今月からレビューしていくのは、主に40代以上の女性をターゲットとする隔週女性誌「婦人公論」(中央公論社)です。三大ミューズ(?)が美輪明宏、江原啓之、瀬戸内寂聴といったイメージの同誌ですが、今号には江原と寂聴のインタビューが。なんとも華々しい新年号です。
特集は「幸運は、あなたのすぐそばにある」。特集内には、禅の一種であるらしい「ゼンタングル(R)」の認定講師を名乗る佐藤心美先生による「描けば心が安らぐ華やかな曼荼羅」の誌面講座があったり、「琉球風水志」を名乗るシウマ先生による提案「“ラッキーナンバー”でいい運気を引き寄せる」があったりと、スピリチュアルな雰囲気も漂います。
新型コロナウイルスの流行が収まらない中、2021年一発目の「婦人公論」は「幸運」という漠然としたテーマでどんなメッセージを伝えてくれるのか……? さっそく中身を見ていきましょう。
<トピックス>
◎瀬戸内寂聴 今に目を向ければ幸せへの入り口は見つかります
◎江原啓之 視野を広く、竹のようにしなやかに
◎読者体験手記 不運に愛されて
寂聴先生、不死鳥エピソード更新
最初に見ていくのは、今年で99歳になられる瀬戸内寂聴先生のインタビュー「今に目を向ければ幸せへの入り口は見つかります」。なんと寂聴先生、昨年10月に寂聴庵で転倒して頭を打ち、検査入院したと告白しています。なんでも転倒したのは夜中で、朝に秘書が出勤してやっと発見されたそうですが、大事には至らず甦ったという寂聴先生。「元気になりました」「私は今、とても幸せですよ」「退院後も時々、仕事で徹夜をしています」と語る様子は、まるで不死鳥。
これまでも胆のうがん、頚椎圧迫骨折などから華麗に復活を遂げてきた寂聴先生は、確かに強運の持ち主。気になるのはその秘訣ですが、インタビューで語っているのは、「今持っているものに目を向けると、それが幸運につながる」「不幸だと思ったできごとが、実は思いがけない幸福への入り口になることだってある」といった、誰でもどこかで聞いたことがあるであろう一般論的な内容でした。
しかし、その“一般論”も寂聴先生が語ることで重みが加わるような気もしてきます。「何を言うか」よりも、「誰が言うか」を重視してしまう現代を、寂聴先生からも垣間見た気がします。
続いては江原啓之のインタビュー「視野を広く、竹のようにしなやかに」。江原さんは昨年、拠点を東京から熱海に完全に移したそう。熱海の自宅、その名も「スピリチュアル・ヒーリング・サンクチュアリ昌清庵」で取材に応じています。
「私は昨年の新春講演会で、20年を示すキーワードとして『破綻と崩壊』を挙げました。残念ながらそれは現実となり(以下略)」と、“コロナを予知していたアピール”にも余念がない江原さんですが、「新型コロナウイルス感染拡大の時期と私の完全移転が重なったことで『東京脱出』と言われましたが、移転はコロナ禍前に決まっていました」と、どこか言い訳がましく語っているのも気になります。
「江原啓之、東京脱出」。そのようなどうでもよいニュース、少なくとも個人的には見聞きした覚えがないので、一部アンチが言っていたのでしょうか。「江原さんてエゴサーチとかしているのかも」との疑念も浮かびました。
そしてインタビュー内で最も興味深いのは、移転先に熱海を選んだ理由について語った部分でした。
候補地を探しているある日、「『熱海』『熱海』という文字がお告げのように私の頭に浮かんだ」という江原さん。さっそく熱海に向かい、「『こっちかな』という感じでタクシーを走らせ、『あ、ここだな』と思った場所にたどり着きました」といい、それが今の昌清庵のある場所だそう。「説明するのは難しいですが、『熱海』というメッセージは霊界の導きだったのだと思います」と、まとめています。霊界のお導き、か……。読者の参考にはならなさそうです。
また写真を見る限り、相変わらず福福しい外見の江原さんですが、最近は「食品添加物を避けたり、無農薬栽培の野菜を選んだりしている」とのこと。自作の野菜を使った料理にもハマっており、大根は葉まで使い切るそうです。
そんな江原さんは自炊している自分に誇りを感じているようで、「料理のできない人は、人生の悩みを自らの力で乗り越えることが苦手な傾向にあります」という、余計な一言も添えています。
引っ越し先を「霊界のお導き」で決められる人に、「人生の悩みを自らの力で乗り越える」ことのしんどさは、果たして理解できているのか? 野菜中心の自炊でもエビス様体形を維持できる体質って? ……と、江原さんへの疑問が深まるインタビューでした。
江原啓之を超えていく読者
「幸運は、あなたのすぐそばにある」と説く今号ですが、公募の読者体験記のテーマは「不運に愛されて」。紹介されている二つの投稿は、これまでの人生を恐るべき記憶力で振り返り、体験した不運をこれでもかと並べています。中でも「ゲリラ豪雨にピンポイントで狙い撃ち」されたというエピソードが、むしろ強運でないと遭遇できない出来事では? この読者のほうが、霊界のお導きで生きる江原さんよりも、何らかの特別な力を持っているのではと感じました。