ここ数年、SNS上で話題を集める「裏垢女子」。性的な写真や文章といった過激な投稿を行っている女性のアカウントで、Twitterでは「裏垢女子」というワードがトレンド入りすることも珍しくなく、また彼女たちを描いた映画『裏アカ』も製作されるなど、世間的にも注目を浴びる存在だ。
そんな裏垢女子とは、一体何者なのか。サイゾーウーマンでは、現役の裏垢女子・サオリさん(仮名)にインタビューを行い、知られざる彼女たちの実態に迫った。「自分に自信がなく、承認欲求を満たすために裏垢をやっている」とサオリさんは語っていたが、界隈ではトラブルが勃発するケースもあるという。そこで今回は、ITジャーナリスト・高橋暁子さんに裏垢女子につきまとう“危険性”について話をお聞きした。
裏垢女子がアップする「裸の写真」で身バレも?
まず高橋さんは、裏垢女子のトラブルとパパ活の関連性を指摘する。Twitterで「裏垢女子」と検索すると、「パパ活」「パパ活女子」「PJ」「サポ」といったワードとともにつぶやかれた投稿を多数見つけることができる。一方で、「セフレ募集はしているけれど、パパは募集していません」と投稿する裏垢女子も散見され、逆に言うと、パパ活目的もあって、裏垢女子をしている人も少なからずいるため、あえてこうした“宣言”をしているのかもしれない。
「性的な関係を結ぶわけではなく、男性と一緒にお茶を飲んだり、ご飯を食べてお小遣いをもらおうと考えていた女性が、性被害に遭うケース、盗撮されて脅しに遭うケースは珍しくありません。特に未成年者の被害が増加傾向にあることから、近年では、警視庁少年育成課などが、パパ募集のツイートを行う未成年と思しきアカウントに対し、直接『このツイートは児童買春などの被害につながるおそれがあります』とリプライを送ることもあります。いたちごっこではありますが、実際にパパ活募集の投稿は減少しているそうです」
パパ活目的ではなく、TinderやPairsといったマッチングアプリでセフレを募集する代わりに、裏垢を運営する女子もいるが、その行為にも危険はつきまとうという。
「マッチングアプリは、その中でやりとりをする分には安全なものが多いんです。というのも、日本の大手企業が運営しているマッチングアプリは、運営側がユーザーのやりとりを“監視”しており、犯罪につながりかねないメッセージを送るアカウントを停止するケースもあります。また、実際に会った相手が『危ない人かも』と不安になっても、TwitterやLINEのアカウントや電話番号など、アプリ以外の連絡先や情報を相手に渡していなければ、アプリ内でブロックしたり、アプリをやめれば問題ない。それにマッチングアプリは、特に男性に対して、登録時にしっかり本人確認を行うサービスが多く、Facebookアカウントや身分証明書の提示が必要なんです。そう考えると、ある程度は安心感を持って利用できるのではないでしょうか。でもTwitterのDMは、正直“無法地帯”ですね」
高橋さんいわく、Twitter社が個人のDMのやりとりを監視しているなんてことはなく、「ネット上で知り合った相手と実際会ったところ、誘拐や詐欺などの犯罪に巻き込まれる被害者は、たいていTwitterのDMでやりとりしている」とのこと。ツイート内容から、その人の人となりがわかるという理由で、裏垢女子はTwitterでセフレ募集を行っているかもしれないが、危険度はマッチングアプリより高いと言えるだろう。
またTwitterは、ほかのSNSサービスではAIによってはじかれるようなアダルト画像や動画の投稿も、垂れ流し状態になっているという。裏垢女子の中には、そうしたTwitterの“ザル”なシステムを利用し、「わいせつ頒布罪(陳列罪)」に問われないよう、ぼかしなどを入れつつ、裸の写真や性行為中の写真・動画をアップする人も多い。しかし高橋さんは「身バレの危険性を忘れてはいけない」と指摘する。
「実際に、写真に映り込んだ制服から、『これうちの学校の子じゃない?』とウワサが広まり、ほくろなどの特徴から人物が特定されてしまうという事例も。『どうせ誰も見ないだろう』と思っていても、実は意外に見ている人はいるものです」
体だけではなく、顔の写真をアップする裏垢女子もいるが、身バレしたくないのであれば、十分すぎるほどの防衛策を講じる必要があるだろう。
このように、何かとトラブルに巻き込まれる危険と隣り合わせの裏垢女子だが、「未成年者も多い」という現状を高橋さんはどう思っているのだろうか。
「今の若い子は、SNSのアカウントを複数持つことが当たり前。学校の友達とつながっているアカウント、趣味用のアカウント、愚痴やネガティブなことを吐き出すアカウントなどを持ち、性的なことを投稿する『裏垢』は、その中の一つという位置づけなんです。学生はリアルな世界が狭いので、自分の居場所を確保することに躍起になり、素の自分を出せない傾向がある。例えば、性的なことに興味・関心を持っていたとしても、クラスメイトにそんなことを言ったら引かれてしまうので、絶対に口にできない。だから『裏垢』でその思いを吐き出す。加えて、他人に認められ、承認欲求を満たすことで、リアルな世界とのバランスを保っているんです」
ネットは、女性が“求めてもらいやすい”環境だと高橋さんは言う。
「SNSに顔写真を上げると、リアルの生活と違って、『可愛い』と言ってくれる。少し体をチラ見せさせると、さらにたくさんの『可愛い』という声が集まり、ちやほやしてもらえる。それが大きな喜びにつながるのでしょう。リアルの世界で居場所がなくなったとしても、ネットの世界に居場所があると、精神的に追い詰められることがなくなるので、ある意味『裏垢』もセーフティーネットになっている面はあると思います」
しかし先ほど触れたように、自分の写真をアップするのは、さまざまな危険がつきまとうだけでなく、自身が罪に問われる可能性もあるだけに、特に未成年者に対しては、裏垢女子になることを勧めることはできないだろう。学校では、SNSの使い方に関する指導も行われているというが、実情はどのようなものなのか。
「確かに指導していますが、先生たちがSNSに詳しくない、SNSを使っていない、そもそもスマホを持っていないことが結構あって、本当に通り一遍なこと……例えば『顔写真など個人情報を書き込まないようにしましょう』などしか教えない傾向にあります。しかし、生徒たちは個人情報を漏らすことの危険性があまりピンときていないのか、NTTドコモの『スマホ・ケータイ安全教室』を受講した直後に、みんなで記念写真を撮影し、即座にSNSにアップしていた……なんて話を聞きました。しかも、友達との写真をアップする際に許可を取ることもない様子。『顔写真を載せないように』という教えは知っているけど、顔写真を載せないとみんなに見てもらえないし、可愛いと言ってもらえないし、『いいね!』ももらえない……そんな感覚なのではないでしょうか」
若い世代がSNSを通して発露させる「見てもらいたい」という願望。それが“性”に向かうと、裏垢女子になる可能性が高まるということだろう。裏垢女子は、今後もSNS上でその存在感を増していく予感もするが、何よりもまずは自分を守ることが第一であると肝に銘じてほしいものだ。