「Amazonに対抗するために……!」電子書籍本格普及を前に白熱する“著作隣接権”をめぐる議論

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作家や法律の専門家など、さまざまな立場
から意見が飛び交う。
 電子書籍の本格化による出版産業のグローバル化を見据えて進められてきた、出版社への「著作隣接権」付与の議論。7月25日、いよいよ法制化の動きが進むのに先立ち、衆議院第二議員会館で、シンポジウム「出版文化の今後と出版者への権利付与」(主催:文字・活字文化推進機構)が開催された。  シンポジウムは、専修大学教授で出版デジタル機構会長の植村八潮氏の現状報告から始まった。まず植村氏は、「出版不況」は日本だけのことに過ぎず、先進国の多くでは近年、出版業界は横ばいか成長局面にあることを説明する。そして、日本だけが「出版不況」に陥っている理由として、全国4,000社あまりの出版社の本が、少数の取次会社を経て数多くの書店に流通するというシステムが、制度疲労を起こしていると指摘する。  もはや、日本の出版業界は抜本的な改革を迫られているというわけだ。しかし、期待される電子書籍も、その内情はまだ貧しい。出版社のほとんどは中小零細企業。ゆえに、電子書籍を制作するために新たな担当者を置くことはできない。それに、出版社自身も電子書籍の制作技術を持っているところは少ない。さらに根本的な問題として、電子書籍は流通基盤も制度も標準化されていない状態。堅実に成長を始めている日本の電子書籍だが、その内容はまだまだ貧しいのだ。  その上で植村氏は「コンテンツを持っている人が王様だというのは、幻想に過ぎません。重要なのはプラットフォーム。このままだと、それがアメリカに取られてしまいます」と説明する。  キンドル日本版の発売もアナウンスされ、書店としても国内第2位の勢力を誇るAmazonが、電子書籍市場でも大きな勢力を得ることは容易に予想できる。そうした巨大企業の寡占化も止めなくてはならないと、植村氏は言う。 「プラットフォームがチャネル(販売経路)を独占すると、一見、中抜きがなくなり、無料、あるいは安価に情報が流通するように見えますが、結局は収益が落ちていきます。米国の場合、新刊書籍と電子版とが同時発売されるようになって、全体の売り上げが落ちました」  電子書籍の市場が(主に外資によって)寡占化されることの弊害は大きい。そのためにも、出版業界の再編のための法整備は急務なのだ。  現状分析の上で実際にどのような法整備を進めるかを解説したのは、弁護士の桶田大介氏である。桶田氏はまず、昨今議論になっている「著作隣接権」が不適切な用語であると解説した。 「隣接権は分類の名称であって、固有の権利を指すものではなく適当ではありません。“(仮称)出版物に係わる権利”としたほうがよいでしょう」  この前提の上で、桶田氏はどういった経緯で議論が行われてきたかを説明し、具体的な内容を説明していった。これまで多くの報道で述べられているように、法整備が求められる大きな理由は、海外での海賊版対策や、電子書籍市場の発展に向けた対応。これまでナアナアで行われてきた出版界特有の慣行を明文化し、著者と出版社の権利を明らかにすることなどが挙げられる。そのために、出版社側に複製権・送信可能化権・譲渡権・貸与権を与えることになる。
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自らの経験から、電子書籍の現状を説明する
松本零士氏。
 Amazon Kindleストアですら、勝手に日本の同人誌を翻訳して売っていた、とんでもないヤツがいる時代、海賊版対策を出版社に一任できる点だけでも便利な法整備に見える。ただ、出版社の権利を拡大することに異議を唱える声も尽きない。  取材中、筆者の後ろの席で「なんだよコレ」「うまい作文作ってさあ……」と小声でしきりに文句を言っている人がいるので、誰かと振り返ってみたら日本漫画家協会のCさんだった……。まだまだ、議論を尽くす必要があるのは否めない。  そうした議論のためにと、シンポジウムの後半はパネルディスカッションに。その中で、まず賛成の立場から尖った意見を述べるのが、作家の浅田次郎氏だ。浅田氏は、 「作家は大抵が社会性に欠けています。出版社や編集者だけが社会との窓口になっている人も多い。ゆえに、契約なんかの時に、事故も起こりやすいんです」  と、自身の体験に照らした(?)意見を述べる。対して法整備に慎重な立場を取る、マンガ家の里中満智子氏は、次のように話す。 「出版社も慈善事業じゃないので、力のない人に冷たいのはわかります。でも、品切れ重版未定の本を別の出版社が出したいといった時、品切れにしている出版社にとりあえずお伺いを立てると、拒否されることがある。そうした問題を整理するために権利を整備するのはよいことですが、出版社の中にはマンガ家の原稿をよそにたたき売ったり、とんでもない会社もあります、そうした出版社に等しく権利を与えてよいのでしょうか?」  質疑応答では、マンガ家の松本零士氏が電子出版で極めて少額の原稿料しか入っていない例を挙げて作者の権利について生々しい意見を述べるなど、会場の空気は熱かった。果たして全員が得することができる制度があるのか、新たな法整備は必然だが、まだまだ議論は白熱しそうだ。 (取材・文=昼間たかし)

「Amazonに対抗するために……!」電子書籍本格普及を前に白熱する“著作隣接権”をめぐる議論

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作家や法律の専門家など、さまざまな立場
から意見が飛び交う。
 電子書籍の本格化による出版産業のグローバル化を見据えて進められてきた、出版社への「著作隣接権」付与の議論。7月25日、いよいよ法制化の動きが進むのに先立ち、衆議院第二議員会館で、シンポジウム「出版文化の今後と出版者への権利付与」(主催:文字・活字文化推進機構)が開催された。  シンポジウムは、専修大学教授で出版デジタル機構会長の植村八潮氏の現状報告から始まった。まず植村氏は、「出版不況」は日本だけのことに過ぎず、先進国の多くでは近年、出版業界は横ばいか成長局面にあることを説明する。そして、日本だけが「出版不況」に陥っている理由として、全国4,000社あまりの出版社の本が、少数の取次会社を経て数多くの書店に流通するというシステムが、制度疲労を起こしていると指摘する。  もはや、日本の出版業界は抜本的な改革を迫られているというわけだ。しかし、期待される電子書籍も、その内情はまだ貧しい。出版社のほとんどは中小零細企業。ゆえに、電子書籍を制作するために新たな担当者を置くことはできない。それに、出版社自身も電子書籍の制作技術を持っているところは少ない。さらに根本的な問題として、電子書籍は流通基盤も制度も標準化されていない状態。堅実に成長を始めている日本の電子書籍だが、その内容はまだまだ貧しいのだ。  その上で植村氏は「コンテンツを持っている人が王様だというのは、幻想に過ぎません。重要なのはプラットフォーム。このままだと、それがアメリカに取られてしまいます」と説明する。  キンドル日本版の発売もアナウンスされ、書店としても国内第2位の勢力を誇るAmazonが、電子書籍市場でも大きな勢力を得ることは容易に予想できる。そうした巨大企業の寡占化も止めなくてはならないと、植村氏は言う。 「プラットフォームがチャネル(販売経路)を独占すると、一見、中抜きがなくなり、無料、あるいは安価に情報が流通するように見えますが、結局は収益が落ちていきます。米国の場合、新刊書籍と電子版とが同時発売されるようになって、全体の売り上げが落ちました」  電子書籍の市場が(主に外資によって)寡占化されることの弊害は大きい。そのためにも、出版業界の再編のための法整備は急務なのだ。  現状分析の上で実際にどのような法整備を進めるかを解説したのは、弁護士の桶田大介氏である。桶田氏はまず、昨今議論になっている「著作隣接権」が不適切な用語であると解説した。 「隣接権は分類の名称であって、固有の権利を指すものではなく適当ではありません。“(仮称)出版物に係わる権利”としたほうがよいでしょう」  この前提の上で、桶田氏はどういった経緯で議論が行われてきたかを説明し、具体的な内容を説明していった。これまで多くの報道で述べられているように、法整備が求められる大きな理由は、海外での海賊版対策や、電子書籍市場の発展に向けた対応。これまでナアナアで行われてきた出版界特有の慣行を明文化し、著者と出版社の権利を明らかにすることなどが挙げられる。そのために、出版社側に複製権・送信可能化権・譲渡権・貸与権を与えることになる。
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自らの経験から、電子書籍の現状を説明する
松本零士氏。
 Amazon Kindleストアですら、勝手に日本の同人誌を翻訳して売っていた、とんでもないヤツがいる時代、海賊版対策を出版社に一任できる点だけでも便利な法整備に見える。ただ、出版社の権利を拡大することに異議を唱える声も尽きない。  取材中、筆者の後ろの席で「なんだよコレ」「うまい作文作ってさあ……」と小声でしきりに文句を言っている人がいるので、誰かと振り返ってみたら日本漫画家協会のCさんだった……。まだまだ、議論を尽くす必要があるのは否めない。  そうした議論のためにと、シンポジウムの後半はパネルディスカッションに。その中で、まず賛成の立場から尖った意見を述べるのが、作家の浅田次郎氏だ。浅田氏は、 「作家は大抵が社会性に欠けています。出版社や編集者だけが社会との窓口になっている人も多い。ゆえに、契約なんかの時に、事故も起こりやすいんです」  と、自身の体験に照らした(?)意見を述べる。対して法整備に慎重な立場を取る、マンガ家の里中満智子氏は、次のように話す。 「出版社も慈善事業じゃないので、力のない人に冷たいのはわかります。でも、品切れ重版未定の本を別の出版社が出したいといった時、品切れにしている出版社にとりあえずお伺いを立てると、拒否されることがある。そうした問題を整理するために権利を整備するのはよいことですが、出版社の中にはマンガ家の原稿をよそにたたき売ったり、とんでもない会社もあります、そうした出版社に等しく権利を与えてよいのでしょうか?」  質疑応答では、マンガ家の松本零士氏が電子出版で極めて少額の原稿料しか入っていない例を挙げて作者の権利について生々しい意見を述べるなど、会場の空気は熱かった。果たして全員が得することができる制度があるのか、新たな法整備は必然だが、まだまだ議論は白熱しそうだ。 (取材・文=昼間たかし)

“キャッチコピー”の時代は終わった!?  テレビ局CMに見る最新広告事情

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YouTube フジテレビ公式サイトより
 CG化された芦田愛菜がテレビ画面いっぱいに広がっていく、フジテレビの夏のキャンペーンCM「ドバドバ!フジテレビ」が6月末から放送され、ネット上などの一部では「怖すぎる」と話題になっている。  思えば、フジテレビのキャッチフレーズといえば、90年代の「きっかけは、フジテレビ。」をはじめ、かつては時代の最先端を行く印象があったもの。  だが、2000年代以降、02~05年に「きっかけは、フジテレビ。」を復活させているように、新しい表現はほとんど生まれていないように思う。近年のものを見ても、「生みます。」(10年秋)、「ミトカナイトフジ!」(11年春夏秋)、「ピカる★フジテレビ」(12年春)など、どうもパッとしない。  また、他局においても、たとえばTBSのキャッチコピー「それ、TBSがやります。」は、80~90年代のノリのよう。  テレビ朝日の場合は、キャッチコピーを用いず、11年より「エクスパンダ星からやってきたパンダ王子」なる「ゴーちゃん。」を公式マスコットキャラクターとしているが、これも昔からの手法ではある。  かつては広告表現の先端を行っていたはずのテレビ局CMが、なぜ古い印象になっているのか。  広告関係者は言う。 「『キャッチコピー』を使うという手法そのものが、やや古くなっている気はします。今は『ラッピングカー』などが街を走り、それを見た人たちが写メを撮って、Twitterなどで一気に広めていくという時代。とにかく口コミ効果が非常に大きなものになっているので、宣伝方法としても、お金をかけてテレビCMを打つよりも、イベントなどを行って、一般の人に口コミしてもらう仕掛けを考えることが増えているんです。スポンサーとなる企業が、広告媒体としてテレビを一番に考えていないということはあると思いますよ」  ただし、同関係者によると、「口コミ狙いのイベントの乱立によって、疲弊している広告関係者も少なくない」そうだ。  キャッチコピーによって「イメージ」を売る広告手法は、もはや過去のものとなりつつあるのだろうか。テレビの世界も、広告の世界も、楽な仕事はさせてもらえない時代になってきているようだ。

“トークも演技もまるでダメ”な佐々木希に代わって事務所エースになった杏を悩ます、母親の借金問題

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「LIGHTS」(ERJ)
 NHK大河ドラマ『平清盛』に北条政子役で出演し、ベラ役を怪演したドラマ『妖怪人間ベム』(日本テレビ系)の映画化が決定するなど、女優業が好調な俳優・渡辺謙の長女・杏。同じ事務所に所属する佐々木希に代わって『ぐるぐるナインティナイン』(同)の人気コーナー「グルメチキンレース・ゴチになります!」のレギュラーも獲得するなど、いまや事務所の稼ぎ頭といっても過言ではない活躍ぶりのようだ。 「エースだった佐々木は、トークも演技もまるでダメ。それに比べて、杏はなかなか頭の回転が速く、バラエティ番組でも難なく対応している。現在10社とCM契約するなど、父親に劣らぬほどの稼ぎっぷりですよ」(芸能プロ関係者)  そんな杏だが、先ごろ「女性セブン」(小学館)が母親と同居していることを報じた。  同誌によると、暮らしているのは杏が購入した都内の高級マンションで、渡辺と離婚した母親・Aさんと一緒に暮らしているだけではなく、母親を個人事務所の社長にして、給与を支払う形で面倒を見ているという。普通ならば、母親思いの娘として美談で済むのだが、杏の母親の場合は事情がだいぶ違うのだという。 「渡辺との離婚の原因となったのが、Aさんの借金問題。2001年12月に都税滞納で自宅が差し押さえられていることが発覚し、翌年別居。同年、渡辺がAさんを相手に離婚を求める訴訟を起こし高裁まで争った結果、05年3月に離婚が認められた。裁判の過程で明らかになったのが、2億円ともいわれたAさんの使途不明の借金。債権者は有名女優のX、杏の当時の所属事務所、杏と息子の渡辺大が通っていた学校の父母ら50人ほどにも及んだが、みんなAさんが渡辺謙の妻だから信用して貸していた。ごく一部の債権者には返済がなされ、離婚後、Aさんは銀座などでホステスをして稼いで返済しようとしていたようだが、そう簡単に完済できる金額ではなかった」(週刊誌記者)  今年1月には、一部週刊誌でAさんに1,000万円近く貸した債権者が「裁判で支払い命令を勝ち取ったのに、一銭の返済もない」と主張。債務者側にすれば、稼ぎのある杏に返済を求めたいところだが、当時未成年だった杏と債権者の間にはなんの契約もなく、当然、返済義務もないため、泣き寝入りするしかないというのだ。  母親をしっかりここまで守り切ったのは立派だが、それなりに稼いでいる今となっては、なんらかの形で債権者に誠意を見せたほうが、スッキリと芸能活動に打ち込めそうだが……。

【清野とおるの、キ○チ○ガ○イと呼ばないで】第4話「ウンコおじさん」

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『東京都北区赤羽』でおなじみの漫画家・清野とおるによる、悶絶必死の爆笑コラム。  ノストラダムスの予言に世界中が翻弄されていた、1999年の冬。当時暮らしていた、板橋区の実家にて。  気丈で、滅多に弱い部分を見せない父が、深くため息をつき、明らかに参っているではないか。 「父さん、どうしたの?」  当時の俺は、基本的に家で父とはほとんど会話をしなかったし、父から話しかけられても軽くシカトしたりするような「ザ・内弁慶」だったけど、この時ばかりはさすがに心配になり、思わず声をかけてしまった。 2dappun.jpg 3dappun.jpg 「なんであんなとこでウンコするかなあ~……あんなとこでよお……」  気丈な父がこれほどショックを受けるほどのウンコとは、一体、いかなる状況下でのウンコだったのか。 4dappun.jpg  そして、ほどよく酔った父が、事の真相を詳しく教えてくれた。 5dappun.jpg  血圧&血糖値が超高めの件で、近所の病院に通院していた父。 6dappun.jpg  薬局で薬を受け取り、いざ帰ろうと自動ドアを開けたその刹那……。 7dappun.jpg  なんと、道路のド真ん中で、こちらにケツを向けてもろウンコしているおじさんがいたという。 ※前回に引き続き、今回もウンコの色をピンクに塗らせていただいておりますm(。・ε・。)m 8dappun.jpg  思わず悲鳴を上げてしまった父の元に、若い薬剤師さんたちが駆け寄ってきた。 9dappun.jpg    彼女たちも、もろにおじさんの脱糞姿を見てしまい、絶叫。  その絶叫により、通行人たちも一斉にウンコおじさんの存在に気づき、あたりは悲鳴と絶叫とウンコの飛び交う地獄絵図と化したそうだ。  父は走ってその場を後にしたという。 10dappun.jpg 11dappun.jpg ……思えば、反抗期をこじらせ、内弁慶街道まっしぐらだった俺が、父と面と向かって笑顔でこんなにちゃんと会話したのは、何年ぶりのことだっただろう? 話の内容が「おっさんのウンコ」というのが、いささかアレではあるけれど。  その数日後。 12dappun.jpg  今度は母が「ウンコおじさん」の被害に遭った。  母いわく、最寄の地下鉄駅から地上に上がるべく駅の階段を上っていると、 13dappun.jpg  地上が何やら騒がしいという。何事かと思い駆け上がると、 14dappun.jpg  おじさんがウンコをしていたという。  地下鉄の駅から地上に出る時なんて、人間がもっとも無意識で無防備で「弱い」瞬間である。そんなところをウンコしながら待ち構えるだなんて、確信犯的な悪意すら感じる。  一瞬で気分が悪くなった母は、小走りで帰宅したそうだ。 15dappun.jpg  そんなウンコおじさんのことを、ご近所在住の幼なじみ、山本くんに話した。 「ああ、あのおじさんね」  山本くんは、“何をいまさら?”的な冷めた温度で答えた。  今年(99年)の春くらいから、通学時を始め、数え切れないほどおじさんを目撃しているらしい。ある時は、バス停で待ってる人たちに向かって脱糞。またある時は、歩行者天国真っ只中の人通りの多い車道で脱糞。必ず、人が多いほうに尻を向けるのが特徴だという。 16dappun.jpg  おじさんの不条理な尻の方角に激高し、詰め寄る人もいたという。普通この場合、野グソに怒ると思うのだが、もはや野グソは許容され、尻の方向で怒るというところに、おじさんの常習性とタチの悪さがうかがえる。 17dappun.jpg  また、ヤンキーに絡まれながら脱糞しているところも目撃したそうだ。それでもウンコをやめないおじさんの姿勢に、山本くんは「何か大いなる意志を感じた」という。 18dappun.jpg  俺は、ウンコおじさんとなかなか遭遇できない自分にいら立ちを覚えていた。近所でそんなすごいおじさんがいるんだし、せめて一度くらいは見てみたいと、想いを馳せる日々を送ったのである。今思うと、見る必要もないし、想いも馳せ損だなあとは思うけど。  そんある日。 19dappun.jpg  なにやら近所の公園に人だかりができているではないか。 20dappun.jpg  そこでは、下半身裸のおじさんが、 複数の警察官に取り押さえられているではないか……!  パッと見、ただの露出狂かと思ったけど、すぐにこの人がうわさのウンコおじさんなのだと確信した。 21dappun.jpg  おじさんの足元に、産みたてホヤホヤのウンコが転がっていたからだ。  おそらく、おじさんの行動を見かねた誰かが、ついに通報したのであろう。野グソだけでも犯罪だけど、脱糞の際、同時にチンポもお出しになられていらっしゃるので、罪状は「軽犯罪法違反」及び「公然わいせつ」のダブルパンチだとお察し致す。 「これでおじさんもおしまいだな……。最後の最後に見ることができて、いい記念になった」  俺はそう思った。 22dappun.jpg  命運尽きたと思われたおじさんであったが、数日後、何食わぬ顔をしてその辺でウンコしてるのを、散歩中の父と母が目撃。 23dappun.jpg  最初見た時は狼狽した父と母であったが、この頃には完全に「見慣れたいつもの光景」になっていたそうだ。  人間の適応能力って、つくづくすごいなあと思った。  残念ながらおじさんは、2001年の末に、近所の公園で死んでいるところを発見されたらしいです……。おじさんのご冥福を、心よりお祈り致します。 (文・イラスト=清野とおる) 1seinoprof.jpg ●せいの・とおる 1980年生まれ。東京都板橋区出身。地元・赤羽に生息する奇妙な人々を生き生きと描いた漫画『東京都北区赤羽』(Bbmfマガジン )が大ヒット中。 Twitter <https://twitter.com/seeeeeeeeeeeeno> ●【キ○チ○ガ○イと呼ばないで】INDEX 【第3話】「恐怖!‟木曜日の男”」 【第2話】「鳥盗り物語」(後編) 【第2話】「鳥盗り物語」(前編) 【第1話】「ホモビデオの清野さん」

「ゴジラに出てくる怪獣が大好きだった」インドネシアの“落書きアーティスト”が描くジャカルタの今

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「bigballs 2011」(c)Darbotz
 『AKIRA』『ドラゴンボール』『ドラえもん』......子どものころ、僕らの心をアツくさせた漫画やアニメが、海の向こうに住むアジアの子どもたちの心にも火をつけていた。今や日本人だけのものではなくなった、日本のポップカルチャー。その影響を受けて育った、アジアの才能豊かなクリエーターたちを紹介します。 第29回 ストリート・アーティスト ダルボッツ(Darbotz)  cumiは、インドネシアの首都・ジャカルタをベースに活動するアーティスト、ダルボッツの描く代表的なキャラクターだ。ジャカルタの街のあちらこちらにタギングされたcumiは、“イカのお化け”であり、ジャカルタというケオティック・シティを征服しようと立ち向かうアーティストの分身でもある。cumiは、高密度でひしめく波の間で暴れている。過剰で、粗野とも受け取れる作品のスタイルは、ダルボッツに言わせると「ジャカルタそのもの」なのだという。  人口1,000万人超を抱えるアジア屈指の国際都市、ジャカルタ。高層ビルが林立し、巨大ショッピングモールがひしめくランドスケープは、アジアのほかの大都市と変わらず、発展著しいインドネシアの勢いそのものを映し出している。しかし、キラキラ輝く高層ビルの足元には、ゴミと埃にまみれた貧困層の暮らすスラム街が広がるなど、貧富の差は凄まじく、深刻な社会問題も頻発している。
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「high five 2012」(c)Darbotz
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(c)Darbotz
「僕は、自分の描くもので、自分の居場所を語っている。君が僕の作品から、暑苦しさやせわしなさ、ヒリヒリしたものを感じるとしたら、それはまさに僕自身がジャカルタに対して持っている思いだ。好きでも嫌いでも、ここは僕たちが生活して、死んでいくところ。ここでなんとかやっていくしかないんです」  描くものに、自分の気持を代弁させているというダルボッツ。その作品を象徴するのが、先に触れたイカ怪獣cumiと、執拗に繰り返される、波のような鱗のような独特のパターンだ。それは、インドネシアの伝統的な工芸品であるバテック(ジャワ更紗)の文様を想起させる。
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(c)Darbotz
 「大学の卒業プロジェクトで、インドネシアに伝わるさまざまな図柄を研究したんですが、そのとき、自分は、自分のルーツであるインドネシアのデザインがすごく好きなんだってことに気づいた。インドネシアらしいものを自分の作品でも表現したいと思ったんです」と言うダルボッツ。そんな彼を驚かせたのは、それが日本のある伝統的な図柄にもつながっているということ。
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「M for monster 2012」(c)Darbotz
「浮世絵とかで描かれる波模様と僕のインドネシアパターンに、通じるところがある! って、あるとき気がついたんです。最初はまったく意識してなかったんですが、よく見るとすごく似ている......ね、“セイカイ”でしょ?」  そして、彼のキャラクターたちは、日本の奇妙な生き物や怪獣にも多大な影響を受けている。 「それこそ、数えきれないたくさんの日本の漫画やアニメに囲まれて育ちましたから。いまだに覚えているのは、『ウルトラマン』『宇宙刑事ギャバン』『仮面ライダー』...... 家の近くに日本のビデオばかり揃えているレンタルビデオ店があったので、いつもそこから借りて。毎週日曜日の朝は、テレビで『ドラえもん』と『聖闘士星矢』を見る。日本のロボット系や漫画の影響は、インドネシアでも相当大きいですよ。僕が好きだった漫画は『かりあげクン』。ゴジラに出てくる怪獣は大好きだったなあ。それと、『AKIRA』と黒澤明の『乱』も」
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「NIKE the look of sport installation 2012」
(c)Darbotz
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「Polluted 2011」(c)Darbotz
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「high five 2010」(c)Darbotz
 グラフィティにとどまらず、クライアントや、海外のアーティストとのコラボレーションなど、これまで精力的に活動してきたダルボッツにとって、今年は比較的「静かな」年だという。「新米パパとしての日々を楽しんでいるんです(笑)」。それでも、今年中にはゲリラストアを立ち上げるなど、複数のプロジェクトが進んでいるという。  今年10月には、待望の初来日を果たすというダルボッツ。「いつか日本でプロジェクトができたら最高」というインドネシアのイカ怪獣は、東京という都市を、果たしてどのように見るのだろうか。 potrait.jpg ●ダルボッツ インドネシア、ジャカルタ生まれジャカルタ育ち。当地を代表するストリート・アーティスト。ヒップホップ・カルチャーの影響を受け、グラフィティやアート制作を中心に、マーチャンダイズ、ファッション・デザインなど、幅広く活動している。彼の作品を代表するイカのお化け cumiは、Google Chromeやナイキなどのキャラクターとしても使用された。内外のアーティストとのコラボレーションにも精力的で、ギャラリーなどでの展覧会にも多数参加。 公式サイト <http://thedarbotz.com/> ●なかにし・たか アジアのデザイナー、アーティストの日本におけるマネジメント、プロデュースを行なう「ASHU」代表。日本のクリエーターをアジア各国に紹介するプロジェクトにも従事している。著書に『香港特別藝術区』(技術評論社)がある。<http://www.ashu-nk.com > オンラインTシャツオンデマンド「Tee Party」<http://teeparty.jp/ashu/> ■バックナンバー 【vol.28】香港フィギュアブームの火付け役! ‟『AKIRA』にヤラれた”作家が手がける近未来物語 【vol.27】“田名網チルドレン”続々……アジア各地で熱烈支持されるサイケデリック・マスター 【vol.26】『銀河鉄道999』はアップル並みのインパクト? 韓国の催眠術的ポートレイト 【vol.25】ネタ元は日本の特撮ヒーロー? インドネシア式ファンタジー 【vol.24】"80後"世代の代弁者 中国売れっ子写真家の「未来系アート」 【vol.23】「ヤクルトとカップヌードルに洗礼?」MOJOKOのユーモラスな世界 【vol.22】「狂気とポップカルチャーが融合!?」香港のアーティストが追求する"不完全な美" 【vol.21】「人間の欲望を視覚化?」香港人気キャラの生みの親が追求する"醜さの美学" 【vol.20】「故郷・ボルネオ島での原体験が創造力の源」世界で活躍するマレーシアの"ケンヂ" 【vol.19】「人生に起きるすべてのことを細かく観察したい」中国ネット世代のアーティスト 【vol.18】「ヒーローは宮崎駿と奈良美智」シンガポールのマルチスタイル・アーティスト 【vol.17】「ルーツは『天空の城 ラピュタ』」ウォン・カーウァイに見い出された香港の若き才能 【vol.16】怖かわいい魑魅魍魎が暴れ回る! ヤン・ウェイの妖魔的異界 【vol.15】「原点は日本のコミック」東南アジアを席巻する都会派クリエーター 【vol.14】エロ×宗教×故事が混在!? 中国版・寺山修司が造り出すカオスな世界 【vol.13】昼間はOL、夜は寡黙なアーティスト ソン・ニが描く秘密の快楽の世界 【vol.12】まるで初期アニメ ローテクを駆使する南国のアート・ユニット「トロマラマ」 【vol.11】「造形師・竹谷隆之に憧れて......」 1000の触手を持つ、マレーシアのモンスター 【vol.10】"中国のガロ系"!? 80年代以降を代表するコミック・リーダー ヤン・コン 【vol.9】大のラーメンおたく!? シンガポールデザイン界を率いる兄貴、クリス・リー 【vol.8】メイド・イン・ジャパンに憧れて...... 香港の文学系コミック作家・智海 【vol.7】「血眼になってマンガを追いかけた」海賊版文化が育んだ中国の新しい才能 【vol.6】裸人間がわらわら 香港ピクセル・アートティストが放つ"アナログデジタル"な世界 【vol.5】ダメでも笑い飛ばせ! 香港の国民性を体現したグラフィック・ノベリスト 【vol.4】「教科書はガンダムの落書きだらけだった」 香港・原色の魔術師の意外な原点 【vol.3】「懐かしいのに、新しい」 読むほどにクセになる"タイ初の日本漫画家"タムくん 【vol.2】 マイブームはBL!? 香港の腐女子が描きとめる、消えゆく都市の記憶 【vol.1】「 :phunk版ガッチャマンが作りたい」 シンガポール発のデザイン集団が描く夢

“学校”という名の密室ではびこる児童虐待の事実! 子どもたちは教師を訴える『トガニ 幼き瞳の告発』

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実在の事件を題材にした『トガニ 幼き瞳の告発』。
虐待の事実を知った新米教師のカン(コン・ユ)は
自分が勤める職場を訴えることを決意する。
 子どもたちにとって学校は教育の場ではなく、暴力と欲望が渦巻く、金魚鉢のように逃げ場のない空間だった。映画『トガニ 幼き瞳の告発』は韓国・光州市で実際に起きた教職員による児童への性的虐待事件を題材にした社会派サスペンスだ。聴覚障害者学校で複数の生徒へ性的暴行が長年ふるわれていたことが2005年に明るみになった。同校に勤務する教職員による内部告発がきっかけだった。2011年9月に韓国で本作は公開され、460万人以上を動員するほどの大反響に。映画が放つ熱気が観客に伝播し、韓国の司法・国会を突き動かす。事件の再調査が行なわれ、また13歳未満の児童への性暴力犯罪の処罰に関する改定法が“トガニ法”と名付けられ立法化された。執行猶予処分で済まされた問題の教職員が復職していた同校は校名の変更を申請していたが、2012年2月に廃校に追い込まれている。  映画の主人公は、見るからにお人好しそうな男カン・イノ(人気ドラマ『コーヒープリンス1号店』のコン・ユ)。カンは画家を目指していたが、芸術ではひとり娘を食べさせていくことができない。大学時代の恩師のコネを頼って、何とか全寮制の聴覚障害者学校「慈愛学園」の美術教師の職を得る。ヤル気満々で教壇に立ったカンだが、生徒たちの顔がみんなどんよりとしていて暗い。先輩教師のパク(キム・ミンサン)は「障害がある児童は、教師になかなか心を開いてくれない」と説明するが、どうも釈然としない。やがて、生徒たちが怯えていた醜悪なモンスターの正体をカンは知ることになる。  カンは自分の目を疑った。障害を持つ児童への“躾”という名目での体罰が尋常ではないのだ。パク教師は男子生徒ミンス(ペク・スンファン)に向かって「何で言うことを聞けない? どうして心を開かない?」と流血するまで殴り続ける。女子生徒のヨンドゥ(キム・ヒョンス)は生活指導の女性教師から、作動中の洗濯機の中へ顔を押しつけられている。世間の目から隔離された学園内では、過剰な体罰が日常化していたのだ。驚いたカンは、ぐったりしているヨンドゥを病院へ連れていく。学園関係者のいない病室でヨンドゥが筆談で語った内容は、カンにとって驚愕の事実だった。ヨンドゥや知的障害を持つユリ(チョン・インソ)ら複数の生徒は、校長をはじめとする教職員たちから性的暴行を受けているという。人権センターのソ・ユジン(チョン・ユミ)と相談したカンは、事件の全貌をマスコミに公表することを決意。ようやく見つけた職場をクビになる覚悟での決断だった。さらに闘いの場は法廷に移り、虐待を受け続けた生徒vs.学園側の全面抗争へと発展する。
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『コーヒープリンス1号店』の人気二枚目
俳優コン・ユ。2009年に出版された原作
小説を読み、映画化を働き掛けた。
 実在の事件を社会派エンターテイメントに仕立て、観客のエモーションを掻き立てさせる手練は、韓国映画は抜きん出たものがある。前半は“社会派ホラー”と称したくなるエログロシーンの連続だ。男子生徒ミンスはパク教師のホモハラの餌食となり、一緒に入浴することを迫られる。校長室ではいつもニコニコした温和な校長(チャン・ガン)が、放課後はニタニタした変態ロリコンオヤジと化す。校長室から逃げ出したヨンドゥを女子トイレへと追い詰めていく校長の笑顔が不気味すぎる。学校という密室的環境の中で、ターゲットにされた子どもたちはどこにも逃げ場がない。子役たちの熱演もさることながら、題材となった事件のおぞましさを伝えるために、ギリギリの描写に取り組んだスタッフの熱意もハンパない。  学園ホラーから一転して、後半は本格的法廷サスペンスに。カンは好奇の目にさらされることになる裁判に子どもたちを引っぱり出してしまったことを後悔するが、証言台に着く生徒たちの顔は知らない間に激変していた。それまでの怯えきった表情から、毅然とした顔つきに変わっていく。学校しか自分たちの生きる場所はないと思っていた子どもたちが、学校の外にも世界があることを知る。煮えたぎる血の池地獄のようだった学校を離れ、“生きた教育”に触れた子どもたちが輝き始める。例え裁判所はシビアな闘いの場であっても、自分たちがこれまで受けてきた虐待の全てを吐き出したい。明るい太陽の下で、自分の想いをちゃんと訴えたい。対等な立場で、自分をなぶりものにしてきたヤツらと最後まで闘い通してみせる。大人たちが驚くような記憶力と判断力で、子どもたちは暴力教師を糾弾していく。傍聴席では学園の卒業生たちが声にならない熱い声援を送っている。ちなみに、この場面でのエキストラには、実際の問題になった学校の卒業生たちが参加しているそうだ。
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本格的法廷サスペンスとなる後半。聴覚障害
を持つ女子生徒ヨンドゥ(キム・ヒョンス)
は判決を左右する“切り札”を握っていた。
 当然ながら、したたかな校長たちは様々な妨害工作を仕掛け、カンたちは正義とは大きく掛け離れた不条理な現実を思い知らされる。それでも子どもたちは、法廷で過ごしたわずかな期間に瞬く間に成長を遂げていく。子どもたちは学校の外には広い世界があることを知っただけでなく、その広い世界は自分たちにとって単純なユートピアではなく、やはり不条理さに満ち、違った形の暴力があることも学んでいく。そして、激しい怒声、罵声が飛び交うクライマックス。実際の事件の被害者となった児童たちの痛み、怒り、哀しみを主人公カンは全身に浴びたかのようにズブ濡れになる。  2009年に発刊されたノンフィクション小説『トガニ』をベースに映画化に取り組んだファン・ドンヒョク監督が来日。7月24日、都内で開かれたトークイベントで次のように語った。 「映画化の企画を聞き、原作小説を読んだのですが、それまでは事件のことを自分は知らなかったし、無関心でした。原作を読み、衝撃を受けました。でも、自分には映画化する自信がなく、一度は『他の監督に頼んでください』と断ったんです。その後、1か月経っても他の監督が決まっていなかった。それで引き受けることにしました。もし、これが被害者も加害者も亡くっているような昔の事件だったら映画にする意味はなかったと思います。テレビ報道され、小説にもなっているのに、まだこの事件のことを知らない人が自分も含めて多かったのです。映画化はこの事件のことを世に知らしめるための最後のチャンスだと思い、決断しました。関係者にはあえて取材はしていません。原作小説はしっかり取材した上で書かれたものですし、彼らに会うことであまりに事実を知りすぎると映画的演出に支障が出ると思ったからです。公開後に被害者の支援者から激励の言葉をもらいました。『自分たちが5~6年働き掛けても何もできなかったのに、映画が公開されて2~3か月で事件が再調査され、法律が改正され、学校の仕組みが改められた。うれしい反面、ホロ苦いものも感じた』と。韓国だけでなく、世界各地で同じような事件が起きていることを知ってください」  劇映画がきっかけとなり、その国の司法や立法まで動かしたという事実にも驚く。脚色はどこまで許されるのかという問題を伴うが、タブーを恐れない製作者の腹の括り方、キャストたちのリミット越えの熱演、観る者の心情を揺さぶる演出や音楽、それらの要素ががっちりと噛み合った映画は、時として尋常ならざるエネルギーを放つ。お隣・韓国と同じように、日本も密室だらけだ。学校、家庭、職場、政治、原発……。密室の扉を吹き飛ばす、パワーみなぎる映画が日本からも生まれればいいのに思う。 (文=長野辰次) togani_4.jpg 『トガニ 幼き瞳の告発』 原作/コン・ジュン 監督/ファン・ドンヒョク 出演/コン・ユ、チョン・ユミ 配給/CJ Entertainment Japan R18+ 8月4日(土)より渋谷シネマライズ、新宿武蔵野館ほか全国公開 <http://dogani.jp> (c)2011 CJE&M Corporation.All Rights Reserved ●深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】INDEX [第180回]“神様”との出会いと別れ、そして旅からの帰還  ドキュメンタリー『アニメ師・杉井ギサブロー』 [第179回]親友=お金を貸してくれる、女友達=SEXさせてくれる!? 品性お下劣男の青春『苦役列車』 [第178回]“沢尻エリカ”という名のアトラクションムービー『ヘルタースケルター』が描く無常の世界 [第177回]毒カレー、オウム真理教、光市母子殺害……“悪魔の弁護人”と呼ばれる男の素顔『死刑弁護人』 [第176回]“芸能生活30周年”ニコラス・ケイジの会心作! 被災地に流布する暗号『ハングリー・ラビット』 [第175回]やめろと言われても、今では遅すぎたッ! 妻夫木聡&武井咲主演の過剰なる純愛劇『愛と誠』 [第174回]年間自殺者数3万人を越える現代社会への提言 自殺対策の現状を追った『希望のシグナル』 [第173回]“三島割腹事件”を若松孝二監督が映画化!『11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち』 [第172回]実在の事件を題材にした“命の授業”『先生を流産させる会』がついに劇場公開! 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危機感ゼロの無知すぎるマンガ編集者が、新たな規制を呼び込む!? 東京都「不健全図書」の最新事情

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『なぶりっこ マリカとアキコ』
(青林堂)
 「東京都青少年健全育成条例」の改正施行から1年。喉元過ぎれば熱さを忘れたのか、単なる無知なのか? ここにきて、やりすぎな出版社がしっぺ返しを食らう事例が相次いでいる。  今年5月以降、双葉社の「ピザッツ系コミック」と総称される、ゾーニングマークなしエロ系単行本の発売延期が相次いだ。発売が延期されたのはZUKI樹『アネアナ』3巻、ポン貴花田『女子アナでもいーですか?』1巻、usi『夢見る派遣 苺ちゃん』、かわもりみさき『ひめか先生の言う通り!』、ながしま超助『人魚を喰らう島』の5冊だ。現在、これらの単行本は8月に、双葉社系列のアダルト系出版社であるエンジェル出版からマークなしで発売予定であることが判明している。  双葉社がこのような措置を取った背景には、昨年7月から施行された改正条例の第9条の3で示された各条項を恐れてのことだ。ここでは、次のような規定が記されている。
2 知事は、図書類発行業者であつて、その発行する図書類が第八条第一項第一号又は第二号の規定による指定(以下この条において「不健全指定」という。)を受けた日から起算して過去一年間にこの項の規定による勧告を受けていない場合にあつては当該過去一年間に、過去一年間にこの項の規定による勧告を受けている場合にあつては当該勧告を受けた日(当該勧告を受けた日が二以上あるときは、最後に当該勧告を受けた日)の翌日までの間に、不健全指定を六回受けたもの又はその属する自主規制団体に対し、必要な措置をとるべきことを勧告することができる。 3 知事は、前項の勧告を受けた図書類発行業者の発行する図書類が、同項の勧告を行つた日の翌日から起算して六月以内に不健全指定を受けた場合は、その旨を公表することができる。 4知事は、前項の規定による公表をしようとする場合は、第二項の勧告を受けた者に対し、意見を述べ、証拠を提示する機会を与えなければならない。
 少々長い上に難解だが、簡潔に述べるならば過去1年以内に6回の「不健全図書」指定を受けた出版社は、東京都知事名義で社名を公表され、自主規制団体に必要な措置を取るように勧告されてしまうというもの。いわば、「有害な出版社である」と名指しされてしまうということだ。  これは1965年から出版倫理協議会(日本出版取次協会、日本書籍出版協会、日本雑誌協会、日本書店商業組合連合会)が行ってきた帯紙措置、すなわち雑誌類が連続3回または年通算5回「不健全」指定を受けた場合には「該当する雑誌に帯紙(18歳未満の方々には販売できませんの文句を記した幅3センチ以上5センチ以下、薄いブルーまたはグリーンの紙)をつけなければ取次で取り扱わない」「取次は帯紙措置を適用された雑誌類を販売店に送品する際、定期部数の再確認を行い、必要部数の申し込みを受ける」「申し込みのない販売店への送品は行われない」という自主規制を、条例に取り込んだものだ。この措置を受けると流通する部数が極端に減ってしまうため、雑誌は実質的に廃刊になってしまう。  まだ改正条例施行後に第9条に該当する連続6回の指定を受けた出版社はないが、もしそのような事態が起こった場合には、業界団体がなんらかの自主規制措置を余儀なくされることは、容易に想像がつく。  すでに双葉社は過去1年以内に5回の指定を受けており、リーチがかかっている状態。そこで、発行元を系列の出版社に移すことでアウトになるのを回避したというわけだ。 「双葉社の危機感のなさは、以前から出版倫理協議会の出版ゾーニング委員会(出倫協加盟団体や学識経験者らで構成)でも再三問題になり、警告を受けていました。ところが、現場レベルとコミュニケーションが取れていないのか、あるいは調整がつかないのか、過激なエロを抑えることができず、たびたび指定を受けている状態でした」(業界関係者)  一昨年、青少年健全育成条例の改正問題が大騒動になった際に、都がいかなる形で規制を行ってくるか、あるいは自主規制の在り方など学ぶものは多かったハズ。それなのにこんな事態になるとは、現場レベルがまったく何も学んでなかったということか。 ■「消しときゃいい」と勘違いした? 無知すぎる編集者も登場  今月はさらに呆れる事例も起こっている。7月13日付で不健全図書に指定された、しろみかずひさ『なぶりっこ マリカとアキコ』(青林堂)が、それだ。これは、しろみ氏が、18禁同人誌として頒布していた作品をもとに、商業誌として出版されたもの。同人誌の段階では18禁だったのに、商業誌ではマークなしの一般書籍扱い。もとは18禁で発売されていたのに、いったいなぜマークをつけなかったのか理解に苦しむ。驚くのはそれだけではない。ここでコマを掲載することははばかられるので実際に読んで確認してほしいのだが、男性器と女性器、局部の結合シーンを執拗に大きく、ホワイトで「消して」いるのだ。一昨年の騒動の際に、都側の説明などを通じて、都が「不健全指定」の候補に挙げる際の基準として重視しているのは「性器や体液、擬音の描写」であることは、何度もさまざまなメディアで報じられている。  このひどい修正から見えるのは、編集者が「性器を消しておけばいいんだ」と思い込んでいること、まさに無知そのものだ。何よりも本来、18禁同人誌で頒布されていたものであり、度を超えた「消し」を想定して描かれていないので、ページをめくるたびにホワイトの部分が目に飛び込んできて、まったく物語に集中できないのだ(しろみ氏のマンガは、物語性が大きな持ち味)。こんなに読者をバカにしきった単行本は見たことがない。作者にしてみても原稿をナイフで切り裂かれた上で印刷されたような気分だろう。作者の気持ちを思うと泣けてくる……。たとえ土下座されても、許すことはできないレベルである。編集者の判断でやっているんだったら、とっとと田舎に帰って別の仕事を探すことを、会社の方針だったらマンガから手を引くことをオススメする(なお、同人誌版は同人誌ショップなどでも販売中、念のため)。  一昨年の改正都条例成立後、日本雑誌協会をはじめ出版業界の諸団体は、都と交渉を重ね、条例で新しく定められた近親相姦などの規制基準に該当する図書が審議会に提出される際には、出版業界が選出する専門委員が意見を述べるという運用を承諾させた。これも、一つのくさびとなり、都に新基準を運用させることを躊躇させている。ところが、現場レベルで危機感が弛緩して、やり過ぎや無知なふるまいが目立つようになってきているようだ。まさに、後ろから斬りかかるような行為を容認することはできない。 (取材・文=昼間たかし)

「サンミュージックに連絡なし……」覚せい剤事件から復帰間近の酒井法子を取り巻く日中謎人脈

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芸能取材歴30年以上、タブー知らずのベテランジャーナリストが、縦横無尽に話題の芸能トピックの「裏側」を語り尽くす!  執行猶予明けの今年11月に芸能界復帰が予定されている、元女優の酒井法子。ところが、酒井の後見人で復帰の鍵を握っていた建設会社の富永保雄会長が5月中旬に亡くなって以降、復帰をサポートしてきた古巣のサンミュージックに酒井から連絡がないことが明らかになり、同プロとは関係がないところで復帰の準備が進められているのではないかと不安視されている。  酒井は2009年に覚せい剤取締法違反(所持・使用)で逮捕後、所属のサンミュージックを解雇された。代わってマスコミの窓口になったのが、酒井の継母と親しい関係にあって、酒井の逃亡を助けた富永会長だった。  酒井はサンミュージックを解雇されたのち、継母が代表を務める個人事務所「エヌ・コーポレーション」に所属する形を取り、富永会長とサンミュージックが共同で復帰の準備を進めているとされていた。だが、実際に復帰についてのオファーが来るのは、富永会長に対してだったという。出版社からのヘアヌード写真集や過激なSM映画『花と蛇』シリーズへの出演要請などの“エロオファー”も数多く、それらはさすがに富永会長が断っていたという。  そんな中で、行方が気になるのは、すでに当コラムで報じた(※記事参照)が、昨年4月に酒井が中国の“禁毒大使”に選ばれた時に、日本の代理人を務めた芸能プロのK氏が持ち込んだという映画の話だ。その作品とは、ジャッキー・チェンが総指揮を務めるという、チンギス・ハーンの半生を描いた日中合作映画のこと。だが、この話については、サンミュージックを通したという話は聞かないし、富永会長の元にも話は行っていなかったようだ。  一方で、酒井の代理人を務めたK氏は、親しい芸能関係者に「酒井は俺の事務所に移籍した」と吹聴していたという情報もあった。もし、内密裏に日中合作映画の話が進められて、酒井が中国で復帰するとしたら、日本のファンには歓迎されないだろう。  サンミュージックは酒井の事件で莫大な損害賠償を肩代わりしただけではなく、酒井というドル箱を失って、一時は経営が危ぶまれたが、ベッキーをはじめとした所属タレントの頑張りでしのいだ。最近では、スギちゃん人気で経営状況は回復。焦らず、酒井の復帰をじっくりとサポートできる状態にある。それだけに、酒井には復帰を焦るあまり、仁義や恩義を無視した暴走はしないでほしい。酒井の動向が気にかかる。 (文=本多圭)

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芸能取材歴30年以上、タブー知らずのベテランジャーナリストが、縦横無尽に話題の芸能トピックの「裏側」を語り尽くす!  執行猶予明けの今年11月に芸能界復帰が予定されている、元女優の酒井法子。ところが、酒井の後見人で復帰の鍵を握っていた建設会社の富永保雄会長が5月中旬に亡くなって以降、復帰をサポートしてきた古巣のサンミュージックに酒井から連絡がないことが明らかになり、同プロとは関係がないところで復帰の準備が進められているのではないかと不安視されている。  酒井は2009年に覚せい剤取締法違反(所持・使用)で逮捕後、所属のサンミュージックを解雇された。代わってマスコミの窓口になったのが、酒井の継母と親しい関係にあって、酒井の逃亡を助けた富永会長だった。  酒井はサンミュージックを解雇されたのち、継母が代表を務める個人事務所「エヌ・コーポレーション」に所属する形を取り、富永会長とサンミュージックが共同で復帰の準備を進めているとされていた。だが、実際に復帰についてのオファーが来るのは、富永会長に対してだったという。出版社からのヘアヌード写真集や過激なSM映画『花と蛇』シリーズへの出演要請などの“エロオファー”も数多く、それらはさすがに富永会長が断っていたという。  そんな中で、行方が気になるのは、すでに当コラムで報じた(※記事参照)が、昨年4月に酒井が中国の“禁毒大使”に選ばれた時に、日本の代理人を務めた芸能プロのK氏が持ち込んだという映画の話だ。その作品とは、ジャッキー・チェンが総指揮を務めるという、チンギス・ハーンの半生を描いた日中合作映画のこと。だが、この話については、サンミュージックを通したという話は聞かないし、富永会長の元にも話は行っていなかったようだ。  一方で、酒井の代理人を務めたK氏は、親しい芸能関係者に「酒井は俺の事務所に移籍した」と吹聴していたという情報もあった。もし、内密裏に日中合作映画の話が進められて、酒井が中国で復帰するとしたら、日本のファンには歓迎されないだろう。  サンミュージックは酒井の事件で莫大な損害賠償を肩代わりしただけではなく、酒井というドル箱を失って、一時は経営が危ぶまれたが、ベッキーをはじめとした所属タレントの頑張りでしのいだ。最近では、スギちゃん人気で経営状況は回復。焦らず、酒井の復帰をじっくりとサポートできる状態にある。それだけに、酒井には復帰を焦るあまり、仁義や恩義を無視した暴走はしないでほしい。酒井の動向が気にかかる。 (文=本多圭)