中居正広がジャニーズ事務所を退所して、早や1年がたつ。この3月、中居は「この1年なんにもしなかった」「オレ、これでいいのかな」と、自身の不甲斐なさを嘆いていたが、MC業の仕事は相変わらず好調。古巣のジャニーズ事務所をはじめ、芸能界全体からも中居のポジションを脅かすような存在は現れていないといえるだろう。
裏を返せば、中居のようなMCスキルを持つ後輩がジャニーズから育っていないともいえる。そこで、近年MC業に進出してきたジャニーズタレントについて、テレビマンの評価を聞いてみた。
まずは、今や事務所の大御所グループとなった関ジャニ∞の丸山隆平。すでに村上信五はMC業で頭一つ抜けた立ち位置を確立しているが、丸山は現在、土曜朝の情報番組『サタデープラス』(TBS系)のMCを務めている。
「ファンにとっては彼の笑顔が見られるとあって好評ですが、この番組をきっかけに、ほかの司会仕事がオファーされている気配はありません。番組のパートナーは進行のうまさに定評がある小島瑠璃子ですし、さらに昨年からは、声優の田中真弓が進行とコーナーのタイトルコール、さらにはゲストへのコメント振りもやってくれるようになりました。丸山は、今はただのお飾りといえます」(業界関係者)
デビュー10年目、中堅グループのKis-My-Ft2では藤ヶ谷太輔が『A-Studio+』(同)で笑福亭鶴瓶とともにダブルMCを務めている。
「藤ヶ谷は、話を振るのが苦手のようです。ゲストに本題のトークをさせようとするとき、藤ヶ谷は呼び水となるエピソードや質問を一言切り出すのですが、その言い方が曖昧だったり、言い切らないため、意図がつかめないゲストが戸惑っていることがある。MC就任当初は、鶴瓶を脅かす存在になるかと注目していましたが、どうも期待先行だったようです」(同)
今月11日から『歌ネタゴングSHOW 爆笑!ターンテーブル』(TBS系)で司会の1人として活躍しているジャニーズWEST・桐山照史はどうだろうか?
「この番組は司会と言っても、ネタを披露するゲストの前口上を言うだけなので、誰でもいいと言えば誰でもいいと言えます。桐山のMCスキルを測れるような見どころはないですね。この3人は、“どんぐりの背比べ”状態と言えるのでは」(同)
それにしてもなぜ、ジャニーズのMCスキルは向上しないのだろうか?
「“他流試合”をしないことが考えられます。他流試合というのは、自分たち以外の番組で戦うこと。かつては『うたばん』(TBS系)や『HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP』(フジテレビ系)など、トークメインの音楽番組に出演することでトークスキルが磨かれたのですが、今はトークよりも楽曲披露を重視する番組が多くなっているので、MCと話すことすらないんです」(同)
また、そもそも司会がいらない番組が増えているという。
「冠番組を見ても、『パパジャニWEST』(テレビ朝日系)や『それSnow Manにやらせて下さい』(TBS系)のように、仕切り役や司会を立てなくても成立してしまうことが多い。『パパジャニ』は天の声としてずん・飯尾和樹が“カズキくん”として登場、『それスノ』は11歳の子役“ゆさぴょん”こと矢崎由紗が天の声を担当。実質、天の声が番組を回しているので、MC力もつけたくてもつけようがありません」(放送作家)
一方の中居は、1993年10月、NHKの音楽番組『アイドルオンステージ』の司会を務めたり、翌94年10月からは『OH!エルくらぶ』(テレビ朝日系)で司会陣の1人として活躍。96年には初冠番組『中居くん温泉』(日本テレビ系)が始まるなど、順調にMC業のスキルを固めていった。
しかし、中居のMCは結局のところ、何がすごいのだろうか? 同じ司会者でいえば、ダウンタウン・ 松本人志のように一言つぶやいて落とすタイプや、出演者と激しい会話リレーを交わしながら盛り上げていく明石家さんまの姿はわかりやすいが、中居の特徴は見えにくい。
「中居もそうした先輩から影響を受けたと話していますが、彼は自らポジションを下げていって、出演者と程よく脱線するタイプ。予定調和になりすぎないよう、あえて踏み外すことを心がけているといえます。ちなみに、先日20周年を迎えた司会番組『ザ!世界仰天ニュース』(日本テレビ系)は、過去の使い回しVTRが多く、ネタの枯渇が目立ちますが、それでも視聴者が離れない。それは、同じくMCの笑福亭鶴瓶と中居の絡みや、ゲストとのやりとりを見たいという気持ちが視聴者にあるのでしょう」(同)
MCを務めつつも、ゲストと共に暴走し、脱線する姿勢が特徴とのことだが、一方で『中居正広のニュースな会』(テレビ朝日系)では、真面目な姿を見せている。
「最近は、感染症の専門家をリモート出演させています。例えば4月10日オンエアでは、イギリスのワクチン接種について現地の支局員が中継でリポートしていました。その際、パネラーの1人が何か聞きたそうにしながらも、なかなかタイミングよく割って入れないでいるのを察知した中居は、そのパネラーに『でも、副反応だとか副作用みたいなの聞きますよね』と、あえて質問を投げかけて、専門家への橋渡しをするなど、細やかなテクニックを見せました」(同)
また、進行力についても称賛の声が聞かれる。
「話題をガラッと変えるときのセリフを担当するのは『大進行』、そのあとの章立てを説明するときの担当を『中進行』と言ったりします。大進行はどのタレントもできますが、中居は中進行まで、原稿を読みながらではありますが、淀みなく説明しているんです。中進行は、ほとんどがアナウンサーなどサブMCに任せるケースが多いのですが、それも必要ないほど、中居の進行は優秀です」(同)
そんな彼が持つ潜在能力を見抜いたのは、他ならぬジャニー喜多川氏だ。古巣のジャニーズ事務所から、中居を脅かす司会者となる若手は現れるのだろうか?
(村上春虎)