羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。
<今回の有名人>
「ほんと清楚系って、マジ怖い」みちょぱ(池田美優)
『サンデー・ジャポン』(TBS系、1月26日)
女優・杏の夫で俳優・東出昌大が、若手女優・唐田えりかと不倫関係にあり、それがバレたことで夫妻が別居していると「週刊文春」(文藝春秋)が報じた。
芸能人の不倫は珍しくないが、登場人物3人が芸能人というケースは稀ではないだろうか。東出の不倫相手が一般人女性の場合、週刊誌も個人が特定できる情報には触れない。しかし、東出の相手である唐田は女優という身分のため、実名を報じられ、さらに今時SNSをやらない芸能人はほとんどいないので、そこから「こんなにヤバい女だ」という証拠を探されてしまう。「人の家庭を壊すオンナ」という先入観があると、情報は悪意的に解釈されがちである。「ひどいオンナ」と必要以上にバッシングされることは想像に難くない。
また、当の唐田が怖いくらいの匂わせっぷりなのである。『サンデー・ジャポン』(TBS系)に出演した芸能ジャーナリスト・山田美保子氏によると、唐田は東出とのツーショットをプリントアウトして周囲に配ってみたり、東出にそっくりなイラストにキスをしている写真をインスタグラムにアップするなど、挑発的とも思える証拠を残している。
同番組に出演していたモデル・みちょぱは、山田氏の解説を受けて「よくできんな」「奥さんを知っているわけじゃないですか。しかも、奥さんのお父さんも有名な方じゃないですか。度胸がマジすごい」と発言し、「ほんと清楚系って、マジ怖い」としめくくった。
唐田が自分で「私は清楚系です」と名乗ることはしていないだろうが、色白、黒髪、ナチュラルメイクの唐田は、カテゴリとしては、確かに清楚系と言えるだろう。それに対し、みちょぱは、ギャルタレントとして活躍中。ギャル御用達雑誌「Popteen」(角川春樹事務所)の読者モデル出身であり、明るい髪色とカラコンというファッションは、まさに王道のギャル系なのではないか。ギャル系であるみちょぱが、清楚系の唐田の素行を批判したのは、世間が抱く「清楚系」と「ギャル系」の内面へのイメージは「間違っている」と暗に抗議したように感じた。
◎「ギャル系」は性的に奔放、「清楚系」は貞淑という思い込み
同番組には、モデルでタレントの藤田ニコルやゆきぽよも出演するが、彼女たちもギャルであったことを公言している。この3人のギャルが、清楚系の特徴と思われがちな「礼儀正しさ」を、業界で評価されていることをご存じだろうか。みちょぱはTwitterで「一応芸能界入ってきて礼儀だったりに関して1回も怒られたことないのが自慢のあたし」とツイートしている。また藤田も梅沢富美男から、『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系)で、「礼儀正しい」と褒められ、ゆきぽよも『家、ついて行ってイイですか?』(テレビ東京系)を手掛けるプロデューサー・高橋弘樹氏に、「とにかく、距離の詰め方がうまい。だけどすごく礼儀正しくて」と「フラッシュ」(光文社)で評されていた。
『俺の持論』(テレビ朝日系)に出演したみちょぱは、「(ギャルは)地元やギャルサークルの先輩との接点が多いため、若くして縦社会を知る」ことで、礼儀正しくなると解説していた。加えて、もう一つの可能性として、ギャルでない人がギャルを「礼儀正しくないに違いない」という具合に勝手に見積もっているので、ギャルが常識的に振る舞うと「すごい」と感じるのではないかとも思う。
またバラエティー番組で、ギャルタレントは元カレのことや交際人数について質問されることがあるが、黒髪色白の清楚系はそんなことは聞かれない。それもまたギャル系は性的に奔放で、清楚系は貞淑という世間のイメージが関係しているのではないか。ギャルタレントは「元カレが警察のお世話になった」などのネタを持っていることも多いので、それを引き出すためとも言えるだろうが、清楚系だって面白い元カレネタがないとは言い切れない。世間では、特に女性に対して、元恋人について尋ねるのは、異性経験を聞くのと同じような意味合いを含むこともあるので、センシティブな問題とされている。清楚系には質問せず、ギャルになら平気で聞けるというのは、ギャルは性的に奔放だという偏見から、「大丈夫だろう」とどこかでギャルを低く見ているのではないだろうか。
◎日本が誇る清楚系・吉永小百合も恋愛をしていた
ギャルタレントが性的に奔放で、清楚系の女性芸能人は貞淑だと思っている人は、特に男性に多いかもしれないが、それはまったくの思い込みというやつだろう。
日本が誇る清楚系女優と言えば、吉永小百合。恋愛や結婚などしてイメージダウンをされては困ると、元日活の常務が小百合に「二十一歳までは結婚するな。男を知ってもいかん」と恋愛禁止令を出したと「アサ芸プラス」の記事に書かれていた。しかし、作家で小百合の友人である中平まみ氏によると、実際は恋愛をしていて、運転手が席を外した状態で、某俳優と車の中で二人きりになったこともあり、また中平氏に「二十いくつにもなって処女のはずがないでしょ」と語っていたという。また、下ネタもイケる口で、女優・富士真奈美や吉行和子らとの句会で、バレ句(エロチックな内容の川柳)を詠むことになった際は、「松茸は舐めてくわえてまたしゃぶり」と披露して、周囲を驚かせたそうだ。
「小百合が清楚系というのはウソだ!」と言いたいわけではなく、女性が仕事をしていれば、近くにいる人を好きになることもあるだろうし、場合によってはセックスもするだろう。下ネタを言うこともおかしくはない。ポイントは、そういう自分をどこで見せるかという判断だけである。昨年12月13日放送の『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)に出演したゆきぽよは、清楚系の代名詞でもある女子アナの久代萌美を指して、「こういう外見の子が、めちゃめちゃ遊んでるってホントっすよ」「(自分のような)こういうリアルギャルよりも、隠れてる奴の方が遊んでますから」と述べていたが、清楚系とかギャル系というのは単なるファッションの違いでしかなく、性的な奔放さは見た目では判断できないはずだ。みちょぱの言う「ギャルが礼儀正しくなる理由」についても同様だ。縦社会で同じ “教育”を受けたとて、全員が礼儀正しくなるわけではないだろうから、「ギャル」というのは関係なく、その「本人」が、できる素質を持っているという話ではないか。
もしかしたら、みちょぱらギャルタレントは、見た目がギャルであることで、理不尽な決めつけにさらされたのかもしれない。しかし、ギャルということで低く見られがちだからこそ、イメージをより良くすることもできる。マジ頑張ってほしい。
(仁科友里)