新型コロナウイルス感染症拡大による緊急事態宣言が延長となり、外出自粛がまだまだ続くことになった。そうした状況下でも仕事を続けなければいけない人々はもちろん、家で自粛を続ける人たちもまた、ストレスや疲れが溜まってきている。
そんな今こそ、“ジャニオタ的癒やし”として最もお勧めなのが、ジャニーズJr.内ユニット「少年忍者」だ。
これまでも当コーナーで何度か彼らの魅力を記してきたが、外出できない今、我々には有り余るほどの時間がある。ジャニオタに限らず、オタクというものは本来、事務所や広告代理店、レコード会社などといった大人たちが勧めてくる“モノ”にはあまり興味がない。なぜなら、自分の目で勝手に好きなモノを選びだし、「オレだけの〇〇」を見つけたいからだ。そして、それらに関連する全て――性格や趣味、特技、人間関係などを、まるで枝葉が広がっていくように続々と調べていくのも大好き。
そこでありがたいのが、少年忍者の多人数具合。現在、中学2年から高校卒業1年目までの計22名という大所帯だ。彼らと同世代のファンであれば、1クラスより少なめ、親世代であれば同じクラスの男子の人数分ちょうどくらいだろう。
ジャニーズに興味がない層からは、10人でデビューしたHey!Say!JUMPも「人数が多すぎて、顔と名前が覚えられない」と長年言われ続けてきたが、オタクの情報処理能力をナメてもらっては困る。むしろ、このくらいの人数がいてこそ、腕が鳴る、覚え甲斐があるというものだ。
彼らのパフォーマンス力の高さを知るには、やはり『ザ少年倶楽部』(NHK BSプレミアム)を見るのが手っ取り早い。Jr.内でも、「Jr.SP」の中村浩大と並び、歌唱面でトップレベルにある北川拓実を筆頭に、ヴァサイエガ渉、川崎皇輝、内村颯太など(あまり知られていないが鈴木悠仁も)、高音から低音まで音の幅が厚く、大人数で歌が揃っていてユニゾンが美しい。
また、アクロバットは、やはり若手Jr.ではトップレベルにある安嶋秀生を筆頭に、ヴァサイエガ渉、檜山光成、青木滉平、長瀬結星、稲葉通陽、川崎星輝など層が厚い。22人中半数以上が軽やかにアクロバットをこなすという、まさに「忍者」集団なのだ。
ダンスでは、嵐・松本潤に「エモい」と言われた織山尚大を筆頭に、元木湧、安嶋秀生、内村颯太などが目立つが、全員がとにかくシャカリキに踊るし、動きがよく揃っている。
「少年忍者」による大人数パフォーマンスの魅力は、単にこうした個々のスキルの高さではなく、「きっちり揃える」中にも「自分が一番目立ってやるぞ!」という意欲を持っている子が多いところにある。スキル重視のファンを指す「スキル厨」という言葉があるが、自分は「スキル厨」ならぬ「稽古厨」の部分があるため、くるくるとフォーメーションが変わり、ソロやコンビ歌唱が入り、アクロバット隊が華麗に縦横無尽に駆け抜けていく様子を見ると、彼らの稽古量が尋常でないことがよくわかり、それだけで、胸がいっぱいになりそうだ。
その一方で、素顔は「普通の子」たちである点も、また魅力的だ。
水曜日に、YouTubeのジャニーズJr.チャンネルで更新される少年忍者の動画は、とにかく見どころだらけで、アップされるたび毎週のようにTwitterでトレンド入りを果たしている。明るく優しく賢く気配りのできるMC兼“担任”的ポジションを務める川崎皇輝(先生)のもと、全員で遠足に行っておやつ交換をしたり、Snow Manに名前を覚えてもらえるよう一人ひとりアピールしたり、粘土で遊んだり、けん玉をしたり、みんなでやってみたい企画を個々にプレゼンしたり……。
そこには、仲良し“陽キャ集団”(通称:3150組/安嶋、元木、平塚翔馬、内村、黒田光輝)がいれば、最年少のお気に入りとベッタリ隣り合って座るお兄ちゃんがいたり(小田将聖と北川)、イラストや読書が好きで物静かで優しく穏やかな自称“少年陰キャ”(豊田陸人)が脇で微笑んでいたりと、その様子はさながらクラス、あるいは「学校」そのもの。
スクールカースト的なものは多少あるだろうが、意地悪する子や自分だけ目立とうとする子はほとんどおらず、一人でポツリと沈んでいる子などもなく、陽キャも陰キャも、年上も年下も、みんな等しく遠足や企画を楽しんでいる。その様子は、本当に微笑ましい。
そこには、一人ひとりの話に耳を傾けたり、自ら発言しない子に話を振ってあげたり、陽キャに一発ギャグを振って盛り上げてもらったりという、“川崎先生”の細やかな目配りがあって、“健全な学級経営”が行われているのだろう。
仲良しグループ的なものはあっても、決して排他的ではなく、学年違いもキャラ違いもみんな一緒に遊ぶことができ、誰かが発言するたびに、全員が漫画さながらに「どっと笑う」のも、まさに教室の風景だ。
さて、個々のキャラ、人間関係などを把握したら、次に学びたいのは「少年忍者」の歴史である。
この編成になるまでに、さまざまな組み換えがされてきた。例えば、前身となるジュニアBoys時代、『忍たま乱太郎』(NHK Eテレ)の主題歌「勇気100%」を歌っていたときにセンターポジションを務め、メイキング映像ではダンスの振り付けレクチャーをしてきた黒田が、その後は後列に回され、長い時を経て今、再び最前列に来た。本人も最前列は珍しいとインタビューで語っており、4月末に公開されたYouTubeの次回予告で「絶対デビューするぞ!」と叫んでいる姿に、胸を打たれた古くからのファンは多かった。
また、ジュニアBoysでセンターポジション、その後もだいたい最前列で、ダンスや歌が秀でたメンバーによる選抜チーム「5忍者」にも入っていたのに、その後、Jr.経験の浅いブランデンとチェンジさせられた元木も、現在は再び前列のほうに来ている(ブランデンが少年忍者メンバーに入っていないのは、それもまた寂しいが)。
ずっと中心メンバーだった「川崎先生」ですら、変声期には一時、少し後列になったことがあるし、ダンスやアピール力などの実力で最前列に躍り出た織山のような例もある。
おそらくこのまま22人でCDデビューすることはないだろうし、大人数で下剋上の激しい世界だからこそ、刹那のきらめきを持つ「少年忍者」の面々。その情熱とひたむきさ、パフォーマンスの高さと、その一方で、カネや女のニオイにさらされていない「普通の少年たち」の平和な空気が、疲れた私たちを癒やしてくれるはずだ。
(南山ヒロミ)