のんさんの日記『1歳の娘の記憶』

「♪げんこつやまの~ たぬきさん~」
薄曇りの空の下、二階建てアパートの外廊下。手摺りより高い位置で軽く揺すられながら、私はむすっとした顔をしたのを憶えている。思えばそれが、私の一番古い記憶なのかもしれない。

コイツがどうしても好きになれない。

のんさんの日記 『連帯保証人1~おねがい~』

「いや、無理。一緒に来てもらうから。」目の前が真っ白になる、というのは、こういうことを言ったのだろう。突然やってきて、彼女が行方を断ったことを告げ、「いま」「すぐに」「ここで」どうにかしろ、と言う。大体、20代の女の子の一人暮らしの部屋に、390万円なんて現金がある方がどうかしている。いつもと何ら変わらない昼下がり。私はいつものようにバイトに行く準備をしていた──────だけなのに。なんの前触れもなく、徹底的に理不尽な出来事におそわれた。…前触れもなく? いや、それは正確ではないかもしれない。「おねがい!頼める人は、のんちゃんしかいないの!」