食べるラー油、塩レモン、酒粕、麻辣……食にブームを巻き起こしてきた「調味料」。家庭の食宅に新たな味覚を与えてくれる存在だが、そんな調味料が全国津々浦々から集い、評価を競い合う選手権があるのをご存じだろうか? その名も「調味料選手権」。今年で11回目を迎える、日本野菜ソムリエ協会が主催する大会だ。
11月3日の「調味料の日(イイ味覚の日)」に最終審査を控え、現在まさに審査のまっただなか。今年集まった調味料は、北海道から沖縄まで全161品と過去最多。同大会のホームページを見ると酢、めんつゆといった定番調味料から、「親父と息子の合わせ技」や「だしプレッソ」という、味や使い方の想像がつかないものまでエントリーされている。いったい、これらをどのように審査しているのか? 今年の傾向はどんなものか? 一般人を対象にした「審査会」が行われていると聞きつけ、取材してきた。
この2〜3年は「辛味」のブーム
調味料選手権の審査員長で調味料ソムリエのMICHIKO氏によると、この2〜3年は「辛味」のブームがきていて、今回のエントリーにも反映されているという。
「山椒が入っているものや、唐辛子を使っているものが目立ち、唐辛子の種類も、さまざまになってきました。ほかには、タイなどエスニック系の調味料も登場していますね。地元の特産品を使い工夫を重ねた調味料、伝統的な調味料、こんな調味料が食べてみたかったと気付かされるような、アイデアが光る商品も多かったように思います。例年ですと、パッケージデザインにも傾向があるのですが、今回ははやりがなく、それぞれ個性的なものが多くて見ているだけでも楽しいです」
昨年の総合1位は「雲丹醤油」(株式会社ロコファームビレッジ)、2位に「ゴールデンマスタード」(GOLDEN MUSTARD株式会社)、3位は「発酵のちから サクサクしょうゆアーモンド」(キッコーマンこころダイニング株式会社)。3つとも、それぞれジャンルの異なる商品だが、過去10年の中でエントリーの傾向はどう変わってきたのだろうか?
「最初の頃は、まだ調味料の中心は『さ・し・す・せ・そ』で、今のように加工調味料などは多くありませんでした。10年前は、醤油といっても地域によって味が違うことをご存じない方も多く、九州の甘い醤油だったり、京都の淡口醤油だったり、それらが目新しい存在だったんです。そうした、土地土地の伝統的な『さ・し・す・せ・そ』が多く揃っていた時代を経て、今では、年ごとに新定番調味料、ご当地調味料、加工調味料などの新製品が登場しています」
たしかに、今でこそ九州の甘い「さしみ醤油」は一般的になったものの、10年前の関東地区では目新しく映ったことだろう。年々、調味料のバリエーションが増えている背景には、なにが考えられるのか?
「女性の社会進出がどんどん増え、簡単で手間なし、時短料理がもてはやされるようになりました。ご飯のお供や加工調味料などが人気となり、それに応えるようにメーカーも熱い思いで商品開発に取り組むようになっています。年々、調味料のへの関心は強くなっているとは感じていましたが、特に今年はそれを感じます。一つにはコロナ禍で家にいる時間が増えたことで、手軽にいつもと違う味わいに出会える調味料への興味が増しているのでしょう。そして、新たな調味料は食卓での話題にもなります。生産地や原料などを話すことも楽しいですよね」
「家食」への関心、ひいては調味料への興味が過去最高になっているといえる今年、果たしてどんな調味料が1位に選ばれるのか? 実際に、一般人も参加できる一次審査に参加してみた(事前申し込み必要、現在は受け付け終了)。
審査員それぞれの机に用意されているのは全エントリー161品のうち40品。商品に番号が振られ、トレイに入った状態で提供された。今回は148番の「野菜たっぷりスパイシーソース」から始まって「親父と息子の合わせ技」(味噌)で終了。なお、審査を公正に行うため、審査員それぞれでスタートする番号は異なる。最初と最後では味覚や集中力に違いが出てしまい、公正にジャッジできなくなる可能性があるからだという。

評価の基準は、味・商品背景(生産背景)・パッケージ・価格の4ポイント。味を感じながら、生産への思いをつづった資料を読み、パッケージもチェックしていくが、思った以上に時間がかかる作業で、特に生産ストーリーには人柄が表れているため、読みながら感情が揺さぶられてしまう。伝統の食材を後世に残したいという思いや、開発中に起こった人間関係の衝突や育まれた友情、地域の人々への愛や家族愛などドラマにあふれているのだ。味だけではなく、そうしたストーリーも評価ポイントになるのが、この大会の魅力だと思う。
それにしても、時間がいくらあっても足りない。MICHIKOさんが「審査時間の目標は40分です」と言っていたのも納得。結局40品を審査するのに、1時間半かかってしまった。
実際に食べていると、「いますぐ買って帰りたい!」と衝動を覚えるモノもあり、MICHIKOさんに購入可能か聞いてみると、10月27日からECサイトがオープンするので、そこで最終選考に残った調味料を購入できるとか。また、その購入数は最終審査にも影響するという。その最終審査は、11月3日に東急プラザ銀座で開催。会場は一般にも開かれているため、実際に試食はできないものの「買ってみたい」という商品に投票、審査に参加可能となっている。
いち早く、次のブームとなる調味料と出会いたい人、新たな味覚と出会い人は、販売サイトや最終審査をチェックしてみると、食がもっと楽しくなりそうだ。
ちなみに、いまリアルに人気の調味料はどんなものなのか、ECサイト・Amazonで調味料部門の人気ランキングをチェックしてみた。
【調味料ランキング2位:新宿中村屋 「香りとしびれほとばしる食べる麻辣油」 110g 価格428円】
調味料ランキング2位は、いままさにブームの麻辣を使った「香りとしびれほとばしる食べる麻辣油」。クラッシュピーナッツ、くるみなどナッツをたっぷり使って食べごたえのある調味料になっているという。麻辣初心者が手を出しやすい商品かもしれない。
【酢・ビネガーカテゴリ1位:内堀醸造「臨醐山黒酢」 360ml 価格540円】
酢・ビネガーカテゴリのベストセラー1位にランクインしていたのが、この「臨醐山黒酢」。岐阜県八百津町で造られた黒酢で、炒めものをはじめとした料理に使ってよし、そのまま水や牛乳で薄めて飲んでよし、万能に使える調味料だという。数年前に訪れた黒酢ブームだが、流行に終わらにず定番調味料として人気になっているよう。
【スパイス・ハーブカテゴリ1位:黒瀬食鳥 「黒瀬のスパイス」 瓶 110g 価格929円】
スパイス・ハーブカテゴリのベストセラー1位は「黒瀬のスパイス」。“知る人ぞ知るクセになる万能調味料”とのことで、福岡県北九州市の鶏肉専門店「くろせ」が作っている。レッドベルペッパー、ガーリック、パプリカ、コリアンダー、グリーンベルペッパー、唐辛子、マジョラム、オレガノ、バジルなどのスパイスが配合され、野菜炒めや串焼きなどコレ1本で味つけが完了するとか。
日本だけでも味わいきれないほどの数が存在する調味料。ついついあれもこれもと買ってしまって、使い切れないまま冷蔵庫に眠ってしまいがちだ。そんなときは、「調味料使い切りレシピ」が参考になるかもしれない。
・調味料選手権 ECサイト
・調味料選手権公式サイト