10月7日に放送がスタートした連続ドラマ『だから私はメイクする』(テレビ東京系)が好評を博している。
同ドラマは、メイクをする理由を通して、さまざまな女性の生き方を描いた作品。初回では、地味なオタク女子だった錦織笑子(島崎遥香)がメイクの沼にハマり、人形のような濃いメイクを好むようになった結果、会社で浮いた存在となり思い悩む姿が描かれた。
笑子は、同ドラマの主人公であるコスメショップのビューティーアドバイザー(BA)・熊谷すみれ(神崎恵)との出会いをきっかけに、他人のためではなく、自分のためにするメイクの素晴らしさを再確認するのだが、ネット上では、笑子に共感する声とともに、すみれのようなBAに「私も出会いたい!」というコメントが飛び交っていた。
デパートの1階にある華やかなコスメカウンターに立つBA。多種多様なコスメの中から、自分に似合うものはどれか、こちら側の希望を聞きつつ的確にアドバイスをしてくれる存在だ。BAと話をしながら、自分がメイクに求めるものは何かに気づき、さらに買い物が楽しくなったという経験を持つ人も少なくないのではないだろうか。
しかし、そんなBAだが、実際にはかなり過酷で、ブラックな職業といううわさは根強い。ばっちりメイクでの立ち仕事という重労働、ノルマが厳しく、かつ職場の人間関係もこじれがち……なんて話を耳にすることもある。
サイゾーウーマンでは、そんなBAの裏側に迫るべく、現役BAの座談会を開催していた。都内の百貨店に勤める30代のBA3人は、一体どんな暴露をしてくれたのか。いまあらためてこの座談会を掲載する。
(編集部)
(初出:2017年10月9日)
現役BAが暴露! クレーマー、常連太客……華やかな化粧品売り場の過酷な実情
デパートの1階にあるコスメカウンター。そこに待ち構えるのは、キラキラしたビューティーアドバイザー(BA)たち。バッチリメイクで立ち仕事は、いかにも疲れそうで、加えて女の園ゆえ、人間関係も難しいのでは……? ということで、都内の百貨店に勤めるBAさん3人に集まっていただき、座談会を開催。華やかな化粧品売り場の裏側に迫った。
<参加者プロフィール>
ファイト:33歳、BA歴8年。都内大手百貨店A勤務。他2名の参加者とは、前の店舗で一緒だった。客を引き寄せるトーク力に定評あり。
ヤスコ:32歳、BA歴5年。都内老舗百貨店B勤務。嫌いな客のタイプは、せっかちな人。
オン眉:31歳、BA歴6年。都内老舗百貨店B勤務。彼氏いない歴も6年。
◎BAに会いたい……恐怖のストーカー
――今日の座談会は、「知られざるBAの裏側」について語っていただければと思います。某ブランドのBAさん、3名にお集まりいただきました。皆さん、都内の百貨店に勤務してらっしゃるということで、かなりいろいろな経験をしてこられたのではないでしょうか?
オン眉 確かに給料が安い割に、やることは多いし、人間関係も含めて、結構ハードかもしれない。私の後輩で、常に辞表を持ち歩いてる子がいますよ。
――えっ! いつでも辞められるようにということですか?
オン眉 そうそう。いつも愚痴ってる。でも、持ってるだけで、まだ辞めてないですけどね。
――やっぱり、ストレスのたまる仕事なんですね。
ファイト たまるたまる。前にうちの百貨店に変質者が来て、大声で「死ぬ! オレはもう死ぬ!」って言いだしたんです。それ聞いた先輩が、「こっちが死にてぇよ!」ってつぶやいてるのが印象的だった。「叫んでる変質者がうらやましい」って……。その先輩はまだどこかの店で、ストレスと戦いながら続けてるはず。
――なんか、初っぱなからすごい話題ですね。具体的には、どんなことでストレスがたまるんですか?
ファイト 接客業だから、変な客は来ます。うちみたいに大型の店舗になると、それこそ平日でも100人くらいの客は来ますからね。私が今までで一番キモかった客は、ストーカー。週3回くらい来てました。
――ええ! そもそもストーカーって、どういうことですか?
ファイト 婚活パーティーで1回だけ会った人なんだけど、どういうわけか気に入られちゃって、連絡先も交換してないのに、仕事先を突き止められたんです。多分、SNSで名前検索されたんだと思う。ヤバイよね。電車の中で視線感じるなと思ったら、真後ろにいたことがありますよ。
――超怖いですね!
ファイト ストーカーネタもいろいろあるけど(笑)、とにかく、そいつが週に3回くらいお店に来るんです。「彼女に頼まれて買いに来ました」とか言うんだけど、嘘バレバレなのね。しかもそのストーカー、頭が回るので、製造中止になったネイルをわざわざ取り寄せするわけ。店まで来て、私が店頭に立ってるのを確認してから、電話してくるの。「頼んでたネイル届いてますか〜?」って。私が店にいるの知ってるから、担当させようとしてるんだよね。
ヤスコ あの時期、やばかったですよね。ファイトさん、めっちゃ狙われてた。
ファイト そうそう。でもヤスコが機転利かせてくれて、「ネイル届いてません」って言ってくれたから、難を逃れた。本当は届いてたんだけど。
オン眉 朝のミーティングのときに、共有事項として全員に周知されましたよね。「ファイトさんのストーカー来るから気をつけて」って。
――でも、お客さんとして来るから、難しいですよね。出入り禁止にできたらいいけど……。
ファイト 実害がないから、出禁は難しいんです。会社もSNSで悪口拡散されるのを恐れてるから、簡単には出禁にさせてくれないと思う。でも、スタッフが皆、優しくて、ストーカーから遠ざけてくれてた。でも結局、気持ち悪いのに耐えられなくて、店を異動させてもらった。だから今は平気。でも、また来るかもしれないって思うと、キモい。
――普通に通報していいくらいのレベルですよね。
◎無意味にキレだす、厄介な常連
ヤスコ ファイトさんのストーカーは、かなり特殊です。フツーにムカつく客もたくさんいますよ〜。今日も一番最後に接客した人は、すごく感じ悪かった。
――どんな人ですか? ここで吐き出して、成仏させましょう!
ヤスコ 常連さんの中には、「私のことわかってて当たり前だよね?」みたいな客が多いんですよ。そういう人には、名前を聞いちゃダメなんです。
――1回で覚えないといけないんですね。
ヤスコ そうそう。「お名前こちらでご登録ありますか?」って言うと、「当たり前でしょ!? あんた、あたしのこと知らないの!?」くらいの勢いで来る。いや、こっちは「知らないし……」って感じですよ。直接担当してない場合もあるから。これはBAの中でも“超あるある”です。
オン眉 うちらみたいに超大型店舗だと、年間30万円以上使う常連さんが何百人もいるから、いちいち覚えられないんです。
ヤスコ そうなんです! 今日来た客も、そういう感じ悪い常連で、雑誌に掲載されてた新製品があるか聞かれたから、「こちらですか?」って商品見せたら、「ハッ? 違うんだけど!」って。そんな感じ悪く言う必要ありますかね。70歳くらいのお婆さんですよ。
オン眉 私もこの前、オバサンのクレーマーに対応しました。閉店間際に走ってきて、「ファンデーション、返品したい!」って。もう、走ってきて突然そんなこと言うとか、絶対普通じゃないですよね。でも、よくよく話を聞いてると、うちのブランドの商品だけど、別の店舗で接客されて買ったものだったんです。「こっち悪くないよね……」って、心の中でひたすら思いました。
ファイト でも同じブランドだから、謝らなきゃいけないんですよね。「申し訳ありません」って。
ヤスコ 理不尽ですよね〜。殴り込みに来る店、間違えてるのに。
◎即売してくれなかったら、自分に何か問題がある
――それで、どうなったんですか?
オン眉 違う店舗で買ったものなので、うちでは返品手続きできないんですよ。でも、相手は「今すぐ返品したい」と言って譲らない。仕方ないので、購入した店舗に電話して、後日返品処理するという話で、なんとか納得してもらいました。返品する際に、別のファンデを買いたいと言われたんですけど、それは丁重にお断りしました。これもBAあるあるで、クレームつけてきた客には基本的に売りません。またすぐ返品してきて面倒くさいからです。
――へえ、そうなんですね! 知りませんでした!
ファイト 「一日様子を見て、お考えください」って言って断ります。サンプルだけ渡して帰ってもらうとか。とにかく、買ってもらわないようにする。だから、お客さんたちは、BAが即売してくれなかったら、自分に何か問題があるって察してほしいですね。
――勉強になります。
(後編へ続く)