保育園、幼稚園、小学校、おけいこ事の教室などでは、日々子どもの保護者と施設側の間でトラブルが発生している。ほんの些細なことでも、自分のこと以上に気になってしまうのが親心というものなのか。わが子のことを思ってとクレームを入れるママもいれば、モンペと呼ばれることを恐れて我慢するママも。そんなトラブル事例とママの葛藤をつづる。
アラサーやアラフォー世代が子どもだった頃と比べ、現代は共働きの家庭も増え、時間に追われるように過ごしているママたちも多い。そんな中、育児に関して、何でもかんでも保育園や幼稚園に頼る保護者が、保育士の間で問題視されているという。「忙しいので、保育園にお願いしたい」と思うママたち、一方で「それはご家庭でやってください」という心情を抱える保育士たち―—それぞれの声を見ていこう。
保育士の中で、「家庭での協力が必要である」といわれているという “トイレトレーニング”。しかし、なかには保育園に任せきりの保護者も多いそうだ。認証型保育園に2歳になる娘を通わせている紀子さん(仮名)は、こう語る。
「娘は今、2歳児のクラスにいて、園では少しずつ、おむつを外して幼児用の洋式便座でのトイレトレーニングを始めています。そのため、保育士から家でもおむつではなくパンツで過ごすように言われているのですが、正直困っていますね。家で一緒にいる時間に排泄のトレーニングを行うと、帰宅後の時間が足りないんです。午後6時過ぎに迎えに行って、夕飯を食べさせて、お風呂に入れて、寝かしつけして。平日はほぼワンオペ育児なので、そこにトイレトレーニングも加わったら、自分の時間が持てません」
トイレトレーニングは、子どもによって、おむつが外れる時期にばらつきがあるため、根気が必要だと言える。排泄を口で伝えることができない幼児には、“トイレに行こう”と促し、ズボンの下に穿いている下着を下ろすのも手伝い、女児の場合は、便座の上に座らせて落ちないように支えて排泄の介助をするというのが一般的だ。男児の場合は、尿を飛び散らかさないに気を付けさせる。トレパンの時にお漏らしをしたら下着や服を洗う、濡れた床を拭く、寝ているときに排泄をしてしまったらシーツを洗って消毒をする……。洗濯物が乾きやすい夏にスタートするのがベストといわれているものの、まだプレ幼稚園にも通わせず、自宅育児をしている2歳児のママからすれば、トイレトレーニングは気が遠くなる作業だという。
満3歳児からの入園が主な幼稚園では、入園前のトイレトレーニング(おむつ外れ)をお願いしているケースもある。それに反し、自宅にいる時間よりも園で過ごす時間が長い保育園児は、否が応にもトイレトレーニングを保育士が担う部分が多い。小規模保育園で2歳児クラスの保育士をしている秋元さん(仮名)は、「うちの園では2歳児クラスに進級すると、家でのトイレトレーニングをお願いしています。でも、休みの日はディズニーランドなどレジャー施設に出かけたり、祖父母の家に帰省したりと、長時間移動するためにおむつを穿かされている子もいるんです。家でおむつを穿いて過ごしている子は、『なんで園だとおむつを穿いてはいけないの?』と言い出し、トイレトレーニングがうまくいかないんです」と、困惑した表情を見せた。
近年は、待機児童問題から、入りやすいとされる“0歳児入園”が当たり前となり、保育園に預けている時間が長いため、親が生活の中で教えてきたトイレでの排泄というような手間がかかる躾を、保育士が行っているといえる。なかには、「子どもが粗相をした下着を軽い水洗いで返すと、『きちんと洗ってください』と言ってくる親もいます。そもそもトイレトレーニングはご家庭でやるべきものなのに」(秋元さん)との声も。保育士と、親が教えるべき躾の境界が曖昧になってきているのかもしれない。
保育園と幼稚園の違いとして、よく挙げられるのが“文字の読み書き”を教えるかどうか。一般的に、幼稚園の管轄は文部科学省で、保育園の管轄は厚生労働省という違いがあり、幼稚園では就学前に文字の読み書きを教える一方、保育園では共働きの両親に代わって保育を行うのが目的で、勉強を教える場所ではないという前提がある。しかし、最近では幼稚園でも「のびのびとした保育」をモットーに、園内での家庭菜園や課外学習を行うなど、勉強以外に力を入れている園もあり、反対に保育園なのに、読み書きや計算の時間を積極的に取り入れている園も増えてきている。
関東で看護師として働いている麻衣子さん(仮名)は、夜勤を行わないシフト勤務だが、長時間労働で土曜出勤もあり、家で子どもとゆっくり過ごす時間がないという。彼女の4歳になる息子が通っている公立保育園では、園生活の中では、いっさい読み書きを教えない。不満に思った麻衣子さんは、「小学校に入学したときに、ひらがなの読み書きができないといじめられたり、劣等感を抱いてしまう」と直接園長に直訴した。
「最近の私立の保育園は、英語教育を取り入れている園もあるのに。うちの園は公立ですが、保育園だから読み書きを教えないって、もう今の時代に合っていないって思うんです。しかし園側が『読み書きなどは、自然と生活の中で覚えていくもの。子どもとのスキンシップの時間を取って、ぜひ絵本の読み聞かせをしてあげてください』っていうんです」
麻衣子さんが住んでいる地域では、小学校高学年になると塾に通いだし、私立中学への受験が盛んになるという。幼少期の読み書きが、先々の学力に影響するのではないかと、今から心配している。
「もっとママたちが声を上げれば、保育園でも読み書きや計算の勉強は可能だと思うんです。同じ産院で知り合った専業主婦のママさんは、フラッシュ暗算をさせる幼稚園に息子を通わせていて、どんどん差がついてきて焦ってきています。保育園の無償化よりも、時間に余裕がないワーママさんの代わりに、保育園で勉強も見てもらいたいです」
保育園では、日常業務以外にも、季節の行事や保護者会などがあり、保育士の負担は今のままでも十分大きい。しかし、“仕事をする方が育児よりも楽”というワーママもいるように、トイレトレーニングから始まり、準備に手間のかかる離乳食、箸トレーニング、読み書き計算、側転後転というような簡単な体操など、本来は家庭で行っていた育児・躾を、保育園に期待する保護者たちが増えた。そんな、保育士をサービス業として捉える“モンペ”たちが、保育士不足をさらに加速させてしまわないか、不安は増すばかりだ。
(池守りぜね)
関ジャニ∞村上信五がパーソナリティを務めるラジオ『村上信五くんと経済クン』(文化放送、7月7日放送)にて、村上が“アイドルと笑顔”について、意味深な発言をしていた。