ジャニーズのダンスが、変化の時を迎えている。
歌って踊る男子アイドルといえばジャニーズの専売特許、という状態が日本では長く続いた。しかしK-POPアイドルやLDHの台頭により、その独占状態はもはや完全に崩れている。
失礼を承知でいえば、ジャニーズのダンスのスキルが一般に高く評価される機会はあまり多くなかった。一方、鍛え上げた肉体で長年レッスンを積んできたK-POPアイドルや、ストリートで揉まれて育ったダンサーも多いLDHのパフォーマンスは、「ダンスってかっこいい」という驚きを、アイドルファン以外にももたらした。さらに、2012年の学習指導要領改訂により、中学校でダンスが必修化された流れもこれを後押しし、子どもの習い事の選択肢にダンスが入ってくる状況が生まれている。ごく身近なカルチャーとして憧れの対象になり、日本のダンスのレベルが底上げされてきているのだ。
この潮流は、ジャニーズにとっても無視できるものではない。若い世代のメンバーには、入所前からストリートやダンス教室でスキルを磨いてきた人材も増えてきた。ファンの目もどんどん肥えていっている中で、ジャニーズのダンスはどうアップデートされているのか? そこで今回は、プロのダンス講師をお招きして、Hey!Say!JUMP、King&Prince、Snow Man、Travis Japanといった若手4組のダンスを分析してもらった。
第1回目はフォーメーションダンスに定評のあるHey!Say!JUMPの「BANGER NIGHT」を見ていこう。
第1回:Hey!Say!JUMP「BANGER NIGHT」(振付:ソン・ソンドゥク)
――Hey!Say!JUMPはデビューして13年ですが、昔からダンスに力を入れているイメージがあります。今回先生に見ていただいた曲も、BTS(防弾少年団)のコレオグラファーであるソン・ソンドゥク氏が担当したということで話題になりました。
先生 みんなうまいですね! 特にセンターの山田涼介くんは動きにキレがあって、スキルの高さを感じます。
――BTSの「I NEED U」のような、激しく入れ替わるようなフォーメーションに通ずる振付のように見えました。Hey!Say!JUMP史上、最高難易度なんじゃないかとも言われています。
先生 たしかに一体感はあると思います。ただ……正直、本人たちにしっくりハマっていない印象です。ヒット(リズムに合わせて体をハネさせる動き)が弱いし、顔の角度や目線の持っていき方に慣れなさが出てしまっていますね。
――そもそもK-POPとジャニーズのダンスってジャンルが違うんでしょうか?
先生 そうですね。K-POPはヒップホップや、最近だとコンテンポラリー的な動きも取り入れています。また、クランプが流行った後の今のダンス界では、“止め”の動きやヒットさせる動きを取り入れて、体を正面に向けず、あえて肩を入れながら斜め45度で目線を向けるような振付が定番になっています。一方で、ジャニーズの基本にあるのは流れるようなしなやかなジャズダンスで、顔の向きはまっすぐ前。簡単にいうと、体ごと正面を向いて肘を曲げて手のひらを上から下ろしながら首を揺らす振付が象徴的ですね。(下の図を参照)
――クランプは、EXILEのAKIRAさんや三代目J SOUL BROTHERSの岩田剛典さんなど、LDHのパフォーマーが得意とするストリートダンスですね。
先生 「BANGER NIGHT」はダンス界のトレンドをしっかり押さえていますが、彼らの体に馴染んでいる“ジャニーズ的”な動きとそれほど相性が良くないんでしょうね。従来の路線に戻った「ファンファーレ!」(19年8月リリース)のほうが、彼らの持ち味を活かしていて良いと思います。ダンスはトレンドを追えばいいってものでもない。それよりも、自分たちの得意分野を上手に表現した方が見てる側にも伝わるものがあると思います。
――「ファンファーレ!」は確かに王道のジャニーズソングの色があります。では、先生がHey!Say!JUMPの中で「ダンスナンバーワン」を決めるとしたら誰ですか?
先生 「ファンファーレ!」のダンスで目をひかれたのは有岡大貴くんですね。
――え! 意外です! ファンの中ではやっぱり山田涼介くんのダンスが評価されることが多いんですよ。
先生 そうなんですか?(笑) もちろん山田くんもめちゃくちゃ上手いですよ! でもこれは個人的な好みとして、有岡くんのダンスは目を引くものがありました。肩の入れ方をはじめ、体の動きに個性が表れていて素敵です。
――それはもう声を大にして言っていただきたいです! 本人もあまりダンスは褒めてもらってないでしょうから!
先生 そこなんですよね。それは、彼のパフォーマンスの雰囲気からも出ている気はしました。センターではないし、どことなく本人にも「俺はそんなに観られてないんだろうな」という感覚があるように見えますが、もっとバリバリ踊ったらいいのにな、と思いますよ! もっと自信を持ってダンスを突き詰めていただきたいですね!
<教えてくれた人>
K先生
都内専門学校でダンスを教える30代女性講師。ヒップホップを中心に、ダンス歴は20年。
(文=岩見司)
回答締め切り:2020年4月27日(金)24時










