してきたのが、不況の時代にちょうどマッチしたと言えますね」
上記の人気番組は、ファミレスやファストフードなどの人気メニューを取り上げることで、視聴者の親近感を獲得した。
「プライドがあまりないというのか、ダメならすぐに切り替えていくという空気がテレ朝にはあって、それがうまくいっている状態ではないでしょうか」
確かに『Qさま!!』や『いきなり!黄金伝説。』などほかのテレ朝の人気番組も、放送開始当初のフォーマットは原形をとどめていないようなものが多い気もするが、その路線の変更は、迷走ではなく成功につながっている。このテレ朝の見切りの早さ、フットワークの軽さのようなものについて、前出の作家はこう言う。
「テレ朝は、抱えているタレントの数がほかの局より少ないんです。そのため、しがらみも少ない、というのが強みになっていますね。反対にフジはタレントとの結びつきが比較的強い局で、タレントに対して作り手側の思い入れも強くなってしまう。それで、あまり視聴率が取れなくなっても番組をずるずると続けてしまい、気がつけば大変なことになってしまっているといえますね」
そんなフジにも最近、変化が見られるようになってきた。
「名物ディレクターと呼ばれるような人が、制作から別の部署に異動になるということが頻繁に起こっているようですね。このままじゃいけないという空気はあるんじゃないでしょうか」
今後、どういう方向にフジは向かっていくのだろうか?
「スカパー!でもYouTubeでも、動画コンテンツを見るというだけなら、地上波のテレビに限らずいくらでも視聴者の選択肢はあるんです。ですから、テレビのコンテンツだけでやっていくというのは、今後どこの局も難しいと思います。そういう状況ですから、フジテレビオンデマンドをはじめ、ネットやモバイルも絡めたメディアづくりを模索している状態じゃないでしょうか。正直、Twitterでいいんじゃないかと誰もが思っていそうなところ、かたくなに『イマつぶ』(フジテレビが運営するつぶやきサービス)にこだわるのも、テレビを含めた新しいメディアの形を作っていきたいという、フジの強い思いの表れなんじゃないでしょうか」
視聴率的には厳しい状況が続くが、夏恒例のイベント「お台場合衆国」には今年も多くの人が来場するなど、フジのブランド力はまだまだ健在のようだが……。
「そこはやっぱり強いです。フジも全部がダメというのではなく、たとえば『逃走中』なんかは、ゲームソフトがかなり売れたり、子どもの食いつきがすごいんです。模索によって、こういった新しい流れがいろいろ出てくれば、状況も変わってくるのではないでしょうか」
地上波の視聴率だけが重視される時代ではなくなっていく中で、フジの思惑が当たる時が来るのかもしれない。
投稿者「kitamura」のアーカイブ
20%割れしたキムタクドラマの挽回なんて「あるわけねぇだろ」? 秋ドラマ初回レビュー(後編)

『PRICELESS~あるわけねぇだろ、
んなもん!~』フジテレビ
10月1日スタート『純と愛』(NHK)から、10月23日スタート『遅咲きのヒマワリ~ボクの人生、リニューアル~』(フジテレビ系)、『花のズボラ飯』(TBS系、MBSは10月25日)まで、25作品以上が出揃った民放キー局の秋の連ドラ。
前編に引き続き、「秋ドラマ初回レビュー~後編~」と題して、初回放送の様子をランキング形式で振り返ってみたい。
■米倉涼子の医療ドラマが大健闘!
まず、初回平均視聴率トップ10は以下の通り(視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区)。
1位『相棒 season11』(テレビ朝日系)19.9%
2位『連続テレビ小説「純と愛」』(NHK総合)19.8%
3位『ドクターX~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系)18.6%
4位『PRICELESS~あるわけねぇだろ、んなもん!~』(フジテレビ系)16.9%
5位『TOKYOエアポート~東京空港管制保安部~』(フジテレビ系)14.0%
6位『MONSTERS』(TBS系)13.8%
7位『悪夢ちゃん』(日本テレビ系)13.6%
8位『遅咲きのヒマワリ~ボクの人生、リニューアル~』(フジテレビ系)13.5%
9位『結婚しない』(フジテレビ系)13.0%
同率9位『ゴーイング マイ ホーム』(フジテレビ系)13.0%
15%超えれば万々歳といわれる昨今、該当するのは4作品。中でもいい意味で期待を裏切ったのが、多くのメディアがノーマークだった『ドクターX~外科医・大門未知子~』だ。
米倉涼子演じる大門未知子は、クールでかっこいいが、いい意味でバカバカしく、早くも「米倉涼子一のハマり役」との呼び声も高い。劇中、分かりづらい医療用語は極力抑えられ、「何も考えずに見られる医療ドラマ」として評価されている一方、過酷な労働条件から激減している外科医問題にもちゃんと触れており、医療ドラマらしさも残したバランスのいい作品となっている。
また、『家政婦のミタ』(日本テレビ系)の「家政婦紹介所」を彷彿とさせる「名医紹介所」や、『プロジェクトX~挑戦者たち~』(NHK)にかけたであろう田口トモロヲによるナレーションなど、パロディをにおわせる遊び心も、見る者に心地よい親近感を与えているようだ。
4位は、キムタク主演の月9『PRICELESS~あるわけねぇだろ、んなもん!~』。放送前から20%超えが期待されていただけに、少々寂しい結果となったが、これは裏で放送されていたプロ野球クライマックスシリーズ最終戦の中継(平均視聴率20.1%)が影響したとみられている。
初回は、木村拓哉演じる大手メーカーの課長が、突然、身に覚えのない情報漏洩の罪で会社を解雇。さらにトボトボと帰宅した途端、自宅マンションが爆発。一瞬にして職と財産を失いホームレスへ転落する、スピード感溢れる展開であった。
日頃から散財していたため「貯金が30円しかない」という帳尻合わせの設定を除けば、重なる災難に「キムタクかわいそう……」と同情しきりの初回。途中、お笑いコンビ・まえだまえだの前田旺志郎くんの豊満な全裸が出現する、刺激的なシーンはあったものの、初回の評判はなかなか。今後、数字の挽回があれば、キムタクが言いそうなことでお馴染みの「ちょっ、待てよ!」が、「あるわけねぇだろ、んなもん!」に塗り替えられる可能性も、なきにしもあらずだ。
■「キャラがスベッてる」香取&山Pダブル主演『MONSTERS』に悪評!?
5位は、深田恭子が航空管制官を演じる『TOKYOエアポート~東京空港管制保安部~』。昨年1月にCSで放送された川原亜矢子主演『TOKYOコントロール 東京航空交通管制部』(フジテレビONEほか)の続編として制作。初回は、身近ながらよく分からない管制官という職業の紹介に終始した印象であった。
早くも評判のいい同作だが、やはりというべきか、視聴者の感想にどうしても付きまとうのが、「佐々木希が大根過ぎる」「ドラマは大好きなのに、佐々木さんが出てくると入り込めません」といった佐々木希に対する演技批判。時任三郎、長谷川朝晴など名優揃いのキャストの中で、お人形のような佐々木は浮いてしまうのかもしれない。
ちなみに同作は、『家族のうた』で低視聴率のイメージが付いてしまった「花王 ドラマチック・サンデー」枠で放送。同枠のイメージアップが期待されていたが、2週目に裏で『MONSTERS』がスタートした途端、視聴率は9%台まで急降下。後出しの『MONSTERS』に軍配が上がってしまった。
その『MONSTERS』はというと、香取慎吾演じる“世にも奇妙な嫌われ者”刑事と、山下智久演じる“お坊ちゃん”刑事が繰り広げる痛快ミステリーとのことだが、演技・脚本ともに昨今のドラマでは類を見ないほどの悪評を集めている。ネットの感想を見ても、素直に「面白い」と言う人は少なく、特に「香取、山下のキャラがスベッてる」「謎解きが酷過ぎ。まったく名推理でもないし」というような意見が目立った。
香取演じる刑事は「いつもニコニコしており、誰に対しても極端なまでの紳士的な言葉遣いで、一見好印象に見えるが、安心して心を許すと、知らず知らずのうちにすべてを暴かれた挙句、プライドを激しく傷つける、いわゆる慇懃無礼な男」(公式サイトより)と、これだけ読んでも分かる通り、かなり複雑な性格。おそらく難役なのだろうが、正直なところ「ドラマ制作側が求める“モンスター刑事”を香取が演じきれているのか?」という点においては、疑問を感じずにはいられない。
いずれにせよ、このままではジャニーズ強力タッグが、深キョンに逆転される日も近い!?
■早くも低視聴率の『レジデント~5人の研修医~』が、『コード・ブルー』に似すぎている!?
今期、早くも大コケが危惧されているのが、仲里依紗主演『レジデント~5人の研修医~』(TBS系)。「5人の若き研修医たちの成長する姿を等身大で描く、青春群像ドラマ」とのことだが、21時台の放送にして初回平均視聴率8.4%にとどまった。
特に感想で多いのが、数年前に山下智久主演でヒットした『コード・ブルー-ドクターヘリ緊急救命-』(フジテレビ系)と「酷似している」というもの。同作を見ていた人の中には、あまりの二番煎じ感にがっかりしてしまう人も多いようだ。
今期、『相棒season11』に続き、ファンが心待ちにしていたのが、グルメドラマ『孤独のグルメ season2』(テレビ東京)。「業界視聴率ナンバーワン」とも「深夜の胃袋テロ」ともいわれる同作は、松重豊演じる“井之頭五郎”が毎週、東京の街をぶらついたり、実在の店で腹を満たすシンプルなもの。そのシンプルさゆえに、登場人物のセリフや演技の一つひとつが、視聴者に突き刺さるのかもしれない。
『season1』との違いは、放送時間が30分間から、47分間に増えたことと、主人公が食事の前に甘味処へ寄るようになった点だろう。一部地域では、裏番組で大人気深夜アニメが放送されており、「『中二病でも恋がしたい!』(TOKYO MXほか)と、どっちを見ようかと毎週、悩み苦しんでいる」という訴えも少なくないようだ。
ほかにも、平均11.7%と深夜枠にしては好スタートを切った高橋克典主演『匿名探偵』(テレビ朝日系)や、「『地図は生きている』それが私の捜査のキホン。」がキャッチコピーの真矢みき主演『捜査地図の女』(同)など、多種多様なラインナップが揃う秋ドラマ。とりあえず、キムタクの月9が、2話以降でどこまで盛り返すのか注目したいところだ。
(文=林タモツ)
「巨人が勝ってよかった!」名古屋のテレビ局も安堵する、高木・中日の不人気ぶり

中日ドラゴンズ公式サイトより
プロ野球の日本シリーズ出場を決めるセ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ最終戦の巨人VS中日が22日に日本テレビで中継され、平均視聴率は20.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同)、瞬間最高視聴率は30.6%を記録した。中継の同時間帯にフジテレビで放送されたキムタクの主演ドラマ『PRICELESS~あるわけねぇだろ、んなもん!~』の初回平均視聴率16.9%を上回った。
その結果、27日に開幕する日本シリーズの対戦カードはパ・リーグの覇者・北海道日本ハムと巨人となったが、巨人の日本シリーズ進出に、中継するテレビ各局の関係者は胸をなで下ろしているというのだ。
「民放キー局は東京ドームで開催される第1、2、6、7戦を日本テレビが、札幌ドームで開催される第3、5戦をテレビ朝日、4戦をフジテレビが中継するが、22日の視聴率を受けて、日テレの制作サイドは『日本シリーズはもっと取れる!』と息巻いているという。もし、巨人が負けて中日が日本シリーズに進出しても、特に関東地区ではとにかく中日絡みの試合は視聴率が上がらないので、スポンサー枠が埋まらない可能性もあった。それだけに、巨人ファンよりも、各局の制作サイドのほうがドキドキだった」(テレビ関係者)
中日が進出した日本シリーズの、民放キー局が中継した際の関東地区での視聴率を振り返ってみると、04年の西武戦は名古屋地区では全7戦で25%を超える高視聴率を記録したばかりではなく、関東地区でも第6戦で20%を記録するなどまずまずの視聴率。06年の日本ハム戦では関東地区で全5戦で16%以上を記録した。
ところが、同一カードとなった翌07年の日本シリーズは全5試合のうち2試合で1ケタを記録し、最終戦の第5戦ですら12.7%。その結果を受けてか、10年のロッテ戦は全7戦のうち3試合が民放キー局で放送されず、テレビ朝日が放送した第3戦、テレビ東京が放送した第4戦はいずれも1ケタ。昨年のソフトバンク戦もフジテレビが放送した第1戦、テレビ東京が放送した第2戦で1ケタを記録してしまった。
「昨年まで監督だった落合博満氏の“ファン離れ”が年々進んだのも、数字が伸び悩んだ理由。ましてや、今年は落合氏よりも地味な高木守道監督では数字が望めるはずもない。中日の“お膝元”である名古屋のあるテレビ局の幹部ですら、『巨人が勝ってよかった!』と本音をこぼしていたという」(野球担当記者)
相次ぐ女子アナの退社や社員の大幅な給与カットなど明るい話題がなかった日本テレビだが、CSの高視聴率や巨人の日本シリーズ進出は、久々の明るいニュースとなったようだ。
「ニセ高岡早紀に、ニセ高田純次も……」芸能界にも遠隔操作“成りすまし”ウイルス被害が続出中

イメージ画像(「Thinkstock」より)
TBSに犯行声明が届いたことで発覚した遠隔操作ウイルス事件が世間を騒がせているが、似たような犯行が芸能界でもあったことが分かっている。
警視庁の捜査関係者によると「今回、誤認逮捕などが分かったのは同じ犯人によるつながりだけですが、似たような犯行をしていた別の犯人が複数、浮上している。つまり、冤罪事件は現在分かっているものだけでなく、倍増する可能性が出てきた」としているが、そのひとつが今春、芸能界で起こっていたものだ。
4月、一部の週刊誌や実話誌宛テに、女優の高岡早紀を名乗るメールがあり「インタビュー取材を受ける」との内容に釣られた記者が指定の場所に向かったところ、そこは都内のゴミ屋敷だった。
「ひどいイタズラだった」と当時を振り返るのは、騙された実話誌の記者、小林俊之氏だ。
「僕はすぐ帰りましたが、同じように呼び出された週刊誌の記者は、その足で警察に威力業務妨害として被害届を提出したそうです。後日、メールアドレスの送信元を示すIPアドレスから、神奈川県に住む会社員男性Aさんのものと判明したんですが、警察が任意の事情聴取を繰り返した際、“認めてくれたら上申書で罪を軽くできる”などと言ったことが問題となって、起訴はされなかったとか」(小林氏)
この警察の対応に怒った週刊誌記者が独自にAさんと接触したところ、犯行を否認されたため、話のウラをとった。するとAさんにはアリバイがあり、しかも、ひとり暮らしでほかにAさんのパソコンを利用できる人物がいないことが判明。さらにパソコンを専門業者に調べてもらったところ、遠隔操作のできるウイルスに感染していることが分かったという。
「今回、再び調べたら、世間を騒がせているものとは手口が別であることが分かって、同じような犯行をする者がほかにもいることが分かったんです」(同)
また、後日、ニセ高田純次のメールも出回っていたことが判明。こちらは銀座の飲食店に予約を入れるイタズラで、これもまたウイルス経由の遠隔操作の可能性が高いという。
「高田さん本人は“今年になって銀座は2回しか行ってないのに、おかげで常連のようになってしまった”と笑っていたそうですが、もし大事な仕事に被害があったりすれば笑い事ではなくなりますよ」(同)
警視庁ではIPアドレスから犯人を特定した場合、ウイルス感染の検査やメール送信時のアリバイ確認をするべきだが「パソコンに詳しくない刑事だとそういった作業を省いてしまうことが多い。今後も類似犯が続出するのが怖い」と前出捜査関係者。まだまだこの問題は収まりそうにない。
(文=鈴木雅久)
禁断の蜜が溢れるSM世界『私の奴隷になりなさい』セクシーアイコン・壇蜜がすべてをさらけ出した!

官能映画『私の奴隷になりなさい』で主演デビューを果たした壇蜜。
アラサーOL香奈が美しくなったのには、人には言えない秘密があった……!
すっぱだかなのに、どこか気品が漂う。逆に服を着ているほうが襟元からストッキングの編み目から、ドクドクとフェロモンが溢れ出す。壇蜜は不思議な女性だ。29歳でグラビアデビューした遅咲きの逸材。壇蜜が出演したイメージDVDはAmazonのジャンル別売上げトップとなり、彼女のセクシーグラビアを掲載した男性週刊誌は軒並み売上げがアップする。そして31歳にして女優デビュー&初主演を果たしたのが角川映画『私の奴隷になりなさい』。団鬼六先生亡き後のSM映画シーンに、新たにセクシーアイコン・壇蜜が降臨したかっこうだ。今まで寸止めで隠していた大切な部分を、惜しげもなくスクリーン上でさらけ出している。
遅咲きなだけあって、壇蜜のプロフィールはかなりユニークだ。20代後半で芸能界に足を踏み入れる以前は、葬儀関係の職種に就いていたとのこと。大学卒業後に調理師免許をとり、母親と一緒に和菓子店を開くつもりだったが、出資してくれるはずだった知人が急逝。そのことから壇蜜は生命のはかなさを想い、人生の出口を見つめてみようと葬儀業界に身を置いたという。彼女の喪服姿を想像しただけで、妙に息苦しくなってくる。まさに、壇蜜は“エロス&タナトス”の化身ではないか。壇蜜という芸名は彼女自身が考えたもので“仏前のお供え物”という意味らしい。ますます、息が荒くなってくる。その他にも中学時代のニックネームが「愛人」、和菓子会社の製餡工場で汗を流しながらアンコを練っていた、医療関係の仕事にも従事、英語の教員免許を持っている、現在のライバルは「TENGA」……と数え切れないほどのエピソードを持つ。秘蔵されていたワインのごとく、豊饒な味わいを感じさせる女性である。

香奈を調教する先生(板尾創路)。撮影現場では
壇蜜が「えっ」と一瞬たじろぐほど、板尾が積極的にリードしたらしい。
壇蜜主演作『私の奴隷になりなさい』は、転職したばかりの僕(真山明大)の視線で物語が進む。若くて、何事もライト感覚な僕はこれはと思った女性たちを次々と口説き落としてきた。ゲーム感覚で目の前にいる女の子たちを軽〜くゲットしてきた。ひとりでいるときはエドワード・ゴーリーの大人向き絵本をめくり、自分でもイラストを描いているが、プロのイラストレーターとして食べていくだけの自信はないし、好きなもののためなら全てを棄てられるという覚悟もない。でも、そんな僕のリビドーを刺激してやまない存在が現われた。転職先である出版社の先輩OLの香奈(壇蜜)だ。落ち着いた大人の雰囲気の香奈はすでに社内結婚しており、夫は大阪に単身赴任中。これまで僕が手玉に取ってきた若い子たちと違って、ガードがやたらと高い。社内で宴会の席で、露骨に香奈へのアプローチを試みるが、「君は仕事を覚える気があるの?」とピシャリと鼻先をへし折られる。悶々とした劣情を抱きながら、香奈と同じフロアで仕事をしていると、ふいに携帯がブルブルと震えた。それは香奈からのメールだった。「今夜、セックスしましょう」。この一通のメールがきっかけで、僕はそれまで知らなかったアブノーマルな世界へとのめり込んでいく。
香奈の美しさには、秘密があった。実は香奈は1年前までは、フツーのOLでしかなかった。顔立ちは整っていたが、保守的な性格で、プライドだけ高く、いつも無難な衣服を着ていた。仕事帰りのバーで、職場の愚痴や上司の悪口を延々と垂れ流し続ける冴えない女だった。バーでその様子を観察していた先生(板尾創路)は、香奈を自分の席に優しく呼び寄せてから、はっきりとした口調でこう言う。「1時間かけてお前がしゃべり続けてきたことは、自分がいかにつまらないセックスしかしてこなかったかということだ」。初対面の他人から浴びせられたこの言葉に、香奈はしたたかに打ちのめされる。この夜から先生の調教が始まった。ご主人さまと奴隷の関係となった2人は、緊縛プレイ、アンダーヘアの剃毛、スパンキング、バイブによるアナル責め……とどんどん過激な世界へと進んでく。
先生との関係が深まるにつれ、香奈は一輪挿しの花が咲き誇るように美しくなった。ご主人さまという何よりも大事な存在ができたことで、職場や家庭で無駄な愚痴や口論をすることがなくなった。先生からいつ呼び出されるか分からないので、いつもセクシーな下着を身に付けるようになった。香奈が美しく変身していくことを、夫や同僚や得意先の男性社員たちも喜んだ。ため息が出るほど美しく変貌を遂げた香奈に、僕は魅了されてしまったのだ。メールの後、香奈からハメ撮りを強要された僕は、やがて彼女の秘密を知ることになる。香奈に「セックスしましょう」というメールを送らせたのは先生だった。先生は、僕と香奈との密会をスワッピングとして楽しんでいたのだ。全ては先生の遠隔操作だと分かっていても、僕は香奈との禁断の関係をやめることができない。

メイキングDVD『壇蜜と僕たち』が現在リリース中。
映画本編がR15なのにメイキングはR18という謎のレイティングなのだ。
『私の奴隷になりなさい』の原作者は覆面作家のサタミシュウ。ある人気作家の別名だそうだ。SMをテーマにした官能小説だが、団鬼六先生のハードなSM世界とはずいぶん趣きが異なる。谷ナオミ、杉本彩らが歴代ヒロインを演じてきた『花と蛇』では豪邸で暮らす清楚な人妻・静子が拉致監禁された挙げ句に男たちに陵辱されるという非日常的世界が繰り広げられたが、『私の奴隷になりなさい』では日常生活の中に幾つもの非日常が潜んでいる。先生と香奈、香奈と僕が肉体関係を結ぶことで非日常性が顕在化していく。先生によって調教された香奈はすっぱだかに赤い首輪だけして、僕の前にいる。とてもふしだらな職場の先輩だが、自分に秘密の姿を見せてくれた彼女が愛おしくて堪らない。ゲーム感覚で手軽な女の子を口説いた記憶も、イラストレーターに挑戦してみるかどうかといった日々の悩みも、香奈の裸身の前でことごとく木っ端みじんに砕け散ってしまう。
正体不明の“先生”を演じた板尾創路は、『空中庭園』(05)や『空気人形』(09)などこの手の役を任せると抜群にうまい。主人公たちの性意識から人生観まで変えてしまう“触媒”の役を実にクールに淡々と演じてみせる。演技経験がなく、序盤は芝居が固い壇蜜だが、板尾演じる先生が登場することで表情が一気に変わる。ご主人さまと奴隷という関係性が明示されることで、壇蜜自身も俄然輝きを放ち始める。大人の女の熟れた肉体をさらす一方、ベッドの上で板尾にあやされる姿はまるで赤ちゃんのように純真無垢でもある。やはり、壇蜜は不思議な女性だ。
映画でも原作小説でも、最後まで“先生”は何者なのかは明らかにされない。ただし、先生はとても大事なことを教えてくれる。日常生活を退屈だと感じているのは、自分自身が自分に首輪をして、常識の中に自分を縛り付けているからだということ。愛の奴隷になるということは、淀んだ日常生活から自分の心を解放することでもあるのだ。ご主人さまと奴隷という関係を結ぶことで、常識という名の鎖から解き放たれる。スクリーンの中から香奈が、そして壇蜜がこう囁く。私の奴隷になりなさい。
(文=長野辰次)
『私の奴隷になりなさい』
原作/サタミシュウ 脚本/港岳彦 監督/亀井亨 主題歌/壇蜜「fade」 出演/壇蜜、真山明大、西条美咲、美知枝、菜葉菜、石井明日香、杉本彩、海東健、高松泰治、ウダタカキ、草野イニ、古舘寛治、板尾創路 配給/角川映画 R15 11月3日(土)より銀座シネパトスほかロードショー
(c)2012角川書店 <http://www.dorei-movie.jp>
●深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】INDEX
[第193回]“無意識の湖”に身を投じたユングと女性患者の行方──クローネンバーグの恋愛サスペンス『危険なメソッド』
[第192回]“お蔵入り映画”が人命救助を果たした!? 実話をベースにした大冒険ロマン『アルゴ』
[第191回]我が家に“食人族”がやって来た! 奇才ジャック・ケッチャムの異形世界『ザ・ウーマン』
[第190回] 裏切り&結託は当たり前。今の政界にそっくり! 極道たちのバトルロワイアル『アウトレイジ ビヨンド』
[第189回] これが全米を熱狂させた“USA版バトル・ロワイアル”! 殺人リアリティーショー『ハンガー・ゲーム』
[第188回]行き詰まった人生の扉を開く鍵は“銭湯”にあり? 内田けんじ監督のオリジナル作『鍵泥棒のメソッド』
[第187回]大家族の伝統料理から超手抜きレシピまで勢ぞろい! 台所から見えてくる中東の家庭事情『イラン式料理本』
[第186回]“世界的な絶滅危惧種”である独裁者に愛の手を!? 政治ネタ&下ネタ満載コメディ『ディクテーター』
[第185回]障害者の性処理も介護の重圧も、すべて笑い飛ばせ! 男たちのバリアフリーな友情ドラマ『最強のふたり』
[第184回]人類を生み出した“創造主”との遭遇!! リドリー・スコットが物語るSF神話『プロメテウス』
[第183回]“校内格差社会”に出現した異分子(ゾンビ)たち! 青春のカタルシス『桐島、部活やめるってよ』
[第182回]カメラマンは法を犯してもかまわない!? 国家の暗部を暴く男の情念『ニッポンの噓』
[第181回]“学校”という名の密室ではびこる児童虐待の事実! 子どもたちは教師を訴える『トガニ 幼き瞳の告発』
[第180回]“神様”との出会いと別れ、そして旅からの帰還 ドキュメンタリー『アニメ師・杉井ギサブロー』
[第179回]親友=お金を貸してくれる、女友達=SEXさせてくれる!? 品性お下劣男の青春『苦役列車』
[第178回]“沢尻エリカ”という名のアトラクションムービー『ヘルタースケルター』が描く無常の世界
[第177回]毒カレー、オウム真理教、光市母子殺害……“悪魔の弁護人”と呼ばれる男の素顔『死刑弁護人』
[第176回]“芸能生活30周年”ニコラス・ケイジの会心作! 被災地に流布する暗号『ハングリー・ラビット』
[第175回]やめろと言われても、今では遅すぎたッ! 妻夫木聡&武井咲主演の過剰なる純愛劇『愛と誠』
[第174回]年間自殺者数3万人を越える現代社会への提言 自殺対策の現状を追った『希望のシグナル』
[第173回]“三島割腹事件”を若松孝二監督が映画化!『11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち』
[第172回]実在の事件を題材にした“命の授業”『先生を流産させる会』がついに劇場公開!
[第171回]自由社会に順応できない“脱北者”の過酷な現状 無垢なる季節との決別『ムサン日記 白い犬』
[第170回] 世界興収100億突破のSF大作『ロボット』はあらゆる既成概念を破壊する!!
[第169回]“エンタの神さま”ツイ・ハークが大復活! B級映画マニアの心を焦がす『王朝の陰謀』
[第168回]人はお下劣な分だけ、強く優しくなれる!? 結婚を控えた女たちの本音『ブライズメイズ』
[第167回]行きすぎたシステム社会に警鐘を鳴らす“ユナボマー・マニフェスト”の映画化『モンスターズクラブ』
[第166回]祭りの終わりと新ステージの幕開け、3部作完結『サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』
[第165回]すばらしき“コーマン野郎”の世界!『コーマン帝国』、愛と欲望の歴史
[第164回]懐かしき香り漂う、新感覚サスペンス 破滅へ突き進む男の悲劇『ドライヴ』
[第163回] 災害に備えた地下シェルターは必要? 心理ホラー『テイク・シェルター』
[第162回] 森田芳光監督の最終列車『僕達急行』人生は出会いと旅立ちのリフレイン!
[第161回] 鬼才キム・ギドクの"多重人格ショー"セルフドキュメンタリー『アリラン』
[第160回]映画創成期に散った"殉教者"への聖歌 3D映画『ヒューゴの不思議な発明』
[第159回]これはホラー? それともコメディ? 勘違い女が爆走『ヤング≒アダルト』
[第158回] ピラミッドは古代からのメッセージ!? 歴史ミステリー『ピラミッドの謎』
[第157回] 韓国映画の名匠が明かす"創作の極意"イ・チャンドン監督『ポエトリー』
[第156回] ローカル局で"伝説となった男"の生涯『木村栄文レトロスペクティブ』
[第155回] 米国に半世紀も君臨した"影の大統領" FBI初代長官『J・エドガー』
[第154回]犯罪者たちに学ぶ"人心掌握術"の奨め『アニマル・キングダム』『預言者』
[第153回]"地獄"からの生還者・板尾創路の凄み 古典落語を過激に脚色『月光ノ仮面』
[第152回]早くも2012年ベスト1映画が登場!"代理殺人"を巡る恐怖『哀しき獣』
[第151回]父殺し、自分殺し、そして再生の物語 園子温流ラブストーリー『ヒミズ』
[第150回]米国お笑い横断旅行『宇宙人ポール』人間のちっぽけな悩みはETが解決!
[第149回]70年前と変わらない日本人の精神構造『聯合艦隊司令長官 山本五十六』
[第148回]追悼......"永遠の反逆児"原田芳雄さん幻の主演作『原子力戦争』がDVD化
[第147回]"ファスト風土"を舞台にした犯罪喜劇 J・アイゼンバーグ主演『ピザボーイ』
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[第144回]原発事故を描いた『カリーナの林檎』と今関あきよし監督の背負った贖罪
[第143回]"窮屈なモラル"を脱ぎ捨てた裸の女たち 園子温監督の犯罪エロス『恋の罪』
[第142回]ノーベル賞作家・川端康成が夢想した新風俗『スリーピングビューティー』
[第141回]横暴な上司は有志社員が制裁します!『モンスター上司』のブラックな笑い
[第140回]"クソみたいな社会を変えたい!"高校生テロリストの凄春『アジアの純真』
[第139回] うつ病なんかヘーキ!? 宮崎あおい主演作『ツレがうつになりまして。』
[第138回]"神話"が生まれる瞬間を目撃せよ! 人類への黙示録『猿の惑星:創世記』
[第137回]刑務所で食する至高の味『極道めし』ヒロインの後ろ姿に、むせび泣き!
[第136回]"理想の恋人"という偶像を破壊せよ 深夜番長の劇場デビュー作『モテキ』
[第135回]"城定秀夫監督、ブレイク前夜の予感! 闘争本能を呼び覚ます『タナトス』
[第134回]"人間失格"の道を選んだ映画監督の業 林由美香の最新主演作『監督失格』
[第133回]ホラ吹きのホラを見破る特異な職能 ポランスキー監督『ゴーストライター』
[第132回]芦田愛菜、6歳にして危険な魅力!? 子連れで全力疾走『うさぎドロップ』
[第131回]元"暴走族"が書いた旧友への鎮魂歌 青春懺悔録『アメイジング グレイス』
[第130回]V・ギャロ主演のサバイバルグルメ!? 『エッセンシャル・キリング』
[第129回]『キック・アス』より悪趣味で泣ける 中年男の悪ノリ暴走劇『スーパー!』
[第128回]この夏の清涼剤、地方少女のダンス成長記『あぜみちジャンピンッ!』
[第127回]竹ヤリで世界進出"スシタイフーン"『エイリアンVSニンジャ』ほか逆上陸
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[第18回]1万枚の段ボールで建てた"夢の砦"男のロマンここにあり『築城せよ!』
[第17回]地獄から甦った男のセミドキュメント ミッキー・ローク『レスラー』
[第16回]人生がちょっぴり楽しくなる特効薬 三木聡"脱力"劇場『インスタント沼』
[第15回]"裁判員制度"が始まる今こそ注目 死刑執行を克明に再現した『休暇』
[第14回]生傷美少女の危険な足技に痺れたい! タイ発『チョコレート・ファイター』
[第13回]風俗嬢を狙う快楽殺人鬼の恐怖! 極限の韓流映画『チェイサー』
[第12回]お姫様のハートを盗んだ男の悲哀 紀里谷監督の歴史奇談『GOEMON』
[第11回]美人女優は"下ネタ"でこそ輝く! ファレリー兄弟『ライラにお手あげ』
[第10回]ジャッキー・チェンの"暗黒面"? 中国で上映禁止『新宿インシデント』
[第9回]胸の谷間に"桃源郷"を見た! 綾瀬はるか『おっぱいバレー』
[第8回]"都市伝説"は映画と結びつく 白石晃士監督『オカルト』『テケテケ』
[第7回]少女たちの壮絶サバイバル!楳図かずおワールド『赤んぼ少女』
[第6回]派遣の"叫び"がこだまする現代版蟹工船『遭難フリーター』
[第5回]三池崇史監督『ヤッターマン』で深田恭子が"倒錯美"の世界へ
[第4回]フランス、中国、日本......世界各国のタブーを暴いた劇映画続々
[第3回]水野晴郎の遺作『ギララの逆襲』岡山弁で語った最後の台詞は......
[第2回]『チェンジリング』そしてイーストウッドは"映画の神様"となった
[第1回]堤幸彦版『20世紀少年』に漂うフェイクならではの哀愁と美学
「トマトの卵炒めかよ!」エルメスが五星紅旗をモチーフにした中国限定バーキンを発売!?

ウワサの中国限定バーキン?
高級ブランドバッグの最高峰として、世界中の女性の憧れの的となっているバーキンに、ニューモデルが加わったようだ。深紅のクロコダイル革の表面に、5つの星が輝いている……。どこかで見たことがあると思いきや、ほかでもない、中国の国旗「五星紅旗」である。
実はこの製品、上海の不動産王、周正毅の内縁の妻・毛玉萍が特注して作ったものだ。2人は、1990年代に上海の小さなスープ屋から身を起こして巨万の富を得た、中国立志伝中の人物だったが、ともに証券取引に絡む詐欺とインサイダーの容疑で、2003年に逮捕された。
周はその後、懲役16年の判決を受けて現在も服役中。毛も共犯として逮捕されたが、08年に釈放された。シャバに出た毛は、再び贅沢三昧の生活を謳歌していたようで、このバーキンは自分へのクリスマスプレゼントとして特注したものだという。
その出来栄えによほど満足したのか、毛はバーキンの写真を、中国版Twitter「微博」に自慢げにアップ。すると「悪趣味極まりない。トマトの卵炒めかよ!」「人民の血を象徴する国旗を侮辱するな!」などといった批判を中心に、20分の間に3万人がリツイートする大炎上となったのだ。価格は明らかにされていないが、既製品でも高級車が余裕で変えてしまうバーキンのクロコダイルだけに、人民の反感を買ってしまったようだ。
一方、毛はこうした批判に「今これだけ強大な民族があるのは、無数の烈士の鮮血のおかげ。わたしにとって花や植物なんかより、国旗をデザインしたほうが価値がある」と回答している。
往年のハリウッド女優、ジェーン・バーキンに贈られたのがその名前の由来となっているバーキンだが、いまや金次第で汚職企業家の妻の特注に応じるとは、そのブランドも地に落ちた!?
(文=牧野源)
“正しすぎる”大河ドラマ『平清盛』はヒールのまま終わるのか?

NHK大河ドラマ『平清盛』公式サイトより
「テレビはつまらない」という妄信を一刀両断! テレビウォッチャー・てれびのスキマが、今見るべき本当に面白いテレビ番組をご紹介。
ついにクライマックスを迎えるNHK大河ドラマ『平清盛』。「大河ドラマ史上最低の視聴率」などと批判され苦しんでいるが、一方でその骨太なクオリティで一部のドラマファンからは熱烈な支持を集めている。
長編連続ドラマの魅力は「積み重ね」である。その積み重ねてきた人物造形や関係性が昇華した時や、逆に崩壊した瞬間のカタルシスが醍醐味だ。しかし、それが濃密であればあるほど、視聴者に集中力が要求される。だから、長編ドラマとは思えないような、誰も“成長”も“変化”もしないで同じことを繰り返す薄っぺらな作品が高視聴率を獲ってもてはやされたり、逆に濃密で骨太なドラマが最初の数回のつまずきで低視聴率に苦しむことがしばしばある。
確かに、開始当初の『平清盛』は汚くてうるさい作品だった。主人公の松山ケンイチ演じる清盛は、野生児のクソガキだった。みんながみんな、好き勝手なことばかりやっている、なかなかのめり込みづらい世界観。それでも、阿部サダヲ演じる信西をはじめとする朝廷側はとても魅力的で、特に三上博史演じる鳥羽法皇、井浦新の崇徳院、そして松田翔太扮する後白河院などの公家の、ハマり過ぎるほどハマった熱演は目が離せないものだった。それも長編群像劇の魅力である。人それぞれに誰に思い入れて見るか、優れた作品ほどそれが多様で自由なのだ。そして、それを後押しするようなキャスティングの妙が『平清盛』にはある。先に挙げた公家勢のそれは見事だったし、キーポイントとなる源義経役に、かつての大河ドラマ『義経』(2005)で義経の少年期を演じた神木隆之介が作品を越えて選ばれたのは白眉で、今後のクライマックスを見る心の盛り上がりはハンパない。
『平清盛』の場合、最初からある意味でハンディキャップがあった。多くの日本人にとって、清盛をはじめとする平家は永遠のヒール(悪役)である。義経をはじめとする歴史上のヒーローは源氏。僕らは教科書などで、源氏視点から見る歴史を刷り込まれている。平家は「平家にあらずんば人にあらず」とガハハと驕り高ぶって、栄華を極め、贅沢三昧の生活や傲慢な政治をした挙げ句、自業自得で崩壊した。そんなイメージである。
大河ドラマの特性として、最初からネタバレ状態というものがある。大きな出来事や結末はみんな知っている。しかし、逆にそれを利用して、違った角度から史実を描き、自分たちの知っている歴史観を覆される快感こそ、大河ドラマの醍醐味の一つだ。
いよいよ平家が栄華を極め、同時にその崩壊の予兆が忍び寄る第3部前半。一貫して慣習や伝統を打ち破ろうと奮闘し続け、50歳を過ぎた清盛。もはや、少年時代の野生児的な荒々しさは消え、泰然自若の一家の長としての貫禄と器の大きさで、京から移住した福原に君臨している。その京の留守を任されたのは、長男の重盛(窪田正孝)。彼は高い能力を持ちながら、まっすぐで繊細な青さで偉大な父の影に苦しんでいた。一方、汚れ仕事もいとわない知略と弁才で渡り歩き、清盛からの信頼の厚い義弟・時忠(森田剛)は院の司として重用されていた。財力と武力で実質的な権力の中心は、藤原摂関家から平家に移っていた。
例えば、「殿下乗合事件」(第37話)はそんなパワーバランスの時に起きる。京の橋で重盛の嫡男・資盛(大西健誠)と鉢合わせした藤原摂関家の基房(細川茂樹)は、朝廷への礼節を欠いた資盛の態度を見て、従者たちに資盛を襲わせた。そんなわが子への辱めを受けても礼節を重視する重盛は、苦悩しながらも周囲からの報復すべしの声に耳を貸さず資盛を叱るのみだった。
時忠はそんな重盛の采配を見て言う。
「正しすぎることは、間違っていることと同じだ」
やがて、基房をはじめ平家に対して異を唱える者たちを、禿(かむろ)と呼ばれる武装した童子たちが襲い始める。それは、時忠が放ったものだった。重盛が冷酷になれない自分に嘆き病床に伏し、清盛の妻・時子(深田恭子)が「このままでは平家が嫌われ者になる」と心配するのをよそに清盛は権力の拡大に邁進し、それに呼応するように暴走を止められない時忠は、禿によって恐怖政治を強化していくのだった。
元海賊王で清盛の側近兎丸(加藤浩次)は、時忠に「やりすぎじゃねえか?」と忠告する。それに対して時忠は、厳しい表情で自らに言い聞かせるようにつぶやくのだ。「平家にあらずんば人にあらず……」と。
長きにわたって積み重ね描かれた人間味あふれる人物描写、複雑な人間模様と時代背景。『平清盛』は、それらを丁寧に紡いだ“正しすぎる”大河ドラマだ。だからこそ、驕り高ぶった言葉だと思っていたセリフが、実は一方で苦渋に満ちた言葉だったのではないかと気付く快感を味わえるのだ。
プロレスの世界ではヒール(悪役)がベビーフェイス(善玉)に転向することを「ベビーターン」という。ベビーターンは大きなカタルシスを伴うものだ。時代のヒールに貶められた平清盛は、大河ドラマとしても低視聴率というヒールの扱いを受けてしまっている。ドラマの中で清盛はベビーターンを果たしているが、『平清盛』は大河ドラマとしてもベビーターンができるのだろうか。あるいは、やはり「正しすぎることは、間違っていることと同じ」なのだろうか。
(文=てれびのスキマ <http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/>)
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炎上注意! SNSやTwitterで個人情報をバラまくべからず

最近、「炎上」が問題になっている。炎上とは、ネット上で特定の発言や状況に話題が集中して拡散することを意味する。刺激的な内容であれば、TwitterやSNS、ブログなどを介して爆発的に広まるのが特徴だ。炎上の引き金になる内容は多岐にわたるが、カンニングや飲酒運転、万引き、いじめなどの行為を自慢するために投稿し、第三者によって広められることが多い。その際、ネットの住民たちによって、個人情報を根こそぎ晒され、実害が出ることもある。
ネット住民による、この個人情報の収集能力は恐ろしく高い。Twitterで失言があった場合、その過去の投稿をすべてチェックし、ユーザー名などのプロフィールも元に個人を特定しようとする。たとえ本名で利用していなくても、特定するための手がかりは無数にある。食事を取ったお店、友人と撮影した写真、投稿に付随する位置情報などなど。同じユーザー名で、mixiやFacebookなどを利用していれば、そちらから詳細な個人情報が漏れることもある。一旦炎上すると、数万人から数十万人が目にするので、通常のネット検索では見つからない情報からも特定されてしまうことがある。
7月にはアメリカのファストフード店で客に出すためのレタスを踏んでいる写真を投稿したユーザーがいたが、大炎上して即身元を特定される事件があった。その後、このユーザーは解雇されている。日本でも多数の事例が発生しており、特定されたユーザーが、退学や解雇に追い込まれることも多い。
明らかな犯罪行為を全世界に公開するのは、炎上して当たり前ともいえる。しかし、本人は炎上するとは思っていない投稿が炎上することも頻繁に見受けられる。例えば、電車で席を譲ってくれない人やいびきをかいて寝ている人を写真付きで晒すケースや、写真がなくても、有名人を目の前で見て誹謗中傷したり、犯罪行為を肯定する投稿も炎上を招く。ここは、常識とかモラルといったバランスの問題になるので線引きは難しいが、下手なことは投稿しないほうがいい。
また、このネットリンチというべき現象は、無視できない弊害も起こしている。問題の原因ではない、別人に被害が及ぶことがあるのだ。炎上したユーザーの投稿をしらみつぶしにチェックした時に、本文や写真に現れる友人や家族関係にも調査の手が伸びる。完全にとばっちりだが、その際に突っ込みどころのある投稿が見つかると、炎上ユーザーの知人はやっぱりそんな人物だった、として拡散してしまうのだ。ネットに流れてしまった情報は削除することができない。将来にわたって、カンタンに検索されてしまう状態になるのだ。人によっては、就職や結婚に支障が出てしまうこともあるだろう。
対策としては、ネットには個人情報をなるべく出さないことが重要だ。モラルに反するような投稿はしない。危険人物とはつながりを切る、といったことも有効。筆者も知人にはそのようにアドバイスするのだが、「それでは天気の話しかできない」と返される。それは確かにその通りなのだが、炎上したり、炎上に巻き込まれた時の被害は計り知れない。プロフィールの内容を特定されないように変更したり、GPS設定を切るなど、最低限の対策はしておきたい。バカな投稿をしたことがあるなら、そのアカウントは削除して、新たにやり直すといったことも検討することをお勧めする。
(文=柳谷智宣)
錯綜する『紅白』出場者報道 “全滅”のはずのK-POP枠に少女時代がねじ込まれる!?

第63回 NHK紅白歌合戦
芸能取材歴30年以上、タブー知らずのベテランジャーナリストが、縦横無尽に話題の芸能トピックの「裏側」を語り尽くす!
ここのところ芸能マスコミでは、年末のNHK『紅白歌合戦』の出場者に関する情報が錯綜している。最近も、プリンセスプリセンスや由紀さおり、SKE48の内定情報が流れた。芸能記者たちがこぞって、芸能プロ側やNHK側などさまざまなルートを駆使して情報をかき集めているが、筆者が入手した紅白出場情報もここで公開しよう。
まず、今年は竹島問題による日韓関係悪化で“韓流枠”が全滅といわれているが、少女時代だけは出場するという情報を得た。そもそも国内の歌手や楽曲を対象にしてきた紅白はK-POPには消極的で、“K-POP旋風元年”であった2010年も、東方神起やBIGBANG、KARAなどに紅白出場の声が上がったが、結果的にはどのグループも出場に至らず。その裏では、NHK独自の判断だけではなく、紅白に絶大な影響力を持つ大物芸能プロオーナーが、自らが利権を持つ演歌勢を押し込むために、水面下でK-POP排除に暗躍したといわれている。
当時、BIGBANG、KARAなどの国内のマネジメントを手がけていた、K-POP推進派で、日本音楽事業者協会の会長を務める「プロダクション尾木」の尾木徹社長やユニバーサルミュージックの関係者らも“韓流枠”確保のために奔走したが、結局は、この大物芸能プロオーナーにはかなわなかった形だ。
しかし、11年は両陣営が和解。大物芸能プロオーナーもK-POP利権を握ったためか、東方神起、少女時代、KARAの3組が出場した。さらに今年は、これらにBIGBANGを加えた計4組が出場当確といわれていた。
ところが、8月に竹島問題が再燃したことで日韓関係が悪化。NHKの松本正之会長が9月の定例会見で、国民からの反発を考慮してか、今年はK-POP歌手を出演させないことをにおわせた。これを受けて、韓流枠が全滅という見方が強まったのだが、10月上旬に放送されたNHK『MUSIC JAPAN』に少女時代が出演。NHKの内情に詳しい音楽関係者によれば、少女時代は年内に同局の別の歌番組に出演することも決まっているという。
これは、紅白出場のための布石のようだ。もし、韓流枠が全滅ということになれば、「文化や芸能に政治を持ち込まない」という大原則が崩れる。しかし、K-POP偏重に違和感を覚えているだろう、年配者からなる紅白の主要視聴者層は無視できない。それだけに一組だけ出場させて、お茶を濁すつもりではないだろうか。そこで白羽の矢が立ったのが、前出のユニバーサルが現在最も力を入れている少女時代だったというのだ。ただし、このあたりは韓国側事務所の都合で二転三転する可能性もあるので、予断は許さない。紅白に出場することになれば、少女時代が韓国国内での反発を浴びることは避けられないからだ。
■幸子、NHK参りの成果で“逆転出場”なるか
K-POPに並んで、「出るか出ないか」で注目を浴びているのが小林幸子だ。今年、“事務所社長の解任騒動”で、前出の大物芸能プロオーナーほか、業界の主流派からひんしゅくを買った小林の、紅白への出場は絶望視されていた。しかし、10月17日に新曲「茨の木」を発売すると同時に、巻き返しを図りにかかったようだ。
そもそも、日本コロムビアに契約解除されて、事実上、NHKを出入り禁止になった小林をなんとか番組に出演させようと、小林とマネジメント契約を結んだ“演歌界の実力者”ワクイ音楽事務所の和久井保代表がNHKに日参。NHKの番組出演条件は、新曲を出すことだったという。
そこで和久井氏らが奔走、小林の親友であるさだまだし作詞作曲による新曲を急遽発売した。これにより、来年1月11日放送予定の『BS日本のうた』の出演が決まり、出禁は解けた。さらに、小林自身もNHKに出向き、『のど自慢イン台湾』のゲスト出演の際に知り合ったNHK理事と、小林が大河ドラマ『花の乱』(94年)に出演した時の番組プロデューサーだった現理事に、紅白出場を直談判したという。
これで風向きは変わったようだ。ある音楽プロ関係者は「NHKも、ここまで話題性が高まった小林を出演させることは、オイシイと感じだしたんでしょう。くだんの大物芸能プロオーナーはいまだ反対しているようですが、彼の言いなりにはならないはず。小林の出場は堅いですよ」という。
一方、小林の出場をのむ代わりの交換条件ではないだろうが、この大物芸能プロオーナーが推す香西かおりが、07年以来、久しぶりに出場する可能性が高そうだ。
「香西は出場15回を誇るベテランですが、ここ数年は落選していた。今年はデビュー25周年を迎えて、是が非でも出場を果たしたいと、早いうちから水面下で動いていた。5月に発売された『酒のやど』の出版権の一部を大物芸能プロオーナー側に渡すことで、プロモーションをバックアップしてもらっているんです。その流れの中で、この芸能プロオーナーが紅白出場も猛プッシュしている。このままいけば、出場は間違いないでしょう」(レコード会社関係者)
演歌勢に関しては、氷川きよしを除けば、今年際立ったヒット曲を出したという歌手がいない中で、紅白出場の可否は政治力がものをいう。これからも数少ない“演歌枠”をめぐって、各陣営の激しいせめぎ合いが続くだろう。小林、香西が出場することになれば、思わぬ大物歌手の落選があるかもしれない。発表までの1カ月ちょっと、もう一波乱あるかもしれない。
(文=本多圭)
フジテレビ“ドラマ惨敗枠”深田恭子で好スタートも「二番手は佐々木希なので……」

フジテレビ『TOKYOエアポート~東京空港管制保安部~』
「予想外の好スタートで、スタッフ一同、驚いていますよ。今まで“数字の取れない枠”といわれていましたし、出演者もそんなに豪華じゃないですからね。ドラマそのものが面白いと評価されたんでしょう」(フジテレビ関係者)
深田恭子主演のドラマ『TOKYOエアポート~東京空港管制保安部~』(フジテレビ系)が初回視聴率14%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と、まずまずのスタートを切った。
「この枠は、あのオダギリジョーの『家族のうた』、芦田愛菜ちゃんの『ビューティフルレイン』と、どちらも大惨敗していた枠ですから、14%という過去最高の数字でフジもホッとしているんじゃないでしょうか。何せ、フカキョンの次が、あの佐々木希ですからね」(芸能事務所関係者)
佐々木希といえば、最近は“女優”として売り出されており、ドラマだけでなく映画にも出演するなど活躍の場を広げているのだが……。ある映画関係者が声を潜めて話す。
「いかんせん、彼女は数字を持っていないと判断されていますよ。実際、彼女が出演した映画はほとんどヒットしていませんし、初主演ドラマだった『土俵ガール!』は平均視聴率が2%で、彼女が出演した連ドラはほとんどが平均1ケタです。彼女はCMタレントですよ。実際、先日撮影した映画『サンゴレンジャー』は、惨憺たるものでしたよ」
『サンゴレンジャー』は、沖縄を舞台に撮影された映画だったのだが、相変わらず彼女のスケジュールが多忙なせいで、満足な撮影ができなかったという。
「それで、関係者は公開前にもかかわらず『つまらない映画になっちゃったな』と、自虐的になっています。本当に女優に専念する気があるんだったら、CMやモデルの仕事をもう少し控えてもいいんじゃないでしょうかね」(同)
佐々木は、本当に“女優”をやりたいのだろうか……。