見ず知らずの男女6人が、シェアハウスで共同生活する様子を記録したリアリティー番組『テラスハウス」(Netflix先行配信)。2019年5月からスタートした東京編「TERRACE HOUSE TOKYO2019-2020」は、東京オリンピックまで続くと宣言されており、この年末で折り返し地点に到達したものとみられる。
今回、サイゾーウーマンではテラハが好きすぎて語りたいことが溜まっているウォッチャー3人に集まってもらい、座談会を開催。かつてないおバカ具合で注目を集めたアルバイトの流佳や、“ザ・オシャレ人間”という風情のイラストレーター・香織、自称マルチクリエーター・翔平など、数々の愛すべきメンバーが登場した前半戦を振り返ってもらった。(座談会は12月中旬収録)
【座談会参加者】
Aさん:テレビ制作会社勤務。映像作品として興味を持ち、テラハを見始める。とにかく香織に対して並々ならぬ思いがある。
Bさん:編集者。軽井沢編(17~18年)後半のドロドロした展開にハマり、過去のシーズンも一気見。東京編でのお気に入りメンバーは翔平。ジャニオタでもある。
Cさん:ライター。朝井リョウの小説『それでは二人組を作ってください』(新潮社『何様』に収録)でテラハの魅力に気付く。副音声が大好物。イチオシメンバーは軽井沢編の聡太先生。
最初はテラハをバカにしてたのに……
――まずは皆さんがテラハにハマったきっかけから教えてください。
A 我が家は、私も夫も映像関係の仕事をしているので、家で映画からドラマ、ドキュメンタリーなど、さまざまな作品をよく見ています。テラハも、最初は夫が「どこにカメラを置いて撮ってるんだ?」という興味で見始め、よく家で流していたんです。そんな中、テラハが映画化(2015年2月公開の映画『テラスハウス クロージング・ドア』)されることになったんですが、夫が「これは新しいぞ!」「リアリティー番組が映画化ってどういうことだ!」とまた騒ぎ始めて、そこから私もガッツリ見るようになりました。映画館に行く前に過去作を一気に見て、映画も見て、結果的に「面白いぞ!」と。
B 私は軽井沢編からハマって、そこから過去のシーズンも並行して見始めました。メンバーの“人間関係”をウォッチするのがとにかく面白い。あと、テラハのレジェンド・島袋聖南がとにかく好きで、彼女のおかげでここまでハマったとも言えます。軽井沢編でも、聖南が現れた瞬間に「キター!」と大興奮。あの圧倒的な大御所感、テラハにおける唯一無二のセンターですよ! 案の定、軽井沢編も盛り上げてくれて、しかも整形までバラされるという(笑)。聖南はサイコーです!
C 私は朝井リョウのテラハを題材にした短編『それでは二人組を作ってください』を読んで、興味を持ちました。読んだのが初代テラハ全盛期の頃で、私は当時、「テラハって“オシャレ人間のオシャレ生活”に憧れる若者が見る番組でしょ?」とバカにしてたんです。この短編の主人公の女子大生も、まさにその“憧れる若者”タイプなんですが、最後にどんでん返しがあって……。世間が実はどういうふうにテラハを楽しんでいるかに気づかされるんです。実はみんな、ちょっとバカにしつつ、ツッコミながら見てるっていう。「そういう見方がOKなら面白いかも」と思って見てみたら、見事にハマりました。
B 私も最初は、テラハを敬遠してましたね。私はいまアラサーで、中高生時代に『あいのり』(フジテレビ系)が全盛期だったんですが、若者が恋愛にうつつを抜かしているのを見て「バカらしい」と思ってしまったんです。だから、テラハもつまらないだろうなって思い込んでた。「どうせヤラセでしょ?」っていうのもありましたし。でも、今となっては「面白けりゃ、ヤラセでもいいじゃん!」という境地です。恋愛うんぬんというより、人間ドラマ。『渡る世間は鬼ばかり』(TBS系)を見ているのと同じ感覚ですよ。「知りもせずにテラハを叩くのは人生損してるぞ」と言いたい。
A 私も最初は、若者のオシャレな生活が鼻についちゃって見てられなかったですね。『あいのり』は誰もがゼロスタートの旅が基盤だから、泥臭さもあったけど、テラハの世界は斜めに見ないと入り込めない感覚がありました。
C スタジオの山ちゃん(山里亮太)やYOUがツッコむ副音声が、私のような斜めに見る派には必須ですね。
――その“オシャレ感”ですが、今回の東京編でも感じますか?
B そうですね、メンバーに、オシャレなサブカル感が強まってきている気がします。
A 特にスタートメンバーは、それが極まった気がしました。
C 香織がイラストレーター、翔平が文筆業や映像作りも行う俳優、ケニーが絵も描くバンドマンで、スタートメンバーの半分が文化系でしたね。後から入るペッペは「週刊スピリッツ」(小学館)の漫画家で、浅野いにお、西炯子という人気漫画家までテラハに出演してました。最新のメンバーには、リリー・フランキーの付き人もいます。
A 年齢層も上がってきた印象です。もともとは10代後半~20代前半がメインでしたが、軽井沢編くらいから三十路超えがメンバーに入ってくるようになって、今回もケニーが31歳。アラサーにも視聴者層を広げたかったのかな。
B テラハを「私たちには関係ない世界」と鼻で笑ってた層を「一網打尽にしたる!」みたいな意気込みは感じました。
A 特に、翔平と香織によって、「マガジンハウス」感が出てましたよね。
B 香織なんて東京都港区出身ですよ! 港区出身なんて、嵐の櫻井翔以外聞いたことがなかったのに……! しかも経歴もすごい。成城学園初等学校・中等学校を出て、高校はカナダへ留学、その後、慶應義塾大学に入学して、フランス・パリ第1大学に交換留学……卒業後は外資系企業で働いていたと。それからイラストレーター一本に転身したんですよね。
C 翔平はそれこそ、マガハが出してる「GINZA」のウェブ版でコラムを書いてますよね。同業者として文章は……無駄に長いというのが第一印象です。
B 音楽もマガハ層に合わせてきたように思いました。
A そうそう、今回は七尾旅人の「サーカスナイト」を使ってたんですよ。「サーカスナイト」がかかった瞬間、あぁ七尾旅人を好む層まで殺しに来てるな! って思いました。
C 「サーカスナイト」をドヤ顔で弾き語りするケニーはダサかったですけどね。ケニー自身の作る歌詞には、七尾旅人感が皆無で、どちらかと言うと、ファンキーモンキーベイビーズとか湘南乃風っぽいので。本当はこういう歌詞が書きたいのかな……。
――香織と翔平の2人は、制作側から新しい風を吹かせることを期待されていたのでしょうか。この2人、テラハファン的にはどうでしたか?
A 香織には言いたいことが山ほどあるんですよ! 香織からは、パクリ騒動で炎上した“モデルで銭湯絵師見習い”の勝海麻衣と同じ匂いがするんです。美大で絵の勉強をしていたわけではないけど、ちょっと絵が描けて、しかもお嬢様でかわいい。それで周りに褒められて、気をよくしちゃったのかなと。ハワイ編のローレンの絵はベタ褒めしてたスタジオメンバーも、香織の絵はたいして褒めてないんですよ。「その絵でプロなの?」って私は正直、思っちゃった。
C 香織が「一枚絵で売れるアーティストになりたい」って言ったときは、私も「え? その画風しかないのに一枚絵?」と思いました。
A たぶん今までは家柄、学歴、容姿という背景ありきで褒められてきたから、香織には謎の自信が溢れていたんでしょうね。でも、絵の実力自体は「そうでもない」っていうことに、本人がどんどん気づいていくシーンが結構ありましたよね。それで、そろそろ化けの皮が剥がれるぞというタイミングで、香織は「ロンドンに行く」って卒業しちゃったんです。ズルい子ですよ……!
B そう、ダサさがバレる前に逃げたように見えた! 私は、香織と翔平のせいでテラハの空気がよどんでいたと思うんですよ。新しい風を吹かせるために入れられた2人なのに……。
C そのよどんだ空気って、2人の態度から漏れていた「テラハってダセェ」という冷めた気持ちによるものだと思うんです。卒業する時も、翔平は「ワイワイされるのが苦手」とか言って、夜逃げみたいにして出て行きましたし、香織もサラっと出て行きました。
A 今、女子大生の愛華vsプロレスラーの花が、バスケットボール選手・凌をめぐってマウンティング合戦を繰り広げていますが、前半はこうしたバトルがほとんどなかった。それも香織がいたからですよね。高学歴で港区出身のお嬢様である香織にマウンティングしてもね……。だからある意味、香織は空気だった。香織が出た後の女子部屋は楽しそうに見えて、やっぱりみんな、香織にバカにされないよう気を使ってたのかなって思いました。
B 翔平に関していうと、私はすごく好きなんです。なぜなら、嵐の二宮和也に似ているような気がするから……(笑)。私、唇をとんがらせて、世の中をちょっと斜に見てる感じの男子が好きなんですよねぇ。翔平の卒業インタビューを見ると、彼はたぶん、一緒に住んでいたメンバーをバカにしているわけではないんですが、テラハの構造そのものをバカにしてるんです。スタジオや視聴者にいろいろツッコまれる作りやシーンの切り取られ方に、堂々と文句を言ってる。「え! そんなのわかっててテラハに入ったんだよね!?」っていうダサさはあるんですけど、そこが青くてかわいい~って思っちゃう。彼がテラハの空気をよどませたなとは思ってますが、個人的には翔平が大好きです。
――後編では、ほかの気になるメンバーについても聞いていきましょう。
(後編につづく)