「港区女子」。東京都港区あたりに住んでおり、主に西麻布や六本木界隈に生息。インスタグラムには定期的に高級レストランでの食事をアップし、女磨きに精を出す。その美しさや知性で男性を翻弄し、欲深い部分も隠しはせず、野心と生命力に満ち溢れた女性たち……(偏見です)。そんな港区女子が狙うのは高収入で見た目も良い「ハイスペック男性」。そんじょそこらの男には目もくれず、意識高い系のIT社員やベンチャー企業の経営者などと交流を深め、モテまくっている印象があります(偏見です)。とはいえ、そんなハイスペ男子ってどれだけ存在するんでしょうか? そして、港区女子がハイスペ男子たちをゲットする確率はどれほどのものなのでしょうか?
■ハイスペックでも恋愛対象になるかどうかは別の話
「最近は、もう日本で出歩くこともなくなってきたので、そういう情報には疎いんですよね…(微笑)」
に、日本では出歩かない……!? 開口一番、いきなりワールドワイドな話で筆者を驚愕させたのは、白金高輪在住でCAをされているゆりえさん(29歳、仮名)。なんでも最近は、友人と遊んだり、彼氏とデートするのはもっぱら海外。一応、港区に居を構えてはいるものの、界隈の情報は入ってこないんだとか。想像のはるか上をいく、これぞ港区女子です。
「基本的に港区女子はアッパーなライフスタイルを好んでいて、ハイスペックな男性しか認めません。私の周りは医者とか、職業柄もあるけどパイロットをゲットした子が多いかな。会社経営者と結婚して、港区から海外移住した子もいますね」
スタイル抜群の美女・ゆりえさんは、そう語りながら微笑む。眩しい……。徹夜明けで牛丼をかっ込んでいるような女性編集者に囲まれて日々働いている筆者からすれば、ゆりえさんから溢れだす輝きや自信は、眩しすぎて直視できません。
「港区女子の理想はみんな高いですよ。年収1000万円以上の男じゃないと話にならないというか、土俵にも上がってこないっていうか……。医者のなかでも特に開業医とかは人気ですね」
やはり港区女子が、ハイスペ男子と交流があることは紛れもない事実のようです。それにしても、一体、どこに行けばそんな男性に出会えるのでしょうか?
「ほとんど飲み会とか合コンかな? そういうアッパーな男性が集う飲み会に誘われるためには、優秀な幹事のコとつながっておく必要性があります」
前のめりで話を聞く私に若干引き気味なゆりえさん。つまり、ゆりえさんのようなキラキラ女子と1人つながっておけば、芋づる式にその上流階級な飲み会に引き上げてもらえるってこと !? もうソフトバンクの無料クーポンでミスタードーナツの行列に並ばなくてもいい生活ができるかも……。そのためなら、いくらでもキラキラ女子に媚を売る準備はできています。なんなら今この瞬間がアッパー系飲み会の仲間に入れてもらう大チャンスなのでは?
そんな筆者の下心を見透かすように、ゆりえさんは「でも、幹事のコが合コンに呼ぶのは、可愛くて、お酒が飲めて、明るくて、気が使えるコ。女性本人のスペックが高くなかったら、そもそも呼ばれないですよ」と微笑みました。残念なことに、私は1つも当てはまっていません。参加条件を一切満たしていないので、筆者の夢のジャンプアップ計画は数秒で頓挫してしまいました。
改めて冷静に考えてみると、いくらアッパー系の飲み会とはいえ、この世の中に高収入高学歴で、さらに独身のナイスガイが何人もいるなんて、にわかには信じられません。イイ男はすぐ売れるっていうし、ハイスペ男子とかいいながら、ただの愛人を探している妻子持ちゲス野郎だったり、性格に難ありだったりするんじゃないですか?
「うーん、お金持ちの独身でいいなら、世の中にいっぱいいますけどね。この前行った合コンでは、年収はみんな2000万円クラス。もちろん未婚でした。ただ、なぜかみんな背が低かったんですよね……。あと、すごいお金持ってても歯が汚いとか。私、歯並び汚い人だけは許せない(笑)! たとえハイスペックでも、恋愛対象になるかどうかは、また別の話ですよね?」
つまり港区女子はハイスペック男性にしか興味はないが、年収や肩書だけではなくルックスや性格も含めた厳しい審美眼で精査しているようなのです。年収2000万円ならハゲでもチビでもデブでも歯周病でもいいや、と思う筆者とは、求めるハードルが違います。一体、港区女子の(というか、ゆりえさんの)お眼鏡にかなう理想の男性とは、どのような人なのでしょうか
「私は世界基準で動ける人がタイプ。ハイスペックの条件も国によって変わってくるじゃないですか」
条件が国によって変わる? 嫌いな芸能人が同じとか、寝る前に食べても怒らないとか、これまで男性を選ぶ時に、そんなみみっちい選抜基準しか浮かんでこなかった自分が恥ずかしいレベル。
「たとえばアメリカで結婚するのであれば、年収2000〜3000万円は欲しいです。なにかとお金がかかる国なので。でも税金の安いシンガポールだったら年収1000万円でも暮らしていけるかな? 福祉制度が充実していて教育資金や老後にお金がかからないドイツ、北欧でも年収1000万円は欲しいですね」
なるほど。その国の経済状況によって結婚相手の条件を変えるわけですね。では仮に日本で生活するのであれば、どういった男性がゆりえさんの条件をクリアできるのでしょうか?
「そうですね……。日本もそろそろTシャツ・ジーンズでは歩けない国になってきてるから、やっぱり年収3000万円は欲しいかな」
恥ずかしながら、Tシャツ・ジーンズ姿で毎日地元の商店街を闊歩している筆者。そんな意識の低さがハイスペック男性との縁を遠ざけているのかもしれません。一方、常に高い意識を持ち続ける港区女子、やはりハイスペ男子のゲット率は高いようです。
「港区女子はなかなか手は出さないけど、狙った獲物は絶対逃さないタイプ。あくまで体感ですけど、ハイスペック男性のゲット率は8割強……ぐらいじゃないでしょうか」
さまざまな格差を感じる発言が飛び出した今回の取材。実は今まで港区女子は「東京カレンダー」(東京カレンダー株式会社)のなかだけに生息する架空の生き物と思っていたのですが、どうやら実在するだけではなく、「東京カレンダー」以上にキラキラ・ ギラギラした女性だったということが、一番の驚きでした。
ハイスペック男性も超希少生物だと思っていましたが、彼らは筆者のような庶民の見しらぬところで、徹底したラグジュアリー志向を持ち、ハイスペックな男性のみを意識した女性たちが颯爽と捕獲していたのです。港区女子のたくましさと理想を実現するためのパッションを、少し見習わねばと思った次第なのでした。
(藤野ゆり/清談社)