今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。
神戸山口組から「神戸山健組」が脱退
この原稿を書いている9月23日午後、「神戸山健組」発足のうわさが流れてきました。詳しいことがわかったら、また書かせてくださいね。ネットでも「令和二年八月」付で、「五代目山健組々長 中田浩司」として神戸山口組脱退表明の「御挨拶」を見ることができますね。さすがの達筆です。
以前も書かせていただいていますが、中田組長は獄中で接見禁止処分を受けていて、弁護士さんしか面会できないので、真意が伝わりにくいといわれていました。なので、私もあまり先走らないように(これでも)しております。
まあ神戸山口組からの離脱勢は、以前から「これからは(山健組として)イッポン(いっぽんどっこ=大組織に所属せず、独立を維持している組織)で行く」とは言っていたので、意外というわけでもないのですが、時代は変わっていくものなのですね。
国内最大組織である山口組が変化を続ける一方で、犯罪集団としての半グレは相変わらず注目されていますね。
9月にはテレビ朝日系のドキュメンタリー番組『テレメンタリー2020』で半グレに取材した「コロナ禍 闇に溶ける半グレ」が放映されました。特に目新しい企画ではなかったのですが(失礼)、半グレ集団のトップとしてタタキ(強盗)の要員をいわゆる闇サイトで募集する「元山口組組員」氏などがインタビューに応じていました。
ご承知のようにヤクザは組織として厳しくまとまっているのに対して、半グレは犯罪のためのゆるい集まりです。強盗や詐欺などのために離合集散を繰り返すだけなので、参加する若者は束縛されないからラクだし、警察も把握できないので、取り締まりが難しいといわれています。半グレには女の子も入れますしね。
「今のヤクザには任俠の心などない」と言われて久しいですが、さすがに(単なる犯罪集団の)半グレよりはいいんじゃないの……と思いながら見ていたら、この「元山口組組員」氏が、気になることをおっしゃっていました。
「(半グレ集団のメンバーは)『手下』じゃなくて、『仲間』なんですよ」
なるほど。みんな「仲間」を求めているんですね。これまでは戦後の貧しい時代を中心に、頼りがいがあって男がほれる「親分」や「兄貴分」に人気があったと思うんですが、もっとラクでゆるいヨコのつながりがいいんですね。山口組時代に、親分に恵まれなかったのかな。
でも、だからっつって、独り暮らしのおばあさんのところにタタキに入っちゃダメよ(笑)。もはや任侠の心が「ない」といわれてるヤクザの中にも、ヤクザには「オレオレ詐欺とか、年寄りを泣かせるようなことはしない」という矜持を持ってる人はまだいると思いますよ。
もっと言っちゃうと、半グレの台頭は、戦後のGHQの支配の時と似ています。GHQは、国家神道の廃止や警察権力の弱体化とともにヤクザ組織の解散を内務省に指示したわけですが、これによって「愚連隊」が強くなっていったんですね。まあ今は不況や暴排のせいで半グレもヤクザも犯罪をやるしかないのでしょうが、昔の愚連隊はスター的な存在でした。万年東一さんや、安藤昇さんですね。半グレの「グレ」には、「愚連隊」の意味もあるようですしね。
宮崎学先生によると、万年さんは「ヤクザは、窮屈でいけないよ」と口癖のように言っていたそうですが(小説『万年東一』角川書店、絶版)、亡きオットの兄貴分の兄貴分的なレジェンドヤクザ氏(故人)は、「万年さんも安藤さんも、愚連隊というより立派な親分だった」そうですから、どうですかね。
万年さん的には、ヤクザ社会が上下関係やしきたりに厳しいことをやんわりと批判されていたのでしょうか。テレビに出ていた半グレ氏にはまったく共感できませんでしたが、「手下より仲間が欲しい」というのは、万年さんと共通してるかもしれません。