【小説】やる気ウイルス(仮題)

長谷川は大量の血を抜かれた後に、生理食塩水と成分点滴を受けた。服は脱がされて患者がまとう寝巻きに着替えさせられベッドにしばりつけられている。MRI、脳波の検査やその他の精密検査をされた上、今はもの凄く寒い部屋に閉じ込められている。部屋の温度はどんどん下がっている。顔は青ざめ、歯がカチカチと鳴って口を閉ざすことが出来ない。何度か意識が飛んでしまったのだが、その度に介抱され正気に戻るの繰り返しだ。抗体を持つ人間そのものの生存力を試す実験であった。もう涙も枯れて何も出てこない。また意識が遠のいた。

【小説】君に捧げる千物語  本章ー2

「タバコ買っただけで指名手配かよ。」長谷川はしゃがんだまま頭をぐるぐる回した。「携帯持ってるとヤバイな。3点法で居場所わかっちゃう。」大事なアドレスを手帳に書き込んで携帯を踏み潰した。木枯らし1号はあきらめ、歩いて50メートルほど離れた雑居ビルの屋上に移動する。タバコを捨てるかどうかを迷った。吸いたいからじゃない。末端価格で1億円だ。「どうせ捕まるか殺されるかだ。あの酒屋・・・

【小説】 君に捧げる千物語  本章ー1

駅に向かおうとした時、ぐいっと首の後ろ襟を捕まれた。マイクを持ったアナウンサー。その後ろにはでっかい中継車が控えていた。「ちょっとよろしいですか!あなたはどうしてタバコが入ったビニール袋を持っているんですか?」逃げよう。長谷川は直感的にそう感じた。木枯らし1号を取りに行こう。「追って!」アナウンサーが絶叫する。全力で逃げた。木枯らし一号に乗り青山通りに出る。「止まりなさーい!」と巡査が長谷川の目の前に飛び出して来た。「君、どこに行くの?これはなんだ?」カゴに入っていたビニール袋から1カートンのタバコがはみ出ていた。