昨年、都内タピオカドリンクてんのオーナー夫妻とトラブルを起こし、芸能活動を休止していた木下優樹菜が、7月1日に活動再開を宣言するも、わずか5日後の同6日に、と突然、引退を発表した。この背景には、木下の不倫問題があったとする疑惑が浮上。そのお相手については「大手事務所に所属する男性グループの30代メンバー」などと報じられており、現在ネット上では、候補者の名前が飛び交っている状況だ。さらには、「不倫相手は一人ではない」とするウワサもささやかれており、木下への批判も日に日に強まっている。
一方、ネット上では、木下が「夫に一途」ではなかった点に驚く声も少なくない。というのも、「ヤンキー」「ギャル」と呼ばれる女性は、見た目の派手さとは裏腹に、恋愛に対しては至極真面目で、一度好きになった相手には一途だとする説が存在するからだ。
実際に、昨今テレビに引っ張りだこのギャルタレント・みちょぱは、プレゼンバラエティ『俺の持論』(テレビ朝日系)で、相手を一途に思い、浮気は絶対にせず、尽くすタイプだと解説していたこともある。しかし、これまで「ヤンキー」「ギャル」と言われてきた木下が、もし本当に複数人と不倫関係にあったとすれば、この説も怪しいものだろう。
そんな、「ヤンキー」「ギャル」の恋愛観について、サイゾーウーマンは過去に取材を行っている。90年代レディース文化のアイコンだった紫優嬢四代目総長・中村すえこ氏に、ヤンチャ少女の恋愛観・セックス観の変遷を語ってもらった。すえこ氏が「昔は、たくさんの男の人とセックスしていることが周りにバレると、自分が『下』に見られてしまう恐れがありました」と語るワケとは。この機会に、ぜひご一読いただきたい。
(編集部)
(初出:2014年5月11日)
90年代伝説のレディース総長が読み解く、『ヤカラブ』の現代ヤンキー少女の恋とセックス
「男一瞬、ダチ一生」でおなじみ、悪羅悪羅系ギャル誌「SOUL SISTER」(ミリオン出版)。昨年惜しまれつつ休刊となった同誌で、人気を博していた読者モデルたちの恋愛体験談が小説としてまとまり、この度『ヤカラブ』として発売された。「彼氏と入れたイレズミ」「14歳の不倫」「クラブでの男狩り」「暴走族との恋」など、“現代のヤンキー少女”のリアルな恋愛は、大反響を呼んでいるという。そこで今回、90年代レディース文化のアイコンだった紫優嬢四代目総長・中村すえこ氏を迎え、現代のヤンチャ少女たちの恋愛観、セックス観が当時からどのように変化していったのかを語ってもらった。
――率直に、『ヤカラブ』に描かれている、“現代のヤンキー少女”たちをどう思いましたか?
中村すえこ氏(以下、中村) 私たちの時代とは、20年くらいの差があると思うのですが、「男の名前を体に彫る」とかは、同じようにやってたことだなぁと思いました。それから、まだシンナー吸ってるんだって、びっくりしましたね(笑)。てっきり今のヤンキー少女は、もっと違うことをしてると思っていたので。シンナーとかタバコとか根性焼きとかをする前に、すぐクスリにいっちゃうようなイメージもありましたね。どっちがよくて、どっちが悪くてという話ではないですけどね。
あと、彼女たちは浮気したりなど、男性関係が結構激しいんだけど、実は誰か1人の男の人を一途に思っているというのは共感できました。ただ昔は、たくさんの男の人とセックスしていることが周りにバレると、自分が「下」に見られてしまう恐れがありましたね。この本の中ではそういう価値観はないですよね。小説の元になった女の子には、百人斬りを公言している子もいるし。当時は、遊んでいたとしても、決してそういうことは公言しなかったので。
――それは、ヤリマン扱いされるから?
中村 変な話、私たちの周りには、3日ごとに彼氏を替えても、ちゃんと「付き合ってからセックス」しているならいいという価値観があったんです。付き合ってもいないのにセックスをしている子は「ヤリマン」っていう。そのけじめがきちんとつけられていないと、バカにされちゃうんですよ。私たちはとにかく「硬派でいることがカッコイイ」とされてましたから。愛する男も1人っていうのがカッコイイ。
――すえこさんの自伝『紫の青春』(ミリオン出版)を読むと、確かにレディースはルールや規則が厳しいですよね。
中村 そうですね。目標というか、自分が今進んでいる道というものが明確にあったので。例えば、レディースとして全国制覇するといった、笑っちゃうような目標ですけど。だけど今の子たちの方が、いろいろなことに迷って、悩みながら進んでいるように感じる。目標とか目的が見えない。
一方で、たくさんの選択肢があって、すごく自由でうらやましいとも思う。私は好きで紫優嬢をやっていたけど、地元でもし目立つことをしたいのならば「レディースに入らないとできなかった」っていうのもあったから。今は自由ですよね。男関係も口に出して言えるし。私なんて、今でも過去は隠したいですよ(笑)。
――『ヤカラブ』の男性像についてはどうですか?
中村 ここに出てくる男は「勝手な男」だと思う! でも、女の子は相手に一途で、その付き合いがいい終わり方をしなくても、男のことを悪く言わないですよね。いい思い出として終わらせているなと感じました。私も一途ではあったけど、そんな男だったら、別れた後に追い込みかけてたかも(笑)。
いわゆるヤンキーの子たちが、相手に一途になってしまうのは、早い年齢で恋をするからでしょうね。自分が何者かもわからない状態で。自分のこともどうにかできない幼い自分が、相手をどうにかなんて絶対できないんだけど、とにかくどうにかしたいんです。もうそれだけですね。
――すえこさんも「13歳で同棲した」と書かれていましたが、『ヤカラブ』の子たちも、かなり早い段階で同棲しています。
中村 この本には「居場所がなかった」「彼と過ごす時間が全て」と書いてありますけど、すごくよくわかります。私も家に両親がいなくて1人の時間が多かったし、そういう寂しい時間を一緒に過ごせて、しかもそれが好きな相手だったら、彼が全てになっちゃうなって。私は今、非行に走ってしまった子どもたちと関わっているんですけど、やっぱり大人からの絶対的な愛が足りない。そういうのもあって、男に対しての愛情の表し方がわからないんですよ。
――今も昔も不良少女たちは、なぜ不良や暴走族といった「強い男」「危険な男」に惹かれるのでしょうか?
中村 本能だと思います。より多く狩りができそうな男を求めるというね。ヤンキー少女は、今も昔も、基本あまり考えてないで本能で動いているから。
それから、ヤンキーには尽くす女が多いんですよ。「私がどうにかしてあげなきゃいけない」という「ナイチンゲール症候群」の女だからこそ、そういう男に惹かれてしまうのかも。『ヤカラブ』にもいましたよね。DVの男に苦しめられながらも「この人は、私がいないとダメなんだ」って思い込んでいる子が。母性本能が強いのかもしれませんね。
――なぜ、母性本能が強くなるんでしょうか?
中村 親や周りの人から愛されてこなかった子が「自分はこうされたかった」というのを、男にしてしまうというのはあると思います。別にその男が「助けてくれ」って言ってるわけじゃないのに、先回りして助けようとしちゃう。結局それで、男をダメにしちゃうんですけどね。
――すえこさんは紫優嬢に入ってから、男性に対する意識の変化はありましたか?
中村 今思えば、当時は「男に負けたくない」という気持ちが強かったかもしれません。なかなか女だけで走るのが難しかった時代だから、結局男を頼らないといけないんだけど、でも全部おんぶに抱っこじゃなくて、自分たちができることはしたかったし、男性のチームからも認めてほしかった。男とただ一緒にいるだけより、紫優嬢の活動の方がアドレナリンが出ていたのは確かです。『ヤカラブ』の子たちは、ヤンキー少女だけど「男に負けたくない」という感情はないですよね。彼女たちは、そういう「女は男より弱い存在」「だから男に認められたい」という価値観からも、もう自由なんじゃないですか。もしくは人にあんまり干渉しないのか。
ただ……当時も、暴走族の男の先輩で、レディースの子を彼女にしてる人はいなかったですね。嫌だったみたいですよ、自分の女がグレてるっていうのが(笑)。先生に目をつけられてる女の子くらいが、ちょうどよかったみたい。
――『ヤカラブ』に出てくるのは、アイドル事務所に入っているとか、109のショップ店員とか、比較的モテる・容姿に自信がある目立つタイプの女の子ですよね。レディースの中でも「モテてる女がエライ」という風潮はありましたか?
中村 私たちはとにかく仲間意識が強くて、同時に、はじかれるのがイヤだったので、「誰か1人が目立ったりモテたりしたら、周りはいい気がしないだろう」という意識が強かったですね。女同士の中で「モテる・モテない」があると気まずいでしょう。まぁでも、きっと心の中ではあったと思いますよ。「この女には負けてねぇだろ」とかは。それより、私たちの時代と決定的に違うなと驚いたのは、10代の女の子が「セックスが気持ちいい」と言っていることですよ。
――すえこさん自身は、そう感じたことはなかった?
中村 よく当時の友達とも話をするんですが、私たちの時代って「男がイクためのセックス」ばっかりで、多分、自分にとって気持ちのいいセックスはできてなかったんだなぁと思います。セックスに関しては「自分より、男」だったのかもしれない。
もちろんそこには、「男がそういうセックスしかしてこなかった」というのと、私もそれしか知らなかったというのもあると思います。相手が好きだから、相手がセックスして満足するのであれば、たとえ自分が満足できなくても、それはそれでうれしかったんです。でもやっぱり、『ヤカラブ』の子のように、セックスを「気持ちいいもの」として楽しむという感覚はありませんでした。
――『ヤカラブ』の少女たちには、誰よりも早く処女を捨てること、たくさんの男性とセックスをすること、そしてセックスを楽しむことに価値があるのかもしれませんね。
中村 確かに初めてセックスした後は、私も「これで自分も大人になったのか」とは思いました。だけど、ほかの子より「前に出る」って感覚ではなかったですね。セックスすることで周りと同じラインに立った感じ。
――すえこさんにとって「一歩進んでいること」とは何だったのでしょうか?
中村 『ヤカラブ』の子たちは、みんな彼のバイクの後ろに乗るんですよね。だけど私は後ろじゃなくて自分で運転したかったんですよ。やっぱり自分で運転するのと、後ろに乗るのとでは見える景色は違うから。多分それが、私の「誰よりも先に一歩進みたい」っていうやつだったのかも。『ヤカラブ』の彼女たちが誰よりも先に進むために、セックスをしたり、可愛くオシャレであろうとするように。私にとっては、それが最高にオシャレなことだったんですよ。そういう意味では、「誰よりも先に一歩進みたい」というのは、今も昔も、ヤンキー少女の変わらないところかもしれませんね。
(取材・文/西澤千央)
中村すえこ(なかむら・すえこ)
1975年埼玉県生まれ。13歳でレディース紫優嬢に入り、15歳で四代目総長に。テレビや雑誌に取り上げられ、ヤンキーのカリスマとして圧倒的な人気を誇る。現在は、少年院などを慰問しながら、非行少年少女たちの更生に力を入れている。四児の母。著書に『紫の青春 ~恋と喧嘩と特攻服~』(ミリオン出版)がある。
『ヤカラブ』 鈴木有李著
「SOUL SISTER」(ミリオン出版)連載当時から、大反響を巻き起こしていた“現代ヤンキー少女”の恋愛ストーリーをまとめた1冊。「彼氏と入れたイレズミ」「14歳の不倫」「クラブでの男狩り」「暴走族との恋」といった、彼女たちのリアルな物語には、全国の女子高生を中心に感動の声が多く寄せられている。