処方薬として30年近く発売されている睡眠導入剤の「デパス」。深刻な副作用や依存症の実態が、昨今明らかになったことで注目を集めているが、一方で、近年はコンビニでも安眠を謳うサプリが販売されるほど、「眠り」の需要は伸びているようだ。
では、あまたある「睡眠・快眠サプリ」の中で、選ぶならどれで、選ぶべきではないのはどれか? 今回、ドラッグストアやネットで購入できる売れ筋の「睡眠・快眠サプリ」を10点抽出し、第二類医薬品、機能性表示食品、そのほかの3部門で分類。それらを『睡眠薬 その一錠が病気をつくる』(河出書房新社)などの著書を持つ薬剤師・宇多川久美子氏にチェックしてもらった。
医薬品は特色ナシ:「ドリエル」「ネオデイ」「リポスミン」
これらはいずれも抗ヒスタミン薬。くしゃみ、鼻水、花粉症といったアレルギー反応を抑える薬なんです。花粉症の薬などは「飲むと眠くなるので気を付けてください」と言われますよね。その眠気を利用したものです。だから、抗ヒスタミン薬を飲んでも眠くならない人は、これらを飲んでも眠れません。
ちなみに、抗アレルギー剤の第2世代は眠気が出にくいので、このタイプは“古い”タイプ。それがなぜお薬として売られているかというと、成分のジフェンヒドラミンは原価が安いから。抗ヒスタミン薬「レスタミンコーワ」は、じんましんや湿疹の治療薬として、アマゾンで120錠809円で売られています(2月17日19時現在)。1粒にジフェンヒドラミン10mg配合なので、5粒飲めばドリエルと同等。5粒×24回分を809円で買えるんです。でも「ドリエル」は3回分で約1,000円。同じ薬なのに、パッケージに寝床につくネコのイラストや眠りに関するコピーを書いただけで、こんなに高く売れるんですよ。
「ドリエル」「リポスミン」「ネオデイ」の添加物を見ても、それぞれ特色は見られません。違いがあるなら、錠剤の大きさや溶け方くらいですね。ただ、人によって「リポスミンは全然効かない。やっぱりドリエルだよね」という人もいるでしょう。それは気持ちの問題。プラセボ効果です。ちなみに、これらは「睡眠改善薬」であり、処方される睡眠薬や睡眠導入薬とはまったく違います。
機能性表示食品は寝れたらラッキー:「グリナ」「ネルノダ」ほか
これらに配合されているGABA、グリシン、テアニンは体に必要なアミノ酸なので、安心ですね。いずれのアミノ酸も「心を穏やかにする」「落ち着ける」ようなものです。しかし実際、これら3つが安眠にどう働くのかは疑問符がつきます。
いずれのアミノ酸も、盲検の結果「すっきり寝れた」「安眠がもたらされた」とのデータがあるものだとは思うのですが……。個人的には、コレで眠れるなら「ラッキーだよな」と。ネットにある購入者の声や口コミによるプラセボ効果が多大に影響していると思います。
そもそもアミノ酸は食べ物で摂取できるので、食事で食べたほうがいい。ちなみに機能性表示食品は、「消費者庁に届け出たもの」であり、疾病の治療、予防を目的としたものではありません。健康機能があるトクホとは異なります。これら製品サイトにも書かれていますけど、“飲めば解決”ではなく食生活の改善も必要ですよ。
「ナイトプラス」に入っているラフマですが、これはハーブみたいなもので心を落ち着かせるとされています。そこにGABA、テアニンも入れて、グリシンも入れてますね。個人的に、安眠で一番大事だと思っているアミノ酸はトリプトファンなのですが、それも入ってる。何mg配合なのか、HPを見ても容量はわかりませんが、安眠に関わるとされる成分が全部入ってる。すごいですね。
「グッスリラ」も、1日あたりの配合量がグリシン480㎎、テアニン100㎎ですか。機能性食品の「グリナ」はグリシン3000mgだったので、そこまでの量ではないものの、テアニンの力も借りればすごいんじゃないですか? なかなかです。「休息siNight」も、グリシン、GABA、トリプトファン、テアニンと安眠に良いとされるアミノ酸がいろいろ入っていますね。ただ、1粒あたりの含有量がわからないのはネック。機能性食品と同じく、どれもアミノ酸なので食事で摂取すればいい気がしますね。
薬のほとんど、実はプラセボ効果
これらは不眠症を改善するのではなく、ちょっと乱れてしまった睡眠を改善するものなので、飲み続けるものではありません。自身で生活習慣を見直したり、バランスの良い食事を考えていくことが最も大切。個人的にはどれも手を出しませんが、買うなら「レスタミンコーワ」ですね。
今回、プラセボ効果のように思えるものも多かったのですが、実は流通している医薬品の50%は「プラセボ効果」。「すごくよく効くんだよ」と出された薬の効果は絶大なんです。お隣さんや口コミ、ネットの声は、人にとって一番大きな効果になるんです。
最後に、症状のウラには重大な疾病が潜むこともあります。薬局の薬剤師に話をしても、あくまでも問診上のことで、対処療法としての薬しか出せません。体の中を見れるのは、医師だけです。しっかりと医療機関にかかりましょう。
(解説:宇多川久美子、取材・文:サイゾーウーマン編集部)