羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。
<今回の有名人>
「事務所の人も行方をつかめていないという話が……」山田美保子
『サンデー・ジャポン』(TBS系、3月22日)
杏は、夫である俳優・東出昌大の不倫を許すのか――? 俳優・東出昌大が3月17日に不倫の謝罪会見を開いたことで、夫婦の今後に注目が集まっている。別居は続けているものの、杏は東出と子どものコミュニケーションは拒否していないそうなので、「杏は東出を許すのではないか」と見る人もいれば、一方、マスコミからの「杏と唐田、どちらが好きか?」という質問に、東出が妻である杏と即答しなかったことから、「杏も愛想を尽かして離婚に踏み切るのではないか」と見る人もいるようだ。
杏の決断はいずれ明らかになるだろうが、金銭的な面で考えると、東出は離婚したくないのではないか。
不倫騒動の影響を受けて、東出はCMを降板している。「フライデー」(講談社)によると、CMの違約金は2億円とのこと。東出に仕事があれば、支払うことはできるだろうが、イメージダウンした今の彼に、不倫報道前のようにオファーが来るかというと疑問だ。加えて、もし離婚となれば、家族で暮らす豪邸を完全に出なければならず、慰謝料や3人の養育費も払わなくてはならない。やはり、仕事がなければ、これらを支払うことができないだろう。しかし、杏に許してもらえれば、とりあえず食いっぱぐれることはない。杏と今後も一緒にいられれば、「危機を乗り越えた夫婦」と世間のイメージも変わり、仕事面でやり直せる可能性もゼロではないだろう。
東出の所属事務所も、離婚は避けたいと思っているのではないか。事務所はビジネス的観点から、売れっ子である東出を早く復帰させて、違約金分を含めた金額を稼いでもらいたいというのが本音だろう。謝罪会見は、事務所がお膳立てをしたと考えるのが一般的だが、なぜそのように骨を折るかというと、正式な謝罪をしなければ、東出は芸能活動ができないから。会見での受け答えのうまさは、さほど問題ではなく、芸能記者に囲まれてぼこぼこにされ、“公開処刑”されることが、禊ぎになるのではないかと私は感じている。
それに対し、唐田えりかの復帰は相当厳しいのではないか。3月22日放送の『サンデー・ジャポン』(TBS系)に出演した山田美保子センセイは、「(唐田は)消息不明でして、事務所の人も行方をつかめていないという話が……」と言っていたが、これが唐田の立場を端的に表していると言えるのではないだろうか。事務所が行方をつかめていないというのは、事務所がさじを投げている、もしくはどうでもいい存在だと思っていることの表れのようにも感じられるのだ。女優業の先輩の夫と不倫をし、それをSNSで匂わせるとは相当タチが悪いだけに、事務所からそういった扱いをされても「当然」と思う人もいるだろう。しかし、不倫の“共犯”である東出には、事務所と経済力のある妻という守ってくれる人がいることを考えると、現在の東出と唐田はどちらも危機的状況にあると言えど、そのレベルには雲泥の差があると言えるのではないか。
なぜこのような不均衡が起きるのか。それは、芸能界という「弱肉強食」「勝てば官軍」の世界では、売れていない人の立場が圧倒的に弱いからだろうが、加えて結婚という契約が、案外「重い」からではないか。
恋愛と結婚の一番の差は、カネに対する権利と言えるだろう。恋愛なら、カップルのどちらがデート費用などにカネを出そうと、二人がよければ問題はないが、結婚においては、民法がカネの“分担義務”という基本理念を定めている。例えば、民法第760条には「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する」とある。結婚生活を送るにあたり、必要な費用は二人で協力して出しましょうという意味で、別居中であっても、生活費は分けてはならないとされているのだ。さらに、民法762条には「夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定する」とあり、結婚後につくった財産は(所有が明らかではない場合)、二人のものとされている。つまり「オレ(私)が稼いだんだから、オレ(私)のもの」とはならないわけだ。この原則を好意的に解釈すれば、“夫婦平等”と見ることができるだろうが、うがった見方をすると、稼いだ金が二人のものになるだけに、収入の高いほうも低いほうも「別れると損」なことに気づく。法律が、夫婦を別れにくくするように、やんわり縛っていると言えるのではないか。
唐田がどんなつもりで不倫をしていたのかはわからないが、東出を奪いたいと思っていたのなら、「別れると損」というカネにまつわる結婚の原則を打破する必要があったのではないか。唐田が売れて稼いでいるのであれば、東出が唐田に乗り換えても損はないが、そうでなければ、特に唐田と結婚する意味はないだろう。また、唐田が売れっ子の稼ぎ頭であれば、不倫がバレても事務所も全力で守ってくれたはずだ。不倫する女性芸能人にとって「売れているか、稼げているかどうか」は、大きな意味を持つように思う。
不倫が露見すればバッシングされ、仕事を失う――これまでのスキャンダルを見てわかっているはずなのに、それでも一向に減らない芸能人の不倫。それだけ甘美なものなのかもしれないが、不倫をするなとは言わないものの、せめて売れてから。稼いでいないうちは、不倫はダメ。独身女性芸能人のみなさんは、ぜひ自分が損をしない選択をしてほしいものだ。