
――2年で1,300万円以上溶かし、現在借金は●00万円の“買い物狂い”のライターが、苦しくも楽しい「散財」の日々を綴ります。
前回、私はアベリさんのネックレスを中古で購入したことにより、腹を切る思いでお揃いのブレスレットを注文した。しかし、散財の戦いはこれが序章だったのだ……!!
これを書いている今、私はクレジットカード会社・オリコの担当さんからの連絡を待っているところです。はっきり言って、体調は最悪。心臓はバクバクと鳴り、指先は震えています。あんた……正気の沙汰じゃないよ。借金●00万円ある女が、さらに100万のショッピングローンを組もうとしているんだからさ……。
事の発端は、フリマアプリで35万円のネックレスを20万円で購入したことでした。完璧主義の私はアベリさんでブレスレットも注文することに。そのとき、私は「バースデー優待」というものを知ったのです……。
担当さん「千葉さまは今月、お誕生月なのでバースデー優待が適用されます」
私「ほお? すると、おいくら割引されるのでしょうか?」
担当さん「10%です。さらにオンライン決済をしていただきますと、5%のポイント還元が受けられます」
ぬあんだって~~~~!?!? てことは、あたくし、実質15%オフで商品が買えちゃうってこと!? それギャンブルで言ったら、勝ち確ってヤツじゃん! 買えば買うほどお得ってことでしょ!?
この話にすっかり舞い上がってしまった私は、その日からアベリさんのオンラインページをストーカーのごとく見に行くヤバいヤツになりました。
「40万円くらいのヤツならローンでギリギリ買えるかな……」
電卓をパチパチたたきながら考える私。しかし、そのとき、ふいに悪魔的な思考が舞い降りたのです。
「……待てよ。私のこういう買い方が、買い物中毒を引き起こしている原因なのではないだろうか……」
映画『カイジ』で言っていた班長の言葉が蘇りました。
「フフ……、へただなあ、カイジくん。へたっぴさ! 欲望の解放のさせ方がへた。カイジくんが本当に欲しいのは……焼き鳥。だけど、それはあまりに値が張るから……こっちの、しょぼい柿ピーでごまかそうって言うんだ」
そうよ……。私だって本当に欲しいのは……40万円のネックレスじゃないわ……。こっちの……101万2,000円のネックレスよ……。
それはまるでシャンデリアのように輝く、レーザーホールダイヤモンドネックレスでした。すんげえ豪華。こんなシャンデリア、首からぶらさげてたら、たぶんみんな「すごいですねえ」と言ってくれると思う。私の行きつけの(田舎から上京したらとりあえず行く)銀座のGINZA SIXの売り場のお姉さんたちも、「この客は買う!」と踏んでくれそうだわ……。
一度考えればそのことしか考えられなくなる私は、じっと手を見つめました。12回払いだと月々7.5万円くらい……。もうすでに4件、12カ月の分割払いを支払っている最中だから、7.5も加算するなんて正気の沙汰じゃない。……でも待てよ、年2回ボーナス払いで15万加算して、24回払いならどう……? それなら月々の支払いが2万くらいで済む……!! 見えた!! 勝ち筋が!!
私「クレジットカードローンに申し込みます!!」
冷静に考えれば、91万円の借金(10%オフ価格)。しかし、私の頭の中には「10万円もお得に買えて、なおかつもう二度とネックレスを買う気が失せるほどのゴージャスなネックレスを買う」という気持ちしかありませんでした。だって、ねえよく考えてみて? このネックレスを買えば、もうジュエリーを買おうなんて気は起きないと思うの。だって、これ以上のネックレスなんてないもの!!
しかし、鼻息荒く24回払いを選択した瞬間でした。「総お支払額」に私は目がテンになりました。
「ん……? 987,307円……?」
そう、アベリさんのクレジットローンは、12カ月以上は金利がかかることをすっかり忘れていたのです。
「な、7万円も金利を支払わなきゃなんねえのかよお! バースデー優待分、ほぼ消えちゃうじゃんかよぉ!!」
とはいえ、もう頭の中はネックレス一色。豪華なネックレスをつけてGINZA SIXを闊歩している私がはっきりと見えていました。GINZA SIX内のアベリさんのお店で、「これ買いましたの~!」「まあ、千葉さま! すごくお似合いですわ!」「おほほ。あら、今年もオパールのチェーンリングが出たのね」「そうなんです! 昨年もその前の年も、一点物のオパールを千葉さまが購入されたんですよね!」と、得意げに店員さんとのトークを楽しんでいます。そのときのオパールのリングのローンは、まだ終わっちゃいねーけどな!!
私は意を決して24回払いを選択し、「審査中」の文字を祈るような目で見つめました。通ってしまったら、これからローン返済が始まる……。喉がカラカラになり、苦い唾が口の中にまとわりついてきます。ついに20分後。オリコから連絡が――
担当さん「連帯保証人様をご用意いただき、再審査とさせていただきます」
私「……………」
その瞬間、私は真っ白に燃え尽きました。ああ、燃え尽きたよ。家族に100万のネックレスの連帯保証人を頼めるわけないよ……。もし娘がこんな強欲女だと63歳の禁欲主義の母に知れた日には、私はありとあらゆる身元を保証するものを取り上げられ、一生カードで買い物できない体にされてしまうでしょう。
そんなわけで、私は一命を取り留める(?)ことになりました。てか私、シャンデリアみたいなネックレスを買って、どんな服に合わせる気だったんだ……?