オンナの花形職業として羨望を集める存在ゆえか、何かと穿った見方をされがちな女子アナ。そんな彼女たちをウォッチし続けるライター・仁科友里が、2019年の女子アナトピックに考察を繰り広げます。
オリコンが主催する年末恒例行事「好きな女性アナウンサーランキング」。2019年度版にランクインした女子アナは、前年と多少顔ぶれが変わっていたが、これを見て思い出したのが、とある元ミス日本の言葉である。
数年前、『マジか!その後の人生~あの栄光を掴んだ21人!今を大追跡SP~』(テレビ東京系)を見ていた際、ミス日本受賞後にミュージカル女優になった女性が登場し、ミス日本という肩書について「便利」というような意味の発言をしていた。履歴書に「ミス日本」と書くと、オーディションの際に審査員が必ず興味を持ってくれるから、助かるのだという。
ということは、ミス日本になるのは最終目標ではなく、一種のアピールポイントを獲得することなのだろう。「好きな女性アナウンサーランキング」を見ていると、女子アナの世界でも「女子アナという肩書を足掛かりに」好きなことに近づくというパターンが増えてきているのではないかと感じる。
例えば、同ランキングで2位に輝いた田中みな実アナ。元TBSアナウンサーだが、現在はアナウンサーというより、美のカリスマとして女性誌に欠かせない存在となり、女優業にも進出している。セクシーショットも含まれている初の写真集『Sincerely yours...』(宝島社)は、発売前から10万部の重版が決定するなど絶好調。もはやアナウンサーというより、人気女優といった風格だ。
もともと彼女はアナウンサーより、こういう芸能人の方が向いているように私には感じられる。TBSで顔と名前を売り、フリーとなった後は、バラエティーで“病みキャラ”“あざといキャラ”として自身の存在を世間に浸透させ、そして、満を持しての写真集や女優デビュー。ホップ・ステップ・ジャンプという三段跳びがあるが、キー局の女子アナ・フリーアナ・女優といった具合に、まず「キー局の女子アナ」という肩書をバネに、「本当に好きな分野」に進出するのは、今後当たり前のことになるのかもしれない。
テレビ朝日の女子アナとして初のランキング1位を獲得するという快挙を成し遂げた、弘中綾香アナウンサー。「かわいい顔をして毒舌」が好評で、2019年4月には、『激レアさんを連れてきた。』で共演中のオードリー・若林正恭が出演する他局のラジオ番組『オードリーのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)に出演するなど、異例の待遇をテレビ朝日から受けており、どれだけ期待されているかがわかろうというもの。同8月には、とうとう『オールナイトニッポン0(ZERO)』(同)で一人パーソナリティーにも挑戦した弘中アナだが、田中アナ同様、「キー局の女子アナ」という肩書を踏み台にしているように見える。しかし彼女は、この放送で、その毒舌は芸人がいてこそ光ること、さらにステップアップにはまだまだ早いことを露呈させてしまったのではないか。
同番組の水曜日パーソナリティーを務めているのは、『ゴッドタン』(テレビ東京系)などの人気番組を手がけたテレビ東京・プロデューサーの佐久間宣行氏。その佐久間氏に対し、弘中アナは「テレビ東京のすごいプロデューサーなのか知らないですけど、はっきり言ってただのオジサンですよね」と発言したのだ。ラジオで、ほかのパーソナリティーを公然と貶める“サービス毒舌”はつきものだが、今のご時世、こういうセクハラと疑われるような、紛らわしい毒舌は避けた方が賢明ではないだろうか(余談だが、「子どもができたら、(ママとかお母さんではなく)綾ちゃんと呼ばれたい」という発言もしており、「そうですか」としか言いようがなかった)。以前から「夢は革命家」と公言している弘中アナ。快進撃は当分続きそうだが、弘中アナが革命を起こすには、もう少し修行が必要なのかもしれない。
なお、ランキングには入っていなかったが、今後注目度が上がりそうなのが、フジテレビ・久代萌美アナ。彼女もまた、「キー局の女子アナ」をバネにできるような素質を持っていると感じた。『ワイドナショー』(フジテレビ系)で、社会学者の古市憲寿に「パーティーが好きらしい」と指摘されていたが(別にパーティーに行くのは本人の自由だと思うが)、「週刊文春」(文藝春秋)にキャッチされた彼女の交際相手は6歳年下の人気ユーチューバー。YouTubeの歴史が浅いゆえに、将来性は未知数だが、大化けして富豪になる可能性もないとは言えない。交際がダメになったら、「ダメ恋愛」としてバラエティーで話せばいいし、交際相手が成功したり、結婚すれば美談になる。どっちに転んでも、従来の女子アナらしからぬ仕事を得られそうと言えるだろう。
一方で、技術を磨く女子アナも高支持
弘中アナや田中アナなど、「スタジオで原稿を読む」という従来の女子アナの定義でくくれない人がランキング上位にあらわれる一方で、フリーの有働由美子アナ、テレビ朝日・大下容子アナ、テレビ東京・大江麻里子アナなど、しっかりしたアナウンス技術を持って、ニュースを伝えるベテラン勢も高い評価を得ている。
その昔、女子アナ30歳定年説という言葉を聞いたことがあったが(文字通り、女子アナは30歳になると仕事がなくなるという意味である)、アナウンサーという職に徹して技術を磨きベテランになっても信頼を得るか、アナウンサーという肩書を武器として若くして別の世界に飛び立つかすれば、その説は打破できるのではないか。今後の女子アナ界は二極化していくのかもしれない。




















