1月27日に、児童に対する露出・わいせつ・みだらな行為などの容疑で逮捕された、カントリー歌手のダニエル・リー・マーティン(54)。翌日、1万5,000ドル(約165万円)を支払い保釈された彼が、現地時間2月14日午後、フロリダ州パスコ郡の自宅で拳銃自殺により死亡したと報じられた。
地元紙「タンパベイ・タイムズ」によると、1月の事件では、ダニエルは自宅に泊まりに来ていた未成年の少女に対して陰部を露出。ローションを使って自慰行為をしているところを見せつけたという。被害少女は、昨年11月にもダニエルの家に夜間滞在した際に、何度かポルノ画像を見せられたと証言。なお、警察は被害少女の名前や年齢、ダニエルとの関係も明らかにしていない。
ダニエルは、以前住んでいたテネシー州で、13歳以下の3人の児童に対する性的搾取、加重暴行、公然わいせつなど複数の容疑で2018年に刑事責任を問われ、同年10月に出頭。来月に裁判が始まる予定だった。亡くなった14日、フロリダ州パスコ郡保安官事務所の保安官が、テネシー州での類似案件の逮捕令状を渡そうとダニエルの自宅を訪問したところ、「自分や他人に危害を加える」と脅してきたため、SWAT(特殊機動部隊)の出動を要請。自宅に突入したところ、すでに遺体となったダニエルを発見した。
野球選手、プロゴルファー、広報とさまざまな経験をした後、カントリー歌手となったダニエル。99年にレコード会社と契約し、03年.と07年にアルバムを発売。ウィリー・ネルソン、チャーリー・ダニエルズ、ヴィンス・ギルら大御所・人気歌手の前座を務めたり、カントリーミュージックのフェス『CMAミュージック・フェスティバル』でパフォーマンスしたり、中堅カントリー歌手として活動した。
一方、ハンティング・アウトドア番組や、13年に結婚したアウトドアの達人、ジュリー・マックイーンとリアリティ番組に出演するなど、リアリティスターとしても活動。しかし、テネシー州での児童に対する性犯罪容疑が原因でジュリーとは離婚し、その後のキャリアは低迷していた。
欧米の刑務所では、児童への性的暴行で有罪になり収監されるペドフィリア(小児性愛者)たちが、ほかの囚人からリンチを受けたり殺害されたりするケースが非常に多い。昨年8月には、フロリダ州のデュバル郡刑務所で「11歳の少女へのわいせつ、性的いたずらなどの罪で終身刑を受けた」デイヴィッド・オゼアス・ラミレス(56)が同房者に殴られた上、便器の中に顔を突っ込まれて溺死。
昨年10月には、イギリスのフルサットン刑務所で服役していた「ボランティア活動を通じて接触のあった幼児・児童200人近くに対して性的暴行をした容疑がかけられ、うち証拠がある22人への性的暴行で終身刑の判決を受けた」リチャード・ハックル(33)が、何者かに刺されて死亡したと報じられ、大きな話題に。
今年1月にもカリフォルニア州の薬物乱用治療施設を兼ねた刑務所で、「14歳未満の児童に対する加重性的暴行罪で終身刑を受けた」デヴィッド・ボブ(48)がほかの囚人から暴行を受け、頭部に致命的な傷を負って死亡している。
米カルチャーサイト「Vice」は15年に、「獄中カーストの最下層は性犯罪者」「ペドフィリアだとバレた瞬間に、ギャングに殺される」「彼らに対してのリンチや殺害に関しては、看守もグルのケースが多い」という特集記事を掲載したが、ペドフィリアたちもそのことを知っているため、逮捕前に自ら命を絶つことが少なくないとされている。昨年8月に、性的人身売買の罪で起訴されていた大富豪ジェフリー・エプスタイン(66)が、収容されていた拘留施設で遺体で発見された時には、「口封じのために自殺に見せかけて殺された説」が流れる一方、「刑務所でリンチされるのを恐れた自殺だろう」と考えた人も多かった。
アメリカでは未成年に対する性犯罪は厳しく扱われることが多いため、ダニエルも終身刑になる可能性は十分にあった。刑務所で日常的にリンチされたり痛い思いをして殺されるくらいなら、一瞬で死ねる拳銃自殺の道を選んだとしても不思議ではない。とはいえ、ダニエルが自殺したことで、事件の全容が明かされることは極めて困難となったといえよう。事件の被害少女たちが適切な治療や支援を受けられるよう願いたい。