アカデミー賞2冠! タランティーノ節炸裂で抱腹絶倒『ジャンゴ 繋がれざる者』

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 日本時間2月25日の第85回アカデミー賞授賞式で大いに注目を集めた有力候補作のうち、2作品が早速今週末、日本で劇場公開となる。大スターと巨匠が組んだハリウッド映画の醍醐味を堪能できるこれら2本を、賞の結果も含めて紹介していこう(いずれも3月1日公開)。  『ジャンゴ 繋がれざる者』(R15+指定)は、『イングロリアス・バスターズ』(09)のクエンティン・タランティーノ監督が脚本も手がけた異色のウエスタン。19世紀半ば南北戦争直前のアメリカ南部で、黒人奴隷のジャンゴ(ジェイミー・フォックス)は、賞金稼ぎのドイツ人シュルツ(クリストフ・ワルツ)に買われる。差別主義を嫌うシュルツはジャンゴに自由を与え、賞金稼ぎの相棒として鍛えていく。やがて2人は、ジャンゴと生き別れになった妻が残忍な領主として名高いキャンディ(レオナルド・ディカプリオ)の農園にいると知り、彼女を取り戻すため危険を承知で乗り込む。  マカロニ・ウエスタン(イタリア製西部劇)のフォーマットをベースにしながら、ハリウッド資本で南北戦争前夜の南部を舞台に製作。差別意識がはびこる時代と土地に、「ドイツ人」と「奴隷あがりの黒人」の賞金稼ぎコンビという異物を放り込む。さまざまなレベルで異物同士がぶつかり合うテイストを巧みに料理し、醸し出される違和感を比類無き魅力とシニカルな笑いに昇華させるのが、まさにタランティーノ流だ。ストーリー展開が一筋縄ではいかず、予定調和にならない変拍子が心地良い。飄々(ひょうひょう)としながらじわりと人間味がにじむキャラをワルツが好演。ディカプリオが悪党を嬉々として演じ、執事役サミュエル・ジャクソンの怪演も抱腹絶倒だ。「やり過ぎ感」もまたタランティーノの持ち味で、大げさな血糊の噴出や被弾した人物の吹っ飛び方もジョークにしてしまい、不謹慎と思いながらまんまと笑わされてしまう。今回のアカデミー賞で作品賞ほか5部門にノミネートされ、助演男優賞(ワルツ)と脚本賞を受賞した。バイオレンス描写と差別用語のため万人向きではないが、名優たちの熱演とストーリーテリングの巧みさを満喫できる、大人の娯楽大作だ。  もう1本の『フライト』は、デンゼル・ワシントン主演で、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズのロバート・ゼメキス監督が12年ぶりに手がけた実写作品。フロリダ州オーランドを飛び立った旅客機が、飛行中に原因不明のトラブルに見舞われ、高度3万フィートから急降下を始める。機長のウィトカー(ワシントン)は、とっさの判断で奇跡的な緊急着陸に成功して多くの人命を救い、一夜にして国民的英雄に。だがウィトカーの血液中からアルコールが検出されたことで、疑惑の目が向けられ、大騒動に発展していく。  『ポーラー・エクスプレス』(04)以降、もっぱら3DのCGアニメ作品に傾注していたゼメキス監督が、ようやく実写の世界に帰ってきた。ゼメキス監督といえばやはり視覚効果で、CMや予告編でも大勢が目にしている旅客機の低空背面飛行のリアルさは、映画館の大画面で「目撃」すると驚愕の迫力だ。序盤がディザスター映画風なのに対し、中盤からサスペンスに転調する流れも秀逸。事故調査の公聴会で張り詰めたやり取りが交わされるクライマックスでは、ワシントンの表情から目が離せなくなるはず。特異なキャラクターを主人公に据えているが、これは「自分が抱える問題といかに向き合うか」という誰もが共感できるテーマを扱った物語だ。今回のアカデミー賞では主演男優賞、脚本賞のノミネートのみに終わったが、ウィトカーと心を通わせるヒロイン役ケリー・ライリーの好演も挙げておきたい。 (文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉) 『ジャンゴ 繋がれざる者』作品情報 <http://eiga.com/movie/58197/> 『フライト』作品情報 <http://eiga.com/movie/57488/>

うつ病に苦しむ昭和の歌姫……中森明菜を追い詰めたのはあの男?(2月下旬の人気記事)

ranking0301.jpg  2月下旬の注目記事を紹介する、日刊サイゾー人気記事ランキング。今クールは、芸能人の“闇”に迫った記事が人気を集めました。うつ病、親子不仲、シャブセックス……などなど、普段は華やかなイメージのみなさんですが、プライベートではいろいろ大変なようですね。それでは、早速チェックしてみましょう! 第1位 重度のうつ病に苦しむ中森明菜の人生を「ジャニーズ」と「近藤真彦」はどう追い込んだか マッチって、とんでもない男だな! 第2位 「まだまだ資産は30億円以上?」表舞台から消えても悠々自適な生活を送る、新婚の鈴木えみ 「モデル業は趣味です♪」 第3位 「絶対に潰す!」ペニオク詐欺指弾の西川史子に“ネット詐欺疑惑”が浮上した裏事情 毒舌タレントの宿命。 第4位 激ヤセ&父親に激怒の戸田恵梨香 「ドラマが終わったら」綾野剛と再同棲へまっしぐら みなさんお待ちかねの戸田恵梨香ネタ。 第5位 宍戸錠の自宅火災があぶり出した深刻“親子不和”「息子・開とはもはや修復不可能……」 頑固オヤジそうだもんね。 次点 「酒井法子もやめられない……」6度目逮捕の岡崎聡子容疑者が語った“シャブセックス”の恐怖 大方、みんなそう思ってる。 次々点 “病気レベル”の合コン好きを暴露された郷ひろみ「アチチってやってくれない……」 郷さんから「アチチ」を取ったら、何が残るの?

【清野とおるの、キ○チ○ガ○イと呼ばないで】第11話「初めてのモグラ」

1mogura.jpg 『東京都北区赤羽』でおなじみの漫画家・清野とおるによる、悶絶必死の爆笑コラム。  小2の時の話。  昼休みに校庭でドッジボールをしようと思い、室井くんと外に出ようとしたところ、下駄箱付近に、一匹のモグラが転がっていた。 2mogura.jpg  モグラなんて、小学生にしてみたら、大人でいうところの河童やツチノコ並みの、UMA的存在じゃないですか。  俺たちは大興奮し、軽くパニックになった。 3mogura.jpg  でも、すぐに見慣れて、飽きてしまった。  作戦会議した結果、モグラを元いた世界……つまり、土の中に帰してあげることにした。  校庭の隅の、木々がちょろっと茂っているエリアに移動し、柔らかめの土の上にモグラを置いた。 4mogura.jpg  モグラと小学生の、心温まる出会いと別れ。  この連載をずっと読んでくれてる方は、「小学生によるモグラ四肢切断の末の惨殺」とか予想されたかもしれないけど、そんなことは決してしませんのである。 5mogura.jpg  ……しかし、モグラは穴を掘らず、ぐったりしたままその場に突っ伏している。 6mogura.jpg  陸の魚を早く川に戻してあげなきゃ死んじゃう~、とまったく同じ感覚である。  考えた末、モグラが掘って出てきた「穴」を探して、そこに戻してあげようということになり、手分けして探した。 7mogura.jpg  しかし、「穴」が見つからないまま、チャイムが鳴ってしまった。早いところ教室に戻らないと、先生に怒られてしまう。 8mogura.jpg  やむなく花壇に穴を掘って、そこにモグラを埋めることにした。 9mogura.jpg  やがて下校する頃には、モグラの存在なんて完全に忘れていた。  なにせ当時は、ビックリマンシールやファミコンなど、麻薬的娯楽が多くて、それに比較するとモグラなんて、ねえ……。  ぶっちゃけ、最初のインパクトだけじゃないですか。 10mogura.jpg  数週間後、ふとモグラのことを思い出したので、モグラを埋めた花壇に行ってみることにした。 11mogura.jpg  モグラを生めた埋めたあたりの土から、何か得体の知れない、ミミズに毛が生えたような謎の物体が飛び出しているではないか……。  室井くんがそれを引っ張ったところ、 12mogura.jpg  それは、腐りかけてビッグ異臭を発するモグラの死体の尻尾だった……。  モグラを生きて土に帰してあげられなかったガッカリ感と、モグラから発せられる腐敗臭に、俺たちのテンションは、下がれる限界までとことん下がった。  こんなおもいをさせられるなら、もうにどと、ちじょうにあらわれてほしくないなあと、ぼくはおもいました。  おわり。 (文・イラスト=清野とおる) 1seinoprof.jpg ●せいの・とおる 1980年生まれ。東京都板橋区出身。地元・赤羽に生息する奇妙な人々を生き生きと描いた漫画『東京都北区赤羽』(Bbmfマガジン )が大ヒット中。 Twitter <https://twitter.com/seeeeeeeeeeeeno> 「キ○チ○ガ○イと呼ばないで」過去記事はこちらから

「やっぱり大苦戦……」ビートたけしが“男気”だけで引き受けたTBS『日曜ゴールデン』の負け戦

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TBS『日曜ゴールデンで何やってんだテレビ』
「今の状況が続くようなら、最悪、1年での打ち切りもあるかもしれないと言われています。ただ、上層部も『こちらが頭を下げて始めてもらった以上、打ち切りとは言えない。できれば、自分から辞めてほしいんだけど……』と、相当苦悩しているようでした」(TBS関係者)  ビートたけしと、とんねるずの石橋貴明が初タッグを組んだ『日曜ゴールデンで何やってんだテレビ』(TBS系)。鳴り物入りで始まった初回視聴率も8.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)とまさかの2桁を割り込み、現在も5%前後と“大苦戦”中だ。 「もともと日曜夜の8時台は、何をやっても視聴率が取れないと言われていました。この番組以前は、制作費も安くて無難なクイズ番組がほとんどでしたからね。それでも数字が取れなくて、上層部がたけしさんに泣きついたそうです」(同)  ある意味、勝ち目のない戦いを“男気”だけで引き受けたビートたけし。その相方にとんねるずの石橋を選んだのも、たけしなりの理由があったのだという。 「たけしさんには、関西芸人に独占されているお笑い番組を東京芸人で巻き返したいという“芸人魂”があるんです。そこで、東京芸人の代表格でもある、とんねるずが選ばれたそうです」(芸能関係者)  ところが、石橋の持ち味である“勢い”はたけしの前では発揮されず、そのもくろみはいまだ形になっていない。 「おまけに、先日はたけしさんが裏番組に出ているため、石橋さんひとりの番組になりました。たけしさんも、そろそろ飽きてきているのかもしれませんね。もしかすると、当初のコンセプトも無視して、関西芸人も出演するかもしれませんよ」(番組スタッフ)  下手したら、わずか1年で終わってしまうかもしれない、この番組。TBS局内のあちこちから、「何やってんだ」という声が聞こえる!?

テレ朝『DOCTORS』続編決定! 再評価される“第3の視聴率男”沢村一樹の安心感

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『DOCTORS 最強の名医 DVD-BOX』
(TCエンタテインメント)
「今、局内では沢村さんの評価がうなぎ上りですよ。上層部も、『彼が第3の視聴率男だな』なんて言って笑っていますよ」(テレビ朝日関係者)  昨年の年間視聴率で、プライムタイムの時間帯で開局以来初の首位を獲得したテレビ朝日。ゴールデンタイムでも開局以来初の2位となり、全日でも41年ぶりの2位を獲得した。 「それに貢献しているのは、もちろん水谷豊さんの『相棒』シリーズです。昨年は、米倉涼子さんの『ドクターX 外科医・大門未知子』も想像以上のヒットで、視聴率が底上げされました。その前年に沢村さんが主演した『DOCTORS~最強の名医~』も、平均で15%近く取るなどヒットし、今年続編が放送されることが決定しました。脚本は引き続き、福田靖さんが担当するそうです」(同)  それにしてもなぜ、一昨年に放送された沢村のドラマが、今になって評価されているのか? 「テレ朝には、ヒットしたドラマは基本的に“続編”を作る、という決まりごとがあるんです。沢村さんのドラマのように平均で15%近く取る作品は少ないので、続編も大コケしないという安心感がある。昨年の同局のドラマには、シリーズ物を除いて、一昨年の『DOCTORS』を超えるものがなかったので、この作品が続編候補に選ばれたんですよ。上川隆也さんの『遺留捜査』も初回のシリーズで14%を取ったのでシリーズ化され、今年も第3シリーズが放送されます。その上川さんより沢村さんのほうが数字がよかったから、上層部も期待するところが大きいんじゃないでしょうか。テレ朝は今年、ゴールデンでも1位を目指していますからね!」(同)  テレビ朝日の勢いは今年も続きそうだ。

実力はあっても「フジテレビと電通」で大丈夫? ボクシング五輪金・村田諒太の不確かな未来

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日本オリンピック協会公式HPより
 先日、正式にプロ転向を表明したロンドン五輪ボクシング男子ミドル級金メダリスト・村田諒太。五輪後、一度はプロ転向を否定して現役引退を示唆していたものの、一転プロ入りを表明した背景には、フジテレビの多大なバックアップがあった。 「どうやら、電通とフジががっちりタッグを組んで村田をフジの子会社に入社させ、フジと太いパイプがある三迫ジムに預ける。フジは4月にアマ7冠の井上尚弥の3戦目を異例のゴールデン全国中継するが、村田と井上の二枚看板で、いずれはW世界戦を視野に入れてボクシングブーム再燃を狙っている。子会社とはいえ、フジの正社員同様の好待遇で迎えるようだ」(スポーツ紙デスク)  日本チャンピオンになっても、なかなか競技に専念するほどのファイトマネーが得られない日本のボクシング界にあって、村田の待遇はまさに“破格”といえる。だが、こうした待遇がプロキャリアの足かせになる可能性もあるのだという。 「フジや電通が金を出すということは、当然、マッチメイクにも口を出してくることになる。ボクサー村田が話題として“持つ”のは長くても次の五輪までだし、中継番組に“史上最短記録”などといった見栄えのいいキャッチフレーズを付けるためにも、村田はキャリアを重ねるより前の6戦目あたりで世界挑戦させられる可能性が高い。しかも、その世界戦までに負けさせるわけにもいかないので、骨のある相手との試合も組まれないだろう。プロとしての実力を試されないまま世界チャンピオンに挑めば、結果は見えている」(同)  では、実際に村田の実力はどの程度なのだろうか? 日本のボクシング史上でただ一人、ミドル級の世界王者を経験した竹原慎二氏は五輪直後、「(プロに転向すれば)日本・東洋太平洋王座は問題なく獲れる。まだ26歳。アマチュアの指導者になるには早いよ」と、その実力に太鼓判を押しているが……。 「五輪金メダリストの技術がプロに入ってもトップレベルにあることは間違いないが、だからといって、すぐに世界チャンピオンになれるわけではない。アマチュア228戦223勝という圧倒的な成績でバルセロナ五輪を制し、プロでも6階級制覇を成し遂げたオスカー・デ・ラ・ホーヤ(米国)でさえ、最初のベルトまで12戦を費やしている。特に、本場米国ではミドル級近辺の有力選手はプロ志向が強く、五輪予選に出場せずにプロ入りする傾向にある。村田にとって都合がいいのは、日本ボクシングコミッションが従来のWBA、WBCに加えて、WBOとIBFも世界王者の認定団体として公認し、加盟したこと。これでターゲットとなる“世界王者”は2人から4人になり、選択肢は広がった」(専門誌記者)  17階級4団体、計68人の世界王者が乱立するプロボクシングの世界では近年、チャンピオンベルトの有無や本数より、実力者同士の好試合にこそ注目が集まるようになってきている。TBSと亀田家のような安易なベルトコレクションに走らせるか、真の実力を蓄えて1試合で数十億円が動く本場ラスベガスでも通用するような選手に育て上げるか、ボクシング界の“至宝”はフジテレビと電通に託された。

ホームレスは本当に減ったのか――支援の現場から考える『漂流老人ホームレス社会』

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『漂流老人ホームレス社会』
(朝日新聞出版)
 2003年、ホームレスが販売する雑誌「ビッグイシュー」の日本版が刊行。07年に漫才師の麒麟・田村裕が記した『ホームレス中学生』(ワニブックス)の大ヒットは、タレント本というジャンルを差し引いても、ホームレスに対する世間の興味を示している。08年末には、リーマンショックに伴って失業した非正規労働者らが、日比谷公園に設置された「年越し派遣村」で正月を迎えた。  近年、一時期よりもホームレスについての話題を耳にしなくなったように感じる。厚生労働省による調査では、08年と比較して12年には、ホームレスの数が全国で40%減少している。ピークであった10年前と比較すると、その数は3分の1。人々がホームレス問題に注目し対応がなされた結果、状況は改善。いまだに問題は残るものの、事態は徐々に改善に向かいつつある……。このデータを素直に読み取るなら、そういうことになるかもしれない。  だが、ホームレス支援団体「TENOHASI」の代表を務める精神科医・森川すいめい氏の著書『漂流老人ホームレス社会』(朝日新聞出版)には、こう明記されている。 「ホームレス問題がこのまま解決すると思っている人はいない」  TENOHASI代表として、池袋駅を中心に夜回りや炊き出しなどの支援を行う森川氏。本書では、その支援の中で出会ったうつ病、認知症、アルコール依存症、DV、知的障害、統合失調症などのホームレスの支援の実態を描きながら、そこで直面する問題を浮かび上がらせている。 「ホームレスとは、単に家(ハウス)がない状態をいうのではない。安心して生きていく場(ホーム)がない状態をいう。みんなが平等であることを前提とする社会は、人間を、ホームレス状態に押しやる」 と森川氏は書く。12年の調査で、ホームレスの平均年齢は59.3歳。60歳以上の高齢者が半数以上を占め、70歳以上でも全体の10%を超える。彼らは、ついのすみかとして路上を選ばざるを得なかった。だが、路上にすら居場所をなくしたホームレスも少なくない。近年、ベンチには眠れないように仕切りが設置され、公園は夜間閉鎖されるようになってきているのだ。 「経済競争力の糧にならない人間は、ホームレスか精神科病院か刑務所に社会は押しやっていないか。家族だけに責任を押し付けていないか」と、森川氏は問いかける。  路上生活者だけではない。この社会のあらゆる場所に、自分の居場所を喪った「ホームレス状態の人」は存在する。路上生活者としてのホームレスは、確かに減少したかもしれない。しかし、本当に状況は「改善」されているのだろうか? 社会から隔離し、追いやることで問題を隠しているだけではないだろうか?  精神科医として、統合失調症患者と話すとき、森川氏が大切にしていることは「コミュニケーションの原則を守ること」、つまり相手の立場を理解し、尊重することだという。脈絡なくしゃべっているような統合失調症患者や認知症患者にも、見えている世界があり、彼らはそれに基づいてしゃべっているにすぎない。コミュニケーションの原則においてすべきことは、それを否定することではなく、近づき、受け入れること。それは、森川氏の夜回り支援の現場にも生かされている。  森川氏は「主人公は支援される側である」という前提を貫く。弱く、無能な人間に対して「まともな」人間が「支援をしてあげる」のではない。「主人公」である被支援者を支えるために、活動を行っているのだ。 (文=萩原雄太[かもめマシーン])

“美しすぎる○○”シリーズ仕掛け人に聞く、ホンモノの見分け方

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 “かわいすぎる中国語講師”として、一部のネットユーザーから熱狂的な支持を受けている女性をご存じだろうか? 彼女の名前は段文凝(だん・ぶんぎょう)。中国・天津市出身で、2009年に来日。11年4月よりNHK・Eテレ『テレビで中国語』にレギュラー出演する傍ら、早稲田大学大学院でジャーナリズムを勉強している。昨年は初のエッセイ『日本が好き!』(PHP研究所)の出版や、TECC(中国語コミュニケーション能力検定)のイメージキャラクターを務めるなど、少しずつ活動の幅を広げている。そんな彼女の初のイメージDVD『段文凝 私的探究旅日記』が3月1日、ポニーキャニオンより発売される。仕掛け人は、“美しすぎる市議”こと八戸市の藤川優里議員、“元祖カーリング娘”こと本橋麻里の「美しすぎる○○」DVDシリーズを生みだしてきた敏腕プロデューサー・土屋正樹氏。今回のDVDの見どころと、「美しすぎる○○」シリーズの極意について、話を聞いた。 ――まず、今回のDVD『段文凝 私的探究旅日記』のテーマを教えてください。 土屋正樹氏(以下、土屋) 段さんはもともと旅行が好きで、沖縄は一度訪れてみたいと思っていた憧れの場所。その夢を叶えてあげようと、沖縄旅行記というスタイルで彼女の魅力に迫りました。 ――「美しぎる○○」の第3弾として、段さんを選んだ理由は? 土屋 尖閣諸島問題で日中関係が危ういころに、『日本が好き!』というタイトルの本を出すなんて、すごく勇気があるなと思ったんです。本を読んでみると、これまで僕が手掛けてきた藤川さんや本橋さんのように、なかなかストーリー性がある人生を歩んでいらっしゃる。彼女は天津で生まれて、天津テレビでアナウンサーをしていた。レギュラーを何本か持ち人気もあったのに、そのキャリアを捨てて、2009年に一人で日本に来たんです。来日したばかりの頃はまったく日本語ができなくて、中華料理店とか免税店でアルバイトしながら日本語学校に通い、その2年後には早稲田の大学院に合格する。なかなかすごいですよね。 ――水着やメイド服、セーラー服、エイサー姿といったコスプレシーンのほか、はにかみながらインタビューに応えているシーンも印象的でした。 0138.jpg 土屋 このシリーズは、ただ単にイメージDVDというわけではなく、人となりがわかるインタビューも見どころなんです。一昨年の東日本大震災後、毎日のように両親から「帰ってこい」と電話がかかってくる中、彼女は“ジャーナリストを志す人間が、災害が起こった場所から逃げることはとてもできない”と、頑として日本に残ったんです。もちろんルックスはバツグンですが、人間的にも芯があって、非常に魅力的な方。そこをしっかり知ってもらえるとうれしいですね。 ――これまでに藤川さん、本橋さんと「美しすぎる○○」シリーズを手掛けられてきた土屋さんですが、とくに藤川さんの『藤川ゆりDVD love navi 八戸』は、イメージDVDとしては異例のヒット作となったそうですね。このシリーズの素材選びの基準は、どんなところなのでしょうか? 土屋 “美しすぎる”とか“かわいすぎる”というのは、結局のところ見る側の主観に寄ってしまうので、その部分はあまり重視していないんです。一番重要なのは、下の○○の部分。仮にDVDを出したりして状況が変わったとしても、その○○の部分が絶対に揺るがない、と確信が持てた人だけなんです。藤川さんの場合も、実は最初にお会いしたときに、一度断られているんです。彼女は八戸市の市議会議員で、この先も国政に打って出てやろうという野心はない。なので、自分自身をPRするのは、八戸市の有権者だけでいいと。それ以外の人に自分自身をPRしたくない、とおっしゃったんです。その時に、これはホンモノだと思ったんです。この人だったら、たとえDVDが売れて脚光を浴びても、それを踏み台にして国政に進出したり芸能界に行ったりしないだろうと確信が持てたので、そこから食い下がって、彼女のパーソナルDVDではなく八戸市をPRするためのDVDとして出ていただいたんです。 ――コスプレはまだしも、素人の女性が水着になるのは抵抗があると思いますが、どうやって口説き落としているんですか?  土屋 藤川さんの場合は、八戸市のPRのためのDVD。本橋さんの場合はバンクーバー五輪前だったんですが、カーリングはすごくマイナーなスポーツでスポンサーが少なく、合宿も海外遠征も資金難だった。そんな中、本橋さんはバンクーバーに向けて、自分がチーム青森の広告塔になり、スポンサーを獲得しようという覚悟があった。この2人に共通するのは、結局DVDを出したとしても、売れなかったらPRにならないという点。ですから、水着があるとないので販売枚数が1ケタ違う、というのをきちんと説明した上で、「それなら……」ということで快諾してもらいました。 0509.jpg ――最近では、“美しすぎる”という形容詞は食傷気味になりつつありますが、このシリーズはまだまだイケますか? 土屋 ニーズ自体はありますが、それに応えられるコンテンツが圧倒的に少ないとは思いますね。“美しすぎる”一般人ならなんでもいいというワケではなく、○○の部分に価値があり、さらにそこからDVDを出してもOKだという人は本当に少ない。常に探していますが、なかなか見つかりませんね。 ――今までやりたかったけど、できなかった人はいますか? 土屋 お会いした人は数知れずいるんですが、会ってみたらそうでもなかった人はけっこういますね。そこまでかわいくなかったとか、まぁいろいろ……。そういう意味では、こちらがやりたかったのに断られたのは一人だけですね。それが、美しすぎる海女さんで話題になった大向美咲さん。海女という仕事を18歳でやろうとしたのもすごいけれど、けっこう骨もあって、実際ルックスもかわいかったんで、3回くらい(岩手県)久慈市に足を運んだのですが、「嫌です、恥ずかしいです」って。結局、実現しませんでした。 ――それでは最後に、段さんのDVDのPRをお願いします。 土屋 彼女は親日家で、ゆくゆくは日中の懸け橋になりたいと勉強に励んでいます。いま日中関係が微妙な中で、彼女のような存在は本当に貴重ですし、なにより本当にかわいらしい子なので、絶対損はさせませんよ!

誰よりも芸人想いな「殿」が鳴らす、現代お笑い界への警鐘『ビートたけしのオールナイトニッポン』

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しゃべりと笑いと音楽があふれる“少数派”メディアの魅力を再発掘! ラジオ好きライターが贈る、必聴ラジオコラム。  それ以降もあまたの才能あふれるお笑い芸人が出現し続けているにもかかわらず、なぜ誰もビートたけしの位置にたどり着けないのか? 実は、多くの芸人やお笑いファンがあきらめと共に棚上げにしているそんな根本的疑問について、誰よりも真剣に考えているのは当のビートたけし本人なのかもしれない。2月24日、「オールナイトニッポン45時間スペシャル」内で放送された『ビートたけしのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)において、たけしは目にもとまらぬ冗談の絨毯爆撃を浴びせつつも、お笑い界の現状に関し重大な疑問を投下した。  この日の放送は、ラジオの女房役である高田文夫が体調不良により欠席したため、松村邦洋と浅草キッドの2人を迎えての4人体制で進められた。弟子及び後輩芸人に囲まれたその状況こそが、たけしの熱い芸人論を導き出したといえるかもしれない。  最近のたけしは、『THE MANZAI』(フジテレビ系)の最高顧問や、自らのチョイスで若手芸人を集めたネタ特番『北野演芸館』(TBS系)等の番組内で、若手芸人のネタに寸評を加える場面が増えている。また、著書『間抜けの構造』(新潮新書)の中でも、漫才の「間」と「スピード」の問題について触れるなど、以前よりも他者の笑いについて語る機会が増えてきているのは間違いない。そしてその多くは、ほぼ「ベタ褒め」と言っていいほどに、最近の若手芸人のネタのクオリティを、その鍛え上げられたスピードや練り込まれた構成力など、主に技術面において高く評価するものだった。いずれのコメントもさすがと感じさせる的確なものであったが、その一方にはまた、その奥に何か言い足りていない部分、技術以前の段階にある重大な何かを匂わせるような余韻が常に漂っているように感じていた。それがこの日のラジオでは、もう一歩先へと突っ込んだ形で語られた。  番組後半、最近の芸人のネタについて話が及ぶと、たけしは「今はもう高度だろ」と、まずはその技術的な巧みさを絶賛する。テレビで語られるたけしのネタ評は、そこからどこが高度なのかという具体論に展開し、若手を激励して終わる形が多いが、この日はそこにとどまらず、話題はより広い領域へと展開する。「高度っていうか、漫才じゃなくてもう芝居になってきたな。もう、つかこうへいになってきた」と。  「高度」という縦への純粋なプラス評価が、その実「漫才・コントから芝居への変容」という横への変化でしかないという事実に、正確に修正される。いや修正というよりは、目の錯覚でごまかされていたものを、別角度のカメラから捉え直すことで正確に捉え直した、という感じだろうか。芝居的なものは一見したところ高度には見えるが、それが笑いにとってプラスになる変化であるとは限らないということだろう。実際、今のお笑いコンテストにおいては、中身の面白さよりもスタイルの新しさを求める審査員も増えている。だがその新しさとは、単に隣の芝生から枠組みをごっそり持ってきて当てはめただけのものでしかないことも多く、「コントとしては新しく見えるが、芝居の世界ではありがち」な手法であったりする。  そしてたけしはさらに、そんな「芝居化するネタ」について、「客は前の漫才に少し飽きてきたから面白いかもわかんないけど」と観客の立場へと瞬時に視点を切り替えた後、グッとカメラ位置をクレーンで上昇させるように、テレビ界全体を俯瞰してみせる。「それで終わればいいけど、テレビのタレントとして活躍することがメインだとしたら、そりゃ駄目だな。(漫才は)コンビでしかありえないから。司会をやるのもまったく違う話」であると。  たけしのこの言葉からは、お笑い学校に入って、お笑いコンテストで優勝して、ひな壇芸人になって、レギュラー番組を持って、やがて司会者になるという、今の芸人が売れるための「正規ルート」となんとなく思われているものが、実は根本的に間違っているのではないか、という疑問が改めて浮かび上がってくる。  そしてたけしは、「漫才師を目指してるのか、タレントを目指してるのか」と、大前提としての芸人のスタンスに疑問を投じる。この言葉はさらに重いが、これはしかし、売れてから急速にタレント化していく若手芸人を必ずしも責めているわけではない。それどころか、たけし自身も幅広くタレント活動をしているという事実がある。だからこれはむしろ、業界全体に対しての、「面白い漫才師を育てたいのか、有用なタレントを育てたいのか」という問いかけなのではないか。  もしかしたら、漫才師をテレビ受けするタレントや司会者に育て上げるということは、ピッチャーとして獲得した選手をキャッチャーとして育てるような、もっといえばピッチャーとして獲った選手を球団経営者として育てるような、あるいは大食いチャンピオンを横綱に育てるような、思いのほかトリッキーな育成法なのかもしれない。これは別に芸人やスポーツの世界に限ったことではなく、はたから見れば似たように見える職業でも、求められる職能がまったく違うというのはよくあることだ。  現状として、漫才師が漫才師のまま芸能界のトップに立つという例はなく、お笑い芸人のゴールは冠番組の司会者と、なぜか相場が決まっている。それはまさに「大人数をまとめる立場になればなるほど給料が上がる」という会社のシステムとまったく同じ構造なわけだが、そもそも「ネタの面白さ」と「大人数をまとめる能力」を同列に評価できるはずがない。「ネタ作りの能力」と、今のテレビが求めている「タレント性」が似て非なるものであるのも、歴代コンテスト優勝者たちが図らずも証明してしまっている。  もちろん、こんなことを言ってみたところで、ただちに何かが解決されるわけではない。たけしもそんなつもりで発言をしているわけではなく、逆に簡単に解決法を提案できるような浅い問題であれば、わざわざ口にしないだろう。だがそろそろ、『M-1』が作り上げた芸人の出世システムを、本格的に見直すべき時期に来ているのかもしれないというのは、業界内の誰しもが、いやテレビの前のお笑いファンだって、なんとなく感じているはずだ。たけしの言葉は、にもかかわらずそこに気づかぬふりをして、このまま進んでいこうとする業界全体への警鐘に違いない。そしてその言葉は、今のビートたけしが、誰よりも有能な若手芸人の出現を待ちわびていることの証明でもある。そんな照れること、たけしが素直に認めるはずはないけれど。 (文=井上智公<http://arsenal4.blog65.fc2.com/>) 「逆にラジオ」過去記事はこちらから

スタッフに自腹でおごりまくる女優・菅野美穂「バブルのときに、そうしてもらったから」

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『カンタビ』(講談社)
 ドラマに映画、CMに引っ張りだこの女優・菅野美穂が、スタッフたちから“ある心配”をされているそうだ。 「それが、菅野さんの“おごり癖”なんです。彼女は、共演者だけでなくスタッフ全員に必ず最低一回は食事をおごるのですが、全額自腹で、しかも高級店限定なんです。スタッフには『あなたたちのほうが大変なんだから、いっぱい食べなさい』とか言ってくれて、来られなかったスタッフには別の機会を設けて連れて行ってくれます。こんな女優さんは、ほかにはいませんよ」(ドラマスタッフ)  好感度ランキングでも常に上位に位置し、CMも現在7本と安定した人気を誇る菅野。毎年、連ドラにも出演し、それなりの数字も取る。それだけに、“財布”の心配はないと思うのだが……。 「彼女は倹約家で知られていますが、スタッフたちを食事に連れて行くだけで、一回で数十万円かかりますからね。彼女と親しいスタッフは『ドラマのギャラは、ほとんど残らないのでは?』というくらい、周囲の人に対してお金を使っていますよ」(テレビ局関係者)  それは、自身が若手の頃に同じような経験をしたからだそうだ。 「彼女が若手の頃はまだバブル期で、どれだけお金を使っても、なんの問題もありませんでした。でも、今は時代が時代です。それでも、彼女は『私も先輩たちからそうやってもらったんで』と、おごるのをやめようとしないんです。だから、プロデューサーやスタッフたちは『彼女のためなら!』と、なんとかいいドラマにしようと頑張っていますよ。数字が良かろうと悪かろうと、彼女はキャスティングされ続けると思いますよ」(芸能事務所関係者)  人気の秘密は“人間力”ということか。