人気情報バラエティ番組『発掘!あるある大事典』(2007年終了)での実験データ・証言ねつ造が大きな社会問題になった関西テレビで、またしても映像を偽装する事件が起こった。 夕方の報道番組『スーパーニュースアンカー』で、匿名インタビューの対象者が撮影を拒んだため、スタッフの背中を撮影し、その映像にモザイクをかけて放送したのだという。 関西テレビは「あくまで告発者を守るためで、告発情報などの事実をねつ造したとは言い切れない」「報道そのものに一切の偽りはない」としながらも、「不適切な映像だった」などとして再発防止に努めるコメントを発表している。 関西テレビでは07年に『あるある』のデータ捏造が発覚し、番組が打ち切り。日本民間放送連盟から除名処分を受け、『私たちは何を間違えたのか 検証・発掘!あるある大事典』なる検証番組まで放送していた。 「『あるある』ではデータのねつ造だけでなく、外国人の専門家のコメント映像に、実際には言っていない内容の日本語吹き替えをかぶせて放送するなど、今回の件と似たようなケースも明らかになっている。これでは『関西テレビは何も反省していない』と指弾されても仕方がない。しかも『あるある』はあくまでバラエティ番組の枠内だが、今回の件は報道局の看板でもある夕方のニュース番組で起こっている。報道でもやるのか、って……問題はより深刻ですよ」(芸能誌記者) 今回の件のような、ねつ造ともとられかねない“演出”は、実際のニュース番組の現場ではどれくらい行われているのだろうか? 在京の制作会社でニュース番組を制作しているスタッフに聞いた。 「取材コメントなどを番組の意図に沿うようにカットしてつなぎ合わせたりということは、放送時間の関係上、仕方がないと思っている。そのほかでいえば、例えば、裁判のニュースがあった際に、その日に撮影したものではない裁判所の“実景素材”を使ったりすることはある。今回の件は明らかに“やりすぎ”だが、モザイクをかけて音声を処理してしまえば現場にいた人間さえ黙っていれば絶対にバレないので、関わる人間の意識ひとつで、こうした問題はいくらでも起こり得ると思う」 また、こうしたニュース番組の現場の空気には、やはり昨今の視聴率低下が影響しているのだという。 「報道とはいえ、スポンサーが入る限り視聴率を求められる。特に、帯のニュース番組は一度視聴者を掴むと離れにくい傾向があるので、中にはバラエティのディレクターを引っ張ってきて“見やすい演出”に力を入れている番組もある。重要な情報でも、分かりにくければ簡単にカットされる。真面目な記者連中は“これはニュース番組の死だ”と嘆いていますよ」(同) このままテレビ離れが進めば、さらに事態は深刻化することになりそうだ。『スーパーニュースアンカー』公式サイトより
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「浮かれてる場合じゃなかった」磯野貴理子と24歳年下夫に、早くも離婚危機が……!
昨年9月に日本テレビ系『行列のできる法律相談所』での公開プロポーズを経て、24歳年下の高橋東吾さんと再婚したタレントの磯野貴理子。高橋さんは都内の一等地でバーの店長を務めており、そのバーには磯野が出資している。そのため、結婚当初からネット上では高橋さんに対し「ヒモ」「どうせ金目当てだろ」などバッシングが巻き起こっていたが、店のほうはそれなりに繁盛しているようだ。 「『行列』で大々的に宣伝し、貴理子目当てに客足はそこそこ。夫の友人も足を運んでいるようで、若い客が目立つという。貴理子は多忙なため店にいないことが多いが、たまたま居合わせた時に目撃した客の話によると、貴理子はカウンターに座ってずっとスマホをいじっていて、夫とは目も合わせずに会話もなし。2人の間の冷え切った夫婦関係をうかがわせていたようだ」(週刊誌記者) 貴理子は2003年に当時の担当マネジャーだった7歳年下の男性と10年間の交際を経て結婚したが、09年11月に離婚。一昨年の3月に『行列』で高橋さんとの2ショットを初公開した後、自分が経営する飲食店を任せると発表していた。 「貴理子は、2人がどうやって交際に至ったかはいまだに明らかにしておらず、高橋さんの過去については、キックボクシングジムに通っていたことぐらいしかわかっていない。貴理子は副業的にバーの経営を始めたが、イケメンの夫で“集客”できると考え、店を任せたようだ。ところが、最近、店が終わった後に夫が六本木界隈での夜遊びをする回数が増え、まったく夫婦の間に会話がないようだ」(テレビ関係者) 前夫との離婚も『行列』で“ネタ”にしていた貴理子だけに、夫婦仲について『行列』で弁護士軍団に“相談”する日も近そうだ。石井光三オフィス公式サイトより
「マイ踏切」「勝手に畑に」線路内を自由に使う住民たちのメンタリティとは?
住民が勝手に踏切を作って生活道路に使っている――。そんな光景が、全国のあちこちに点在している。牧歌的な昭和の時代ならともかく、21世紀になった今でもだ。 2月には京都府宇治市を走るJR奈良線で、そうした踏切を横断中の老人が電車に轢かれて死亡する事件も起こっている。「むやみやたらに線路内に入ってはいけない」。そんな小学生でも知っていることを守ることができない大人は多いようで、あちこちの地域には勝手に作られた踏切が存在している。それどころか、勝手に線路の傍を田畑にしている例もあるようで……。 「勝手に踏切を作るだけじゃありません。名古屋鉄道のある路線には“線路内を耕作しないで下さい”なんて看板が立っているところがありますよ」 と話すのは、鉄道史や近代産業史を扱うブログ「筆不精者の雑彙」(http://bokukoui.exblog.jp/)を運営する墨東公安委員会氏。氏は、表の顔は某大学院で博士論文を鋭意執筆中というだけに、危険も顧みずに踏切を作るどころか、耕し始めてしまう人々のメンタリティも含めて考察する。 氏によれば、「マイ踏切」は古くは明治時代以降、鉄道が全国に広がっていく中で登場したものだと話す。 「当時は線路を通すことが急がれたので、住民のために踏切を作るなんて考えないことが多かったんです。ですので、住民たちが勝手に踏切を作らなければならないことも多かった。現存するマイ踏切には、そういった意識が脈々と受け継がれているんじゃないでしょうか」 さらに、線路のそばで代々暮らしてきた住民にしてみれば、今は鉄道用地になっているところも「昔は自分たちの土地だった」という思いがある。そのため、ごくごく軽い気持ちで踏切を勝手に作ったり、線路脇の土手を畑にしたりしてしまうというわけだ。今でも地方に行くと、空き地を近隣住民が勝手に畑にして芋や野菜を植えているところがある。 「相模原市で使われていない引き込み線を見たことがありますが、近隣の住民が植木鉢を置いたり勝手に使っていましたよ」 21世紀になった今でも「空いている土地はみんなのもの」と思っている人のほうが多いということか。さらに氏は、こんな考察も。 「古代とか中世の道路を発掘すると、最初は幅の広い道路だったのに、次第に両端が畑になっている例があります。現代でも、道路をちょっとずつ削って田畑の面積を増やしていたという例もありますし、道路や線路の際を田畑に変えていくというのは農民の自然な発想なんじゃないでしょうか」 一時間に一本くらいしか列車が通らない地方のローカル線だとしても、危険なのは変わらないと思うが、そこまでして田畑を広げたいものなのだろうか……。 ■線路のほうが勝手にやってきた例も さて、ここまでは住民が勝手に踏切などを設置することについて話してきた。だが、世の中にはその逆のパターン、勝手に線路が自分の家の中に入ってくる事例も存在する。いや、正確には「存在した」である。 ある日突然、自分の家の庭に線路が敷かれて、家に出るにも入るにも、線路をまたがなければいけないというシュールな光景が、日本国内に存在したのだ。 そんな光景が存在したのは、東北本線の矢板駅と野崎駅の間。氏によれば、ここには1963年まで77年間にわたって民家の庭を列車が往来している光景が見られたのだという。 「敷設当時、鉄道の建設は国策だったので、土地を売らない場合には、こんな強引な方法もまかり通ったんです」 氏によれば、1963年に東北本線の複線化工事を機に、ようやく土地の持ち主が買収に応じたため、珍風景は消滅したという。当時、鉄道業界では話題になり「交通新聞」にも取り上げられたという。 さっそく当時の紙面を探してみたところ、「交通新聞」1963年5月8日号に掲載された「庭の中を“列車”が走る 東北線の珍名所消える」という記事を発見した。記事では、農家の門と母屋の間を列車が通過している写真も掲載、確かに庭を列車が走っているではないか! しかも、記事によれば、庭に強引に線路を引いたどころではなかった。当時、鉄道を建設した日本鉄道は「経路を変えることは不可能だったので当初の計画のままどんどん工事をすすめ、左手に母屋、右手に長屋門と、ひとつの座敷をぶち割って線路を通してしまったとのこと。以来、この家の当主は親子二代にわたって「反骨精神で頑張り続けた」そうだ。 しかも、東北本線の電化は1960年のこと。それまでは、蒸気機関車が走っているわけだから「洗濯物は真黒になるし、タタミの上はいつもザラザラ、機関車の火の粉が散って屋根や積みワラが燃え出すようなことはしばしばだった」のだとか。しかも、ローカル線と違って列車の数は多い。1963年当時で一日に120本の列車が往復していたというから、とてつもなく危険である。二十数回の交渉の末に買収に応じた、この家の当主は「思えば私は両親から小さい時毎日のように“踏切に注意しろ”といわれて育てられ……」と胸の内を語っている。 鉄道と近隣住民の関係も様々。でも、やっぱり不用意に線路に近づくのは事故のもとだよね! (取材・文=昼間たかし)
「当人たちには、なんの効力もない……」警視庁が“半グレ”集団を「準暴力団」と名付けたワケとは?
今月7日に警察庁が新たに定義付けた「準暴力団」という名称。今までに指定された暴力団とは違い、さらには「密接交際者」や「準構成員」とも違う。警察庁によれば、昨年起きた六本木フラワー殺人事件の「関東連合」や、中国残留孤児の二世、三世を中心とした「怒羅権」を指すという。警視庁担当の全国紙記者は言う。 「もうめちゃくちゃですよね。関東連合も怒羅権も、ある意味において『暴力団』でもあり、暴力団の『密接交際者』や『準構成員』、さらには『共生者』でもある。これに定義付けする必要があったのかどうか分かりません」 この記者によれば、警察庁は関東連合メンバーを数十人、怒羅権メンバーを数百人、特定しているという。そもそも彼らのことは、闇社会に詳しいノンフィクション作家の溝口敦氏が「半グレ」集団と名付けていたが、ここにきて、当局のほうが名称を与えることになった。 しかし、その特定の仕方に首をかしげているのは、当の「準暴力団」メンバー本人たちなのかもしれない。若い世代の裏社会に詳しい、ノンフィクション・ライターの小野登志郎氏は言う。 「今さら『俺は関東連合だ』とか『怒羅権だ』とか名乗る連中は少ないと思います。そもそも彼らが最も猛威を振るっていたのは数年以上前のことで、彼らのOBたちはすでに40歳を過ぎています。若い時分ならいざ知らず、いい年をした彼らは、いちいち名乗ったりしないとは思いますが」 小野氏によれば、怒羅権が最も危険だったのは2000年前後であり、警視庁組織犯罪対策二課などによって長年マークされてきたという。今さら「準暴力団」と定義付ける必要はあったのだろうか。 「警察として『取り締まるぞ』という明確な意思表示なのでしょう。暴対法や暴排条例によって相対的に弱体化した既存の暴力団に代わって、彼らの存在がクローズアップされているのは確かですから。しかし、関東連合は今回のフラワー事件で混乱状態、怒羅権のメンバーたちは、不況の日本よりも中国やアジアに向かっています。日本の警察はどこに向かっているのか、分かりませんね」(同) 果たして「準暴力団」という定義が功を奏することは、今後あるのだろうか。前出全国紙記者は言う。 「警視庁の組織犯罪対策部の現場の捜査員の中でも、議論が分かれていることは事実です。“ただでさえ、誰が『暴力団』で誰が『密接交際者』なのか分からないこのご時世に、この上定義を増やして、いったい何になるのか”と。ただ、『お上はきちんとやっているぞ』という、国民へのアピールの部分は強いでしょうね。ですが、当の『準暴力団』メンバーたちに対しての効力は、あまりないでしょう」 「半グレ」集団から「準暴力団」に「格上げ」された彼らの今後は、まだ未知数ということなのだろう。 (文=編集部)イメージ画像
閉塞化した世界を笑い飛ばす、常識破りの怪作! メタメタおかしい底抜け脱線ホラー『キャビン』
たまたま2時間ドラマを見ていたら、旅館に着いたばかりの片平なぎさと船越英一郎がいきなり毒殺されてしまい、何と真犯人は事件を担当していた監察医の沢口靖子だった! しかも沢口靖子はロボットで、山村紅葉によって遠隔操作されていた!! そのくらいの衝撃ですよ。『キャビン』という何の捻りもないタイトルのホラー映画ですが、まったく期待せずに客席に身を委ねていると、常識破りの展開に目がテン&口あんぐり状態。一見、ゆる~いB級映画と思わせておいて、次々と底が抜けていく快感に身悶えすることに。ぜひ、みなさんも本作を舐めて掛かってください。 物語の始まりは、も~絵に描いたようなホラー映画の定番パターン。夏休みになり、浮かれまくる米国の若者たち。5人の男女はワゴン車に乗り込んで、避暑地にある別荘へレッツゴー! リーダー格はアメフト部のカート(クリス・ヘムズワース)。『マイティ・ソー』(11)『アベンジャーズ』(12)で売り出し中の雷様ですよ。カートにくっついて、いつもイチャイチャしているのは金髪美女ジュールス(アンナ・ハッチソン)。マジメ女子のデイナ(クリステン・コノリー)はカートの親友ホールデン(ジェシー・ウィリアムズ)とちょっとイイ雰囲気。お邪魔虫な感じで、マリファナ大好きなマーティ(フラン・クランツ)もくっ付いてきた。まぁ、ここはお固いことは言わず、人里離れた別荘でセックス&ドラッグを存分に楽しみましょうや。ところが山を越え、谷を渡って到着した先は、別荘とは名ばかりの怪しげな山小屋。すぐ近くには、どこかで見たようなデジャブ感ありありな湖が……。ホラー映画の二大教典『死霊のはらわた』(81)と『13日の金曜日』(80)を合体させたような舞台じゃないですか。こんな不気味な場所からさっさと引き返せばいいのに、5人の若者たちは肝試し感覚で山小屋の扉を開けてしまう。さぁ、未曾有体験の始まりはじまり♪“マルチ・レイヤー・スリラー”と銘打たれた新種のホラー映画『キャビン』。
2010年公開予定が、米国でも2012年にようやく公開に至った。
ホラー映画のお約束とばかりに、酔っぱらって調子に乗った若者たちは地下室に残してあった謎の呪文をわざわざ読み上げてしまう。その途端、山小屋の裏にあった墓場から、気持ち悪~いアンデッドたちがモコモコと登場。もちろん、真っ先に殺られるのはビッチな金髪女。「ビンゴ!」と手を叩いて喜んでいるのは、客席にいた我々だけではなかった。山小屋の様子を隠しカメラで眺めていた研究員風の男(リチャード・ジェンキンス)たちも一緒に大喜び。なんだ、このオッサンたちは? これは新しいドッキリカメラか殺人リアリティーショーなのか? どうやらこの盗撮集団は入念なシナリオを準備して、5人の若者たちをまんまと山小屋へと誘導したらしい。呪文を読んでしまったのも、ビッチな金髪女が最初に死んだのも、すべて脚本通り。『死霊のはらわた』&『13日の金曜日』的なホラーテイストが、いきなりSF映画『トゥルーマン・ショー』(98)を彷彿させるブラックな世界に大変貌! カートたちはどうやら自分らが巧妙な罠にハメられたことに気づくが、『シャッターアイランド』(10)のごとく山小屋と湖の周辺は陸の孤島化しており、脱出できない。地下からはモンスターたちが続々と甦ってくる。焦れば焦るほど、正体不明な相手の思う壺。若者たちが次々と血祭りに遭う様子を、金魚鉢で蟻と蟻地獄を一緒に飼育するかのように冷酷に観察を続ける研究員風の男たち。しかも、この実験は米国だけでなく世界各地で行なわれているらしく、日本ではいたいげな小学生の女の子たちが貞子みたいなお化けと大バトルを繰り広げている真っ最中。一体、これらは何のための実験なのか? 『キャビン』はパターン化されたありふれた風景をひっくり返して見せる。80年代~90年代にアイデアが出尽くして閉塞状態となっていたホラー映画というジャンルを、丸ごと箱庭化してみせる。近年ブームとなっていた主観映像による疑似ドキュメンタリーとは真逆の、超客観的視点に立ったメタフィクションの世界だ。「新しいタイプのホラー映画はもう出てこないでしょ」とタカを括っていた自分の先入観が、ガラガラと音を立てて壊れていく心地よさがある。『キャビン』に登場するモンスターたちが攻撃しているのは、実は山小屋に閉じ込められた若者たちではない。モンスターたちが揺さぶりを掛けているのは、我々が当たり前のように身に付けている“常識”という名のメガネなのだ。常識という名のメガネは社会生活を送る上ではとても大切で便利なものだが、社会基盤が変動してしまうと度の合わないその常識メガネは逆に大きな負担となってしまう。よせばいいのに、謎の呪文を唱えてしまうデイナ(クリステン・コノリー)。
ホラー映画のお約束パターンに従って物語が進んでいきます。
三池崇史監督の『悪の教典』(12)もそうだった。学校の先生=未成年の自分たちを守ってくれる存在、という固定観念に縛られている生徒から真っ先にサイコパス教師(伊藤英明)に処刑されてしまった。子どもたちに常識を教えるはずの学校が、殺戮の場となった。三池監督は「悪は滅び、正義が生き残る」という旧態依然としたドラマツルギーを、伊藤英明を遠隔操作することで粉々にブチ壊してみせた。正義が生き残るのではなく、生き残ったものが歴史を作っていくのだ。フィクションの世界だけの話ではない。常識を盲目的に受け入れるととんでもない事態に陥ることを、日本人は最近学んだばかりだ。“日本の原発は安全”という根拠のない常識をみんな鵜呑みにしたために、大惨事を招いてしまった。『キャビン』で若者たちの行動をモニターを通して高みの見物していた研究員風の男たちも、「自分たちは安全」という常識に腰掛けていたために尋常ではない恐怖を味わうはめになる。 次々と底が抜けていく、この常識破りなホラーコメディを手掛けたのはジョス・ウェドン(脚本)&ドリュー・ゴダード(監督)のコンビ。ジョス・ウェドンは金髪女子高生がヴァンパイア退治する学園ホラーシリーズ『吸血キラー 聖少女バフィー』(97年~03年)でカルト的人気を博し、アメコミヒーローたちを呉越同舟させた『アベンジャーズ』に抜擢された監督。ドリュー・ゴダードは怪獣王ゴジラを主観映像で追った『クローバーフィールド/HAKAISHA』(08)や無人島サバイバルミステリー『LOST』(04年~10年)の脚本家で、本作で監督デビューを飾った。ジャンル映画の中で異彩を放つオタクな2人組は、面白さを徹底追及するうちにいつの間にか映画界のお約束はおろか、地球の引力圏からさえも離脱してしまったようだ。 では、この底抜けホラーコメディのクライマックスはどーなるのか? らっきょうの皮をどんどん剥いていくうちに、自分のいる世界まで剥いてしまった、そんな感じ? さぁ、うらぶれた山小屋の扉を開けてみよう。アナタが大切にしていた常識ってヤツは、真っ先にぶっ殺されるだろう。 (文=長野辰次)勇敢な若者カート(クリス・ヘムズワース)の横にいるのが、
ヤリマン女のジュールス(アンナ・ハッチソン)。
彼女は自分の運命を知らない。
『キャビン』
監督/ドリュー・ゴダード 脚本/ジョス・ウェドン&ドリュー・ゴダード 出演/クリステン・コノリー、クリス・ヘムズワース、アンナ・ハッチソン、フラン・クランツ、ジェシー・ウィイアムズ、リチャード・ジェンキンス、ブラッドリー・ウィットフォード、ブライアン・ホワイト、エイミー・アッカー、あと某大物俳優がカメオ出演!
配給/クロックワークス R15 3月9日よりシネマサンシャイン池袋ほか全国ロードショー中
(C)2011 LIONS GATE FILMS INC.ALL RIGHTS RESERVED
<http://cabin-movie.jp>
●深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】INDEX
[第212回]裏方スーパースター列伝、あの超絶技が蘇る!『セックスの向こう側 AV男優という生き方』
[第211回]いつもヘラヘラしていた変なヤツ『横道世之介』和製『フォレスト・ガンプ』を思わせる青春回顧録
[第210回]奥西死刑囚は“村社会”を守るための生贄にされた!? 名張毒ぶどう酒事件の闇に迫る再現ドラマ『約束』
[第209回]9.11テロの首謀者ビンラディン抹殺作戦の全貌! アメリカの夜明けは遠く『ゼロ・ダーク・サーティ』
[第208回]チェルノブイリ“立ち入り制限区域”で撮影敢行! オルガ・キュリレンコ主演の社会派作品『故郷よ』
[第207回]“明るい不登校児”のガラパゴスな団地ライフ! 中村義洋監督の箱庭映画『みなさん、さようなら』
[第206回]いつまでもバカやって、尻を追っかけていたい! ぬいぐるみの『テッド』は“永遠のエロ中学生”
[第205回]石原慎太郎原作の異色ミステリー『青木ヶ原』ままならない人生の中で出会った恋人たちの行方
[第204回]陶酔と記憶の向こう岸にある世界に3Dで迫る! 松江哲明監督の『フラッシュバックメモリーズ』
[第203回]あの低視聴率ドラマ『鈴木先生』が映画版に! “鈴木式教育メソッド”は世界を変えられるか?
[第202回]“余命刑事”が家族の絆と細菌兵器を奪回する! 究極の時間制限サスペンス『ブラッド・ウェポン』
[第201回]年末は“女体盛り”パーティーで盛り上がろう! ジェダイの騎士も集う秘密の宴『SUSHI GIRL』
[第200回]もし“理想の恋人”が目の前に現われたどーする!? 情熱的で予測不能な彼女『ルビー・スパークス』
[第199回]“耳フェチ”には堪えられない青春官能ムービー!『耳をかく女』桜木梨奈の無印演技に癒やされたい
[第198回]ハリウッドの頑固オヤジがたどり着いた好々爺の境地! イーストウッド、4年ぶりの主演作『人生の特等席』
[第197回]この“明るいヘンタイ”っぷりがいいんじゃない!? 会田誠のアートなエロス『駄作の中にだけ俺がいる』
[第196回]三池監督ならではの“いのちの授業”が始まる! サイコパス教師と過ごす恐怖の文化祭『悪の教典』
[第195回]“絶対的価値”を求める男たちの翔んでもロマン! 井筒監督の犯罪サスペンス『黄金を抱いて翔べ』
[第194回]禁断の蜜が溢れるSM世界『私の奴隷になりなさい』セクシーアイコン・壇蜜がすべてをさらけ出した!
[第193回]“無意識の湖”に身を投じたユングと女性患者の行方──クローネンバーグの恋愛サスペンス『危険なメソッド』
[第192回]“お蔵入り映画”が人命救助を果たした!? 実話をベースにした大冒険ロマン『アルゴ』
[第191回]我が家に“食人族”がやって来た! 奇才ジャック・ケッチャムの異形世界『ザ・ウーマン』
[第190回] 裏切り&結託は当たり前。今の政界にそっくり! 極道たちのバトルロワイアル『アウトレイジ ビヨンド』
[第189回] これが全米を熱狂させた“USA版バトル・ロワイアル”! 殺人リアリティーショー『ハンガー・ゲーム』
[第188回]行き詰まった人生の扉を開く鍵は“銭湯”にあり? 内田けんじ監督のオリジナル作『鍵泥棒のメソッド』
[第187回]大家族の伝統料理から超手抜きレシピまで勢ぞろい! 台所から見えてくる中東の家庭事情『イラン式料理本』
[第186回]“世界的な絶滅危惧種”である独裁者に愛の手を!? 政治ネタ&下ネタ満載コメディ『ディクテーター』
[第185回]障害者の性処理も介護の重圧も、すべて笑い飛ばせ! 男たちのバリアフリーな友情ドラマ『最強のふたり』
[第184回]人類を生み出した“創造主”との遭遇!! リドリー・スコットが物語るSF神話『プロメテウス』
[第183回]“校内格差社会”に出現した異分子(ゾンビ)たち! 青春のカタルシス『桐島、部活やめるってよ』
[第182回]カメラマンは法を犯してもかまわない!? 国家の暗部を暴く男の情念『ニッポンの噓』
[第181回]“学校”という名の密室ではびこる児童虐待の事実! 子どもたちは教師を訴える『トガニ 幼き瞳の告発』
[第180回]“神様”との出会いと別れ、そして旅からの帰還 ドキュメンタリー『アニメ師・杉井ギサブロー』
[第179回]親友=お金を貸してくれる、女友達=SEXさせてくれる!? 品性お下劣男の青春『苦役列車』
[第178回]“沢尻エリカ”という名のアトラクションムービー『ヘルタースケルター』が描く無常の世界
[第177回]毒カレー、オウム真理教、光市母子殺害……“悪魔の弁護人”と呼ばれる男の素顔『死刑弁護人』
[第176回]“芸能生活30周年”ニコラス・ケイジの会心作! 被災地に流布する暗号『ハングリー・ラビット』
[第175回]やめろと言われても、今では遅すぎたッ! 妻夫木聡&武井咲主演の過剰なる純愛劇『愛と誠』
[第174回]年間自殺者数3万人を越える現代社会への提言 自殺対策の現状を追った『希望のシグナル』
[第173回]“三島割腹事件”を若松孝二監督が映画化!『11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち』
[第172回]実在の事件を題材にした“命の授業”『先生を流産させる会』がついに劇場公開!
[第171回]自由社会に順応できない“脱北者”の過酷な現状 無垢なる季節との決別『ムサン日記 白い犬』
[第170回] 世界興収100億突破のSF大作『ロボット』はあらゆる既成概念を破壊する!!
[第169回]“エンタの神さま”ツイ・ハークが大復活! B級映画マニアの心を焦がす『王朝の陰謀』
[第168回]人はお下劣な分だけ、強く優しくなれる!? 結婚を控えた女たちの本音『ブライズメイズ』
[第167回]行きすぎたシステム社会に警鐘を鳴らす“ユナボマー・マニフェスト”の映画化『モンスターズクラブ』
[第166回]祭りの終わりと新ステージの幕開け、3部作完結『サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』
[第165回]すばらしき“コーマン野郎”の世界!『コーマン帝国』、愛と欲望の歴史
[第164回]懐かしき香り漂う、新感覚サスペンス 破滅へ突き進む男の悲劇『ドライヴ』
[第163回] 災害に備えた地下シェルターは必要? 心理ホラー『テイク・シェルター』
[第162回] 森田芳光監督の最終列車『僕達急行』人生は出会いと旅立ちのリフレイン!
[第161回] 鬼才キム・ギドクの"多重人格ショー"セルフドキュメンタリー『アリラン』
[第160回]映画創成期に散った"殉教者"への聖歌 3D映画『ヒューゴの不思議な発明』
[第159回]これはホラー? それともコメディ? 勘違い女が爆走『ヤング≒アダルト』
[第158回] ピラミッドは古代からのメッセージ!? 歴史ミステリー『ピラミッドの謎』
[第157回] 韓国映画の名匠が明かす"創作の極意"イ・チャンドン監督『ポエトリー』
[第156回] ローカル局で"伝説となった男"の生涯『木村栄文レトロスペクティブ』
[第155回] 米国に半世紀も君臨した"影の大統領" FBI初代長官『J・エドガー』
[第154回]犯罪者たちに学ぶ"人心掌握術"の奨め『アニマル・キングダム』『預言者』
[第153回]"地獄"からの生還者・板尾創路の凄み 古典落語を過激に脚色『月光ノ仮面』
[第152回]早くも2012年ベスト1映画が登場!"代理殺人"を巡る恐怖『哀しき獣』
[第151回]父殺し、自分殺し、そして再生の物語 園子温流ラブストーリー『ヒミズ』
[第150回]米国お笑い横断旅行『宇宙人ポール』人間のちっぽけな悩みはETが解決!
[第149回]70年前と変わらない日本人の精神構造『聯合艦隊司令長官 山本五十六』
[第148回]追悼......"永遠の反逆児"原田芳雄さん幻の主演作『原子力戦争』がDVD化
[第147回]"ファスト風土"を舞台にした犯罪喜劇 J・アイゼンバーグ主演『ピザボーイ』
[第146回]"正義のゾンビ"が犯罪者を貪り喰う! イラク戦争奇談『ゾンビ処刑人』
[第145回] "時代の寵児"の未ソフト化作品上映!「松江哲明グレイテスト・ヒッツ」
[第144回]原発事故を描いた『カリーナの林檎』と今関あきよし監督の背負った贖罪
[第143回]"窮屈なモラル"を脱ぎ捨てた裸の女たち 園子温監督の犯罪エロス『恋の罪』
[第142回]ノーベル賞作家・川端康成が夢想した新風俗『スリーピングビューティー』
[第141回]横暴な上司は有志社員が制裁します!『モンスター上司』のブラックな笑い
[第140回]"クソみたいな社会を変えたい!"高校生テロリストの凄春『アジアの純真』
[第139回] うつ病なんかヘーキ!? 宮崎あおい主演作『ツレがうつになりまして。』
[第138回]"神話"が生まれる瞬間を目撃せよ! 人類への黙示録『猿の惑星:創世記』
[第137回]刑務所で食する至高の味『極道めし』ヒロインの後ろ姿に、むせび泣き!
[第136回]"理想の恋人"という偶像を破壊せよ 深夜番長の劇場デビュー作『モテキ』
[第135回]"城定秀夫監督、ブレイク前夜の予感! 闘争本能を呼び覚ます『タナトス』
[第134回]"人間失格"の道を選んだ映画監督の業 林由美香の最新主演作『監督失格』
[第133回]ホラ吹きのホラを見破る特異な職能 ポランスキー監督『ゴーストライター』
[第132回]芦田愛菜、6歳にして危険な魅力!? 子連れで全力疾走『うさぎドロップ』
[第131回]元"暴走族"が書いた旧友への鎮魂歌 青春懺悔録『アメイジング グレイス』
[第130回]V・ギャロ主演のサバイバルグルメ!? 『エッセンシャル・キリング』
[第129回]『キック・アス』より悪趣味で泣ける 中年男の悪ノリ暴走劇『スーパー!』
[第128回]この夏の清涼剤、地方少女のダンス成長記『あぜみちジャンピンッ!』
[第127回]竹ヤリで世界進出"スシタイフーン"『エイリアンVSニンジャ』ほか逆上陸
[第126回]イーモウ監督、久々のアイドル映画 中華的妹萌え『サンザシの樹の下で』
[第125回]ナタリー・ポートマン vs. ヘビメタ野郎 人気女優の隠し球『メタルヘッド』
[第124回]黒澤明の名作『生きる』のラテン版! ヤモメ男が残した遺産『BIUTIFUL』
[第123回]北国で93年間営業を続ける"大黒座"と町の記録『小さな町の小さな映画館』
[第122回]新幹線がすれ違う瞬間、願いが叶う? 小学生の目線で描かれた『奇跡』
[第121回]理想と情熱がもたらした"痛い現実" 青春の蹉跌『マイ・バック・ページ』
[第120回]胸に響く金言"プロとは手を抜くこと" 職人秘話『アトムの足音が聞こえる』
[第119回]危険な出会い、井口昇ミーツ仲村みう 悪夢の遊園地『富江 アンリミテッド』
[第118回]ナタリー・ポートマン"第1章"の終幕 虚実が攻め合う『ブラック・スワン』
[第117回]"セカイ"を旅立った少女の地底探検記 新海誠監督の新作『星を追う子ども』
[第116回] 美少女たちの輝きが脳裏から離れない。青春ムービー『魔法少女を忘れない』
[第115回] 恋愛が与える"陶酔"とリアルな"痛み"サブカル活劇『スコット・ピルグリム』
[第114回]妄想、空想、そして現実からの大脱走 美少女革命『エンジェル ウォーズ』
[第113回]"3.11"後の新しい映画モデルとなるか『劇場版 神聖かまってちゃん』の挑戦
[第112回]マスコミが讃えた"楽園"のその後、ひとりの少女の成長記録『愛しきソナ』
[第111回]閉鎖的な"村社会"をブチ破ったれ! 韓流サバイバル劇『ビー・デビル』
[第110回]"粋"を愛したフランスの伯父さん J・タチ主演『イリュージョニスト』
[第109回]自分にとって家族は敵か、味方か? オスカー2冠受賞『ザ・ファイター』
[第108回]コーエン兄弟『トゥルー・グリット』40年で変化した"米国のヒーロー像"
[第107回]ジョニー・デップが愛した"極道記者" 『GONZO』奇人がスターだった時代
[第106回] 巨匠イーストウッド監督の異色作! "あの世"はあるか?『ヒア アフター』
[第105回] キレ味、喉ごしが違うアクション! 黒帯美少女の"涙拳"が炸裂『KG』
[第104回] 高齢化するニートはどこに行くのか? "戸塚校長"のその後『平成ジレンマ』
[第103回]堀北真希&高良健吾主演作『白夜行』闇に生きる"影男"の密やかなる喜び
[第102回]園子温の劇薬ムービー『冷たい熱帯魚』"救いのない結末"という名の救い
[第101回] NHKが放映しない"裏プロジェクトX" AV界のカリスマ監督『YOYOCHU』
[第100回]エロスとタブーを交配した"至高の美女" 禁断のサイエンスホラー『スプライス』
[第99回]2010年に活躍した女優を勝手に表彰! 満島ひかりに"面倒くさい女"大賞を
[第98回]大人だって"ドラえもん"にいて欲しい 残念男の逆転劇『エリックを探して』
[第97回]平凡な高校生デイヴは2度変身する!原点回帰のヒーロー『キック・アス』
[第96回]村上春樹の超絶ベストセラーの映画化『ノルウェイの森』はどこにある?
[第95回]実在した"奇妙な高額バイト"の顛末 心理サスペンス『エクスペリメント』
[第94回]"アル中"カメラマンの泣き笑い人生『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』
[第93回]朝ドラと異なる映画『ゲゲゲの女房』ゴールなき"貧乏耐久"2人3脚走
[第92回]バラエティーでの実績は通用するか? テリー伊藤の初監督作『10億円稼ぐ』
[第91回] 不謹慎なる社会派エンタテイメント『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』
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[第89回]自分の恋愛もプロデュースする女優、ドリュー・バリモア主演『遠距離恋愛』
[第88回]スタローンが立ち上げた"筋肉共和国"男たちの祭典『エクスペンダブルズ』
[第87回]元"おはガール"安藤聖の再起動ドラマ 就職氷河期を生きる『バカがウラヤマシイ』
[第86回]マイノリティーは"理想郷"を目指す。筒井文学の金字塔『七瀬ふたたび』
[第85回]清純派・佐藤寛子が美しく"変態"! 官能サスペンス『ヌードの夜──』
[第84回]死を意識して、ギラギラ輝く男たち! 三池節、大バクハツ『十三人の刺客』
[第83回] 女を食い物にする男どもは全員処刑! モダン社会の闇を暴く『ミレニアム』
[第82回] "企画AV女優"たちの青春残酷物語 性なる鎮魂劇『名前のない女たち』
[第81回]猫を見れば、人間社会が見えてくる! 世界の人気猫大集合『ネコを探して』
[第80回]原恵一監督の新作は辛口ファンタジー 退屈な"日常生活"を彩る『カラフル』
[第79回]米軍に実在した"超能力部隊"の真実!? ムー民、必見『ヤギと男と男と壁と』
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[第77回] 白ユリの花開くガールズの妖しい世界 H系ホラー『ジェニファーズ・ボディ』
[第76回] 爽やか系青春ゾンビ映画にホロリ......夏休みは『ゾンビランド』に集結せよ
[第75回] "生きる"とは"見苦しい"ということ 藤沢周平の時代活劇『必死剣 鳥刺し』
[第74回]初恋の美少女は200歳の吸血鬼だった! 北欧産のホラー映画『ぼくのエリ』
[第73回] "三億円事件"の真相を解き明かす! 桜タブーに挑んだ『ロストクライム』
[第72回/特別編] 上映反対で揺れる問題作『ザ・コーヴ』"渦中の人"リック・オバリー氏の主張
[第71回] 女子にモテモテになる方法、教えます。軟派少年の実話物語『ソフトボーイ』
[第70回] 下町育ちの"北野少年"が見た現代社会 人間同士の食物連鎖『アウトレイジ』
[第69回] "リアルと虚構の狭間"を生きる男、アントニオ猪木初主演作『アカシア』
[第68回] ヒーローも神もいない現代社会の惨劇 井筒監督の問題作『ヒーローショー』
[第67回] アイドルが地獄で微笑む『戦闘少女』ギャグ×血しぶき×殺陣の特盛り丼!
[第66回]アナーキーな"社歌"で生産性アップ! 満島ひかり大進撃『川の底からこんにちは』
[第65回]超ヘビー級なシリアス劇『プレシャス』"家族"という名の地獄から脱出せよ
[第64回]乱れ咲く"悪の華"ゼブラクイーン! 仲里依紗が過激変身『ゼブラーマン2』
[第63回] オタク王が見出した"夢と現実"の接点 ティム・バートン監督作『アリス──』
[第62回] バッドテイストな感動作『第9地区』 アナタはエビ人間とお友達になれるか?
[第61回]スコセッシ監督の犯罪アトラクション『シャッターアイランド』へようこそ!
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[第59回]"おっぱいアート"は世界を救えるか? 母乳戦士の記録『桃色のジャンヌ・ダルク』
[第58回]現代に甦った"梶原一騎ワールド"韓流ステゴロ映画『息もできない』
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[第32回]電気仕掛けのパンティをはくヒロイン R15コメディ『男と女の不都合な真実』
[第31回]萩原健一、松方弘樹の助演陣が過剰すぎ! 小栗旬主演の時代活劇『TAJOMARU』
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[第25回]白熱! 女同士のゴツゴツエゴバトル 金子修介監督の歌曲劇『プライド』
[第24回]悪意と善意が反転する"仮想空間"細田守監督『サマーウォーズ』
[第23回]沖縄に"精霊が暮らす楽園"があった! 中江裕司監督『真夏の夜の夢』
[第22回]"最強のライブバンド"の底力発揮! ストーンズ『シャイン・ア・ライト』
[第21回]身長15mの"巨大娘"に抱かれたい! 3Dアニメ『モンスターvsエイリアン』
[第20回]ウディ・アレンのヨハンソンいじりが冴え渡る!『それでも恋するバルセロナ』
[第19回]ケイト姐さんが"DTハンター"に! オスカー受賞の官能作『愛を読むひと』
[第18回]1万枚の段ボールで建てた"夢の砦"男のロマンここにあり『築城せよ!』
[第17回]地獄から甦った男のセミドキュメント ミッキー・ローク『レスラー』
[第16回]人生がちょっぴり楽しくなる特効薬 三木聡"脱力"劇場『インスタント沼』
[第15回]"裁判員制度"が始まる今こそ注目 死刑執行を克明に再現した『休暇』
[第14回]生傷美少女の危険な足技に痺れたい! タイ発『チョコレート・ファイター』
[第13回]風俗嬢を狙う快楽殺人鬼の恐怖! 極限の韓流映画『チェイサー』
[第12回]お姫様のハートを盗んだ男の悲哀 紀里谷監督の歴史奇談『GOEMON』
[第11回]美人女優は"下ネタ"でこそ輝く! ファレリー兄弟『ライラにお手あげ』
[第10回]ジャッキー・チェンの"暗黒面"? 中国で上映禁止『新宿インシデント』
[第9回]胸の谷間に"桃源郷"を見た! 綾瀬はるか『おっぱいバレー』
[第8回]"都市伝説"は映画と結びつく 白石晃士監督『オカルト』『テケテケ』
[第7回]少女たちの壮絶サバイバル!楳図かずおワールド『赤んぼ少女』
[第6回]派遣の"叫び"がこだまする現代版蟹工船『遭難フリーター』
[第5回]三池崇史監督『ヤッターマン』で深田恭子が"倒錯美"の世界へ
[第4回]フランス、中国、日本......世界各国のタブーを暴いた劇映画続々
[第3回]水野晴郎の遺作『ギララの逆襲』岡山弁で語った最後の台詞は......
[第2回]『チェンジリング』そしてイーストウッドは"映画の神様"となった
[第1回]堤幸彦版『20世紀少年』に漂うフェイクならではの哀愁と美学
「離婚には人生のすべてがある」『最高の離婚』の息ができないすれ違い
「テレビはつまらない」という妄信を一刀両断! テレビウォッチャー・てれびのスキマが、今見るべき本当に面白いテレビ番組をご紹介。 それは、光生が元恋人の灯里に「昔みたいに笑ってほしい」と語りかけた時だった。 「10年たってもなんにも分かってないんですね。私、濱崎(光生)さんとの間にいい思い出なんかひとつもありませんよ。あなたと別れるとき思ってました。死ねばいいのにって。こんな男死ねばいいのにって思ってました。そんな勝手にいい思い出にされても」 『最高の離婚』(フジテレビ系)の終盤には、いつも息ができないような修羅場が待っている。序盤はすれ違いの短いセリフの応酬でクスクス笑わせながら、針でチクチク刺すように刺激し、丁寧に伏線を張っていく。それが時限爆弾の起爆剤のようになって、後半で突如爆発。本音むき出しの長ゼリフで、鈍器で殴られたような衝撃を与える。そして、思わず「オイ!」とツッコミたくなる大オチが待っている。このドラマは、毎回そんな構成で見る者の胸をわし掴みにしている。 神経質で細かい性格だが、他人に対しては無神経な濱崎光生(瑛太)と明るく大雑把な結夏(尾野真千子)は性格が合わず衝突を繰り返し、ついに離婚届を提出した「もう終わってしまった」夫婦である。そんな光生と大学時代、恋人関係にあった灯里(真木よう子)は普段はクールだが、繊細で時折激しい感情を抑えることができない女性。彼女は女性にだらしがないマイペースな諒(綾野剛)と結婚生活を送っているが、実は諒が婚姻届を出しそびれてしまっている「まだ始まっていない」夫婦である。戸籍上は全員独身。 光生は言う。「結婚は人生の一部にしかすぎないけど、離婚には人生のすべてがある」と。「別れ」の時こそ、その2人の関係がむき出しになる。 光生と結夏は離婚届を出した後も、ずるずると同居生活を続けていた。そんな折、灯里と諒に出会い、壊れた夫婦同士の奇妙な家族ぐるみの交流が始まる。 光生にとって灯里は元恋人であり、人生の中で最も好きだった相手。灯里と結夏は、光生のひねくれた性格に苦しんできた、いわば戦友。と同時に、ある種のライバルのような微妙な関係でもある。諒はそんな3人の中にあって、どこまでもマイペースで何を考えているか分からない。光生はそんな諒を理解できず苛立っている一方で、どこか羨ましく思っている。そんな4人が複雑にすれ違う。 青森で生まれた灯里は、14歳の時に漁師だった最愛の父を海で亡くした。悲しみに暮れた彼女は、その頃流行していたJUDY AND MARY の「クラシック」という曲に救われる。ヴォーカルのYUKIに憧れ歌手になる夢を抱いて上京し、光生と出会い同棲を始めた。何カ月か経った頃、自分の夢や父のことを打ち明けようと「クラシック」を部屋に流していた。すると、その曲を聴いて光生がこう言い放った。 「何? このくだらない歌。安っぽい花柄の便座カバーみたいな音楽だ」 そうやって2人は別れた。 誰かにとっては「生きる希望」のようなものも、別の誰かにとっては「便座カバー」のようなものなのだ。みんな他人なのだから、それは仕方がない。それぞれが正しい方向、生きやすい方向を見ている。だから、見える風景は違う。その視線のズレがアンバランスな関係で成り立ち、人間関係を構築している。それを崩すのは、小さなきっかけで十分なのだ。 第6話で灯里は、浮気を繰り返す諒に別れてほしいと懇願する。「今度浮気したら、俺のおちんちん切っていいから」という諒に、「じゃあ、今切る」とハサミを手にする。それを見ていた結夏は、灯里の悲しみはそんな程度の痛みでごまかせるものではない、と制止する。すると灯里は、こんなことを口にする。 「悲しいとかじゃないの。苦しいとかじゃないの。だって負けてるんだもん。『浮気はやめて』とか『嘘はやめて』とか。負けてる方は正しいことばっかり言って責めちゃうんだよ。正しいことしか言えなくなるんだよ。正しいことしか言えなくなると、自分がバカみたいに思えるんだよ」 同居生活を続けていた光生たちも、このまま一緒に住んでいるのはおかしい、と結夏が家を出て行く。その際、結夏は光生に宛てて長い手紙を書いた。 「最近どうもまたあなたのことを見てると、変にざわざわとするのです。私なりにそのざわざわを打ち消すとか、あるいは元に戻す努力を検討してみたのですがどちらもうまくいきませんでした」 「好きな人とは生活上気が合わない。気が合う人は好きになれない。私あなたの言うことやすることには何一つ同意できないけど、でも好きなんですね。愛情と生活はいつもぶつかって、何というかそれは私が生きる上で抱えるとても厄介な病なのです」 別れを決意し、別れるために相手に向き合った時、お互いの機微が見えてくる。だから、光生と結夏、灯里と諒、それぞれが再びお互いに思い合っていく。けれど、この手紙が結夏自らの手で破り捨てられ、光生に読まれることはないように、決してその関係は元には戻れない。一度壊れた関係は、どんなに愛情があらためて芽生えようとも、元通りにはならないのだ。 諒と別れ東京にいる意味を失った灯里は実家の青森に帰ろうと思い立つも、その感情の代替品として、青森行きの切符代と同じ値段の加湿器を買う。その帰り道、それまで拒絶していた光生とばったり会い、2人は昔付き合っていた当時よく行っていた定食屋に向かう。弱っている2人は「過去」を代替品にするように寂しさを紛らわし、灯里は光生に「とりあえず寝てみよう」と言うのだった。同じ頃、結夏は光生を思いながら酔いつぶれ、その勢いで一緒に呑んでいた諒とキスをしてしまう―――。 人と人はすれ違う。いや、すれ違うのは「人と人」だけではない。「自分と自分」との間でもすれ違うのだ。感情と言葉も、言葉と行動も一致しない。ことごとくすれ違っていくのだ。それを徹底的に描いているのが『最高の離婚』なのだ。 (文=てれびのスキマ <http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/>) ◆「テレビ裏ガイド」過去記事はこちらから『最高の離婚』-フジテレビ
『アリス』吹き替えに決定のフジテレビ高橋真麻アナ「報道志望じゃなかったの?」の冷ややか目線
16日にフジテレビで放送されるハリウッド映画『アリス・イン・ワンダーランド』で、同局の島田彩夏アナと、退社が決まっている高橋真麻アナが“声優デビュー”することになったという。 地上波初登場となる同作で、ヘレナ・ボナム=カーターが演じる「赤の女王」とアン・ハサウェイの「白の女王」の日本語吹き替え声優を局内の女子アナ27人でオーディションし、決定した。 だが、この起用に対し、「ネット上では「ハリウッドのトップ女優の声を素人が当てるなんて失礼すぎる」「視聴者をバカにしているのか」などと批判の声が噴出している。 「このところ、洋画の日本語吹き替えを、専門の声優ではなくタレントが行うことに批判的な風潮が高まっています。『アベンジャーズ』では雨上がり決死隊の宮迫博之や竹中直人など経験十分の演者が当てたにもかかわらず、ネット上では“炎上状態”になった。今回は販売するソフトではなく自局での放送とはいえ、経験ゼロのアナウンサーに当てさせるというのは、需要を見誤っているように思えますね」(映画ライター) 視聴率低下に苦しむフジテレビにとっては、なんとか放送を盛り上げようという企画だったのかもしれないが、当の局内でも冷ややかな意見が聞かれるのだという。 「フジテレビのアナがアイドル的な人気を集めていたのなんて、10年や20年前の話。結局、フジって、そのころから思考停止してるんですよ。それに真麻はそもそも『報道志望じゃなかったのか?』って、白い目で見られてますよ」(フジテレビ関係者) 当の真麻は声優業に「退社後もやらせていただける機会があれば、チャレンジしてみたい」と語っているという。まずは、お手並み拝見といったところか。「MaasaWorld」より
「それでも実質現役トップ」嵐の新曲、初動70万枚のカラクリは久しぶりの“3形態”
ジャニーズの5人組グループ・嵐の新曲「Calling/Breathless」が初週で75.6万枚を売り上げ、3月18日付のオリコン週間ランキングのトップに躍り出た。デビュー14年目の嵐にとって、初動の売り上げとしては過去最高となり、ジャニーズとしても06年のKAT-TUN「Real Face」以来、7年ぶりの70万オーバーとなった。 「今回のシングルは『両A面』という位置付けで、嵐にとって久しぶりの“3形態”での発売となりました。嵐が3形態でシングルを発売するのは2009年5月の『明日の記憶/Crazy Moon~キミ・ハ・ムテキ~』以来になります。その後は『初回盤と通常盤』という2形態で販売してきましたが、それでも初動で50万前後をキープしてきた。今回は3形態で75万ですから、計算はピタリと合います」(ジャニーズに詳しい週刊誌記者) 現在、ジャニーズの中で最も安定した売り上げを誇るのが嵐。昨年のオリコン年間ランキングでも、AKB48グループを除けば唯一ベスト10圏内に2曲をランクさせており、「実質的には現役トップ」と評する声もある。 「CD業界は、AKB48グループが圧倒的な売り上げでランキングを席巻していますが、周知の通りAKB関連の作品は“握手券”や“投票券”目的で購入されるものが多く、盤面はおまけのようなもの。しかも、今回の嵐は3形態だが、AKB48の場合は6~8形態のパッケージに加えてランダム特典を封入することで、さらなる複数買いを促している。握手ナシで70万枚を売る嵐のCDに握手券を付けたらどうなるか、想像もつきませんよ」(芸能ライター) もはやCDの売り上げ数やランキングは、“流行している音楽”を示すものではなくなってしまったようだ。現実的には、こうしたCDパッケージの多売システムが、現在の音楽業界の生産・流通分野を支えていることだけは確かだが……。
震災2年、都内最大規模「Peace On Earth」に延べ4万人「入ってはいけない日本があった……」
311東日本大震災から2年。今年も3月10日(日)、11日(月)の2日間、東京・日比谷公園で「311東日本大震災 市民のつどい Peace On Earth」が開催された。都内で行われた311関連のイベントでは最大規模。初日には約3万人、震災から2年目にあたる2日目は平日であるにもかかわらず、約1万人もの市民が全国から集まった。
11日の震災が発生した14時46分18秒には、ステージ上でアーティストや文化人が一同に介し、約3,000人の市民と共に黙とう。その発声を行ったC・W・ニコル氏は「北極や砂漠に行っても寂しいとは思わなかった。しかし先週、南相馬の街を通った時は寂しかった。昼間、カラスもいなかった。検問があって、警察が入ってはいけないと止めている。入ってはいけない日本があったんです。僕は、日本はどこでも自由があると信じていたんです。日本を返してくれ、と言いたいです。それでも、私は未来を信じる。みなさん、2年前のことを忘れないでください」と熱いメッセージを投げかけた。

ニコル氏の話に聞き入る坂本龍一

積極的に反原発活動に参加しているアイドル
藤波心は「ふるさと」を熱唱
藤波心は「ふるさと」を熱唱

加藤登紀子も登壇
アルバイトが楽しかった時代「Olive」1982年7月18日号
今回は「Olive」1982年7月18日号を紹介しよう。「Olive」といえば「オリーブ少女」という言葉まで生んだ、マガジンハウスのファッション誌。でも、それは83年からのことで、それ以前は趣の違う雑誌だった。タイトルロゴの上には「Magazine for City Girls」のキャッチコピーを刻み、まんま「POPEYE」の女子大生版のテイストであった(ファッション誌にリニューアルした後のキャッチコピーは「Magazine for Romantic Girls」)。創刊4号目の、この号の一大特集は「保存版アルバイトの素敵な情報」である。 ■無謀な海外渡航もオシャレに見える?「Olive」1982年7月18日号
(編集発行人:木滑良久/平凡出版)
いったいどんなアルバイトが登場するのかとページをめくれば、冒頭で紹介されるのはオーストラリアでのワーキングホリデーの解説だ。……「あれ、違う宇宙の話かな?」と戸惑うしかないが、本文を読むとネタではなく本気である。 しかも、よくもまあこんなに思い切りのよいネーチャンばかりを見つけてきたものだと感心する。 冒頭で紹介される女性は「一年間滞在するというのに、地図さえ持たず、当日の宿泊先を決めないまま一路シドニーへ。空港からユースホステルを電話で探し当てたものの、宿泊期限が5日間。どうにか2軒目のユースホステルに移り住み、その間に現在のフラットを新聞で見つけたというコト」。思い切りがいいんじゃない。これは、ワーホリじゃなくて、冒険だよ(フラットってなにかと思ったら、キャプションに「そう、フラットというのは、日本でいえばアパート。知ってた?」だって)。 キャッチで「働くことが大きな冒険ダヨ!」と煽るこのページ。紹介している仕事は土産物屋やホテルの受付、観光ガイドだけではない。やたらと推しているのが、ホームステイして、お手伝いすることで週給がもらえる仕組みだ。「ご主人の舵取りで休日はハーバー・クルーズの豪華さかげん」の煽りには「どこの分限者じゃ!」と唖然とするしかない。きっと、この記事を真に受けた結果、ガレー船並みに働かされたヤツもいるんだろうなあ……。創刊号の広告。会社名のとこで「東京銀座」とオフィスの所在地を強調しているのが、
昭和的なオシャレ感。(「読売新聞」1982年5月17日夕刊より引用)
続いて、この特集が推すのが「ナレーション・ガール」である。何かと思えば、イベントコンパニオンである。ここも「週2回2時間のトレーニングで晴海のアイドル」とか、煽りまくりだ。唖然とする怒濤の煽りの中で隔世の感を感じたのが、「ちょっと資格のあるバイト」として紹介されている「コンピューター・ガール」だ。ここの紹介文は、まさに時代を感じさせるので引用してみよう。 ■パソコンが使えれば日給1万円 「いま、企業で注目されているのはオフィス・オートメーション(OA)と呼ばれるもの。ようは、事務所のコンピューター化をめざしているのだ。となると、コピーや書類の整理をするオンナのコなんて、必要がなくなっちゃう。こうなれば、就職がだんだん難しくなるね。企業はOAマシンを使える人を求めている。OAマシンを知っていれば、もう、それだけで、就職運動の切り札になっちゃう。そこで、アルバイトをしながら、コンピューターやOAマシンの使い方を覚えちゃえば、就職運動とあいなるわけ」このビミョーなスカートの丈に興奮できるようになったら一人前です(なんの?)
バイト代は5000円~1万円と紹介されており、前述のナレーション・ガールと同等のレベル。 本文中の「コンピューターの操作は、ちょっと難しいと思えるけれど、プログラムがしっかりしていれば、1つ2つのキーを押せば、簡単に動かせる。あとは機械まかせ」と、テキトーな解説が記されているように、今では当たり前のパソコンも80年代初頭ならば、立派な特技だったことがうかがえる。う~ん、今や50歳を過ぎた、この世代からパソコンを使える人=特技を持っている人の感覚が消えないのが、わかるような気がする。 ネタにしかならないものはたいがいにして、記事中に記された、さまざまなアルバイトのバイト料を羅列してみよう。 武道館のコーラ売り:時給500円以上 FM東京の翻訳業務:時給650円 「non・no」のモデル:プロ並み 「CanCam」のモデル:日給約5000円 バニーガール:平均時給1300円 巫女:結婚式一回880円 104番号案内:日給3500円 ミスタードーナツ:平均時給470円 ケンタッキー:時給500円 マクドナルド:時給500円前後 イッセイ・ミヤケのショップ:日給4000円以上 シップス・レディス:時給500円 ポンパドール:時給600円 CBSソニー:時給580円 新宿ルイード:時給600円 もはや30年ほど前の時給ゆえに現代よりも安いのは当たり前。そこで、比較のために、当時のモノの値段を調べてみた。82年の「小売価格調査(あらゆる物品の価格を羅列している役に立つ統計書だ)」では、次のように記録されている。 かけうどん:307円 ラーメン:344円 テレビ:10万5300円 私立大の年間授業料:32万8800円 (以上、東京区部平均) はがき1枚:40円 新聞月極:2600円 文藝春秋:530円 週刊朝日:250円 たばこ(ハイライト):150円 なんだか妙である。かけうどんは、30年たっても価格は同等(むしろ安くなった感がある)。対して、ラーメンや私立大学の授業料、たばこは倍以上。対して、テレビは半額以下といった具合だ。つまり、価格だけ見て当時が暮らしやすかったか否かを、単純に測ることはできない。 ■時給はベーコンエッグバーガー2個分こういう読者モデルの女のコたちって今はなにやってんのかな?
フツーに主婦か?
制服の色使いが時代を感じさせる。この頃のファーストフードは、
滅多に行くことのできない天国だった。
しかし、この特集を読んでいると、これだけは言える。「なんだか、楽しそうじゃないか、コイツら……」と。 この妙な楽しさは、なんだろうと考えて気づいた。春先になると、よく書店やコンビニに並んでいる「部屋テク」系のムックと同じ雰囲気が漂っているのだ。一人暮らしを始めたら、部屋をオシャレに飾っちゃおうと煽りまくるのが、それらのムックの基本スタイル。結果、ビレバンとかIKEAあたりで、妙な雑貨を買っちゃって、数年後には後悔する若者は多い(かくいう筆者も20代の後半になって、間接照明にこだわったが……視力が悪化した)。渋谷の人気ショップも続いているトコ、ないトコといろいろ。
この後、バブルを経てどうなっていったのだろうか。
いつものネタですが、テクノロジーのシンポには驚きます。
この時代の男のコって、ヒゲはやしている人が多いんだよね。
目次を見ると、ベースが「POPEYE」なのが一目瞭然
でも、たとえ黒歴史になったとしても、そうした情報は、夢や楽しみを提供してくれたハズだ。 翻って、この特集で紹介されているアルバイトだってそうだろう。当然、楽な仕事なんてなかっただろうけど「出会いがあるかも」「貯金して……」とか、今よりもアルバイトを通しての夢は大きかったハズ。アルバイトに、単なる労働ではない付加価値があったことが、よく見えてくる。 そうした現代との感覚の違いを、特に感じさせるのが、ファーストフード店を紹介しているページ。前述のように時給がビミョーなのだが、今では信じられないくらいオシャレである。 「さか立ちしている白いヒツジちゃんとオレンジ色の看板がシンボル・マークなのが<ロッテリア>。永遠のアイドル(?)郷ひろみクンのCMや、あの秋吉久美子さんが映画『突然、嵐のように……』の中でアルバイトしていたお店として強く印象に残っています」 「<ファーストキッチン>はハンバーガーとミネストローネのお店。洋酒・ビールで有名なサントリーの外食部門だというのはあまり知られていないお話」 なんだか、ファーストフード店が妙にオシャレに見えてくる文章ではないか。ファーストキッチンを紹介している文章なんて、タイトルが「ベーコンエッグバーガー2個分がワタシの時給」って、バカにしてんのかとも思うが、妙にオシャレに錯覚してしまうのは、なぜなんだろう? もはや、夢のある、楽しいアルバイトなんて話は聞かない。 アルバイトの仕組みも、80年代と今ではガラリと違う。80年代は日雇い系でも、多くは実際に就労する先の企業がバイト雑誌で募集をかけるのが当たり前だった。今では、そうした例は少なくなり、アルバイト募集系のサイトで検索すれば「派遣」の文字ばかりが目立つ。 否応なしに、アルバイト=いつでも替えのきく使い捨ての労働力と自覚せざるを得ない現在。でも、そうじゃない時代はあった。楽しくお気楽に、異性との出会いもあるアルバイト。そんなものは、80年代を最後に消え去ってしまったのか。 (文=昼間たかし)



















