欲しいものがボタン一つで購入できるECサイト「アマゾン」。ほとんどの商品が実店舗より安く買えることもあり、まずはアマゾンでチェックという人もいるだろう。商品選択の際に参考となるのは、「アマゾンレビュー(正式名称はカスタマーレビュー)」と呼ばれる、★5つとコメントで投稿される商品評価だが、数回使っただけで壊れるようなアイテムに★が5つつくなど、近年は自作自演の“サクラ”が跋扈している。
そこで、「アマゾンのやらせレビューに騙されずに安心してお買い物する」ためのウェブサイト・アプリ「レビュー探偵」を開発・運営しているスタジオゴロリン氏にインタビューを敢行。ゴロリン氏は、アマゾンレビューを徹底的に読み込んで特徴を把握したという、人呼んで「サクラ判定人のプロ」だ。今回は、女性がアマゾンで安心して買い物をするためのコツを聞いた。
サクラだから商品がダメとは言い切れない
――「アマゾンレビュー」のウォッチを始めてから現在までに、「サクラレビュー」に変化はありますか?
スタジオゴロリン氏(以下、ゴロリン) サクラレビューの数でいうと、ここ2〜3年で急激に増えましたが、最近は落ち着いてます。当初は日本語が変だったりして、サクラもわかりやすかったんですが、近頃は本当のレビューと見分けがつかなくなってきてるのが特徴です。テレビやネットでアマゾンレビューの問題点が報道されるようになったので、アマゾン側もチェックや対応が厳しくなっていますし、消費者側にも知識がついて、騙しにくくなっています。
僕自身は商品を慎重に選ぶタイプで、一つ買うのに10コ程度の商品を選び、レビューを見比べて決めていたんですが、ある時から、その作業に2時間もかかるようになったんです。レビューの数が多すぎて、読むのに時間がかかりすぎる。「もうやってられない!」と嫌気がさして、レビューの判定ロジックを組み立てたんです。それが「レビュー探偵」を始めたきっかけでもあります。
――サクラが多いアイテムは、やっぱり商品が壊れやすかったり、使い物にならないんですか?
ゴロリン サクラが多いからといって商品がダメとは言い切れないんですよね。レビューはサクラだらけなのに、使ってみたらちゃんとしてる商品だったことも、実際にあります。そういうのは非常に残念ですね。「レビュー探偵」では、レビューの信用度を判定し、安心して購入できるかどうかをS・A・B・C・D・E・Fランクまでクラス分けしていますが、Fだからといって必ずしも悪質商品とは言えないんです。
――アマゾンのカテゴリ別で見て、サクラが多いジャンルはありますか?
ゴロリン アマゾンで最大級に危ないカテゴリはイヤホンとされています。今だとブルートゥースイヤホンですね。ほかには、モバイルバッテリー、マウス、ドライブレコーダー。あと、折りたたみ傘はサクラレビューの定番品です。
だいたい、価格が3,000円までのジャンルが危なくて、5,000円を超えるとだいぶサクラは減ります。サクラを発注する業者は、レビュアーに商品を渡しますよね。高額だとプレゼントしにくい事情もあるんではないでしょうか。とはいえ、サイクロン系の掃除機やスマートウォッチといった割りと高額なものもサクラが多いので断言はできませんが。今回、取材に際して調べて驚いたのは美容系のカテゴリです。このジャンルはひどい。
――美顔器やアイマッサージャーあたりですか?
ゴロリン 美顔器はヤバいですよ。バカにしてんのか? ってくらいのサクラの数。今回、美容系に存在する“危険な商品”の割合を出してみました。「レビュー探偵」ではD~F判定にあたる商品で、「購入を推奨しない」ランクです。美顔器やスチーマー、脱毛器などはアマゾンで「理美容家電」カテゴリで扱われていますが、このカテゴリはD~F判定の商品が45%と、信じられないくらいヤバいことが判明しました。アマゾン全体の商品を対象とするとD~F判定は8.3%です。理美容家電の45%は、最大級にヤバいとされるイヤホンに近いようです。僕も驚きました。

――45%ということは、2〜3つに一つはアウトということですよね。化粧品などのビューティーカテゴリ(ビューティストア)はどんな状況ですか?
ゴロリン ビューティーカテゴリは全体で見ると、D~F判定の商品が7.9%で平均並みなのですが、詳細なカテゴリで見るとネイルは20%超え、メイク道具に至っては30%超えと、危険度がかなり高い要注意カテゴリだという結果になりました。
――体に直接触れるものだけに恐ろしいですね……。では、危険な商品を見抜く方法を教えてください。まずは、どこをチェックすべきですか?
ゴロリン まずは商品1枚目の写真を見てください。アマゾンの規約で1枚目に加工画像を使ってはいけないと定められているので、それを無視している時点でまともな業者ではないと判断できます。例えば、この画像は女性が手にしている美顔器の先に水滴の画像を加工していますが、これはNG。イラストでイメージ画像も使っているのもダメ。2枚目のアイマッサージャーで、温かくなるようなイメージのあしらいを施してるのもNGです。ただ、加工画像も2枚目以降の掲載は問題ありません。
――イメージ画像はダメなんですか? ビューティーカテゴリなんて、こんな感じの写真だらけです。
ゴロリン 規約を破っても即出品NGとはならないので、「みんなで破れば怖くない」とばかりに信号無視の状態になっているんです。例えば、パナソニックなどは大手の商品写真を見てください。1枚めに加工画像は使っていませんよね。
写真のほかには、商品名がメーカー・ブランド名から始まっていないものもNGです。これもアマゾンの規約で、メーカー名から始めるよう定められているので、ちゃんとしているのは「パナソニック イオンエフェクター 温感タイプ」といった書き方になっています。【2020年最新版】【令和改良版】というタイトルなのは、まともな業者じゃない。
――写真とタイトルなら誰でもチェックできますね。それらをクリアしてもレビューにサクラがいる場合もあります。サクラを見抜くポイントはありますか?
ゴロリン わかりやすいものだと、2つポイントがあります。
1)星の分布がおかしい
★5つと★1つに評価が割れている。通常は★の数は満遍なくつくもの。★5つのサクラを信じて購入した人が、実際の感想を★1つでつけていると考えられる。
2)レビューの投稿日付が集中
★5のレビューがどれも同じ日付。サクラ業者が指定日に一斉に投稿していると考えられる。
――星と日付ですね。わかりました。
ゴロリン その2つさえ確認すれば、だいぶサクラを排除できると思いますよ。あと、これはマニアックな視点になるのですが、ほかにも3つのポイントがあります。
1)長文で内容が似ている
文章中の単語が似ている。レビュー業者から渡された指示書を元にしているため、言葉が似てくると考えられる。
2)販売期間が短いのに1,000レビューを超えている
販売から数年が経過していれば、1,000レビューを超えるのもおかしくないが、取り扱い開始日が最近にもかかわらず、1,000を超えてるのはサクラが疑われる。
3)レビュアーのプロフィールが偏っている
レビュアーの投稿数が数件しかなく、イヤホンだけ★5の評価をつけているなど。
これらの見抜くポイントを押さえて、サクラに騙されないようにしてください。最後に、こんなお話を散々してから、もう一度言うのはいやらしいのですが「サクラ=粗悪」ではありません。ちゃんと性能の良い中国のメーカーなのに、レビューでヤラセをしちゃっていることもあります。残念ですよね。あくまでサクラは判断材料にすぎないのですが、うまく見極めれば重要な指標にもなりますよ。
・レビュー探偵