通称「大野アンリー」なる一部の嵐・大野智ファンが、いまネット上で注目されている。この「アンリー」というのは、ジャニーズファンの間で生まれた「オンリー」と「アンチ」を組み合わせた造語で、「グループ/ユニット内のメンバー1人だけを溺愛し、他メンバーを攻撃するファン」のことを指すという。つまり「大野アンリー」とは、「大野だけのファン」を標榜し、櫻井翔、相葉雅紀、二宮和也、松本潤を敵視する人物であると言えるだろう。
アンリーと呼ばれるファンは、具体的にどのような言動を取るのだろうか。嵐ファンの女性・Aさんは、「自分の応援するアイドルが、ほかのメンバーのせいで不遇な目に遭っている」と主張するのが特徴ではないかと語る。
「例えば大野くんは、ダンスと歌の才能に優れていて、それは嵐ファンなら誰もが認めるところだと思うのですが、大野アンリーは『その才能が嵐内で生かされていない』『大野くんもストレスを感じているはず』などと怒っているイメージ。グループとしての均一性を保つため、他メンバーのダンスと歌のスキルに合わせなければならず、『実力が発揮できていない』とする声もよく見かけますね。ほかにも、『コンサートの大野くんのソロコーナーは扱いが悪い』『歌番組で大野くんマイクの音量が下げられていた』『カメラに抜かれない』『個人仕事が与えられない』などというコメントもよく見かけます」(同)
また、嵐が今年1月、2020年いっぱいでの活動休止を発表してから、「大野アンリーは活気づいた印象」(同)という。
「嵐の活休はもともと、大野くんが『自分の嵐としての活動を一旦終えたい。自由に生活をしてみたい』とメンバーに提案したことがきっかけだったのですが、大野アンリーは『やっぱり大野くんは嵐というグループが嫌だったんだ』など、自分たちの主張が裏付けされたとばかりにアピールしだしたというか……。大野アンリーは、一般的な嵐ファンの目に『思い込みが強すぎる過激なファン』として映っていると思います」(同)
そんな大野アンリーの心理が「まったく理解できない」というAさん。確かにネット上にも、「大野アンリーは意味不明」「暴走しすぎている」といった指摘が飛び交っている状況だ。そこで今回、神奈川大学心理相談センター所長、人間科学部教授である臨床心理士の杉山崇氏に、大野アンリーの心理に関して、見解を聞いた。
杉山氏はまず、大野アンリーの心理について、「自らと大野さんを一体化させ、“悲劇のヒロイン”になっているのではないか」と考察する。
「人は、悲劇に酔いしれていると、自分の弱点や欠点から目を背けることができます。また悲劇によって、周囲から同情や共感を得られると、承認欲求が満たされ、脳から快楽物質が出るのです。大野アンリーは、自らの考える『大野さんの悲劇(=才能があるのに不遇な扱いを受けている)』に乗っかるような形で、悲劇のヒロインを楽しんでいるように見えます」
大野アンリーが、自身と大野を一体化するのは、「好き」という感情によるものだといい、「おじいちゃん、おばあちゃんが、孫のこと『目に入れても痛くない』というのと同じような感じ。好きで好きでしょうがなくて、自分と大野さんの境界線がなくなってしまっている状態とも言える」そうだ。
なお、悲劇のヒロインになるためには、“悪役”の存在が絶対不可欠と杉山氏。たいていは近しい人物を悪役に仕立てるため、「ほかのメンバーやスタッフを攻撃するような心理が働くのではないかと思います」という。
「大野アンリーには、『大野くんも自分と同じ気持ちだ』と考える傾向もあるようですが、心理学の用語でこれを“投影”と言います。自分の気持ちを相手に映し出して、『相手はこう思っているに違いない』とし、ファンタジーに酔いしれているのです。アイドルというのは、もともと“ファンタジーを売る”のが仕事だと思うのですが、大野アンリーは、大野さん自身やジャニーズが提供するファンタジーではなく、自らが生み出したファンタジーを拡大させ、酔いしれ、楽しんでいる……そんな印象を受けますね。私の考えとしては、それで自分が楽しむ分にはいいと思うのですが、周りの人を誹謗中傷して、ほかのファンを傷つけるのはどうなのだろうか、ほかのファンがかわいそうなのではないか、と思ってしまいます」
杉山氏は、大野アンリーに「悲劇のヒロイン」に酔いしれている可能性があるというが、その状態に“陥りやすい人”の特徴はあるのだろうか。
「悲劇のヒロインに酔いしれることで、自分のことから目をそらせるという点から、『自分に自信がない人』『コンプレックスが強い人』という特徴があると言えるかもしれません。また、『被拒絶感が強い人』。自分は誰からも大切にされないといじけている面があり、それを大野さんに投影している可能性はあるのではないでしょうか」
また「新奇性追求の強い人」も、悲劇のヒロインになりやすいと杉山氏。
「この『新奇性追求の強い人』とは、目新しいものが好きで、同じことをしていると飽きてしまう人のことを指すのですが、そういう人がネガティブ思考を併せ持つと、どんどん新しい悲劇を探しだそうとするのです。加えて、本人は自分のことを『コミュニケーション能力が高い』と思い込んでいるが、実は低いといった面も併せ持つと、些細なことで『あの人にこんなことをされた!』と怒り出すようになるのです」
嵐ファンの間で、大野アンリーは「攻撃性が強い」とする向きもあるが、そこには「新奇性追求の強い人が、悲劇のヒロイン化している」といった背景があるのかもしれない。
大野アンリーは現在、その攻撃的な言動で、多くの嵐ファンを困惑させているというが、何らかのきっかけによって、アンリー的思考から脱することはあるのだろうか。
「大野アンリーは、大野さん本人からの言葉しか耳に入らないと思います。なので、大野さんに、『応援してくれるのは本当にありがたいのだけど、メンバーや事務所の悪口はやめてほしい』などと言っていただければ、変わる可能性はあります。大野さん以外の人から、その言動を咎められても、大野アンリーは『敵』とみなすのみなのではないでしょうか。嵐ファンの中には抗議したい人もいるでしょうが、悲劇のヒロインになりたい大野アンリーに燃料を投下するだけなので、知らん顔した方がいいと思います」
しかし、たとえ本人からの願いであったとしても、「『誰かに言わされている』などと妄想を膨らませ、受け止められないケースもあると思います。妄想の中でしか生きられないという人もいるのです」。
嵐が活動休止するまであと1年半。嵐ファンと大野アンリーの間で大きな諍いが起こらないことを祈るばかりだが……。