なぜ今頃? 富山資産家夫婦放火殺害犯「犯行声明文」をめぐる、県警と文春の不可解な対応

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「週刊ポスト」1月25日
グランプリ 「誰も知らなかった『憲法改正』の基礎知識」(「週刊ポスト」1月25日号) 第2位 「富山資産家夫婦放火殺害犯人の警察官は『犯行声明文』を週刊文春に送っていた!」(「週刊文春」1月17日号) 第3位 「再起した同郷の宰相へ 弱き者 汝の名は『安倍晋三』作家 田中慎弥」(「週刊新潮」1月17日号)  成人式(1月14日)が大荒れである。といっても天気のことだが、朝から東京は雪が舞っている。式場へ向かう女の子たちは、会場で着替えるのだろうか、大きな台車のついたバッグをゴロゴロ引きずって歩いている。  毎年、成人式の日の新聞には、サントリーが青年たちへの言葉を掲載している。  だいぶ前から作家の伊集院静が書いているが、今回は「二十歳の元気」と題して、このようなことを言っている。 「いま、日本は、不景気だとか、希望がないと言ってうつむく大人であふれている。このままじゃダメなんだ。君たちがうつむき加減のこの国を変えて欲しいんだ。二十歳じゃ何もできないって? そんなことはない。君にしかないものがある。それは二十歳の元気だ。(中略)失敗してもかまわない。笑われてもかまうことはない。(中略)私たちの先頭を走って欲しい。そうすればきっと何かが変わるはずだ」  正直、たいした内容ではない。昔は作家の山口瞳が書いていたが、そこには人生の先輩として、これだけは知っておいてほしいという「何か」が文中にはあった。これだけはわきまえておけ、という大事な処世術も書かれていた。たとえば「青年よ、思いきって行け」というのは、このようだ。 「この世で好ましいものの一つが『礼儀正しい青年』だ。反対に、猪口才(ちょこざい)な奴、青二才、嘴(くちばし)の黄色い奴、甘ったれは大嫌いだ。  『若者だから、このくらいは許されていい』なんて思っていたら大間違いだ。……こう書いてきて、僕なんか、顧みて忸怩(じくじ)たるものがある。  成人式を迎えた諸君! 今日から酒が飲める。  そこで、僕は、諸君に、『酒の上の失敗を怖れるな』と言いたい。  思い切って行け! ガンガン行け!  先輩は馬鹿じゃない。諸君の若さを理解してくれるはずである。  ただし、それは、その根底に、礼儀正しさと謙虚さがある限りにおいては、という話になる」  成人式を迎えた若者たちに与える言葉は、「期待しているよ」だけじゃダメなんだ。  さて、このところの週刊誌は、どこもかしこも「安倍バブル」大歓迎一色である。一番囃し立てているのは週刊現代で、今週も「安倍バブルでGO! 株価はどんどん上がるぞ 」とはしゃいでいる。  先週は「日経平均2万円もある」とぶち上げ、今週は「1ドル100円で大儲けする日本企業ベスト100」「この株で100万円儲けよう」と証券会社の回し者のような特集ばかりである。  文春も新潮も、同じようなものだ。 「『私は、ツナミのあった3・11以降、一貫して日本株を買っている。個別の銘柄には言及したくないが、最近もアベが総選挙で勝つことが確実な情勢になった時点で、日経インデックスを買い増した』  かつてジョージ・ソロスと共同でファンドを設立し、”伝説の投資家”と呼ばれるジム・ロジャーズ氏は、文春の取材にこう明言した。  ロジャーズ氏の目に曇りがなかったことは間違いない。安倍晋三氏が自民党総裁に選ばれた昨年九月二十六日に約八千九百円だった日経平均株価は、一月四日の大発会では約一万七百円をつけた。三カ月余りで二○%もの急上昇である。  ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントのジム・オニール会長は、昨年の総選挙前に『ウィ・ウォント・アベ』と述べたが、まさにその通りの展開となっているのだ。  当面、株式市場の勢いは衰えなさそうだが、この活況はいつまで続くのか。  ロジャーズ氏はこう語る。 『今年の日経平均株価がどこまで上がるか、それはなんとも言えない。一年はとても長い期間だし、私は物事の推移を見守りながら投資の判断を下すからだ。よって、いまここで”予想“を伝えることにはあまり意味がない。一つだけ言えるのは、私はまだ保有している日本株を手放すつもりはないということだ。それが十年後になるのか、もっと早い時期になるのかはわからないが』  世界的な影響力をもつ経済紙フィナンシャル・タイムズは、安倍政権の経済政策を念頭に置き、日本経済を好意的に取り上げている。 『二○一三年の逆張り投資、日本株が一番人気』と題した記事ではこう書いた。 <ファンドマネジャーやストラテジストらが提案する、最も人気のある逆張り投資先の一つは、二十年余りずっと投資家を失望させてきた投資先だ。日本株である>(一二年十二月二十日付)  十二月二十八日には、 『「日本の経済政策、安倍政権は時計の針を戻すのか?『今回の成長戦略は九○年代のバラマキとは違う』」と題した記事も掲載している」(文春)  新潮は、こうだ。 「『今年はロケットスター卜を切りたい。日銀の金融政策が決定的に重要だ』  4日の年頭記者会見で、2%の物価目標ばかりか、為替についても、日銀に責任の自覚を迫った安倍首相。政権トップの声に、多くの機関投資家が「円売り・日本株買い」に全面シフトの様相だ。円安の恩恵を受ける輸出関連株をめぐっては、「今、買わないやつは愚か者」とまで言い切る専門家もいて……。  『辰巳天井』――これは投資家に伝わる格言である。確かに辰年は、日経平均株価の平均上昇率が十二支中、1位。巳年も前々回の89年には30%近くも上昇し、約3万9000円の史上最高値をつけた経緯がある。こうした投資家の願望通り、目下のところ、株価は右肩上がりの状態だ。 『この傾向が続けば、年内に為替は1ドル=95~100円まで円安が進み、平均株価は1万3000~1万3500円まで上がると予測できます』  大和総研チーフエコノミストの熊谷亮丸氏はこう語るが、さらなる円安を予測する専門家もいる。 『私は2007年当時の1ドル=120円まで、ほぼ一本調子で戻ると見ています』  と言うのは、蔦峰義清・第一生命経済研究所首席エコノミストだ。 『アベノミクスヘの期待以上にドル高要因も強まっているからです。アメリカは6年前に住宅バブルが崩壊しましたが、その借金の清算がようやく終わり、今年は痛手から脱却できそうなのです。米経済が回復すれば、為替も以前の状態に戻る。来年中には120円まで行くと思います』」(新潮)  慎重な週刊朝日でさえも「『バブル』かもしれないが、狙い目は、どんな銘柄だろうか」と株へ目がいっている。  だがおかしいのは、これほど「アベノミクス」を持ち上げている現代だが、コラムを読んでみると、安倍の経済対策に懐疑的な論調が多いのだ。 「安倍にだまされるな! 景気は絶対に良くならない」(大橋巨泉「今週の遺言」) 「アベノミクスが復興を遅らせる」(古賀茂明「官々愕々」) 「焦げつき額は80兆円! 株高円安のウラで進行する安倍ミニバブル崩壊の衝撃」(森功「ジャーナリズムの目」)  インフレターゲットや金融緩和など、まだ動き出してもいないうちから反応する株価や為替は、アベノミクスがうまくいかないと分かれば、あっという間に下がる(円は上がる)のは必定。  参議院選まで力ずくで景気がいいように見せかけたとしても、サラリーマンの給与に反映されるのはずっと後になる。参議院選挙後に経済対策が破綻すれば、給与は上がらず、物価や消費税アップで家計はさらに苦しくなる。  いまメディアに求められるのは、アベノミクスで自民党が何をしようとしているのか、成果が出る、または失敗する1~2年後までじっくり観察し検証することである。  さて、今週もイマイチの記事が多く見られた。  編集長が木所隆介に替わったフライデーの「猪瀬直樹東京都知事が『愛して脅した』美人マネージャー」にちょっぴり期待したが、美人マネが60代では読む気をそがれる。  約束した金額を払わなかったことからトラブルになったことがあるようだが、それもだいぶ前の話である。  都知事選挙に出るに当たって彼女から、猪瀬とのかつてのトラブルがメディアに出るかもしれないと伝えたところ、彼が「黙っていたほうが得だよ」と脅すようなことを言ったとある。  彼女は、猪瀬が権力を得たことで家族に何をするかわからないと怯えているようだが、そんな男のマネージャーになったのがそもそも不運である。  現代の「『痴漢報道』――JR西日本の重役はなぜ死ななければならなかったのか」は、かつて上前淳一郎が書いた『支店長はなぜ死んだか』(文藝春秋)を思わせるタイトルだが、内容は不十分なものだった。  確かに、取り調べをしただけで警察は記者発表し、それを自前で検証もせず実名と顔写真を報じたテレビなどは批判されてしかるべきである。このケースも、決め手は彼を痴漢だと訴えている17歳の女子高生の証言だけである。その声を聞いて電車から逃げ出したところを現行犯逮捕されている。  容疑を否認したまま2日ぶりに自宅に帰った重役は、テレビで自分の名前や顔が公開されたことで絶望したのであろう、公園の便所で首を吊って死を選んでしまった。  本人が死んでしまったことと女子高生の話を聞けないことで、難しい取材ではあるが、もう少し粘って取材を重ね、痴漢報道とはどうあるべきなのか、新聞やテレビも巻き込んでじっくり論じてほしかった。  私は、よほど悪質な痴漢行為や常習犯でない限り、刑が確定するまで実名報道は避けるべきだと思う。  作家・渡辺淳一が地方紙に連載していた小説が、その過激な描写に読者から批判が寄せられ、ほとんどの地方紙が止めてしまったというポストの記事を興味深く読んだが、それ以上の話には拡がっていない。  日経新聞などでは、その過激さゆえに部数が伸びたとまでいわれた渡辺文学だが、地方に密着している新聞では、一部にせよ批判の声があがると持ちこたえるのは無理なのであろう。  今週の3位は、安倍総理と同じ山口県生まれの芥川賞作家・田中慎弥が書いた安倍についての文章。これがとても面白い。  田中は、去年7月に下関で開かれたイベントで安倍に会った印象から書き起こしている。何を言っているのかさっぱり聞き取れない挨拶の後、関係者に案内された安倍が田中のところへ来る。そして、こう言った。 「田中さんの本は読んだんですが、難しくてよく分かりませんでした」  田中は、そのときの安倍の印象をこう書く。 「至近距離なのでさすがに声は聞き取れたものの、表情は愛想笑い程度のうつろなもので、これが本当にかつて首相であり、今後の返り咲きも噂されている政治家だろうかと思った(向こうは向こうで、こいつが本当に芥川賞作家か、と思っていたに違いないが)。  かなり無理しているのではないか、本人はほぼ治ったと言っているが、首相辞任の原因となった病気がまだ癒えてないのではないか、とも感じられた。  政治家っぽくない人、向いていない仕事を背負わされている人という印象だった」  山口県人は「自分の意見が一番正しいのだという我の強さ、強情さをもつ人が多い気はする」(田中)そうだが、県民性以上に安倍を強くあらねばならないと駆り立てているのは血筋だと見ている。 「安倍氏は明らかに、政治家としての自分を強く見せようとしている。強くあろうとしている。なぜか。安倍氏は弱い人間だからだ。強くあろうとするのは弱い証拠だ。だったら、あるがままに生きてゆけばいい。弱いことは、人間として決して悪いことではない。だがここで、血筋の問題が出てくる。  祖父と大叔父と実父が偉大な政治家であり、自分自身も同じ道に入った以上、自分は弱い人間なので先祖ほど大きなことは出来ません、とは口が裂けても言えない。  誰に対して言えないのか。先祖に対してか。国民に対して、あるいは中国や韓国に対してか。違う。自分自身に対してだ。くり返すが、強くないなら強くないままでいい。  首相になった安倍氏は、もはや弱い自分に戻ることは絶対に許されない。  一度失敗しているだけになおさらだ。だが、弱い者はどうあっても弱い。  だからこそ、よけいに強くあろうとする。敵の前でひるむことなく自分を強く見せる必要がある。(中略)  安倍氏が憲法改正や自衛隊の国防軍への移行、集団的自衛権などを主張し、『戦後レジームからの脱却』を掲げているのは、それらが自民党の本来進むべき道であり、特に自主憲法制定が結党以来の悲願でもあるが、そういう党の中にいる安倍氏が、偉大で強い家系に生まれた弱い人間だからだ」  田中は、そんな安倍総理は命を縮める危険な状態にあると危惧し、「その危うさを含めた過剰な強さが、私に『怖い』と感じさせる」というのである。  安倍総理の本質を突いていると思う。  女性セブンは安倍総理の妻・昭恵のインタビューをしている。昭恵が脱原発の集会に参加するなど、原発維持の夫と意見が対立していることを聴かれ、こう答えている。 「原発に関しては、これからもどんな天変地異があるかもわからない。何かあった時に、本当にパッとコントロールできるんだったらいいけれど、それができない限り、やっぱり私は反対なんですね」  彼女は、安倍の病気にはストレスが一番いけないと認めている。内憂外患の安倍総理には心休まる場所がなさそうである。  第2位は文春の気になる記事。  2010年4月に富山市で起きた老夫婦殺人放火事件で、富山県警警部補加野猛容疑者が逮捕されたが、彼が事件の2カ月後に文春に犯行を認める「手記」を書くという内容のCD-Rを送付し、高額で買わないかと持ち掛けていたというのである。  新聞各紙も報じているが、文春は誌面で全文を掲載している。  中には遺体の位置を記した略図があり、これを富山県警に見せれば、自分が犯人だと分かると書いている。  文春も当時、真贋を確かめるため富山県警に取材を行い、見取り図を見せたところ、県警の反応は「犯人、および警察、消防の一部関係者しか知りえないことが書いてある」というものだった。  だとしたら、文春はその時点でなぜ記事にしなかったのだろう。「鬼畜のような殺人放火犯から来た手紙 独占公開」とでもやりそうなものだが。  その後、犯人からの接触はなかった。県警からはCD-Rの任意提出を継続的に求められたが、拒否してきたという。情報源の秘匿。情報提供者からの信頼を失い、今後の取材活動に支障をきたすからだという理由だ。  だが、県警は事件が解決しないために焦ったのだろう、事件から2年以上がたった昨年8月に、任意ではなく差し押さえに踏み切った。  これほど遅かったのはなぜだろう。このCD-Rを送り付けたのが犯人に間違いないと思ったのなら、文春側となんらかの取引をしてでも手に入れなかったのか。もちろん、編集部側が拒否していたためだろうが、2年以上も時間がたってから差し押さえに踏み切るというのは、やり方はもちろんだが、県警のやる気を疑いたくなる。  しかも、専門家がCD-Rを分析したところ、データ上に「カノタケシ」という名前が残されていたというのである。  いろいろな報道によれば、加野と殺された夫婦とは親しかったそうである。  なのに、文春によれば「そこから県内外の多くの『カノタケシ』をリストアップし、一人ずつ検証する捜査が始まった」というのだから呆れる。  殺された夫婦の交友関係も調べていなかったのか。バカバカしくて涙が出てくる。  犯人は、罪もない夫婦を殺し金を奪った上に放火までした。その上、犯行をほのめかす手記を週刊誌に持ち掛け金を稼ごうとした卑劣犯である。CD-Rを渡さずとも捜査に協力して、もっと早く逮捕されるような方策を考えられなかったのだろうか。  取材源の秘匿はもちろん大事だ。だが、この加野のように、明らかに真犯人だと思われる人間の手記を載せるために編集部が金を払うことはないはずだ。話した後に自首するとか、事件が時効になっていれば別だろうが。  取材源の秘匿は絶対不可侵ではない。すでに名誉毀損裁判などでは、取材源の秘匿は多くの裁判官によってボロ雑巾の如く打ち捨てられているではないか。  富山県警のお粗末さがハッキリ分かる記事だが、取材源の秘匿というメディアにとって重大な問題を考えさせられる記事でもある。  今週のグランプリは、ポストの憲法改正についての記事。先週の「裏エンディングノート」もそうだったが、この特集もコロンブスの卵のような記事である。  こういうところへの目のつけ方がポストはとてもいい。  圧倒的な数の安倍自民党政権になり、安倍自身もライフワークと称している憲法改正が遠い先のことではなくなってきた。憲法改正の手続き法である国民投票法もできているから、参議院選挙でねじれが解消すれば、いち早く改正に動き出すという観測もあるが、事はそう簡単ではないとポストは窘めるのだ。  どちらかといえば、憲法改正派と見られているポストだが、こうしたものを巻頭にもってくる心意気を買ってグランプリ。  まず憲法改正のスタートは、衆議院議員100人、参議院議員50人以上の賛成で発議(提案)される。その際重要なのは「関連事項ごとに区分けして行う」ことだ。たとえば第1条の「天皇」に関する条文と、第9条の「戦争の放棄」に関する条文改正は別々に発議されるのである。  したがって、自民党が作っている改正草案をすべて実現しようとすると100以上の発議が必要になるというのだ。発議、本会議での趣旨説明の後に、衆参それぞれに設置された憲法審査会で議論される。ここを通過しても、憲法改正発議には議員定数の3分の2以上の賛成が必要。後院(発議したところとは別の院)でも同じ数が要る。両院議長から発議された改正案は、発議から60~180日以内に国民投票にかけられる。投票は有効投票の過半数で承認されるが、100以上に分かれた場合、区分ごとの投票箱が必要になり、投票を済ませるまでに数時間かかることもあり得るというのである。  このように、憲法改正までは「途方もなく長く、煩雑な道程」(ポスト)が待っているのだ。  さらにポストは「自民党改憲草案」には4つの重大問題があるとする。  まずは「『国防軍創設』(9条改正)に憲法改正は本当に必要か」と問う。9条改正論者の小林節慶応義塾大学法学部教授でさえ、自衛隊を国防軍に改称するだけなら憲法改正の必要はないといっている。 「憲法改正しなければできない国防軍の活動があるとすれば他国への侵略戦争だが、それは自民党の憲法改正案でも禁じている」(ポスト)のだから、9条改正の目的は集団的自衛の行使への道を拓くためだと見られる。だが、先の小林教授は、日米安保条約を結んでいるのだから、竹島、北方4島、尖閣諸島に急迫不正の侵害があった場合は、集団的自衛権を有しており、憲法改正は必要ないとしている。  2点目「なぜ『基本的人権の由来』(97条)を削除するのか」では、自民党は国家の権力を制限するためにできた立憲主義を覆し、統治者側の視点から国民の権利を制約する押し付け憲法を目指していると批判する。  第3点は「メディアを縛る『表現の自由』(21条)改正は大問題」だとする。  21条は言論表現の自由を定めたものだが、そこに自民党案はこういう文言を入れているのだ。 「前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社することは、認められない」  公の秩序を害すると判断するのは権力側である。これでは権力監視なども「害する」と判断されてしまう可能性が高い。日本から言論表現の自由がなくなることを意味する。  第4は「中央集権の固定化をはかる『地方自治』(92条)改正」。橋下徹大阪市長が言っているような地方分権は退けられ、「地方自治を住民サービスの実施に限定したうえで、これまで憲法に位置づけられていなかった、国が税金を徴収して地方に分配する財政調整機能(地方交付税)を新条項として盛り込んだ。これでは、中央集権体制の固定化であり、、『財源は地方に渡さない』といっているのに等しい」(ポスト)  憲法改正といっても、自民党と維新やみんなの党の方向性は正反対だから、改憲政党の中でも大きな対立が起きるとポストは結んでいる。  こうした特集を巻頭に持ってきたポストに拍手を送りたい。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。

著者がリアルにもくろむ「旧・大宮市の独立」『消滅した国々 第二次世界大戦以降崩壊した183カ国』

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『消滅した国々 第二次世界大戦
以降崩壊した183カ国』
(社会評論社)
 いまや、マニアック本出版社としての地位を確立しつつある社会評論社から、またまたマニア心をくすぐる本が出版され、話題となっている。それが、吉田一郎氏の著書『消滅した国々 第二次世界大戦以降崩壊した183カ国』である。  この本は、吉田氏が運営するサイト「世界飛び地領土研究会」(http://www.geocities.co.jp/SilkRoad-Lake/2917/)のコンテンツ、「消滅した国々」をもとにしたもの(サイトのメインコンテンツである「飛び地」の項目も、同社から『世界飛び地大全』として発売中だ)。  この本、まず驚くのは本の分厚さ。総ページ数700ページ超の大ボリュームなのだ。 政変で政権が交代するとか、革命が起こって権力者が追放されるって事態はよく聞くが、国が滅びるなんて東ローマ帝国の滅亡(1453年)とか世界史上の出来事かと思いきや、実は第二次世界大戦以降も、驚くほど多くの国が滅亡しているのだ。  それらの国の多くは、大国の思惑が絡んだりして興亡を繰り返した、怪しげなものばかり。南アフリカのホームランドなんて、まさにそれ。ホームランドとは、アパルトヘイトを行っていた時代の南アフリカ政府が、国際的非難をかわすために使った、いわば詭弁。不毛の地に黒人の独立国をつくらせて、南アフリカ国内の黒人はそこの住民だとでっち上げる。そうすれば、南アフリカの領土で働く場合は出稼ぎ労働者だから、南アフリカ国民ではない=権利が制限されるのも当然、というもの。  卑劣な人種差別の代名詞として知られるホームランドだが、その実態を詳しく記した書籍は、これまでほとんど存在しなかった。本書では、このインチキ国家で権力を握ろうとしたり、一儲けを企んだ群像についても詳しく解説している。この人種差別政策を逆利用して一儲けした実例として挙げられているのが、ボプタツワナ共和国。この国は、南アフリカの大都市に近接している利点を生かし、リゾート都市・サンシティを建設。南アフリカでは禁止されているカジノもあるし、同様に禁止されている黒人とのセックスも楽しめるとあって、わんさか白人たちが訪れて大いに栄えたという。アパルトヘイトのイメージを覆すような事実は、目からウロコというよりほかない。  イギリスが植民地にしていたアラビア半島の重要港・アデンの周囲にあったアデン保護領の首長国も、怪しさ満点だ。この首長国というのは、日本の戦国時代のようなもので、村を有力者が統治しているというようなスタイル。ゆえに、国を名乗ってはいるが、中には人口は百人ちょっと、というところもあったのだとか。そんな国が20世紀の後半まであったなんて、スゴイ! なお、アデン保護領はその後、アラビア半島唯一の社会主義国家・南イエメンになって独立。冷戦終結後に北イエメンと合併したはいいが、権力をめぐって南北の内戦になったり……メチャクチャな国すぎて住民にとっては迷惑なんだろうけど、なんだか興味をそそられてしまう。 ■自分だけ生き残った、ひんしゅくものの権力者たち  さて、滅亡した183カ国の中は、平和裏に滅んでいったものは少ない。そういった国の王様や大統領は、いったいどうなってしまうのか? ここも、吉田氏が消滅した国々に、興味を引かれたポイントだ。だいたいは、処刑されたり無惨な最後を遂げたかと思いきや、のうのうと生き残っている人がけっこう多いのだ。中には、国の最後と運命を共にした人もいるだろうし、権力者だけが生き残るなんて、ひんしゅくものではないか。  その最も顕著な事例が、1967年から3年あまりの間に存在したビアフラ共和国のオジュク大統領だ。ナイジェリアの東部州だったビアフラは、同国の有力な産油地帯。住民は、黒人のキリスト教徒のイボ族主体で、自分たちの土地から湧き出る石油の利益が、民族も異なり宗教もイスラム教主体の他州の人々に吸い上げられているとして、民族紛争の末に独立を目指したもの。独立をめぐるビアフラ戦争で、内陸部に押し込まれたビアフラ側は200万人あまりの餓死者を出し、一時はビアフラ=飢餓のイメージは広く浸透していた。  最終的に、首都に攻め込まれ亡命したオジュク大統領は1984年に赦されて帰国すると、一転しナイジェリアの支持者に! 2003年には大統領選にも出馬したが、得票率わずか3%で落選したのだとか。  どうも、彼の中では「今のナイジェリアは当時とは違う、いい国」とつじつまが合っているらしいが……200万人も餓死させておいて虫のいい話である。  ほかにも、王様が若いアメリカ娘を嫁にしてハァハァしていたら、国民に見限られてインドに併合されたシッキムなどが本書には登場する。権力者は、スチャラカ過ぎて興味を引かれる人ばかりである。 ■著者がもくろむ、消滅した自治体の復活  しかし、本の内容以上に興味深いのは、著者の吉田一郎氏自身。吉田氏は「大宮の自治と独立」を主張する、さいたま市議なのである。本の内容も興味深いが、この主張も興味深い。いったい、吉田氏の目指すものは、なんなのか? 「さいたま市誕生のための合併は、平成の合併による政令指定都市誕生のモデルケースとして、国主導の住民不在で行われたものです。当初は、さいたま新都心に首都機能が移転するという触れ込みだったのですが、実際にはごくわずかな機関が移転したにとどまりました」  吉田氏によれば、いまや旧大宮市の扱いは、前述のビアフラ共和国のような状態だという。 「旧大宮市、浦和市、与野市は表向き対等合併しましたが、実際には行政機能が集中している浦和市に有利となっています。大宮市の税収はおろか、図書館の本まで浦和市に奪われてしまっているのです。市議会でも市に対して合併して、どういった利点があったか質問したこともありますが、市の職員すら満足に答えることができないのが現状なんです」  いったん誕生した市から再び独立することなんて、雲をつかむような話に聞こえるが、吉田氏は本気だ。そもそも、市会議員に当選するだけの支持があるわけだから、旧大宮市民からの期待も大きい。でも実際に、いきなり分離独立することが困難なことは、吉田氏も認めるところ。まずは、財源や権限を分割する自治から、手をつけることを構想している。  消滅した自治体を復活させようと、リアルに企む吉田氏。そこからは、本書が単なる雑学本でないという意志が伝わってくる。 (取材・文=昼間たかし)

「現代の自分 VS 過去の自分」近未来SFアクション傑作『LOOPER ルーパー』

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 毎週新作映画を紹介する当連載の2013年の初回は、正月休み明けのまったりモードにビシッと気合いを入れてくれる傑作アクション2本を取り上げたい。  1月12日公開の『LOOPER ルーパー』は、ジョセフ・ゴードン=レビットとブルース・ウィリスが主演した近未来SFアクション。2074年の世界から、タイムマシンで消したい標的を30年前に送り込む犯罪組織と、2044年の世界に送られてきた標的を抹殺する「ルーパー」たち。その1人、ジョー(ゴードン=レビット)の前に、30年後の自分自身が現れる。30年後のジョー(ウィリス)は、未来社会の独裁者「レインメーカー」を幼いうちに消すためタイムマシンに自ら乗り込んでいた。ルーパーの掟に従い30年後の自分を殺そうとするヤング・ジョーと、追っ手を巧みにかわしながら困難なミッションに挑むオールド・ジョー。運命の対決の行方は、そして謎に包まれたレインメーカーの正体とは……。  時間旅行を扱うSFでは、登場人物が過去の自分に会うと自身の人生や未来の世界に重大な変化をもたらす可能性が高いため、そうした行為をタブーとすることが多い。だが、本作はそれを逆手に取り、主人公が未来から来た自分と、互いに影響を及ぼし合いながら命懸けの戦いを繰り広げるという展開がユニーク。ヤング・ジョーは30年後の自分を殺さなければ組織から消されてしまうが、オールド・ジョーは30年前の自分を殺すわけにはいかない(自分の存在も消えてしまう)という非対称性も対決を一層面白くしている。若手のルーパーが傷を負うと老ルーパーの身体にも即座に反映されるという描写は、視覚効果も見事で楽しませるが、30年間の行動や記憶への影響を考えると矛盾も浮かぶ。とはいえ、細かな難点もさして気にならないほどテンポ良くストーリーが進み、ハリウッド的なハッピーエンドではないクライマックスも見応え十分。ウィリスに似せるため特殊メイクで全編演じきったゴードン=レビットや、田舎の農家で一人息子を育てる男勝りのシングルマザーという従来の出演作とはイメージの異なる役どころに挑んだエミリー・ブラントらの熱演も含め、見どころたっぷりの快作だ。  続いて1月11日公開の『96時間 リベンジ』は、リーアム・ニーソン主演で米国や日本をはじめ各国でヒットしたアクションサスペンス『96時間』(09)の続編。元CIA工作員のブライアン(ニーソン)は、元妻レノーア(ファムケ・ヤンセン)と娘キム(マギー・グレイス)との関係を修復しようと、3人でイスタンブールを訪れる。だが、かつてキムが誘拐された事件でブライアンに息子を殺された老ボスが、アルバニア人の手下たちを動員して一家を襲撃。街中でレノーアを人質にとられたブライアンは、自らもとらわれの身に。ホテルに1人残ったキムにも危機が迫る。  製作・脚本は前作に続きリュック・ベッソン。『トランスポーター3 アンリミテッド』(09)のオリビエ・メガトンが監督を務めた。リーアム・ニーソンは舞台出身の演技派だが、50代後半になって『96時間』、『アンノウン』(11)など体を張った主演作で新境地を開拓。愛娘を誘拐した組織の一味を銃と格闘技でバッタバッタと倒していった前作に対し、今作ではまず主人公が元妻とともに拉致され、娘が携帯電話で父親にアドバイスを受けながら脱出を助けるという点が新趣向だ。仮免許中の娘が父に助けられながら敵の車とカーチェイスを繰り広げるシーンも、熟練ドライバーの運転とは異なる緊張感が生まれてスリリング。元特殊部隊所属のファイト・コーディネーターがキャストとしても起用され、終盤の共同浴場でニーソンとの接近戦を自ら演じるなど、刺激的な本格アクションを随所で堪能できる1本だ。 (文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉) 『LOOPER ルーパー』作品情報 <http://eiga.com/movie/77480/> 『96時間 リベンジ』作品情報 <http://eiga.com/movie/77609/>

ダウンタウン浜田雅功が成し遂げた、「ツッコミの地位向上」という大偉業

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『クイック・ジャパン 104』(太田出版)
 1月3日、ダウンタウンの浜田雅功と、彼の息子でミュージシャンのハマ・オカモトがラジオ番組で初めての親子共演を果たした。ロックバンド・OKAMOTO’Sのベーシストで浜田の実子であるハマ・オカモトが、自身がパーソナリティーを務める『RADIPEDIA』(J-WAVE)のゲストとして父親である浜田を招いたことから“世紀の親子対談”が実現。実の親子らしい親しみにあふれたトークが展開された。それぞれが普段見せていない一面を明かした貴重な番組として、お笑いファン、音楽ファンの間でも大反響を巻き起こした。  昨年、結成30周年を迎えたダウンタウン。そのツッコミ担当である浜田の芸人としての功績については、今さら語るまでもないだろう。89年に東京進出して以来、ダウンタウンの一員として、あるいは司会者として、テレビの第一線をひた走り、数々の伝説を築いてきた。  ただ、そんな彼は、雑誌などのインタビュー取材でも自分についてあまり露骨に語りたがらない。自分のことはごく控えめに語るのみで、どちらかといえば相方である松本人志がいかに面白くて偉大な芸人であるかということを熱心に語り、それを生かすのが自分の仕事である、と繰り返すばかり。ただ、ここ数十年のお笑いの歴史をひも解いてみれば、ボケのスペシャリストとしての松本とは別に、浜田には浜田なりの歴史的意義というものがあったといえる。  浜田雅功の歴史的な意義――。それは、「ツッコミ」という概念を世の中に広めて、ツッコミの地位を向上させたことだ。もちろん、ダウンタウンの登場以前にも、漫才における「ボケ」と「ツッコミ」というものは存在していた。ただ、それがお笑いの専門用語から日常的な用語に変わり、その積極的な意味まで認められるようになったのは、間違いなく浜田の存在があってこそだろう。  例えば、80年頃の漫才ブームの時代に活躍した当時の若手漫才師の中では、ボケ主導型のコンビが多かった。ビートたけし、島田紳助、島田洋七など、才能を発揮してその後もテレビで長く活躍したのは、いずれもボケ担当のほうだった。彼らの相方でツッコミを担当した芸人たちは、ボケの話にただうなずくばかり。当時の人気番組『オレたちひょうきん族』(フジテレビ系)では、そんな地味で目立たないツッコミ担当の者たちを集めた「うなずきトリオ」というユニットまで結成されたほどだ。  ボケは残るが、ツッコミは消える。ダウンタウンの登場以前、ツッコミは日陰の存在だった。どうしても消えたくなかった浜田は、生き残りを賭けてツッコミの腕を磨いた。そして、東京に進出してからは、ツッコミという役割を背負ったままバラエティ番組で戦う、という決意をした。共演する大物芸能人たちを向こうに回して、彼らをボケ扱いして積極的にツッコミを放っていったのだ。これは革命的なことだった。  もちろん、共演者をイジるというのは浜田以前にもビートたけし、明石家さんま、島田紳助らもやっていたことである。ただ、彼らが主に行っていたのは、イジりそのもので笑いを生む、ボケ寄りのイジりだった。  浜田はあくまでもツッコミという役割にとどまったままで、共演者を果敢に攻め立てた。そして、それまでほかの芸人が手を出せなかったような領域にも、ズケズケと踏み込んでいった。『ダウンタウンDX』(日本テレビ系)では菅原文太、中尾彬、江守徹といった大物俳優にもツッコミを放ち、『HEY!HEY!HEY!』(フジテレビ系)では堂々と若手ミュージシャンの頭をはたいた。それは、死ぬ気で売るケンカだった。  浜田はタブーを破り、彼らをツッコミのターゲットとして矢面に立たせて、番組を盛り上げることに成功した。こうしてテレビの中でツッコミにも存在意義があるということを示したのだ。一か八かの戦いを制して、実力が認められ、浜田は史上初のツッコミ型司会者となった。  これ以降、ツッコミの地位は飛躍的に高まり、世間でもツッコミというものが評価されるようになった。そして、その後はバリエーション豊かなツッコミ芸人が続々とテレビで人気を得るようになった。  浜田雅功は、ツッコミ一筋の笑いの王様。松本という笑いの神を戴く王国を司る、血気盛んなお笑い界の帝王だ。 (文=お笑い評論家・ラリー遠田)

「秋葉原にμ’sがいる!!」“ワシが育てた”アニメ『ラブライブ!』が、なんだかすごい!

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『ラブライブ!』公式サイトより
 お正月ムードも一段落というところで、アニメファン待望の1月クールの新作テレビアニメが続々と放送開始している。その中でも特に大きな話題を呼んでいるのが、女子高校生たちのアイドル活動を描く『ラブライブ!』(TOKYO MX、読売テレビほか)である。  昨年夏に開催されたアニソンフェス「Animelo Summer Live 2012 -INFINITY∞-」(以下、アニサマ2012)には、本作のヒロインたちを演じる女性声優陣が劇中のアイドルユニット「μ’s(ミューズ)」として参加。アニメキャラがグリグリ動くミュージックビデオとまったく同じ振り付けを踊って歌うという、あまり他に類を見ないパフォーマンスを披露し、多くの観客が「あの女の子たちは何者だ!?」と圧倒されたことは記憶に新しい。  もともとは、μ’sの歌う楽曲とドラマパートを収録したCD、ミニドラマを交えたミュージックビデオをセットにしたパッケージと、美少女総合エンタテインメントマガジン「電撃G's magazine」(メディアワークス発行)誌上で展開する日常風景を描くショートストーリーという形で、2010年にスタートした本作。これまでは断片的に語られてきたエピソードの数々が、アニメという形で一本の線につながるということで、今回のアニメ化はファンには待望の企画だったというわけである。  そんなアニメ版『ラブライブ!』第1話のあらすじは以下の通り。  東京都千代田区にある女子校「音ノ木坂学院」は、少子化の影響で入学志望者が減少。現在の1年生が卒業する3年後に廃校となることが発表された。そこで、2年生の高坂穂乃果は、母親も卒業した母校の消失を回避すべく回避策を練る。折しも世間では、学校をアピールするアイドル「スクールアイドル」全盛期。ということで、自分たちもアイドル活動を通じて学校をアピールしていこうと思いつく……というもの。  「学校ごとにアイドルがいる」という設定がジャンプ漫画っぽいなあ……とニヤニヤしてしまうが(自分だけか)、ともあれ本作を見てまずは誰もがハイクオリティな作画に目を奪われることだろう。  『ラブライブ!』のミュージックビデオは、5~6分の短い映像を30分アニメと同等の予算と手間をかけて制作されているそうだが、テレビアニメ版『ラブライブ!』はそのミュージックビデオと遜色ないクオリティなのである。「作画崩壊、何それ?」とでも言わんばかりの安定したビジュアルで、リアルな秋葉原界隈をアイドルたちが駆け抜けるアニメ本編の衝撃は、初めてアニサマ2012でμ’sのステージを見た時と同じか、それ以上。あえて言おう。μ'sが俺たちのよく知る秋葉原に「いる」のである!  この「秋葉原にμ’sがいる」という感覚は、『ラブライブ!』をこれまで応援してきたファンこと「ラブライ部員」にとっては非常に重要な概念である。『ラブライブ!』はCDリリースのたびに、東京都千代田区──つまり、作品の舞台となる秋葉原の各所にてアイドルを演じる声優たちとラブライ部員によるイベント「ラブライ部員とμ’sの課外活動」を頻繁に行っており、そこで結束を強めてきたという歴史がある。いわば『ラブライブ!』のもう一人の主役は、秋葉原という街そのものなのだ。テレビアニメ版『ラブライブ!』では今後、秋葉原の風景がどのように描かれるのか、非常に楽しみである。  ラブライ部員も、μ’sの紡ぐドラマにおいて欠かせない重要な登場人物である。数多くのイベントやライブに参加してきた彼らにとって、少しずつ知名度を上げ、大きなコンテンツに育っていく『ラブライブ!』には、「ワシが育てた」的な感慨でいっぱいなのではないだろうか?  そんなファンと一緒に成長してきた、ファン参加型コンテンツ『ラブライブ!』。今回のテレビアニメ化を機に、まだ未体験の読者もぜひ参加してみよう。「にっこにこにこ~」になること間違いなし! (文=龍崎珠樹) 「週刊アニメ時評」過去記事はこちらから

ジャニーズ“赤西軍団”復活に幹部が大激怒! 錦戸亮らメンバーに厳戒令「脱退の可能性も……?」

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関ジャニ1の“トラブルメーカー”?
 デビュー8周年の昨年、大みそかのNHK『紅白歌合戦』に初出場し、今年はさらなる飛躍を目指すジャニーズのアイドルグループ・関ジャニ∞だが、新年早々、ジャニーズ幹部にとっては決して見逃せない記事が掲載された。  「週刊女性」(主婦と生活社)1月22日号によると、昨年末、都内のクラブで行われた元KAT-TUN赤西仁の実弟で俳優の赤西礼保のバースデーパーティーに赤西が姿を見せ、ほかに、関ジャニの錦戸亮、山Pこと山下智久も参加。かつて、夜な夜な繁華街に繰り出していた赤西率いる赤西軍団の面々が顔をそろえたという。  赤西はまだ飲み足りなかったのか、山Pとタクシーに乗り込んで夜の街に消えていったというが、ハイペースで飲み続けた錦戸は足取りもおぼつかず、泥酔状態の姿を撮られてしまった。 「赤西と山下は“クラブ活動”を控えていたが、どうやら、錦戸は2人がいなくてもクラブ通いを続けていたようだ。それだけならまだよかったが、かつてクスリで逮捕されて執行猶予付きの判決を受けた元テニスプレーヤーの宮尾祥慈とツルむようになり、幹部は再三、錦戸に注意を促していた。そんな中、昨年2月に黒木メイサとデキ婚したペナルティですっかり干されている赤西と接触したことが大々的に報じられてしまっただけに、今後、幹部から素行について徹底的にマークされることになりそう」(芸能プロ関係者)  交友関係も含め、錦戸は昨年、写真誌に一夜を共にした女性が撮影した“ベッド写真”を掲載されるなど、関ジャニ1の“トラブルメーカー”だが、ほかのメンバーも女性関係で幹部を激怒させたというのだ。 「大倉忠義と安田章大に、相次いで読者モデルとの交際説が浮上。これには、次期社長候補の筆頭といわれる藤島ジュリー景子氏が激怒。2人も含めた関ジャニメンバー一同に“恋愛禁止令”を言い渡したようで、それを破った場合、厳しいペナルティが与えられそう」(テレビ関係者)  デビュー時はグループ名通りメンバー8人だった関ジャニだが、元メンバーの内博貴は05年に未成年で飲酒していた事実が発覚し脱退。これ以上事務所幹部を怒らせると、さらに強制脱退のメンバーが出てくるかもしれない。

「ヨイトマケ」の圧倒的パフォーマンスの根底に宿る「遊び」の精神『美輪明宏 薔薇色の日曜日』

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『美輪明宏 薔薇色の日曜日』
しゃべりと笑いと音楽があふれる“少数派”メディアの魅力を再発掘! ラジオ好きライターが贈る、必聴ラジオコラム。  日本の2013年は、「ヨイトマケ・ショック」とともに明けた。いまだ世間には、その衝撃的パフォーマンスの余韻が色濃く残っている。それほどまでに、2012年大みそかの『NHK紅白歌合戦』で披露された美輪明宏の「ヨイトマケの唄」がもたらしたインパクトは絶大だった。それは単に世代を越えたというだけでなく、むしろ若い世代にこそ衝撃的だったかもしれない。そこには確実に、今どきの流行歌に蔓延する一面的な「共感」を越えた、得体の知れぬ何かがあった。では、それはいったいなんなのか? それはもちろん、美輪明宏自身の得体の知れなさから来ている。  さて、そんな謎めいた人物の本質に迫りたいときこそ、ラジオの出番である。テレビ等の他メディアでの露出が多い人物でも、ラジオにおける語りでは、より深い根っこの部分をてらいなく率直に披露する。『紅白』の翌日、つまり2013年元日にはちょうど、『美輪明宏 薔薇色の日曜日 愛の手引書2013』(TBSラジオ)という番組が放送されていた。これは、普段は日曜の早朝に放送されている10分番組『美輪明宏 薔薇色の日曜日』(毎週日曜7時ごろ~ TBSラジオ『吉田明世 プレシャスサンデー』内)のスペシャル版であり、毎年正月恒例の特番となっている。だが、その内容はいつも以上に得体の知れないものだった。それはゲストとして呼ばれた相手が、博覧強記の「知の巨人」荒俣宏であったせいもある。美輪は黒柳徹子と同様、「打てば響く」相手を迎えたとき、いつも以上にその真価を発揮する。  今回の番組は一貫して、「人生を楽しく過ごすための知識と文化について」というテーマで進行された。これは普段から美輪が唱えている主張であり、「知識と文化は心のビタミン」という言葉が象徴的である。「今の日本人は、肉体を維持するための栄養は過剰に摂取しているが、一方で心の栄養分である知識と文化が不足し、精神が栄養失調を起こしている」と美輪は言う。これは「知識」や「文化」という言葉から何を思い浮かべるかによっては、あるいは非常に説教臭く感じる主張かもしれない。たとえば「知識」から「受験勉強」を、「文化」から「形骸化した古くさい慣習」を連想するならば、これはまったく面白味のない主張と感じられるだろう。  だが番組内で、美輪はもうひとつ、「遊び」という重要な言葉を頻繁に使っている。ここで言う「遊び」とは無闇な放蕩のことではなく、「遊び心」というときの「遊び」である。実はこれこそが、知識と文化と心の三者をつなぐキーワードであり、今の日本人に最も欠けている要素でもある。そしてまた、美輪明宏という人物の根本を形成する本質でもある。  美輪は文化を「日常を逃れ、ロマンの世界に身を浸し、リフレッシュするための先人たちの知恵」と定義する。その代表が「祭り」という文化であり、ゲストの荒俣は、「被災地のお年寄りに話を聞くと、みんな口を揃えて『お祭りやりたい』と言っている」と語る。これはまさに「遊び」の重要性を示しているが、「遊び」という言葉の意味するところは、そういった大掛かりなものばかりではない。2人の共通の知人である水木しげるの話になった際、荒俣が「水木さんは対談のとき、寝たフリをして相手の本音を聴き出すという技を持っている」という逸話を披露すると、美輪は「それも遊びですよね」と軽やかに言う。美輪の言う「遊び」とはつまり、受け身の「遊び」ではなく、集団あるいは個人が自らの手で作り上げ、積極的に仕掛けていく「遊び」を指している。  そして、美輪の「遊び」の感覚を象徴する逸話として極めつきなのは、番組後半に披露された、江戸川乱歩との出逢いのエピソードである。美輪の舞台『黒蜥蜴』に話題が及び、その原作者である江戸川乱歩、そして脚本を手掛けた三島由紀夫との関係について荒俣が訊ね、その質問に答える形で、美輪は次のように語った。  ある日、東京へ出てきた美輪が歌っていた銀座の店に、中村勘三郎(先日亡くなった18代目勘三郎の父)が、江戸川乱歩を連れてきた。美輪はかねてより乱歩作品の読者であったため、乱歩に「先生、明智小五郎ってどんな人?」と、小説に登場する架空の私立探偵について訊ねた。すると乱歩は自らの腕を出し、「ここ(腕)を切ったら、青い血の出る人だよ」と粋に返す。そして乱歩が美輪に、「じゃあ、キミはどんな血が出るんだい?」と試すような質問を投げかけると、美輪は「七色の血が出ますよ」と鮮やかに切り返したという。乱歩は、そんな美輪が16歳だと聞いて仰天したらしい。  そもそも、この話をしているときの美輪が、「こないだ亡くなった勘三郎さんのお父様の勘三郎さんが」と説明を加えたり、「江戸川さんが」と江戸川乱歩を「さんづけ」で呼んだりしているのを聴くだけでクラクラするような、まるでおとぎ話のような世界観だが、この稀有な会話の端々からも、美輪の言う「遊び」の感覚が、16歳にしてすでに美輪の中に存分に備わっていたということが証明されている。しかも、この会話の主導権を握っているのは乱歩ではなく、明らかに美輪のほうである。最初に架空の人物について、その作者に真正面から訊ねるということ自体が、「遊び」を仕掛けているといえる。それに対し乱歩が、明智小五郎がまるで実在の人物であるかのようにスラッと、それでいて期待に違わぬファンタジックな答えを返すあたりはさすがだが、最初の思い切った質問に宿る遊び心こそが、美輪自身の「七色の血が出る」というアクロバティックな回答を導き出したといっても過言ではない。  『紅白』における「ヨイトマケの唄」が大きな感動を呼んだのは、もちろん「母が子を想い、子が母を想う」歌詞の内容によるところもあるだろう。だがより重要なのは、我々がそこから受け取ったものが、一般的な「共感」に基づくぬるくて心地よい感動ではなく、もっと先鋭的で突き刺さるような、決定的な感動であったということだ。その感動の種類は、「共感」というよりは「違和感」といったほうが近いものであったかもしれない。ひとりで男女複数の役割を演じるというスタイル、歌が主役と割り切っての黒衣黒髪にシンプルなカメラワークという極端にミニマムな演出、以前は出場を断った『紅白』に77歳にして初出場するという英断、「紅組と白組の間の桃組で出ます。衣装はヌードです」という事前会見での軽妙洒脱な発言など、美輪の言動はすべてにおいて遊び心にあふれている。そんな「遊び」の精神こそが美輪明宏の得体の知れなさの正体であり、そのカリスマ的魅力の根源にある。  「遊び」と「感動」という言葉は、イメージ的になかなか結びつきにくいかもしれないが、優れた芸術やエンタテインメントの中で、それらは必ずや両立している。お涙頂戴の「遊びなき感動」まみれの今だからこそ、いま一度「遊び」の重要性を見直す必要があるだろう。 (文=井上智公<http://arsenal4.blog65.fc2.com/>) 「逆にラジオ」過去記事はこちらから

水泳・北島康介とガルネク千紗の結婚で果たされた、エイベックス松浦社長の“男の責任”

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『アガルネク!』(avex trax)
 年初の芸能マスコミを賑わせた、水泳の北島康介とgirl next door(ガルネク)のボーカル千紗との電撃結婚のニュース。事前の交際情報がなかったことに加え、金メダリストとエイベックス所属歌手というカップリングの意外性にも注目が集まっているようだ。 「ガルネクといえば、エイベックスの松浦勝人社長の肝いりで、2008年に売り出されたグループです。エイベックスはデビュー時より莫大な広告費を投入し、同社の政治力を駆使してNHKの『紅白歌合戦』出場までこぎつけました。そもそもデビューのきっかけは、松浦社長がエイベックス傘下のダンススクールの特別練習生だった千紗に惚れ込んだこと。一時は鈴木亜美に続く“愛人”とのウワサもあったほどで、音楽業界では2人の特別な関係を指摘する声もたびたび出ていました」(レコード会社関係者)  もっとも、ガルネクはデビューほどなくして人気失速。ネット上では、エイベックス社のゴリ押しをもじって“ゴリネク”と称されるなど、評判も芳しくない。エイベックス関係者によれば、そうした事情を“生みの親”である松浦社長は大変気にしていたという。 「千紗を女優としてドラマに出演させたり、ほかのメンバーを別の音楽プロジェクトに起用するなど、ここ数年の松浦社長はガルネクの幕引きをにらんで活動計画を立てているようでした。特に千紗の今後については頭を悩ませていたようでしたが、金メダリストとの結婚は最高の花道になったのではないでしょうか。一説には、北島と千紗を引き合わせたのは松浦社長ともいわれていますし、少なくとも交際を認めて、密かにバックアップしていたのは事実。彼女を寵愛してデビューさせた“男の責任”は果たしたということでしょう」(同)  レコード店店長から日本有数のエンタテインメント企業を築き上げた松浦社長は、関わったミュージシャンの面倒を見るなど“情の厚い人物”という評価もある。 「小室哲哉が金銭詐取事件を起こした際、被害者への弁済金を個人の資産で用立てたり、TRFなどのかつての功労者を手厚く遇するなど、松浦社長には一昔前の親分衆のような気質がありますね。今回の千紗の結婚サポートも見事でしたが、注目は、かつての寵愛相手のひとりである鈴木亜美の去就です。現在交際中とされる高岡蒼佑では将来に若干不安がありますから、なんらかのテコ入れがあるかもしれない」(マネジメント関係者)  松浦社長の“男気”は、歌姫たちの将来をどのように導くのだろうか? (文=志波道夫)

石原慎太郎原作の異色ミステリー『青木ヶ原』ままならない人生の中で出会った恋人たちの行方

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毎年100体前後の遺体が見つかる富士の樹海を舞台にした『青木ヶ原』。
遺体捜索のボランティアに参加した村松(勝野洋)の奇妙な体験が描かれる。
 光と影は常に表裏一体の関係にある。霊峰として崇められる富士山だが、すそ野に広がる樹海は自殺の名所となっている。多くの人が富士山に向かって幸せを祈る一方、樹海には人知れず息を引き取った身元不明者たちの遺体が眠っている。映画『青木ヶ原』はそんな自殺の名所として知られる富士の樹海をめぐる異色ミステリーだ。若き特攻隊員たちを主人公にした『俺は、君のためにこそ死ににいく』(07)で賛否を呼んだ石原慎太郎(原作・企画)&新城卓(製作・脚本・監督)コンビが5年ぶりにタッグを組んでいる。前作『俺は、君のために−』は愛する者を守るため、お国のために命を投げ出した若者たちの実録ドラマだったが、本作は愛するものもなく、自分の生まれ育った国に居場所を見つけることができずにいる現代人たちの寄る辺なきファンタジーとなっている。  80歳にして国政に復帰し、精力的な日々を送る石原慎太郎氏が2000年に発表した同名短編小説が原作。かつて秋の恒例行事となっていた青木ヶ原の遺体一斉捜索にボランティアスタッフとして参加した地元男性が体験する奇妙なエピソードが綴られている。小説は、翌日に遺体捜索を控えた主人公が行き着ける地元のバーが主舞台。主人公はバーの客やバーテンダーを相手に、樹海での遺体捜索がいかに大変な作業であるかを愚痴り続ける。『完全自殺マニュアル』などのベストセラー本に煽られて、樹海で発見される遺体が一気に倍増したこと。全国各地から安らかな眠りを求めて自殺志願者たちが樹海に向かうが、見つかった遺体は悲惨さを極めていること。鳥によって目玉を突かれ、野犬、タヌキ、キツネら野生動物によって体が中途半端に喰いちぎられているそうだ。遺体捜索中、自分が遺体の第一発見者にならずに済むと「ラッキー」と感じるらしい。年々遺体は増え続け、ほとんどの遺体は引き取り手が現われないため、地元のお寺では納骨堂を拡張せざるを得なくなったともいう。
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溶岩流の上にできた富士の樹海は磁性が強く、氷穴や風穴がところどころにある神秘的な空間。
この世とあの世の緩衝帯で、村松たちは何を見たのか?
 樹海で発見される遺体には、ある傾向があるそうだ。ほとんどの遺体は道路からそれほど離れていない場所で見つかっている。多くの場合は遺書を残していない。どうやら、樹海に足を踏み入れた自殺志願者たちの多くはギリギリまで死ぬか生きるか迷い続け、そのため遺書も用意できず、人目に付きやすいところ、救出されやすいところで息を引きっているらしい。多分、自殺を考えたものの直前で思い直して引き返す人も多いのだろう。主人公たちはそう推測する。孤独に死ぬことを選択した人たちが集まる“自殺の名所”は、実はもっと生きたいと願い、「自殺なんてバカなことはやめろ」と言葉を掛けてほしがっている人たちが足を停める最後の緩衝帯ではないのかと逆説的な視点が小説には盛り込まれている。  小説は捜索前夜のバーでの“自殺談義”と翌日の捜索現場で起きた不思議な体験までを描いた2日間の物語だったが、映画ではその後日談が続く。富士山麓の忍野村でペンションを営む村松(勝野洋)は樹海の一斉捜索で中年男性(矢柴俊博)の遺体を見つける。遺体は地元で火葬されるが、村松の視界に人の良さそうなあの中年男性の姿が度々入ってくる。そのことを相談した寺の住職(津川雅彦)に「何か頼みたいことがあるんだろう」と言われ、気になった村松は中年男性の身元を調べ始める。男性は滝本という名前で、東京の老舗紙問屋の若旦那だった。経済的に恵まれ、熱愛のすえに結婚した妻(長谷川真弓)と育ち盛りの息子もいた。村松は遺族に滝本が樹海で見つかったことを伝えにいくが、遺族側は遺骨の引き取りを拒否する。さらに生前の滝本と交流のあった知人を訪ねると、滝本には若い恋人・純子(前田亜希)がいたことが分かる。純子は今どうしているのか? 滝本はなぜひとりで息を引き取ったのか? 妻子持ちの中年男には、ままならないラブロマンスがあったことが浮かび上がってくる。
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原作者の石原慎太郎氏。昨年10月の東京国際映画祭で上映された際
「知事を辞めた後は自分で映画を撮るつもりだったが、また道を間違った」と漏らした。
 人生のままならなさから、せめて最後は自分の望む場所で眠りに就こうと滝本は樹海に向かったわけだが、そんな滝本さんと純子さんに樹海に行く前に観て欲しい映画がある。1月18日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開される『エンド・オブ・ザ・ワールド』(配給/ミッドシップ、ツイン)だ。『40歳の童貞男』(06)でブレイクしたスティーヴ・カレルと『危険なメソッド』(12)で統合失調症患者を大熱演したキーラ・ナイトレイが共演した、地球最後の日をロマンチックに描いたラブコメディとなっている。小惑星が地球に接近し、人類は滅亡を避けられない事態に。こんなとき、人間は3つのグループに分かれる。残された日々を思う存分ハメ外してドンチャン騒ぎする人々、絶望してさっさと自殺しちゃう人々、そして死ぬのは何だけどドンチャン騒ぎにも加わる気になれず最後まで普段通りに暮らそうとする人々。保険の営業マンであるドッジはいつも通りに会社に出勤しようとするが、上司は自殺し、帰宅すると妻は愛人と蒸発。普段通りに平穏に過ごしたいドッジだが、ひとりぼっちになってしまう。そんな折、街で暴徒たちが暴れ始めたため、ドッジはアパートに残っていた隣人のペニーととりあえず安全な場所に避難することに。妻に逃げられたドッジと男運の悪いペニー。今まで顔を合わせても会話を交わすことすらなかった2人だが、人類滅亡まで残り数日という状況の中で人生最後の恋に墜ちていく。  いよいよ人類最後の瞬間を迎え、ペニーは「もっと早く出会えたらよかったのに」と嘆くが、ドッジはそれは違うよと優しく諭す。人生の最後に、最愛の人と出会うことができたのだと。ペニーは人生のままならなさを悲しむが、ドッジは人類滅亡の日だからこそ2人は結ばれたのだと肯定的に受け止めている。ドッジの言葉にうなずくペニー。サイコーに幸せな気持ちで、2人は巨大な光に包まれていく。滝本さんと純子さんに限らず、人生のままならなさを感じている人におススメの一本です。 (文=長野辰次) aokigahara4.jpg 『青木ヶ原』 企画・原作/石原慎太郎 製作・監督/新城卓 脚本/水口マイク、新城卓 出演/勝野洋、前田亜希、矢柴俊博、田中伸一、ゴリ(ガレッジセール)、中村育二、長谷川真弓、二木てるみ、左とん平、渋谷天外、津川雅彦 配給/アークエンタテインメント 1月12日(土)より有楽町スバル座ほか全国ロードショー (c)新城卓事務所 <http://aokigahara-movie.jp> ●深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】INDEX [第203回]陶酔と記憶の向こう岸にある世界に3Dで迫る! 松江哲明監督の『フラッシュバックメモリーズ』 [第204回]あの低視聴率ドラマ『鈴木先生』が映画版に! “鈴木式教育メソッド”は世界を変えられるか? [第202回]“余命刑事”が家族の絆と細菌兵器を奪回する! 究極の時間制限サスペンス『ブラッド・ウェポン』 [第201回]年末は“女体盛り”パーティーで盛り上がろう! ジェダイの騎士も集う秘密の宴『SUSHI GIRL』 [第200回]もし“理想の恋人”が目の前に現われたどーする!?  情熱的で予測不能な彼女『ルビー・スパークス』 [第199回]“耳フェチ”には堪えられない青春官能ムービー!『耳をかく女』桜木梨奈の無印演技に癒やされたい [第198回]ハリウッドの頑固オヤジがたどり着いた好々爺の境地! イーストウッド、4年ぶりの主演作『人生の特等席』 [第197回]この“明るいヘンタイ”っぷりがいいんじゃない!? 会田誠のアートなエロス『駄作の中にだけ俺がいる』 [第196回]三池監督ならではの“いのちの授業”が始まる! サイコパス教師と過ごす恐怖の文化祭『悪の教典』 [第195回]“絶対的価値”を求める男たちの翔んでもロマン! 井筒監督の犯罪サスペンス『黄金を抱いて翔べ』 [第194回]禁断の蜜が溢れるSM世界『私の奴隷になりなさい』セクシーアイコン・壇蜜がすべてをさらけ出した! 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[第66回]アナーキーな"社歌"で生産性アップ! 満島ひかり大進撃『川の底からこんにちは』 [第65回]超ヘビー級なシリアス劇『プレシャス』"家族"という名の地獄から脱出せよ [第64回]乱れ咲く"悪の華"ゼブラクイーン! 仲里依紗が過激変身『ゼブラーマン2』 [第63回] オタク王が見出した"夢と現実"の接点 ティム・バートン監督作『アリス──』 [第62回] バッドテイストな感動作『第9地区』 アナタはエビ人間とお友達になれるか? [第61回]スコセッシ監督の犯罪アトラクション『シャッターアイランド』へようこそ! [第60回]宮崎あおいの"映画代表作"が誕生! 毒を呑んでも生き続けよ『ソラニン』 [第59回]"おっぱいアート"は世界を救えるか? 母乳戦士の記録『桃色のジャンヌ・ダルク』 [第58回]現代に甦った"梶原一騎ワールド"韓流ステゴロ映画『息もできない』 [第57回]命知らずの変態レポーター、中東へ! 史上最大のどっきり?『ブルーノ』 [第56回]仲里依紗がアニメから実写へと跳躍! 母娘2代の時空旅行『時をかける少女』 [第55回]ビグロー監督はキャメロンより硬派! 人間爆弾の恐怖『ハート・ロッカー』 [第54回] "空気を読む"若者の悲劇『パレード』楽しいルームシェア生活の行き先は? [第53回]社会の"生け贄"に選ばれた男の逃亡劇 堺雅人主演『ゴールデンスランバー』 [第52回]『男はつらいよ』の別エンディング? "寅さん"の最期を描く『おとうと』 [第51回]ひとり相撲なら無敵のチャンピオン! 童貞暴走劇『ボーイズ・オン・ザ・ラン』 [第50回]ヒース・レジャーが最後に見た夢の世界 理想と欲望が渦巻く『Dr.パルナサスの鏡』 [第49回]トニー・ジャーは本気なんジャー! CGなしの狂乱劇再び『マッハ!弐』 [第48回]全米"オシャレ番長"ズーイー、見参! 草食系に捧ぐ『(500日)のサマー』 [第47回]市川崑監督&水谷豊"幻の名作"『幸福』28年の歳月を経て、初のパッケージ化 [第46回]押井守監督、大いなる方向転換か? 黒木メイサ主演『アサルトガールズ』 [第45回]ドラッグ漬けの芸能関係者必見!"神の子"の復活を追う『マラドーナ』 [第44回] 暴走する"システム"が止まらない! マイケル・ムーア監督『キャピタリズム』 [第43回]"人は二度死ぬ"という独自の死生観『ガマの油』役所広司の監督ぶりは? 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六本木襲撃事件の現場にいた関係者が、大所帯アイドルグループのメンバーと交際中か

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 六本木クラブ「フラワー」殺人事件で、警視庁麻布署捜査本部は10日、半グレ集団「関東連合」の元メンバーの男ら8人を逮捕した。  ただ、容疑は凶器準備集合という男性殺害への直接関与に届かないもので、捜査関係者は「下手すれば早々に数名を釈放しなければならなくなる」と焦り顔だ。  事件は昨年9月、客としてクラブを訪れていた飲食店経営・藤本亮介さん(当時31)が、目出し帽をかぶった男ら十数名の集団に金属バットなどで一斉殴打、殺害されたもの。警視庁は事件直前に近くの路上に集まっていたという凶器準備集合罪で17名の逮捕状を取っていた。 「大勢で襲撃しているのですが、目撃者によると実際に殴打していたのは先頭の数名だったということで、ほかは一緒に連なっていただけということになってしまう。襲撃に関わった全員を殺人容疑で引っ張ることができないでいる」(関係者)  凶器準備集合罪は2年以下の懲役または30万円以下の罰金と、殺人罪から比べれば大幅に罪が軽く、公訴時効も時効ナシの殺人と違って3年と定められている。  逮捕された数名は事件直後に中国や韓国など海外に逃亡していたが、外務省から旅券返納命令を出された後、帰国したところを羽田空港で身柄を確保された。すでに出頭していた2名は事件への関与を否認中。11日になってさらに数人が出頭したというが、捜査の難航は変わっていない。  また、現場にいながら逮捕状の出ていないメンバーがいることも分かった。10月上旬、ハワイの格闘技道場にそのひとりを自称する男性が訪れており、親交のあった道場の関係者に自ら事件への関与を漏らしたという。 「殴ったりはしていないと言っていましたが、現場にいていろいろ知っているので、捜査の目を避けるためにフィリピンを経由してきたと話していました」(道場関係者)  男は約1カ月滞在した後、11月上旬に「マニラに心強いエージェントがいる」と、再びフィリピンへの航空便に乗っていったという。  フィリピンには金さえ払えば海外からの逃亡を手助けする請負人が横行しており、日本とも犯罪人引渡し条約が結ばれていないことから、警察が国際指名手配しても連れ戻すことは困難だ。道場関係者が驚いたのは、男性が複数の女性タレントとのツーショット写真を持ち歩いていたということだ。 「その中のひとりはいま大人気の大所帯グループのメンバーで、彼は“俺の彼女だけど、会えないのがつらい”と話していました。自分が事情聴取されたら彼女にも迷惑がかかるかもしれない、とも漏らしていました」(同)  実際にそのタレントが男性の恋人かどうかは分からないが、意外なところに飛び火している事件の背景は、いまだ明らかになっていない。 (文=鈴木雅久)