〈おまたフェスティバル〉を覗いてきました。子宮系女子たちの文化祭と言うべきか、子宮系マルシェと呼ぶべきか。2月10日&11日に、原宿のカフェで開催されたイベントです。
会場では子宮を労わるアイテムと謳われる布ナプキンやふんどしパンツ、膣ケアグッズなどの〈おまた〉関連アイテムが販売され、助産師や人気ブロガーのミニトークショーも開催。資金を募っていたクラウドファンディングのページでは、主催者の闘病体験を語ったうえで、イベントの意義がこう説明されています。
「膣のこと、子宮のこと、じぶんの身体だけど知らない方がたくさんいらっしゃいます。膣、子宮というと性的なこととなりがちで、人に聞けない、誰にきいたらわからず悩んでいる女性も多くいるのではないでしょうか? わたしたちが知ることでこどもたちにも伝えていける、女であることをもっと楽しむきっかけとなる場となれば幸いです」
そしてHPでは、こう。
「じぶんのおまたのためにお金と時間をかけてあげてください。 おまたを愛すると身体や恋愛もお財布も潤いもよくなる気がしています」
潤うのは主催者や出展者の財布だと思いますが、生殖器に壮大な夢を見る子宮系女子たちの耳には、ありがたい御言葉として響くのですか? しかも医師不在で、膣や子宮の何を知るのでしょう?
早い話が〈おまたケアに散財してね!〉と呼びかけているとしか思えないイベントの会場は、路地裏にある建物の3階。ふらりと入るには敷居の高さを感じる場所でした。
センスは悪くないけれど…
少しだけドキドキしながらエレベーターへ乗り込みフロアに出ると、ハンモックの置いてあるウッドデッキの奥にカフェの入り口があるという、かわいらしいつくりで気持ちがほぐれていきます。
店内へ入ると、〈おまたケア〉のアイテムがズラリ。2017年1月に行われた引き寄せ女子・Happyのイベントでも同様の光景を見ましたが(過去記事ご参照)、おまたフェスのほうが規模が小さい分、比較的センスのいいショップが厳選されていたという印象。
布ナプキンにありがちな、地味で真面目な雰囲気漂う〈ザ・オーガニック〉というテイストより、華やかな柄のプリントされたキラキラ系が多めです(ちなみに子宮委員長プロデュースの布ナプは、安定のダサ派手テイストでしたが)。出店している女性たちも、コーデをマネしたくなるくらい、オシャレでお美しい方多し。
ひと昔前は、スピ系女子というと〈あか抜けない少女趣味の不思議ちゃん〉な印象の人が多かったように思えますが、昨今はずいぶん変わってきましたな~。それとも子宮系女子を、上品な印象に仕立てるブランディング化計画でも始まっているのか。
しかしいくらオシャレに演出しても、子宮系は子宮系。安定のトンデモっぷりはご健在です。販売トークやパンフレットにある効果効能を見聞きしているだけで頭が痛くなってくるのは、もはや予定調和ともいえる展開です。
レンチンしてカイロのようにして使う〈ぬか福来ろ(ふくろ)〉の販売ブースでは、こんな販売トークをかまされました。
「仕上げのここ(袋の1辺)は、手縫いで仕上げているんです。だから、ヒーリング効果が高いんですよ~」
8~10cm程度の直線縫いでヒーリング効果が発生するなら、戦地へ赴く家族の無事を切望しながら縫われた〈千人針〉や、魔除けの意味を持つ中央アジアの荘厳な刺繍で、死者が生き返ってもおかしくなさそうです。
子宮温活グッズとして定番の〈おまたカイロ〉を入れる専用のポケットがついているという布ナプキンには、POPにこんな文がありました。
「美人は知っている! 子宮を温めるといいこと尽くし」
美女の皆さ~ん、ご存じですか~? 世の女性たちへ脳内でコール&レスポンスする妄想をしながら眺めていると、人魚のイラストがプリントされているポケット付き布ナプを、どの柄に選んでいる女性を発見。
おかっぱ頭の人魚というレアそうな柄を「かわいい!」と選ぶ女性に、売り子はこう説明していました。
「これは座敷童みたいな、お守りかな♪」
完全に「おぱかっぱ頭」からのイメージだけだろ、それ。そして座敷童も、股を住まいにされてはお怒りだわ。ただの、言葉遊びでしょうけど。
「女性だけのパワースポット=子宮を内側から温めます」と謳った、火山天然鉱石が練りこんである〈股温めパッド〉の名前もすごかった。〈子宮ほっかりんパット〉ですから。生理用ナプキンにも使えると説明書きがありますが、天然鉱石シートとやらはフェルト製(それをオーガニックコットンで挟み込んである)。使い捨てではないようですので、繊維が絡み合っているフェルトにしみ込んだ経血を想像すると、雑菌が繁殖しそうで白目になります。
安定の、ふんどし推し
パンフレットに記載されている「こんな女神様におすすめ」という項目には「尿漏れが気になるお世代」「授かり希望」「産前産後」などが書かれていますが、股にちょっと保温性の高いパッドを1枚あてることでそれがどう妊娠等にいい影響を与えるのか、謎。
「体験談」の項目では「早期閉経と言われたが、これを着用したら生理が来た!」「着け初めはデトックスで、中にたまっているものがたくさん出てきた」などが語られていますが、それって健康効果というよりむしろ何かが炎症を起こしているのでは~!? と再び白目。
麻製のふんどしはこんな説明書きが飾られていました。
・霊的なエネルギーが得られる!
・日本人の精神性を高めていた腰肚(こしはら)文化を現代に復活させることで、すぐにキレない肚(はら)のすわった理想の社会を実現できるかもしれません。
何だか高尚すぎてついていけない私はきっと、おまた意識が低いのでしょう。
最高潮に「なんだこりゃ!」と思ったのは、〈子宮きゅんスプレー〉という名のフラワーエッセンスです。「本来の創造力を取り戻したいとき」「きゅん♡としたいとき」「子宮の感覚になりたいとき」に、下腹部や体の周りにスプレーして使うそうです。手のひらサイズのボトルが、4900円……うーむ。
会場で販売されていた甘酒をいただきながら(これはとても美味しかった)物販を冷かしたあとは、施術コーナーへ。
最近チラホラ耳にする「股コリ」解消のマッサージが受けられるコーナーがあるではありませんか。股コリとは、肩こり同様に、〈恥骨、坐骨、骨盤、仙骨、尾骨周辺の血流が悪くなって硬い人が多い! 股周辺は特に放置されがち! だからほぐして健康になりましょう〉と謳われている新物件。
「これ自体に効果効能はない。でも体験者はこんな効果を報告していますよ!」と謳われる手口は、膣にパワーストーンを入れる〈ジェムリンガ〉のそれとそっくりですね。巷では〈股ケアプロトレーナー講座(68000円)〉なるものも存在するようで、何が何だか。
今回、おまたフェアに現れた〈股コリ〉施術者は、「1000回」施術することを目指しているそうで、「股コリ1000本ノック!」なる看板を掲げていました。
お値段、20分4000円。マッサージとしては妥当なお値段設定ですが、クオリティはどうでしょう? 床に敷かれた布の上へうつぶせになり、股コリ体験の始まりです。
はじめは腰や骨盤周りを、かるーく圧迫。5分もしないうちに「ほら、すっきりしてきた!」とヒップラインを自分で触らせられます。「そう言われればそうかも?」と適当に相槌を打ちながら、「こんなんでボディラインが変わるなら、世のエステサロンやダイエット情報誌は、軒並み潰れるわー」と心の中でツッコミ。正直、まったく変化は感じられません。
次に「日頃、こんな場所は自分でほぐしませんよね?」と、指で指圧されるのは、恥骨結合部周辺。以前エステで「膣美管理」なる施術を体験しましたが(過去記事参照)、何となくそのプロセスとよく似ているような気がします。まあ、こちらのほうが軽めに指圧しているだけという感じで、マッサージというよりスキンシップという印象でしたが。しかし施術者曰く、「経血コントロールに役立つ」やら、「男性の場合は起ちがよくなったとか、尿のキレがよくなったなんて言う人もいるんですよ!」などの、実感が報告されているのだとか。
股コリの横で店を広げていた〈子宮ケア〉は、〈骨盤を整え子宮の形を整え、元の位置に戻す〉という施術だといいます。えーと子宮の形って、奇形レベル以外はほぼ同じ形でしょうし、仮に奇形だったとしたらちょちょっとマッサージしたくらいでは戻るはずがありません。この空間にあるものすべてが、〈受け取り側の気の持ちよう〉に頼っているのでは。
サイン会も開催
子宮系女子は基本的に、〈子宮にフォーカスして女性性を高め、自分を愛することができれば、男からも愛される!〉というノリですが、少なくともこの空間は男性が完全にアウェイになるレベルの、女の妄想爆発夢空間。
会場には子宮委員長の元夫である岡田氏の姿もありましたが、さすがに違和感ありありでした。会場で行っていた岡田氏のサービスは、本人のブログによると「一言メッセージ付きのサイン」が、著書持参の人は1,000円、購入の人は2,000円。読者へのサインが有料ってすごいな~。ちなみにわたくし出版業界に20年弱おりますが、そんな著者初めて見た。岡田氏は〈ゲス〉を自称していますが、もはやゲスというより〈銭ゲバ〉でしょう。
有名カルト教団の高額なお布施や、引退宣言して人前にはもう出ないという子宮委員長の霊視サービスなどと比べると、ひとつひとつは比較的リーズナブルな体験でしたが、所詮すべては〈魔女ごっこ〉の範疇。ここで癒しを求め小銭をつぎ込むのは、〈おまた道楽〉(または子宮道楽)にほかなりません。
子宮の声を聞いたり女性であることを楽しもうというメッセージは結構ですが、こういったイベントが増えると、専門家でもない単なる一般人が、健康アドバイスを気軽に語れる場が増えるという問題点もありそうです。〈信頼・高額〉はプラセボ効果を高める要素ではありますが、果たしてこの手の魔女ごっこでどこまでそれが発揮されるのでしょうか。健康に悩みの無い、お財布に余裕のある人だけが集ってほしいイベントだなというのが、私の感想です。