
『東京全力少女』
CM、ドラマ、映画と、18歳にしてすさまじい仕事量をこなす女優・武井咲だが、肝心の主演ドラマ『東京全力少女』(日本テレビ系)の視聴率がどうにも奮わない。水曜22時といえば、昨年『家政婦のミタ』が最終回40.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)を叩き出した、日テレにとってはゲンのいい枠。ところが『東京全力少女』は初回から9.0%と2ケタを割り込み、最新の12月5日放送分では5.4%まで落ち込んでしまっている。
日テレ側もさぞかし落ち込んでいるかと思いきや、局内ではこの数字は想定内だったという声も聞こえてくるのだという。
「武井さんが数字を持っていないことは、放送前から明らかでしたからね。所属事務所オスカーのおかげで膨大な仕事量をこなしていますし、現にこの『東京全力少女』で3作続けて連ドラの主役を張るというトップ女優並みの活躍ですが、今回も含めてドラマは全部コケてるでしょう」(スポーツ紙記者)
確かに、前クールの『息もできない夏』(フジテレビ系)の平均視聴率は9.8%、その前の『Wの悲劇』(テレビ朝日系)は9.1%と、いずれも2ケタに届いていない。
「つまり、“人気があるから仕事が多い”のではなく、“仕事を増やして人気があるように見せている”のが実情ですよ。これは巨大事務所のオスカーだからできるやり方で、イチオシの女優をドラマや映画にねじ込んで主役を張らせ、それを宣伝材料にギャラの高いCMを取ってこようという算段なんです。上戸彩がこの方法で大成功しましたが、その上戸が結婚したため、オスカーとしては後継者作りに躍起なんでしょう」(同)
演技力、ルックスとも、女優としての適性は申し分なしと各界から太鼓判を押されている武井。かつて主演やヒロインを務めたドラマがことごとく低迷し、“低視聴率女王”と呼ばれた上戸から、その不名誉な称号まで受け継いでしまうのだろうか。
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ガンダム史上屈指の空気アニメ『ガンダムAGE』コミカライズ作品を、レビューしてみた!

『機動戦士ガンダムAGE クライマック
スヒーロー』(小学館)
「アニメ版がダメダメだったガンダムのコミカライズやノベライズは、むしろ傑作になる」というガンダムの法則が、一部のガンダムファンの間でまことしやかにささやかれているとかいないとか。
そんな与太話はとりあえず横に置いておいて、11月末に子ども向け漫画雑誌「コロコロコミック」(小学館)で連載されていたアニメ『機動戦士ガンダムAGE』第3~4部コミカライズ版の単行本『機動戦士ガンダムAGE クライマックスヒーロー』(漫画:鷹岬諒)が発売されたので、さっそくレビューしてみよう。
アニメ版『ガンダムAGE』は、あれこれと伏線を張った端から、それをほとんど生かすことなくただ消化していくばかり……というずいぶんとお粗末な内容となっていたが、コミカライズ版は子ども向け月刊誌での連載という縛りから、余分な伏線や登場人物はばっさりとカット。
アニメ版ではぽっと出のボスキャラが大暴れして、取ってつけたような親子三世代の総力戦が描かれた最終決戦も、こちらはシンプルに第3~4部の主人公・キオと第2部から登場したライバルキャラ・ゼハートの戦いへと改変。第2部の主人公を務めたキオの父・アセムの手助けを得たキオが、これまで戦争に巻き込まれてきた人々の意志を継いで勝利。そして、復讐に燃える第1部の主人公にして祖父のフリットを説得し、戦争を終結させるというアニメ版では今一つ弾け切ることのできなかったキオの大活躍が描かれる。
つまり、原作であるアニメ版の持っている「いい部分」を抽出し、余分な要素を排除して再構築しているのだ。いろんな意味でモヤッとした感が拭えなかったアニメ版にはない爽やかなラストを見ると、「むしろこちらが原作?」とでも言いたくなるほどだ。
ところで、「コロコロコミック」連載の『ガンダムAGE』コミカライズといえば、アニメ放送スタートと同時に連載をスタートし、『クライマックスヒーロー』と入れ替わりで完結を迎えた『機動戦士ガンダムAGE トレジャースター』(漫画:吉田正紀)も忘れてはならない。
宇宙に強い憧れを持つ少年・ダイキが宇宙キャラバン「トレジャースター号」に、父親の作ったモビルスーツ「ガンダムAGE-1」とともに乗り込み、伝説の宝物「大いなる翼」を探し求める。という王道の冒険ものといった趣の本作。子ども向け漫画雑誌らしい、ドタバタギャグと理屈抜きのアクション満載ながら、ダイナミックなSF要素を盛り込んだ壮大なストーリー展開。「なぜダイキの父親がガンダムAGE-1を作ることができたのか(『ガンダムAGE』の世界では、ガンダムは世界に1機のみである)」、「大いなる翼とはなんなのか」など、一見アニメ本編とリンクしてなさそうで丁寧に練られた設定は、読みごたえ十分だ。
また、キャラクターやメカも個性豊かだ。これでもかと弾薬を積み込んだ、大阪弁のパイロット・コテツの愛機・コテツジェノアスや、ひたすら高機動性を追求した、猫耳美少女パイロット・ルーガの愛機・ルーガエグゼスなど、キャラとぴったりマッチしたメカが大活躍。往年のスーパーロボットものの要素と、「ガンダム」ファンも納得のミリタリ設定が共存したオリジナルの量産型モビルスーツの数々は、ロボフェチ読者の胸を躍らせることだろう。さらにダイキの駆るガンダムAGE-1も、仲間のピンチを救うべくフェニックスウェアという『トレジャースター』オリジナルの進化を果たすといった具合に、外伝のコミカライズと一言で言ってしまうにはもったいないくらい、多くのアイデアが詰め込まれているのだ。
そんな本作のクライマックスは、ガンダム史上類を見ない大スケールなストーリーが展開する。アニメ版では、時系列に沿ったストーリーテリングで世代間のドラマを描いた『ガンダムAGE』だが、本作はそれとは全く異なった切り口で描いてみせる。誰もが予想だにしなかった形で、人が積み重ねてきた歴史の重みを感じることとなったダイキが迎えるラストシーンは必見。少年漫画らしい熱血要素もありつつ、骨太なSFドラマを描き切った最終話を読み終えると、「こういう内容なら、子ども向けのガンダムもありかも……」
と誰もが思うこと必至だ。
そういえば『ガンダムAGE』は、ファン年齢が上がりすぎた『ガンダム』というコンテンツを、子どもでも楽しめるようにする――。というコンセプトの下に制作されたという話を聞いたことがあるが、本編のアニメ版では途中からすっかりその目的が忘れられていたように感じられる。そういう意味で初志を貫徹した『トレジャースター』こそが、本来作られるべき『ガンダムAGE』だったのではないだろうか。
また、今回のレビューでは取り上げなかったものの、小太刀右京によるノベライズも忘れてはならないだろう。アニメではフォローされなかったキャラクター描写や、「それってどうなの?」と誰もがツッコミたくなるようなシーン、なかったことになった設定などを、丁寧に補完・改変し、アニメ版のダメ要素をことごとく良アレンジ。「こっち(ノベライズ版)をアニメ化しろよ!」というガンダムファンの声もあるとかないとか。
というわけで、今もなおプラモデルなどの商品展開は続くものの、関連書籍のリリースも一段落ついて、とりあえず終わりを迎えた感のある『ガンダムAGE』。
「正直言って、『ガンダムAGE』の盛り上がらなさは異常でした。放送終了と同時に、なんとなく業界全体に『ガンダム』オワコン化の雰囲気をもたらしてしまったほどです」
とある出版関係者はこう語るが、アニメ版だけ見て『ガンダムAGE』は語っちゃいけない! 千に一つ、万に一つの確率でも『機動戦士ガンダムAGE オリジン』とかなんとか言ってリメイクの機会があれば、これら原作の持ち味を最大限に生かして再構築したコミカライズ&外伝作品の要素を取り込んだ、真の『ガンダムAGE』が見れるはず! そんなドリームを見るくらい許してくださいよ! カテジナさん!
(文=龍崎珠樹)
◆「週刊アニメ時評」過去記事はこちらから
AKB48増田有華に手を付けた“天才肌のヤリチン”ISSAを待ち受ける「謹慎の日々」

『Chosen Soldier』
( エイベックス・エンタテインメント)
AKB48の増田有華と不倫お泊まり騒動を引き起こしたDA PUMPのISSAが、所属レコード会社のスタッフから猛反発を受け、窮地に陥っているという。
「ISSAはかつて伊東美咲や柴咲コウなどの人気女優と浮名を流し、プレイボーイの名をほしいままにしていました。しかし、10年前と今では事情がまったく違います。当時のISSAはスターでしたが、現在では音楽活動に行き詰まって舞台公演で食いつなぎ、本来であればダンス講師業をやっていてもおかしくないレベル。エイベックスが苦労して入れた舞台の仕事で、相手役の増田有華に手を付けるなど、スタッフにとっては許しがたい暴挙なのです」(マネジメント関係者)
現在のDA PUMPではオリジナルメンバーはISSAひとりで、若いダンサーが7名メンバーに名を連ねている。EXILEの向こうを張った“大所帯編成”を誇るが、実態はグループとしてほとんど機能していないという。ISSAの人望のなさも、その理由のひとつのようだ。
「4人組時代のDA PUMPを引っ張っていたのはKENで、彼はスタッフやほかのメンバーからも信頼されていました。ISSAはよく言えば天才肌、悪く言えば気ままなヤリチン男(笑)。リーダーでありながらも“ダンスがうまけりゃいいだろ”という感じで、グループに協力する姿勢がもともと薄かったんです。他メンバーが不祥事で去り、KENも方向性の違いからグループを去った後、DA PUMPをまとめるメンバーは誰もいなくなってしまいました」(エイベックス関係者)
もっとも、DA PUMPはエイベックスと関係の深いマネジメント事務所ヴィジョンファクトリーに所属しているだけに、エイベックスも簡単に切ることはできないという。
「DA PUMPはジャニーズ事務所以外で90年代以降、最も成功した男性アイドルグループです。ジャニーズ所属タレントとの共演がNGとなるなど、さまざまな障害があったのですが、エイベックスとヴィジョンファクトリーで力を合わせて乗り越えてきた経緯がある。DA PUMPという看板に思い入れを抱く両社の古参幹部も多いため、ISSAの女性問題くらいでは解散させられないでしょう」(別のマネジメント関係者)
同郷のオリジナルメンバーが去り、婚約相手の福本幸子が去り、いまやスタッフからも見放されようとしているISSA。女遊びはさておき、本業ではしばらく“飼い殺し”の生活が続きそうだ。
(文=越谷由紀)
イエメン大富豪の無理難題にユアン・マクレガーが挑む!『砂漠でサーモン・フィッシング』

(C)2011 Yemen Distributions Ltd., BBC and The British Film Institute.
All Rights Reserved.
今週も話題の最新映画の中から、奇想天外な展開とユーモラスなエピソードに引き込まれ、終盤はじわじわと感動がわき起こるユニークな実写作品と3Dアニメの2本を紹介したい。
『砂漠でサーモン・フィッシング』(12月8日公開)は、英国で話題を呼んだベストセラー小説をユアン・マクレガー主演で映画化したハートウォーミングなドラマ。英国の水産学者ジョーンズ博士(マクレガー)のもとに、イエメンの大富豪の代理人を務める女性ハリエット(エミリー・ブラント)から奇妙な依頼が舞い込む。「砂漠の国イエメンに鮭を泳がせて、鮭釣りができるようにしてほしい!」。ジョーンズは実現不可能と断るが、中東との緊張緩和を演出したい外務省が支援を決め、荒唐無稽な国家プロジェクトに発展。しぶしぶ承諾したジョーンズだったが、大富豪やハリエットの人柄に触れ、共に難題に取り組むうち、心境に変化が訪れる。
『スラムドッグ$ミリオネア』(08)のサイモン・ボーフォイによる脚本と、『ギルバート・グレイプ』(93)のラッセ・ハルストレム監督のメガホンで、英国人らしい風刺の効いたストーリーを巧みに映像化。意表を突くスリリングな場面やスペクタクルなシーンが出てくるかと思えば、政治家と広報官のショートメッセージを使ったお茶目なやりとりや、意味深な「魚視点の映像」など、クスリと笑わせるウィットも効果的。次々に問題が降りかかるプロジェクトの成否に加え、ジョーンズとハリエットのほのかな恋の行方も最後まで見逃せない。
続いて12月15日公開の『フランケンウィニー』(2D/3D上映)は、『アリス・イン・ワンダーランド』(10)のティム・バートン監督が、ストップモーションアニメのモノクロ3D映像という珍しい表現形式にチャレンジした意欲作。科学と映画作りが大好きな少年ヴィクターは、唯一の「親友」だった愛犬スパーキーを交通事故で亡くしてしまう。悲嘆するヴィクターだったが、カエルの死体に電気を流すと脚が動く実験にヒントを得て、落雷の電力を利用しスパーキーを見事よみがえらせる。しかし、死んだ犬を蘇生させたことが同級生らに知られてしまい、小さな町にやがて大騒動が持ち上がる。
バートン監督が長編デビュー前、1984年に製作した同名の実写短編映画が今作の原点(ただし当時から、ストップモーションアニメの構想はあったとか)。絵やパペットのキャラクターを動かして「命を吹き込む」というアニメーションの魔法に出会った若き日のバートンの喜びが、古典ホラー『フランケンシュタイン』を下敷きにした本作のストーリーにオーバーラップする。バートン監督のトレードマークであるキモカワ系のキャラたちが、ノスタルジックなモノクロの映像にしっくりとなじみ、さらに最新の3D映像技術で活写された本作。日本の怪獣映画も含む過去の特撮モノやホラー映画へのオマージュも満載で、往年の映画ファンから親子連れまで幅広い世代が楽しめる娯楽作に仕上がっている。
(文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉)
『砂漠でサーモン・フィッシング』作品情報
<http://eiga.com/movie/58008/>
『フランケンウィニー』作品情報
<http://eiga.com/movie/56857/>
【清野とおるの、キ○チ○ガ○イと呼ばないで】第8話「ファック観葉植物」
観葉植物。
置くと部屋がオシャレになるし、ストレス解消にもなるし、目にも優しいし、いいことばかり……と思ってるそこのアナタ!!!
そう、アナタアナタ。
そう、ほら、そこのメガネのアナタ。
そう、お前だよお前。
最初は俺もそう思っていたのですが、そんないいことばかりではなく、時に観葉植物は恐ろしい凶器になるということを今日はお教えしましょう。
あれは、俺が一人暮らしを始めた2003年の秋のこと。
必要最低限の生活調度品や家財道具すらろくに買い揃えていないのに、花屋で観葉植物を物色している俺がいた。
昔から、観葉植物に強い憧れを抱いており、一人暮らしを始めた際には絶対に観葉植物を置くぞと心に固く決意していたからだ。
何を隠そう、実家の部屋はとても狭い上に物も多かったので、観葉植物を置く余裕がなかったのだ。
どれにしようか迷った結果、「幸福の木」というのに俺の観葉植物童貞を捧げることにした。
何がイイって、そんなの名前がイイに決まっている。
購入し、早速部屋に飾ってみた。
それを部屋に置いただけで、運気が急にアップしたかのような、まるで俺の人生に幸福がやってきたかのような、そんな温かい気持ちになった。
恐るべし、観葉植物効果!!
しかし幸福の木は、2週間もしないうちに枯れてしまった……。
水をあげすぎたのだろうか?
太陽に当てなかったからだろうか?
観葉植物初心者の俺にはよくわからなかったけど、とにかく幸福の木は枯れた。
俺のすべての運気が「皆無」になってしまったかのような、まるで俺の人生を全否定されたかのような、そんな陰鬱な気持ちになった。
枯れた観葉植物ほど非オシャレでみすぼらしいものはないので、すぐに捨てた。
そして再び花屋に赴き、第二の観葉植物を物色。
花屋のおばさんに、幸福の木が早々に枯れて、軽いPTSDに陥ってしまった経緯などを説明すると、「ああ、それなら」と、店内からある観葉植物を持ってきてくれた。
それは、サンスベリアという観葉植物。
育てるのが楽な上にマイナスイオンまで出されたら、そんなのもう購入するしかない。
早速購入し、部屋に飾った。
おばちゃんの言うとおり、サンスベリアはろくに水も光も与えなくても枯れずにピンピンして、俺の部屋になじんでくれた。
マイナスイオン効果か、部屋の空気も若干まろやかになったような気がしたけど、それは多分絶対気のせいだ。
形もサボテンを彷彿させ、なんともオシャレで気に入ったので、もう2鉢追加購入し、玄関に1つ、部屋に2つ置いた。
そしてサンスベリアに囲まれた、幸せな日々を送った。
そんなある日。
観葉植物との関係が修復不可能となるほどの、おぞましい事件が起きる。
外出しようと玄関を出た時、忘れ物に気づいたので部屋に戻ろうとした時のこと。
靴ひもを結び直すのが面倒だったので、「靴を片方だけ脱いでケンケンの術」で部屋に戻った。
「ギャ、ギャーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
滑って転んだ先のサンスベリアに、顔面からダイブしてしまったのである……。
葉の先端が眼球に刺さる瞬間、反射的に目を閉じたので、眼球の損傷は免れた。
それでも目は真っ赤に充血し、洒落にならない雰囲気だったので、急いで眼科に行った。
ストレス解消にもなるし、目にもやさしいはずの観葉植物。
ストレス解消どころか、人生の4番目くらいの激しいストレスが俺を襲った。目にやさしいどころか、危うく失明するとこだったし。
今更マイナスイオン放出されたって、そんなのもう、ねえ……。
見るのも嫌になった俺は、その日のうちにすべてのサンスベリアを処分したのでありました。
以後、現在に至るまで俺の部屋に観葉植物は、ない。
ファック観葉植物。
(文・イラスト・写真=清野とおる)
●せいの・とおる
1980年生まれ。東京都板橋区出身。地元・赤羽に生息する奇妙な人々を生き生きと描いた漫画『東京都北区赤羽』(Bbmfマガジン )が大ヒット中。
Twitter <https://twitter.com/seeeeeeeeeeeeno>
◆「キ○チ○ガ○イと呼ばないで」過去記事はこちらから
ボクシング亀田の“御用紙”デイリーで、元世界王者・畑山氏が異例の痛烈批判「こんな試合でいいのか」

亀田興毅オフィシャルブログより
異例の批判に業界が騒然としている。
5日に大阪で行われたプロボクシングWBAバンタム級タイトルマッチに出場した同王者・亀田興毅が挑戦者のウーゴ・ルイスを退けたが、この試合を、翌日のデイリースポーツで元世界王者・畑山隆則氏が「こんな試合でいいのか」「こんな試合をしていたら、ファンの目は騙せない」などと痛烈に批判。「日本バンタム級王者の岩佐亮佑選手(セレス)とぜひ対戦してほしい」と、国内の実力者の具体名を挙げて対戦を要望するなど、亀田の世界王者らしからぬ戦いぶりに苦言を呈した。
「デイリーはそもそも、亀田ブームの黎明期から人気の盛り上げに一役買ってきた、亀田にとっての“御用紙”です。これまで、不可解な判定や反則行為で亀田三兄弟に世間の厳しい目が向いたときも、一貫して擁護の姿勢を貫いてきた。それだけに、今回の畑山氏の批判は波紋を呼びそうですよ」(専門誌記者)
畑山氏が批判を展開したのは、デイリー紙面の「畑山評論」という欄。以前にもWBC世界スーパーフライ級王者・佐藤洋太の試合に対して苦言を呈するなど、厳しくもボクシング愛にあふれた批評に読者の信頼も厚いコーナーだ。
実は、畑山氏と亀田三兄弟の間には、中継番組の解説席をめぐっての因縁もあるのだという。
「畑山氏は引退後、TBSのボクシング中継番組で竹原慎二氏とともに解説者を務めていたんです。ところが、亀田が際どい判定で勝利をものにした試合で2人が“正直”なコメントをしたところ、2人とも解説者を降板させられてしまった。亀田の人気は、そうやってTBSに作られ、守られてきたんです。その後、鬼塚勝也氏や佐藤修氏らの元世界王者が解説を務めていますが、亀田に不利な展開になると明らかにコメントに困っている場面をたびたび見かけますよ。おそらくTBS側からの“NG要望”があるんでしょう」(同)
実力派世界王者の防衛戦中継が地上波から消えてゆく中、今回の試合でも平均視聴率20%を超えるなど、相変わらず国民的な関心を集め続けている亀田三兄弟。だが、兄弟2人が世界タイトルを獲得し、長男・興毅は日本人唯一の3階級制覇を成し遂げているわりには、業界内での評価は著しく低いのが実情だ。“御用紙”からの異例の批判も、今後の試合ぶりで見返していくしかないだろう。
もし“理想の恋人”が目の前に現われたどーする!? 情熱的で予測不能な彼女『ルビー・スパークス』

『リトル・ミス・サンシャイン』(06)のジョナサン&ヴァレリー監督夫妻の
6年ぶりの新作『ルビー・スパークス』。ゾーイ・カザンの魅力が爆発。
誰しも頭の中には“理想の恋人”が暮らしている。子どもの頃に夢中になったアイドル、ずっと想いを寄せていた初恋の相手、若くて優しかった頃の肉親の面影……それらのイメージが混然一体化した最強の脳内恋人だ。一種の偶像崇拝であり、そんな理想の恋人は現実には存在しないことは分かっている。でも万が一、実在したら? 自分の頭の中から飛び出してきて、目の前に現われたら? でもってベッドを共にしたら? ライトノベルや深夜アニメで取り上げられそうな極めてチープでシンプルな題材に、映画『ルビー・スパークス』は堂々と挑んでいる。最初はたかをくくって観ていたものの、“理想の恋人”を演じたゾーイ・カザンの透き通った青い瞳にすっかり引き込まれてしまう。
映画には実に様々な“理想の恋人”が登場してきた。映画『モテキ』(11)の幸世(森山未來)は七転八倒、悪戦苦闘の末に、みゆき(長澤まさみ)という最高の美女を手に入れる。でも、理想の彼女をゲットしたら、その後が大変だ。恋愛成就という非日常的イベントが、やがて日常風景へと変わってしまう。幸世は念願の恋人を手に入れた喜びと同時に途方に暮れてしまう。パトリス・ルコント監督の『髪結いの亭主』(91)の主人公(ジャン・ロシュフォール)は、少年の頃からずっと夢に見てきた理想の女性(アンナ・ガリエナ)と出会ってしまったばっかりに、残酷な仕打ちを受ける。甘くとろけるような幸福な日々の代償として、その後は空虚な人生を歩むはめに陥る。

ずっとひとり暮らしをしていたカルヴィン
(ポール・ダノ)は“理想の恋人”ルビー
(ゾーイ・カザン)と一緒に暮らし始めることに。
SFファンタジー『ある日どこかで』(81)で若き劇作家に扮したクリストファー・リーヴの場合はもっと悲惨だ。古い写真の中の美女(ジェーン・シーモア)に直接逢うために、催眠療法を使って70年近い“時間の河”をさかのぼっていく。運命の女性との遭遇を果たすが、その結果命を落とすことになる。理想の恋人と出会うことは、非常にリスキーなことなのだ。それでも逢ってみたい、理想の恋人に。心の片隅で誰もが願う深層心理が、映画というフィクションの世界を突き動かしていく。
『ルビー・スパークス』のヒロインであるルビー(ゾーイ・カザン)は小説に出てくる女の子の名前。人づきあいが苦手で、犬の散歩以外は自宅に引き蘢っている小説家のカルヴィン(ポール・ダノ)が日記代わりに書き始めた小説の草稿に登場する。デビュー作は運良くベストセラーになったものの、その後はまったく小説が書けなくなってしまったカルヴィンは、精神科医に勧められ、自分が気に入っていることをテーマに文章を書き始める。恋人と別れて久しいカルヴィンは、自分が想像する理想の女の子との恋愛物語なら楽しく書けるだろうと軽い気持ちでタイピングを始めた。好奇心旺盛でちょっとエキセントリックな不思議ちゃん。家族のいない、どこか淋しげな影が差している。自分好みなルビーの容姿、性格、プロフィールを打ち込み、満足げに眠りに就くカルヴィン。そして翌朝、ベッドから起きると、小説の中で描いたまんまの女の子が目の前にいたのだ。彼女は自分のことを「ルビー」だと名乗るが、自分が小説上の存在であることには気づいていない。かくして、理想の恋人と過ごす理想の生活がスタートする。

最初はラブラブだったカルヴィンとルビー。だが、自由奔放な性格の
ルビーを家に閉じ込めておくわけにはいかなかった。
理想の恋人であるルビーと一緒にいるだけで、カルヴィンは大満足だ。彼女との理想の関係を壊すわけにはいかないので、カルヴィンは不用意に小説を書き進めることを中断する。恋愛小説の多くは、悲しい結末が待っていることをカルヴィンは知っているからだ。タイプライターを封印し、これで理想の恋人と永遠に暮らすことができると喜ぶカルヴィン。最初は確かに楽しかった。だが、進展しない淀んだ物語の中では、理想の恋人だったルビーは平凡で退屈な女へとどんどん劣化していく。理想の恋人が性格ブスへと変貌していくのが恐ろしい。下らないテレビ番組を1日中ずっと見ていたかと思うと、家にじっとしているのは耐えられないと週に1日は外泊することを要求する。小説の世界から飛び出したルビーは自分の意志を持ち、カルヴィンを振り回すようになっていく。
マグロは泳ぎ続けないと息ができない。ルビーも物語を書き進め、新しい刺激を与え続けないとダメ女になってしまう。付き合いはじめた頃はお互いにドーパミンが出まくってラブラブだったのに、非日常的な恋愛関係が日常生活へと変わっていくと脳内ホルモンの分泌がぴたっと止まってしまう。理想の恋人ルビーとのドン詰まった関係を解消するために、カルヴィンはついに覚悟する。悲しい結末が待っているかもしれないが、物語の続きを書き進めようと。曲がりなりにも小説家であるカルヴィンは、物語には物語そのものに推進力があり、その力には作者でさえ抗えないことを理解している。それでも続きを書き進めるしかない。そして、小説の続きを書き始めたカルヴィンは、自分はずっと執筆をためらっていたのでなく、人生という大きな河の流れに飛び込む勇気がなかったことを思い知る。ルビーは身をもって、そのことを教えてくれたのだ。
本作の脚本を手掛け、ヒロインのルビーを演じたのはゾーイ・カザン。『エデンの東』(54)『草原の輝き』(61)の巨匠エリア・カザン監督の孫娘だ。ルビーの彼氏カルヴィンを演じるのは『リトル・ミス・サンシャイン』(06)でダメお兄ちゃんを好演したポール・ダノ。劇中のルビーとカルヴィンよろしく、ゾーイ・カザンとポール・ダノは現在交際中とのこと。映画は2時間足らずで完結するが、現実世界を生きるゾーイとポールの関係は今後どうなるかは分からない。でも、そんなことを口にしたら、きっとルビーなら笑い飛ばすだろう。「そんなのちゃんちゃらおかピーわ。おへそでエスプレッソを淹れちゃうわよ」。それも、とても流暢で優雅なフランス語で。きっと多分、ルビーが正しいんだろう。未来は予測できないし、予測できないからこそ面白いのだ。明日がくることを恐れないルビーは、スクリーンの中でキラキラと輝いている。
(文=長野辰次)
『ルビー・スパークス』
監督/ジョナサン・デイトン&ヴァレリー・ファリスト 脚本/ゾーイ・カザン 出演/ポール・ダノ、ゾーイ・カザン、アントニオ・バンデラス、アネット・ベニング、スティーヴ・クーガン、エリオット・グールド、クリス・メッシーナ、アリア・ショウカット、アーシフ・マンドヴィ、トニ・トラックス、デボラ・アン・ウォール 配給/20世紀FOX映画 12月15日(土)より渋谷シネクイントほかにてロードショー (c)2012Twentieth Century Fox <http://rubysparksjp.tumblr.com>
●深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】INDEX
[第199回]“耳フェチ”には堪えられない青春官能ムービー!『耳をかく女』桜木梨奈の無印演技に癒やされたい
[第198回]ハリウッドの頑固オヤジがたどり着いた好々爺の境地! イーストウッド、4年ぶりの主演作『人生の特等席』
[第197回]この“明るいヘンタイ”っぷりがいいんじゃない!? 会田誠のアートなエロス『駄作の中にだけ俺がいる』
[第196回]三池監督ならではの“いのちの授業”が始まる! サイコパス教師と過ごす恐怖の文化祭『悪の教典』
[第195回]“絶対的価値”を求める男たちの翔んでもロマン! 井筒監督の犯罪サスペンス『黄金を抱いて翔べ』
[第194回]禁断の蜜が溢れるSM世界『私の奴隷になりなさい』セクシーアイコン・壇蜜がすべてをさらけ出した!
[第193回]“無意識の湖”に身を投じたユングと女性患者の行方──クローネンバーグの恋愛サスペンス『危険なメソッド』
[第192回]“お蔵入り映画”が人命救助を果たした!? 実話をベースにした大冒険ロマン『アルゴ』
[第191回]我が家に“食人族”がやって来た! 奇才ジャック・ケッチャムの異形世界『ザ・ウーマン』
[第190回] 裏切り&結託は当たり前。今の政界にそっくり! 極道たちのバトルロワイアル『アウトレイジ ビヨンド』
[第189回] これが全米を熱狂させた“USA版バトル・ロワイアル”! 殺人リアリティーショー『ハンガー・ゲーム』
[第188回]行き詰まった人生の扉を開く鍵は“銭湯”にあり? 内田けんじ監督のオリジナル作『鍵泥棒のメソッド』
[第187回]大家族の伝統料理から超手抜きレシピまで勢ぞろい! 台所から見えてくる中東の家庭事情『イラン式料理本』
[第186回]“世界的な絶滅危惧種”である独裁者に愛の手を!? 政治ネタ&下ネタ満載コメディ『ディクテーター』
[第185回]障害者の性処理も介護の重圧も、すべて笑い飛ばせ! 男たちのバリアフリーな友情ドラマ『最強のふたり』
[第184回]人類を生み出した“創造主”との遭遇!! リドリー・スコットが物語るSF神話『プロメテウス』
[第183回]“校内格差社会”に出現した異分子(ゾンビ)たち! 青春のカタルシス『桐島、部活やめるってよ』
[第182回]カメラマンは法を犯してもかまわない!? 国家の暗部を暴く男の情念『ニッポンの噓』
[第181回]“学校”という名の密室ではびこる児童虐待の事実! 子どもたちは教師を訴える『トガニ 幼き瞳の告発』
[第180回]“神様”との出会いと別れ、そして旅からの帰還 ドキュメンタリー『アニメ師・杉井ギサブロー』
[第179回]親友=お金を貸してくれる、女友達=SEXさせてくれる!? 品性お下劣男の青春『苦役列車』
[第178回]“沢尻エリカ”という名のアトラクションムービー『ヘルタースケルター』が描く無常の世界
[第177回]毒カレー、オウム真理教、光市母子殺害……“悪魔の弁護人”と呼ばれる男の素顔『死刑弁護人』
[第176回]“芸能生活30周年”ニコラス・ケイジの会心作! 被災地に流布する暗号『ハングリー・ラビット』
[第175回]やめろと言われても、今では遅すぎたッ! 妻夫木聡&武井咲主演の過剰なる純愛劇『愛と誠』
[第174回]年間自殺者数3万人を越える現代社会への提言 自殺対策の現状を追った『希望のシグナル』
[第173回]“三島割腹事件”を若松孝二監督が映画化!『11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち』
[第172回]実在の事件を題材にした“命の授業”『先生を流産させる会』がついに劇場公開!
[第171回]自由社会に順応できない“脱北者”の過酷な現状 無垢なる季節との決別『ムサン日記 白い犬』
[第170回] 世界興収100億突破のSF大作『ロボット』はあらゆる既成概念を破壊する!!
[第169回]“エンタの神さま”ツイ・ハークが大復活! B級映画マニアの心を焦がす『王朝の陰謀』
[第168回]人はお下劣な分だけ、強く優しくなれる!? 結婚を控えた女たちの本音『ブライズメイズ』
[第167回]行きすぎたシステム社会に警鐘を鳴らす“ユナボマー・マニフェスト”の映画化『モンスターズクラブ』
[第166回]祭りの終わりと新ステージの幕開け、3部作完結『サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』
[第165回]すばらしき“コーマン野郎”の世界!『コーマン帝国』、愛と欲望の歴史
[第164回]懐かしき香り漂う、新感覚サスペンス 破滅へ突き進む男の悲劇『ドライヴ』
[第163回] 災害に備えた地下シェルターは必要? 心理ホラー『テイク・シェルター』
[第162回] 森田芳光監督の最終列車『僕達急行』人生は出会いと旅立ちのリフレイン!
[第161回] 鬼才キム・ギドクの"多重人格ショー"セルフドキュメンタリー『アリラン』
[第160回]映画創成期に散った"殉教者"への聖歌 3D映画『ヒューゴの不思議な発明』
[第159回]これはホラー? それともコメディ? 勘違い女が爆走『ヤング≒アダルト』
[第158回] ピラミッドは古代からのメッセージ!? 歴史ミステリー『ピラミッドの謎』
[第157回] 韓国映画の名匠が明かす"創作の極意"イ・チャンドン監督『ポエトリー』
[第156回] ローカル局で"伝説となった男"の生涯『木村栄文レトロスペクティブ』
[第155回] 米国に半世紀も君臨した"影の大統領" FBI初代長官『J・エドガー』
[第154回]犯罪者たちに学ぶ"人心掌握術"の奨め『アニマル・キングダム』『預言者』
[第153回]"地獄"からの生還者・板尾創路の凄み 古典落語を過激に脚色『月光ノ仮面』
[第152回]早くも2012年ベスト1映画が登場!"代理殺人"を巡る恐怖『哀しき獣』
[第151回]父殺し、自分殺し、そして再生の物語 園子温流ラブストーリー『ヒミズ』
[第150回]米国お笑い横断旅行『宇宙人ポール』人間のちっぽけな悩みはETが解決!
[第149回]70年前と変わらない日本人の精神構造『聯合艦隊司令長官 山本五十六』
[第148回]追悼......"永遠の反逆児"原田芳雄さん幻の主演作『原子力戦争』がDVD化
[第147回]"ファスト風土"を舞台にした犯罪喜劇 J・アイゼンバーグ主演『ピザボーイ』
[第146回]"正義のゾンビ"が犯罪者を貪り喰う! イラク戦争奇談『ゾンビ処刑人』
[第145回] "時代の寵児"の未ソフト化作品上映!「松江哲明グレイテスト・ヒッツ」
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[第61回]スコセッシ監督の犯罪アトラクション『シャッターアイランド』へようこそ!
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[第59回]"おっぱいアート"は世界を救えるか? 母乳戦士の記録『桃色のジャンヌ・ダルク』
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[第54回] "空気を読む"若者の悲劇『パレード』楽しいルームシェア生活の行き先は?
[第53回]社会の"生け贄"に選ばれた男の逃亡劇 堺雅人主演『ゴールデンスランバー』
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[第44回] 暴走する"システム"が止まらない! マイケル・ムーア監督『キャピタリズム』
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[第41回]タラとブラピが組むと、こーなった!! 戦争奇談『イングロリアス・バスターズ』
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[第9回]胸の谷間に"桃源郷"を見た! 綾瀬はるか『おっぱいバレー』
[第8回]"都市伝説"は映画と結びつく 白石晃士監督『オカルト』『テケテケ』
[第7回]少女たちの壮絶サバイバル!楳図かずおワールド『赤んぼ少女』
[第6回]派遣の"叫び"がこだまする現代版蟹工船『遭難フリーター』
[第5回]三池崇史監督『ヤッターマン』で深田恭子が"倒錯美"の世界へ
[第4回]フランス、中国、日本......世界各国のタブーを暴いた劇映画続々
[第3回]水野晴郎の遺作『ギララの逆襲』岡山弁で語った最後の台詞は......
[第2回]『チェンジリング』そしてイーストウッドは"映画の神様"となった
[第1回]堤幸彦版『20世紀少年』に漂うフェイクならではの哀愁と美学
山口智子『ゴーイング マイ ホーム』視聴率急落でも「テコ入れできない/打ち切れない」深まる苦悩

『ゴーイング マイ ホーム』
女優・山口智子の16年ぶりの連続ドラマ出演作『ゴーイング マイ ホーム』(フジテレビ系)の視聴率が下げ止まらない。初回こそ13.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)とまずまずのスタートだったが、10月23日の第2回放送で早くも8.9%と1ケタを記録。最新の12月4日放送分では5.6%と、初回の約半分まで落ち込んでしまった。
「このドラマは山口の出演以外にも、宮崎あおいや阿部寛、YOU、阿部サダヲ、新井浩文、夏八木勲など、まるで映画のようなキャストを揃えたことが話題になりました。それもそのはず、脚本・演出を務めたのは世界中の映画祭で多くの賞を受けている是枝裕和監督。是枝監督のバリューがあったからこそ、これだけのメンバーが出演に踏み切ったんですよ」(テレビ誌記者)
当然、キャストのギャラも跳ね上がることになったが、フジにはそれなりの勝算もあったはず。ところが今となっては、こうした布陣が完全に裏目に出る格好となってしまったのだという。
「フジもこれほど落ちるとは思っていなかったので、歯噛みするしかないですよね。ビッグネームの是枝監督を起用してしまった時点で、局主導のテコ入れや打ち切りというカードは切れない。このまま指をくわえて、数字が下がっていくのを見ているしかないんです。局も現場もドラマのクオリティには自信を持っているんですが……それだけに身動きが取れなくなってしまっている」(同)
数字こそ落ちているものの、見続けている視聴者の評判は決して悪くない同作。テレビ局側には、今後も本作の失敗に懲りずに、こうした冒険企画に挑んでほしいところだが……。
オリラジ藤森×田中みな実“やらせ”も日常茶飯事!? 写真週刊誌に蔓延する「バータースクープ」の実情

『藤森慎吾 東京のチャラうぃ↑店』
(実業之日本社)
写真週刊誌「フライデー」(講談社)の“やらせ”報道がライバルの「週刊文春」(12月13日号/文藝春秋)に報じられ、波紋を広げている。
「フライデー」は11月16日号でオリエンタルラジオ藤森慎吾とTBSアナウンサー田中みな実の“熱愛”を密会写真付きで報じたが、「文春」は、この報道そのものが藤森が所属する吉本興業と「フライデー」編集部との間で交わされたバーターによる“やらせ”だと断じているのだ。
「実際には、過去に藤森と関係を持った女性が妊娠し、その女性がフライデーに連絡。藤森との話し合いをフライデーに撮らせたそうです。藤森は中絶費用プラス慰謝料として350万円を支払ったそうですが、この事実をフライデーが記事化しようとすると吉本興業が圧力をかけ、代わりに藤森と田中とのツーショットを撮らせると持ちかけ、フライデーがこのバーターに乗った、と書かれています」(芸能ライター)
この件について「フライデー」を発行する講談社と吉本興業の動向に注目が集まっているが、実際、写真週刊誌がこのようなバーターに応じるというケースはあるのだろうか?
「今は本当に雑誌が売れないので、各編集部とも部数を確保するのに必死なんですよ。ですから、たとえば数字を持っているAKB48がグラビアを飾る雑誌では、メンバーや上層部のスキャンダルはおのずと“自粛”されることになる。AKBに関しては、今はほとんどの週刊誌・スポーツ紙がこの状況でしょう。また、映画やドラマの宣伝を打ちたい側が、俳優たちの打ち上げや飲み会に取材班を呼んで“熱愛疑惑!?”と報じさせる場合もあります。普通の飲み会を“密会”のように書かせるわけです。宣伝側は映画のタイトルと出演者を印象付けられるし、雑誌の方は主演クラスの“スクープ”が撮れるわけですから、どちらも損をしない。よくあることですよ」(同)
田中の藤森に対する恋愛感情は“本物”だともっぱらのウワサだが、そうした乙女心さえもバーターに利用されてしまうのが芸能界という世界の恐ろしさということか。
名古屋から八紘一宇を目指したのか……?『大名古屋軍歌』開戦記念日に発売決定

『「大名古屋軍歌」 Militarythm in The Central
City Great Nagoya’s TSURU・ASAHI War song
collection 1931~1939』
「便衣隊討伐の歌」「日本ファッショの歌」「奪つたぞ!漢口」……この歌を聴かずにマニアを名乗れるかい! 戦前、名古屋の地から独自色溢れる歌謡を発信し続けたツル・アサヒレコード。太平洋戦争前に消えた、このレーベルの曲から軍歌・時局歌・戦時歌謡を集めたCD『「大名古屋軍歌」Militarythm in The Central City GreatNagoya’s TSURU・ASAHI War song collection 1931~1939』が、開戦記念日の12月8日に発売される。
この企画は東海林太郎の幻の音源を発見したことで一躍話題になった、保利透さんのプロデュースによるもの。保利さんは「ぐらもくらぶ」レーベルで、『二村定一~街のSOS!~』『戦前ジャズ・コレクション テイチクインスト篇 1934~1944』など、SP盤時代の歴史の陰に埋もれかかっていたさまざまな音源をまとめたCDを送り出してきた。
このCDの意義を、ライナーノーツを担当した一人で『世界軍歌全集』(社会評論社)の著書がある辻田真佐憲さんは、次のように語る。
「このレコード会社が活動していた当時、日本のレコードレーベルは東京のビクターやポリドール、関西のテイチクなどが中心でした。その間に挟まれた名古屋の地で時局に合わせた曲を出したり、各社競作曲にも参加したり、とても意欲的に活動していたのが、このツル・アサヒレコード。競作曲の『愛国行進曲』や『愛馬進軍歌』なんて名古屋の交響楽団が参加していたり、名古屋ローカルの会社なのに、非常にユニバーサルに活躍していたレーベルなんです」
このツル・アサヒレコードは、大和蓄音器商会を前身として1924(大正13)年に名古屋で発足したアサヒ蓄音器商会から生まれたレーベル。当初はツルレコードのレーベルで活動していたが、1935(昭和10)年に、東京のレーベルに対抗する形でアサヒレコードと改称。しかし、東京と関西の巨大資本に打ち勝つことはできず、太平洋戦争前に、活動は途絶えた。今回も、収録にあたってはコレクターの所蔵するレコードを使用。歌詞カードは、ほぼ現存せず、聞き取りで確認しなければならなかったほど、資料の少ない幻のレコード会社だ。
■軍歌・昭和歌謡・寮歌を愛好する女性も急増?
そんな苦労で出来上がった、このCD。単に幻のレコード会社の曲という以外にも聞きどころは多い。例えば、参加している歌手・黒田進は楠木繁夫のことだし、大久良俊は近江俊郎だ。2人とも、まだブレイク前で楠木は本名、近江はいくつもある芸名の一つで活躍していた頃の吹き込み。いわばスター歌手が、まだ駆け出しだった頃の歌を聴くことができる、またとない機会になっているのだ。
歴史の証言者として価値のある曲もある。黒田進が作曲もしている『五・一五事件 昭和維新行進曲(海軍の歌)』は、あまりにも首謀者を賛美しすぎだとして内務省が出版法を改定してレコードを検閲するきっかけとなった歴史的な曲だ(なお、ライナーノーツの解説は『沙漠に日が落ちて 二村定一伝』(講談社)の著者・毛利眞人さんが担当しているので詳しいことこの上なし)。
ものすごくマニアックな、このCD。なぜか制作者も驚くほど予約が殺到中なのだとか。
従来、軍歌をはじめ、昭和歌謡や寮歌のイベントといえば高齢者ばっかり、男性ばっかりだった。ところが、昨年あたりからこうしたイベントに若者が増え、しかも「会場を間違えたかな……」と思うぐらい女性が多かったりして驚くこともある。
今まさに、軍歌・昭和歌謡・寮歌は脚光を浴びつつあるジャンル。来年は、さらなるブレイクが期待できる。