メルカリの値下げ要求に、「希望額までは下げられません」と断りつつも、購入を即決させる“匠の技”

――2年で1,300万円以上溶かし、現在借金は●00万円の“買い物狂い”のライターが、苦しくも楽しい「散財」の日々を綴ります。

 可愛いスカートが欲しい~。ふわっふわでさらっさらなスカートが欲しい~~。我がワードロープを見ると、圧倒的に夏物スカートが足りないんですよ。夏物スカートが欲しい、今すぐに。

 しかし、最近、貧の乏になってしまった私は、すっかり服屋から遠ざかっていました。服屋に行ったら、いいなと思ったスカートは最低2万円……。ぐむむ……ここはフリマアプリに頼るしかないッ!!! 

 フリマアプリは洋服が大量に出品されているので、私の好きな「ゴム スカート」で検索してもたくさんの服が出てきます。好きなブランドを入れて、「ゴム スカート」と入れて検索検索……! えーと、そうだなあ。私の大好きな雑誌「マリソル」(集英社)に掲載されたスカートなんかいいわねえ。キーワードに「マリソル」って入れてみよ!! すると、早速キュンとくるスカートに出会いました。

 私が気になったのは、「ビームス×清原亜希リネン100フレアスカート」というグレーのアイテム。お値段1万円也。商品説明文には、「リネン100のギャザーたっぷりのスカート 麻素材特有の乾いた生地感、色合いです」と書かれています。ふおおお、いい!! めっちゃいい!! 可愛い!!!! なんといっても、ふわふわとスカートがひるがえった姿が可愛い!!!!!! とはいえ、私は今、貧の乏。もうちょっと安いスカートも見てみたい……と思い、「清原亜希 スカート」で調べることに。すると……。

 なんと、同じスカートと思われるスカートを3,200円で売っている人を発見! あんぎゃーーー!!!!!! そのスカートは6日前に売り切れており、購入は不可。悔しぃ~~~~!!!!!! そのスカートはあたしが買うものだったのよ~~~(!?)

 とはいえ、フリマアプリは無常。最初に購入した人が勝者なのです。売り切れたスカートは、「いいね」が1しかついていませんでした。ということは、出品されて間もなく、ぺいっとあっという間に買われたということ。

 うーん、出品されてすぐに購入する人はどうやってスカートを見つけているのかしら。アラートをかけているのか、それとも偶然スカートが出品されていることに気づいて、「あ!!」と飛びつくのか……。あたしにゃそんな瞬発力ないのよねえ……。こうなりゃ、この1万円のスカートをどうするか考えねばならねえ。

 ちなみにスカートの元値は2万4,000円なんだそうです。ということは、税込みで2万6,400円。グレーのほかにピンクも展開されており、同じ出品者さんが売っていました。でもすでに売り切れていて、取引価格は1万8,000円。そう考えると、この1万円のスカートは十分に安い気もするのですが、さっきの3,200円が脳裏をちらついて離れない……。このまま購入するのはなんかこう、なんかなのよねえ……。そこで「8,500円で購入させてもらえませんか?」と質問してみることに。

 すると、すぐに値が9,200円に変わり「希望額までは下げられませんが、こちらでよかったら……」と返信が届きました。

 な、なんて粋なのかしら……!! こんなふうにパッと値下げされると、他の人が買うんじゃないかと焦り、購買意欲が爆上がりするではないか~~~!!!!!! か、買います~~~!!!!!! そんなわけで、9,200円で購入しました。

 いやあ、今回もメルカリの匠の技を見た気がしたわ……? 値下げするときには、「○○円ならできます」と答える前に、サッと値下げしてしまって、「値下げしました。どうぞご自由に」スタイルのほうが、購入希望者は、「ほかの人に買われちゃう!」ってびくびくしますよね。ライバルも価格が下がっていたら「お、買おうかしら?」と思うはず。フリマアプリで商品が売れない方は、一度試してみては?

■今回の出費
「ビームス×清原亜希リネン100フレアスカート」9,200円

モスバーガー・サブウェイ・フレッシュネスバーガー、プロがおすすめメニュー発表! “野菜が摂れる”ファストフード店1位は?

 8月15日放送の『坂上&指原のつぶれない店』(TBS系)で、モスバーガーが取り上げられる。「崖っぷちからの大復活チェーン店『モスバーガー』」とのテーマで、2018年に9億円の赤字を出したという崖っぷちからの復活を紹介するようだ。

 近年の高級食パンブームに乗って販売した完全予約制のオリジナル食パンも話題のモスバーガーだが、同社といえば「野菜」も魅力の一つだろう。そんなモスバーガーの野菜メニューについて、管理栄養士が他社のファーストフード店と比較した記事を再掲したい。

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「おいしいごはんが食べたい、でも自炊するのはめんどくさい!」そんなズボラ女子の救世主といえば、コンビニ・ファミレス・ファストフード! 毎日の食事をおいしく楽チンにするため、“お酒とおつまみ大好き”管理栄養士・川村郁子先生に、さまざまなテーマに合わせた「おすすめメニュー」を聞いちゃいます。

モスバーガー・サブウェイ・フレッシュネスバーガー、最も野菜が摂れる店はどこ!?

 「ファストフードは野菜不足になる」……そんなイメージはもう古い! 手軽にたっぷり野菜が食べられるファストフード店、実は結構多いんです。中でも、「モスバーガー」「サブウェイ」「フレッシュネスバーガー」は、健康を気にする人にも人気。そこで今回は、管理栄養士の川村先生に、「野菜が摂れるファストフード店」のランキングを発表してもらいました。

――「健康のために野菜が必要」と漠然と感じていますが、実際のところ、1日どのくらいの量を食べるべきなのでしょうか?

川村郁子先生(以下、川村) 厚生労働省の資料「健康日本21」によると、1日当たりの野菜摂取目標量は、350gと掲げられています。イメージとしては、両手いっぱいの生野菜を1日に3回食べるという感じ。つまり、朝・昼・夕食の3食それぞれ、両手1杯分の野菜を取り入れるのが理想的だといえます。

 その中でも、βカロテンを多く含む緑黄色野菜を多く摂れるといいですね。両手1杯のうち1/3以上を、トマトやほうれん草、ブロッコリーなどの緑黄色野菜にできればベスト。「レタス×トマト」「キャベツ×ニンジン」といったように、赤や緑、黄色、黄緑、白など、いろんな色の野菜を選ぶように意識してみましょう。

――手軽に野菜が摂れるファストフード店も増えています。モスバーガーでは、「菜摘(なつみ)」というメニューが話題になりました。

川村 バンズの代わりにレタスで肉のパティを包んだバーガーですよね。さまざまなメニューが展開されていますが、「モスの菜摘(なつみ)モス野菜」(368円/税込、以下同)がおすすめ。シャキシャキとした歯ごたえが楽しめるレタスやトマトだけでなく、肉のパティでタンパク質を補うこともできます。炭水化物は11.5gと、普通のバーガーに比べると抑えられていますので、糖質をセーブしたい方でも選びやすいメニューでしょう。

 また、一部店舗限定のメニューですが、バンズにほうれん草が練りこまれている「グリーンバーガー」(591円)もいいですね。食物繊維が3.7gと多いのが魅力だと思います。サイドメニューを選ぶなら、「ミネストローネ」や「クラムチャウダー」(316円)などを合わせましょう。食物繊維や魚介類、豆類のミネラルをプラスでき、体も温まりますよ。

――野菜のトッピングができるサブウェイも、健康志向の人に人気が高いファストフード店です。

川村 サブウェイのメニューは、レタスやトマト、ピーマンにオニオンなど、緑黄色野菜と淡色野菜がどちらも補えて魅力的。「野菜多め」とオーダーすると、通常の2倍程度増量してもらえるのもうれしいですよね。

 サンドイッチメニューの中では、脂質は抑えめながら、野菜もタンパク質も補える「ローストチキン」(429円)がおすすめ。タンパク質をさらにしっかり摂りたい方は、クリームタイプのチーズがプラスされた「チーズローストチキン」(495円)を選ぶといいでしょう。

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 また、ドレッシングは8種類から選べますが、カロリーは結構変わってきます。例えば、「シーザードレッシング」を選ぶと39kcalですが、「チリソース」は3kcal。ドレッシングだけで36kcalも違いが出るので、注意したいポイントです。

フレッシュネスバーガーは「サイドメニュー」が優秀

――最後に、フレッシュネスバーガーのおすすめメニューを教えてください。

川村 フレッシュネスバーガーは、定番の「クラシックバーガー」(500円)がいいですね。とてもシンプルな一品ですが、1個当たりのカロリーは532kcalで、パティも113gと大きめ。1個で満足感を得やすいので、食べ過ぎの心配をしなくてもいいでしょう。また、全てのバーガーで「低糖質バンズ」が選べるのもポイント。このバンズに変えるだけで、カロリーをカットしつつ、食物繊維が増やせますよ。

 また、フレッシュネスバーガーはサイドメニューがとてもいいです。1日に必要な野菜の3分の1が摂れる「ベジタブルスープ」(380円)は具だくさんで、手軽にたっぷり栄養を補えます。ほかの店舗では珍しい、きのこの入った「マッシュルームクリームスープ」(380円)もおすすめ。きのこはカリウムや食物繊維、ビタミンB群などが含まれていますので、積極的に食事に取り入れてほしいです。

――では、「野菜が摂れるファストフード店」3店舗のおすすめ順を発表してください!

川村 野菜を増量できる、サブウェイがおすすめNo.1ですね。チキンやツナ、卵、ローストビーフなど、好きな具材を選べて野菜もしっかり摂れるので、とてもいいと思います。緑黄色野菜と淡色野菜のバランスもよく、野菜不足を感じたら、ぜひサブウェイを利用してみてください。モスバーガーとフレッシュネスバーガーは、それぞれ違う面で魅力的なメニューがあるので、同率2位とさせていただきます。

 ファストフードとはいえ、どの店舗も工夫次第で野菜をたっぷり食べることが可能。好きなパティやバンズ、ソースの味を楽しみながら、おいしくしっかり野菜を補いましょう!
(文:佐藤真琴)

■川村郁子(かわむら・いくこ)
管理栄養士。中村学園大学栄養科学部栄養科学科卒業。九州の病院栄養士経験を経て独立。レストランのヘルシーメニュー監修、栄養専門学校講師、企業・大学での食育講演を行いながら、「コンビニや外食との上手な付き合い方」「15分で作れるかんたん栄養めし」の提案をしている。
インスタグラム:@shokuikuko/WEBサイト:「酒好きの食育

※2021年1月15日初出の記事に再編集を加えています。

LINEのグループチャットに先生から連絡、返信すべき? ママ友から注意されモヤモヤした“先生と保護者の距離”問題

今や日常生活において、かかせないツールとなっているコミュニケーションアプリ「LINE」。かつては子どもの送迎時に、ママたちが立ち話をしているような光景が見かけられたが、時間に追われ忙しく過ごす共働き世帯が増えた今、ママたちのコミュニケーションの場は、LINEのグループチャットになっているという。そんな、ママたちの「グループチャット」から浮き彫りになった、彼女たちの悩みや、苦悩、気になる話題を覗いてみる。

 きょうだいを持つママの場合、それぞれのママ友との間でグループチャットを作成し、情報交換を行っている人も多いだろう。さらに、学校の役員ごとや子どもが通う塾や習い事先など、常に複数のLINEグループに参加している人は、通知が鳴りやまないこともあるのでは? あまりに身近な連絡ツールとなったため、中には学校の先生や、習い事先の先生ともLINEのIDを交換することもあるようだ。今回は、“先生との距離感”について悩んでいるという女性のエピソードを紹介する。

息子が通う空手教室の先生と連絡先を交換。“連絡網”だと思って既読スルーした結果……

 首都圏に住む沙織さん(仮名・32歳)は、6歳になる息子を持つママだ。幼稚園児の息子は、空手を習っているという。

「息子が通う空手教室は、幼稚園に教えに来ていたことがある先生が開いています。幼稚園でのレッスンは1年間だけでしただが、その後、息子が興味を持ったので、仲が良い男の子と土曜日に教室へ通うようになりました」

 教室の主催者である先生と生徒の保護者たちは、LINEのグループチャットを使ってレッスンの休校や、欠席などの情報を共有していた。沙織さんは、先生やほかのママたちとLINEを交換することにためらいを感じたが、連絡手段のひとつとしてグループチャットに参加したという。そこでのやりとりは、先生から保護者への連絡が主だそうだ。

「緊急事態宣言中は、レッスンが休講になってしまうことも多く、イレギュラーなスケジュールだったため、グループチャットには先生から頻繁にメッセージ送られてきました。グループ宛てだったので、特に私から返信はしないでいたところ、空手教室のママ友から『沙織さんは返信をしないから、先生が心配していたよ』ってメッセージが来たんです」

 どうやら、沙織さんにメッセージを送ってきたママは、先生と直接LINEでやりとりをしていた様子。沙織さんは、「グループチャットはあくまで“連絡網”だと思っていたので、先生に直接はメッセージを送らないようにしていました。でも、中には『子どもがもっと家で練習をしたい』という相談など、こまめに先生に相談しているママもいたようです」と語る。

 グループチャットのメッセージに返信しなかったことに対して、先生から直接何か言われたことはなかったため、ママ友から間接的に指摘されたことに違和感を抱いたそうだ。

「先生は私の連絡先を知っているんだし、何かあれば直接言ってくれたらいいのになってモヤモヤしました。私のように、グループチャットで全員宛てと思われるメッセージには返信をしていなかったママ友に、注意されたことを相談したんです。すると、そのママ友は、先生に直接メッセージを送っていたことが判明。『返事が全くないと、読まれているか不安だって先生が言っていた』と教えてくれました」

 都市部では、先生と保護者のLINEを含む連絡先の交換は禁止されているケースも多い。そのため、沙織さんもこうした問題は、自分には起きないと思っていたという。

「私の地元は東北地方の田舎で、生徒数が少ない地域のため、友人から『先生と連絡先を交換した』という話は聞いたことがありました。先生とどんなやりとりをしているかなど、『ほかの保護者から探りを入れられてウザい』との愚痴も聞いていたので、私も必要最低限のことだけ連絡をしようと注意をしていたのですが、まさか『返信がない』ことで周りから注意されるとは想定外でした」

 沙織さんいわく「小学校に入学すると、さらに連絡先の交換の機会が増えるのが不安」だそうだ。

「小学生の子どもを持つママ友から中は、役員の連絡事項の共有のため、担任の先生と連絡先を交換している人もいると聞きました。新型コロナウイルス感染拡大の影響で学校公開なども中止になっていることもあり、先生と話をする場も減っているため、密に連絡を取っているママ友は『優遇されているみたいでずるい』と周りに言われたりもするそうです」

 コロナ禍の今、子どもがどのように学校生活を送っているのか知る機会が減ったことで不安を抱え、先生たちに相談の連絡をしたいと考えるママが多いのかもしれない。

「私は、普段から家族以外とはあまりLINEでやりとりをしていません。そのため、空手教室の先生にメッセージを送ると迷惑になるかなと思っていました。でも、先生の中には保護者と連絡を取ることで、生徒とのコミュニケーションを円滑にしたい人もいると知りました。ママ友たちが先生と連絡が取りたいという気持ちも、もちろんわかります。でも、自分ばかりが質問するのも図々しいかなって気が引けるんです。メッセージだと気軽に送れてしまう分、悩みますね」

 沙織さんは、「これまでLINEはプライベートな連絡手段だったのが、ママ友や先生間でもどんどん広がりをみせているため、どう使っていくべきか迷うっている」という。

「一緒に空手教室に通わせている幼稚園のママ友とは、LINE以外でも頻繁に話ができるので、お互いどう思ってメッセージを送ったかも確認がしやすい。でも、週1回や月に数回しか会わない空手教室の先生やママ友とのやりとりは、相手がどう思っているかすぐに確認ができないので、『習い事があった日の夜』というように、LINEを送るタイミングを決めようかと思いました」

 その便利さから、生活になくてはならない存在となったLINE。使い方について明確なルールがない分、連絡をする頻度や相手に対してどういう内容を送っていいのか迷ってしまう人も多いだろう。お互いの負担になったり、嫌な気持ちにならないよう、周りとも相談して使いこなしていきたいものだ。

実家の将来は“安泰”と思っていたが……「おかしいなと思った」母の言動と、あっという間に崩れた生活

 “「ヨロヨロ」と生き、「ドタリ」と倒れ、誰かの世話になって生き続ける”
――『百まで生きる覚悟』春日キスヨ(光文社)

 そんな「ヨロヨロ・ドタリ」期を迎えた老親と、家族はどう向き合っていくのか考えるシリーズ。

 これまで、晩年になって大きく変わった夫婦の関係をいくつかご紹介してきた。変わるのは夫婦関係だけではない。当然のことながら、子どもと老親の関係も変わっていく。子どもにとっては、いつまでも親は親だ。それでも、親が老いていくと変わらざるを得ないものがあるのもまたつらい現実だ。

実家の将来は安泰だと思っていた

 今野八重子さん(仮名・56)の実家は、車で1時間ほどのところにある。昔ながらの農村地帯で、父親の次郎さん(仮名・79)と母親の昌子さん(仮名・78)も長年米や野菜をつくってきた。両親と同居している弟夫婦は共働き。晩婚だったので子どもは小さかったが、両親は健康で農作業もまだ十分現役で続けられそうだったし、農繁期には弟も両親を手伝っていた。今野さんは頻繁に里帰りしては米や旬の野菜をもらって帰ってきており、いわば“いいとこどり”の生活に満足していた。実家の将来は安泰だと思っていた。

 そんな安定した生活が崩れるのは、あっという間だった。異変を感じたのは2年前の年末のこと。

「毎年、実家でとれた餅米で、一族総出で餅つきをするんです。その采配をふるうのは母。私や弟夫婦の出る幕がないくらいでした。それがこの年、母は餅つきの手順がわからなくなったんです。おかしいなと思って、父が病院に連れていったら、認知症と診断されました」

 今野さん家族のショックが大きかったのは言うまでもない。それから昌子さんはふさぎ込むようになり、坂道を転げ落ちるように状態は悪化していった。何度も同じ話を繰り返し、料理をするのも難しくなった。

 介護サービスを受けることになったが、毎日朝から晩まで休むことなく田んぼや畑に出て働いていた人だったから、デイサービスに“遊びに行く”ということに、どうしても罪悪感がぬぐえないようだった。働き者の昌子さんの切ない感情だ。

「『何もしない』という状態が申し訳ないと思っているようで、デイサービスから迎えのバスが来ても、何度もトイレに行ってなかなかバスに乗ろうとしないんです」

 そんな昌子さんを目の当たりにして、次郎さんにも複雑な感情が生まれた。

「父は古い考えの人ですが、同居しているお嫁さんに母の面倒をみてもらうわけにはいかない、と父が家事をするようになりました。弟夫婦と同居はしているのですが、台所は別だったんです。一度お嫁さんが食事をつくってくれたのですが、口に合わないと言って、断ってしまって……」

 昌子さんはトイレの失敗も増えた。

「パンツやズボンを汚してしまうんです。父はそれを洗うのが面倒らしく、汚れ物はそのたびに捨てているというんです。洗えとも言えないので、衣類を安く買える店を教えるくらいしかできませんでした」

 次郎さんは、一人奮闘していた。しかし、次郎さんは元気だったから農業を続けたい。にもかかわらず、昌子さんに手がかかるため田畑に出ることができなくなり、イライラが募っていった。

「私も両親のことが心配なので、様子を見に行きたいのですが、弟夫婦がいるのにあまり口を出すのは悪いと遠慮する気持ちもあります。それに、実は夫がいい顔をしないんです」

 今野さんの夫は東北出身だ。夫の実家周辺は、今野さんの実家のように息子家族と同居している家が多いという。

「そのせいか、『介護は同居している嫁がすべきだ』と言って、私が実家にたびたび行くのを嫌がるんです。そういう自分は親と同居しているわけでもないのに。矛盾していますよね。もっとも、夫の親と同居してくれと言われても困りますが」

 夫の母親は健在だ。東北の実家で一人暮らしをしていたが、夫の姉が離婚して実家に戻っているという。夫の言い分はどうにも身勝手としか思えない。

「姑は元気にデイサービスに通っているので、私の心配がわからないんでしょう」

――続きは8月29日更新

 

ミルクボーイ駒場をあえて降板させた海原やすよ・ともこの親心…芸人が大阪でガチトークを見せる『やすとものいたって真剣です』

 全国で人気のタレントを多数輩出し、またローカル番組らしい味わいがクセになる、関西制作のテレビ番組に注目する連載「関西バラエティ番組事件簿」。

 今回取り上げるのは、朝日放送の『やすとものいたって真剣です』(毎週木曜日放送)だ。どん欲な制作姿勢で知られる深夜放送枠「ナイト in ナイト」の一枠を2020年4月より担う同番組。姉妹漫才師の海原やすよ・ともこを司会に据え、「他人の人…

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中島健人『彼女はキレイだった』北山宏光『ただ離婚してないだけ』好評でも……ジャニーズ、近年の低視聴率「大コケドラマ」4本

 もう半世紀近く、テレビドラマで活躍するジャニーズタレントたち。現在放送中の“夏ドラマ”にも、『彼女はキレイだった』(フジテレビ系)で主人公の・ドS雑誌編集長を好演するSexy Zone・中島健人や、“月9”ドラマ『ナイト・ドクター』(同)で見せる自然な演技が話題のKing&Prince・岸優太、『ただ離婚してないだけ』(テレビ東京系)のクズ男役が「普段と別人のよう」と視聴者を驚かせているKis-My-Ft2・北山宏光など、多くのジャニーズタレントが好演している。

 しかし、過去を振り返ると、内容や演技は好評でも、視聴率において惨敗してしまったドラマも少なくない。

「最近では、今年1月期に放送された関ジャニ∞・大倉忠義主演『知ってるワイフ』(フジテレビ系)がそれに当たります。人気韓国ドラマのリメイクで、大倉演じる気弱で優柔不断な男が、大学時代に好意を寄せていた後輩(瀧本美織)から「好きだった」と言われたのを機に、妻(広瀬アリス)との結婚を後悔し、過去を変えるためタイムスリップするという大胆なストーリーです。しかし、放送された“木曜劇場”枠は、近年、視聴率が振るわないことから“死に枠”とも言われており、『知ってるワイフ』も初回から世帯平均視聴率6.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と惨敗。それでも、『大倉くんのはまり役』『展開が面白い』とネット上で口コミが広がり、最終回では8.9%まで上昇しました」(芸能ライター)

 “木曜劇場”枠のジャニーズ主演ドラマといえば、19年4月期に二階堂ふみとKAT-TUN・亀梨和也がダブル主演を務めた『ストロベリーナイト・サーガ』が思い出される。同作は、12年に竹内結子主演で火曜午後9時台で放送された『ストロベリーナイト』の続編として、7年ぶりに放送された。

「『ストロベリーナイト』が最高視聴率16.9%を記録するヒット作となったため、フジは続編の宣伝にかなり力を入れていましたが、キャストを総入れ替えしたことが多くの視聴者から反感を買い、第8話では自己最低となる5.2%を記録。さらに、全話1ケタと振るいませんでした。凄腕女性刑事を演じた二階堂、体育会系刑事役の亀梨の熱演ぶりは評価されていただけに、当時、『貧乏くじ引いてかわいそう』『ある意味、被害者では?』とキャストに同情する声も上がっていました」(同)

 そもそも近年のフジテレビは、多くのドラマ枠が低迷気味であることから、「大コケする確率が高い」ともいえる。Hey!Say!JUMP・中島裕翔主演で16年7月期に放送された『HOPE~期待ゼロの新入社員~』も、もし他局で放送されていたら結果は変わっていたかもしれない。

「日曜午後9時台に放送された『HOPE~期待ゼロの新入社員~』は、人気韓国ドラマ『ミセン-未生-』のリメイクで、囲碁のプロ棋士の夢をあきらめた一ノ瀬歩(中島)が、一流商社でインターンとして働き始め、社会人としての経験を重ねながら成長していくストーリー。しかし、前クールで芦田愛菜とシャーロット・ケイト・フォックスがダブル主演を務めたホームドラマ『OUR HOUSE』が最終回3.3%とドラマ史上に残る低視聴率を記録したこともあり、尾を引く形で『HOPE~期待ゼロの新入社員~』も4~7%台と振るいませんでした。同枠はその後も視聴者を定着させることができず、17年7月期を最後に単発バラエティ枠に変更されました」(同)

 また、フジを代表するブランド枠“月9”では、ジャニーズ主演ドラマが「月9史上ワースト更新」と話題になったこともあった。

「16年10月期に放送されたHey!Say!JUMP・山田涼介主演の『カインとアベル』は、全話平均8.2%を記録し、当時の“月9最低視聴率”という不名誉な記録を打ち立ててしまいました。同作で山田は、兄の婚約者に恋愛感情を抱く主人公を好演しましたが、当時は同作の不振を『山田の一般知名度が低すぎる』と分析するメディアもあった。ただ、その後の“月9”枠の低迷ぶりや、18年1月期に山田が主演した土曜午後10時台の連続ドラマ『もみ消して冬~わが家の問題なかったことに~』(日本テレビ系)が初回13.3%と好発進し、19年にスペシャルドラマまで放送されたことを思うと、山田の知名度の問題ではなかったようにも思えます」(同)

 最近はネットの“見逃し配信”で見る人も多く、視聴率とドラマの注目度は必ずしも比例しないとはいえ、テレビ業界では今も重要な指針となっている視聴率。かつて“月9”で20%超えを連発した木村拓哉級の国民的ジャニーズ俳優はこの先、誕生するだろうか。

オリンピック開催中に発砲事件! 「山健組若頭銃撃」は大抗争への号砲の可能性も

今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

オリンピック開催中の発砲に警察は大騒ぎ

 久々に「音」がしましたね。「音」とは銃声、つまり発砲事件のことです。

 8月5日朝、神戸市内の路上で神戸山口組の中核組織である五代目山健組の與(あたえ)則和若頭が銃撃されたのです。場所は若頭の自宅前でした。若頭が自宅を出ようとしたところ、バイクと軽自動車が近づいてきて発砲、すぐに走り去ったそうです。若頭は太ももに軽いけがをした程度でした。

 大事件とまではいいませんが、オリンピック開催中の発砲に警察は大騒ぎのようです。外国の方がたくさん見えているのに「街なかで発砲」ですからね。「ジャパンは危ない国です」と宣伝したようなものです。

 以前も書かせていただいていますが、これまではオリンピックなど大きなイベントが開催されている時は、ヤクザは抗争を控えていました。あの山一抗争でもユニバーシアード(1985年の夏季ユニバーシアード神戸大会、大学生の国際総合競技大会)の期間中は休戦しています。

 そもそも「休戦」の理由は、警備に当たる警察のメンツをつぶしたら面倒なことになるからというのが主な理由ですが、「カタギに迷惑をかけたくない」というのもあります。不良も普通にオリンピックとか大好きなんですよ。

 なので、報道も「この期間にまさかの発砲」的な書き方が多いですが、亡きオットの兄弟分は「『休戦』たって、何か約束でもあったのか? あったら報道されると思うよ」と冷静な分析。たしかに、これまでは山口組の休戦をめぐっては、事前に本部の「通達」が流出するなど、わかりやすかったですね。今回は、そうした通達もなかったようです。

 この事件については、いくつかの「謎」があります。

 まず、若頭の襲撃は2回目でした。2019年4月に六代目山口組の中核組織である弘道会系の組員に刺されて若頭は重傷を負っています。この時の実行犯と運転手役は出頭して殺人未遂などで起訴されており、今年の7月に懲役11年(実行犯)と懲役9年(運転手役)の一審判決を受けたばかりでした。ちなみに2人は控訴しています。

 なぜ若頭ばかり2度も狙われたのでしょうか? しかも、よりによってオリンピックの時期に? 

 また、銃撃してきたバイクのライダーは、炎天下になぜかダウンジャケット(しかも茶色)を着ていたそうです。目撃された市民の方の印象に残ったそうですが、そりゃ残りますよね。まったく意味がわかりません。そもそも暑いし、目撃者が覚えやすい服装はヒットマンとしては微妙すぎますし、これも謎です。

 そしてもうひとつ、最大の謎は、まだ実行犯がわからないことです。前回の若頭襲撃では、すぐに実行犯が出頭していますし、過去の事件でも六代目山口組側の実行犯はだいたい出頭しています。

 今回も六代目山口組関係者がすぐに出頭するとみられていましたが、この原稿を書いている8月12日現在、事件から1週間なのに実行犯はわかっていません。これは、とても珍しいことだと思います。

 仮に実行犯が弘道会の関係者だったとして、今回だけ、なぜ出頭しないのでしょう? そこで、出頭しないのは、「実行犯が六代目山口組関係者ではないから」だともいわれ始めています。

 では、六代目関係者でなければ、誰でしょうか?

五代目山健組は2つある

 ちょっとわかりにくいのですが、五代目山健組は昨年の7月に分裂していて、現在、「五代目山健組」は2つあります與若頭は残留したほうの山健組です。

 分裂に至るにはいろいろあったでしょうから、この流れでの銃撃も可能性としてはある、というわけです。謎は深まるばかりです。

 この事件が起こるまでは、「オリパラが終わったら、山口組再統一に向けて大きな動きがある」といわれていましたが、その前に起こってしまったことで、「オリパラを待たずに動きだすかも」という話もあります。

 山一抗争みたいな大抗争にはならないでしょうが(と思いたい)、何かあるのでしょうかね。ひとまず今回は死者や重傷者が出ていないので、よかったです。

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日曜劇場『TOKYO MER』第6話、初の視聴率“2ケタ割れ”も……佐藤栞里の「自然な演技」「恋愛フラグ」に注目集まる

 8月8日、鈴木亮平が主演を務める日曜劇場『TOKYO MER~走る緊急救命室~』(TBS系)の第6話が放送され、世帯平均視聴率は8.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)を記録。前回の10.8%から2.4ポイント下落し、初めて2ケタを割る結果となってしまったが、視聴者の間では、ある出演者に高評価が集まっているという。

 都知事の命令で新設された救命救急チーム「TOKYO MER」の活躍を描く同作。第6話では、小学生18人が山中で遭難する事故が発生し、TOKYO MERに出動要請が出る内容だった。チームのチーフドクターである喜多見幸太(鈴木)は現場に到着後、レスキュー隊から登山道を外れた3つのポイントで捜索をしていると聞き、MERのメンバーも3分割して救助を行うこととなった。

「その後、発見された小学生たちに“腫れ”が見られたことから、スズメバチの襲撃から逃げるうちに遭難したことが判明。さらに、スズメバチに刺された経験のある男の子1人がショック症状に陥っている可能性も浮上し、運び込まれたERカーの中で緊急オペを行い、一命を取り留める展開でした」(芸能ライター)

 そんな緊迫したストーリーの中で、佐藤栞里が演じる喜多見の妹・涼香と、MERメンバーで厚生労働省の官僚でもある音羽尚(賀来賢人)の関係に、視聴者の注目が集まっているよう。

「今回、出動要請がかかる前にMERのもとを訪れていた涼香は、メンバーに手作りのフィナンシェをプレゼントし、音羽にも渡そうとしましたが、『お気持ちだけ頂きます』と断られることに。さらに音羽は、涼香を前にして『今は喜多見チーフという規格外の存在がいるからうまくいっているだけですよ』などと、MERに対して不満を漏らす一幕もありました」(同)

 しかし、今回の遭難事故でチームを分割して捜索を行い、MERメンバー一人ひとりの活躍を目の当たりにした音羽。出動から戻り、音羽は涼香に認識をあらためたことを伝え、「ごちそうさまでした」とフィナンシェが入っていた箱を手渡す。その中には、「美味しかったです」と書いた手紙が入っていた。

「これを見た視聴者からは、『完全に恋愛フラグでしょ!』『早く付き合って〜!』といった大興奮の声が続出。また、涼香にスポットが当たったこともあって、『バラエティ向きだと思ってたけど、演技がめちゃくちゃうまい』『自然な演技で引き込まれた』『笑顔がすごく素敵。ガチの恋愛ドラマにも出てほしいなあ』などと、佐藤の演技を評価する人も多かったです」(同)

 佐藤は同作が初の連ドラレギュラー出演となるが、一目置かれる存在感を放っているよう。音羽と涼香の今後からも、ますます目が離せなくなりそうだ。

伝説のドラマ『NIGHT HEAD』に詰まった90年代前半の“空気感”――豊川悦司の「怒り」と武田真治の「弱さ」が、暗い輝きとなった

――ドラマにはいつも時代と生きる“俳優”がいる。『キャラクタードラマの誕生』(河出書房新社)『テレビドラマクロニクル1990→2020』(PLANETS)などの著書で知られるドラマ評論家・成馬零一氏が、“俳優”にスポットを当てて90年代の名作ドラマをレビューする。

 7月14日よりフジテレビ系の「+Ultra」枠で放送されている深夜アニメ『NIGHT HEAD 2041』は、1992~93年にかけて放送された伝説の深夜ドラマ『NIGHT HEAD』(同)をリブートしたものだ。

 超能力者ゆえに15年もの間、研究所に隔離されて育ってきた霧原直人・直也兄弟。外に出た彼らを持ち受けていたのは、超能力者が取り締まられ、超常現象を題材にした創作物が思想統制された日本だった。

 物語は霧原兄弟のエピソードと同時に、危険思想を取り締まる国家保安部の特殊部隊に所属する黒木タクヤ、ユウヤ兄弟の物語が描かれ、やがて彼らにも超能力が備わっていることが明らかになる。

 アニメ版の脚本はテレビドラマでも監督・原作を担当した飯田譲治。霧原兄弟の物語はドラマ版の展開をなぞっているのだが、舞台を2041年の日本をとすることで、全く違う物語になっている。

 筆者は高校生の時に『NIGHT HEAD』をリアルタイムで見たのだが、アニメを見ているとドラマが放送されていた当時のことをいろいろと思い出す。深夜に偶然目にした『NIGHT HEAD』は衝撃だった。オープニングとエンディングでは怪しげな奇声の入った民族音楽が流れ、映像も不気味で生々しい。物語は超能力者の兄弟が行く先々で人間のおぞましい一面を覗き込んでしまうというもので、後味の悪い話が描かれ、毎回ブツ切りでドラマは終わる。

 兄の直人(豊川悦司)は、感情が高ぶると周囲のモノや人を傷つける念動力の持ち主。弟の直也(武田真治)は、他人の心を読み取るリーディング能力の持ち主で、2人は普通の生活に憧れていた。

 劇中では「精神世界」「変革」「100匹目の猿」といった意味ありげな言葉が飛び交い、ほかのドラマと比べた時に宗教的、哲学的なテーマを扱っている難解な作品に思えた。現在の視点から見ると、思わせぶりでハッタリの演出にすぎないのだが、当時は世界の真実を知らされたようなショッキングな映像体験だった。まだネットが普及する前に作られた深夜ドラマだからこそ成立した、カルトドラマだったと言えるだろう。

 こんな怪しい深夜ドラマが隠れたヒット作となり、のちに映画化されたことに当時は驚いたが、人気の大半を占めていたのは謎に満ちた物語ではなく、霧原兄弟を演じた豊川悦司と武田真治が醸し出す色気だったのだと、今ならよくわかる。

 豊川と武田は90年代を代表する人気俳優だが『NIGHT HEAD』出演当時はまだ無名だった。

 豊川は、渡辺えり子(現・渡辺えり)が主宰する劇団3〇〇に所属していた俳優で、1989年に退団した後、中原俊監督の映画『12人の優しい日本人』(91年)などの作品に端役として出演。翌92年に主演ドラマ『NIGHT HEAD』で大きく注目され、95年に北川悦吏子脚本の恋愛ドラマ『愛していると言ってくれ』(TBS系)の主演を務めたことで大ブレーク。「トヨエツ」という愛称で親しまれるようになり、アイドル的な人気を博すようになった。

 一方、89年に「第2回ジュノン・スーパーボーイ・コンテンスト」 のグランプリを受賞して芸能界入りした武田も駆け出しだったが、『NIGHT HEAD』と同時期に放送された「ボクたちのドラマシリーズ」第1作の『放課後』(フジテレビ系)に出演したことをきっかけに、若者向けドラマの常連となっていく。

 ひたすら暗鬱としたマニアックなドラマだった『NIGHT HEAD』に出演していた豊川と武田が、同作を機にあれよあれよと連続ドラマで主演を務める人気俳優に変わっていく姿に当時は戸惑ったが、今振り返ると、2人がまとっていた独自の雰囲気が、あの時代の気分をいち早く反映していたからこそ、一気に受け入れられたのだと思う。 

 『NIGHT HEAD』が放送されていた90年代前半は、今振り返っても奇妙な時代だった。まだまだ日本は豊かで明るかったが、昭和から平成に時代が移り、バブルも崩壊し、世紀末ということもあって、世の中が暗くなる兆候が次々と現れ始めていた。

 そんな、暗い影が差し込みはじめた時代の気分をいち早く捉え、人間の心の闇を描いたドラマが『NIGHT HEAD』だったのだ。豊川も武田も、80年代のトレンディ俳優とは違う、独特の暗さを身にまとっていた。

 豊川の場合は、それが怒りで感情が爆発した時に見せるドスの利いた迫力となって現れており、武田の場合は人の悪意に触れる度に心を病んでいく弱々しさへとつながっていた。

 2人とも端正な顔立ちだったが、美しさの背後に「怒り」や「悲しみ」がにじみ出ていた。それはとても病んだものに見えたが、そうしたマイナスの感情をテレビドラマでここまであらわにできること自体に爽快感があった。

 現在の武田は筋トレを売りにするマッチョなタレントとなり、豊川は偏屈なおじさんを演じる怪優になっている。不健康な怒りや弱さを全面に打ち出していた『NIGHT HEAD』の頃の面影は、もはや存在しない。そのことを寂しく感じる時もあるが、だからこそ当時の2人の芝居は、あの瞬間にしか成立しない暗い輝きとして、ドラマの中に刻印されているとも言える。

 おそらく今回のリブートがアニメだったのは、霧原兄弟は当時の2人にしか演じられないと作り手が思っているからだろう。生涯に一度しか出会えない完璧なハマり役だったと、あらためて感じるのである。
(成馬零一)