羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。
<今回の有名人>
「そもそも、あんまりモテないと思うんですけど」河野景子
『胸いっぱいサミット!』(関西テレビ、2月1日)
「週刊文春」(文藝春秋)が報じた俳優・東出昌大と女優・唐田えりかの不倫騒動。東出にはNHK連続テレビ小説『ごちそうさん』で共演し、結婚に至った杏という妻、そして3人の子どもがいる。「文春」によると、杏が下のお子さんを妊娠している最中から不倫が始まり、その関係は3年に及ぶという。唐田は人気俳優との恋愛に舞い上がったのが、密着している2人の写真をプリントアウトして周囲に配ったり、東出に似たイラストにキスするような写真をSNSにアップしたりと、匂わせを連発。杏に唐田との関係を気づかれた東出は、いったんは連絡を取らないようにすると約束したが、実際は切れていなかったそうだ。
妊娠中の不倫、その期間は結婚生活の約半分、相手は当時未成年、しかも匂わせ連発と、女性の嫌いなものを全部のせしたような不倫スキャンダルだけに、東出と唐田の好感度は下がるばかり。
芸能ネタを扱うワイドショーでは、当然東出や唐田が叩かれているが、そんな中でものすごい存在感を見せたのが元フジテレビアナウンサー・河野景子ではないだろうか。2月1日放送の『胸いっぱいサミット!』(関西テレビ)にコメンテーターとして出演した河野。司会のますがおかだ・増田英彦に「匂わせをする心理がわかるか?」と聞かれると、「彼女はまだ若いじゃないですか。恋愛経験もなくて、それがもう東出さんと恋愛していることに有頂天になってしまって」と分析し、最後に「私ね、そもそも(唐田は)モテない女性だと思うんですよ。モテる人だったら、隠すじゃないですか」と締めくくった。
日本に姦通罪はないから、不倫は犯罪ではないものの、やはり、褒められたことではない。当然、不倫をした人をある程度責めるのは、コメンテーターの“お仕事”である。しかし、多くのコメンテーターが、その人の“行動”について意見を述べているのに対し、河野は「モテない」と“人格”に関わるコメントをしてみせた。モテてもモテなくても、不倫がよろしくないことに変わりはない以上、このコメントは、単なる個人攻撃ではないだろうか。いいオトナが自分の娘といってもおかしくない若い女性に対して、「モテない」と人格を貶めるような言い方をするのは、逆に言うと、それだけ河野にとって「モテる」ことが重要事項であるとみることができる。
河野のように、他人の行動の全てを「モテる」かどうかで分けたがる、「モテ至上主義」の人というのは確かにいる。そういった人たちの言動の具体例を挙げてみよう。女性が「料理を習いたい」と言った場合、多くの人は「どんな料理を習うの?」とか「どこで習うの?」といった具合に「料理について」掘り下げるだろう。しかし、モテ至上主義者の場合、「料理がうまいとモテる」「オトコの胃袋をつかむ」といった具合に、全てを男性やモテと結びつけてしまう。モテ至上主義者は、人生には、モテに関係がなくても楽しいことがあると理解できないらしく、観劇や芸能人の追っかけなど、モテにつながりそうもない趣味が理解できず、「そんなことをしてもモテないよ」「推しが彼氏になってくれるわけじゃないのに」と茶々を入れてくることもある。
個人的には、モテを意識することが悪いとは思わない。彼氏が欲しいとか、婚活をしているというのなら、「相手の視点を知る」という意味で、「モテ」をある程度意識する必要はあるだろう。しかし、それは時と場合によるものだし、他人に強制していいものではない。
しかし、重度のモテ至上主義者になると「ブスはモテない」「モテないから彼氏がいない、モテないから独身」といった具合に、見た目や聞こえだけで「モテる」「モテない」を決めつけてくるのではないか。私も決めつけて何だが、こういうモテ至上主義者は、河野のような、日本にカネがあり余っていたバブル期に青春を過ごした人に多いのではないかと感じている。
河野のモテ至上主義は「女性はモテてなんぼ」と考えられていた時代を彷彿とさせるが、この主義こそが彼女自身を救ったのかもしれない。
フジテレビの人気女子アナとして、明石家さんまら大物にも人気のあった河野だが、男性に媚びるような態度を取ることから、女性人気は高くなかったと記憶している。それは河野自身のキャラクターだったのかもしれないが、当時のフジテレビ女子アナとしては、そう振る舞うのが正解だった部分もあるのだろう。
その河野が横綱の貴乃花と結婚し、バッシングが始まった。もともと女性人気が高くなかったことに加え、河野が年上だったことも影響しているだろう。河野が振袖を着て婚約会見に臨んだところ、「初々しさがない」「貫禄がある」と当時の週刊誌に書き立てられた。また夫妻は妊娠が先の結婚だったのだが、保守オジサンからは「オンナが年上なんだから、避妊をリードしてやれ」と意味不明なことを、女性週刊誌にも「妊娠をエサに結婚に持ち込んだ」と書かれたりもした。さらに一昨年の12月、『バイキング・ザ・ゴールデン』(フジテレビ系)では、河野自身が結婚当初を振り返り、「毎日嫌がらせの手紙が来て、小包も郵便局で開けないといけなかった」と話していたこともあった。
真面目な人ほど「なぜ自分は嫌がらせをされるのか」「何がいけないのか」と考えこんでしまうだろう。しかし、バッシングされる理由を考えても、正確な答えがわかるわけはなく、さらに落ち込んでしまう。そんなとき、役に立つのが、河野お得意の“モテ思考”ではないだろうか。「私がモテるから嫉妬している」「モテない人の妬み」。当時、河野がバッシングをどのように受け止めていたのかは定かではないものの、そう割り切ってしまえば、ストレスがぐっと減るのではないかと思った。
不倫と言えば、離婚後、既婚者のイタリア料理店シェフと親密にしている写真を「フライデー」(講談社)に撮られた河野。熱愛そのものは息子の花田優一が否定していたが、ワイドショーであまりキツいコメントをすると、万が一起こるかもしれないご自分のスキャンダル時に、特大ブーメランとなって帰ってくるのは目に見えている。そのあたりにお気をつけて、今後もモテていただきたいものである。