新型コロナウイルスの感染拡大で世界中が大混乱に陥っている。いつ収束するのかが読めない現況下で、不安な気持ちを抱える日々の中、ゴールデンウィークに旅行を計画していたものの、全て白紙になってしまい、ガッカリしているという人も多いのではないだろうか。こういう時だからこそ、旅行がてら神社参拝をして、自分や周りの人たちの健康と混乱の収束をお祈りしたいと思ってしまうが、外出自粛というこのご時世、なかなか、思うように行動できない。
でも、でも、でも、わかっちゃいるけど、やっぱりこんな時だからこそ神社でお参りしたい!
何か心が落ち着くような良い方法はないものかと、先頃、『神社で出逢う私だけの守り神 神様に力を分けてもらう方法」(祥伝社)を上梓したばかりの神社探究家・浜田浩太郎氏にお話を伺うと、なんと「自宅でも神社参拝はできますよ」と驚きの回答が返ってきた。果たして、「リモート参拝」の方法とは?(聞き手/エッセイスト・鳥居りんこ)
古代から行われてきたリモート参拝
――緊急事態宣言が発令されて以降、みんな鬱々とした気持ちになっています。全国の有名神社も、新型コロナウイルス感染症拡大防止の対策として、祭祀の中止や拝観の停止を発表しているような状況ですし、お参りしたくとも、今は家でじっと我慢しています。
浜田浩太郎氏(以下、浜田) いえいえ、あまり知られていないのですが、家庭での参拝は可能なんですよ。
――え? 参拝もリモート可能なんですか? 神様って、神社に行かないと会えないんじゃ……?
浜田 そんなことはないんです。古代から、産土神社(うぶすなじんじゃ)や崇敬神社(すうけいじんじゃ)には遠くて行けない、あるいは病などの事情を抱えていて、行きたくても行けないという人たちのために、家庭での参拝という方法が用いられてきたんですよ。
――家庭での参拝っていうものがあるんですか!? でも、その前に待ってください。産土神社? 崇敬神社? って何ですか?
浜田 産土神社は、自分が生まれた土地の神様がいる神社のことで、母親がお産をした場所から半径約4キロ(昔の1里に相当)以内の神社がそれに当たります。
一方、崇敬神社というのは、自分自身が信仰している神社ってことですね。行ってみたら、すごく良いことが起きたとか、とても清々しい気持ちになったとか。そういった、自分自身の守り神のように思える神社ってことです。また、鎮守神社(ちんじゅじんじゃ)という、自分が現在住む地域の氏神様をお祀りしている神社があります。こちらは自分の現在の住まいから半径約4キロ(昔の1里に相当)以内にある神社のことを言います。
――なるほど! 鎮守神社は自宅の近所にあるので、3密を避けてお散歩がてら、お参りすることは可能かもしれませんね。それで、家庭での参拝というのは一体どんなものなんですか?
浜田 家庭での参拝は「遥拝(ようはい)」と言って、生まれた土地や、お気に入りの神社が遠方にあり、実際足を運べない場合に、家で行うことです。遥拝は「遠く隔たったところから拝むこと」を意味するんですよ。
――遥拝……ですか。初めて聞きました。お作法とかやり方があるのでしょうか?
浜田 家庭での遥拝は主に6種類ありますので、参考になさってください。
まず1つ目が家庭の神棚を拝む。家庭に神棚を設け、産土神社、鎮守神社、崇敬神社を拝みます。神棚は、風通しが良く、日差しが入る場所が良く、向きは南向きか東向きが良いとされます。神棚にはお神札(神社でもらうことができるおふだ)を納めますが、そこに順序があります。神棚が一社造りの場合、一番手前に伊勢神宮のお神札、その後ろに氏神神社(産土神社・鎮守神社)のお神札、その後ろに崇敬神社のお神札を納めます。三社造りの場合、中央に伊勢神宮のお神札、向かって右に氏神神社のお神札、向かって左に崇敬神社のお神札を納めます。神棚は神社そのものです。
そして2つ目が、お守りを拝む。お守りも神様の御霊が入っているものですので、お守り=神様そのものでもあるんです。お守りを自分よりも高い位置に置いて、手を合わせましょう。
――お神札かお守りがないといけないんですね?
浜田 いえいえ、お神札かお守りがなくても遥拝する方法はありますよ。それが3つ目で、お社の方角へ向かって祈るというもの。産土神社、鎮守神社、崇敬神社のある方角へ向かって手を合わせ拝みます。その神社が北海道にあられる方は、北に向かって手を合わせるってイメージですね。方角は大体でOKではありますが、意識してみてください。
4つ目は、山や海を拝む。ご神体(神が宿るとされる物体)として拝まれてきた山が自宅から見える場合は、その山の頂に向かって手を合わせます。どうしても山が見えない時は、山がある方角に向かって手を合わせ拝みましょう。近年は、グーグルマップなどで自宅と山の位置関係を確認できます。また、自宅近辺から海が見える場合は、海に向かって手を合わせましょう。
――確かにこの2つの方法だったら、「すぐにできる!」という方は多そうですね。
浜田 加えて、5つ目はバーチャル参拝をする。こちらは神社の公式サイトに、コンテンツの一つとして掲載されている神社でのみで有効な参拝方法です。電子マネーでお賽銭を払うことも可能なんですよ。
そういったコンテンツがない神社でも、インターネット参拝ができるところもあります。これが6つ目です。メールで祈願する内容を送ると、神職が本人に代わり、直接、神前に祈願してくれる神社もあります。以前から、病気療養中でどうしても参拝できない方などが、手紙を書いて、神職にご祈祷をお願いすることがありました。今もそうされている方がおられるでしょうが、ネットが広く普及してきたので、今ではメールで受け付けてくれる神社もあるんですよ。
――おお! そうなんですか? ネットやバーチャル参拝という電子機器を使う遥拝というものまであるんですね! 神様も、時代に合わせて柔軟に対応してくださるようになったというのは驚きです。
浜田 ネットやバーチャル参拝も含め、遥拝には「神々を信じる心と行い」が大切なんです。遥か遠くから拝むことで、その心と行いが神々に通じると思います。
――なんだか、とても安心しました。私も早速実践して、「一刻も早く平穏無事な毎日がやってきますように」と神様に祈ってみたいと思います。
浜田 そうですね、大変な世の中には違いないですが、神様に手を合わせることで、自身の心のバランスを取るということが必要かもしれません。
――今日は、ありがとうございました!
浜田浩太郎(はまだ・こうたろう)
神社探究家。立命館大学産業社会学部卒。京都産業大学日本文化研究所元上席客員研究員。大手カルチャーセンター講師。京都や奈良の神社を中心とした実地講座の講師。民俗学をベーストした神社学から「人と神社の繋がり」や「守り神に出逢う方法」を探究。4月に祥伝社から『神社で出逢う私だけの守り神 神様に力を分けてもらう方法』を上梓。
公式サイト
【新刊紹介】
『神社で出逢う私だけの守り神 神様に力を分けてもらう方法』
「旅行先の神社には必ず足を運ぶ」「御朱印集めが趣味」そんな神社好きな人でも、「人間には誰にでも『自分担当の神様』がいる」ということは知らないのでは? 本書は、「自分の守り神」を知ることができるという画期的な1冊。チェックシートから、「人を魅了する 龍人」「我が道を切り開く 天狗」「勝手気ままな不思議ちゃん 狐女」「良妻賢母の癒し系 弁天」「不器用だけど、強くて優しい戦う人 武士」の5つのタイプのどれに当てはまるかを割り出し、自分の「守り神」を見つけることができます。その神様がいる神社へ詣でることで、さらにご利益アップ!? 守り神がわかると、自分らしく生きることができるようになり、人生が楽になるかもしれません。