5月9日、女性に酒を飲ませて乱暴したとして、警視庁新宿署が、準強制性交容疑で2人の男性を逮捕した。この2人は、「ナンパ師」と呼ばれる男性が開催する有料セミナーの受講生で、女性を同セミナーの管理するマンションの一室に連れ込み、泥酔させて乱暴したとみられており、被害者は、以前男性がナンパした女性の知人だったという。組織的かつ悪質な犯行内容が伝えられると、ネット上では「ナンパセミナーで一体何を教えていたの?」「部屋まで用意してるって怖い」といった声が飛び交っている状況だ。
このナンパセミナーでは、「レイプまがいの内容を教えているのではないか?」と、以前からマスコミ関係者の間でウワサされていたという。以前、同セミナーのテキストを見たことがあるという人物が、その驚愕の内容を教えてくれた。
「今とは内容が違うかもしれませんが、例えば、上級編として『ナンパした女の子をハメ撮りするためにはどうすればいいのか?』なんて項目があって、驚きました。『女の子に「なんでそんなことするの?」と聞かれたら、「僕たちが初めて親しくなった思い出を残しておきたい」と返す』などと、事細かなシミュレーションが書いてあり、さらには『撮影中にバッテリーがなくなるからコンセントに差し込め』とか『カメラは何がいい』とかまで。あと、『ヒモしてくれやすい女の子』がパターン分けされて解説されていましたね。例えば、『精神を病んでる女の子にはどう攻めればいいか』といった感じです。本当に気持ち悪いですよね。セミナーの主宰者がこういった内容を教えているだけに、今回の事件を知ったときに、『あの主宰者がやったのでは?』と思いあたりました」
ナンパを学びたいという男性の間でも、悪評はよくささやかれていたという同セミナーだけに、今回の逮捕を「起こるべくして起こった」と感じている人も少なくないのかもしれない。
「ナンパ塾」代表が怒りの抗議
そんな中、ナンパセミナー受講生による凶行が盛んに報じられる中、また別の騒動が起こっていた。当初、テレビ各局や新聞各社は、容疑者2人を「ナンパ塾の受講生」と伝えていたが、「ナンパ塾」の名称を商標登録し、ナンパに関する講義を行っている「共同企画デタント」が「報道関係者・マスコミ各位」と題した文書をサイト上で公表。
同社代表の草加大介氏が、「本日、新宿区内で女性にウォッカを飲ませて『ナンパ塾』を受講していた東京メトロの社員ら2人が逮捕されたとの報道が流れました。『塾が管理していた新宿のマンション』と報じられています。公言しますが、この件に関して弊社は無関係です。弊社では新宿区内にマンション等は借りてません。と同時に非常に憤っています。『ナンパ塾』は弊社の登録商標です。ゆえに、報道でこの名称を絶対に使わないで下さい。今年で創業20年になりますが、弊社の努力や実績が台無しになってしまいます」と強く訴えたのだ。
これを受け、サイゾーウーマンでは、草加氏に緊急取材を敢行。「事件を起こしたナンパセミナーが、誤って『ナンパ塾』と報じられていますが」と問い合わせたところ、「いろんな人から『あの事件とは関係しているの?』とメールが来ました。犯行内容があまりにも悪質だけに、そうやって勘違いされていること自体、現実味がなかったのですが、メールがどんどん送られてきて……」と、草加氏はため息を漏らす。そして、今回の事件についても、憤りを隠せない様子だ。
「今回逮捕された男性は、準強制性交容疑がかけられています。以前は、準強姦といわれていましたが、これはお酒や薬などにより、女性を“抵抗できない状態”にして姦淫することを指します。“準”とつくと、強姦より悪質ではないと勘違いされるかもしれませんが、そんなことはありません」
草加氏が、一連の報道で最も驚いたのが、同セミナーが部屋を用意していたという点だったという。この部屋は“ハウス”と呼ばれ、3時間3,000円で貸し出されていたそうで、「これまでにもこういったことがあったのではないか、今回の事件は氷山の一角ではないかと感じます。被害に遭っても、誰にも言えないままだという女性もいるでしょうし……」と沈痛な声を漏らした。
また、事件を受け、“ナンパ”自体のイメージが悪くなることも、草加氏は危惧しているという。ナンパを取り扱うセミナーや講習会、塾には3種類あると言い、一口にナンパといっても、その内容はまったくの別物だそうだ。
「1つめは、今回の事件の容疑者が受講していた、レイプまがいの内容を教えるところです。こういったセミナーの目的は、性欲を満たすこと。男性は喜ぶけれど女性は喜ばないという特徴があるんです。2つめは、我々『ナンパ塾』のような、婚活のためのツールになるコミュニケーション術、また自信をつける方法を教えるところです。女性が喜ぶから男性も喜ぶという考えの元、『女性を喜ばせろ、そうでなければ、男性も楽しくない』と受講生に伝えています。合コンで、女性陣が不機嫌になってしまったら、男性もつまらないのは当然ですよね。そして3つめは、先の2つとは少し違うのですが、詐欺同然の情報商材を売り、たまにセミナーを開催していることもある……というところです」
レイプまがいの内容を教えるナンパセミナーと、婚活にも生かせる内容を教える「ナンパ塾」――その内容の違いは歴然で、受講者層も異なるそう。ナンパ塾の受講生は年齢層が高め、高学歴で医師や大手企業に勤めている人も多い一方で、「悪質なナンパセミナーの受講生は、年齢層が低く、高学歴の方が多いといった特徴もありません」と草加氏は指摘する。
「『ナンパ塾』には、例えば、気になる女性に声をかけたいのだがどうしていいかわからない、結婚パーティーに行っても全然ダメだった、という悩みを抱えている男性が、“自分を変えたい”“殻を破りたい”という思いを持ってやって来ます。性欲を満たしたい男性が来る場所ではない。そもそも性欲を満たしたいのであれば、風俗に行けよという話です」
最後に草加氏は、女性に対してぜひ伝えたいと、悪質なナンパ師の特徴を教えてくれた。
「彼らは、酒を異様に飲ませたがるという特徴があります。事件の報道では、女性に多量のウォッカを飲ませて昏睡状態にさせたといわれていますが、最初は別の飲み物を勧め、途中からウォッカに移ったのではないかと思います。徐々に強いお酒に切り替えるというやり口なんですよ。というか、ナンパ関係なく、一緒に飲んでいてとにかく酒を飲ませよう飲ませようとする男性には気をつけた方がいいと思います」
女性側が自衛せずとも、危険な目に遭わない世の中になってほしいと願わずにはいられないが、今回の逮捕を受け、悪質ナンパセミナーの撲滅が進むことを信じたい。
草加大介(そうか・だいすけ)
1998年に日本で初めてナンパを指導するセミナー「ナンパ塾」、また99年に日本で初めて婚活を指導するセミナー「結婚対策塾」を開業。2003年には、「結婚対策塾」を「恋愛駆け引き、口説き塾」と名称を変更し、より幅広い受講者が集うようになる。08年、男女共通講座「恋愛塾」もスタート。『「ナンパ塾」究極デートマニュアル』『新・「ナンパ塾」完全極秘マニュアル 最新最強の口説き術』(ともに河出書房新社)、『強烈に惚れさせる方法: 斜陽の季節の恋愛論』(ベストブック)など著書多数。

