「やよい軒」「大戸屋」“和定食チェーン”選ぶならココが正解! 「コスパがいい」と評価を得たのは?

「おいしいごはんが食べたい、でも自炊するのはめんどくさい!」そんなズボラ女子の救世主といえば、コンビニ・ファミレス・ファストフード! 毎日の食事をおいしく楽チンにするため、“お酒とおつまみ大好き”管理栄養士・川村郁子先生に、さまざまなテーマに合わせた「おすすめメニュー」を聞いちゃいます。

「やよい軒」VS「大戸屋」栄養面&コスパで選ぶならどっち!?

 アラサー女子が1人でも入りやすく、おいしい和定食が味わえるチェーン店といえば、「やよい軒」と「大戸屋」! おなかいっぱい食べたい時に足を運びたくなりますが、「メニューが似ていて、どっちに行けばいいのか迷う」なんて人もいるのでは? そこで今回は、管理栄養士の川村先生に「やよい軒」と「大戸屋」の定食メニューを栄養とコスパの面から比較してもらい、「どちらを選ぶのが正解か」決めてもらいました。

――まずは、2店舗それぞれ“おすすめ定食メニュー”を教えてください。「やよい軒」はどうですか?

川村郁子先生(以下、川村) 栄養バランスやコスパを考えて、以下の3つをおすすめします。

やよい軒おすすめ・その1「銀鮭の塩焼定食」(税込790円)

 こちらのメニューは、家で調理するのが面倒なお魚を手軽に食べられるのがうれしいですよね。小鉢で冷ややっこがついているので、カリウムやカルシウムを補えます。シンプルな調理法の定食メニューで521kcalと抑えめながら、タンパク質は29.5gとしっかり補えるのも魅力的です。

やよい軒おすすめ・その2「たっぷり野菜の肉野菜炒め定食」(税込830円)

川村 野菜不足が気になる時には、肉野菜炒め定食を選ぶといいですよ。炒めることでカサが減るので、野菜をたっぷり食べたいときにおすすめ。それだけでなく、例えばニンジンに多く含まれているβカロテンは“脂溶性”なので、油と一緒に摂ることで吸収率が高くなります。また、もやしやキャベツなど歯ごたえがある野菜を多く使っていて、咀嚼によって唾液や消化液の分泌を促し、消化を助けてくれる効果も。1食あたり10.1gとたっぷり食物繊維が摂れるのもうれしいですね。

やよい軒おすすめ・その3「レバニラ炒めとから揚げの定食」(税込890円)

川村 がっつり食べながら栄養を補いたい時におすすめなのが、この一品! レバーをはじめとした動物性の食品に含まれるヘム鉄は、野菜や穀類などから摂れる非ヘム鉄と比べると、吸収率が高いという特徴があります。さらに、鉄はビタミンCと一緒に摂ることで吸収されやすくなるのですが、このメニューにはビタミンCを含むキャベツが添えられているので、とてもいい組み合わせなんです。鉄は意識して摂取しないと不足しがちな栄養素ですので、レバーや赤身の肉、魚などの鉄を多く含む食材は、定期的に食べるようにしましょう。

――続いて、「大戸屋」のおすすめメニューを教えてください。

川村 大戸屋も同じ基準で、以下の3つ選びました。

 ご飯の上に、マグロ、卵、納豆、とろろ、オクラ、海藻のアカモクが乗った具だくさん丼。彩りがよく食欲をそそりますが、栄養バランス的にも非常に優れているメニューだと思います。マグロ、卵、納豆などからタンパクをしっかり摂取できる一方、カロリーは534kcalと控えめ。マグロは魚の中でも鉄を多く含む食材ですし、オクラや納豆、海藻などから食物繊維も摂れるため、不足しがちな栄養素を一気に補えます。和定食の場合、塩分がどうしても高くなりがちなのですが、「ばくだん丼」は塩分が2.2gと少なめなのもいいですね。

大戸屋おすすめ・その2「バジルチキンサラダ定食」(税込940円)

川村 生野菜をたっぷり味わいたい方におすすめなのが、この定食。レタスやブロッコリー、トマトなどの色鮮やかな野菜サラダと、バジル風味のチキンを一緒に楽しむことができます。748kcalと比較的高めなので、夕食よりもランチによさそうなメニューですね。また、塩分も5.2gと高めなので、気になる場合はドレッシングを少なめにしたり、セットでついてくる「しそひじきご飯」を白米の「ご飯」や「五穀ご飯」に変えて調整しましょう。

大戸屋おすすめ・その3「手造り豆腐とチキンのトロトロ煮定食」(税込850円)

川村 胃腸にやさしく、あっさりしたメニューを食べたい時におすすめしたい定食です。豆腐と野菜、鶏肉をスープで煮込んでいるので、消化に負担をかけにくいメニューという印象。トロみがついているので温かさが保持されやすく、生姜の風味もきいているので、食事で体を温めたい時には最適でしょう。あまり食欲がない場合には、具だくさんスープを食べるような感覚で、単品を選んでもいいと思います。

――それでは、「やよい軒」と「大戸屋」どちらに行くのが正解か教えてください!

川村 栄養バランスを考えたとき、野菜メニューの豊富さという点では「大戸屋」に軍配が上がります。どの定食にも、小鉢などで野菜や海藻類がプラスされているので、全体的にバランスが整っている定食が多いですね。また、野菜のサイドメニューが豊富で、カロリーを抑えながら自由自在に栄養を補えるのがいいところだと思います。

 対して「やよい軒」は、やはりコスト面が魅力。600円台でしっかり食べられる定食もあって、お財布にはとてもやさしいですよね。さらに、ご飯は「もち麦」が選べたり、野菜のたっぷり入った炒め物があったりと選択肢が多いので、「がっつり食べたいけど、懐と健康にも気を使いたい!」という欲張りな要望にも、うまく応えてくれそうです。

 ということで、まとめると「バランスの大戸屋」「コスパのやよい軒」といった感じでしょうか。どちらのお店にも魅力的なメニューがたくさんありますので、不足していると感じる栄養素や体調に合わせて選んでみてください。

「鳥貴族」を徹底オマージュ、どころかトリキ超え!? 「豊後高田どり酒場」もはや無双のカオス居酒屋だった【モンテローザで飲んでます】

頼まれてもいないのに、モンテローザ系列の飲食店の“素敵なところ”を勝手に掘り下げていく当連載。第2回は、「鳥貴族」のマネではないかとちまたでいわれる居酒屋「豊後高田どり酒場」を掘り下げます。

モンテローザ2軒目:「豊後高田どり酒場」

 豊後高田どり酒場のネタ元であるとネット上でいわれる「鳥貴族」は、「焼鳥屋で世の中を明るくしていきたい」という理念のもと、1985年にオープン。企業努力が実り2014年に上場を果たし、創業から20年以上かけて620店を超える全国チェーンへと成長しました。そんな鳥貴族を、横からまるっとオマージュした、豊後高田どり酒場。メニューのラインナップから均一価格設定、黄色地に赤い文字というロゴまで徹底的に“トリビュート”して16年に1号店をオープン。店舗を拡大し続けて約4年、現在も元気に営業しています。

 そんな高田どりですが、いざ訪れるとこんな言葉が脳裏に浮かぶのです。

“本家超え”。

 “本家超え”とは何かをオマージュしたものが、元ネタの魅力を超えてしまう現象のこと。高田どりが鳥貴族を超えた……とまでは言いませんが、後出しじゃんけんって強いですよね。

 では高田どりのことを、アルコール類から掘り下げていきます。

 高田どりは鳥貴族同様、料理とドリンクが均一価格で、すべて280円(バカ盛りなどの例外あり)。もともとは鳥貴族と同価格でしたが、鳥貴族が17年に人件費などの高騰で298円に値上げしたことで、結果鳥貴族よりも安く飲み食いできる店になりました。値上げにより鳥貴族は客離れが起こり赤字に転落。この頃「トリキが高くなったからパクリ店でいいや」と高田どりに限らず、安価なお店に流れた客もいたのでは……?

 また、高田どりは、1人から利用できる2時間1,000円(280円のお通しが付く)の飲み放題サービスを実施しています。鳥貴族にも、4人から利用できる“食べ飲み放題お一人様”2,980円のサービスがありますが、4人そろわないと利用できないうえに、食べ放題まではいらない……という少食層には不向きで、事前予約制というのもややハードルが高い。高田どりの飲み放題制度の方が俄然使い勝手が良いのです。

 ちなみに、高田どりは酒が1杯280円ですから、4杯以上飲むなら飲み放題を選んだ方がお得。酒代が1,000円しかかからないとわかっていれば、会計を予想しながら飲食できるので安心感もありますね。

 単品で酒を頼む場合も、高田どりの方が鳥貴族より酒のグラスが大きいという事実……。実は鳥貴族のサワー系やカクテルのジョッキ&グラスは、普通の居酒屋に比べるとなぜか異常に小さく、一瞬で飲み終わります。その点、高田どりは普通サイズ。しかも、鳥貴族にはない焼酎のボトル(均一対象外)が8種類も揃っていて、団体で飲むときに便利。かゆいところに手が届いているのです。

 次は料理を……。高田どりはメニューのラインナップにも特徴があります。

 鳥貴族の定番人気メニューである貴族焼、よだれどり、山芋の鉄板焼き、キャベツ盛(おかわり無料)、とり釜飯、とり白湯めん、とり雑炊……などは、当然全部オマージュし、堂々とメニューに載せています。

 
恐ろしいのは、寄せるだけではなく“トリキ超え”をしようと張り合っている様子がうかがえるところ。なんと、高田どりには“肉刺し”があるのです。焼鳥専門店において、とりわさや、タタキなどの生肉が置いてあるかどうかは、その店の鶏肉の鮮度を見極めるひとつの基準になります。

 どこよりも「鶏」にこだわっている鳥貴族が実現できなかった肉刺しを、4種類も導入してマウントを取るかのような高田どり。また、焼鳥屋の定番食でありながらなぜか鳥貴族に置いていない親子丼もちゃっかり用意しています。

 高田どりの料理は、これだけでは終わりません。カレーライス、ピザ、キムチチャーハン、トルティーヤチップス、しめ鯖、煮込み、ハムカツ、赤ウインナー、とろろ蕎麦……などと、鶏料理とは全く関係のないメニューも揃うカオス状態なんです。

 ハムカツ、赤ウインナー、焼きそばを並べて大衆酒場気分で飲むのもよし、ピザとトルティーヤチップスでワインをがぶ飲みするもよし……。すべてが280円均一です。本家ではできない、多様化した飲み方ができる高田どり。もはや無双状態です。

 とはいえ1985年から安くておいしい料理を追求してきた鳥貴族の味を超えるのは簡単なことではなく、料理の味そのものは鳥貴族の方が断然上だと私は感じました。味は本家超えならず……。

 最後に。鳥貴族といえば、一部では「座り心地最悪」だといわれている直角で硬い木の椅子でおなじみですが、高田どりの椅子にはクッションがあります。魚民などモンテローザ系列の店から業態を変えたパターンが多いので、お座敷席がある店舗も。長居しても疲れないうえに、鳥貴族同様、コンセントがある店舗も多く、Wi-Fi完備です。

 モンテローザグループの仕入れ力や居抜き店舗の活用など、大手チェーンであることを最大限に駆使し、鳥貴族をパク……いや、“サンプリング”し倒した“最強の後出しじゃんけん”豊後高田どり酒場。そのリスペクトぶりには、清々しさすら覚えます。


 店内に掲げられている「モンテローザの誓い」には「末永くお客様の笑顔と出会えるように」と書かれていますが、鳥貴族の創業者たちは笑えないでしょうね。

豊後高田どり酒場:総合評価

味 ★☆☆☆☆
品数 ★★★★☆
雰囲気 ★★☆☆☆
コスパ ★★★★☆
また行きたい度 ★★★☆☆

【おまけ:フードメニュー写真】

高嶋ちさ子が大炎上「見損ないました」 華原朋美は謝罪から音信不通に

 ヴァイオリニストの高嶋ちさ子のSNSが大炎上している。歌手の華原朋美とのトラブルがきっかけだ。

 発端は、1歳の長男を育てながら仕事をする華原に、高嶋が以前から付き合いのある70代のベビーシッター女性を紹介したこと。「FRIDAY」2020年9月25日号(講談社)によると、ベビーシッターに不信感を抱いた華原が防犯カメラを設置したところ、哺乳瓶をくわえた状態の長男を逆さ吊りにする様子が映っていたため、華原は虐待だとして警察に通報。しかし高嶋は虐待ではないと主張し、防犯カメラでベビーシッターを監視していたことを咎めた上で華原に「そんな人とは絶対私は付き合えない」と伝えたという。

 報道後、ネットでは華原を擁護する声が多かったが、華原がYouTubeチャンネルへ高嶋と先月まで所属していたプロダクション尾木の尾木徹社長に向けて涙ながらに謝罪する動画を投稿すると、そうした声はさらに強くなった。そして「あんなこと(=逆さ吊り)されて謝罪しなきゃならないって、どうして?」「朋ちゃんは悪くない。芸能界の圧力だ」等々、高嶋を責めるユーザーが一気に増加したのだ。

 謝罪動画のコメント欄に「高嶋ちさ子が謝罪しろ」「圧力かける高嶋側が悪いでしょ?」「高嶋ちさ子はなぜ出てこないの?」といった声が寄せられているだけでなく、高嶋のインスタグラムやツイッターにも、批判的なコメントが大量に投下された。

 「見損ないました」「あなたと友人になってなければ朋ちゃんは涙流すことなかったのにね」「自分の子どもを逆さ吊りされたくないお母さんもいることを知って欲しいです」「なぜ高嶋さんはそんなシッターを紹介したのですか?」「キャラ作りとかではなく本当にパワハラみたいなことしてるなんて……もう笑えません」「どうかもう一度朋ちゃんに寄り添って頂けませんか?一人で苦しんでいる朋ちゃんが不憫でなりません」……こういったコメントが次から次へと書き込まれ、大炎上している。

 一部報道によると、ベビーシッターの虐待疑惑は警察が介入した上で「虐待ではない」と判断されていたものの、納得がいかない華原が「FRIDAY」関係者に話を持ち込んだと見られる。華原としては、シッターの行為をどうしても許せなかったようだ。

 それが一変して「私の勘違いでした」と謝罪。華原が自身の考えを改めるに至った経緯は不可解で、事務所側からの働きかけがあったと見られている。

 また、華原は謝罪動画を公開して以降、それまでは頻繁だったYouTubeやSNSを更新しなくなっており、ファンは心配を募らせている。

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63人の被害者を出した「奴隷事件」――映画『ブリング・ミー・ホーム』が描く“弱者の労働搾取”はなぜ起こったか

近年、K-POPや映画・ドラマを通じて韓国カルチャーの認知度は高まっている。しかし作品の根底にある国民性・価値観の理解にまでは至っていないのではないだろうか。このコラムでは韓国映画を通じて韓国近現代史を振り返り、社会として抱える問題、日本へのまなざし、価値観の変化を学んでみたい。

『ブリング・ミー・ホーム 尋ね人』

 「イ・ヨンエ」という女優を覚えているだろうか? 韓流ドラマがまだ今のようには日本に浸透していない頃、それでも一部のファンから絶大なる支持を得た、現在でも根強い人気を誇る『宮廷女官チャングムの誓い』(2003)というドラマの主演女優である。さらに遡れば、韓国映画の国際進出を決定づけた作品『JSA』(パク・チャヌク監督、00)で、事件の調査にあたるスイス国籍の軍人を紅一点で演じた女優でもある。

 色白で丸顔の愛らしい容姿は、“韓国のオリビア・ハッセー”と呼ばれて親しまれたが、05年、『JSA』に続いてパク・チャヌク監督とタッグを組んだ“復讐3部作”の第3作『親切なクムジャさん』で、自らを陥れた誘拐殺人犯への壮絶な復讐劇を企てる美女を演じた後、在米韓国人との結婚や双子の出産によって長らく芸能活動を休止していた。そんな彼女が14年ぶりに映画へ復帰したのが、今回取り上げるキム・スンウ監督 の『ブリング・ミー・ホーム 尋ね人』(19)である。

 芸能活動休止前の最後の出演映画『親切なクムジャさん』で演じた、幼い娘を盾に濡れ衣を着せられ、13年間の刑務所生活を通して恐ろしい計画を準備する“クムジャさん”は、作家性の強いパク・チャヌク作品だけあって、映画的な魅力に満ちていた。リアリズムからは程遠い語り、復讐のためにあらゆる「親切」を行使し、聖女と悪女を使い分けるキャラクターの振れ幅、チェ・ミンシクの悪役とのやりとりなど、「復讐」というアイディアを見事に映画へと昇華し、残酷でスリリングな展開で楽しませてくれた名作だった。そして偶然かもしれないが、この作品から14年後、イ・ヨンエが映画復帰に選んだ本作は、またしても息子を失い、その存在を取り戻すために孤独な戦いを強いられる母親役だった。

 共通した主題を有していながらも、『親切なクムジャさん』と『ブリング・ミー・ホーム』では映画的な性格がまったく異なっている。本作では、自らも結婚して母となったイ・ヨンエの母としての実在感が増していると同時に、その根底には韓国で長く社会問題となってきた「弱者(子どもや障害者)の誘拐と搾取」というテーマが横たわっているのだ。韓国社会がいまだ解決できていない問題を取り上げた本作には、したがってカタルシスも癒やしも存在しない。どちらかといえば、以前のコラムでも取り上げた『トガニ』に類する作品といえる。

 もちろん、弱者の誘拐や搾取といった問題は、なにも韓国だけのものではない。だが確実に言えるのは、この映画はそうした社会問題をあぶり出す役割を持っているということだ。その点において、映画的な快楽とはまた別に、本作は今の韓国に必要な作品である。今回のコラムでは、映画によって浮き彫りになった問題を通して、韓国に根付く伝統的な思想の裏の一断面を可視化させてみたいと思う。

<物語>

 看護師のジョンヨン(イ・ヨンエ)と夫のミョングク(パク・ヘジュン)は、6年前に行方不明になった息子ユンスを捜して全国を駆け回っている。2人の生活は苦しみの連続だが、それでも希望は捨てていない。だがある日、ミョングクは情報提供者を名乗る人物との待ち合わせ場所に向かう途中、交通事故に遭って命を落としてしまう。息子だけでなく最愛の夫をも失い、絶望に突き落とされるジョンヨン。そんな彼女のところに今度は、ユンスとよく似た「ミンス(イ・シウ)」という子どもが、ある島の釣り場で虐待を受けつつ働かされているとの電話がかかってくる。ユンスであることを祈りつつ、ジョンヨンが釣り場に駆けつけると、そこで彼女を待っていたのは何やら訳ありげなホン警長(ユ・ジェミョン)や釣り場の主人らだった。かたくなにジョンヨンを「ミンス」に会わせようとしない彼らを怪しみながら、ジョンヨンは自らの力で徐々に真実に近づいていく。そして息子を助け出すため、彼女の孤独な死闘が始まる……。

 自らシナリオも手掛け、本作がデビュー作となったキム・スンウ監督は、公開後、たびたび「実話を元にしたのではないか」という質問を受けたという。それもそのはず、本作の設定や構成は14年に韓国社会を驚愕させた、いわゆる「新安(シナン)郡塩田奴隷労働事件」とそっくりだったからだ。この事件は、職業斡旋業者が知的障害者と重度の視覚障害者をだまして、塩田の多い韓国西南部にある新安郡の島に売り渡し、長年にわたって監禁された彼らは、賃金はおろか食事すらろくに与えられないまま、奴隷のように働かされたというものだった。

 毎日のように暴力を振るわれ、雇い主から「殺す」と脅された彼らは、障害を持っていることもあって脱出できず、文字通り「奴隷」のような生活を余儀なくされていた。この事件が解決する糸口になったのは、一通の手紙だった。視覚障害を持つ被害者の一人が、肌身離さず隠し持っていた助けを求める手紙を、ある時ソウルの母親に送ることに成功。母親が警察に通報し、知的障害を持つ男性も一緒に保護されて無事に助かり、事件の全貌も明らかになったのだ。

 島では彼らのほかに63人もの被害者が発見されたが、置かれていた状況は皆同じだった。当時のメディアは「21世紀の韓国であり得ないことが起こった」「現代版奴隷」と大々的に報道し、そのあまりにもひどい状況に国民の怒りが高まり、塩田の経営者はもちろん、関係者全員に対する厳罰と被害者への補償を求める声が続出。しかし裁判の結果は、懲役2年あまりという軽い判決だった。さらに信じがたいことに、判決を下した裁判官はこうした労働の形態が「地域の慣行」とまで言い切ったのだった。

 この発言が意味しているのは、地域の慢性的問題だった塩田での人手不足を補う手段として「監禁・強制労働」が黙認されてきたということであり、職業斡旋業者による詐欺的な手口、塩田への人身売買、監禁・搾取、村人の協力や無関心、そして地域の警察など公権力の黙認といった構図こそが「地域の慣行」として許されてきたということにほかならない。その中で、弱き者たちの人間としての尊厳はずたずたに踏みにじられてきたのだ。地域全体がグルになって加担してきた、巨大な闇のカルテルが形成されていたといえる。

 本作の物語もまさに「地域の慣行」を背景にしており、だから誰もが実話ではないかという印象を抱いたのだろう。事件の後、児童・障害者保護の強化や加害者への厳罰化など法律の整備が進められたが、今年の7月にもまた、19年間にわたって労働搾取されてきた知的障害者が発見され、依然として状況は改善されていないことが浮き彫りになった。

 警察の記録を見ると、こうした事件は1948年の韓国建国以来、後を絶たなかったようだ。そして被害者はいつも子どもや障害者、そして女性だった。社会的弱者を意味する「子ども、障害者、女性」に思いを巡らすためには、韓国社会に根付く「服従」の儒教的無意識を再び取り上げなければならないだろう。

 子どもや障害者への暴力については、以前のコラムで取り上げた『トガニ』で、女性に対する差別における儒教の影響については『はちどり』で数百年間韓国社会に根付いてきた儒教思想と「服従」の概念、そしてそれが「家族」という社会の中でどのように立ち現れるかについて、主に「男女」の関係性から述べたが、今回は「年長者と年少者」の面から掘り下げてみたい。

 年齢の差だけで人間の上下関係を決めつけ、服従を正当化する儒教の概念が「長幼有序(長幼序あり)」だ。韓国では初対面の人間同士が互いの生まれた年をまず確認し合う習慣があり、これこそ国民全体が「長幼有序」に囚われている最も明白な証拠だ。どちらのほうが立場が上かをはっきりさせないと話が始まらない。つまり、基本的にどちらかがどちらかに「服従」する関係性を決めておかないと、会話すらろくに進まないのだ。日本人には不思議に聞こえるかもしれないが、韓国では家族かどうかに関係なく、赤の他人でも年上ならみんな「형・오빠(お兄さん)」「누나・언니(お姉さん)」であり、そう呼ばないとすぐにケンカになったりする。

 たとえば、日本では電車の優先席に若者が座るのは普通の光景だが、韓国では電車の「敬老席」には若者は絶対に座らない。座ろうものなら年配者から怒鳴られることも日常茶飯事だからだ。敬老席に座る女性を自分より年下だと思い込んだ中年の男が、「席を譲れ」と口論になり暴力まで振るったが、あとから女性のほうが年上だったとわかり、土下座したという呆れる出来事があったほどだ。

 個々の人間性にかかわらず、「年長者は偉いのだから服従しろ」というのが「長幼有序」のゆがんだ無意識の表れなのだ。そして、服従させるための最も手っ取り早い手段が、暴力だ。とりわけ、相手が子どもなら「上下関係」は明らかであり、肉体的にも弱者である彼らであれば抵抗される心配もなく、好き勝手に暴力を振るうこともできる。

 「たとえ自分の子でも殴ってはいけない」という、子どもの人権に関する認識が韓国で本格的に広まったのは、21世紀に入ってからだ。世界的に見ると恥ずかしいほど遅れているが、「長幼有序」の下、何百年も昔から親が子どもを殴る(年長者が年少者を殴る)のは当然とされてきた韓国社会において、その認識の変化ですら大きな一歩である。子どもを暴力で服従させ、人権を蹂躙(じゅうりん)するという本作の事件の背景には、そんな社会を許してきた儒教的無意識があるのではないだろうか。

 話題は変わるが、「地域の慣行」のカルテルからどうしても見えてしまう歴史がある。「慰安婦」の歴史だ。日韓関係の中に長らく巣くうこの問題において、政治レベルでは両国の主張は相いれないが、研究者レベルではさまざまな議論が存在する。

 例えば、韓国国内でヒステリックな反応を巻き起こした歴史学者パク・ユハの著書『帝国の慰安婦 植民地支配と記憶の闘い』(朝日新聞出版)では、韓国の若い女性たちが「慰安婦」になった経緯のひとつとして、職業斡旋業者にだまされ、戦地に送られて売春を余儀なくされたというものがある。それはつまり、「慰安婦」を募集してだました朝鮮の斡旋業者と、いわゆる抱え主、そして日本軍というカルテルが結託して彼女たちを「慰安婦」にしたという図式である。この主張には、カルテルに朝鮮人業者が加担していたという、韓国が決して認めない事実が含まれているため、大きな問題となったわけだが、「弱者の人権蹂躙」という今回の問題とも密接につながっていることは言うまでもない。その点で、私はパク・ユハの議論には十分説得力があると考えている。

 最後に、また『トガニ』の話を。本作は、実在した特別支援学校で、障害を持つ幼い生徒たちに対する、校長らによる性暴力を告発した事件を映画化したもので、この映画がきっかけとなって人々の関心が高まり、公開後に社会が大きく変わる事態となった。だが映画が作られた時点では、被害者の子どもたちは法的にはまったく救われないままだったため、映画は決して安易なカタルシスを観客に与えることなく、ある意味では非常に後味の悪い結末を迎えた。

 その意味では本作も同様で、ラストのジョンヨンは大きな希望に包まれているが、根本的な問題が解決することはない。なぜなら映画の結末にかかわらず、この社会にはいまだ無数の「ミンス」が存在し、社会そのものが良い方向に向かっていない以上、映画が安易なハッピーエンドを迎えることは許されないからだ。

 しかも、『トガニ』における性暴力が、特別支援学校というある種特別な場所において起こったのとは異なり、本作のような場合、いつどこで自分の身近に起こるかもしれず、周囲への無関心によっていつの間にか自らも加担している状況が生まれてしまうかもわからない。

 本作は、カルテルの構造がもたらすものへの警鐘であると同時に、その無自覚な無関心によって誰もが同じような立場になり得ることへの警告でもある。もちろんこれが韓国のすべてではないが、そうしたこの国の一断面を決して無視することはできないのである。

■崔盛旭(チェ・ソンウク)
1969年韓国生まれ。映画研究者。明治学院大学大学院で芸術学(映画専攻)博士号取得。著書に『今井正 戦時と戦後のあいだ』(クレイン)、共著に『韓国映画で学ぶ韓国社会と歴史』(キネマ旬報社)、『日本映画は生きている 第4巻 スクリーンのなかの他者』(岩波書店)など。韓国映画の魅力を、文化や社会的背景を交えながら伝える仕事に取り組んでいる。

63人の被害者を出した「奴隷事件」――映画『ブリング・ミー・ホーム』が描く“弱者の労働搾取”はなぜ起こったか

近年、K-POPや映画・ドラマを通じて韓国カルチャーの認知度は高まっている。しかし作品の根底にある国民性・価値観の理解にまでは至っていないのではないだろうか。このコラムでは韓国映画を通じて韓国近現代史を振り返り、社会として抱える問題、日本へのまなざし、価値観の変化を学んでみたい。

『ブリング・ミー・ホーム 尋ね人』

 「イ・ヨンエ」という女優を覚えているだろうか? 韓流ドラマがまだ今のようには日本に浸透していない頃、それでも一部のファンから絶大なる支持を得た、現在でも根強い人気を誇る『宮廷女官チャングムの誓い』(2003)というドラマの主演女優である。さらに遡れば、韓国映画の国際進出を決定づけた作品『JSA』(パク・チャヌク監督、00)で、事件の調査にあたるスイス国籍の軍人を紅一点で演じた女優でもある。

 色白で丸顔の愛らしい容姿は、“韓国のオリビア・ハッセー”と呼ばれて親しまれたが、05年、『JSA』に続いてパク・チャヌク監督とタッグを組んだ“復讐3部作”の第3作『親切なクムジャさん』で、自らを陥れた誘拐殺人犯への壮絶な復讐劇を企てる美女を演じた後、在米韓国人との結婚や双子の出産によって長らく芸能活動を休止していた。そんな彼女が14年ぶりに映画へ復帰したのが、今回取り上げるキム・スンウ監督 の『ブリング・ミー・ホーム 尋ね人』(19)である。

 芸能活動休止前の最後の出演映画『親切なクムジャさん』で演じた、幼い娘を盾に濡れ衣を着せられ、13年間の刑務所生活を通して恐ろしい計画を準備する“クムジャさん”は、作家性の強いパク・チャヌク作品だけあって、映画的な魅力に満ちていた。リアリズムからは程遠い語り、復讐のためにあらゆる「親切」を行使し、聖女と悪女を使い分けるキャラクターの振れ幅、チェ・ミンシクの悪役とのやりとりなど、「復讐」というアイディアを見事に映画へと昇華し、残酷でスリリングな展開で楽しませてくれた名作だった。そして偶然かもしれないが、この作品から14年後、イ・ヨンエが映画復帰に選んだ本作は、またしても息子を失い、その存在を取り戻すために孤独な戦いを強いられる母親役だった。

 共通した主題を有していながらも、『親切なクムジャさん』と『ブリング・ミー・ホーム』では映画的な性格がまったく異なっている。本作では、自らも結婚して母となったイ・ヨンエの母としての実在感が増していると同時に、その根底には韓国で長く社会問題となってきた「弱者(子どもや障害者)の誘拐と搾取」というテーマが横たわっているのだ。韓国社会がいまだ解決できていない問題を取り上げた本作には、したがってカタルシスも癒やしも存在しない。どちらかといえば、以前のコラムでも取り上げた『トガニ』に類する作品といえる。

 もちろん、弱者の誘拐や搾取といった問題は、なにも韓国だけのものではない。だが確実に言えるのは、この映画はそうした社会問題をあぶり出す役割を持っているということだ。その点において、映画的な快楽とはまた別に、本作は今の韓国に必要な作品である。今回のコラムでは、映画によって浮き彫りになった問題を通して、韓国に根付く伝統的な思想の裏の一断面を可視化させてみたいと思う。

<物語>

 看護師のジョンヨン(イ・ヨンエ)と夫のミョングク(パク・ヘジュン)は、6年前に行方不明になった息子ユンスを捜して全国を駆け回っている。2人の生活は苦しみの連続だが、それでも希望は捨てていない。だがある日、ミョングクは情報提供者を名乗る人物との待ち合わせ場所に向かう途中、交通事故に遭って命を落としてしまう。息子だけでなく最愛の夫をも失い、絶望に突き落とされるジョンヨン。そんな彼女のところに今度は、ユンスとよく似た「ミンス(イ・シウ)」という子どもが、ある島の釣り場で虐待を受けつつ働かされているとの電話がかかってくる。ユンスであることを祈りつつ、ジョンヨンが釣り場に駆けつけると、そこで彼女を待っていたのは何やら訳ありげなホン警長(ユ・ジェミョン)や釣り場の主人らだった。かたくなにジョンヨンを「ミンス」に会わせようとしない彼らを怪しみながら、ジョンヨンは自らの力で徐々に真実に近づいていく。そして息子を助け出すため、彼女の孤独な死闘が始まる……。

 自らシナリオも手掛け、本作がデビュー作となったキム・スンウ監督は、公開後、たびたび「実話を元にしたのではないか」という質問を受けたという。それもそのはず、本作の設定や構成は14年に韓国社会を驚愕させた、いわゆる「新安(シナン)郡塩田奴隷労働事件」とそっくりだったからだ。この事件は、職業斡旋業者が知的障害者と重度の視覚障害者をだまして、塩田の多い韓国西南部にある新安郡の島に売り渡し、長年にわたって監禁された彼らは、賃金はおろか食事すらろくに与えられないまま、奴隷のように働かされたというものだった。

 毎日のように暴力を振るわれ、雇い主から「殺す」と脅された彼らは、障害を持っていることもあって脱出できず、文字通り「奴隷」のような生活を余儀なくされていた。この事件が解決する糸口になったのは、一通の手紙だった。視覚障害を持つ被害者の一人が、肌身離さず隠し持っていた助けを求める手紙を、ある時ソウルの母親に送ることに成功。母親が警察に通報し、知的障害を持つ男性も一緒に保護されて無事に助かり、事件の全貌も明らかになったのだ。

 島では彼らのほかに63人もの被害者が発見されたが、置かれていた状況は皆同じだった。当時のメディアは「21世紀の韓国であり得ないことが起こった」「現代版奴隷」と大々的に報道し、そのあまりにもひどい状況に国民の怒りが高まり、塩田の経営者はもちろん、関係者全員に対する厳罰と被害者への補償を求める声が続出。しかし裁判の結果は、懲役2年あまりという軽い判決だった。さらに信じがたいことに、判決を下した裁判官はこうした労働の形態が「地域の慣行」とまで言い切ったのだった。

 この発言が意味しているのは、地域の慢性的問題だった塩田での人手不足を補う手段として「監禁・強制労働」が黙認されてきたということであり、職業斡旋業者による詐欺的な手口、塩田への人身売買、監禁・搾取、村人の協力や無関心、そして地域の警察など公権力の黙認といった構図こそが「地域の慣行」として許されてきたということにほかならない。その中で、弱き者たちの人間としての尊厳はずたずたに踏みにじられてきたのだ。地域全体がグルになって加担してきた、巨大な闇のカルテルが形成されていたといえる。

 本作の物語もまさに「地域の慣行」を背景にしており、だから誰もが実話ではないかという印象を抱いたのだろう。事件の後、児童・障害者保護の強化や加害者への厳罰化など法律の整備が進められたが、今年の7月にもまた、19年間にわたって労働搾取されてきた知的障害者が発見され、依然として状況は改善されていないことが浮き彫りになった。

 警察の記録を見ると、こうした事件は1948年の韓国建国以来、後を絶たなかったようだ。そして被害者はいつも子どもや障害者、そして女性だった。社会的弱者を意味する「子ども、障害者、女性」に思いを巡らすためには、韓国社会に根付く「服従」の儒教的無意識を再び取り上げなければならないだろう。

 子どもや障害者への暴力については、以前のコラムで取り上げた『トガニ』で、女性に対する差別における儒教の影響については『はちどり』で数百年間韓国社会に根付いてきた儒教思想と「服従」の概念、そしてそれが「家族」という社会の中でどのように立ち現れるかについて、主に「男女」の関係性から述べたが、今回は「年長者と年少者」の面から掘り下げてみたい。

 年齢の差だけで人間の上下関係を決めつけ、服従を正当化する儒教の概念が「長幼有序(長幼序あり)」だ。韓国では初対面の人間同士が互いの生まれた年をまず確認し合う習慣があり、これこそ国民全体が「長幼有序」に囚われている最も明白な証拠だ。どちらのほうが立場が上かをはっきりさせないと話が始まらない。つまり、基本的にどちらかがどちらかに「服従」する関係性を決めておかないと、会話すらろくに進まないのだ。日本人には不思議に聞こえるかもしれないが、韓国では家族かどうかに関係なく、赤の他人でも年上ならみんな「형・오빠(お兄さん)」「누나・언니(お姉さん)」であり、そう呼ばないとすぐにケンカになったりする。

 たとえば、日本では電車の優先席に若者が座るのは普通の光景だが、韓国では電車の「敬老席」には若者は絶対に座らない。座ろうものなら年配者から怒鳴られることも日常茶飯事だからだ。敬老席に座る女性を自分より年下だと思い込んだ中年の男が、「席を譲れ」と口論になり暴力まで振るったが、あとから女性のほうが年上だったとわかり、土下座したという呆れる出来事があったほどだ。

 個々の人間性にかかわらず、「年長者は偉いのだから服従しろ」というのが「長幼有序」のゆがんだ無意識の表れなのだ。そして、服従させるための最も手っ取り早い手段が、暴力だ。とりわけ、相手が子どもなら「上下関係」は明らかであり、肉体的にも弱者である彼らであれば抵抗される心配もなく、好き勝手に暴力を振るうこともできる。

 「たとえ自分の子でも殴ってはいけない」という、子どもの人権に関する認識が韓国で本格的に広まったのは、21世紀に入ってからだ。世界的に見ると恥ずかしいほど遅れているが、「長幼有序」の下、何百年も昔から親が子どもを殴る(年長者が年少者を殴る)のは当然とされてきた韓国社会において、その認識の変化ですら大きな一歩である。子どもを暴力で服従させ、人権を蹂躙(じゅうりん)するという本作の事件の背景には、そんな社会を許してきた儒教的無意識があるのではないだろうか。

 話題は変わるが、「地域の慣行」のカルテルからどうしても見えてしまう歴史がある。「慰安婦」の歴史だ。日韓関係の中に長らく巣くうこの問題において、政治レベルでは両国の主張は相いれないが、研究者レベルではさまざまな議論が存在する。

 例えば、韓国国内でヒステリックな反応を巻き起こした歴史学者パク・ユハの著書『帝国の慰安婦 植民地支配と記憶の闘い』(朝日新聞出版)では、韓国の若い女性たちが「慰安婦」になった経緯のひとつとして、職業斡旋業者にだまされ、戦地に送られて売春を余儀なくされたというものがある。それはつまり、「慰安婦」を募集してだました朝鮮の斡旋業者と、いわゆる抱え主、そして日本軍というカルテルが結託して彼女たちを「慰安婦」にしたという図式である。この主張には、カルテルに朝鮮人業者が加担していたという、韓国が決して認めない事実が含まれているため、大きな問題となったわけだが、「弱者の人権蹂躙」という今回の問題とも密接につながっていることは言うまでもない。その点で、私はパク・ユハの議論には十分説得力があると考えている。

 最後に、また『トガニ』の話を。本作は、実在した特別支援学校で、障害を持つ幼い生徒たちに対する、校長らによる性暴力を告発した事件を映画化したもので、この映画がきっかけとなって人々の関心が高まり、公開後に社会が大きく変わる事態となった。だが映画が作られた時点では、被害者の子どもたちは法的にはまったく救われないままだったため、映画は決して安易なカタルシスを観客に与えることなく、ある意味では非常に後味の悪い結末を迎えた。

 その意味では本作も同様で、ラストのジョンヨンは大きな希望に包まれているが、根本的な問題が解決することはない。なぜなら映画の結末にかかわらず、この社会にはいまだ無数の「ミンス」が存在し、社会そのものが良い方向に向かっていない以上、映画が安易なハッピーエンドを迎えることは許されないからだ。

 しかも、『トガニ』における性暴力が、特別支援学校というある種特別な場所において起こったのとは異なり、本作のような場合、いつどこで自分の身近に起こるかもしれず、周囲への無関心によっていつの間にか自らも加担している状況が生まれてしまうかもわからない。

 本作は、カルテルの構造がもたらすものへの警鐘であると同時に、その無自覚な無関心によって誰もが同じような立場になり得ることへの警告でもある。もちろんこれが韓国のすべてではないが、そうしたこの国の一断面を決して無視することはできないのである。

■崔盛旭(チェ・ソンウク)
1969年韓国生まれ。映画研究者。明治学院大学大学院で芸術学(映画専攻)博士号取得。著書に『今井正 戦時と戦後のあいだ』(クレイン)、共著に『韓国映画で学ぶ韓国社会と歴史』(キネマ旬報社)、『日本映画は生きている 第4巻 スクリーンのなかの他者』(岩波書店)など。韓国映画の魅力を、文化や社会的背景を交えながら伝える仕事に取り組んでいる。

Kis-My-Ft2・千賀健永、「ブサイクって言われる比率が多すぎ」!? ジャニーズらしからぬ一言にファン衝撃

 Kis-My-Ft2の冠番組『キスマイ超BUSAIKU!?』(フジテレビ系)が9月24日深夜に放送された。この日は、メンバーに事前にテーマを知らせず、「彼女の親友から『連絡先交換しよう』と言われたときの対応」に抜き打ちで挑戦。ゲスト審査員はタレントの大久保佳代子、ホラン千秋、歌手の青山テルマが登場した。

 家に帰宅すると彼女と彼女の親友がいて、「めっちゃイケメンじゃん!」と褒められつつ連絡先を聞かれる……という難しい状況だったが、その中で最も高得点を記録したのは、千賀健永。彼女の親友から連絡先の交換を頼まれると、千賀は「でも、マイコ(彼女)の友達だし、会うときはマイコも一緒にいるだろうから。グループLINEとか作ったらどうですか?」と、やんわり断ることに成功する。

 さらに、親友が席を外した際、彼女に「グループLINEするってこと?」と聞かれた千賀は、「(親友と)1対1でする必要はないと思う」と自身の考えを明かしつつ、「もしマイコが一緒にいて楽しいんだったら、3人でどっかにお出かけしてもいいと思う」と提案。彼女を気遣うことも忘れない対応で総合得点73点を獲得し、この日の第1位となった。

 そんな千賀と1点差で第2位となったのは、宮田俊哉。親友から連絡先を聞かれ、「それは、俺、マイコの彼氏だし」「マイコもここで連絡先交換したら、あまりいい気分しないし」とキッパリ断るも、「だから、ごめんね」と優しく謝罪。彼女から「なんで交換しなかったの?」と聞かれた際には、「教えても、連絡取るかなって思って。カッコいいって言われて、連絡先教えてって言われたら嫌じゃん。俺、マイコのこと好きだからさ」と甘える様子を見せ、72点を獲得していた。

 高得点を獲得した宮田の対応だが、ホランは「カッコいいって言われて、連絡先教えてって言われたら嫌」という一言にダメ出し。「こいつ、“カッコいい”って言われて意識してるんだって思っちゃう」と指摘されたが、宮田は「そりゃあ、うれしいからさあ!」と開き直る。二階堂高嗣が「イケメンって言われたことないよね」と宮田に共感すると、千賀も「ブサイクって言われる比率が多すぎて……」とポツリ。さらに二階堂からは、「イケメンってなんだっけ?」と、ジャニーズらしからぬ発言まで飛び出したのだった。

 この日の放送にファンからは、「“イケメン”ってワードに喜ぶ宮田くん、素直でかわいい(笑)」「Kis-My-Ft2はみんなカッコいいよ! 自信持って!」「私は毎日ニカちゃんのことイケメンだと思ってるのに~!」といった声が寄せられていた。

元1Dゼイン・マリクとジジ・ハディッドの第一子誕生! 「爪の形が完璧!」「萌える」と祝福の嵐

 2歳からモデルとして活躍しているジジ・ハディッド(25)が、元ワン・ダイレクションの人気歌手ゼイン・マリク(27)との第一子を出産。SNS上で公開したファーストフォトを見たファンから、祝福のコメントが殺到している。

 先週、妹のベラと父モハメッドがインスタグラムに意味深な投稿をしたことから、「もう出産したのではないか」と騒がれていたが、ジジの出産を最初に報告したのはゼインで、9月23日の夜、めったに更新しないSNSに、“小さな手に人さし指をギュッと握られている”モノクロ写真を投稿。

 「女の子が誕生した。健康で美しい娘だ(祈りとハートの絵文字)。今の気持ちを言葉で表現するのは不可能なことだと思う。自分の理解を超えるほどの愛を、この小さな人間に感じている。この子とめぐり逢えたことに感謝しているし、自分の娘だと呼べることを誇りに思う。これから共に人生を歩めることを、ありがたく感じている」という言葉と、キスを表す「x」の文字を添えた。

 生まれて間もない娘の小さな手には、形の良い爪が生えており、ネット上では「萌える」「爪の形が完璧!」と称賛の声が上がった。

 ジジのほうも、“娘がくるまっている毛布にゼインがそっと手を置く”モノクロ写真に、「週末、娘がこの世に誕生。早くも、私たちの世界に大きな変化をもたらしています。めちゃくちゃ愛している」という言葉を、ハートの絵文字を添えて投稿。たちまち1,100万以上のいいね!を集めた。

 ジジは、2015年3月にワン・ダイレクションを電撃脱退したゼインと、その年の末に交際を開始。18年にいったん別れたあと、くっついたり離れたりを繰り返し、今年初めに完全復縁。新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛期間中は、ゼインがジジの母ヨランダのアドバイスを受け購入したとされるペンシルベニア州の農園で一緒に過ごしたと伝えられている。今年4月に米ニュースサイト「TMZ」が「妊娠16〜20週目」だと報道した直後、ヨランダが「9月に出産予定」だとコメント。ジジもリモート出演した深夜トーク番組で妊娠を認め、「さぞかし美形になるだろう」とネット上をにぎわせた。

 8月末、ジジはインスタグラムで、妊娠33週目のマタニティ写真を披露。大きなおなか以外は変わらずスリムで「女神みたいに美しい」と話題になった。

 先月はキャサリン・シュワルツェネッガー、ケイティ・ペリー、リア・ミシェル、今月はレイトン・ミースターが出産するなど、今年はセレブのベビーラッシュが続いている。

江頭2:50、ジャニーズとのコラボにネット騒然! 「CD売れない」A.B.C-Zの新曲に期待の声

 9月22日、お笑いタレントで人気YouTuberの江頭2:50が、自身のYouTubeチャンネル「エガちゃんねる」に「【特報】ジャニーズからオファーが来ました。」と題した動画を投稿。この中で、ジャニーズの5人組グループ・A.B.C-Zの新曲「頑張れ、友よ!」(10月21日発売)の作詞を担当したと発表し、ネット上で驚きの声が上がっている。

「この動画は、キャスターに扮した江頭が“作詞家・エガ元康(えがもとやすし)”への独占インタビューについて報じるという、ニュース番組ふうの構成になっていました。“エガ元康”もとい江頭は、今回初めて作詞をしたそうですが、『メロディを聞いた瞬間に言葉があふれ出てきて、気がついたら書き終えてました』などと豪語。ちなみに、A.B.C-Zのメンバーは、レコーディングを終えてから江頭の作詞曲だと知らされたそうです」(芸能ライター)

 今回のオファーについて江頭は、「初めてのことでしたので、自分にできるかなという不安もありました」としつつ、「A.B.C-Zの曲ということで、女の子にモテるかなと思って引き受けました。モテたいです」と下心を丸出しに。また江頭は、A.B.C-Zが同楽曲をひっさげて、『NHK紅白歌合戦』や『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)に出演することも期待していた。

「A.B.C-Zファンを含むジャニーズファンは、この発表に『ええ!? なんでエガちゃんが?』『斜め上のコラボすぎて、頭が追いつかない(笑)』と驚きつつも、歓迎ムードです。動画の中では江頭が歌詞を読み上げる場面もあり、『A.B.C-Zにピッタリの歌詞だと思いました。すごくうれしい!』『元気の出る歌詞だし、A.B.C-Zらしい曲になりそう』と好評を得ていました。また、『エガちゃんねる』の視聴者からは、『違う分野にも興味を持たせてくれるのが、エガちゃんのいいところ。A.B.C-ZさんのCD買いますね!』『生まれて初めてジャニーズのCD買うかもしれない』といった声も寄せられています」(同)

 A.B.C-Zといえば、9月16日に発売したアルバム『CONTINUE?』の初週売り上げが3万枚を切るなど、数字の面で厳しい状況が続いている。

「デビュー10周年イヤーを目前にしたアルバムでしたが、9月28日付オリコン週間アルバムランキングでは第4位、2.9万枚のセールスとなっています。また、3月18日発売のシングル『チートタイム』は、初回限定盤A・Bのほかに“1枚500円(税別)”の通常盤が発売されて話題を集めたものの、初週3.9万枚という結果に。昨年9月発売の前作シングル『DAN DAN dance!!』が初週4.4万枚を売り上げていたため、ネット上では『CDが売れなさすぎて、この先A.B.C-Zが活動できるのか不安』『前作より売れてないのはマジでヤバイ。いい加減、結果を出したい……』と、危機感を募らせるファンの声も見受けられました」(同)

 チャンネル登録者数215万人を誇る江頭とのタッグで、A.B.C-Zは今度こそ満足のいく結果を残せるだろうか?

嵐・櫻井は美 少年・那須雄登の「お父さん」? 二宮和也はKing&Prince・高橋海人から相談……後輩ジャニーズとの交流秘話

 嵐の冠バラエティ番組『VS嵐』(フジテレビ系)が9月24日に放送された。この日のオープニングトークでは、メンバーそれぞれがジャニーズ事務所の後輩とのエピソードを明かした。

 まずは相葉雅紀が、ジャニーズJr.・美 少年の佐藤龍我と浮所飛貴の名前を出しながら、最近、連絡先を交換したことを告白。相葉の冠番組『相葉マナブ』(テレビ朝日系)に2人がゲスト出演したのがきっかけだといい、相葉は2人について「(自らと)20歳差!」「20歳だよ!?」と愕然としたような表情を浮かべながら語っていた。

 これに対し、櫻井翔も「俺も思ったよ」と共感しつつ、同じく美 少年・那須雄登の大学入学祝いでスーツ、シャツ、ネクタイの一式を一緒に買いに行ったことを報告。櫻井は「これがいいんじゃない?」などと言いながら那須に試着させ、写真を撮っていたというが、松本潤はこのエピソードに「一緒に行ったの!? いや、それもうお父さんよ!」とツッコみ、櫻井はタジタジに。二宮和也は「しっかりお父さん」と茶化していた。

 そんな二宮は、King&Prince・高橋海人と食事に行った際、「お話があるんですけどいいですか?」と相談を持ちかけられたそう。高橋は「こういうことやっていきたい」などと熱心に話していたといい、二宮は「いま、こんな感じなんだなって。新鮮だった」と振り返っていた。また、松本はSexy Zoneに注目しているそうで、「この間、事務所で打ち合わをしてたら、Sexy Zone全員に会ったのよ。松島(聡)も含めて」とたまたま遭遇したとのこと。今後の展開を熱心に話していたと明かし、「楽しみだよね」と、後輩の成長に喜びを感じているような様子を見せていた。

 また、大野智はジャニーズWESTの小瀧望から、舞台に出演するため「楽屋のれん」を頼まれたことを告白。のれんに記す「○○さんへ」という文字を大野自ら書く予定だと明かしていたが、櫻井から「それはすごいね! いいじゃん!」と褒められると、慌てたように「あんまりテレビで言うと、またいっぱい頼まれるから!」と制止し、メンバーからは笑い声が上がっていた。

 この日の放送に視聴者からは、「櫻井くんめっちゃいいパパになりそう!」「なんだかんだみんな後輩の面倒見いいな」「やっぱり嵐は慕われてるんだろうな」という声が集まっていた。