「テレビで見ない日はない」と言われるマツコ・デラックス。毒舌キャラのオネエとしてブレークしたマツコは、今やご意見番として定着し、民放からNHKまでさまざまな番組やCMにも出演。順風満帆のように見えるが、多忙のあまり、昨年体調不良で入院。また最近は、行きすぎともいえる発言が物議を醸したり、「業界ズレしてきた」という指摘も聞こえてきている。さらに、NHKを退職した有働由美子アナを自分の事務所に引っ張ってきたなど、その言動が何かと話題になる一方で、テレビ番組では、たびたび孤独や将来への不安を口にしたり、弱気な発言も聞かれる。
そんなマツコの筆跡を、筆跡鑑定人で筆跡心理学に基づいた書籍『自分のイヤなところは直る! 〜名前を書くだけ〜』(東邦出版)の著者・牧野秀美氏に、読み解いてもらった。
■物事の本質を見抜くマツコ節の懐刀「刃物運型」
――非常に特徴的な筆跡ですね。丸みと幅があって、マツコさんらしい文字という印象です。
牧野秀美氏(以下、牧野) かなり独特な書き癖の持ち主です。丸みのある続け字ですので、好奇心が旺盛で情緒性豊か。この文字は、マツコさんにしっくりきます。「日本体育大」「東京農業大学」の文字は2015年のもので、これは、牧野が再現したものですが、実際はもっとスムーズで滑らかに書かれています。
――再現文字は、少したどたどしく見えます。やはり人の筆跡はまねしにくいものですか?
牧野 同じ文字でも腕の動かし方が違うので、スピード感がなく、ぎこちなくなります。
――マツコさんのブレークと文字の形は関係ありますか?
牧野 非常に関係あると思います。マツコさんの文字で一番特徴的なのは、刃物運型と呼ばれるものです(1)。図の下部に「一般的な刃物運型」として示していますが、わかりやすく言えば「木へん」の4画目が2画目を「切る」ように交差して書かれるものです。この特徴を持つ人は、刃物を扱う職業に就いている人に多いことから、そう呼ばれています。ネーミングから連想されるように「本質を見抜く鋭さを持ち、何事も白黒はっきりさせたい」気質の表れです。マツコさんの文字にはこの刃物運型が非常に多く、図に表れているだけで、9カ所もあります(丸囲み)。
「物事の本質を鋭く見抜き、歯に衣着せずはっきり言う」、この「刃物運型」の持つ気質がブレークに関わったことは間違いないと思います。また、マツコさんの刃物運型は少し特殊ですので、ほかの要素も混ざり合っています。長い左払いと自分流に変形させた右払いへのつなげ方が組み合わさることによって、単純に物事を白黒ばっさりと切り捨てるのではなく、独自の視点で、エンタメ性を意識した演出を心掛けているように見えます。知識も豊富なので、本質を深くえぐることができるのでしょう。突出が少なめですので、上から目線ではない協調型です(4)。そのような性格がブレークに大きく関わっているのでしょう。
――(3)の自分流に変形する「異能者型」の文字は、香取慎吾さん にもありました。“特殊な才能”といっても、それぞれの気質や持ち味によって分野が変わってきますね。
牧野 マツコさんの場合は、ハネが弱く飽きっぽい面もあるようなので、じっくり時間をかけた創作活動は苦手かもしれません。それよりも、端的に言葉で伝えるほうが向いていると思います。(5)のように、接筆(四角い文字の角の線が交わる部分)が閉じていますので、考え方は真面目です。しかし、(6)のように角が丸いので行動面は臨機応変、(7)のように右払いが長いので、のめり込みやすく情にもろい、ハネが弱いため、流されやすく自分に甘い、面倒くさがりの一面もありそうです。
――“ハネ弱”は、マツコさんの場合は「飽きっぽさ」と解釈するのですか? 小池百合子さん や、泰葉さん では「責任感のなさ」として表れていました。
牧野 テレビで活躍する以上、発言に責任を持たないわけにはいきません。“ハネ弱”は、責任感のほかにも、機敏で移り変わりの速さに適応できることから、情報を扱うことに長けているとも解釈します。マツコさんは、ぐずぐずしないで白黒つけたい「刃物運型」との兼ね合いから、早く結論を出したいとすぐに答えを求める傾向があります。細部にこだわることはあっても、いつまでもちまちま考えるのは性に合いません。豪快に力業で結論を出していくタイプです。
また、へんとつくりの間の広さが狭めで、角が丸く、大きな文字と小さな文字が混在することから、閉鎖的傾向がある半面、人恋しく、変化の中で安心感を覚える一面もあるようです。一方「体」の字のように、へんとつくりの間の空間が広めの文字もありますが、空間の隙間を左払いの曲線で埋めています。これは、空いた空間に誰も入れずに、自分を守ろうとしているのかもしれません。
――安心感を求め、人の集まるところに行く一方で、「刃物運型」の切れ味で自分を守っているということは、警戒心が強いのでしょうか?
牧野 たくさんの修羅場をくぐってきたのではないでしょうか? 警戒しなくても、自分の身は自分で守れるのだと思います。
――最近、以前と比べてキャラが変化してきたのでは、という声も聞かれます。
牧野 マツコさんは、もともとマスコミ関係にいたわけですし(タレントになる前はゲイ雑誌の編集者)、本質を見抜く方ですので、業界の事情や、自分に求められていることなどはすべて織り込み済みでしょう。考え方が真面目な半面、サービス精神が旺盛なので、自分自身に矛盾を感じやすく、ストレスもたまるタイプだと思われます。根っこの気質部分が変化することは考えにくいので、「変わってきた」のではなく、「慣れ」「体調不良」「ストレス」による「疲れ」「不安」などが関係しているのでは? 普段であれば、自ら表現に気を遣うところに気が回らないときがあったのではないでしょうか?
――有働アナとマツコさんの関係はどうでしょうか?
牧野 有働さんの文字には、「大弧型」と呼ばれる大物性を表す特徴が出ています。おそらく、お互いに、相手の能力の高さを見抜き合ったのではないでしょうか。また、書き始めのひねりが、野心家であることを表しています。程度と方向性は違いますが、ふと、松居一代さん を思い出しました。マツコさんの文字にも「日」の字に見られる突出が、潜在的なリーダー気質を暗示しています。そして、有働さんの文字には、マツコさんにはない「考え方の柔軟性、視野の広さ」があります。能力者同士が補い合う関係を続けられれば、野心家の2人が、ツートップで事務所を発展させていけそうです。相性も合うのでしょうが、ビジネスベースでの戦略的な関係に見えます。
――今後の活動は安泰でしょうか?
牧野 寂しがり屋で華やか好みですので、テレビ業界で活躍することは間違いないと思われます。ただ、留意点は、表面化した健康面でしょう。豪快でコツコツが苦手ということは、マツコさんにとって「節制」は大きなハードルと考えられます。たぶんマツコさんご本人も、一番よくわかっているのではないでしょうか? 健康面を心配するファンも多いと思います。今後も一層元気で活躍してほしいですね。
牧野秀美
筆跡鑑定人。筆跡アドバイザー・マスター。筆跡心理学をもとにした鑑定と診断を行う。著書に『自分のイヤなところは直る 〜名前を書くだけ〜』(東邦出版)
・ほっかいどう筆跡鑑定研究所