5月27日放送『ボクらの時代』(フジテレビ系)で、ダチョウ倶楽部の上島竜兵、肥後克広、そして土田晃之という座組が実現した。
オープニングで土田は「テレビ見た人に『ダチョウ倶楽部ってメンバー入れ替えたのかな?』と思われてそうですよね」と発言。いや、この3人は「ダチョウ倶楽部」というくくりではなく「竜兵会」のメンバーである。
■竜兵会メンバーの売れ方に上島は困惑
竜兵会は伝説の飲み会だ。土田は「ダチョウさんと初めて飲んだのは、日テレさんでやってた『THE夜もヒッパレ』。事務所のみんなで会うから、その後に飲みに行こうってなったんですよね」と、会の起源を振り返っている。
実はこの辺、諸説ある。もともと、太田プロは先輩と後輩の交流が薄い事務所で、『THE夜もヒッパレ』での流れのように、たまに会えば飲みに行く程度の結束だった。
そして、2001年10月より半年間続いたラジオ番組『セイ!ヤング21』(文化放送)の木曜パーソナリティを、ダチョウ倶楽部が担当することに。番組には当時まだ売れていなかった太田プロの若手勢も出演しており、収録後、上島が後輩たちを飲みに誘うようになったのを会の始まりとするのが定説だ。
土田だけでなく、有吉弘行、劇団ひとりと、そうそうたるメンバーが名を連ねていた竜兵会。当時はみんな、仕事がなかった。特に有吉は暇で、15日連続肥後と2人飲みすることさえあったという。まれに有吉に仕事が入り、飲みに行けない事態になると「なんでだよ!? その仕事のギャラ以上を出すから飲んでくれよ!」と肥後がワガママを漏らしていたほど。当時の肥後は、有吉を養子にしようと考えるほどかわいがっていた。
もちろん、有吉も竜兵会には居心地のよさを感じていた。「本人」vol.11(太田出版)のインタビューで、有吉は上島について「コンプレックスの塊です。だから全然違うんですけど、(自分の)理解者といえば理解者なので、居心地がいいのかもしれないですね」と発言、胸の内を吐露している。
その後、有吉も劇団ひとりも売れに売れた。上島の心境は複雑だ。
「最初はうれしかったよ? でも、こんなに売れるとは思ってないからね。しかも、こんなに腕があるんだ、って。一緒に飲んでた時、腕があるとは思ってたよ。『こいつらは、ある程度は絶対売れる』と。でも、だんだん途中から『こんなに売れるの……?』って(笑)」(上島)
「有吉について、リーダー(肥後)がいい例えしてた。『子猫だと思って育ててたら、虎になった』って(笑)」(同)
■有吉と土田が告白した上島へのリスペクト
上島が示したのは、父性を発揮しない独特の先輩像だ。「PRESIDENT」(プレジデント社)2014年1月13日号のインタビューで、彼は「後輩への接し方5カ条」を発表している。
(1)弱みを見せろ……先輩風を吹かすと、あとで後輩に抜かれた時に格好がつかない。
(2)できる後輩に近づけ……できる後輩と仲良くしていると何か身に付く、と謙虚な気持ちを持つ。
(3) 後輩の意見に従え……できる後輩の意見には「そうだな」とうなずく。実際、正しいことも多い。
(4) 注意の仕方は丁寧に……正しいことを指摘するときも「こっちのほうがいいと思うけどな~」の一言を。
(5)自分が払っていると思わせろ……後輩の前では全額を気前よく払い、後で同席した同期に請求する。
「俺の場合、先輩、後輩関係なく、笑いの才能のある人を単純にすごいと思うし、憧れるんです。極端な話、小学生でも尊敬できます。そこがいけないのかもしれないけど、『こいつには負けないぞ!』という気持ちにならないんですよね。自分にないものが多すぎるから、それはもう仕方ない」(「PRESIDENT」インタビューにて)
「むしろ、上に立って、あなたとどう接するか戸惑っているのは後輩でしょ? 今やってる仕事が本当に好きなら、目の前のプロジェクトに集中して、どうすれば後輩の力になるか考えればいい」(同)
先輩風を吹かさない上島と肥後だが、後輩らはレジェンド「ダチョウ倶楽部」へのリスペクトを決してなくさない。2009年発売の書籍『竜兵会―僕たちいわばサラリーマンです。出世術のすべてがここに』(双葉社)にて、竜兵会のメンバーそれぞれが上島への思いをつづっていた。
「竜さんと一緒に番組出たりすると、こっちは無責任にどんどんやってスベり倒してもいいんですよ。最後に竜さんに任せちゃえばいいんです。竜さんに任せておけば、どうやってでも形にしてくれるんです。あの人はスベってもOKだし、ウケてもOKな人なんで」(有吉)
「松本(人志)さんってちゃんと頭の中で考えて、ちゃんと笑いを作るけど、上島なんてなんにも考えてない。それなのに笑いが起きるっていうのは、『上島って天才なんじゃねーか』と思う」(土田)
■竜兵会は解散すれど、不変のものがある
本拠地だった東高円寺の居酒屋「野武士」閉店に伴い、竜兵会は2016年に事実上の解散。今では会合が開かれることもなくなった。所属メンバーが軒並み売れっ子となり、時間を取れなくなったことも理由のひとつだろう。
だが、立場は変われど不変のものがあると3人は口にしている。
肥後「みんなで長い間ずっと一緒にいるから、出会った当時の記憶でいるけど(笑)」
土田「何十年も一緒にいるんだけど、そのまんまだから」
上島「この関係性は、もう動かないような気がするな」
肥後「例えば、上島さんが何かの映画にハマちゃって賞を獲ったりしても、この関係性は変わらないね、別に」
土田「変わんない。そしたら新年会を上島さんの家でやって、そのトロフィーをどうやって料理してやろうか? って思うだけですもんね。グツグツ煮込むのか、ボンドでいろんな物くっつけてさらに大きなトロフィーにするとかね(笑)」
上島「そうだな。新年会、よくやったな……」
くしくも、「竜兵会」のスピリットがあらわになったこの日の番組。収録場所がいつものようなカフェやバーではなく、あえて田町の居酒屋が選ばれたところもまたよかった。
(文=寺西ジャジューカ)