ここ最近、「堀北真希の妹」としてメディア露出を増やしているモデルのNANAMIが、8月25日放送の『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)に出演した。「最近むかついたこと」というトークテーマで、女性出演者から「ブスと言われた」という話題が飛び出すと、NANAMIは小学生時代のある思い出を語りだした。
なんでも、NANAMIの地元は小さな街だったため、自分が「堀北真希の妹」であることが住民に知れ渡っていたといい、駅のホームなどを歩いていると、「同い年ぐらいの子がタタターと来て、私の顔を覗いて、『ブスだったわー』って。そういうことは結構しょっちゅう……」とのこと。ネット上では「どこがブスなの? めちゃくちゃ美人だよ!」「そんなのただの妬み。気にする必要ない」などとエールが飛び交っていたが、一方で「姉が堀北真希だと、容姿にコンプレックスを抱いちゃうかなぁ」と、心配する声も散見された。
実際に、NANAMIは「週刊新潮」(新潮社)のインタビューで、「姉妹の仲はよかったですけど、私はコンプレックスを持っていたんです」と告白。見ず知らずの人に、姉と容姿を比べられ、勝手に「判定」されることで、さらにそのコンプレックスが強まった可能性もあるだろう。
芸能界では、かつて有村藍里が、妹の有村架純に対する強烈な容姿コンプレックスを明かして、話題になったことがある。「どうにか妹に顔を寄せようとメイクを工夫している」などと語る姿に、同じく容姿に自信が持てない女性から共感の声が寄せられたが、その後、藍里は、美容整形に踏み切り、輪郭形成の骨切り手術をしたことを公表。現在では、コンプレックスも幾分か解消され、メイクやファッションを楽しむことができているようだ。
サイゾーウーマンでは、そんな藍里が抱く劣等感をめぐり、「姉妹間の容姿コンプレックスはなぜ生まれるのか」を、精神科医である銀座泰明クリニックの茅野分(ちの・ぶん)先生にインタビューしていた。今後も、人気女性タレントの姉や妹がデビューした際、話題になりそうなこのテーマを、いま一度考えるべく、記事を再掲したいと思う。
(編集部)
(初出:2018年6月27日)
有村藍里が、妹・架純に劣等感抱くワケ――精神科医が語る、姉妹間の“容姿コンプレックス”
姉や妹に対して、容姿に差があると感じ、コンプレックスを抱いたことはないだろうか。それは、しばしば芸能界でも見て取れる時がある。女優・有村架純の姉である、タレント・有村藍里は、テレビで妹に対する強烈な容姿コンプレックスを明かして一躍話題となった。
藍里は、架純について、「(鼻の下に縦線を描くというメークをすると)ちょっと妹に似てるって言われる。遺伝子的にも、妹が私の中ではかわいいの最上級。一番なれそうな位置なので、描いたら似るなら描こうかな」「妹と比べると声くらいしか似ている部分がない」「妹は可愛い」などと発言。こうした藍里の言動に対し、姉妹のいる女性からは「気持ちが痛いほどわかる」「同じ親から生まれたのに……って悩んだことある」といった共感の声が多く上がっている。
そもそも、“姉妹間の容姿コンプレックス”はなぜ生まれるのか? また、悩んでいる女性に救いはないのか? 今回、精神科専門医である銀座泰明クリニックの茅野分(ちの・ぶん)先生に話を伺った。
コンプレックス=生存競争?
――有村藍里さんが「妹の方が可愛い」といった気持ちを吐露したように、姉や妹に対して容姿コンプレックスを抱く女性の心理的状況をどのように感じますか?
茅野分氏(以下、茅野) まず、広く兄弟姉妹間でのコンプレックスとは、一言で言うと、「同胞葛藤(どうほうかっとう)」なのではないでしょうか。「同胞葛藤」とは、親の愛情を求めて、兄弟姉妹間に生じる心理的な葛藤のこと。姉として、妹を可愛いと思う半面、容姿や親の愛情の違いなどで劣等感を抱いたり、妬んだりしてしまいます。
――「同胞葛藤」はどのように生まれるものなのでしょうか?
茅野 今でこそ少子高齢化といわれていますが、昔は兄弟姉妹が5~6人いるのが当たり前でしたから、その中で“どうすれば親の愛情を受けられるか”“どれだけの食事を得られるか”“どれだけ教育的な支援を得られるか”などという、いわゆる生存競争がありました。昭和の高度経済成長期、1940年代後半から50年代前半くらいまでの人にとって、「同胞葛藤」というのは、兄弟姉妹間での生き残りをかけた中で生まれるものだったわけです。
――現代ではどうでしょうか?
茅野 現在は出生率が1.5を切っていますから、ほとんどが1人っ子の家庭ということになります。ですから、必然的に「同胞葛藤」は減っています。これから10~20年後の家庭ではさらに「同胞葛藤」は減っていくでしょう。兄弟姉妹間におけるコンプレックス問題は最後の時代にきているのではないかと思います。
――藍里さんと架純さんは、現代を生きる2人姉妹なのですが、にもかかわらず容姿コンプレックスを抱いてしまうというのは、どういった背景があるのでしょうか?
茅野 お二人に当てはまるかは断言できませんが、“幼少期から親御さんのかける愛情の度合いが異なっていた”というケースは多いですね。娘さんが2人いたら、親御さんは、たとえどちらかが可愛かろうが、優秀であろうが、同等に扱うべきなのに、そうではなかったのかもしれません。もちろん、親御さんの教育的な配慮がなされていたのにもかかわらず、小学校、中学校とあがっていくうちに、親戚や友達などとの関わりも増え、そういう近い人たちに姉妹間で比べられたり、心無いことを言われてしまうと、やがてそれがコンプレックスになることもあります。
――友達より姉妹に対してコンプレックスを抱きやすいのでしょうか?
茅野 ケースバイケースでしょうが、より身近にいる姉妹の方が大きいのかもしれませんね。もちろん、個人差はありますから一概にとは言えませんが、特に、歳が近いとどうしても比べられてしまう、その分、コンプレックスを抱きやすくなるという背景はあると思います。
――一方で“容姿”コンプレックスとは何かについても、詳しくお聞きしたいのですが。
茅野 若い女性にとって、“美しさ”は絶対的な価値観と考えられがちで、美しくなるために多くの時間と労力、お金を費やす方がいます。決して醜くないのにもかかわらず、人と比べ自分がブスだと思い込んでしまう……それが容姿コンプレックスです。ひどくなると「醜形恐怖」と言われ、自分の容姿容貌が醜いのではないかと恐れ続ける心の病気につながるケースもあります。
――病的なまでに容姿コンプレックスを感じてしまう精神状態=「醜形恐怖」ということでしょうか?
茅野 彼女たちに共通する精神状態として、“ボディイメージの障害”があります。彼女たちは、“否定的な自己像”を抱いており、常に「自分はブスなのではないか」「太っているのではないか」「周りから受け入れられないのではないか」などと恐れ、悩んでいます。そして、周囲の視線を過剰に気にして“対人恐怖”となってしまい、自分の顔・形を変えることに執心するようになります。
――例えば、整形を繰り返してしまうとか。
茅野 はい。しかし、整形手術を契機に生まれ変わったように人生が明るくなる方もいらっしゃるようです。私の大学時代からの友人に、湘南美容外科の相川佳之先生がいますが、彼いわく「心療内科医や精神科医と同じように、僕らは美容整形外科手術を通して患者さんの『心』も治療している」とのことで、整形によって気持ちが満たされ、容姿コンプレックスが改善されるなら、それも1つの手だと思います。
―― 一方で、他者から見て明らかに不自然なほど整形を繰り返し、にもかかわらず「もっと手術をしてほしい」と執着してしまう人もいますよね。
茅野 キレイになっているのにもかかわらず、自分を客観視できなくなってしまうということですね。「自分はブスなのではないか」という思い込みから逃れられなくなってしまう。醜形恐怖とは、さまざまな要因が重なってなることもあるので一概には言えませんが、幼少期からの両親との愛情関係が影響するとも言われています。