長野県民なら誰もが知ってる、もう一つの食卓……「みんなのテンホウ」は胃袋の桃源郷だった!

「テンホウ」を、ご存じだろうか。

 長野県民なら、誰もが知っている馴染みの味。でも、長野県民以外に知られることは少ない。なぜなら、現在の店舗数は32店舗。そのすべてが、長野県内にしかないからだ。

 長野県では、老若男女を問わず愛され続けるローカルチェーン。いったい、なぜ「テンホウ」は、長野県の人たちに愛されるチェーンとして、定着するに至ったのか。

 以前から知りたかった謎が、このたびようやく明らかになった。地元有志などによって開催されている公開講座「諏訪力講座」が「テンホウに見る諏訪力」と題し、テンホウ・フーズ代表取締役社長の大石壮太郎氏を招いて、講座を開催することになったのだ。

「テンホウ」の歴史や「謎」を知る、またとない機会。筆者はさっそく、諏訪へと向かった。

 まず、改めて驚いたのは「テンホウ」の人気。

 講座の前に、まずは店にも行かねばと訪れたのは、現状の最古の店舗である諏訪市の城南店(もともとの2号店)。その日は日曜日とはいえ、まだ昼前にもかかわらず、すでに駐車場は満車だったのである。

 少し待ってから入店するが、客はひっきりなしにやってくる。一人客やカップル、家族連れ……。掛け値なしに、老若男女がやってくるのである。

 そして、初めて来た人なら驚くのは、メニューと値段である。餃子は280円。醤油ラーメン390円。ソースカツ丼670円。中華料理主体のチェーンかと思いきや、さば串カツもある。さらに、一部の店舗ではアップルパイまであるという。

 いったい、豊富なメニューと値段の安さは、どうして生まれたのか……。

「諏訪力講座」で、まず大石氏は「テンホウ」の歴史から語り始めた。

 大石氏の祖父母が「テンホウ」の源流である「天宝 鶴の湯 餃子菜館」を始めたのは1956年のことだ。

 その名前の通り、もともと祖父母は戦前、諏訪に移り住み、上諏訪の温泉街で「天宝 鶴の湯」という名前の旅館を営んでいた。

 今でも上諏訪には多くの温泉宿があるが、戦前は現在とは異なり、もっと内陸部に温泉街が広がっていた。その中にあった「天宝 鶴の湯」も大いに繁盛していた。

 ところが戦後になると、温泉街は諏訪湖畔へと移っていき、もともとの温泉街にも陰りが見えてくる。

 そんな時であった。大石氏の祖母である百代(ももよ)おばあちゃんは、たまたま東京に出かけたその時に、偶然、歌舞伎町にあった「餃子会館」という店で食べた餃子で閃いたのだ。

「この作り方を教えてほしい」

 そう店の人に頼んでみたが、おいそれと教えてもらえるはずがない。何度も店に通った百代おばあちゃんは、ついに無給で3カ月あまり店で働いたのだという。

 その時、百代おばあちゃんは、すでに50歳を過ぎていた。まだ戦後間もない時期だから、かなりの高齢である。そこまでの情熱のおかげか、味を伝授された百代おばあちゃんは諏訪に戻り、旅館の一角で餃子を売り始めたのである。

 それは次第に評判になり、広まっていった。

 その後を継いだ、大石氏の父である孝三郎氏は1973年に店舗を株式会社化。まだ2店舗しかない時点でセントラルキッチンを建設したのである。まだ、日本におけるファミリーレストランの先駆けである「すかいらーく」が登場して間もない時代(1号店は1970年)。孝三郎氏は、幾度も東京に出かけては「すかいらーく」を訪れていたという。ファミリーレストランという新しい業態は、必ず成長する。そのことを孝三郎氏は確かに見抜いていたのである。

 と、このままなら一企業の成功物語である。

 でも「テンホウ」は、そうではなかったからこそ、長野県民に愛される味となった。

 その後「テンホウ」は、さまざまなことに挑戦した。一時は多店舗展開を考えて、長野県外に出店したこともある。ラーメンチェーンのFCに参加したり、スパゲッティや持ち帰り弁当、コロッケなどに挑戦したこともある。

 実際「このシステムであれば1,000店舗はいける」といわれて、心の動いた時代もあるというが、そうはしなかった。

 なぜなら、そうしてしまえば、どうしても手薄になる部分ができてしまうからだ。

「テンホウ」の店舗の大きな特徴は、オープンキッチンになっていること。お客は、自分たちの料理が出来上がるのを、今か今かと見ながら待つことができる。拡大によって必然的にやってくるサービスの低下よりも、世代を超えて通ってくれる人々へ情熱を注ぐことをテンホウは選んだのだ。

 だからといって、決して保守的になっているのではない。中華料理に限らないメニューが次々と投入されていくのは、その現れ。社員からも発案があれば、次々と採用して新メニューを試しているのだという。

 なぜ、これが中華料理屋にあるのかと思ってしまうアップルパイは、今も時々厨房に立つ孝三郎氏が「今は、これだ!」と発案したものだそう(ほかを食べ過ぎたので注文するタイミングを逸したが、人気メニューだそう)。

 そんな地元に愛される店となった秘訣の一つとして大石氏が語ったのは「あまり美味しくしすぎない」ということ。極上の美味しい料理であれば、一度食べたら満足しきってしまう。それよりも「今日はご飯をつくるのが面倒だから、テンホウに行こう」という感覚で利用してもらえる家庭の食卓の延長が、大石氏の考える理想形だ。

 世代を超えて一つの完成形へ到達し、さらに進化を続けている「みんなのテンホウ」。

 長野県を訪れる機会があれば、ぜひ、その味と客席の満足そうな表情を見てほしい。
(文=昼間たかし)

『こころ』はBL、『三四郎』は草食系男子!? 漱石作品の多彩な魅力を教えてくれる『夏目漱石、読んじゃえば?』

――本屋にあまた並ぶ新刊の中から、サイゾーウーマン読者の本棚に入れたい書籍・コミックを紹介します。

■『夏目漱石、読んじゃえば?』(奥泉光、河出書房新社)・エッセイ

sousekiyonjaeba

■概要
「小説を最初から最後まで全部読む必要なんてない」「物語を脇に置こう」「難しい漢字は無視する」――。つい、学生時代のように「作者の訴えたいことを受け取らなくては」と固く構えてしまいがちな「近代文学の名作を読む」という行為から離れ、夏目漱石を愛する芥川賞受賞作家・奥泉光が楽しく読む方法を伝授する、読書法指南本。

********

 「読書好き」だからといって、教科書に載っているような、いわゆる文豪の名作を読まなければならないわけではない。そのため、古めかしい、格式が高くて自分に関係なさそう、学生時代に読んであまり面白くなかった、そんな理由で夏目漱石を“読まず嫌い”している人も多いだろう。読まなければいけないわけではないが、触れたことのない作品には、知らない魅力が眠っていることもある。『夏目漱石、読んじゃえば?』は、“日本の近代文学史上もっとも有名な作家”である夏目漱石作品への凝り固まったイメージを鮮やかに変え、読書自体の魅力を広げてくれる1冊だ。

 本書は、中学生から大人までが楽しめるように企画された「14歳の世渡り術」シリーズの中の1冊。読書自体に苦手意識がある10代にも届けようとしているため、少し鼻につくくらい平易な文体だが、読書と改めて向き合いたい大人に向けても書かれている。

 「小説には正しい読み方とか間違った読み方は存在しない」と強調する奥泉氏の読書指南は、「タイトルを読んだだけでも読んだことにしていい」「忘れながら読むことだって、立派な読書」「『わからない』ことを楽しむ」と、一見極端な暴論にも読める。しかし、意図的に一番ハードルを下げたところから、少しずつ読書の楽しみを示す流れになっており、段階を踏みつつ自然と読書の質を上げることができるようになっている。

 そして、「小説の読み方は自由」と前置きしつつも、著者はツアーガイドのように“こんな読み方もある”と、初心者にも取っ掛かりやすそうな入口を少しだけ提示してくれる。『吾輩は猫である』は猫が可愛いシーンだけ拾い読みしてみてもいい。無鉄砲で血気盛ん、というイメージのある『坊っちゃん』の主人公は、実は暗い、コミュニケーションが苦手な男子の物語と読めるし、『三四郎』の主人公は現代の草食系男子に通じる。『草枕』は、ストーリーを放棄して字面を鑑賞するだけでもいい。『こころ』は傑作だと思って読まない方がいいし、実はBLとして読みこむ人もいる。

 現代人にも触れやすいよう、サービス精神にあふれた切り口はそれぞれ興味深いが、なにより、各作品の魅力を喜々として語る奥泉氏の姿が、漱石作品の魅力を伝えているともいえる。楽しそうな人がいる場所に人が集まるように、奥泉氏の熱狂が、時代を超えて文豪と呼ばれる漱石の底知れない引力を自然と示してくれているのだ。

 「小説を読んで言葉を使う技術を獲得していくことは、自分の人生をより豊かにする」と信じる奥泉氏の読書論は、漱石作品に限らず、あらゆる本を読む際に応用できるようなヒントがちりばめられている。漱石を“読まず嫌い”している人はもちろん、読書に新しい楽しみを見いだしたい人にも薦めたい1冊だ。
(保田夏子)

ルミネ、キリンはなぜ炎上? ジェンダーと軋轢が起こる理由――「広告は、何も考えていないような人に訴求したい」

――女性を描いた広告や作品が、ネットを中心に炎上することが珍しくなくなった。マーケティングに基づいたコンテンツとジェンダーが軋轢を生む中で、その背景にあるものとは一体なんなのだろうか?

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絵本作家・のぶみ氏が作詞を担当した楽曲「あたしおかあさんだから」は、賛否両論を巻き起こした。(画像は、のぶみ氏のオフィシャルサイトより)

 近年、広告を中心としたコンテンツにおける“女性の描かれ方”が物議を醸し、炎上するといった事例が後を絶たない。左ページのコラムに挙げた代表的な事例のほかにも、壇蜜を起用して内容が「過剰に性的だ」と批判が起こった宮城県のPR動画や、「母親の自己献身を美化している」として絵本作家ののぶみ氏が作詞を手がけた楽曲「あたしおかあさんだから」など、「女性はこうあるべき」、あるいは「女性にはこうあってほしい」といったジェンダー(社会的に要求された性別役割)を押し付けるようなコンテンツに批判が集まっている。

 ジェンダーとマーケティングの関係性を見ることで、炎上の裏側にある構造について考えていこう。

 まず、コンテンツ内での“女性の描かれ方”について、制作者はどう感じているのか? 例えば、大手ゲーム会社で働く女性クリエイターのA氏は、次のように話す。

「自社で開発するゲームに登場する女性キャラクターの描き方には、違和感を持つことも多いです。みんな胸を強調しているし、『女の子は普通、こんなことしない』とか『女子力が高い』といった、ジェンダーを押し付けるようなセリフがあっても、制作者には男性が多いからか、誰もそんなことを気にしたりしません。

 女性から見ると、男性に都合の良い女性ばかり登場していると感じてしまいます」

 広告業界関係者のB氏が続ける。

「まず最初に、広告で『わざと炎上させたい』という話が来ることは、ほぼないと言っておきます。例えば、花王では出来上がった広告を大勢の女性モニターに見せて、表現に問題がないかをチェックするようにしていると聞きました。

 ただ、広告では『限られた時間の中でターゲットにわかりやすくメッセージを届けないといけない』という意識が強いので、女性を主人公として描いた結果、“過剰な女子”が描かれてしまう、ということはよくあります。女性をターゲットとしたクライアントから『もっとわかりやすくキャピキャピした女の子にしてください』などと言われることもざらです。特に、美容などのコンプレックス産業の場合、ターゲットとなる視聴者と広告で描かれる女性を同一化させて、『こうなりたい!』あるいは『こうはなりたくない!』と思わせることが購買意欲につながるので。そこで広告のターゲットとして想定していない人が見た時に、“女性の描き方”が偏っている、と思われてしまうのでしょう」

 こうした何気ないジェンダーの押し付けや“性の商品化”は、ターゲットとなる購買層が見た場合には問題化しにくいが、外部に届いた途端、表面化することも多い。

メディアや広告が植え付けたジェンダー

 広告やマーケティングの分野で根強い考えとしてあるのが、「M1層」「F1層」といった性別と年齢別の顧客区分。20代未満を2つに、20代以上の男女を3つに分け、計8つの集団としてターゲット顧客を捉える発想だ。「広告業界では広く使われている」(同)というこの区分だが、『メディア文化とジェンダーの政治学』(世界思想社)といった著書を持つ、大妻女子大学文学部の田中東子准教授は、次のように指摘する。

「私が調べたところ、『F1層』といった考え方は1970年代にテレビ業界や広告代理店で生まれた、日本独自の分類のようです。この頃はテレビが急速に普及する時代で、同時にマスメディアが“ジェンダー”を広く植え付けていった時代でもあります。例えば、ニュースを読むのは決まって男性アナウンサーでした。

 マーケティングでは、『20代の女性はこういうものが好き』という多数派の意見をもとに、商品やコンテンツを消費者に与えていきます。比較的数の多い部分だけが再生産されることで、ステレオタイプやジェンダー観は強固なものとなってしまいます。

 フェミニズムはこうしたステレオタイプ化された女性像に対して異議を唱え、90年代半ば頃からは、ネットなどを通じて女性自身が描く新しい女性像を発信する第三波フェミニズムが勃興してきます。この背景には、2000年代から女性のライフプランが多様化し、旧来の女性像とは違う生き方をする女性が増えてきたということもあるでしょう」

 こうした流れもあってか、海外を中心に「フェミニズム」と「アドバタイジング(広告)」を組み合わせた「フェムバタイジング」という言葉が生まれ、女性を力づけるような広告を打ち出す動きもある。田中氏はこうも話す。

「映像や写真というのはすごく複雑で、その読み取り方はひとつではありません。広告やメディアが一義的なメッセージを発信しようと思っても、受け取る側はさまざまな解釈を行います。これまで分断されていたマイノリティの意見も、SNSなどでつながることで、大きな力を持てるようになりました。その事実を踏まえ、今まで主流だと思われていた表現も、実は主流ではなかったのかもしれない、ということに思いをはせるきっかけとして、ある意味、炎上は良いことだと私は思っています」

 前出のB氏は「広告の現場では、よりわかりやすく、何も考えていないような人に訴求したい、という話は頻繁に出てくる」とも話した。しかし、現実は多義的で複雑だ。そう考えると、これらの炎上事例は、マーケティングのメソッドにのっとり、わかりやすさを追求した結果、生じてしまった軋轢といえるのではないだろうか。

(文/須賀原みち)

■男のエロ妄想に、斜に構えたカリカチュアライズ……どこがマズかった!? 女性を描いた広告炎上事件簿

――広告における女性の描き方をめぐって、近年では炎上が珍しくない。偏った女性像を描いて大手企業が“やらかして”しまった事例をおさらいしていこう。

【1】「ウルトラアタックNeo 広がっています篇」
花王

本文中で「女性の意見を取り入れるチェック体制がある」と言われていた花王だが、14年公開のCM「ウルトラアタックNeo 広がっています篇」では、「育休明けママ 会社員」「幼稚園ママ 主婦」「部活応援ママ 女優」と、“洗濯=ママ”と結びつけて描かれており、大炎上ではないものの、一部から違和感を表明する声が上がっていた。一方で、同社が13年に公開した「ウルトラアタックNeo 週末篇」では、男性タレント・土田晃之が洗濯をする場面も。(公開:2014年7月)

【2】「LUMINE Special Movie」第一話
ルミネ

「働く女性たちを応援するスペシャルムービー」と打ち出されたCMの第一話では、女性が仕事仲間とおぼしき男性から「(かわいい女の子とお前は)需要が違う」と言われ、「変わりたい? 変わらなきゃ」というテロップが大映しに。これに対し、女性が男性に迎合することを押し付けているとして、ネット上では「女性蔑視だ」「セクハラを受け入れるのか」と非難轟々。ちなみに第二話では、第一話と同じ女性が「美人」と言われ、自虐する光景が描かれている。(公開:2015年3月)

【3】「インテグレート」
資生堂

小松菜奈演じる、25歳を迎えた女性に対する「今日からあんたは女の子じゃない」というセリフが注目を集めた案件。第一弾では、男性上司の「がんばってるのが顔に出ているうちは、プロじゃない」という一言の後、“「がんばってる」を顔に出さない #いい女なろう♥”というテロップが挿入される。第二弾では、冒頭のセリフと共に、女子会で「かわいいをアップデートできる女になるか、このままステイか」という、“女性のリアル”とされるトークが飛び交う内容に。(公開:2016年10月)

【4】「ムーニーから、はじめて子育てするママヘ贈る歌。 「moms don’t cry」(song by 植村花菜)」
ユニ・チャーム

母親になった女性が初めての子育てに戸惑いながらも、最後は笑顔で前を向き、「その時間が、いつか宝物になる」というテロップで締めくくられるCM。父親の姿はほんの数秒しか映らず「ワンオペ育児を賛美している」との批判が殺到する一方で、ある意味現実を描いているとして、賛否両論の意見が出る事態となった。また、同社は2017年4月に「C CHANNEL」で発表した「ソフィ ソフトタンポン」の動画CMでも炎上。(公開:2016年12月)

【5】「絶頂うまい出張」シリーズ
サントリー

男性の欲望が過剰に盛り込まれたことで炎上したケース。「出張先で若い現地の女性と2人で食事をする」という設定で、男性の一人称視点で撮影された動画では、小籠包や春巻き、串カツなどを頬張った女性が「肉汁いっぱい出ました」「めっちゃふにゃふにゃ」などと発言。商品となる「頂」を飲むと、大きく「コックゥ~ん」の文字が。エロギャグを意識したのかもしれないが、これには男女問わず「下品」という声が殺到。(公開:2017年7月)

【6】「#午後ティー女子」
キリンビバレッジ

ツイッターでの企画として、同社公式アカウントがイラストレーターのつぼゆり氏による「午後ティー女子」というイラストを掲載。しかし、そこで描かれていたのは「モデル気取り自尊心高め女子」「ロリもどき自己愛沼女子」「仕切りたがり空回り女子」など、消費者を揶揄するような表現が目立つものだった。これに対し「なぜ自社の購買層に喧嘩を売るのか?」という非難の大合唱が起こった。(公開:2018年4月)

ルミネ、キリンはなぜ炎上? ジェンダーと軋轢が起こる理由――「広告は、何も考えていないような人に訴求したい」

――女性を描いた広告や作品が、ネットを中心に炎上することが珍しくなくなった。マーケティングに基づいたコンテンツとジェンダーが軋轢を生む中で、その背景にあるものとは一体なんなのだろうか?

1808_marketing_p1_300.jpg
絵本作家・のぶみ氏が作詞を担当した楽曲「あたしおかあさんだから」は、賛否両論を巻き起こした。(画像は、のぶみ氏のオフィシャルサイトより)

 近年、広告を中心としたコンテンツにおける“女性の描かれ方”が物議を醸し、炎上するといった事例が後を絶たない。左ページのコラムに挙げた代表的な事例のほかにも、壇蜜を起用して内容が「過剰に性的だ」と批判が起こった宮城県のPR動画や、「母親の自己献身を美化している」として絵本作家ののぶみ氏が作詞を手がけた楽曲「あたしおかあさんだから」など、「女性はこうあるべき」、あるいは「女性にはこうあってほしい」といったジェンダー(社会的に要求された性別役割)を押し付けるようなコンテンツに批判が集まっている。

 ジェンダーとマーケティングの関係性を見ることで、炎上の裏側にある構造について考えていこう。

 まず、コンテンツ内での“女性の描かれ方”について、制作者はどう感じているのか? 例えば、大手ゲーム会社で働く女性クリエイターのA氏は、次のように話す。

「自社で開発するゲームに登場する女性キャラクターの描き方には、違和感を持つことも多いです。みんな胸を強調しているし、『女の子は普通、こんなことしない』とか『女子力が高い』といった、ジェンダーを押し付けるようなセリフがあっても、制作者には男性が多いからか、誰もそんなことを気にしたりしません。

 女性から見ると、男性に都合の良い女性ばかり登場していると感じてしまいます」

 広告業界関係者のB氏が続ける。

「まず最初に、広告で『わざと炎上させたい』という話が来ることは、ほぼないと言っておきます。例えば、花王では出来上がった広告を大勢の女性モニターに見せて、表現に問題がないかをチェックするようにしていると聞きました。

 ただ、広告では『限られた時間の中でターゲットにわかりやすくメッセージを届けないといけない』という意識が強いので、女性を主人公として描いた結果、“過剰な女子”が描かれてしまう、ということはよくあります。女性をターゲットとしたクライアントから『もっとわかりやすくキャピキャピした女の子にしてください』などと言われることもざらです。特に、美容などのコンプレックス産業の場合、ターゲットとなる視聴者と広告で描かれる女性を同一化させて、『こうなりたい!』あるいは『こうはなりたくない!』と思わせることが購買意欲につながるので。そこで広告のターゲットとして想定していない人が見た時に、“女性の描き方”が偏っている、と思われてしまうのでしょう」

 こうした何気ないジェンダーの押し付けや“性の商品化”は、ターゲットとなる購買層が見た場合には問題化しにくいが、外部に届いた途端、表面化することも多い。

メディアや広告が植え付けたジェンダー

 広告やマーケティングの分野で根強い考えとしてあるのが、「M1層」「F1層」といった性別と年齢別の顧客区分。20代未満を2つに、20代以上の男女を3つに分け、計8つの集団としてターゲット顧客を捉える発想だ。「広告業界では広く使われている」(同)というこの区分だが、『メディア文化とジェンダーの政治学』(世界思想社)といった著書を持つ、大妻女子大学文学部の田中東子准教授は、次のように指摘する。

「私が調べたところ、『F1層』といった考え方は1970年代にテレビ業界や広告代理店で生まれた、日本独自の分類のようです。この頃はテレビが急速に普及する時代で、同時にマスメディアが“ジェンダー”を広く植え付けていった時代でもあります。例えば、ニュースを読むのは決まって男性アナウンサーでした。

 マーケティングでは、『20代の女性はこういうものが好き』という多数派の意見をもとに、商品やコンテンツを消費者に与えていきます。比較的数の多い部分だけが再生産されることで、ステレオタイプやジェンダー観は強固なものとなってしまいます。

 フェミニズムはこうしたステレオタイプ化された女性像に対して異議を唱え、90年代半ば頃からは、ネットなどを通じて女性自身が描く新しい女性像を発信する第三波フェミニズムが勃興してきます。この背景には、2000年代から女性のライフプランが多様化し、旧来の女性像とは違う生き方をする女性が増えてきたということもあるでしょう」

 こうした流れもあってか、海外を中心に「フェミニズム」と「アドバタイジング(広告)」を組み合わせた「フェムバタイジング」という言葉が生まれ、女性を力づけるような広告を打ち出す動きもある。田中氏はこうも話す。

「映像や写真というのはすごく複雑で、その読み取り方はひとつではありません。広告やメディアが一義的なメッセージを発信しようと思っても、受け取る側はさまざまな解釈を行います。これまで分断されていたマイノリティの意見も、SNSなどでつながることで、大きな力を持てるようになりました。その事実を踏まえ、今まで主流だと思われていた表現も、実は主流ではなかったのかもしれない、ということに思いをはせるきっかけとして、ある意味、炎上は良いことだと私は思っています」

 前出のB氏は「広告の現場では、よりわかりやすく、何も考えていないような人に訴求したい、という話は頻繁に出てくる」とも話した。しかし、現実は多義的で複雑だ。そう考えると、これらの炎上事例は、マーケティングのメソッドにのっとり、わかりやすさを追求した結果、生じてしまった軋轢といえるのではないだろうか。

(文/須賀原みち)

■男のエロ妄想に、斜に構えたカリカチュアライズ……どこがマズかった!? 女性を描いた広告炎上事件簿

――広告における女性の描き方をめぐって、近年では炎上が珍しくない。偏った女性像を描いて大手企業が“やらかして”しまった事例をおさらいしていこう。

【1】「ウルトラアタックNeo 広がっています篇」
花王

本文中で「女性の意見を取り入れるチェック体制がある」と言われていた花王だが、14年公開のCM「ウルトラアタックNeo 広がっています篇」では、「育休明けママ 会社員」「幼稚園ママ 主婦」「部活応援ママ 女優」と、“洗濯=ママ”と結びつけて描かれており、大炎上ではないものの、一部から違和感を表明する声が上がっていた。一方で、同社が13年に公開した「ウルトラアタックNeo 週末篇」では、男性タレント・土田晃之が洗濯をする場面も。(公開:2014年7月)

【2】「LUMINE Special Movie」第一話
ルミネ

「働く女性たちを応援するスペシャルムービー」と打ち出されたCMの第一話では、女性が仕事仲間とおぼしき男性から「(かわいい女の子とお前は)需要が違う」と言われ、「変わりたい? 変わらなきゃ」というテロップが大映しに。これに対し、女性が男性に迎合することを押し付けているとして、ネット上では「女性蔑視だ」「セクハラを受け入れるのか」と非難轟々。ちなみに第二話では、第一話と同じ女性が「美人」と言われ、自虐する光景が描かれている。(公開:2015年3月)

【3】「インテグレート」
資生堂

小松菜奈演じる、25歳を迎えた女性に対する「今日からあんたは女の子じゃない」というセリフが注目を集めた案件。第一弾では、男性上司の「がんばってるのが顔に出ているうちは、プロじゃない」という一言の後、“「がんばってる」を顔に出さない #いい女なろう♥”というテロップが挿入される。第二弾では、冒頭のセリフと共に、女子会で「かわいいをアップデートできる女になるか、このままステイか」という、“女性のリアル”とされるトークが飛び交う内容に。(公開:2016年10月)

【4】「ムーニーから、はじめて子育てするママヘ贈る歌。 「moms don’t cry」(song by 植村花菜)」
ユニ・チャーム

母親になった女性が初めての子育てに戸惑いながらも、最後は笑顔で前を向き、「その時間が、いつか宝物になる」というテロップで締めくくられるCM。父親の姿はほんの数秒しか映らず「ワンオペ育児を賛美している」との批判が殺到する一方で、ある意味現実を描いているとして、賛否両論の意見が出る事態となった。また、同社は2017年4月に「C CHANNEL」で発表した「ソフィ ソフトタンポン」の動画CMでも炎上。(公開:2016年12月)

【5】「絶頂うまい出張」シリーズ
サントリー

男性の欲望が過剰に盛り込まれたことで炎上したケース。「出張先で若い現地の女性と2人で食事をする」という設定で、男性の一人称視点で撮影された動画では、小籠包や春巻き、串カツなどを頬張った女性が「肉汁いっぱい出ました」「めっちゃふにゃふにゃ」などと発言。商品となる「頂」を飲むと、大きく「コックゥ~ん」の文字が。エロギャグを意識したのかもしれないが、これには男女問わず「下品」という声が殺到。(公開:2017年7月)

【6】「#午後ティー女子」
キリンビバレッジ

ツイッターでの企画として、同社公式アカウントがイラストレーターのつぼゆり氏による「午後ティー女子」というイラストを掲載。しかし、そこで描かれていたのは「モデル気取り自尊心高め女子」「ロリもどき自己愛沼女子」「仕切りたがり空回り女子」など、消費者を揶揄するような表現が目立つものだった。これに対し「なぜ自社の購買層に喧嘩を売るのか?」という非難の大合唱が起こった。(公開:2018年4月)

『有吉ゼミ』に伊野尾慧&戸塚祥太が登場! 7月23日(月)ジャニーズアイドル出演情報

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――翌日にジャニーズアイドルが出演予定の番組情報をお届けします。見逃さないように、録画予約をお忘れなく!

※一部を除き、首都圏の放送情報を元に構成しています。
※番組編成、及び放送日時は変更になることがあります。最新情報は番組公式サイト等をご確認ください。

●TOKIO

8:00~ 9:55 『白熱ライブビビット』(TBS系) 国分太一
11:25~11:30 『国分太一のおさんぽジャパン』(フジテレビ系) 国分太一

●嵐

23:00~23:59 『NEWS ZERO』(日本テレビ系) 櫻井翔

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恋愛だと思った? 生活保護受給者の女性にわいせつ

 大阪府大阪狭山市が、担当していた生活保護受給者の女性にわいせつ行為を働いたなどとして、6月30日付で同市総務部の主幹である40代男性職員を懲戒免職処分(信用失墜行為の禁止など)としていたことが判明した。職員は今年3月、当時所属していた同市健康福祉部生活援護グループのケースワーカーとして担当した生活保護受給者の女性宅にて、女性の身体を触るなどのわいせつ行為に及び、さらに総務部に異動した今年4月にも、勤務時間外に同じ女性に対して複数回わいせつ行為などに及んだという。今年5月に女性の知人が市に連絡して発覚した。

 市からの聞き取り調査で、元職員が「過去に相談を何度か受けたため自分は頼られており、同意の上と思った」と語っているのに対して、被害女性は「立場が上のケースワーカーに嫌われたくなかった」と語っているという。

 同様のケースは今年4月にも別の自治体で起こっていた。大阪府柏原市は、4月4日、生活保護受給者の女性の身体を触ったなどとして、同市健康福祉部の30代男性職員を懲戒免職処分(信用失墜行為の禁止など)としたことを発表している。男性職員は、昨年夏頃から今年3月にかけて勤務時間中、自身の所管する生活保護受給者の女性に複数回に渡って身体を触るなどの行為に及んでいたといい、市の聞き取り調査ではやはり「好意を持ってもらっていると思っていた」と釈明していたそうだ。

 これらの事件は、男性側の誤解によって生じている。立場上の上下関係が生じており、女性側が「NO」と言えなかったであろうことは想像に難くないが、意図的なのかそれとも無意識か、男性はそのことに鈍感すぎた。わいせつ事件において、加害者が被害者について「合意している」「相手も自分に好意を持ってる」と誤った認識を持った末、加害行為に及んでいるケースはしばしば発覚する。加害者本人からしてみたら悪気がないどころか、「相思相愛なのだから当然」と考えているようにさえ見受けられるが、被害者にとっては一方的な加害行為でしかなく、心身に受ける傷の大きさははかり知れない。

 あまつさえ、こうした事件に対して、女性側を責める声まで勃発するのだからやりきれない。「色目を使った」「好意を匂わせて、優遇されようとした」「女はずるい」といった中傷が無数にわくのである。そして実際に“それが事実”と思い込んでいる人も少なくないのかもしれない。

 ハリウッドの映画プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタイン氏からセクシャルハラスメント被害に遭ったという女優たちの告発は「#metoo」運動となり広く世界中に拡散した。日本国内でも、セクハラやパワハラ、性行為の強要などの被害を告発する機運は高まった。しかし一方で、「何でもかんでもセクハラと言われたら、男女のコミュニケーションはどうなるのか」と危惧する声も決して小さくはない。

 フランスでは、<強姦は犯罪である。しかし、しつこい誘いや不器用な口説きは犯罪ではない。>と始まる書簡を、女優のカトリーヌ・ドヌーブをはじめとした芸術家やジャーナリストなど約100人の女性が発表した。職業上の上下関係がある中で、権力を行使して性暴力を働くことはもちろん正されるべきだが、あらゆる男女関係にそれを当てはめてしまうことは危険だというわけである。それももっともだが、しかし現状ではこの書簡は、「NOと言う自由」を持たない人に対しても「NOと言えば良かったじゃないか」と追及する材料になってしまう危険性をはらむ。

 性的な誘いや口説きに「NO」と表明しても不利益を被ることがなければ、被害に遭う前に「NO」と言えるはずだ。すべての人が「NOと言う自由」を持てることが理想だが、残念なことに今の社会はそうなってはいない。「#metoo」運動は「NOと言う自由」を獲得するための運動でもあるだろう。

大失敗でも、もう止められない2020年東京五輪……怒りのあまり、売れているのは「批判本」

 2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックは、どう転んでも大混乱は必至。もう、誰もが失敗を予測しながらも止めることのできない状況になっているようだ。

 前回、1964年の東京開催では、道路網やインフラの整備など、その後の経済成長に向けた基盤が作られた。でも、今度はむしろ経済を阻害する可能性すら出てきている。

 7月7日に開催された公開講座「東京2020大会に向けた輸送戦略」では、また新たな問題が浮かび上がった。この講座に登壇した、東京都オリンピック・パラリンピック準備局大会施設部の松本祐一輸送課長は通勤ラッシュ軽減のため、時差出勤や「ボランティア休暇」を求め、さらにネット通販についても大会中は購入を控えるよう「協力」を求めたのである。

 オリンピックというお祭りで盛り上がるのかと思いきや、まさかの「動くな」「経済活動をするな」という方針。もう、2020年が日本経済の起爆剤になるとは思えない。

 そんな状況下で、いま次第に書店で目につくようになっているのは2020年東京オリンピック・パラリンピックに絡む「批判本」だ。

 先日発売になった、本間龍氏の『ブラックボランティア』(角川新書)は、いま、もっとも問題になっているボランティアの動員の問題を告発する本。『電通巨大利権~東京五輪で搾取される国民』(サイゾー)のような、タブーに斬り込む著述を行っている人物だけに、ボランティアを用いた利権の構造を、シンプルに説明しきっている。

 2020年東京オリンピック・パラリンピックを軸にした「オリンピック批判本」は数年前から、ちらほらと出版されるようになっている。小川勝氏の『東京オリンピック 「問題」の核心は何か』(集英社新書)のように東京開催をテーマにしたものだけではない。ジュールズ・ボイコフ著『オリンピック秘史: 120年の覇権と利権』は、サッカーでオリンピック出場経験もある政治学者が描いた、近代オリンピックの闇の歴史である。

 2020年に向けての、個々の余りある腹立ちは、こうした批判本に手を伸ばす機会を与えているようだ。

「爆発的に売れているというわけではありません。でも、確実に毎日数冊は批判本が売れているという感じです。とりわけ新書は、カタルシスを得やすいのか、人気があるように見えます」(ある書店員)

 運営はグダグタ、酷暑で人死にも出るのではないかと危惧される2020年東京オリンピック・パラリンピック。今さら止められない状況で、せめて本を読んで怒りを誰かと共有したいという人は多いのか。
(文=特別取材班)

ジャニーズJr.を背負うTravis Japanの勇姿、ブサ顔で魅了するSnow Man・岩本!【Jr.チャンネル週報】

 ジャニーズ事務所が動画配信サイト・YouTubeに開設した「ジャニーズJr.チャンネル」。現在、Snow Man(水曜)Travis Japan(木曜)SixTONES(金曜)東京B少年(土曜)HiHi Jets(日曜)がオリジナル動画を投稿中だが、その出来ばえは実にさまざま。そこで、「しょせんジャニオタ向け」と切り捨てるにはもったいない動画と、「ジャニオタでもしんどい」動画をジャニーズウォッチャー・中村チズ子が解説&ツッコミ! 今回は、7月12日~7月18日公開の動画をチェックします!

 Travis Japan、ジャニーズJr.を背負う姿は必見

 12日配信の動画は「Travis Japan【ウラ側大公開】YouTubeイベント「YouTube Brandcast」舞台裏見せます!」。5日に開催され、Travis JapanとSnow Manが出演したYouTubeのイベント「YouTube Brandcast」の舞台裏を公開している。「Jr.チャンネル」では、10~11日にかけてouTube Brandcast 関連の動画も2本アップしており、こちらの視聴もオススメだ。

 Travis Japanの動画では、Snow Manバージョンと同様、本番1カ月前の合同リハーサルの模様や、当日の現場入り、リハーサルなどが公開され、裏でも“プロ”の彼らが垣間見える。本番当日、楽屋のメンバーの様子をチェックする吉澤閑也が川島如恵留と松田元太に近寄ると、「私たち、国家試験の勉強中です」(川島)と、驚きの情報が飛び出した。ファンの間では自動車の運転免許ではないかと予想の声が出ているが、果たして……。本番の映像を挟んだ後は、メンバーがコンサートの感想をコメント。舞台上でバッチリ歌って踊った七五三掛龍也が「今日は全力を出しすぎて、めっちゃ今おなか空いてるっていう。ヤバイ、腹ペコもう」と話す場面は、どことなく『情熱大陸』(TBS系)で使われそうなシーンだ。

 そして、今回はジャニーズファン以外のお客さんの前でのパフォーマンスとあって、中村海人は「(僕たちを)初めて見た人だから、“どれだけジャニーズができるのか”っていう。あと、伸びしろを感じさせられるかっていうのが。良いふうに思ってくれたらスゴいうれしいなって感じますね」と、真面目に語る。最後の宮近海斗も「ジャニーズJr.がこんなにできるんだぞっていう。知らない方からすれば驚きだと思うので」「何事も大事に一歩一歩進んでいこうって思いました。ありがとうございました」と、 ヘトヘトになりながらインタビューに答えていた。一般客にもジャニーズの魅力をアピールしたいという、彼らの決意が伝わる1本で、見ているこちらも胸が熱くなった。再生回数は20日時点で9万台。

 SixTONES・高地、“バラエティ慣れ”か?

 13日にアップされたのは「SixTONES【超大盛りグルメ】in 沖縄定食屋さん」で、再生回数は20日までに17万台と高数字を稼いでいる。6月29日公開の第1弾と前週(7月6日)に続いて、「Myojo」(集英社)の撮影で沖縄に向かったSixTONES。第3弾はタイトル通り、超大盛りグルメのバトルを展開するとのこと。田中樹が「今回はですね、山盛りグルメです」と告げた瞬間、高地優吾は「言っちゃえばあれでしょ、“フートファイター”とかがやるような」と話し始め、5人から一斉に「フード」だと総ツッコミを食らった。まずは3対3に分かれる目的でじゃんけんを行い、田中、森本慎太郎、松村北斗チームと高地、ジェシー、京本大我チームに決定。すると、森本は「大食いって時間決まってる? 北斗食べるの超遅い」と言い出し、田中も「あ~、そうだ。こいつめっちゃ咀嚼するの」と、松村情報を補足した。

 過去の「Jr.チャンネル」を見た人なら、そんな松村の今回のファッションに見覚えある人もいるのではないだろうか。白い半袖Tシャツの下に長袖のインナー、ミントグリーンのジャージまで、組み合わせがジェシーの血液検査(6月1日)と「石巡りツアー」(6月8日・15日)の回と全く一緒なのだ。相当お気に入りか、ファンから「ほくちゃん、ファンの前で着る洋服はパターン化してるんだろうな」との声もあるように、意図があって同じセットにしているのか、筆者は気になって仕方がない。

 対決の舞台は沖縄で有名な超大盛り定食屋「お食事処 波布(はぶ)」。1人1品の完食を目指し、メニュー選びではジェシーが「僕、勝ちたいんでカツ丼で」と即決すると、京本が「俺カレーいくわ」と続く。高地は「せっかく沖縄にいるし、ゴーヤー(チャンプル)食べよう、俺」と沖縄らしい料理を注文した。田中いわく、前日にずっと「沖縄そば食べたい」と話していた松村は、肉そばに決め、焼きそば(田中)、野菜炒め(森本)を、それぞれオーダー。「余裕があれば協力ありでもOK」としていたが、出来上がった料理は通常サイズにもかかわらず、予想以上のデカ盛り。高地はゴーヤーだらけのチャンプルを見て、思わず店員さんに「これ、ゴーヤー何本使ってるんですか?」と聞き、「結構入ってるね、何本だろう……4~5本ぐらい」と、情報を引き出した。

 バラエティ『スクール革命!』(日本テレビ系)にレギュラー出演中とあって、コメント欄では「さすが高地くん、『ゴーヤー何本』ってレポートできて、バラエティースキル高い」「高地くん、沖縄だからゴーヤチャンプルー頼むあたりバラエティ慣れを感じる。ゴーヤーの本数を聞くあたりもさすが」と、絶賛されていた。いよいよ大食い対決がスタートすると、「慎太郎、俺がもしこれ全部食ったらスゴい?」(京本)「スゴいよ、だってきょも超細いじゃん」(森本)「大我は結構、食う時スゴいよね」(高地)「イケる気がしてきた」(京本)と、別のチームながら森本にわざわざスゴいかどうか確認する京本。宣言通り、京本はなかなかいいペースで食べ進め、残りは高地とジェシーも協力してカレーを完食した。一方、松村の肉そばは最後に田中&森本が手助けし、両チーム1品ずつ完食のためドローで終了。個人的には、寝起きドッキリ(7月6日配信)の直後で、眠気に襲われながら頑張って食べるメンバーになぜか母性本能をくすぐられてしまった。

 東京B少年、「那須の耳に大豆」!?

 14日の動画は「東京B少年【マジックショー】簡単に出来る100均マジック」(再生回数は公開から6日で8万台)。岩崎大昇、浮所飛貴、那須雄登、藤井直樹の4人が100円ショップで販売中のマジックを試すもので、各々が「選ぶカードを予言」(岩崎)「増えるお金」(藤井)「手の中を透視」(那須)「ボールが一瞬で移動」(浮所)をセレクトした。マジックの練習時間を終えた後、岩崎はプロも顔負けなほど順調にこなしたが、藤井は怪しい手さばきに疑いの目が向けられ、那須に至っては途中で仕掛けが岩崎にバレてしまい、完遂ならず。どうやら、メンバーが手の中に隠した玉を磁石の力で引き当てる仕掛けだったようだが、岩崎に「那須の耳に大豆みたいなの入ってる」と、気づかれてしまったのだった。ラストの浮所はマジック中に笑い出してヘラヘラしていたものの、見事な早技で3人の目を欺いた。

 HiHi Jets、斬新だがもったいない浴衣&ローラースケート

 15日に配信されたのは「HiHi Jets【盆踊り】ローラースケートでアレンジダンス!」で、HiHi Jetsの5人が浴衣姿で登場している。今回は、盆踊りとローラースケートをミックスして「HiHi Jets流に2018年の夏を盛り上げたい」との趣旨で、「炭坑節」に合わせて振り付けを考案。振り付けのコンセプトを話し合った結果、「花火」「射的」「金魚すくい」「焼きそば」を意識したダンスを作り、「HiHi Jets流 盆ダンス」を披露した。

 その内容は、焼きそば屋役の猪狩蒼弥が射的で打たれるというサスペンス要素があるほか、テンションだけで乗り切った金魚すくい&花火と、なかなかカオスな展開に。浴衣にローラースケートはビジュアル的に物珍しいが、これではせっかくのスケートが、さほど生きていなかったような……。筆者は正直言って、別にローラーに乗った必要はなかったのでは? と、ツッコミを入れたくなってしまった。再生回数は20日までに8万台。

 Snow Man、岩本のブサ顔が素晴らしい

 18日の動画は「Snow Man【ナガシマスパーランド】目指せ!絶叫マシン完全制覇」(再生回数は20日時点で9万台)。三重県・桑名市にあるテーマパーク「ナガシマスパーランド」にやって来た6人は、全11種類ものコースターの制覇を目指すとのこと。しかしここで、1人だけ暗い表情の阿部亮平はジェットコースターが大の苦手だといい、言葉を発することができないほど、顔をひきつらせていた。最初に乗る「スチールドラゴン2000」はギネスにも認定されており、コースの全長は世界一の2479メートルだとか。すでに顔色の悪い阿部がじゃんけんで勝ってしまい、搭乗決定するも、本人は堪らず逃亡。もう1人は宮舘涼太に決まり、2人は残酷にも恐怖度星5つのジェットコースターに乗った。

 もはや、じゃんけんでチョキを出した自分にすら後悔する阿部は、最初こそメンバーに手を振る余裕も。これに対し、岩本照が元気いっぱいに両手で振り返すシーンは胸キュンポイントだ。そして、ジェットコースターが急降下すると、「ムリ」を連発した後に「3.141592……」と、いきなり円周率を唱え始める阿部。さすが、上智大学大学院理工学研究科を卒業しただけあるが、以降は冷静さを保てずに絶叫を連発した。

 続いての「アクロバット」(爽快感星5つ)は、うつぶせのまま滑走するフライングコースター。こちらは、岩本&深澤辰哉の出番となり、乗る前に「余裕だよな、俺らは」(岩本)と強気にコメントしていたものの……。いざ始まると、岩本は「怖い!」「ヤバイ!」と騒ぎ出し、途中で“無”の境地に突入した。目を細めたせいで、お笑いトリオ・ロバートの馬場裕之により近づいただけでもおもしろポイントだったが、ネックレスが鼻に引っかかる場面(5分48秒頃)も、笑わずにはいられない。終始楽しそうな深澤とは対照的に、降りた後もグロッキー状態の岩本は「ナメてた」と、一言。

 垂直降下にバック走行と、てんこ盛りの「ウルトラツイスター」(スリル星5つ)は連投の岩本と佐久間大介がチャレンジ。ここでも岩本は「ヤバイ!」「首痛い!」と動揺し、呑気な佐久間は「このままジャニーズのテッペン登ってくぜ!」と、キザに言い放った。岩本は安心感を得るためか、佐久間の手に触れたが、それも意味なく、搭乗中は「ギャーギャー」と取り乱す始末。ある意味、普段は見ることのできない貴重な姿で、岩本には申し訳ないが筆者は大爆笑しながらこの模様を見ていた。次の「シャトルループ」(スピード星5つ)に乗った佐久間&深澤も顔面の破壊力は凄まじく(特に深澤)、時間の関係でラスト1つしか乗れないと判明したため、最後はメンバーが唯一乗れなかった渡辺翔太に「ピーターラビットコースター」の搭乗をプレゼント。明らかに小さい子どもが楽しむ乗り物に、ポツンと座る渡辺の画はシュールだった。
(中村チズ子)

加藤シゲアキの“余裕”っぷりに違和感……『ゼロ 一獲千金ゲーム』はNEWSファンじゃないとしんどい!?

 

 ライターとしてこんな芸のないことは言いたくないのだが、正直、かなりしんどい初回だった。7月15日よりスタートした『ゼロ 一獲千金ゲーム』(日本テレビ系)。

 一つ言いたいのは、未読の方はそのまま原作に触れないほうがいいということ。

 本作は、賞金1000億円を懸け、知力・体力・時の運を試される特別なゲームに若者たちが挑む物語。とはいっても、運的要素はほとんど絡んでこない。それぞれのゲームには、明確な勝ち抜け方が必ずある。そして、主人公・宇海零は、イチかバチかの勝負は絶対にやらない。

 福本伸行原作の『賭博覇王伝 零』と実写版の今作に、ゲーム内容の差異は今のところほとんどない。漫画の実写化にはプラスアルファの肉付けが必要なはずだが、第1話にその要素はあまり見当たらなかった。

 それでいてドラマ版の最大の楽しみ方は、“謎解き”にありそう。ならば、原作を読んだ者にとってドラマ版は不毛ということになる。だって、謎を知ってしまっているから。だから、原作に触れないほうがいいと言っている。原作を読んだ上でドラマと付き合うには、「この先、ドラマならではのプラスアルファが出てくるのでは?」と淡い期待を持ち続けるしか道はない。それでしか、モチベーションを保てないのだ。

■ゲームの謎を解き明かす視聴者が続出

 正体を名乗らず人を救う義賊集団「ゼロ」の出現が、世間では話題になっていた。振り込め詐欺被害に遭った金を犯行グループから奪い、インターネット番組を通じ被害者へ返還する“現代の鼠小僧”のような集団である。

この義賊の首謀者は宇海零、通称“ゼロ”(加藤シゲアキ)。その他のメンバーには真鍋チカラ(加藤諒)、佐島ヒロシ(岡山天音)、早乙女スナオ(杉野遥亮)がいる。

 この3人が、どうにもダメなのだ。いきなり、犯行グループであるヤクザの末崎さくら(ケンドーコバヤシ)に拉致られてしまっている。無能なだけじゃない。特に、チカラは薄情だ。自分だけ助かりたくて「ゼロに利用されただけなんです!」とアピールする始末。

 ちなみに、ゼロの職業は学習塾講師。「神授業をする」と話題になるほど優秀だが、勉強が理解できない生徒がいると授業の進行をストップさせるのが玉にキズ。わかるまで付きっきりで解説するのが常である。

 この、面倒見がよく放っておけない性分が、チカラらとの関係にも影響する。窮地に陥る3人の居場所を突き止め、ゼロはわざわざ助けに行ったのだ。

 そこへ、資産100兆を超える実業家・在全無量(梅沢富美男)と幹部の後藤峰子(小池栄子)が現れた。そして、在全グループの後継者を決める選抜ゲームに参加しろとゼロたちに告げる。一同は、人生の一発逆転を狙う若者が集うゲーム会場「ドリームキングダム」を訪れた。

 彼らを待ち受けていたのは、振られたサイコロの目を当てるゲーム。参加者は予想する目のサークル内で待機し、もし間違えれば誤答のサークル上へ巨大な鉄球が落下する、その名も「鉄球サークル」である。

 答えを外したら、即死は免れそうにない。しかし、峰子は「ゲーム終了時にサークル内にいて、そして生きていられた者は、目を当てられなくてもクリア」とおかしなことを言う。

 漫画原作があるドラマのつらいところだ。Twitterでは「サークルの端に座れば鉄球に当たらないだろ?」とリアルタイムで予測する視聴者が続出した。この読み、正解なのだ。中にはガチで予想した視聴者もいるだろうが、原作を読んでいた視聴者も少なくなかったはず。だから、ドラマならではの設定の肉付けが急務だと言っている。

■『LIAR GAME』に似ていながら、決定的に不足しているもの

 もちろん、原作とドラマに差異がないわけではない。例えば、ゼロの年齢と職業が原作とは違う。それに、原作版の「鉄球サークル」で死者は出なかったのに、ドラマ版では出ている。映像化に際してより悲惨に仕上げるなんて、なかなか珍しいケースではないか。あと、在全の側近が原作版では男性だったのに、ドラマ版では女性の峰子になっている。

 ゲームの進行を取り仕切るのが女性。ここ、おそらく多くの視聴者は既視感を覚えたはずだ。峰子の役割が、『LIAR GAME』(フジテレビ系)のエリー(吉瀬美智子)とほぼ一緒に見える。事実、SNS上では「ライアーゲームみたい」というツイートが散見された。実写化に際し、わざと意識したか?

 しかし、比較対象としてはなかなか手ごわい作品である。『LIAR GAME』はゴールデンへ進出し、映画版まで制作された名作。残念ながら、『ゼロ 一獲千金ゲーム』はその域まで達していない。

 何が足りないか。本作は、とにかく見ていてハラハラドキドキしないのが歯がゆい。漫画を読んでいる時は、確かにドキドキしたのに!

 ドラマ版のゼロは、なぜか妙に余裕が見える。原作版の彼は、もっとギリギリだった。悩み、逡巡し、スレスレのところでゲームをクリアしていた。ゲームと対峙する彼の内面の揺れ動きに、感情移入しやすい人間臭さがあった。

 あと、ドラマ版で初登場となる新ゲームもやはり欲しい。どの視聴者にとっても初見となる、未知の障壁。それがあればこそ、ようやくハラハラできる。

 原作版は、頭のおかしいゲームが続出した。「あれを再現できるのか?」という楽しみもないではない。でも、既存のゲームばかりだと正直しんどい。原作版の中には再現困難なゲームもあったので、「いつかオリジナルのゲームも登場するはず」と淡い期待を抱いていたい。

 ちなみに、第2話ではNEWSの増田貴久がゼロの高校時代の同級生・カズヤ役で出演する模様。その情報が告知されるや、熱を帯びるファンの様子がTwitter上では垣間見られた。この反応が象徴的だった。正直、現時点ではNEWSのことを好きでないと見ていてつらいドラマである。福本伸行が好きで視聴したファンもいるはずなのに。

 元の原作は文句なしにいいのだから、ドラマ版にも挽回の目はあると信じたい。

(文=寺西ジャジューカ)

加藤シゲアキの“余裕”っぷりに違和感……『ゼロ 一獲千金ゲーム』はNEWSファンじゃないとしんどい!?

 

 ライターとしてこんな芸のないことは言いたくないのだが、正直、かなりしんどい初回だった。7月15日よりスタートした『ゼロ 一獲千金ゲーム』(日本テレビ系)。

 一つ言いたいのは、未読の方はそのまま原作に触れないほうがいいということ。

 本作は、賞金1000億円を懸け、知力・体力・時の運を試される特別なゲームに若者たちが挑む物語。とはいっても、運的要素はほとんど絡んでこない。それぞれのゲームには、明確な勝ち抜け方が必ずある。そして、主人公・宇海零は、イチかバチかの勝負は絶対にやらない。

 福本伸行原作の『賭博覇王伝 零』と実写版の今作に、ゲーム内容の差異は今のところほとんどない。漫画の実写化にはプラスアルファの肉付けが必要なはずだが、第1話にその要素はあまり見当たらなかった。

 それでいてドラマ版の最大の楽しみ方は、“謎解き”にありそう。ならば、原作を読んだ者にとってドラマ版は不毛ということになる。だって、謎を知ってしまっているから。だから、原作に触れないほうがいいと言っている。原作を読んだ上でドラマと付き合うには、「この先、ドラマならではのプラスアルファが出てくるのでは?」と淡い期待を持ち続けるしか道はない。それでしか、モチベーションを保てないのだ。

■ゲームの謎を解き明かす視聴者が続出

 正体を名乗らず人を救う義賊集団「ゼロ」の出現が、世間では話題になっていた。振り込め詐欺被害に遭った金を犯行グループから奪い、インターネット番組を通じ被害者へ返還する“現代の鼠小僧”のような集団である。

この義賊の首謀者は宇海零、通称“ゼロ”(加藤シゲアキ)。その他のメンバーには真鍋チカラ(加藤諒)、佐島ヒロシ(岡山天音)、早乙女スナオ(杉野遥亮)がいる。

 この3人が、どうにもダメなのだ。いきなり、犯行グループであるヤクザの末崎さくら(ケンドーコバヤシ)に拉致られてしまっている。無能なだけじゃない。特に、チカラは薄情だ。自分だけ助かりたくて「ゼロに利用されただけなんです!」とアピールする始末。

 ちなみに、ゼロの職業は学習塾講師。「神授業をする」と話題になるほど優秀だが、勉強が理解できない生徒がいると授業の進行をストップさせるのが玉にキズ。わかるまで付きっきりで解説するのが常である。

 この、面倒見がよく放っておけない性分が、チカラらとの関係にも影響する。窮地に陥る3人の居場所を突き止め、ゼロはわざわざ助けに行ったのだ。

 そこへ、資産100兆を超える実業家・在全無量(梅沢富美男)と幹部の後藤峰子(小池栄子)が現れた。そして、在全グループの後継者を決める選抜ゲームに参加しろとゼロたちに告げる。一同は、人生の一発逆転を狙う若者が集うゲーム会場「ドリームキングダム」を訪れた。

 彼らを待ち受けていたのは、振られたサイコロの目を当てるゲーム。参加者は予想する目のサークル内で待機し、もし間違えれば誤答のサークル上へ巨大な鉄球が落下する、その名も「鉄球サークル」である。

 答えを外したら、即死は免れそうにない。しかし、峰子は「ゲーム終了時にサークル内にいて、そして生きていられた者は、目を当てられなくてもクリア」とおかしなことを言う。

 漫画原作があるドラマのつらいところだ。Twitterでは「サークルの端に座れば鉄球に当たらないだろ?」とリアルタイムで予測する視聴者が続出した。この読み、正解なのだ。中にはガチで予想した視聴者もいるだろうが、原作を読んでいた視聴者も少なくなかったはず。だから、ドラマならではの設定の肉付けが急務だと言っている。

■『LIAR GAME』に似ていながら、決定的に不足しているもの

 もちろん、原作とドラマに差異がないわけではない。例えば、ゼロの年齢と職業が原作とは違う。それに、原作版の「鉄球サークル」で死者は出なかったのに、ドラマ版では出ている。映像化に際してより悲惨に仕上げるなんて、なかなか珍しいケースではないか。あと、在全の側近が原作版では男性だったのに、ドラマ版では女性の峰子になっている。

 ゲームの進行を取り仕切るのが女性。ここ、おそらく多くの視聴者は既視感を覚えたはずだ。峰子の役割が、『LIAR GAME』(フジテレビ系)のエリー(吉瀬美智子)とほぼ一緒に見える。事実、SNS上では「ライアーゲームみたい」というツイートが散見された。実写化に際し、わざと意識したか?

 しかし、比較対象としてはなかなか手ごわい作品である。『LIAR GAME』はゴールデンへ進出し、映画版まで制作された名作。残念ながら、『ゼロ 一獲千金ゲーム』はその域まで達していない。

 何が足りないか。本作は、とにかく見ていてハラハラドキドキしないのが歯がゆい。漫画を読んでいる時は、確かにドキドキしたのに!

 ドラマ版のゼロは、なぜか妙に余裕が見える。原作版の彼は、もっとギリギリだった。悩み、逡巡し、スレスレのところでゲームをクリアしていた。ゲームと対峙する彼の内面の揺れ動きに、感情移入しやすい人間臭さがあった。

 あと、ドラマ版で初登場となる新ゲームもやはり欲しい。どの視聴者にとっても初見となる、未知の障壁。それがあればこそ、ようやくハラハラできる。

 原作版は、頭のおかしいゲームが続出した。「あれを再現できるのか?」という楽しみもないではない。でも、既存のゲームばかりだと正直しんどい。原作版の中には再現困難なゲームもあったので、「いつかオリジナルのゲームも登場するはず」と淡い期待を抱いていたい。

 ちなみに、第2話ではNEWSの増田貴久がゼロの高校時代の同級生・カズヤ役で出演する模様。その情報が告知されるや、熱を帯びるファンの様子がTwitter上では垣間見られた。この反応が象徴的だった。正直、現時点ではNEWSのことを好きでないと見ていてつらいドラマである。福本伸行が好きで視聴したファンもいるはずなのに。

 元の原作は文句なしにいいのだから、ドラマ版にも挽回の目はあると信じたい。

(文=寺西ジャジューカ)