毎年この時期になると、たびたび報じられる「クマ出没」のニュース。今年も北海道の住宅街にクマが出没したことが大きなニュースになりました。住宅街にクマって……。地元の人にとっては、シャレにならない事態ですよね。
今回ご紹介するのは、現在「くらげバンチ」で連載中の、クマ狩りハンターのマンガ『クマ撃ちの女』です。どストレートなタイトルからもわかる通り、主人公は女猟師、いわゆる「狩りガール」なのですが、クマを撃つことに対する異常なまでの執着心とストイックさがすごすぎて、ただならぬテンションになっています。タイトルからして「クマうちっ!」とかじゃなくて「クマ撃ちの“”女”」ですから、ガーリーさとかゆるふわさみたいなものはハナから排除されているのです。
本作のヒロインは小坂チアキ。31歳の兼業猟師です。猟師だけでは食べていけないのでバイトもしているのですが、ファッション感覚で猟師をするような雰囲気は一切ありません。なにしろチアキの狙いは鳥やイノシシ、鹿などではなく、日本最強生物「ヒグマ」です。とにかく、ヒグマに対する異常な執着を持っています。
山中でヒグマのフンを見つければ、このようにスイーツを見ているかのように目を輝かせます。クマのフンを見てこんなにルンルンしている女子って、考えられないですよね。ルンルンしている理由はもちろん近くにクマ(ターゲット)がいるからです。
しかもこの後、自分の気配を消すためにクマのフンを体に塗りたくったりもします。変態ではありません。あくまでガチのクマハンターです。
こんな感じで、撃ったエゾシカの解体なんかもサクッとやっちゃう男勝りな狩りガールなのです。
そんなチアキのもとに、駆け出しのフリーライター・伊藤カズキが訪ねてきます。伊藤はフリーとして独立したてで、本を出して一発当てるためにチアキに同行取材を依頼します。女だてらに クマを撃ったことがあるということで話題性も十分です。初めは渋っていたチアキも、撃った獣を解体したり運んだりする労働力に使えると踏んで、伊藤の同行取材を承諾。両者の思惑が一致し、デンジャラスすぎるクマ撃ち取材が敢行されます。
なにしろ一歩間違えば命を落とすクマ撃ち取材ですから、モタモタしてたらこんな感じでチアキにぶん殴られます。……首、折れ曲がってますね。
伊藤の同行取材を許可しているとはいえ、なによりクマ撃ちが最優先のチアキ。もし、取材中に伊藤が死んだとしてもクマ撃ちを優先させると宣言。
あまりにストイックすぎるチアキですが、どうやらクマに憎悪を燃やす因縁めいた過去がある模様。そこはまだ作中で明らかにされていません。
過酷な同行取材もだんだん慣れてきたところで、油断したのか、雨で足を滑らせて崖から転落したチアキ。しかし、そこにはヒグマが。銃を構える時間もなく、完全に不意を打たれてしまい、このままでは殺される、そんな時……。
なんと、同行していた伊藤にクマの注意を向けるという大胆なオトリ作戦を敢行するチアキ。一転、伊藤が大ピンチ。伊藤が死んでも熊を撃つ……有言実行すぎる女、チアキです。
そして見事、クマ撃ちに成功しました。まさに危機一髪です。
思いっきり伊藤をオトリにした後で、これですからね……。もはやサイコパスの域です。しかし、結果的にクマ撃ちを見ることができた伊藤にとっても、取材は大成功だったのでした。まさに結果オーライです。
こんな感じで猟の時のテンションがすさまじいマンガなのですが、一転して獲った獣をさば いて食べるオフシーンも魅力。さばいた鹿肉を持ってウットリするチアキの表情を見てください。繰り返しますが、スイーツじゃないですよ。獣肉です。
次から次へと熊や鹿などのジビエ料理が出てきます。実にうまそうですね。
また、「恋人はライフル」なスタンスなので、銃に対するマニアックな解説もいろいろ登場します。そういえば、チアキはバリバリのハンターですが、なぜかしゃべり方だけはギャルっぽくてゆるふわです。ネットでも、チアキのしゃべり方のヤバさが話題になっているようです。
今回、クマを仕留めて満足なのかと思いきや……。
「私は一流のクマ撃ちになりたいんです。圧倒したいんです。何頭も何頭も撃ちたいんです」
なぜ、ここまでクマ撃ちに執着するのか……。チアキは、心の中にいろいろ闇を抱えてそうなのです。猟が思い通りにいかず、壁に頭をガンガン打ちつけるシーンも。ゆるふわどころかメッチャ情緒不安定、メンタルがヤバいです。一体、過去に何があったのか……おそらく、そのあたりも、のちに明らかにされていくのでしょう。とにかく、今後の展開が楽しみなマンガです。
(文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん <http://ablackleaf.com/>)
●くらげバンチ『クマ撃ちの女』