今年で創刊25周年となる「VERY」(光文社)。25年といえば四半世紀ですから、今や創刊当時の読者の娘たちが、「VERY」の読者世代に突入していることでしょう。子育て中の女性をメインターゲットに置く「VERY」は、とにかく分厚い雑誌です。ファッション、ヘアメイク、仕事・育児・家事、夫婦関係……。「VERY」でクローズアップされるテーマは多岐に渡っており、現代の子育て女性のありとあらゆる関心ごと、全てを対象にしているのかもしれません。そんな「VERY」4月号を見ていきます!
<トピックス>
◎選びひとつで、楽にも自由にもなれちゃう! 最近、オシャレは“バッグ頼み”な私たち
◎受験勉強だけじゃない、過剰な習い事も… もしかして、教育虐待?/シンマイさんと学ぶVERY世代と卵子凍結
◎今月の“いい妻”みっこ
自由どころか不自由しかない!?
今号の大特集は「選びひとつで、楽にも自由にもなれちゃう! 最近、オシャレは“バッグ頼み”な私たち」。ママが“楽”や“自由”、そして“オシャレ”になるための必需アイテムとして、バッグが列挙されています。
育児中のママにとってバッグ選びが重要という点に異論はありませんが、「VERY」では、“楽”とか“自由”と謳っているわりに、他人から「どう見えるか」をかなり意識していて、読んでいるとむしろ“不自由”が感じられるのです。顕著なのが「Part2 カジュアルすぎず、主張しすぎず、ちょうどいいラインが知りたい! コンサバ園ママのための、春のはじめましてQ&A ~バッグ編~」。コンサバ園ママが抱えるであろう悩みに答える形式でバッグが紹介されていきますが、バッグひとつとて「こう見られたい!」という複雑な自意識が感じられます。
例えば、「Q.クラスの懇談会ランチの日にオシャレするなら?」――懇親会ではとにかく話しかけやすい雰囲気が大事! 今の気分が詰まったバッグなら、コミュニケーションにつながる、と解説します。また、「Q.入園式で、悪目立ちしないきちんとバッグは?」――ブランドが前面に出たものより、等身大のかっちりバッグ。目立ちすぎず凛とした母っぽさを大事にしたいママが増えている、といった具合です。“コンサバ園ママのため”という括りも関係しているのかもしれませんが、話しかけやすく見られたい、凛とした母に見られたいと、「どう見えるか」をかなり意識しています。
別の企画「タイプ別着映える好感度ワンピを探せ」でも、“好感度”と銘打っているだけあって、「通勤姿もドラマチックに見える」「撥刺ヘルシー見えで先生ウケよし!」など、「どう見えるか」は重大事項。ただし、「楽してきちんと見えたい産後復帰ママは」というフレーズは正直でよろしい。「VERY」はママが“楽”すること自体は推奨しているようですね。
どうやら「VERY」におけるファッションとは、最終的に他人に“どう見えるか”が核になっているようです。もちろん、“どう見えるか”が重要という価値観が悪いわけではないですし、実際、“どう見えるか”によって承認欲求や自己顕示欲が満たされることもあるでしょうが、それって楽で自由なのでしょうか。
ただファッションを提示するだけではないのが「VERY」の大きな特徴で、近年は社会問題を頻繁に特集しています。今号で取り上げているのは、卵子凍結、教育虐待について。
「受験勉強だけじゃない、過剰な習い事も… もしかして、教育虐待?」では“教育虐待”について、専門家からの解説とアドバイス。「子どもを周りと比較し、親としての自分にも優劣をつける考え方を変えてください」「親の期待で何かを強いるのはスタートとしては好ましくありません」といった“正しいこと”が的確に書かれています。ただ、その“正しいこと”がどうしてもできず、苦しんでいる親もいるのでは……。しかし次のページでは、教育虐待の概念を提唱した臨床心理士・武田信子氏のインタビューが掲載されており、武田氏は「教育虐待は親の責任ではなく、日本の社会や学校教育を含めたこの国の現状が原因」ときっぱり語っていて、「いいね!」を押したくなりました。
たとえば“ほかの子と比べるのはよくない”はよく言われますが、ではなぜ親がほかの子と比べてしまうのかといえば、おそらく社会の構造や価値観とは無関係ではなく、教育虐待は親を責めるだけでは解決しない問題であることは、子育て世代が知っておくべき情報ではないでしょうか。
VERYモデルたちのノロケ連載
「VERY」では、モデルによるコラムが複数ありますが、なかには毒にも薬にもならぬ内容も混ざっています。
最も不可解なのは、2020年1月号から「VERY」カバーモデルを務めている矢野未希子の新連載「今月の“いい妻”みっこ(ハート)」。夫との出会いや、付き合って1週間後に夫の髪形やファッションを自分好みにイメチェンさせたことについて、「ハート」や「(笑)」を多用しながら記されているのですが、この連載、「VERY」に必要……? 女性の生き方や子育てについて意識の高い「VERY」だけに、読み物ページで読者が求めているのは、一人の女性がさまざまな選択をしながら生きていく上で生じる迷いや葛藤、それらをどう乗り越えたか、あるいはどう折り合いをつけたかとか、生々しさや人間味、はたまた社会への問題提起を伴ったエピソードではないでしょうか。
来月はプロポーズについて語るとのことで、「次号もお楽しみに(ハート)」と終えていますが、矢野の連載を楽しみにしている読者がどれだけいるのか、心配になった次第です。
(中崎亜衣)