羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。
<今回の有名人>
「何かが合わない感じ」ローラ
『まつもTOなかい ~マッチングな夜~』(11月21日、フジテレビ系)
11月7日放送の『マツコ会議』(日本テレビ系)、ゲストはフワちゃんだった。今年テレビに出まくった、ニューカマー・フワちゃんに対し、番組のMCを務めるマツコ・デラックスには最近“引退説”が持ち上がっている。「女性自身」2020年10月27日号(光文社)によると、マツコの所属事務所社長は同誌の電話取材に対し、「いまのキャラのままで、これからずっと将来も、というのはやっぱり難しいです。これからどうするのかを自分でも考えているところですよ」と話し、引退説を完全否定しなかった。もちろん今すぐ引退ということはないだろうが、いつまでテレビでマツコが見られるかは未知数のようだ。
そのせいか、最近マツコが番組で話す内容には、まるで「辞めていく先輩が新人に言っておきたいこと」のように感じられるものが多い。テレビの将来を憂うマツコは、「この人(フワちゃん)に課せられた使命は大きい」として、テレビの世界で活躍するコツをフワちゃんに伝授していく。そのうちの一つが、「人を選べ」だった。これは、フワちゃんの個性を理解した上で、番組の企画を立てられるテレビマンと組めというアドバイスだったが、フワちゃんは真面目に聞いていたものの「(テレビの世界に)しつこくしがみつくとか、長く生き残るぞという意気込みではない」「海外に行って売れたい」と、「そこまでテレビに興味はない」と言ってのけた。
そんなフワちゃんが11月21日に出演したのが、『まつもTOなかい ~マッチングな夜~』(フジテレビ系)。ダウンタウン・松本人志と中居正広が会わせてみたい二人をマッチングするという企画の番組で、フワちゃんの相手は、モデル・ローラだった。
ローラといえば、モデルとしての活躍はもちろん、大物にも物怖じせずタメ口で行くキャラでブレークした。現在、ロサンゼルス在住だそうだが、テレビで見るのは久しぶりに感じる。歯を直したのか、痩せたのか、顔の印象が大分変ったような気がした。そんなローラは、フワちゃん以上に、テレビに囚われていないように感じられた。
フワちゃんは芸能界では、ローラの後輩に当たる。正攻法の「ローラさんにめちゃめちゃ憧れていて」「ローラさんのYouTubeを見てオーガニックに興味を持って」と下手に出ることで、ローラの歓心を買おうとするが、ローラはまったく笑わない。「ローラさんがモデルをやっているときから見ていた」とフワちゃんがさらに機嫌を取り、「は~、うれしいな」とは言うものの、やはり顔は笑っていない。中居は震え、松本も「こりゃ、だめだわ」と二回漏らしていた。話が合わないというより、ローラがフワちゃんを受け入れていないように私には見えた。あまりに盛り上がらないので、松本が「ローラはフワちゃんと会いたくなかったの? 人と会うの好きでしょ?」と聞くと、ローラは「大好き。でも、何かが合わない気がするの」と拒絶してみせた。
テレビを見ていて、出演者が表面的には和やかそうに話していても、あまり相性が良くないだろうと感じることはあるが、ここまで盛り上がらないというのは滅多にない気がする。フワちゃんが気を使っている姿が気の毒だったし、あれではローラが新人イジメをしているように見えたのではないだろうか。わざわざロサンゼルスからやって来て、あの態度では好感度がガタ落ちだろうと思ったが、この考え方自体が古いのではないかと考え直した。
可愛くて面白いモデルという印象のあったローラだが、実はかなりの料理上手で、『めざましテレビ』(フジテレビ系)で料理コーナーを持っていたこともある。盛り付けや食器のセンスも良く、体にいいものを取り入れて作った料理をインスタグラムにアップしていた。
そんな食に思い入れのあるローラは、今年の10月26日に、インスタで「実は環境問題の事をたくさん勉強してから、、お肉が与える環境へのダメージがものすごく大きいということをしって1年ほど前からお肉を食べる事をやめたの」と明かしている。
日本の芸能界で環境問題に関心があると言ったり、特定の食品を食べないと公式の場で発表すると、CMなどに差しさわりがある。ひと昔前ならそう考えられただろうが、『マツコ会議』でのフワちゃんの発言通り、テレビの世界はしがみつくものではなくなっているのではないか。そもそもテレビに出たり、CMに出ることが、芸能人として成功という考え方自体が廃れてきているようにも思う。
ローラは今年7月に、14年間所属していた事務所を6月末をもって退所したことを発表。「女性自身」7月21日号の記事によると、最近のローラはテレビの露出を減らし、自分のやりたいことに中心に動くようになってきたそうだ。それができるのも、インスタグラムのフォロワー数640万人、Youtube登録者数70.5万人(11月26日現在)と、インフルエンサーとしての地位があるからだという。だからローラは自分を曲げてまで、テレビで好感度の高いふるまいをする必要がなかったのかもしれない。
ネットがない時代、芸能人はテレビに出て顔と名前を売ることが“お仕事”であった。テレビに出るためには、売り込んでくれる事務所に所属し、頭を下げてテレビに出してもらう。よっぽどの売れっ子でもない限り、タレントは事務所とテレビ局には頭が上がらなかっただろう。
しかし、今はシロウトでも番組を作って発信できる時代である。YouTubeなら、いつでも好きな時に動画が見られる。テレビと比べて、時間が長すぎないのも忙しい現代人には助かるため、人気を博しているのではないだろうか。若い世代には、ほしい情報、好きな人をピンポイントで得られるので、テレビよりYouTubeのほうが便利なのだと思う。
少し前なら、大きな事務所の人は偉そうにしているとか、お笑いはアイドルより下とか、芸歴の長い人を敬わねばいけないといった事務所別・職種別・芸歴の序列があったが、これからはYouTubeの登録者数の多さでタレントをはかる時代になるのかもしれない。ちなみにフワちゃんのYouTube登録者数は、ローラより約4.5万人多い75.1万人である。