本がない!? 東京国際ブックフェアで見えたどん底の出版業界

 サイゾー新ニュースサイト「Business Journal」の中から、ユーザーの反響の大きかった記事をピックアップしてお届けしちゃいます! ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) 山本一郎「警察庁がぱちんこ営業のグレーゾーンに全力できた」 宝くじ利権をしっかり組み込んだ総務省とみずほ銀行 逮捕もされない!?ネット犯罪予告で成功する方法とは? ■特にオススメ記事はこちら! 本がない!? 東京国際ブックフェアで見えたどん底の出版業界 - Business Journal(7月26日)
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一見すると盛況の様子だが……。
 7月5日~8日に東京・有明の東京ビッグサイトで開かれた東京国際ブックフェア(TIBF)。各出版社が本の展示や著作権取引などを目的に出店し、2010年は世界25カ国から984社が出展、今年で19回目を迎えた同フェアだが、出展する出版関係者の間では、ある“異変”が囁かれた。 「事前に文藝春秋、筑摩書房、中央公論新社など名だたる出版社が出ないことは聞いていた。しかし、会場に来て驚いたのは、大手が出店していないどころか、文芸書は河出書房新社、語学書は白水社、ビジネス書は明日香出版社と、それぞれのジャンルに1社しか出ていなかったんです」  そう驚くのは、何年も出展してきた人文・社会科学系の出版社の営業担当者だ。ここ数年、単独ブースで出展する出版社が減少してきていると言われてきたが、今年のありさまは例年にないほどひどいものだった。  どれだけ出版社が少なかったのか。TIBFの会場図(PDF)を見てもらえれば一目瞭然だ。さすがに業界トップスリーの講談社、小学館、集英社は出展していた。しかし、ブースの規模も展示内容も以前に比べて華やかさに欠けた上に、総合出版社である小学館は児童書ゾーンでブースを展開するのみ。ハースト婦人画報社、徳間書店も会社の規模に見合わない小ブース。さらに、河出書房新社1社と同じ広さのブースに角川グループ関連10社がまとまって出展している。会場図をご覧になった読者の皆様に伺いたい。果たして、ご存じの出版社がどれほどあったのかと。  ある出展社の担当者は「弊社のブースに来られた一般読者の方に『新潮社のブースはどこか』と聞かれ、残念ながら今回も出展していませんと答えると、がっかりした様子で去って行きました」と話す。こうした趣旨の問い合わせは、たびたびあったという。  そんな状況下で唯一救いだったのが、人文・社会科学書のゾーンだ。岩波書店、平凡社、みすず書房、国書刊行会、吉川弘文館、東京大学出版会といった版元が単独出展したほか、大学出版部協会、歴史書懇話会、国語・国文学出版会などの団体による出展もあった。一般客にとっての初日となった7日には、「書物復権8社の会」のブースに長蛇の列ができていた(写真)。  なぜ著名な出版社の出展が少なかったのか。そのひとつの要因が、2011年の東日本大震災に際し運営と出版社の間で起こったトラブルだと指摘するのは、出展する老舗出版社の営業担当者。 「11年は大震災のため、出展を予定していた出版社が見合わせる、いわゆる自粛ムードがあった。しかし、キャンセル料が発生するため、主催者と多少のトラブルがあったようだ。それに抗議する意味で、今年の出展を見合わせた社もあったのではないか」  また、別の出展社社員は「出版社が共同のブースで出展することに、主催者側が様々な注文を付けてきた。ブース内での公開セミナーについても、色々と内容ややり方を制限するようなことを言われた。その交渉が嫌になって、今回は見送った共同ブースもあるようだ」と話す。  しかし、この手のトラブルはたびたび発生するもので、その影響は短期的なものであろう。問題なのは、ここ数年の出版社による単独ブースでの出展だ。減少傾向にある原因を、中小出版社の営業担当者はこう語る。 「同フェアに出展するメリットが見えないのが本当の問題だろう。かつて、海外の出版社向けに出版物の版権販売を行う場という名目で東京国際ブックフェアは開かれてきた。しかし昨今では、すでにTIBFが開かれる頃には海外出版社との版権交渉は済んでおり、今更、TIBFで交渉する必要もなくなった。そのため、版権の売買を求める旨のプレートをブースに掲げる出展社もほとんどなくなった」  たしかにTIBFのスタート時は、世界最大のブックフェアと言われるドイツの「フランクフルトブックフェア」をみならって、版権売買の場であった。しかし、先述のような状況になり、その機能は薄れていった。これではいけないと、主催者が次に掲げたのが書店と出版社との「商談会」の場という機能だ。  しかし、ある中堅出版社の営業担当者は「商談会がスタートした頃は、弊社も取り組んでいたが、会場に来るのは現場の担当者ではなく、役員や社長クラスが多かった。発注権限がある店舗の担当者が少なく、出展費用と効果を考えると、営業マンが地方に出張して注文を取ってきた方がはるかに効果的だ。それに加えて最近、首都圏と大阪で書店主導による商談会というものも始まった。それが今年は九州地区にも広まった。多くの出版社は、商談会はここでと考えている。というのも、出展費用がケタ違いに安いからだ」  一方で、こんな意見もある。 「番線印(本を発注するために必要な印鑑のようなもの)を持ってきた書店さんもいた。こうした書店さんの来場が増えれば、商談会の場として会を行う意味はある。だが、今回はそうした人は極少数だった。とくに最近は書店業界も疲弊していて、地方の書店さんは2年に1度など訪れる頻度が少なくなり、送りこむ書店員の数も減らしている」(出展出版社のブース担当者)  商談会を行う出展社がなくなったわけではない。アスク出版のような直取引(卸会社を通さず、自ら書店に配本する取引)出版社にとっては、訪れた書店員との商談にこそ出展する意味がある。しかし、そうしたブースは少数派になってしまった。今では、ほとんどのブースが在庫一掃セールを目的とした「安売り市」化してしまった。  それが悪いというのではない。1年に1度、定価販売が法律で定められている本が2割引きなどで安く買えるという意味では、読者サービスの一環の活動といえる。しかし、安売りするのがTIBFの目的なのだろうか。そう考える出版社が、そこにメリットがあると考えて、出展し続けていくのならそれもいいだろう。だが、多くの出版社が安売り市のために出展するメリットは少ないと考えているからこそ、出版社の出展が激減しているのではないだろうか。
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 加えて、近年の電子出版EXPOの華々しさも、TIBFを見劣りさせている。今回からは、開催日を1日ずらして別会場で開かれたが、10年にはグーグルの出展、今年は楽天koboの発売など、その話題性の高さに、会場には多くの関係者が訪れた。とくに、同時開催していた昨年までは、ネット関連業者が訪れたため来場者の質が変わり、もはや電子出版フェアではないかともいわれるほどだった。  来年、20回目という節目を迎えるTIBF。出展社の多くから、1年に1度のお祭りをやめよとまでの意見は出ていない。ただ、出版産業の変遷に対応した新しいブックフェアの模索も同時に必要となる。主催者に課せられた宿題は難しいかもしれないが、新たなメリットの創出を早期に望む。 (文・写真=碇 泰三) ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) 山本一郎「警察庁がぱちんこ営業のグレーゾーンに全力できた」 宝くじ利権をしっかり組み込んだ総務省とみずほ銀行 逮捕もされない!?ネット犯罪予告で成功する方法とは? 円をアメリカに流す!? アフラックの経営姿勢にかみついたダイヤモンド サイフは親!“賢い”女子たちが切り開く親孝行マーケット アップル元社員「ジョブズは他人の成果を自分のものに…」 上層部の保守的なムードにうんざり ソニー社員は阿鼻叫喚

本がない!? 東京国際ブックフェアで見えたどん底の出版業界

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一見すると盛況の様子だが……。
 7月5日~8日に東京・有明の東京ビッグサイトで開かれた東京国際ブックフェア(TIBF)。各出版社が本の展示や著作権取引などを目的に出店し、2010年は世界25カ国から984社が出展、今年で19回目を迎えた同フェアだが、出展する出版関係者の間では、ある“異変”が囁かれた。 「事前に文藝春秋、筑摩書房、中央公論新社など名だたる出版社が出ないことは聞いていた。しかし、会場に来て驚いたのは、大手が出店していないどころか、文芸書は河出書房新社、語学書は白水社、ビジネス書は明日香出版社と、それぞれのジャンルに1社しか出ていなかったんです」  そう驚くのは、何年も出展してきた人文・社会科学系の出版社の営業担当者だ。ここ数年、単独ブースで出展する出版社が減少してきていると言われてきたが、今年のありさまは例年にないほどひどいものだった。  どれだけ出版社が少なかったのか。TIBFの会場図(PDF)を見てもらえれば一目瞭然だ。さすがに業界トップスリーの講談社、小学館、集英社は出展していた。しかし、ブースの規模も展示内容も以前に比べて華やかさに欠けた上に、総合出版社である小学館は児童書ゾーンでブースを展開するのみ。ハースト婦人画報社、徳間書店も会社の規模に見合わない小ブース。さらに、河出書房新社1社と同じ広さのブースに角川グループ関連10社がまとまって出展している。会場図をご覧になった読者の皆様に伺いたい。果たして、ご存じの出版社がどれほどあったのかと。  ある出展社の担当者は「弊社のブースに来られた一般読者の方に『新潮社のブースはどこか』と聞かれ、残念ながら今回も出展していませんと答えると、がっかりした様子で去って行きました」と話す。こうした趣旨の問い合わせは、たびたびあったという。  そんな状況下で唯一救いだったのが、人文・社会科学書のゾーンだ。岩波書店、平凡社、みすず書房、国書刊行会、吉川弘文館、東京大学出版会といった版元が単独出展したほか、大学出版部協会、歴史書懇話会、国語・国文学出版会などの団体による出展もあった。一般客にとっての初日となった7日には、「書物復権8社の会」のブースに長蛇の列ができていた(写真)。  なぜ著名な出版社の出展が少なかったのか。そのひとつの要因が、2011年の東日本大震災に際し運営と出版社の間で起こったトラブルだと指摘するのは、出展する老舗出版社の営業担当者。 「11年は大震災のため、出展を予定していた出版社が見合わせる、いわゆる自粛ムードがあった。しかし、キャンセル料が発生するため、主催者と多少のトラブルがあったようだ。それに抗議する意味で、今年の出展を見合わせた社もあったのではないか」  また、別の出展社社員は「出版社が共同のブースで出展することに、主催者側が様々な注文を付けてきた。ブース内での公開セミナーについても、色々と内容ややり方を制限するようなことを言われた。その交渉が嫌になって、今回は見送った共同ブースもあるようだ」と話す。  しかし、この手のトラブルはたびたび発生するもので、その影響は短期的なものであろう。問題なのは、ここ数年の出版社による単独ブースでの出展だ。減少傾向にある原因を、中小出版社の営業担当者はこう語る。 「同フェアに出展するメリットが見えないのが本当の問題だろう。かつて、海外の出版社向けに出版物の版権販売を行う場という名目で東京国際ブックフェアは開かれてきた。しかし昨今では、すでにTIBFが開かれる頃には海外出版社との版権交渉は済んでおり、今更、TIBFで交渉する必要もなくなった。そのため、版権の売買を求める旨のプレートをブースに掲げる出展社もほとんどなくなった」  たしかにTIBFのスタート時は、世界最大のブックフェアと言われるドイツの「フランクフルトブックフェア」をみならって、版権売買の場であった。しかし、先述のような状況になり、その機能は薄れていった。これではいけないと、主催者が次に掲げたのが書店と出版社との「商談会」の場という機能だ。  しかし、ある中堅出版社の営業担当者は「商談会がスタートした頃は、弊社も取り組んでいたが、会場に来るのは現場の担当者ではなく、役員や社長クラスが多かった。発注権限がある店舗の担当者が少なく、出展費用と効果を考えると、営業マンが地方に出張して注文を取ってきた方がはるかに効果的だ。それに加えて最近、首都圏と大阪で書店主導による商談会というものも始まった。それが今年は九州地区にも広まった。多くの出版社は、商談会はここでと考えている。というのも、出展費用がケタ違いに安いからだ」  一方で、こんな意見もある。 「番線印(本を発注するために必要な印鑑のようなもの)を持ってきた書店さんもいた。こうした書店さんの来場が増えれば、商談会の場として会を行う意味はある。だが、今回はそうした人は極少数だった。とくに最近は書店業界も疲弊していて、地方の書店さんは2年に1度など訪れる頻度が少なくなり、送りこむ書店員の数も減らしている」(出展出版社のブース担当者)  商談会を行う出展社がなくなったわけではない。アスク出版のような直取引(卸会社を通さず、自ら書店に配本する取引)出版社にとっては、訪れた書店員との商談にこそ出展する意味がある。しかし、そうしたブースは少数派になってしまった。今では、ほとんどのブースが在庫一掃セールを目的とした「安売り市」化してしまった。  それが悪いというのではない。1年に1度、定価販売が法律で定められている本が2割引きなどで安く買えるという意味では、読者サービスの一環の活動といえる。しかし、安売りするのがTIBFの目的なのだろうか。そう考える出版社が、そこにメリットがあると考えて、出展し続けていくのならそれもいいだろう。だが、多くの出版社が安売り市のために出展するメリットは少ないと考えているからこそ、出版社の出展が激減しているのではないだろうか。
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 加えて、近年の電子出版EXPOの華々しさも、TIBFを見劣りさせている。今回からは、開催日を1日ずらして別会場で開かれたが、10年にはグーグルの出展、今年は楽天koboの発売など、その話題性の高さに、会場には多くの関係者が訪れた。とくに、同時開催していた昨年までは、ネット関連業者が訪れたため来場者の質が変わり、もはや電子出版フェアではないかともいわれるほどだった。  来年、20回目という節目を迎えるTIBF。出展社の多くから、1年に1度のお祭りをやめよとまでの意見は出ていない。ただ、出版産業の変遷に対応した新しいブックフェアの模索も同時に必要となる。主催者に課せられた宿題は難しいかもしれないが、新たなメリットの創出を早期に望む。 (文・写真=碇 泰三) ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) 山本一郎「警察庁がぱちんこ営業のグレーゾーンに全力できた」 宝くじ利権をしっかり組み込んだ総務省とみずほ銀行 逮捕もされない!?ネット犯罪予告で成功する方法とは? 円をアメリカに流す!? アフラックの経営姿勢にかみついたダイヤモンド サイフは親!“賢い”女子たちが切り開く親孝行マーケット アップル元社員「ジョブズは他人の成果を自分のものに…」 上層部の保守的なムードにうんざり ソニー社員は阿鼻叫喚

アップル元社員「ジョブズは他人の成果を自分のものに…」

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アップル元CEOのスティーブ・ジョブズ。
(「ウィキペディア」より)
「デザインを先に考え、そこからまったく妥協しないで製品化していく」 「ジョブズは“嫌なヤツ”です」  数々のヒット商品を生み出してきたアップル、そして創業者の故スティーブ・ジョブズを、神様のように畏敬の念をもって崇める人々は多い。しかし、その等身大の姿は、今もって明かされていない部分も多い。 「アップル強さの秘密はなんなのか?」  「世界市場における地位低下が叫ばれる日本メーカーとの、根本的な違いはなんなのか?」 そして、 「ジョブズ亡き後の、アップルの懸念材料とは?」    前回(http://biz-journal.jp/2012/07/post_416.html)に引き続き、4月に発売された『僕がアップルで学んだこと』(アスキー新書)(http://www.amazon.co.jp/dp/4048865390)の著者で、元アップル米国本社シニアマネージャーの松井博氏に話を聞いた。 ――製品のクリエイティブ面では、やはりジョブズのトップダウンが大きかったのでしょうか? 松井 そこは本当にそうなのか? と思うところもあります。スティーブは誰かが良いことを言うと、全部自分のものとしてしまう人でしたから。数々の伝説のいくつかは、眉唾なのではないかと思うものもあります。彼が「こういう方向に行こうよ」と考えたときには、必ずそれを実現してくれるジョナサン・アイブ(デザイナー)が傍らにいた。ジョナサンが率いるデザイナー・チームは、あちこちで賞を取っているような名だたるデザイナーを世界中から集め、どの会社でもよだれが出るほど欲しい人材が、ごっそりそこで働いていました。彼らの仕事場はパーテーションで仕切られたオフィスや個室ではなく、だだっ広い学校の教室みたいところでした。そこで試作品をつくっては、皆で批評し合うというカルチャー。もともと優れているから、それだけすごいデザインのものが出来上がるわけです。ただ、彼らはエンジニアではないから、実現性を度外視したものが出来上がる。「これ、無理だろ」みたいな。例えば、MacBook Airは異常に薄いでしょ? しかも全部金属で、内蔵アンテナも入っています。しかし、アンテナを金属で覆えば、電波は入りにくくなる。放熱にしても、金属は熱伝導が高いから、使っているとすぐに熱くなってしまう。プラスチックを使えばぜんぜん楽なのですが、そうしない。最初に全部金属だと決めてしまうんです。だから排熱の穴はほとんどない。結局、モニタから熱を逃がしているわけですが、そうした仕組みをどうにか考えなければならない。普通ならファンをつけて熱を出せばいいのですが、それをやらせてもらえない。どうにかして最初のデザインのまま、製品化するのです。 ――つまり、ユーザーに受け入れられるデザインを決めて、そこからブレないわけですね。 松井 そうです。エンジニアがつくりやすいものではなくて、お客さんが使いやすいもの。そうしたデザインを先に考える。そこからまったく妥協しないで製品化していく。そこが強いところですね。かつて私が日本のメーカーに勤めていた時には、「強度がない場合はネジを増やそう」という話がすぐに出てくるわけです。しかし、ネジを増やすとカッコ悪くなる。しかも集密度が高い基板の中にネジ穴をつくるだけでも、すごく大変なんです。ネジなんかないほうがいいに決まっている。ネジを使うというのは、実は安直な解決方法なのです。ネジのいらないボディをつくることは、すごく正しい。ただ、正しいけど前例がないから、つくるのは大変です。正しいとは思っても、なかなかできない。アップルは先に決めてしまうのです。だから、やらなきゃいけない。日本企業だと、できないからネジを使って、最初のコンセプトからズレてしまう。自動車メーカーがよく自動車ショーで格好いいコンセプトカーを展示していますよね。でも、何年後かに商品化されると、かつてのコンセプトカーとはまったく別物になっている。アップルは最初のコンセプトに忠実につくる。「コンセプトカーと商品は別物」という会社ではないんです。 ジョブズの考えは必ず実現 ――なぜ日本企業は、それができないんでしょうか? 松井 日本はサラリーマン社長だからだと思います。怖くて、そんな大きなリスクを取れないのです。「これで失敗したら、何と非難されるのか?」を先に考えてしまう。創業社長は、そこが強いと思います。アップルは、スティーブの考えたことを必ず実現させるという意識が、下のほうまで浸透している。100名超いた僕の部署でも、実績が上がればいい転職もできるから、何がなんでも実績を出したい。マネージャーも皆そう思っていますから、少々のリスクは厭わない。上から下までそんな感じです。一方で、失敗に寛容なところもあります。「コケても、次でなんとかすればいい」という空気です。会社だって、よほど悲惨な失敗をしない限り、辞めさせられることはなかなかありませんから。 ――アップルは、人材マネジメントという面で、何か意識して工夫している点はあるのでしょうか? 松井 社員一人ひとりに、「競争させる」「責任を負わせる」「タスクを定義して、やることを決める」ということです。いわば、自分で仕事にコミットさせて、きちんと責任を取らせる。順当に実績を積んでいけば、次のステップで「自分はこうやりたい」と言えば、その希望はかないます。ヒラ社員でもチャレンジをうまくこなしていくことで、だんだんと上に行ける。できるヤツとできないヤツとでは、給与の差もすさまじい。例えば、ボーナスの原資は各部署で決まっているわけですから、皆に均等に分けるのではなく、できるヤツにドンと渡す。良い仕事をしていれば、たくさんもらえるし、パッとしないと常にボーナスはもらえない。昇給も予算枠があるので、できるヤツは上がるし、ダメな人はずっとダメ。会社に入ってしまえば、大卒、高卒も関係なく、実績のみで評価されるという世界です。 ――なぜアップルには優秀な人材が集まるのでしょうか? 松井 それは面白いことをやらせてくれるからでしょう。例えば、物流の専門家だとすれば、アップルのヒット商品ともなれば、何千万台、何億台と売っているわけです。それだけのモノを動かすことは、物流をやっている人たちにとっても、それこそ一生で何度も出会える仕事ではありません。アップルには、そうしたスケールの大きな仕事が普通にある。やってみたいと思う人は来ますよね。 ――ジョブズ亡き後、アップルの懸念材料とは何でしょうか? 松井 やはり社内政治でしょうね。現CEOのティム・クックが社内カルチャーを変えていくかもしれませんが、スティーブ自身は良くも悪くも政治的な人でした。そうした政治的な要素が下まで浸透しているので、それが今後、吉と出るか凶と出るか、まさに両刃の剣といえるでしょう。また、前述のジョナサン・アイブがもし辞めたらどうなるだろう、ということも考えますね。アップルには2種類の天才がいるんですが、1種類目の天才はスティーブ・ジョブズやジョナサン・アイブといった、何かとんでもないことを考えつくヤツら。そしてもう1種類の天才が、それを製品化できるヤツらなんです。後者は表舞台にこそ出てきませんが、あり得ないくらいすごい人たちなんです。どちらが欠けてもダメなんですが、魅力ある商品をつくって世の中に出すという力は、今も衰えていない。しかし、ジョナサンはジョブズのいいパートナーだったので、ジョブズ亡き今、何かしらの変化が起こり得るのかなという気もします。あのふたりはいつも一緒に飯を食べていましたから。クリエイティブを起こすパワーは、少し減少するのかなという懸念を感じます。ティム・クックはプロフェッショナルな働き者です。怒ったりもしないし、感情を表に決して出さない。ただ、いい加減なことを言っていると、泣くまでそいつを追い詰めるタイプですね。ジョブズは、伝記にある通り、ある意味では“嫌なヤツ”です。 ソニーやパナソニックは眼中にない ――アップルにとって、ソニーやパナソニックなどの日本メーカーはどう映っていますか? 松井 昔はアップルのほうが「追いつき追い越せ」でしたが、今はもう眼中に入っていません。かつて私も、日本メーカーの携帯電話やミュージックプレイヤーを片っ端から買って、本社に持って帰って分解していました。その数も100や200では収まらない。そうやって得た情報を社内に出せば、上から下まで技術オタクばかりですから、すぐに食いついてくるわけです。しかし、iPhoneを出した頃からは、ライバルから「一部品メーカー」になったという感じです。部品メーカーとして納期は必ず守るし、品質も高いし、コミットしたことは必ず守るから、頼りになる存在ではあります。しかしライバルではない。今は、競合商品を分析することもしなくなったと思います。 ――今後、日本メーカーはどうすれば復活できるとお考えですか? 松井 もっと簡単な仕事を、きちんとやればいいと考えています。例えば、ソニーは、米国の量販店を覗くと、日本でまったく流通していない商品が売られている。ヨーロッパでも同じ。一体ソニーは全世界で何種類の製品つくっているのか、ウェブサイトで数を数えたことがありますが、途中で挫折してしまった。なぜなら、日本だけで180くらいあり、それが欧米やアジアといった地域ごとでも分かれていて、数えきれなかったからです。これは、人的/資金的リソースを無駄遣いしているということなのです。アップルだけではなく、成功している海外の会社は、アマゾンでもエクソン・モービルでも、世界で同じ商品・サービスを提供しているわけです。 ――日本企業も、世界共通のビジネスを展開すべきだということでしょうか? 松井 そうです。日本の会社は地域によって、ビジネスの仕方を変え過ぎです。アップルは「どこの国でも売れる製品をひとつつくろう」と思ってやっています。日本企業は地域ごとに違う製品をつくっている。だからスケールメリットが出にくい。ひとつの製品が50万台売れるほうが原価率もぐんと下げられるし、工場のラインも一本で済む。それには多様な視点を持った人材が必要です。日本企業は、社内教育で一種類の視点しか持ち得ない人間をつくってしまいがちです。先輩のやったことを踏襲すればいい。そうしたメンタリティでいると、革新的なものはできなくなるのではないでしょうか。冒険したい人間がいると、社内で異端児扱いされる。これからは、企業の中にもっと多様な視点を持った人材を確保することが必要だと思います。 (構成=國貞文隆) ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) 上層部の保守的なムードにうんざり ソニー社員は阿鼻叫喚 スマホ対応炊飯器にナノイー搭載テレビ…パナソニック社員はもう限界! ヤマダ電機からの"横流し"も日常茶飯事!? 家電販売のいま サムスンLG社員「ソニー社員“引き抜き”年収は1億円!?」 【検証】プレステ、PSNで、ソニーの業績回復なるか? 釈ちゃんを15年支えた芸能マネージャーのビジネス術とは? 今晩スペイン戦 日本人好みの“走るサッカー”では勝てない!

アップル元社員「ジョブズは他人の成果を自分のものに…」

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アップル元CEOのスティーブ・ジョブズ。
(「ウィキペディア」より)
「デザインを先に考え、そこからまったく妥協しないで製品化していく」 「ジョブズは“嫌なヤツ”です」  数々のヒット商品を生み出してきたアップル、そして創業者の故スティーブ・ジョブズを、神様のように畏敬の念をもって崇める人々は多い。しかし、その等身大の姿は、今もって明かされていない部分も多い。 「アップル強さの秘密はなんなのか?」  「世界市場における地位低下が叫ばれる日本メーカーとの、根本的な違いはなんなのか?」 そして、 「ジョブズ亡き後の、アップルの懸念材料とは?」    前回(http://biz-journal.jp/2012/07/post_416.html)に引き続き、4月に発売された『僕がアップルで学んだこと』(アスキー新書)(http://www.amazon.co.jp/dp/4048865390)の著者で、元アップル米国本社シニアマネージャーの松井博氏に話を聞いた。 ――製品のクリエイティブ面では、やはりジョブズのトップダウンが大きかったのでしょうか? 松井 そこは本当にそうなのか? と思うところもあります。スティーブは誰かが良いことを言うと、全部自分のものとしてしまう人でしたから。数々の伝説のいくつかは、眉唾なのではないかと思うものもあります。彼が「こういう方向に行こうよ」と考えたときには、必ずそれを実現してくれるジョナサン・アイブ(デザイナー)が傍らにいた。ジョナサンが率いるデザイナー・チームは、あちこちで賞を取っているような名だたるデザイナーを世界中から集め、どの会社でもよだれが出るほど欲しい人材が、ごっそりそこで働いていました。彼らの仕事場はパーテーションで仕切られたオフィスや個室ではなく、だだっ広い学校の教室みたいところでした。そこで試作品をつくっては、皆で批評し合うというカルチャー。もともと優れているから、それだけすごいデザインのものが出来上がるわけです。ただ、彼らはエンジニアではないから、実現性を度外視したものが出来上がる。「これ、無理だろ」みたいな。例えば、MacBook Airは異常に薄いでしょ? しかも全部金属で、内蔵アンテナも入っています。しかし、アンテナを金属で覆えば、電波は入りにくくなる。放熱にしても、金属は熱伝導が高いから、使っているとすぐに熱くなってしまう。プラスチックを使えばぜんぜん楽なのですが、そうしない。最初に全部金属だと決めてしまうんです。だから排熱の穴はほとんどない。結局、モニタから熱を逃がしているわけですが、そうした仕組みをどうにか考えなければならない。普通ならファンをつけて熱を出せばいいのですが、それをやらせてもらえない。どうにかして最初のデザインのまま、製品化するのです。 ――つまり、ユーザーに受け入れられるデザインを決めて、そこからブレないわけですね。 松井 そうです。エンジニアがつくりやすいものではなくて、お客さんが使いやすいもの。そうしたデザインを先に考える。そこからまったく妥協しないで製品化していく。そこが強いところですね。かつて私が日本のメーカーに勤めていた時には、「強度がない場合はネジを増やそう」という話がすぐに出てくるわけです。しかし、ネジを増やすとカッコ悪くなる。しかも集密度が高い基板の中にネジ穴をつくるだけでも、すごく大変なんです。ネジなんかないほうがいいに決まっている。ネジを使うというのは、実は安直な解決方法なのです。ネジのいらないボディをつくることは、すごく正しい。ただ、正しいけど前例がないから、つくるのは大変です。正しいとは思っても、なかなかできない。アップルは先に決めてしまうのです。だから、やらなきゃいけない。日本企業だと、できないからネジを使って、最初のコンセプトからズレてしまう。自動車メーカーがよく自動車ショーで格好いいコンセプトカーを展示していますよね。でも、何年後かに商品化されると、かつてのコンセプトカーとはまったく別物になっている。アップルは最初のコンセプトに忠実につくる。「コンセプトカーと商品は別物」という会社ではないんです。 ジョブズの考えは必ず実現 ――なぜ日本企業は、それができないんでしょうか? 松井 日本はサラリーマン社長だからだと思います。怖くて、そんな大きなリスクを取れないのです。「これで失敗したら、何と非難されるのか?」を先に考えてしまう。創業社長は、そこが強いと思います。アップルは、スティーブの考えたことを必ず実現させるという意識が、下のほうまで浸透している。100名超いた僕の部署でも、実績が上がればいい転職もできるから、何がなんでも実績を出したい。マネージャーも皆そう思っていますから、少々のリスクは厭わない。上から下までそんな感じです。一方で、失敗に寛容なところもあります。「コケても、次でなんとかすればいい」という空気です。会社だって、よほど悲惨な失敗をしない限り、辞めさせられることはなかなかありませんから。 ――アップルは、人材マネジメントという面で、何か意識して工夫している点はあるのでしょうか? 松井 社員一人ひとりに、「競争させる」「責任を負わせる」「タスクを定義して、やることを決める」ということです。いわば、自分で仕事にコミットさせて、きちんと責任を取らせる。順当に実績を積んでいけば、次のステップで「自分はこうやりたい」と言えば、その希望はかないます。ヒラ社員でもチャレンジをうまくこなしていくことで、だんだんと上に行ける。できるヤツとできないヤツとでは、給与の差もすさまじい。例えば、ボーナスの原資は各部署で決まっているわけですから、皆に均等に分けるのではなく、できるヤツにドンと渡す。良い仕事をしていれば、たくさんもらえるし、パッとしないと常にボーナスはもらえない。昇給も予算枠があるので、できるヤツは上がるし、ダメな人はずっとダメ。会社に入ってしまえば、大卒、高卒も関係なく、実績のみで評価されるという世界です。 ――なぜアップルには優秀な人材が集まるのでしょうか? 松井 それは面白いことをやらせてくれるからでしょう。例えば、物流の専門家だとすれば、アップルのヒット商品ともなれば、何千万台、何億台と売っているわけです。それだけのモノを動かすことは、物流をやっている人たちにとっても、それこそ一生で何度も出会える仕事ではありません。アップルには、そうしたスケールの大きな仕事が普通にある。やってみたいと思う人は来ますよね。 ――ジョブズ亡き後、アップルの懸念材料とは何でしょうか? 松井 やはり社内政治でしょうね。現CEOのティム・クックが社内カルチャーを変えていくかもしれませんが、スティーブ自身は良くも悪くも政治的な人でした。そうした政治的な要素が下まで浸透しているので、それが今後、吉と出るか凶と出るか、まさに両刃の剣といえるでしょう。また、前述のジョナサン・アイブがもし辞めたらどうなるだろう、ということも考えますね。アップルには2種類の天才がいるんですが、1種類目の天才はスティーブ・ジョブズやジョナサン・アイブといった、何かとんでもないことを考えつくヤツら。そしてもう1種類の天才が、それを製品化できるヤツらなんです。後者は表舞台にこそ出てきませんが、あり得ないくらいすごい人たちなんです。どちらが欠けてもダメなんですが、魅力ある商品をつくって世の中に出すという力は、今も衰えていない。しかし、ジョナサンはジョブズのいいパートナーだったので、ジョブズ亡き今、何かしらの変化が起こり得るのかなという気もします。あのふたりはいつも一緒に飯を食べていましたから。クリエイティブを起こすパワーは、少し減少するのかなという懸念を感じます。ティム・クックはプロフェッショナルな働き者です。怒ったりもしないし、感情を表に決して出さない。ただ、いい加減なことを言っていると、泣くまでそいつを追い詰めるタイプですね。ジョブズは、伝記にある通り、ある意味では“嫌なヤツ”です。 ソニーやパナソニックは眼中にない ――アップルにとって、ソニーやパナソニックなどの日本メーカーはどう映っていますか? 松井 昔はアップルのほうが「追いつき追い越せ」でしたが、今はもう眼中に入っていません。かつて私も、日本メーカーの携帯電話やミュージックプレイヤーを片っ端から買って、本社に持って帰って分解していました。その数も100や200では収まらない。そうやって得た情報を社内に出せば、上から下まで技術オタクばかりですから、すぐに食いついてくるわけです。しかし、iPhoneを出した頃からは、ライバルから「一部品メーカー」になったという感じです。部品メーカーとして納期は必ず守るし、品質も高いし、コミットしたことは必ず守るから、頼りになる存在ではあります。しかしライバルではない。今は、競合商品を分析することもしなくなったと思います。 ――今後、日本メーカーはどうすれば復活できるとお考えですか? 松井 もっと簡単な仕事を、きちんとやればいいと考えています。例えば、ソニーは、米国の量販店を覗くと、日本でまったく流通していない商品が売られている。ヨーロッパでも同じ。一体ソニーは全世界で何種類の製品つくっているのか、ウェブサイトで数を数えたことがありますが、途中で挫折してしまった。なぜなら、日本だけで180くらいあり、それが欧米やアジアといった地域ごとでも分かれていて、数えきれなかったからです。これは、人的/資金的リソースを無駄遣いしているということなのです。アップルだけではなく、成功している海外の会社は、アマゾンでもエクソン・モービルでも、世界で同じ商品・サービスを提供しているわけです。 ――日本企業も、世界共通のビジネスを展開すべきだということでしょうか? 松井 そうです。日本の会社は地域によって、ビジネスの仕方を変え過ぎです。アップルは「どこの国でも売れる製品をひとつつくろう」と思ってやっています。日本企業は地域ごとに違う製品をつくっている。だからスケールメリットが出にくい。ひとつの製品が50万台売れるほうが原価率もぐんと下げられるし、工場のラインも一本で済む。それには多様な視点を持った人材が必要です。日本企業は、社内教育で一種類の視点しか持ち得ない人間をつくってしまいがちです。先輩のやったことを踏襲すればいい。そうしたメンタリティでいると、革新的なものはできなくなるのではないでしょうか。冒険したい人間がいると、社内で異端児扱いされる。これからは、企業の中にもっと多様な視点を持った人材を確保することが必要だと思います。 (構成=國貞文隆) ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) 上層部の保守的なムードにうんざり ソニー社員は阿鼻叫喚 スマホ対応炊飯器にナノイー搭載テレビ…パナソニック社員はもう限界! ヤマダ電機からの"横流し"も日常茶飯事!? 家電販売のいま サムスンLG社員「ソニー社員“引き抜き”年収は1億円!?」 【検証】プレステ、PSNで、ソニーの業績回復なるか? 釈ちゃんを15年支えた芸能マネージャーのビジネス術とは? 今晩スペイン戦 日本人好みの“走るサッカー”では勝てない!

釈ちゃんを15年支えた芸能マネージャーのビジネス術とは?

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グラビアアイドル時代よりもさらに
進化した釈由美子が見られる !?
(『I am 釈由美子写真集』より)
 デビュー15周年を迎えて……と聞いて「エッ!? もうそんなにたっちゃうの?」と驚かれた方も多いことと思うが、女優の釈由美子が、来る8月30日に10年ぶりの水着写真集『I am 釈由美子写真集』(学研パブリッシング)を発売することを発表した。撮影場所はタイ有数のリゾート地・クラビ。実に34歳という年齢ではあり得ない健康的なナイスバディを惜しげもなく披露。2万にも及ぶショットから厳選されたカットが満載で、彼女の15年という芸歴が凝縮されたような1冊になっている。とはいえ15年という経年を全く感じさせないところも、さすがというほかはないのだが……!  さて、浮き沈みの激しい芸能界でひと口に15年といっても、それは並大抵の時間ではない。逆にいえば10年以上も芸能界で生き残ること、活動を続けられることはまれなのだ。もちろん本人の才能と努力もあるが、女優を陰で支えるスタッフの存在が大きいことは言うまでもない。  そこで、釈由美子デビュー15周年および10年ぶりの水着写真集の発売に際して、彼女の所属事務所であるトミーズアーティストカンパニーのチーフマネージャー、熊谷修宏氏(41)に話を聞いた。釈由美子と共に過ごした事務所の15年はもちろん、知られざるマネージャーという仕事の中身や仕事術、ビジネスに生かせるノウハウなど、話は多岐にわたったので、これから数回に分けて紹介していこう。 釈ちゃんの15年は熊谷氏の15年  熊谷氏は先述の通り、釈の所属事務所のスタッフのひとりで、マネージャー数名を束ねるチーフ。デビュー当時から釈の営業を行っており、彼女の15年は、まさに熊谷氏の15年ともいえる。  10年ぶりの水着写真集については「釈のデビュー当時からのファンに聞いたんです。『記念に何をしたらよいですか?』と。そうしたら『イベントで本人に会いたい』『写真集を出してほしい』という意見が多かったりと、いろいろな偶然が重なって、こういう結果を生んだんです」(熊谷氏)  その熊谷氏のスタートは実はマネージャーではなく、いわゆる“スカウトマン”だったという。スカウトマンとは文字通り、その辺を歩いている“普通の女の子や男の子”に声をかけ、芸能界に誘う仕事である。
独特の名刺・スケジュール管理法でも
知られる熊谷氏。そのテクニックは、
次回以降の当コラムで公開していく。
「もともとは、あまり人と話すことが得意じゃないというか、苦手だったんです。ただ、大学の学生寮でいろいろな大学の先輩に恵まれて、その中にいた早稲田の先輩が当時『Hot-Dog PRESS』(講談社/現在休刊)で読者モデルを集めるアルバイトをしていたんです。その方に『手伝ってもらえないか? 』と言われて始めたのが、人生初のスカウトでした。最初は話しかけてもなかなか聞いてもらえず大変だったんですが、あるとき銀座のOLに声をかけて、その方はダメだったんですけど、『スカウトがんばってくださいね』と言われたんです。そう言われたときに、すごいやりがいを感じたというか……それからスカウトに前向きになりましたね」(同) スカウトのクラスは、事務所のバリューで決まる  確かに、我々も普段仕事をしている中で、見知らぬ人に「がんばって」と声をかけられることなど、ほとんどない。一見、なんでもないそのひと言に強く励まされたという熊谷氏、以降は読者モデルから、イベントコンパニオン、レースクイーンまで、さまざまな女の子をスカウトしていく。スカウトにはA〜Dクラスがあり、そのクラス分けはスカウトした女の子が所属することになる事務所のバリューや、そこからスカウトに支払われる紹介金の額面で決まるという。 「最初はBとかCだったんですけど、だんだん欲が出て。Aクラスの扱いを受けられる女の子をスカウトしようとがんばろうと思いました。そのためには、しっかりとしたタレント事務所に籍を置いた上でスカウトしたいと思い、自分から事務所に電話をして、スカウトマンをさせてほしいと営業をかけたんです。何十社か電話したんですけど、たまたまそのうちの1社のズーム・リパブリックの方が『うちでやらないか?』と言ってくださって、そこでスカウトマンをすることになりました。その事務所の方が、たまたま母校が同じ明治大学でもあり、今の会社の社長と知り合いで、後に僕を紹介してくれることになったんですけど……スカウトをやっていなかったらこの業界には入っていませんでしたね」(同) ガス器具メーカーから芸能マネージャーへの転身  “今の会社の社長”とは、トミーズアーティストカンパニーの代表取締役社長・小林謙治氏のこと。小林氏は“トミーさん”のニックネームで親しまれ、元ジャニーズのダンサー・振付師という素敵な経歴の持ち主だけあり、齢50を過ぎてなおイケメンであり続ける社長。かつて国際派女優の工藤夕貴を育て、「あたし、脱いでもすごいんです」の名キャッチフレーズで一世を風靡した北浦共笑を輩出。そして釈由美子、山本梓を世に送った芸能界きっての名士でもある。大学卒業後、熊谷氏もすぐにその門戸を叩いたのかと思いきや、意外にも最初の就職先はガス器具メーカーの老舗・リンナイだったという。 「先の明治大学の先輩のもとで、ズーム・リパブリックの名刺を作ってもらって1年半くらいスカウトをしていたんですけど、就職活動を始めようとした時に、事務所の方から『芸能事務所はやめたほうがいい』と言われました。なぜかというと、まず日本のビジネス構造においては、一番上にメーカー、その次に流通がありきで、その後にマスコミ、芸能界があるから、まずメーカーで勉強しなさいと言われて、大学卒業後はリンナイに入りました。そこに約2年いたのですが、日本の社会や経済の構造を知る上で、すごく勉強になりましたね。その後、トミーズアーティストカンパニーに入ってからも、広告代理店があって、広告収入の比重が大きい芸能界があってと……だからトミーズカンパニーでも、自分の担当するタレントが、企業のイメージキャラクターになった時に、“日本と初めてつながった”という感覚がありました。今も、メーカーにいたことが役立っているとの思いはあります。まずメーカーがあって、日本が成り立っているというところから芸能界を考えられるようになった部分もありますし」(同)  なるほど、芸能界といえど、あくまでもビジネスの世界。釈由美子の15年も、そんな熊谷氏をはじめとするトミーズアーティストカンパニーという一企業の理念に支えられているのかもしれない。  それでは次回は、気になる“スカウト術”に肉迫してみよう。ビジネスはもちろんだが、ナンパや合コンにも役に立つかも……! (構成=岩佐陽一) ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) なぜ“汎用技術”iPodはヒットしたのか? ケータイ、キャバクラ、株含み益…失敗する経営者の“条件” 小さくてもいいじゃん!豊胸手術で乳がん検診が受けられない? 駅のゴミ箱が復活しないのは、経費削減のため? GREE、DeNAは新しい“卓越した”コンプガチャを生む 敵はジャパネット? ヤマダ電機会長、ジリ貧の焦り 厚労省が、禁断の被生活保護者一斉調査を断行

釈ちゃんを15年支えた芸能マネージャーのビジネス術とは?

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グラビアアイドル時代よりもさらに
進化した釈由美子が見られる !?
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独特の名刺・スケジュール管理法でも
知られる熊谷氏。そのテクニックは、
次回以降の当コラムで公開していく。
「もともとは、あまり人と話すことが得意じゃないというか、苦手だったんです。ただ、大学の学生寮でいろいろな大学の先輩に恵まれて、その中にいた早稲田の先輩が当時『Hot-Dog PRESS』(講談社/現在休刊)で読者モデルを集めるアルバイトをしていたんです。その方に『手伝ってもらえないか? 』と言われて始めたのが、人生初のスカウトでした。最初は話しかけてもなかなか聞いてもらえず大変だったんですが、あるとき銀座のOLに声をかけて、その方はダメだったんですけど、『スカウトがんばってくださいね』と言われたんです。そう言われたときに、すごいやりがいを感じたというか……それからスカウトに前向きになりましたね」(同) スカウトのクラスは、事務所のバリューで決まる  確かに、我々も普段仕事をしている中で、見知らぬ人に「がんばって」と声をかけられることなど、ほとんどない。一見、なんでもないそのひと言に強く励まされたという熊谷氏、以降は読者モデルから、イベントコンパニオン、レースクイーンまで、さまざまな女の子をスカウトしていく。スカウトにはA〜Dクラスがあり、そのクラス分けはスカウトした女の子が所属することになる事務所のバリューや、そこからスカウトに支払われる紹介金の額面で決まるという。 「最初はBとかCだったんですけど、だんだん欲が出て。Aクラスの扱いを受けられる女の子をスカウトしようとがんばろうと思いました。そのためには、しっかりとしたタレント事務所に籍を置いた上でスカウトしたいと思い、自分から事務所に電話をして、スカウトマンをさせてほしいと営業をかけたんです。何十社か電話したんですけど、たまたまそのうちの1社のズーム・リパブリックの方が『うちでやらないか?』と言ってくださって、そこでスカウトマンをすることになりました。その事務所の方が、たまたま母校が同じ明治大学でもあり、今の会社の社長と知り合いで、後に僕を紹介してくれることになったんですけど……スカウトをやっていなかったらこの業界には入っていませんでしたね」(同) ガス器具メーカーから芸能マネージャーへの転身  “今の会社の社長”とは、トミーズアーティストカンパニーの代表取締役社長・小林謙治氏のこと。小林氏は“トミーさん”のニックネームで親しまれ、元ジャニーズのダンサー・振付師という素敵な経歴の持ち主だけあり、齢50を過ぎてなおイケメンであり続ける社長。かつて国際派女優の工藤夕貴を育て、「あたし、脱いでもすごいんです」の名キャッチフレーズで一世を風靡した北浦共笑を輩出。そして釈由美子、山本梓を世に送った芸能界きっての名士でもある。大学卒業後、熊谷氏もすぐにその門戸を叩いたのかと思いきや、意外にも最初の就職先はガス器具メーカーの老舗・リンナイだったという。 「先の明治大学の先輩のもとで、ズーム・リパブリックの名刺を作ってもらって1年半くらいスカウトをしていたんですけど、就職活動を始めようとした時に、事務所の方から『芸能事務所はやめたほうがいい』と言われました。なぜかというと、まず日本のビジネス構造においては、一番上にメーカー、その次に流通がありきで、その後にマスコミ、芸能界があるから、まずメーカーで勉強しなさいと言われて、大学卒業後はリンナイに入りました。そこに約2年いたのですが、日本の社会や経済の構造を知る上で、すごく勉強になりましたね。その後、トミーズアーティストカンパニーに入ってからも、広告代理店があって、広告収入の比重が大きい芸能界があってと……だからトミーズカンパニーでも、自分の担当するタレントが、企業のイメージキャラクターになった時に、“日本と初めてつながった”という感覚がありました。今も、メーカーにいたことが役立っているとの思いはあります。まずメーカーがあって、日本が成り立っているというところから芸能界を考えられるようになった部分もありますし」(同)  なるほど、芸能界といえど、あくまでもビジネスの世界。釈由美子の15年も、そんな熊谷氏をはじめとするトミーズアーティストカンパニーという一企業の理念に支えられているのかもしれない。  それでは次回は、気になる“スカウト術”に肉迫してみよう。ビジネスはもちろんだが、ナンパや合コンにも役に立つかも……! (構成=岩佐陽一) ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) なぜ“汎用技術”iPodはヒットしたのか? ケータイ、キャバクラ、株含み益…失敗する経営者の“条件” 小さくてもいいじゃん!豊胸手術で乳がん検診が受けられない? 駅のゴミ箱が復活しないのは、経費削減のため? GREE、DeNAは新しい“卓越した”コンプガチャを生む 敵はジャパネット? ヤマダ電機会長、ジリ貧の焦り 厚労省が、禁断の被生活保護者一斉調査を断行

なぜ“汎用技術”iPodはヒットしたのか?

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「Apple Store HP」より
 ゴールドマン・サックス証券、ベイン&カンパニーなどの複数の外資系金融機関やコンサルティング会社を経て、ライブドアに入社。あのニッポン放送買収を担当し、ライブドア証券副社長に就任。現在は、経営共創基盤(IGPI)で多くのITベンチャー企業のスタートアップ、事業開発、M&Aアドバイザリーに従事するのが、塩野誠氏である。  そんな塩野氏へのインタビューの模様を掲載した前回記事に引き続き、今回はその後編として、「アップルが強い理由」「日本企業苦戦の理由」「ベンチャー、ITサービス成功の秘訣」などについてお届けする。 ――ITサービス/ビジネスは、今後どのような方向に向かうのでしょうか? 塩野誠氏(以下、塩野) スマホとスマートデバイスの連携が進むと考えています。例えば、腕にリング状のデバイスを着けて、Bluetoothでスマホに飛ばす。そうすると自分の脈等のログを24時間ずっと取ることができます。このようなライフログ、医療系でのデータを手間暇かけないで取ることができて、そのデータに医療機関等がアクセスできれば、検査時間が短縮化され、かつ確実な医療が受けられるようになると思います。しかもデバイスがオシャレであれば、言うことなしですね。この「オシャレである」というのは、重要なファクターです。iPodの基本技術はどのメーカーでも持っていた一般的なものなのに、「iPodを持っているのがかっこいい」というマーケティングをして、アップルは大成功を収めたのですから、ハードのデザイン性は重要な要素なのです。ここに、実はベンチャー企業が成功するヒントがあるのです。 ――日本企業も、もっとオシャレさを追求すべきということでしょうか? 塩野 これまでのITや電機業界は、あえて単純化した言い方をすると、「独裁者・ジョブズ的なもの」対「合議制・日本メーカー的なもの」の戦いなのです。ジョブズという思想家が独裁してつくった製品は、デザインも機能もエッジが立っています。一方、合議制でモノづくりをしてきた日本メーカーは、マーケティング部があり、営業販売部があり、デザイン部があり、技術部があり、合議制の中でエッジーなアイディアをネガティブチェックしていくうちに、普通なものにしてしまうということの繰り返しをしてきました。「先輩が言ったから」とか、「上司が言ったから」とかいってエッジを削ぎ落としていった結果、極めて普通の製品になってしまったんですね。 iPhoneは粗利益率70% ――日本のモノづくりが苦戦しているのは、デザインや設計思想ですか? 塩野 そうです。今はベーシックな機能は、どのメーカーでも同じコモディティになってしまいました。すると、製品やサービスの根底にある思想やデザインにかけるリソースの違いが、「消費者が感じる価値」に変換されるようになりました。iPhoneは、電子機器製品として見ると、粗利益率が70%くらい取れているんです。でも、世界中で売れている。これは、デザインや設計思想の部分が、商品価値として評価されているということなんです。そういう意味においては、日本の合議制というモノづくりでは、機能で劣らないのに非常に負けが濃いんですね。 ――日本的企業経営が、時代にフィットしなくなってきたのでしょうか? 塩野 少なくともIT・インターネットを介したサービスや製品では、「合議制」で、「完全な製品」を、「いくつものバリエーション」で販売していこうとする日本企業のやり方は、時代にフィットしないようになりつつあると思います。アップルが成功したのは、ジョブズという独裁者が、「自分が欲しいと思う製品・サービスをつくったら、実はみんな欲しかった」というスーパーユーザーの発想です。製品数も少ないため粗利益率も高いわけです。でもこれは、ベンチャー企業そのものですよね。ベンチャーは思想家は経営トップひとりですから、「先輩に言われたから」とか、「社長の案件だから」とかはない。「そのサービスは、誰の何を解決しているサービスなのか」それをひたすら追求していけばいいわけです。 ベータ版でもリリースして、チューニングし続ける ――追求していく上で重要なポイントは? 塩野 現在のSNSでのサービスは、「Facebookログイン」「Twitterログイン」など、プラットフォームの上に乗っかったアプリとしてのサービスが中心です。しかし、プラットフォームに依拠してサービスを展開するというのは、DJみたいなものです。センスのある人間がミックスしているにすぎない。従って、そこのユーザーの属性の  ・インタレストグラフ  ・ソーシャルグラフ のデータを借りてきて、サービスを洗練させていくということになる。しかし、プラットフォームという「誰かのつくった思想」に依拠してしまうので、限界があるし、誰でもできてしまうから、すぐにキャッチアップする競合相手が生まれてくるのです。そこで求められるのが、 「コンセプトをよりエッジーにするために、チューニングをし続けていくこと」 です。インターネットの世界においては、完成度60〜80%程度のベータ版でサービス開始した後に、適時チューニングし続けるということができてしまうので、「ユーザの反応を見ながら、いかに早くチューニングをしていくのか?」が重要です。でもこれは、日本人が得意な「おもてなしの心」なんですよ。「ユーザがこう言ってきたら、どんどん変えていこう」という、ユーザフレンドリーな「おもてなしの心」なのです。 グーグルのジレンマ ――海外の成功しているIT企業は、その「ベータ版」というポイントを意識してサービス提供を行っているのでしょうか? 塩野 ええ。しかし、グーグル本社で聞いたのですが、グーグルが大企業になって社会的責任が出てきた時に、ベータ版で出すのがすごく難しくなってきたそうです。今までなら無料ということで、ベータ版を出していたのが、それがすごく難しくなってきた。これも、企業が大きくなったがゆえに失ったモノなんですよ。そうするとIT業界においては、スピードを失っていくんです。そこでどうするかというと、ベータ版でチューニングして完成した製品やサービスを買収するのです。これには、 「テクノロジーやエンジニアを買う」 「自分の将来の敵を消す」 という2つの意味があります。そしてスピード感のある人間をチームに入れることで、組織内の活性化を図っているんですね。 「個人の支払い能力」を制する者が、ビジネスを制す? ――グーグルの競合であるヤフーが、先日カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)とポイント事業を統合することを発表しましたが、この動きについてはどのように見ていますか? 塩野 こうした動きのベースにあるのは、1つのIDですべてにアクセスしたいという、ユーザの要望を反映したものです。わかりやすくいえば、クレジットカードを1つにまとめてしまうみたいなことです。しかも、1IDにお金とパーソナルデータが入っていて、「誰がそれを握るのか?」だけではなく、同時に「ネットワークの外部性とか利便性が効いているか?」という視点も必要です。企業から見れば、 「どの企業がメインIDを管理する権限を持って、そのメインIDの中に入っているパーソナルデータにアクセスするか?」 「どの企業がデータの利用許諾ゲート(入り口)に成り得るか?」 の勝負なのです。データへのアクセス許諾権は、ユーザ個人とそこの管理者が持っているので、管理者はビジネス上の強い権限を持つことができるのです。そうした中で、リアルの実店舗とヤフーという大きなメディア、ECが融合されるというのは、ビッグニュースですね。 ――このような動きは、これまでもあったのでしょうか? 塩野 楽天が、電子マネー「Edy」を発行するビットワレットを買収しました。すると、「Edy」を利用できる各店舗には、楽天のマークがつくようになりましたね。このような動きは今後も広がっていくでしょうね。ユーザ側でも、どのブランドに対してシンパシーを持って、メインIDとしてパーソナルデータを提供するかという選択が、加速するように思います。この先グーグルが「グーグルクレジットカード」を発行して、リアル店舗での買い物ができるようになったら、面白いことになるかもしれないですね。でも、日本において一番個人データを持っているのは、やはりビザやマスターといったクレジットカード会社です。重要なのは個人の支払い能力です。この情報も保有したメインIDは、本当の意味で脅威です。最終ビジネスでの重要な一角を占める、「個人の支払い能力」に関する情報にアクセスできるメインIDとなるわけですから。そのアクセス許諾権を誰が握るのかが、今後の勝負になってくるはずです。 ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) 釈ちゃんを15年支えた芸能マネージャーのビジネス術とは? 今晩スペイン戦 日本人好みの“走るサッカー”では勝てない! ロンドン五輪、ケータイ、ルンバ…身の回りは軍事技術だらけ!? ケータイ、キャバクラ、株含み益…失敗する起業家の“条件” 本がない!? 東京国際ブックフェアで見えたどん底の出版業界 「配属テストは麻雀だった !?」ファンドマネージャー座談会 ヤフー・ツタヤ提携が狙うネット&リアルの覇権と楽天潰し!?

なぜ“汎用技術”iPodはヒットしたのか?

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「Apple Store HP」より
 ゴールドマン・サックス証券、ベイン&カンパニーなどの複数の外資系金融機関やコンサルティング会社を経て、ライブドアに入社。あのニッポン放送買収を担当し、ライブドア証券副社長に就任。現在は、経営共創基盤(IGPI)で多くのITベンチャー企業のスタートアップ、事業開発、M&Aアドバイザリーに従事するのが、塩野誠氏である。  そんな塩野氏へのインタビューの模様を掲載した前回記事に引き続き、今回はその後編として、「アップルが強い理由」「日本企業苦戦の理由」「ベンチャー、ITサービス成功の秘訣」などについてお届けする。 ――ITサービス/ビジネスは、今後どのような方向に向かうのでしょうか? 塩野誠氏(以下、塩野) スマホとスマートデバイスの連携が進むと考えています。例えば、腕にリング状のデバイスを着けて、Bluetoothでスマホに飛ばす。そうすると自分の脈等のログを24時間ずっと取ることができます。このようなライフログ、医療系でのデータを手間暇かけないで取ることができて、そのデータに医療機関等がアクセスできれば、検査時間が短縮化され、かつ確実な医療が受けられるようになると思います。しかもデバイスがオシャレであれば、言うことなしですね。この「オシャレである」というのは、重要なファクターです。iPodの基本技術はどのメーカーでも持っていた一般的なものなのに、「iPodを持っているのがかっこいい」というマーケティングをして、アップルは大成功を収めたのですから、ハードのデザイン性は重要な要素なのです。ここに、実はベンチャー企業が成功するヒントがあるのです。 ――日本企業も、もっとオシャレさを追求すべきということでしょうか? 塩野 これまでのITや電機業界は、あえて単純化した言い方をすると、「独裁者・ジョブズ的なもの」対「合議制・日本メーカー的なもの」の戦いなのです。ジョブズという思想家が独裁してつくった製品は、デザインも機能もエッジが立っています。一方、合議制でモノづくりをしてきた日本メーカーは、マーケティング部があり、営業販売部があり、デザイン部があり、技術部があり、合議制の中でエッジーなアイディアをネガティブチェックしていくうちに、普通なものにしてしまうということの繰り返しをしてきました。「先輩が言ったから」とか、「上司が言ったから」とかいってエッジを削ぎ落としていった結果、極めて普通の製品になってしまったんですね。 iPhoneは粗利益率70% ――日本のモノづくりが苦戦しているのは、デザインや設計思想ですか? 塩野 そうです。今はベーシックな機能は、どのメーカーでも同じコモディティになってしまいました。すると、製品やサービスの根底にある思想やデザインにかけるリソースの違いが、「消費者が感じる価値」に変換されるようになりました。iPhoneは、電子機器製品として見ると、粗利益率が70%くらい取れているんです。でも、世界中で売れている。これは、デザインや設計思想の部分が、商品価値として評価されているということなんです。そういう意味においては、日本の合議制というモノづくりでは、機能で劣らないのに非常に負けが濃いんですね。 ――日本的企業経営が、時代にフィットしなくなってきたのでしょうか? 塩野 少なくともIT・インターネットを介したサービスや製品では、「合議制」で、「完全な製品」を、「いくつものバリエーション」で販売していこうとする日本企業のやり方は、時代にフィットしないようになりつつあると思います。アップルが成功したのは、ジョブズという独裁者が、「自分が欲しいと思う製品・サービスをつくったら、実はみんな欲しかった」というスーパーユーザーの発想です。製品数も少ないため粗利益率も高いわけです。でもこれは、ベンチャー企業そのものですよね。ベンチャーは思想家は経営トップひとりですから、「先輩に言われたから」とか、「社長の案件だから」とかはない。「そのサービスは、誰の何を解決しているサービスなのか」それをひたすら追求していけばいいわけです。 ベータ版でもリリースして、チューニングし続ける ――追求していく上で重要なポイントは? 塩野 現在のSNSでのサービスは、「Facebookログイン」「Twitterログイン」など、プラットフォームの上に乗っかったアプリとしてのサービスが中心です。しかし、プラットフォームに依拠してサービスを展開するというのは、DJみたいなものです。センスのある人間がミックスしているにすぎない。従って、そこのユーザーの属性の  ・インタレストグラフ  ・ソーシャルグラフ のデータを借りてきて、サービスを洗練させていくということになる。しかし、プラットフォームという「誰かのつくった思想」に依拠してしまうので、限界があるし、誰でもできてしまうから、すぐにキャッチアップする競合相手が生まれてくるのです。そこで求められるのが、 「コンセプトをよりエッジーにするために、チューニングをし続けていくこと」 です。インターネットの世界においては、完成度60〜80%程度のベータ版でサービス開始した後に、適時チューニングし続けるということができてしまうので、「ユーザの反応を見ながら、いかに早くチューニングをしていくのか?」が重要です。でもこれは、日本人が得意な「おもてなしの心」なんですよ。「ユーザがこう言ってきたら、どんどん変えていこう」という、ユーザフレンドリーな「おもてなしの心」なのです。 グーグルのジレンマ ――海外の成功しているIT企業は、その「ベータ版」というポイントを意識してサービス提供を行っているのでしょうか? 塩野 ええ。しかし、グーグル本社で聞いたのですが、グーグルが大企業になって社会的責任が出てきた時に、ベータ版で出すのがすごく難しくなってきたそうです。今までなら無料ということで、ベータ版を出していたのが、それがすごく難しくなってきた。これも、企業が大きくなったがゆえに失ったモノなんですよ。そうするとIT業界においては、スピードを失っていくんです。そこでどうするかというと、ベータ版でチューニングして完成した製品やサービスを買収するのです。これには、 「テクノロジーやエンジニアを買う」 「自分の将来の敵を消す」 という2つの意味があります。そしてスピード感のある人間をチームに入れることで、組織内の活性化を図っているんですね。 「個人の支払い能力」を制する者が、ビジネスを制す? ――グーグルの競合であるヤフーが、先日カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)とポイント事業を統合することを発表しましたが、この動きについてはどのように見ていますか? 塩野 こうした動きのベースにあるのは、1つのIDですべてにアクセスしたいという、ユーザの要望を反映したものです。わかりやすくいえば、クレジットカードを1つにまとめてしまうみたいなことです。しかも、1IDにお金とパーソナルデータが入っていて、「誰がそれを握るのか?」だけではなく、同時に「ネットワークの外部性とか利便性が効いているか?」という視点も必要です。企業から見れば、 「どの企業がメインIDを管理する権限を持って、そのメインIDの中に入っているパーソナルデータにアクセスするか?」 「どの企業がデータの利用許諾ゲート(入り口)に成り得るか?」 の勝負なのです。データへのアクセス許諾権は、ユーザ個人とそこの管理者が持っているので、管理者はビジネス上の強い権限を持つことができるのです。そうした中で、リアルの実店舗とヤフーという大きなメディア、ECが融合されるというのは、ビッグニュースですね。 ――このような動きは、これまでもあったのでしょうか? 塩野 楽天が、電子マネー「Edy」を発行するビットワレットを買収しました。すると、「Edy」を利用できる各店舗には、楽天のマークがつくようになりましたね。このような動きは今後も広がっていくでしょうね。ユーザ側でも、どのブランドに対してシンパシーを持って、メインIDとしてパーソナルデータを提供するかという選択が、加速するように思います。この先グーグルが「グーグルクレジットカード」を発行して、リアル店舗での買い物ができるようになったら、面白いことになるかもしれないですね。でも、日本において一番個人データを持っているのは、やはりビザやマスターといったクレジットカード会社です。重要なのは個人の支払い能力です。この情報も保有したメインIDは、本当の意味で脅威です。最終ビジネスでの重要な一角を占める、「個人の支払い能力」に関する情報にアクセスできるメインIDとなるわけですから。そのアクセス許諾権を誰が握るのかが、今後の勝負になってくるはずです。 ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) 釈ちゃんを15年支えた芸能マネージャーのビジネス術とは? 今晩スペイン戦 日本人好みの“走るサッカー”では勝てない! ロンドン五輪、ケータイ、ルンバ…身の回りは軍事技術だらけ!? ケータイ、キャバクラ、株含み益…失敗する起業家の“条件” 本がない!? 東京国際ブックフェアで見えたどん底の出版業界 「配属テストは麻雀だった !?」ファンドマネージャー座談会 ヤフー・ツタヤ提携が狙うネット&リアルの覇権と楽天潰し!?

小さくてもいいじゃん!豊胸手術で乳がん検診が受けられない?

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『がんのひみつ』(朝日出版社/中川恵一)
 人口動態統計によると、平成21年、乳がんによる死亡者数は約1万2000人。昭和40年には約2000人にすぎなかったことから見ると、ここ40年ほどで大激増したといえよう。  これを受けて、平成17年度より、全国の9割以上の市区町村で、触診・エコー・マンモグラフィーの3本立てによる乳がん検診が行われるようになった。厚生労働省が乳がん撲滅のため、全国に40億円の機器購入補助金を出した成果である。  しかし、検診を受ける女性の数は、現在でも4人に1人程度と決して多くはない。その理由は、「検診を受けられる場所が遠い」「異常がないから大丈夫」「数千円の検診料を払えない」などさまざまである。  しかし、少数ながら「豊胸手術のせいで検診が受けられない」という女性たちがいることは、ほとんど知られていない。そのため、魅力的なバストに憧れて豊胸手術を受けてみたものの、乳がん検診を受けられず不安な思いをする女性たちが後を絶たないのだ。 豊胸手術のせいでマンモグラフィーが使えない  豊胸手術経験者の亜由美さん(仮名、40代)に、自治体から乳がん検診の通知が来た。しかし検診案内の注意書きには、「豊胸手術をしている方は、マンモグラフィーにより豊胸バッグ破損の怖れがあるため、検診をお断りさせていただいております」と書かれていたのだ。  亜由美さんはかつて豊胸手術を受ける前、いくつもの美容クリニックを訪れて、手術方法や術後の健康への影響について医師のカウンセリングを受けている。 「授乳に影響はない、とか、触っても違和感がない、などと言われました。かなり低い確率でバストが変形することがあるとの説明も受けていました。でも、乳がん検診を断られるなんて、どのクリニックでも一言も言われませんでした」(亜由美さん)  亜由美さんは手術をしたクリニックの医師に、 「どうして乳がん検診への影響について教えてくれなかったのか」 と、質問を投げてみたところ、医師は次のように答えたそうだ。 「マンモグラフィーの検診を断る医療機関はあるかもしれませんね。でも、ちゃんと探せば、検診してくれる病院はあるんじゃないですか?」 医者も知らん顔  しかし、実際に自治体の検診は受けられなかったと返答すると、その医師から次のように言われたという。 「受けられる自治体もあるはずですよ? 患者さんが将来、どの街に住むかまでは予想できませんからねえ。なんでしたら紹介料はかかりますけど、検診をしてくれる病院を紹介しましょうか?」  水掛け論めいたやりとりに嫌気が差した亜由美さんは、乳がん検診をしてくれる医療機関を自力で探し始めた。  しかし、近隣の病院ではどこも「バッグを破損させるからマンモグラフィーは使えない」というところばかり。中には「豊胸手術をした胸の触診はできない」と断る病院も。  この件について、美容クリニック経営者のA氏は次のように語った。 「豊胸バッグが入っているとマンモグラフィーを使えなくなることは、医師なら誰でも知ってますよ。でも、手術を勧める立場としては、あえて言わないんです。手術件数を増やさないと経営が成り立ちませんから」 医療機関の冷たい対応  20代の頃、豊胸手術を受けた元モデルの由紀恵さん(仮名、50代)は、乳がん検診を受けたことがない。 「マンモグラフィーが使えなくても、触診とエコーで検診はできるんですよね。それだけでも受けようかなと思うけど、医師に豊胸手術のことを言うと、態度が変わるっていうか、冷たくされるっていうか……。『大事な身体を傷つけて』みたいに言われたこともあったんです。ただでさえ整形をカミングアウトするのは辛いんです。医師の態度には本当に傷つきました。乳がんは怖いです。でも、あんな不愉快な思いをしてまで検診を受ける勇気が、出ないんです」  豊胸手術に対する、医療機関の“偏見”とも言える冷たさを指摘する女性は少なくない。 出産後、バストアップのため手術を受けた雅子さん(仮名、30代)もそのひとりだ。 「病院で『豊胸手術をしてますが、乳がん検診を受けられますか?』と聞いたんです。そうしたら『おっぱいの整形? ええっ?』と聞き返され『そんなの診たことないですよ』とバカにしたように言われたんです。田舎のせいか、そんな病院ばかり。なんだかすごく惨めになって、検診は受けていないんです」  前出の亜由美さんは、ACジャパンのテレビCMで乳がん検診の必要性を熱く訴える某財団法人に電話をかけ、検診を行ってくれる医療機関について聞いてみたが、 「豊胸手術した人の乳がん検診? どこで受けたらいいんでしょうねぇ。もしかしたら、ここならやってるかも」 と、4~5カ所の医療機関を教えられたものの、いざ問い合わせをしてみると1カ所を除いて乳がん検診自体を断られた。そしてその1カ所に行ってはみたものの、やはりマンモグラフィーは使えず、エコーと触診のみだったというのだ。 検診のために豊胸バッグを抜去  かつて「豊胸手術をすると乳がんになりやすい」と報道された時期もあったが、現在、豊胸手術と乳がん発症の因果関係については今ひとつ不明とされている。豊胸手術大国と言われるアメリカの医療機関には、後追い調査の結果、豊胸手術をしても乳がん発生率は変わらないと発表している機関もある。  しかし、日本では、豊胸バッグがあるため検診が受けられず、乳がんの早期発見ができないケースは決して少なくないのではないだろうか?  一体、彼女たちがマンモグラフィーによる乳がん検診を受けるには、どうすれば良いのだろう。  前出のクリニック経営者・A氏は続けて語る。 「健康のために再手術をして、豊胸バッグを抜去する女性も少なくありません。抜去や乳がん検診のできる豊胸への再手術の費用が、クリニックの収入源のひとつであることも否定しません」 信頼できる病院を探すのも大変  ちなみに抜去費用はクリニックそれぞれ。十数万円のところもあれば、百万円以上を請求するところもある。手術経験者たちによると、手術料金が高ければ技術が高い、大病院だから信頼できるとは決していえないようだ。  かなりの低価格で優良な施術をする医師もおり、彼らの名前はインターネットのクチコミサイトである程度、確認することができる。  ちなみに、抜去手術をした後、胸が小さくしぼんでしまうだけではない。豊胸手術で膨らまされていた胸の皮膚は、バッグを失うと同時に張りを失い、実年齢以上に垂れてしまうケースがほとんどだ。手術をしてまで「美しさ」を追求した女性たちが受ける精神的ダメージは、決して少なくはない。  胸に豊胸バッグを入れたまま、マンモグラフィーのかわりにMRIによる乳がん検診を受けることも可能だ。アメリカの医療機関では、豊胸手術をした人に対して2年に1度の割合で、MRIによる乳がん検診を勧めるところが多い。しかし、日本ではMRI検診をした場合、検査費用3万円程度を自費で支払うケースが多く、通常の乳がん検診に比べて、かなりの出費になることを覚悟しなければいけない。 「豊胸手術をしてもマンモグラフィー検診を受けられる」とされる、脂肪注入(自分の皮下脂肪を胸に移植する)、ヒアルロン酸注入(ヒアルロンで胸を膨らませる)など、いくつかの方法もないわけではない。  しかしいずれも、胸がすぐにしぼむ、豊胸バッグに比べてかなり費用がかかる、数十万から百万以上のお金をかけて定期的に注入を繰り返さなければいけない、などの問題点が挙げられる。  日本国内で現在、どれくらいの数の豊胸手術が行われているか、正確な数字は出ていない。豊胸手術の善し悪しを問うつもりもないし、魅力的な胸を求めて手術する女性たちを愚かと決めつけるつもりもない。  ただ、こういった理由で乳がん検診から遠のいている女性たちがいるのは、事実なのだ。 (文=玉置美螢/ライター) <おすすめ記事> ヤフー・ツタヤ提携が狙うネット&リアルの覇権と楽天潰し!? 原発で大儲け、出版社に脅し…電通と博報堂のふしだらなリアル 「配属テストは麻雀だった !?」ファンドマネージャー座談会 アマゾンなんて怖くない? 楽天、凸版、電子書籍リーダーの未来 駅のゴミ箱が復活しないのは、経費削減のため? GREE、DeNAは新しい“卓越した”コンプガチャを生む 敵はジャパネット? ヤマダ電機会長、ジリ貧の焦り

小さくてもいいじゃん!豊胸手術で乳がん検診が受けられない?

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『がんのひみつ』(朝日出版社/中川恵一)
 人口動態統計によると、平成21年、乳がんによる死亡者数は約1万2000人。昭和40年には約2000人にすぎなかったことから見ると、ここ40年ほどで大激増したといえよう。  これを受けて、平成17年度より、全国の9割以上の市区町村で、触診・エコー・マンモグラフィーの3本立てによる乳がん検診が行われるようになった。厚生労働省が乳がん撲滅のため、全国に40億円の機器購入補助金を出した成果である。  しかし、検診を受ける女性の数は、現在でも4人に1人程度と決して多くはない。その理由は、「検診を受けられる場所が遠い」「異常がないから大丈夫」「数千円の検診料を払えない」などさまざまである。  しかし、少数ながら「豊胸手術のせいで検診が受けられない」という女性たちがいることは、ほとんど知られていない。そのため、魅力的なバストに憧れて豊胸手術を受けてみたものの、乳がん検診を受けられず不安な思いをする女性たちが後を絶たないのだ。 豊胸手術のせいでマンモグラフィーが使えない  豊胸手術経験者の亜由美さん(仮名、40代)に、自治体から乳がん検診の通知が来た。しかし検診案内の注意書きには、「豊胸手術をしている方は、マンモグラフィーにより豊胸バッグ破損の怖れがあるため、検診をお断りさせていただいております」と書かれていたのだ。  亜由美さんはかつて豊胸手術を受ける前、いくつもの美容クリニックを訪れて、手術方法や術後の健康への影響について医師のカウンセリングを受けている。 「授乳に影響はない、とか、触っても違和感がない、などと言われました。かなり低い確率でバストが変形することがあるとの説明も受けていました。でも、乳がん検診を断られるなんて、どのクリニックでも一言も言われませんでした」(亜由美さん)  亜由美さんは手術をしたクリニックの医師に、 「どうして乳がん検診への影響について教えてくれなかったのか」 と、質問を投げてみたところ、医師は次のように答えたそうだ。 「マンモグラフィーの検診を断る医療機関はあるかもしれませんね。でも、ちゃんと探せば、検診してくれる病院はあるんじゃないですか?」 医者も知らん顔  しかし、実際に自治体の検診は受けられなかったと返答すると、その医師から次のように言われたという。 「受けられる自治体もあるはずですよ? 患者さんが将来、どの街に住むかまでは予想できませんからねえ。なんでしたら紹介料はかかりますけど、検診をしてくれる病院を紹介しましょうか?」  水掛け論めいたやりとりに嫌気が差した亜由美さんは、乳がん検診をしてくれる医療機関を自力で探し始めた。  しかし、近隣の病院ではどこも「バッグを破損させるからマンモグラフィーは使えない」というところばかり。中には「豊胸手術をした胸の触診はできない」と断る病院も。  この件について、美容クリニック経営者のA氏は次のように語った。 「豊胸バッグが入っているとマンモグラフィーを使えなくなることは、医師なら誰でも知ってますよ。でも、手術を勧める立場としては、あえて言わないんです。手術件数を増やさないと経営が成り立ちませんから」 医療機関の冷たい対応  20代の頃、豊胸手術を受けた元モデルの由紀恵さん(仮名、50代)は、乳がん検診を受けたことがない。 「マンモグラフィーが使えなくても、触診とエコーで検診はできるんですよね。それだけでも受けようかなと思うけど、医師に豊胸手術のことを言うと、態度が変わるっていうか、冷たくされるっていうか……。『大事な身体を傷つけて』みたいに言われたこともあったんです。ただでさえ整形をカミングアウトするのは辛いんです。医師の態度には本当に傷つきました。乳がんは怖いです。でも、あんな不愉快な思いをしてまで検診を受ける勇気が、出ないんです」  豊胸手術に対する、医療機関の“偏見”とも言える冷たさを指摘する女性は少なくない。 出産後、バストアップのため手術を受けた雅子さん(仮名、30代)もそのひとりだ。 「病院で『豊胸手術をしてますが、乳がん検診を受けられますか?』と聞いたんです。そうしたら『おっぱいの整形? ええっ?』と聞き返され『そんなの診たことないですよ』とバカにしたように言われたんです。田舎のせいか、そんな病院ばかり。なんだかすごく惨めになって、検診は受けていないんです」  前出の亜由美さんは、ACジャパンのテレビCMで乳がん検診の必要性を熱く訴える某財団法人に電話をかけ、検診を行ってくれる医療機関について聞いてみたが、 「豊胸手術した人の乳がん検診? どこで受けたらいいんでしょうねぇ。もしかしたら、ここならやってるかも」 と、4~5カ所の医療機関を教えられたものの、いざ問い合わせをしてみると1カ所を除いて乳がん検診自体を断られた。そしてその1カ所に行ってはみたものの、やはりマンモグラフィーは使えず、エコーと触診のみだったというのだ。 検診のために豊胸バッグを抜去  かつて「豊胸手術をすると乳がんになりやすい」と報道された時期もあったが、現在、豊胸手術と乳がん発症の因果関係については今ひとつ不明とされている。豊胸手術大国と言われるアメリカの医療機関には、後追い調査の結果、豊胸手術をしても乳がん発生率は変わらないと発表している機関もある。  しかし、日本では、豊胸バッグがあるため検診が受けられず、乳がんの早期発見ができないケースは決して少なくないのではないだろうか?  一体、彼女たちがマンモグラフィーによる乳がん検診を受けるには、どうすれば良いのだろう。  前出のクリニック経営者・A氏は続けて語る。 「健康のために再手術をして、豊胸バッグを抜去する女性も少なくありません。抜去や乳がん検診のできる豊胸への再手術の費用が、クリニックの収入源のひとつであることも否定しません」 信頼できる病院を探すのも大変  ちなみに抜去費用はクリニックそれぞれ。十数万円のところもあれば、百万円以上を請求するところもある。手術経験者たちによると、手術料金が高ければ技術が高い、大病院だから信頼できるとは決していえないようだ。  かなりの低価格で優良な施術をする医師もおり、彼らの名前はインターネットのクチコミサイトである程度、確認することができる。  ちなみに、抜去手術をした後、胸が小さくしぼんでしまうだけではない。豊胸手術で膨らまされていた胸の皮膚は、バッグを失うと同時に張りを失い、実年齢以上に垂れてしまうケースがほとんどだ。手術をしてまで「美しさ」を追求した女性たちが受ける精神的ダメージは、決して少なくはない。  胸に豊胸バッグを入れたまま、マンモグラフィーのかわりにMRIによる乳がん検診を受けることも可能だ。アメリカの医療機関では、豊胸手術をした人に対して2年に1度の割合で、MRIによる乳がん検診を勧めるところが多い。しかし、日本ではMRI検診をした場合、検査費用3万円程度を自費で支払うケースが多く、通常の乳がん検診に比べて、かなりの出費になることを覚悟しなければいけない。 「豊胸手術をしてもマンモグラフィー検診を受けられる」とされる、脂肪注入(自分の皮下脂肪を胸に移植する)、ヒアルロン酸注入(ヒアルロンで胸を膨らませる)など、いくつかの方法もないわけではない。  しかしいずれも、胸がすぐにしぼむ、豊胸バッグに比べてかなり費用がかかる、数十万から百万以上のお金をかけて定期的に注入を繰り返さなければいけない、などの問題点が挙げられる。  日本国内で現在、どれくらいの数の豊胸手術が行われているか、正確な数字は出ていない。豊胸手術の善し悪しを問うつもりもないし、魅力的な胸を求めて手術する女性たちを愚かと決めつけるつもりもない。  ただ、こういった理由で乳がん検診から遠のいている女性たちがいるのは、事実なのだ。 (文=玉置美螢/ライター) <おすすめ記事> ヤフー・ツタヤ提携が狙うネット&リアルの覇権と楽天潰し!? 原発で大儲け、出版社に脅し…電通と博報堂のふしだらなリアル 「配属テストは麻雀だった !?」ファンドマネージャー座談会 アマゾンなんて怖くない? 楽天、凸版、電子書籍リーダーの未来 駅のゴミ箱が復活しないのは、経費削減のため? GREE、DeNAは新しい“卓越した”コンプガチャを生む 敵はジャパネット? ヤマダ電機会長、ジリ貧の焦り