二股交際疑惑の嵐・松本潤が“飲尿プレイ”!? 江角マキコが芸能界引退【1・2月のランキング】

 

 もぉ~い~くつ寝るとぉ~お正月ぅ~♪ ということで、今年もあっという間に一年の終わりが近づいてきました。年の瀬まで結婚や不倫の話題が尽きない2017年、日刊サイゾーではどんなニュースが注目を集めたのか、来たる2018年に向けて、各月の月間ランキングを見ながら、今年一年を振り返っていきましょう。

【1位】
嵐・松本潤の“飲尿プレイ疑惑”に嵐ファンショック! 葵つかさはサイン会中止で「精神状態が……」

一昨年末に「週刊文春」(文藝春秋)に女優・井上真央と、人気AV女優・葵つかさとの“二股交際疑惑”が報じられた松潤。葵さんが過去に「彼氏におしっこを飲ませるのが好き」と発言していたことから、「尿潤」なんて不名誉なあだ名までつけられてしまいました。“MJ”ならぬ、“NJ”の誕生ですね。(2017.1.11掲載)
http://www.cyzo.com/2017/01/post_31040.html

【2位】
「嫌いになった」逆風吹き荒れるりゅうちぇるの、さらに“ヤバイ話”とは

明るく元気なハイテンションキャラのりゅうちぇるですが、藤田ニコルへの辛口発言に批判が殺到。そんな彼、出版関係者の話によると、なんでも実家が“ヤバイ”とか。さらに、沖縄まで行ったフリーライターは「マジモンじゃねぇか」とだけ残し、掲載を見送ったそうです。りゅうちぇるはやっぱり“黒い”…!?(2017.1.14掲載)
http://www.cyzo.com/2017/01/post_31082.html

【3位】
電撃引退も、惜別の声は一切なし! 女優・江角マキコが嫌われていたワケ

50歳を期に、芸能界引退を表明した江角さん。その理由は「子どものため」だそうですが、世間では、妻子持ち男性との不倫疑惑や落書き騒動などが原因と目されています。関係各所からは、溜まっていた不満が噴出。『ショムニ』、好きだったんだけどなぁ(遠い目)。(2017.1.26掲載)
http://www.cyzo.com/2017/01/post_31250.html

【4位】
木村拓哉に隠し子!? 業界騒然の怪文書と、井上公造氏をめぐる16年前の“奇妙な符合”とは

16年前に「隠し子がいる」と一部で報じられたキムタクについて、その内容と合致する怪文書が流出。そのネタ元には、あの井上公造さんも関わっている可能性があるとかないとか……。(2017.2.19掲載)
http://www.cyzo.com/2017/02/post_31590.html

【5位】
「もう番宣も手詰まり……」主演『A LIFE』ジリ貧状態の木村拓哉に“恐怖のファンクラブ募集”が始まる!?

各メディア媒体に出まくって主演ドラマを積極的にPRしたものの、視聴率が低下。SMAP解散以降、人気はガタ落ちですが、来年の主演ドラマ『BG~身辺警護人~』は頑張ってほしいものです(2017.2.08掲載)
http://www.cyzo.com/2017/02/post_31423.html

【6位】
芸能界のタブーに踏み込んだダウンタウン松本人志に、特大ブーメランが直撃!

「大きい事務所のスキャンダルは扱えなかったりする」と芸能界に警鐘を鳴らした松っちゃんですが、“お笑い界の巨人”である吉本に所属しているだけに、「おまえが言うな!」の展開に。(2017.1.12掲載)
http://www.cyzo.com/2017/01/post_31046.html

【7位】
「最近まで悩んでいた」故・松方弘樹さんが晩年に抱えた金銭問題とは……

1月21日に脳リンパ腫で死去した松方さん(享年74)。11年まで所属していたバーニングの周防社長との間で金銭問題を抱え、悩んでいたとか。最期まで波乱万丈の人生を歩まれたようです。(2017.1.27掲載)
http://www.cyzo.com/2017/01/post_31259.html

【8位】
浜ちゃんよりヤバイ!? 角田信朗との“共演NG”でバレた、松本人志の素顔とは

格闘家でタレントの角田信朗さんが、ブログで共演NGにされていると明かしましたが、その後、松っちゃんはこれについて反論。2人の共演は、まだまだ先になりそうです。(2017.1.20掲載)
http://www.cyzo.com/2017/01/post_31166.html

【9位】
“売れっ子”菜々緒に頭を抱える事務所「またマネジャーが代わった……」

今年も大忙しだった菜々緒さん。自分に対しても厳しく仕事にストイックな分、彼女のわがままには事務所もつぶっているとか。美人の菜々緒だけに、多少のわがままなら許せちゃいそうです。(2017.1.09掲載)
http://www.cyzo.com/2017/01/post_30996_entry.html

【10位】
SMAP最後の直筆メッセージに指摘「香取慎吾だけなんか違う……」“芸能界引退”示唆か

ファンクラブサイトの5人のメッセージの中で、香取さんだけが今後の活動に向けた挨拶がなかったため、「引退!?」と臆測の声が。シンプルな言葉で綴られたメッセージに重みを感じます。(2017.1.04掲載)
http://www.cyzo.com/2017/01/post_30964.html

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二股交際疑惑の嵐・松本潤が“飲尿プレイ”!? 江角マキコが芸能界引退【1・2月のランキング】

 

 もぉ~い~くつ寝るとぉ~お正月ぅ~♪ ということで、今年もあっという間に一年の終わりが近づいてきました。年の瀬まで結婚や不倫の話題が尽きない2017年、日刊サイゾーではどんなニュースが注目を集めたのか、来たる2018年に向けて、各月の月間ランキングを見ながら、今年一年を振り返っていきましょう。

【1位】
嵐・松本潤の“飲尿プレイ疑惑”に嵐ファンショック! 葵つかさはサイン会中止で「精神状態が……」

一昨年末に「週刊文春」(文藝春秋)に女優・井上真央と、人気AV女優・葵つかさとの“二股交際疑惑”が報じられた松潤。葵さんが過去に「彼氏におしっこを飲ませるのが好き」と発言していたことから、「尿潤」なんて不名誉なあだ名までつけられてしまいました。“MJ”ならぬ、“NJ”の誕生ですね。(2017.1.11掲載)
http://www.cyzo.com/2017/01/post_31040.html

【2位】
「嫌いになった」逆風吹き荒れるりゅうちぇるの、さらに“ヤバイ話”とは

明るく元気なハイテンションキャラのりゅうちぇるですが、藤田ニコルへの辛口発言に批判が殺到。そんな彼、出版関係者の話によると、なんでも実家が“ヤバイ”とか。さらに、沖縄まで行ったフリーライターは「マジモンじゃねぇか」とだけ残し、掲載を見送ったそうです。りゅうちぇるはやっぱり“黒い”…!?(2017.1.14掲載)
http://www.cyzo.com/2017/01/post_31082.html

【3位】
電撃引退も、惜別の声は一切なし! 女優・江角マキコが嫌われていたワケ

50歳を期に、芸能界引退を表明した江角さん。その理由は「子どものため」だそうですが、世間では、妻子持ち男性との不倫疑惑や落書き騒動などが原因と目されています。関係各所からは、溜まっていた不満が噴出。『ショムニ』、好きだったんだけどなぁ(遠い目)。(2017.1.26掲載)
http://www.cyzo.com/2017/01/post_31250.html

【4位】
木村拓哉に隠し子!? 業界騒然の怪文書と、井上公造氏をめぐる16年前の“奇妙な符合”とは

16年前に「隠し子がいる」と一部で報じられたキムタクについて、その内容と合致する怪文書が流出。そのネタ元には、あの井上公造さんも関わっている可能性があるとかないとか……。(2017.2.19掲載)
http://www.cyzo.com/2017/02/post_31590.html

【5位】
「もう番宣も手詰まり……」主演『A LIFE』ジリ貧状態の木村拓哉に“恐怖のファンクラブ募集”が始まる!?

各メディア媒体に出まくって主演ドラマを積極的にPRしたものの、視聴率が低下。SMAP解散以降、人気はガタ落ちですが、来年の主演ドラマ『BG~身辺警護人~』は頑張ってほしいものです(2017.2.08掲載)
http://www.cyzo.com/2017/02/post_31423.html

【6位】
芸能界のタブーに踏み込んだダウンタウン松本人志に、特大ブーメランが直撃!

「大きい事務所のスキャンダルは扱えなかったりする」と芸能界に警鐘を鳴らした松っちゃんですが、“お笑い界の巨人”である吉本に所属しているだけに、「おまえが言うな!」の展開に。(2017.1.12掲載)
http://www.cyzo.com/2017/01/post_31046.html

【7位】
「最近まで悩んでいた」故・松方弘樹さんが晩年に抱えた金銭問題とは……

1月21日に脳リンパ腫で死去した松方さん(享年74)。11年まで所属していたバーニングの周防社長との間で金銭問題を抱え、悩んでいたとか。最期まで波乱万丈の人生を歩まれたようです。(2017.1.27掲載)
http://www.cyzo.com/2017/01/post_31259.html

【8位】
浜ちゃんよりヤバイ!? 角田信朗との“共演NG”でバレた、松本人志の素顔とは

格闘家でタレントの角田信朗さんが、ブログで共演NGにされていると明かしましたが、その後、松っちゃんはこれについて反論。2人の共演は、まだまだ先になりそうです。(2017.1.20掲載)
http://www.cyzo.com/2017/01/post_31166.html

【9位】
“売れっ子”菜々緒に頭を抱える事務所「またマネジャーが代わった……」

今年も大忙しだった菜々緒さん。自分に対しても厳しく仕事にストイックな分、彼女のわがままには事務所もつぶっているとか。美人の菜々緒だけに、多少のわがままなら許せちゃいそうです。(2017.1.09掲載)
http://www.cyzo.com/2017/01/post_30996_entry.html

【10位】
SMAP最後の直筆メッセージに指摘「香取慎吾だけなんか違う……」“芸能界引退”示唆か

ファンクラブサイトの5人のメッセージの中で、香取さんだけが今後の活動に向けた挨拶がなかったため、「引退!?」と臆測の声が。シンプルな言葉で綴られたメッセージに重みを感じます。(2017.1.04掲載)
http://www.cyzo.com/2017/01/post_30964.html

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“徹子いじり”で、ブルゾンちえみが大勝利! 芸人の鬼門『徹子の部屋』対策の貴重なサンプル例に

“芸人殺し”と称されることの多いテレビ朝日の『徹子の部屋』。確かに芸人と相対した途端、黒柳徹子の対応は危険度が急上昇する。

 くりぃむしちゅーが出演した際は「面白いんですよね、あなたたち。何かやって!」とあまりにもなリクエストを放るし、ナイツが得意の“ヤホー漫才”を披露すれば「お間違えになるのがお上手」と冷静に解説、間寛平が得意のギャグ「かい~の」を行うと「それは芸なんですか?」と温度の低い質問を投げ掛けるなど、数々の芸人の心を折ってきたのはお馴染みだ。お笑い界の中では“鬼門”というイメージさえ抱かれる名番組である。

 そして12月21日放送回では、ゲストとしてお笑い界からブルゾンちえみ with Bが出演している。

「今年の顔」と紹介され登場した彼女らは、さっそくお馴染みの持ち芸(ブルゾン扮するキャリアウーマンが「35億!」と決めるネタ)を披露。その後、徹子がどういう態度を取るかに注目していたのだが、これが悪くないのだ。それどころか、彼女らのネタは見事に琴線に触れたようで「新しい芸だと思った」「面白かった!」と徹子は絶賛。どうやら、徹子とブルゾンは相性がいいようだ。

 いや、どうも相性だけの問題で片付けられないぞ……。この日の徹子の上機嫌を見ていると、そんな風に思えた次第。ブルゾンちえみ with Bが選んだ今回の作戦、完全にドンピシャだったのだ。

 

■素性を徹底的にリサーチされ、喜びを隠せない黒柳徹子

 

 3人はこの日の出演に備え、いわゆる“徹子さんネタ”を用意していた。その内容は、以下のようなものであった。

「あ~、『徹子の部屋』に来れて、よかった! どうしたの、徹子ちゃん。えっ? ピザとパンダとかき氷が大好きで、最近はインスタグラムにもハマってる? 趣味はとっても乙女で可愛いんだけど、交友関係がちょっとすごいんだよね。……チャップリンとゴルバチョフはマブダチ(with Bが脱ぐとそれぞれの背中に『チャップリン』『ゴルバチョフ』と書いてある)。交友関係がとってもいかつい。ちなみにそんな徹子ちゃん、とっておきの秘密があるんだけど知ってる? ……普段からノーブラ」

 まだ、ある。with Bことブリリアンの2人(金髪のコージと黒髪のダイキ)は、特定の人物を中央に据えて「with B!」と決めポーズを取るくだりが恒例だ。もちろん、この日のブリリアンは徹子を中央に決めポーズを取っているのだが、その時の彼らにソツがなかった。

・「カバンの中は!」(ダイキ) 「グチャグチャ!」(コージ) 「徹子です」(徹子) 「with B!」

・「焼肉!」(ダイキ) 「大好き!」(コージ) 「黒柳徹子」(徹子) 「with B!」

・「かき氷が好き!」(ダイキ) 「食べすぎてスタッフに叱られる!」(コージ) 「黒柳徹子です」(徹子) 「with B!」

 この芸に参加した時の徹子は、あからさまに大喜び! 「あんまり本当のことだったんで(笑)」「私のこと、調べてきてるんだ?」と、声が裏返るほど興奮してしまっているのだ。

 お笑い芸人にとって、昔から“客いじり”は「邪道」だと言われている。しかし、この日の彼女らは“徹子いじり”を徹底的に行い、結果、見事にハマった。数々の芸人が無残な姿を晒した『徹子の部屋』でだ。

 今回の成功例は、貴重なサンプルではないだろうか。推測するに、黒柳徹子は“徹子いじり”に弱い。

 芸人出演回において、ネタを披露する流れになるのは必然の『徹子の部屋』。ならば、そのネタを徹底的に“徹子仕様”にしてしまうのも一つの手か。数多い芸人の心を折ってきたこの番組で結果を残せるならば、邪道も何も言ってられないという気がする。

 ちなみに、黒柳徹子には「筋肉に弱い」という一面も持っている。法政大学アメフト部主将という経歴を持つコージの肉体を見た徹子は、やはり大興奮し、手形が付きそうな勢いで「スゴいですね」と胸筋の感触を確かめまくっていた。

 なるほど。今回の彼女らの勝因は、「相性」と「リサーチ力」と「肉体」か。
(文=寺西ジャジューカ)

「Zipper」休刊、そして主婦の友社買収……動乱の2017年女性誌トピックスを徹底分析!

 雑誌不況時代の現在、2017年も休刊や廃刊となった女性誌が続出した出版界。しかし、市場が狭まる中、売上が好調な女性誌も存在しているのもまた事実。そんな今年の動向の総まとめを、女性ファッション誌の研究歴21年、『新社会学研究』(16年創刊、新曜社)の編集同人である甲南大学・栗田宣義教授にうかがった。

 

女性誌版元の雄・主婦の友社買収が象徴すること

――今年、最も印象的だった女性誌に関する出来事を教えてください。

栗田宣義氏(以下、栗田) なんといってもTSUTAYAを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が出版社の主婦の友社を買収すると発表したこと。これはファッション誌業界において、すごく大きな意味を持っていると思います。

というのも、主婦の友社は女性向け雑誌を多く手掛ける老舗出版社で、「Ray」(88年創刊)や「mina」(01年創刊)や「S Cawaii!」(00年創刊)、その他にも主婦の友社の支援を経て復刊された「小悪魔ageha」「姉ageha」などがあります。日本の女性向け雑誌版元の良心ともいえる存在だったんですね。

――CCCの狙いはどういうところにあるのでしょうか。

栗田 CCCは動画配信サービスなどが流行している昨今、レンタル事業を中心に行うTSUTAYAの店舗が続々閉店に追い込まれるなど苦戦しています。しかし、新規展開の蔦屋書店に関しては、16年の販売額が約1308億円だったり、書籍を扱う店舗数が800軒を超えるなど書店としては急成長を遂げています。CCCは主婦の友社のほかにも、徳間書店や美術出版社を買収し、傘下に入れています。そういう意味で、CCCは今後の書店展開において、出版社買収によって足りない部分を充足させようという意欲的な行動なのでしょう。しかし、CCCも紙媒体での女性誌運営はまだまだ未知の領域でしょうから、そこが懸念する点ですよね。主婦の友社の編集権が今まで通りなのかも含め、持ち前の雑誌のカラーがきちんと今後出せるのかなど、動向を見守りたいと思います。

CCCは現在、ネットでの情報発信が中心です。主婦の友社の優秀な編集スタッフを、CCCのネットマガジンなどに投入して展開していくというのは予想できますが、果たしてそれが成功するのか。今まで休刊した雑誌の多くは「ネットに力を入れるから、紙媒体はお休み」というパターンが多いのですが、その後に成功しているかというと、必ずしもそうではありません。

――主婦の友社も、買収されるくらい厳しい状況だったと?

栗田 今年上半期のABC販売部数公査(以下、ABC公査)で数字を見てみると、なかなか厳しいんですよね。「Ray」「mina」ともに4万6,000部。「S Cawaii!」にいたっては3万4,000部なんです。ほかの赤文字系の数字を見てみますと、「CanCam」(81年創刊、小学館)は10万部、「JJ」(75年創刊、光文社)が6万3,000部、「ViVi」(83年創刊、講談社)は8万8,000部。赤文字系で唯一5万部を割っていたのが「Ray」ということになりますね。また、「mina」が競合する「non-no」(71年創刊、集英社)は12万6,000部ですから、その3分の1くらいの実売しかなかったということになります。これを見ると、「Ray」「mina」ともにかなり他誌に水をあけられていたことがわかります。ファッション誌は5万部を割ると厳しいといわれている中、主婦の友社の雑誌はすべてそうでした。そうするとやはり、相当の整理が生じてくる可能性があります。今もっとも苦しいのは、雑誌刊行を主体とした版元なのは間違いないですね。

――そんな中、好調な女性誌はあるのでしょうか。

栗田 やはり宝島社は強い。旗艦誌である「sweet」(99年創刊)が26万部。ボーイッシュファッションの先駆的存在「mini」(00年創刊)が14万部、「SPRiNG」(96年創刊)が12万部と圧倒的な部数を誇ります。「リンネル」(10年創刊)を含めた4誌がファッション誌ランキングのベスト4までを独占していますが、いずれも有名ブランドとコラボレーションした豪華付録付きの雑誌ばかりです。

しかし宝島社以外は弱いのかといえばそうでもなく、集英社はかつて20世紀には100万部を誇った「non-no」が13万部弱、「MORE」(77年創刊)が12万部、「Seventeen」(68年創刊)が14万部と好調で、“女性誌の集英社”のプライドにかけて部数を守っている印象です。ほかにも「MORE」のライバル誌である講談社の「with」(81年創刊)は10万部、「VERY」(95年創刊、光文社)は8万6,000部ですから、集英社や講談社、小学館に光文社といった大手老舗出版社はいずれも踏ん張っている印象です。なので残念ながら主婦の友社のひとり負けといった印象。他の老舗出版社はファッション誌以外に、漫画などの売れ線分野を持っています。主婦の友社は女性誌に特化した出版社でしたから、戦いに負けてしまった理由はそこにあるのかもしれません。

――ローティーン誌に関してはいかがでしょうか。

栗田 新潮社が強いですね。「nicola」(97年創刊)が15万部で、この数字は3年前と変わりません。子どもの数が減ってきている中、市場が小さくなっているのに数字が横ばいどころか上向きというのは驚異的なこと。ということは「nicola」を読む小学生の比率が増えているということになります。ほかにも姉妹誌である「ニコ☆プチ」(06年創刊・隔月刊)は7万部なので、足したら22万部。この数字は宝島社の旗艦誌「sweet」の26万部に近いですが、「sweet」は購買層が20〜30代と幅広いのに比べ、「nicola」は10代前半と狭いですからね。世代への浸透率がすさまじいのがよくわかります。

ここから読みとれるのは、「nicola」や「Seventeen」などのティーン誌は、ファッション系統が細分化されていないこと。赤文字系や青文字系やストリート系、すべて網羅しています。ですから、そういう意味でファッションの流行へ対応がしやすいのでしょう。

――ファッション系統が細分化しているほうが厳しいということでしょうか。

栗田 そうなります。4~5年前にギャル雑誌の休刊が相次いだわけですが、今年は、古着リメイクで一世を風靡し、月刊から季刊になっていた「Zipper」(93年創刊、祥伝社)が休刊を発表。またゴスロリファッションの代名詞だった「ケラ!(KERA)」(98年創刊、ジェイ・インターナショナル)が紙媒体での発行をやめ、デジタル版に移行しました。つまり今年はストリート系雑誌の休刊が相次いだといえます。同じくファッション専門誌である「装苑」(36年創刊、文化出版局)も部数が下火で隔月刊化しました。文化出版局は大学や専門学校を背景に持った大きな会社ですから、今後も旗艦誌として発行はしていくのでしょうけれど。隔月というのは、賢い選択ではあるんですよね。月刊ですと編集部も第一編集部、第二編集部というように複数並行体制が必要になってきますが、隔月なら1つで大丈夫ですし、色んなメリットはあると思います。

――ストリート系の雑誌が休刊になってしまったのは、そっち系のファッションが飽きられてきたからなのか、それとも違う何かを読んでいるのか、どっちなのでしょうか。

栗田 WEARやインスタグラムとか、アプリのほうに行ってるんでしょうね。雑誌を買わないからといって情報にお金を払わないのではなく、いままで雑誌代に支払ってきた分が通信料に代わってきたということが言えます。SNSの情報充実度はすごいものがあり、何人かのインフルエンサーをフォローしていれば情報は十分、というのが現在です。特にストリート系ファッションを好む女子は、情報収集が活発で上手な層なので、雑誌への見切りが早かったのでは。逆に「non-no」などを読む層は、保守的だから、一番最後まで雑誌を買い続ける客層がしっかりついているのではないでしょうか。ですので、集英社が「Seventeen」を読む層を囲い込み、そのまま「non-no」、さらに「MORE」へと移行させていくように、新潮社も「nicola」を読む層を囲い込んで、そのまま少女たちが大人になった際に読む雑誌を自社のファッション誌にスライドさせるべく新雑誌を創刊していけば安泰でしょう。

 

アイドルがファッションモデルに抜擢される動きは今後も続く?

――「MORE」といえば、いち早く元AKB48の篠田麻里子さんを専属モデルに抜擢し、成功した印象があります。現在ではAKB48や乃木坂46、欅坂46のメンバーたちが続々とファッション誌の専属モデルになっていますが、この動きは今後も続くのでしょうか。

栗田 女性アイドルが女性誌の専属モデルをすることは、女性票を獲得するのに有効なやり方です。実際「Ray」の専属モデルである乃木坂46の白石麻衣さんは、今年2月に出版した2nd写真集『パスポート』(講談社)が推定売り上げ23万部という莫大な数字を叩き出しましたが、同写真集は女性の購入者が多いことでも話題となっています。これはファッションモデルをやることによって、女性票を獲得した証しと言えると思います。雑誌の実売数に関して、現役女性アイドルの出演がどれだけ具体的に貢献しているのかの特定は難しいですが、どの雑誌に出るかによって影響力が違ってきます。ですので、そういった話があればどこでも出ますという時代では無いでしょうね。

栗田 2017年の総まとめとしては、ファッション系統ごとにカテゴライズされた雑誌を成立させるのが、難しくなってきた時代だということがいえるでしょう。これからは、ファッション総合誌が売れていた、90年代半ばの頃に回帰していくのではないでしょうか。総合誌が良かった時代といえば、「non-no」が100万部発行されていた95〜96年あたり。それが90年代終わりになると、ギャル系やストリート系など雑誌が細分化され、総合誌である「non-no」の部数が落ちてきたという流れがありました。しかし今はまた、「non-no」や「MORE」のように、総合的な側面を持つ女性誌が生き残るだろうということがいえます。

――ファッションだけでなく、情報も充実した、保守層に好まれる内容の誌面づくりということですね。

栗田 これまでは、出版社という枠組みを超えて、赤文字系雑誌、青文字系雑誌とカテゴライズすることが可能でした。一時の「cancam」など赤文字系雑誌は、4つ子かなというくらい内容が似ていたりもしましたが、今後はそういうこともないでしょう。現在、宝島社が他社の女性誌と一線を画しているように、出版社ごとの個性が際立ってくる流れになるのではないでしょうか。雑誌の作り手である編集者のアイデアやスキル、人脈が効いてくるようになり、そういう意味では出版の本来の紙という在り方が生きる時代になるのでは。“編集部がすばらしいから雑誌が売れる”を体現しているのが新潮社でして、ローティーン誌の市場が活況だというわけではないのに、売れているというのはすごいことですからね。

――出版社と編集の底力が試される市場になる、ということですね。

栗田 赤文字系、青文字系、ストリート系、ギャル系といったファッション系統の多様化バブルが、90年後半から10年後半の、ほぼ20年続いていたわけですが、今年はその終焉といえるのでは。00年代初頭から06年くらいまでは、ファッション誌バブルで各社が参入し、ファッション誌の数が一番多く、一番雑誌を買う層である10代後半から25歳の若年層向けの雑誌が35誌ほどありました。しかし現在では10誌ほどがなくなり、25誌くらい。ファッション誌を作れば売れるだろうという時代は終わり、弱い雑誌は淘汰され、現在は“本物”が残っているといえます。しかし、今後はさらに淘汰される可能性があり、将来的にはおそらく10数誌になるでしょう。そこに入れるか試されるのが2018年だと思うんですね。やはりそういった時にファッション誌以外にヒットジャンルを持つ集英社、小学館、講談社、光文社といった大手老舗出版社の底力は強いわけでして。そういう意味で女性誌に特化していた主婦の友社の買収は、時代を象徴する出来事だったのかなと思います。

(取材・文/犬塚左恵)

 

栗田 宣義(くりた・のぶよし)

1958年生まれ。国際基督教大学教養学部卒業、社会学者、甲南大学教授。専門分野はファッションとメイクの社会学、ポップカルチャーの社会学など。女性ファッション誌の研究歴は21年、『新社会学研究』(16年創刊、新曜社)の編集同人。近著に『マンガでわかる社会学』(オーム社)がある。

【昼間たかし】話を聞いているだけじゃ見えてこないものがある。ルポルタージュで振り返る2017年

 改めて、取材して書くことに傾注しようと決めた。2017年は、そんな年であった。

 だから木訥に、自分の興味の赴くままに、人に会い文章を書き記してきた。なぜ、そんなことをするのか。それは、ほかにすることを思いつかないからだ。

 そうした個人的な情熱だけで走った文章を掲載してくれる「日刊サイゾー」は、私のような書き手にとっては心底ありがたいメディアである。

 そんな2017年も、あと数日ばかり。改めて、今年「日刊サイゾー」と「おたぽる」に書いた文章を読み直し、私なりの自省を込めた解説をしていきたいと思う。

 

●神社本庁も「これはちょっと……」と漏らした。「DMM GAMES」新作『社にほへと』から考えるオタクの信仰
http://otapol.jp/2017/04/post-10195.html

 なぜか大きな注目を集めたこの文章の中で感じたのは、発端になったゲーム『社にほへと』に対するさまざまな人の感覚の違いであった。

 パッと見た時から、私には「なんと罰当たりな」という気持ちが湧いた。怒りではなく畏れである。神道への理解の根本には「考えるな、感じるんだ」というような意識がある。その感じ方の違いが千差万別なのだと、改めて感じた。だから、すぐに取材に応じてくれた神社本庁だけでなく、ゲームの企画者たちの思いも聞いてみたいと思ったが、果たすことはできなかった。

 ただ、この文章が掲載されてから後、企業内の友人からは「いま、箝口令が敷かれていて」などの話も聞いており、ただならぬ事態が起きていることは容易に想像ができた。

 数年もすれば「リリース前に中止されたゲーム」として記録だけが残ることになるだろう。その頃には、改めて製作サイドの想いを聞くことができるだろうか。

 なお、この問題に関する論評はいくつもあるが『宗教問題』20号に掲載されている中川大地「神社を擬人化した美少女ゲームはなぜ開発中止に追い込まれたのか」は、読んでおくべき価値ある論考だと思っている。

 

●行ってみて聞いてわかった 御朱印帳のネット転売で、なぜ宮司は「もう来ないで下さい」と書いたのか
http://www.cyzo.com/2017/06/post_33347_entry.html

 神道関係では、こちらの記事はまた別の方向から、信仰というものを考える機会になった。

 発端は、Twitterでの宮司の怒りのツイートが話題になったこと。表面だけ追って見えるのは、神社で頒布した限定品の御朱印帳を、すぐにネットで転売しているヤツがいる、けしからん……と、ただそれだけのこと。

 でも、ただそんな「けしからん」などということで宮司がツイートしたのではないことは、神社を訪ねて初めてわかった。

 自身が宮司になるまで。なってからの地域の人々と共に支え合ってきた想い。金曜日の午後に聞いた話を、土日を使って一気呵成に書き上げた。そんな熱くなるものが、ここにはあった。

 宮司もまた、足を運んだ私の想いに応えてくれた。今なお神社のTwitterの冒頭には、この記事についてのツイートが掲示されている。

 改めて財布を、どんなテーマでも、迷うくらいならば、取材費で血塗れにしてでも、現地に足を運ぼうと思った。そのことは、必ず文章に成果として現れるのだと。

 

●「上から目線の権力の介入」千葉市が主導するミニストップの“エロ本規制”に、日本雑誌協会からも批判
http://www.cyzo.com/2017/11/post_143469_entry.html

 事態の推移については、関連するものも含めて記した通りである。このテーマでは、今のところ情報を手早く書いて知らせることに徹している。それを「作品」と呼べるようなものにしていくのは、これからのことだ。

 ここで気になったのは、ミニストップが成人向け雑誌の取り扱い中止を発表してから、同社や千葉市を批判する人々の動向である。ネットでさまざま評論を繰り広げる人や、市長のTwitterアカウントに批判を書く人は無数にいた。けれども、具体的な行動はどこにもみられなかった。

 この人たちは、いったい何をしたかったのだろう。エロ本に限らない、禍々しいものを偶然に覗き見た気になった。

 その間にも出版業界では、各コンビニチェーンと、これがミニストップに限った話であるなどの確認を取っていた。情報をまとめたり、評論するだけでは物事の本質は見えてこないのだなと思った。

●「ガイナックスのコンテンツならなんでも使える」と豪語!? 渦中の「神戸アニメストリート」岸建介氏の手口と次の寄生先も発見!
http://otapol.jp/2017/04/post-10331.html

 マンガやアニメが地域振興の目玉となり、<聖地巡礼>が話題になる昨今。これも、起こるべくして起こった事件だといえる。

 正直なところ、小はプロデューサーの仕切りがグダグダだった話から、大はイベントの成否よりも、地元企業に資金をいかに分配するかのほうに力点が置かれた結末等々、失敗例は数多く聞く。

 そして、そのことは巧妙に隠蔽され、知られることは少ない。この事件は、ことが明るみになっただけ、まだマシだといえるだろう。

 何しろ、行政が絡んでいるとなれば信用度は上がる。そうそう悪人がいるとは、誰もが思いたくないものだ。

 この文章の際には取材に応じることもなく電話を切った武田康廣も、また被害者。岸が取締役に名を連ねていることに気づいた人物が、すぐに武田に連絡したところ「え、これからGAINAX WESTの記者会見なんだよ……」という最悪なタイミングだったという。

 当の岸は、すでに新たな店舗をオープンさせていることを幾人かから聞いている。でも、今のところは、そこを訪ねてみる気にはならない。なぜなら、被害にあった当事者に先んじて正義を追求するのは、物書きの仕事ではないと思うからだ。

 

●29万票の金利~山田太郎と「表現の自由」の行方
http://otapol.jp/2017/07/post-11040.html

 書いた後で考えたのは、冒頭のアイスクリームを食べている自身の描写。

「オッサンがアイスを食べてる描写などいらぬ」などと批判的な感想が半分。「アイスの描写で引き込まれる」と絶賛が半分。

 つまり、自分でもどちらがよいのかわからない。ただルポルタージュやノンフィクションという文章では当たり前の「私」や「ぼく」という主観的な書き方を、ネット媒体では、新鮮に感じる人が多いのだと思った。

 毎日取材しているわけではないが、山田太郎の取材には、だいたい5年。そして、選挙の取材から1年も寝かせてしまった。その間も、今もなお29万票の金利は残っているように見える。

 では、次に山田が選挙に立った時、私は取材をするだろうか。

 そのことの答えは、まだ出ていない。

 

●新作『女装千年王国』も大好評! 西田一が語る、ただひとつの“愛の物語”
http://www.cyzo.com/2017/10/post_34930_entry.html

 世には、変態だとかニッチだとか呼ばれるジャンルがいくつもある。男の娘というジャンルも、その一つだ。

 人は、そこにどういう感情を抱くだろうか。口では貶しながらも、実は羨ましさを持っているのではないか。

 そこの世界に足を踏み入れることは、とてつもない決意と覚悟がなくては、できないことなのだから。

 そして、そこに至る人生の旅はさまざまだ。

 無数の旅路の一つで、乗り合わせた客のつもりになり、この掌編を仕上げた。女装エロゲーに人生を賭けた西田の旅路は、どこへ続くのだろうか。また、旅路を共にしたいと思っている。

 

●「アダルトグッズ+催眠音声」の可能性を追求するトランスイノベーションへの誘い
http://www.cyzo.com/2017/10/post_34820_entry.html

 まさかここまで人生を賭けて、情熱を注ぎ込んでいるなんて。そんな感動を伝えるためには、まず自分のことを書かなくてはならないと思った。自分自身が、いかに催眠音声を楽しんでいるのか。取材の時から、そのことを大いに話した。そうでなくては、取材が、上から目線の覗き見になってしまうと思ったからだ。そして文章も同様。

 別に自分の楽しんでいるものを、恥ずかしがる必要はない。むしろ、今の楽しさの、その先を求める探究心は誇るべきものではないか。そんなことを考える機会となった。

 

●なぜ、人はそこに集うのか? 新店舗には喫茶ルームもできた「カストリ書房」に、サウダーデを見た
http://www.cyzo.com/2017/09/post_34442.html

 2016年のオープン以来、さまざまなメディアに取材されているカストリ書房。

 訪問する前に、これまでカストリ書房について触れた幾つもの文章を読んだ。そして「なんだこれは?」という気分になった。多くのメディアの文章では、カストリ書房、そして、遊郭が女性にブームとなっている背景として「豊かな時代への憧れ」などの、わかりやすい言葉を用いていた。なるほど、それはわかりやすいかもしれない。けれども、そんな総括には、綺麗にまとめただけの上から目線を感じた。

 僅かなインタビューの時間で、さまざまなものが見えてきた。カストリ書房がもてはやされる理由。その根底には、間違いなく店主の渡辺豪の人となりがあるのだと思った。

 状況を描くのではなく細部を描写するルポライターの矜恃を改めて考えた。

●9月25日午後8時、たつき監督はなぜツイートをしたのか──『けものフレンズ』わからなかったこと、そして、わかったこと。
http://www.cyzo.com/2017/10/post_34862.html

 妄想である。箝口令の中で周辺取材は限られている。いつもは、すぐに返事を返してくるヤツまで「福原Pに会わせてよ」とLINEすると既読スルー。そんな状態で得られた情報を元に書いた。

 正直なところ、KADOKAWAとヤオヨロズと、どちらが正邪なのかはどうでもいい。

 原作者との軋轢云々も同様である。ただ、いい大人と呼ばれる年齢のたつき監督が、自身の仲間をも巻き込むような、あの乱暴なツイートを叩きつけるに至った心境を書きたかったのだ。

 きっとこうだろうと、私自身の思いで綴った文章。真偽のほどはわからぬが、ある関係者から「だいたい、あってる……」とポツリと呟かれて、この件は終わった。

 

●西原理恵子の生き様が人生の分岐に──『嫌な顔されながらおパンツ見せてもらいたい本』40原が語る“パンツ愛”そして、これから
http://www.cyzo.com/2017/11/post_143771_entry.html

 パンツ愛を聞いていたら、飛び出してくるのは西原理恵子に『パトレイバー』などなど……。

 それらを通じてイラストレーター・40原の「なにものかになりたい」という情熱を、存分に聞くことができた。

 もちろん「パンツ愛」は、本物だが、それと共に多くの文字数を使った彼の半生。やがて、これを読んだ人が、なにものかになってくれるとよいなと思っている。

 あまりに話に熱中していたので、4時間くらい喫茶店で話ながらも「おかわりどうですか」というタイミングを逸っしたのは反省。
 

●女と自由との揺らぎ──『私だってするんです』小谷真倫の探求「自分の凡庸に負けたんだ……」
http://www.cyzo.com/2017/12/post_144853.html

 自画像が、がさつそうな女性だったので、どんな人が来るのかと思ったら、まったく真逆のタイプの人だった。

 インタビューは初めてという緊張感。そんな緊張感の中で、訪ねるテーマはオナニー。

 ふと言葉の合間に見せる表情が、作品に真摯に取り組む意志の強さを感じさせていた。

 連載は、さらに好調に続いている。2018年は、もっと話題になる描き手なのではないかと思っている。

 幾つもの掌編・短編・中編を書き続けてきた2017年。なにかを成し遂げた人。なにかを成し遂げた人を見ていると、この人物は、どのような人生を歩んで今があるのか。そんなことに興味がわく。

 テレビ東京系の番組『家、ついて行ってイイですか?』が注目されていることからも、分析や批評が持てはやされる時代は、もう終焉を迎えていることが、よくわかる。

 2018年は、もっと個や細部を追いかけていきたいと思っている。
(文=昼間たかし)

貸した1,200万円を返さず、養育費も払わない“モラハラ夫”には、子どもを会わせたくない

『わが子に会えない』(PHP研究所)で、離婚や別居により子どもと離れ、会えなくなってしまった男性の声を集めた西牟田靖が、その女性側の声――夫と別居して子どもと暮らす女性の声を聞くシリーズ。彼女たちは、なぜ別れを選んだのか? どんな暮らしを送り、どうやって子どもを育てているのか? 別れた夫に、子どもを会わせているのか? それとも会わせていないのか――?

第11回 大杉千秋さん(仮名・41歳)の話 (プライドと劣等感の間で揺れる夫・後編)

 躁うつ病の前夫と離婚して数年後に出会った、7歳下の男性と結婚。彼の両親に挨拶した直後から、暴言や暴力が始まり、日常生活ではレストラン並みの食事や、お掃除ロボ状態を強いられた。前夫との子どものことも嫌っていた。

(前編はこちら)

■夫に1,200万円貸したが、1円も返してくれない

――末っ子は、いつ生まれたんですか?

 3年前です。私は彼に、常に別れを提案し、彼はそれを却下し続けていました。そんな中で生まれたんです。子どもに対しても離れて見ているだけで触ろうとしないので、「なんで?」って聞いたら、「俺はどうせこの子と別れるんだろ」って、投げやりに言うんです。だったら、本当に別れてくれたらよかったのに……。末っ子が泣くと、そのたびに怒られるから、なるべく泣かせないように、夜中も細心の注意を払っていました。

――じゃあ、かわいがっていなかったんですか?

 かわいがってるというイメージだけは、醸し出していましたよ。末っ子の写真を、Facebookにのっけていましたから。育児は、まったくしませんでしたね。例外は、自宅でパーティーをやったときですね。20人ほど来て、人数分の料理を私1人でずっと作り続けてたので、末っ子の世話にまで手が回らなかった。だから、しょうがないなって感じでオムツを取り替えてくれて。友人たちへ向けたパフォーマンスに見えました。「イクメンだねぇ~」と友達に言われて、うれしそうでした。普段は頼んでも舌打ちしていたのにですよ。

――そのほか、何かひどい出来事はありますか?

 実は私、夫に1,200万円貸してます。結婚して1年ぐらいがたった頃、大きい仕事をトントンとやり、彼に300万円貯金ができたんです。その貯金を使って、さらに証券会社にお金を借りて、何倍もの相場を張ったのが、きっかけでした。いわゆる信用取引です。「信用だけはやめて」と言ったら「絶対に損はしない。お前は黙ってろ!」と怒鳴られました。

 夫は、どんどん損失を膨らませていきました。証券会社に返すお金もなくなり、私が貯めていた長男の受験資金なども含めて夫にかすめ取られ、ずるずると1,200万円貸していました。しかも、その後、株価が回復するに違いないという大底値で、なぜか彼は手を引いてしまったんです。

――家を出るきっかけとなった出来事は何ですか?

 夫と末っ子と私の3人で住んでいたマンションが老朽化で取り壊されるということで、立ち退くことになりました。それで私は彼に、「今度こそ、これを機会に別れるつもりよ」と伝えました。しかし、彼はその言葉を本気にせず、「まあいいから、いい物件を探してよ」と言うだけでした。

 なかなか彼の出している条件(広さ・家賃)に合う物件が見つからなかったのですが、そのうち不動産業者が勧めてきたのが、母と長男・次男が暮らしているマンションの別の部屋だったのです。そして立ち退き期限ぎりぎりに、夫と末っ子とともに、実家とは別フロアに引っ越しました。荷作りや荷ほどきは、すべて私任せでした。2週間、私が1人で片付け続け、地道にきれいになっていきましたが、私が出て行くと決めたとき、まだまだ荷物が積み上がっていて、私や末っ子の荷物を持ち出せていない状態でした。それもあって、彼は私がまさか出て行くとは思わなかったんでしょう。

――何があったんですか?

 引っ越しが済んで半月後に、家を出たんです。その日は保育園のイベントに行く途中で、「おまえは頭が悪い!」と、いつものように怒鳴られました。それで私、悲しくなってしまって「こんな気持ちで、保育園の楽しい会に参加はできないな」って思ったんです。「私は行きません。あなた、行きたいんだったらどうぞ」と彼に言って、末っ子を彼に預けました。

 彼が2~3時間その会に参加している間に、私は新居に戻って、別フロアの実家に荷物を移動させました。彼は、私の物を嫌がっていたので、私は自分の荷物は極力少なくしていたんです。なので、荷物を出すのは簡単でした。

 私が荷物を運び出した後も、彼は「どうせ帰ってくる」くらいに思っていたのでしょう。私が末っ子を連れていくのを普通に見ていました。それに、末っ子だけ置いていかれたとしても困るでしょうし。Facebookの投稿で彼の不在を確認して、残した荷物を何回かに分けて出したんです。私が出ていった後、部屋は、みるみるうちにゴミ屋敷になっていきました。私がいないと、お酒の空き缶と、デパ地下とかで買った高いお総菜の残りが入ったままの生ゴミや、脱ぎ捨てた服や下着が、床にどんどんと積み上がっていたんです。

■養育費の支払いを拒否している状態

――別れてから、子どもを一度も会わせていないのですか?

 いいえ。私が出て行ってから2カ月間ぐらいは、週末に会わせてました。会いたいか彼に聞いて「会いたい」と言えば、私名義の車を貸して「行ってらっしゃい」って、そんな感じ。

 最後、彼が末っ子に会ったのは昨年末でした。その日は出かける予定だったんですけど、子どもが熱を出してしまって行けなくなったんです。すると、珍しく彼の方から会いに来ました。末っ子は、玄関先で彼からビスケットを受け取ると、すーっと離れてしまったんです。私は彼が怒るのが怖くて、「パパにありがとうは?」って促したら、息子が「ありがと」と彼の顔も見ずに言って、お兄ちゃんにビスケットを見せに走り去ってしまいました。それが、彼が末っ子に会った最後でした。その後、彼から、「末っ子に会いたい」という申し出は一度もありませんでした。

――その後、離婚に向けて調停を起こされたんですか?

 そうです。私からは離婚調停を。それに伴い、彼は面会交流と親権の調停を、それぞれ申し立てています。彼は年末以来、末っ子に一度も会いに来ないどころか、連絡すらしてこなかったのに、なぜ今さら面会を申し立ててきたのか、謎に思いました。暴力や暴言を一切否定したり、株に関しては「夫婦で協力してやっていたから、借りたお金を全額返す必要はない」と主張したり。彼は嘘ばかり言っています。

――養育費は、もらっているんですか?

「経済的につらい状況だから、払いたいけど払えない」といって、支払いを拒否している状態です。だけど別れる前に、「おまえには払いたくない」と言ってましたからね、それが本音でしょう。養育費は私のためじゃなくて、子どもの成長のためにあるのにね。

――千秋さんは、今後、子どもを彼に会わせる気がありますか?

 会わせたくないです。彼の顔を思い出すと、私をにらみつけている顔しか思い浮かばず、気分が悪くなります。今も自宅が近いので、会ってしまうのではないかと、毎日おびえながら暮らしています。そんな理由から、調停中も顔を合わせないように、調停員さんに計らっていただいてるんです。

 彼が末っ子を連れているときに、何度もけがを負わせています。Facebookに気を取られていたのが原因だったり、末っ子を持ち上げて高い所から落としてしまったりしたんです。感情を抑えられない暴力的な性格や、いきなり泣きだしたりといった数々の奇行を思うに、会わせたら、子どもが危険にさらされるのではないかという心配が拭えません。だから、調停員さんや調査官さんには「面会はさせたくない」と伝えています。

 どうしても会わせなければならないのなら、第三者機関を間に入れて、第三者の立ち会いの下での面会交流を望みます。その際の費用はすべて彼持ちで、というのが条件です。一方、夫のほうは「別居から2カ月間、2人で会っていたのに、それはおかしい」と主張しています。確かにその間、直接会わせていました。だけど、渦中にいるときって、それが異常な状態だっていうことに気がつかないですからね。

――末っ子と上の2人との関係はどうなんですか?

すごくいいですね。15歳、8歳、3歳。だんご三兄弟みたいに、いつも身を寄せ合っています。長男と次男は、末っ子が大好きで、「○○を取られてたまるか。僕らが○○のお父さんだ」って一人前なことを言っています。ここ数年で長男と次男も成長し、いろんなことがわかるようになりました。夫のことをハッキリと敵視していますね。調停に行くときも「ママがんばってね」と応援してくれます。よくわかっていない末っ子も一緒になって、「ママがんばれー!」と言ってくれますよ。

――二度の離婚を振り返って、いま思うことは何でしょうか?

 ひと言で言うと、面白い経験。過ぎてしまえば、どんな大変な経験も、忘れてしまいがちかな。だけど良かったことだけは、割と覚えています。2番目の夫とは良い思い出が少ないので、そのうち、ほとんど忘れてしまいそうですね。離婚を通じて確信したのは、自分に一番近い人を幸せにできないと、自分も幸せにはなれないということです。

――子どもたちには、どんなふうに育ってほしいですか?

 “立派な大人”よりも“誰かの幸せをつくり出せる人”になってほしいですね。今後は子どもたちが好きなことを見つけて邁進できる環境を(精神的にも経済的にも)整えてあげようと思って、日々頑張っています。将来、私の親としての役目が終わる時まで、子どもたちそれぞれの思いに寄り添い、一緒に悩んだり、喜んだりして、生きて行きたいです。

西牟田 靖(にしむた やすし)
1970年大阪生まれ。神戸学院大学卒。旅行や近代史、蔵書に事件と守備範囲の広いフリーライター。近年は家族問題をテーマに活動中。著書に『僕の見た「大日本帝国」』『誰も国境を知らない』『日本國から来た日本人』『本で床は抜けるのか』など。最新巻は18人の父親に話を聞いた『わが子に会えない 離婚後に漂流する父親たち』(PHP研究所)。数年前に離婚を経験、わが子と離れて暮らす当事者でもある。

<取材協力者募集>
この連載の取材にご協力いただける方を募集しています。夫と別居または離婚して子どもを育てているお母さん、子どもと夫との面会状況についてお話をお聞かせいただけると幸いです。下記フォームよりご応募ください。

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2017年もフジ大爆死! 『セシル』『櫻子』『大貧乏』連ドラワースト3の“明らかな敗因”

 フジテレビの凋落が報じられて久しい。2017年も、プライムタイム(午後7時~11時)放送の民放連続ドラマ(テレビ東京を除く)において、平均視聴率ワースト3位はフジテレビ系ドラマが独占。苦しい状況は、まだまだ続いているようだ。

「ワースト3位は、4~6月期の日曜午後9時に放送された、観月ありさ主演『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』。同作は観月にとって、26年連続・30本目の連ドラ主演作になったのですが、平均視聴率5.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と悲惨な結果になりました。原作はアニメ化(TOKYO MXほか)もされた人気同名小説(KADOKAWA刊)だったものの、観月演じる主人公・九条櫻子は20代半ばの設定。当時40歳の観月がその役を演じるには無理があったようで、視聴者からは『完全にミスキャスト』『原作の年齢に合った女優を起用すべきだった』『昨年アニメを見ていたから違和感しかない』といった不評の声が飛び交う事態に。結局初回の6.9%から中盤までなだらかに視聴率を下げ、4%台を記録することもありました」(芸能ライター)

 ワースト2位は、『櫻子さん~』と同じ枠で前クールに放送されていた、小雪主演の『大貧乏』。平均視聴率は4.9%という大コケに終わった。

「『大貧乏』は、会社の倒産によって“大貧乏”に転落した七草ゆず子(小雪)が2人の子どもに支えられながら、会社倒産の裏側を暴いていくストーリー。小雪のフジ連ドラ初主演作として注目を集めていたのですが、貧乏という設定に無理があったようで『貧乏人に、小雪のようなサラサラツヤツヤのロングヘアのケアはできないと思う』『節約を考えたら、まずは髪を切るべき』などのツッコミが巻き起こりました。初回7.7%を記録したものの、第2話では4.4%まで数字が下落。また、回数を重ねるごとに“貧乏要素”が減りシリアスな展開が増えていったのですが『タイトルとお話が合ってなかった』『ホームドラマとしても、シリアスドラマにしても、全てが中途半端』と不評だったようです」(同)

 この『大貧乏』を抑えてワースト1位を記録したのが、7~9月期の木曜午後10時に放送された真木よう子主演『セシルのもくろみ』で平均視聴率は4.5%だった。

「初回放送に先駆け、主演の真木はTwitterを開始して同作を宣伝していましたが、結果は大爆死。視聴者からは真木に対して『演技とガリガリ具合が悪目立ちしてる』『こんなに演技へたくそだった? 主役がこれって大丈夫?』『最終回までに太った方がいいと思う。圧倒的に魅力を感じない』などネガティブな感想ばかり上がっていました。また『原作を読んだけど、主人公の雰囲気が全然違う。私が原作者だったら怒ってるレベル』『原作が好きで見たから、なんか残念。主人公はもっと地味でおとなしいイメージだったけど、ドラマだとガサツでうるさい感じ』『原作通りにすれば良かったのに……。全然ハマれないし、もう見ない』といった声も。初回放送直後から主演・脚本にブーイングが相次いだのが爆死の原因でしょう」(同)

『めちゃ×2イケてるッ!』や『とんねるずのみなさんのおかげでした』など、長寿バラエティ番組を終了させる大ナタを振るったフジテレビ。ドラマにも何かしらの改革があるのだろうか。

嵐・二宮和也、大野智からもらったマグカップを「飾ってる」! その意外な理由は……

 嵐・二宮和也がパーソナリティを務めるラジオ『bay storm』(bayFM)の12月24日放送回は、二宮が大野智からもらった誕生日プレゼントの“その後”について語っていた。

 嵐や二宮にまつわる質問をリスナーから募集する「裏嵐」のコーナーに、リスナーから「おととしの『嵐にしやがれ』(日本テレビ系)で大野さんから銅で作ったマグカップをもらっていましたね。今はどうなっていますか」という質問が届いた。

 二宮は「あれはもう飾ってます。いつも見えるところに」と回答。「あの巨匠・大野智が作った作品ですよ? 数々のものを生み出してきた大野作品の中のひとつですから。なんかあった時のためにとっとかないと」と、冗談を交えながら口にした。続けて、「そりゃオレだって売りたくはないよ。でもオレに何が起こるかなんてわからないから。オレにだって一寸先は……なんだから」と笑った。

 大野といえば、手先が器用で創作活動でも才能を発揮していることがファンの間で知られている。自身のアート作品を集めた写真集を発表し、個展を開くほどの実力があり、番組の企画やプライベートなどで数々のものを作っている。そんな大野の手がけた作品たちに二宮は、「“大野作品コレクター”みたいなのが、これから出てくるかもしれない」と予想しているのだそう。

 「そうなったときに、そうなったときにですよ。あれは銅ではなくなるよ。もう完全な、銀を飛び越えての、ですよ」とその価値を力説する二宮。さらに、大野作品コレクターがたとえ「買いたい」と言ってきても、簡単には売らないという。「えぇ、渋りますよー、私は。際の際まで。もう、銅のマグカップがそろえばコンプリートですってコレクターが来ても、渋るよー。本当に!」と力強く宣言した。

 二宮らしいユーモアを多く含んだトークだったが、一方でメンバーを語る時の温かな面も垣間見られた今回の放送。大野からもらった銅のマグカップを「いつも見えるところに飾っている」という発言に、二宮のメンバーへの愛情を感じたファンもいるのではないだろうか。

「フューチャークロちゃん」が暴いたゲスで哀れで愛らしい男・クロちゃんは平成の“寅さん”だ!

 27日に放送された『水曜日のダウンタウン・2時間SP』(TBS系)。松野明美のもとに、反乱を起こした人工知能ロボットに対峙する未来の総理大臣となった自分(松野明美)から電話がかかってきて、松野がターミネーターから逃げ惑い、ついには宇宙に行くという企画もすごかったが(企画というより信じ込む松野がすごい)、そのあとに1時間にわたって放送された、ゲスとピュアの入り混じる人間の業を見せてクロちゃん(安田大サーカス)企画が、さらにすごかった。

「クロちゃんツイッター企画第2弾 フューチャークロちゃん」と題されたこの企画。

 

■「第1弾」ではクロちゃんの“嘘”が続々発覚

 

 もともとは「『起きたら人がいる』が結局一番怖い説」というドッキリ企画において、現場スタッフが「(新宿から自宅まで)ウォーキングしながら帰るしん!(しん~は口癖)」というツイートを鵜呑みにして、ドッキリ対象であるクロちゃん宅で準備していたところ、なんと歩かずにタクシーですぐさま帰って来て、現場が大慌てになったことで発覚した「黒川嘘ツイート常習疑惑」。それを検証するために「クロちゃん嘘ツイート監視企画」が行われ、1週間にわたって24時間、本人とそのツイートを監視。放送の中で多くの細かい嘘をついていることが発覚した。

「プロテインとボディーメンテ飲んで夜まで我慢だねー。」とツイートしながら2玉盛りの蕎麦を食っていたり、かき氷とたい焼きしか食べていないダイエットアピールをしながら「牛すじ味噌おでん定食」を食べていたり、主に「ダイエット頑張ってる自分アピール」として放たれる嘘ツイの数々。

 そこで番組が「リアルクロちゃん」という偽アカウントを作成、監視して暴かれた本当の黒川容疑者の行動を逐一ツイート、大きな反響を得た。

 監視といっても生ぬるい監視ではなく、職場、移動中、遠征の先のホテル、プライベートで訪れる先、そして自宅まで常に隠しカメラで撮影、特に自宅にいる様子を「リアルクロちゃん」がリアルタイムで画像付きツイートすると、それを見たクロちゃんはベッドから飛び上がりパニックに。撮影班が自宅に突入しても、驚く以前に「よかったぁぁぁぁぁ」とマックスの安堵を見せるほど追い詰められていた。

 それがあってからの「第2弾」らしい。

 

■いわば「未来日記」

 

 今回は「リアルクロちゃん」ではなく「フューチャークロちゃん」というアカウントが作られ、そこでツイートされた内容は、必ず翌日「現実」になるのだという。いわば『ウンナンのホントコ!』(同)の「未来日記」、ドラえもんでいうところの「あらかじめ日記」的な企画だ。

 今回も10日間にわたり、24時間密着。もちろん本人は承知していない。

 初日、弁当のご飯を半分に減らした画像とともに「ご飯は少なめでいただきます♪」とツイート、しかし当然のごとく減らした分のご飯も食べきる黒川。「息をするように嘘をつく」もはやこういった行為が、彼にとって何も特別でないことがわかる。

 しかし本人がまだ見ぬ「フューチャークロちゃん」が前日にツイートした内容は「お弁当のお肉、全部カエルだったしん!げろげろ~(>_<)」とのこと。カエル肉の唐揚げ、カエル肉のシュウマイ、カエル肉のそぼろなどの特注弁当(味はうまいのだろう)を知らぬ間に食べさせられ、種明かしもないまま放映される。

 クロちゃんはこの番組嘘ツイートが発覚する前は「種明かしをされない」キャラだった。バッグにGPSを仕込まれ、行く先々にカメラが現れても何も種明かしされないなど、本人もそれがなんだったのか謎のまま放置されているので、その放置を見ているこちらも、もはや何も感じない身体にされてしまっている。

 ここで、ある人物が登場する。モデルの小林レイミという女性。

■あの伝説の「蠢くベッド」の時の……

 

 クロちゃんが「レイちゃま」と呼ぶこの女性は、実は以前にもこの番組に出演している。

 寝起きの悪い人を検証する企画。泥酔したクロちゃんが嗚咽しながら自宅のベッドの下に潜り込み、ドタドタとその寝台を揺らしながら蠢き眠りにつくという、スタジオを、いやさ日本中を悲鳴の渦に巻き込んだあの世紀の映像で、クロちゃんを酔わせるために仕込んだ偽の酒飲みロケで共演していたのが、小林レイミだ。

 その後、小林がクロちゃんからしつこく誘われていることを逆手に取り、仕掛け人として再度起用。クロちゃんを飲みに誘いだす。

 確かに見直すと、その「寝起き悪い検証企画」で、クロちゃんは「あーかわいい、好き」「れいちゃま、かわいい」とデレデレしていた。

 おそらく、いくら誘っても会ってくれなかったのだろう。久しぶりの再会に、バカラのシャンペングラスをプレゼントとして持参する気合満々のクロちゃん。

 続けて、あの日(ロケ日)以来、「レイミー(レイニー)ブルーもおおおお~、終わったはず~なのに~」と、つい徳永英明の替え歌を口ずさんでしまうという報告を彼女にしており、ナレーションでは「気持ち悪い」とされていたが、彼なりに本気なのがわかる。

 しかしそれでいて、小林がトイレにいった瞬間、その小林の使用したてのバカラグラスを当たり前のように舐めるという、さらなる「本気」も見せてくれる、期待を裏切らない男・黒川。

 2日目以降も、プライベートで通うジムでの姿が「フューチャー」アカウントで生配信されていたり、意味なく1日に9,600キロカロリーという、致死量なのでは? と思うほどの熱量を摂取させられたりと、その全ての生態が記録、放送される。特に、知らぬ間に生配信されていたくだりはジムキャリーの『トゥルーマン・ショー』(1998)を思い出す不気味さ。

 途中で「フューチャー」の存在を知りつつ、不気味がり、『水曜日の~』の存在に怯えながらも「キスをされる」という未来予言ツイートの際には「急に元気出てきたしん!マジかな!?」と浮かれてツイートするなど、欲に正直な姿がだんたん可愛く思えてくるから不思議だ。(結局キスされたのは同姓同名の「黒川明人」という別人物というオチ)

 

■クロちゃん=寅さん?

 

 よく考えてみると、彼のつく嘘は実にどうしようもないセコい嘘ばかりだ。食べたのに食べてないとか、タクシーなのに歩いたという、悲しいほどのどうでもいい嘘。ここまで24時間10日間すべての居場所を監視され、この程度の「嘘」しか出てこないのは、逆にすごくないだろうか?

 もっと嫌な裏の顔が出てきてもよさそうなのに、「よく思われたい」という誰もが持つ欲望に沿ったみみっちい嘘に、好きな子のグラスを舐めるという小学生のような悲しい行為。

 なんならタクシーの運転手が道を間違えた際(これも仕込みだが)には「逆に睡眠取れました、ありがとうございます」と笑顔でフォローしてのけるのだ。

 どうしようもない、気持ち悪いと思う人がいるのは事実かもしれないが、彼と寅さん、本質的にどこが違うというのか。いつも嘘と見栄で固めて、女を見るとすぐ好きになり、振られる。よく見たら顔も似て見えてくるといったら国民栄誉賞に失礼か。

 どうしようもない寅次郎を憎めないのと同様、「ゲス」で「最低」で「気持ち悪い」を背負い続けるクロちゃんに、少しだがシンパシーを感じる人が増えてるように感じる。

 そして物語は進む。

 行きつけのラム肉の店で食事をしたり、何度かデートを重ね、ますます惹かれていくクロちゃん。途中、青い薔薇をプレゼントし、花言葉「夢は叶う」と一言添えるところも実にうざい本気だし、すぐさま再度こっそりグラスを舐めてくるあたりも、本気のヤバさだ。

 そして迎えた運命の8日目。

 

■「これは見てられへんわ」

 

 その夜遅く「夢が叶う」という設定のパワースポット神社に、小林とタクシーで向かう。車内でふざけながら手をつないだクロちゃんは、手応えを感じているようだ。

 お参りを済ませた後「あっちにベンチあるから座りましょう」と境内裏にある広場に誘う小林。

 ベンチまであと5メートル。「なんか飲み物持ってくればよかった」と、わざとらしく立ち止まる小林。先導して歩いていたのに、急にクロちゃんを先に行かせようとする。この神社に行こうと誘ったのは小林だ。

 ちなみに前日「フューチャー」が予言したツイートは、クロちゃんが落とし穴に落ちるというもの。その落とし穴を、クロちゃんはこの日一日警戒していた。

 小林は正直、仕掛け人としては失格な下手くそ具合だ。しかし、この下手くそ加減がドラマを生む。

 ベンチの絶妙な距離で、立ち止まって先に行かそうとするれいちゃまに、何かを察してしまったクロちゃん。

 ここで来たかと。しかも、明らかにその穴へ誘導してるのは愛しのれいちゃまだ。

 頭の中がこんがらがる。もはや彼が心配してるのは、穴に落ちることでも、これが何の仕事なのかでもない。この恋が終わってしまうのか。れいちゃまとのは思い出は、全て「嘘」だったのかという怖さ。

 嘘のツイートを続けていた男が、自らに迫り来る「嘘」の予感に苦しむという、2017年の日本でリブートされたイソップ童話『狼と羊飼い』。

「一旦座りって話しましょう」と、不自然中の不自然な誘導で押し切ろうとする仕掛け人、兼・恋愛対象の小林。

「ちょっと待ってね、れいちゃま……ちょっと待ってね……」
「そうね、座らないとといけないよね……」

 プライベートな想いと、芸人としての責任感が混在する。

「もしもそうだったら、ちょっと自分の中で整理をしとかないといけないから」

 映画などでよくみる「身内が真犯人」だったシーンを思い出す。

 それに対する小林の「あっ、そうなんだ。何かちょっとよくわかんないけど」といういなし方は、無関係のこっちから見たら相当だが、恋する男にとっては「嘘であってほしい」麗しのれいちゃまだ。わずかな期待を込め、嘘つき野郎が、嘘抜きで語りだす。

「俺はれいちゃまのことを本気でいいなって思ってて、この一週間いいなぁって思ってたから、俺はれいちゃまのこと好きだなっていう……好き……これだけははっきり言っとくね」

 告白。トーンの優しさから、本当に好きなことが伝わってくる。

 おそらくだが、もう彼の中では結論は出ていたのだろう、だからカメラが回ってることもわかってたのだろう。

 小林はおそらく、怪物に告白されてる自分という見え方を意識していたはずだ。だから、ぎこちない。

 しかしここ最近、当たり前のように職場も移動中も、そして自宅にもカメラが仕掛けられている彼にとっては、もはやそんな機器の存在など苦でも屁でもない。

 穴に落ちる前に、どうしても気持ちを伝えておきたかったのだろう。変なアカウントの出現と同時に、並行して流れていた夢のような時間が土に埋もれる前に。

 眼科に行くべき前提のもとに言わせてもらえば、業火に身を焼かれようとも大切な人を守ろうとする英雄見えた。

 おそらく世の多くの冴えない男達たちは、黒川がいろいろ最低だと認識しつつも、得体のしれないシンパシーを感じただろう。

 想いを全て吐き出し「じゃあ、座って、しゃべろうね」そう言ってゆっくり歩き出す英雄。

 おそらく、しゃべるどころか座ることもできないことを、彼は知っている。

 そして、3歩歩いて、落ちた。今、渾身の告白をした女の誘導する罠へと。

 落ちた獲物を確認するでもなく、なんなら落下音にうるさそうに耳を塞ぎ、女は闇に消えた。いや、クロちゃんの中では死んだのかもしれない。

 思わず「これは切ないね」と松本。「いいこともあるからね」と冗談めかしながらもフォローする。モテの代表のようなスタンスのYOUも「クロちゃん頑張って!」と応援するほど。

 前日に1万キロカロリーも摂取させられた影響で4キロ近く太ってるからか、這い上がる姿も苦しみに満ちている。上がってきた顔は、ドッキリを受けた人としてはあり得ないほどの真顔だ。スタッフも誰もいない。地獄。

「これは見てられへんわ」と悲しく笑う松本、「せつない、ほんと」と高橋みなみと呟く。

 2人で来たタクシーの後部座席に、今は一人、流れる街頭の灯が黒川の顔を照らして流れる。『タクシードライバー』(1976)のロバート・デ・ニーロ演じるトラビスのようだ。流れる曲はもちろん「レイニーブルー」。「終わったはずなのに~」という歌詞もぴったりだ。

 失意の中、一人暗い部屋に戻るが、内側に仕掛けられたカメラが当たり前のように、その逆光の黒川を迎え撃つ。部屋で一人、おそろいで買ったバカラのグラスを見つめる、悲しみに浸る。

 この悲しさがクライマックスを迎え、スタジオの空気(観客は引いているかもしれないが少なくとも演者は)が戸惑いながらも感動に染まり上がった瞬間、

「あ、もしもしサエちゃん?」

 と、違う女をラム肉の店に誘うクロちゃん。スタジオの女性客が待ってましたとばかりに悲鳴を上げる。

 予想を超えるクロちゃんのメンタル。「元気でよかった」と思う心と「このゲスが」と罵る心が入り混じる。

 しかし、失恋直後なのに、急遽課された予言での指令に従い、延々と朝までモノボケを続けるクロちゃん。しかしなんだかんだあって、クロちゃんに罰ゲームが決定して企画が終了、番組もこのまま終了……かと思われた!

 

■まさかのオチ

 

 だが、ここからVTRは急展開。罰を受けるらしく、アイマスクにヘッドホンというおなじみスタイルで連れていかれるクロちゃんの耳に流れるのは、あの「レイミーブルー」いやさ「レイニーブルー」。

「思い出すからもぉぉぉぉ! やっと忘れてきたのにぃぃぃ!!」涙が止まらない。

「ほんとに好きだったから、れいちゃまのこと!」本気で泣いてる。

 これほど「レイニーブルー」が似合う場面を筆者は知らない。荻野目洋子の「ダンシング・ヒーロー」や大塚愛の「さくらんぼ」と同じような、間違ったヒットの仕方をしそうな予感すらある。

 ここで、VTR開けてスタジオ。

「今日はなんだか、ふわふわした気分」と「フュチャークロちゃん」が前日にツイートしているらしい。最後の予言ツイートだ。

 この説(何の説だか、もはやわからないが)をプレゼンするサバンナ高橋に「スタジオの上をご覧ください」と言われ全員が見上げた先には、照明に紛れて天井高く吊るされたクロちゃんの姿が! もちろんアイマスクとヘッドホンで正装し、知覚は奪われている。

 悲鳴。もう誰も笑っていない。松本も「もうこんなんいややわ」と体をすくませている。

 収録のはるか前から吊るされていたらしい。2時間特番でしかも収録……観客が入るはるか前ということは、少なく見積もっても4時間以上は前だろう。

 過去のスペシャルでは、「出演者の声、全部モノマネタレントが演じてる」「空気読めない女性タレントは裏で芸人が指示してた」などの大オチで驚かせてくれた同番組だが、今回も仕上げて来た。

 その「物体」が降りてくる。心おきなく絶叫する観客。「それでキャー言われるのもかわいそうやけどな」との松本の正論はもっともだ。

「(目隠し)一生取っちゃだめ」と言われて「まだ光は見たい!」と即座に返すクロちゃん。ゲスや嘘っぷりばかりが注目されているが、これだけの目に遭いながら瞬時にこのコメントを出せるところが、この人のすごいところだろう。

 収録終了後、スタッフに薄々仕掛け人だと感じて、なんで本気で好きになったんですかと聞かれ「惚れた男の弱みだよ」と、まさに寅さんのごとくナルシスティックに嘆いた直後、「『サエちゃん』って誰なんですか?」と唐突にぶつけられ、一瞬とまどった後、「……誰ですかね」と、冷酷な目でシラを切るというオチまで見事な真っクロさ。

 これからも『水曜日~』で彼がどんな地獄を見続けるのか、クロちゃんの黙示録に期待したい。
(文=柿田太郎)

テレビウォッチャー・てれびのスキマが選ぶ、2017年のテレビ事件簿【バラエティ編】

 2017年のテレビバラエティで大きな“事件”といえば、『めちゃ×2イケてるッ!』と『とんねるずのみなさんのおかげでした』(ともにフジテレビ系)の終了発表だろう。「楽しくなければテレビじゃない」というフジテレビイズムを色濃く残していた両番組の終了は、1980年代以降、脈々と受け継がれてきた“フジテレビ的”なものが遂に終わってしまうのか、と時代の移り変わりを実感し、寂しくなってしまう。

 だが、前者は20余年、後者は『おかげです』時代を含めれば30年以上、フジの看板を支えてきた。「打ち切り」のようなネガティブな言葉では語りたくはない。終了までの約3カ月、どんな幕の閉じ方をしてくれるのか、全力で楽しみたい。

 一方で、同じくフジテレビの番組でネガティブに語るしかない番組終了もある。たとえば『人生のパイセンTV』や『久保みねヒャダ こじらせナイト』だ。「フジテレビらしさ」の一つの方向性として、「JOCX-TV2」枠以降の深夜番組があった。演者も作り手も若手を積極的に起用し、チャレンジングな企画を通して育成したり、テレビ的ではないマニア寄りのサブカルチャーやカウンターカルチャーを取り入れた番組を作ってきた。そうした系譜にある番組を決して視聴率が低いわけでもないのに終わらせてしまったのは、とても残念だった。

 そんなフジテレビの、迷走なのか転換なのか……が目立った2017年のテレビバラエティを振り返ってみたい。

■「クセがすごい!」が受け入れられた千鳥

 2017年は、千鳥の年といえるのではないだろうか。

 12年頃、東京進出を果たした千鳥は、その“クセのすごさ”が足かせとなって、なかなか本領を発揮することができなかった。14年には『アメトーーク!』(テレビ朝日系)でも「帰ろか…千鳥」という企画が放送されたほどだ。

 しかし、16年頃から状況が変わっていく。在京キー局で初の千鳥メインのレギュラー番組『NEO決戦バラエティ キングちゃん』(テレビ東京系)が作られ、『アメトーーク!』でもノブの「クセがすごい!」が番組の流行語大賞に輝き、『THE MANZAI』(フジテレビ系)でも、「たけし賞」に選ばれた。

 その勢いのまま、17年には期間限定だった『キングちゃん』が異例の復活を果たしたり、『イッテンモノ』(テレビ朝日系)をはじめ、多くの千鳥なしでは考えられない番組が作られた。内村光良をはじめとする共演者は、いつの間にか千鳥独特のクセがすごい口調を真似するようになり、視聴者にもそのクセが感染していった。

 一方、17年のお茶の間の注目を浴びたのは、1月1日にテレビほぼ初出演で瞬く間にブレークしたブルゾンちえみだろう。自ら「私のネタは面白いんじゃない。気持ちいいの」と公言。お笑い芸人の規格から最初から飛び出しており、早くも『24時間テレビ』(日本テレビ系)のマラソンランナーに選ばれたり、メインキャストとして堂々とドラマにも出演した。

 規格外といえば、ANZEN漫才のみやぞんや、にゃんこスターもそうだ。前者は圧倒的なポジティブさと底なしの人の良さ、そして驚異的な身体能力で、有吉をして「天才という病気」と言わしめた。後者は、破壊的ネタもさることながら、特にアンゴラ村長はいわゆる「芸人らしさ」からは無縁。ベンチャー企業の社員で、相方との恋人関係を公言し、別れたら解散とあっけらかんと宣言。「顔とか生まれとかを蔑む笑いは古い」と言い放ち、女芸人が注目を浴びた17年に新しい女芸人像を提示した。

■ナスDが象徴する「ウソのないドキュメンタリー」

 2017年の“顔”といえば、「ナスD」の黒紫色の顔だ。

『陸海空 地球征服するなんて』(テレビ朝日系)に番組スタッフとして登場したナスDこと友寄ディレクターは、南米の奥地に潜入し、現地の部族が勧める食べ物を片っ端から食い、それどころか、現地の人がやめておけと言うものまで食ってしまう。そんな圧倒的キャラクターで、同行したU字工事の存在も食ってしまった。遂には部族の「美白にいい」という話を真に受け、刺青の染料にもなるウィトを体中に塗りたくった結果、肌の色がナス色になってしまったのだ。

 しかし、この番組が視聴者を惹き付けたのは、ナスDの強烈なキャラクターのせいだけではない。部族の中には、観光客に原始の生活を見せ、お金を稼ぐ“観光部族”がいる。普段は服を着て生活しているが、観光客が来ると、服を脱ぎ、踊りを踊る。通常の番組であれば、その部分だけを放送するのだろうが、この番組は違った。服を着て帰る姿もカメラに収め、そのまま交渉し、普段の生活まで撮りに行く。その“ウソ”のなさが支持されたのだ。

 いま、視聴者は“テレビ的なウソ”に対するアレルギーが強い。そうした反動からか、『陸海空』をはじめとするリアルなドキュメント系バラエティが人気を博した。『池の水ぜんぶ抜く』(テレビ東京系)もそうだろう。その名のとおり、池の水を抜くという一点勝負。いかにもテレビ東京らしい、テレ東でしか通らない企画だ。

 同様にテレ東でなければ実現しなかったであろう『ハイパーハードボイルドグルメポート』も衝撃的だった。「ヤバい世界のヤバい奴らのヤバい飯」というサブタイトルが示すように、リベリアの墓地に住む元少年兵や、中国マフィア、対立するギャングの両メンバーといった危険な場所に潜入し、その食事をレポートするというもの。「食べる」ことが「生きる」ことなんだということを実感する、ヒリヒリしたグルメ番組だった。

 この番組ではナレーションが一切なかった。NHKのドキュメント番組『ノーナレ』などでも同様の手法を使っていたが、こうしたテレビ的にわかりやすくするという演出を排したことで、生々しく伝わってきた。つまり、わかりやすさよりも伝わりやすさが優先されたのだ。それが“テレビ的なウソ”を嫌う今の時代に合致していた。

■各局、各時間帯を活性化する有田哲平

 17年は有田哲平の活躍も忘れられない。まさに円熟期に入り、一時代を築き上げている。

 ゴールデンタイムの『しゃべくり007』(日本テレビ系)ではスターたちを相手にボケまくり、『全力!脱力タイムズ』(フジテレビ系)では「報道番組」のテイで、中堅芸人をムチャ振りで追い込み新たな魅力を引き出す。深夜の『有田ジェネレーション』(TBS系)では、まだ無名の若手に光を当て発掘、『くりぃむナンチャラ』(テレビ朝日系)では、自らさまざまな企画を生みながらプレイヤーとしても番組を盛りたてる。ネット番組でも『有田と週刊プロレスと』(Amazonプライム)で、豊富なプロレス知識を活かした巧みなトーク術を見せつけている。

 お笑い番組が作りにくい時代に、各局・各時間帯で、種類も相手も角度もさまざまなお笑い色の強い番組を安定して放送しているのは、驚異的だ。さらに今年は、ドラマ『わにとかげぎす』(TBS系)にも主演。うだつのあがらない中年男性を見事に演じきった。まさに全方位的な活躍だった。

 特に『脱力タイムズ』は、回を追うごとに凄みが増してきている。基本的にはゲストの中堅芸人と綿密な打ち合わせをしつつ、それをさまざまな形で無視してぶち壊し、困惑させていくという形式。だから、それほど多くのパターンはないだろうと思い、短命に終わるのではないかと思っていた。だが、それは杞憂に終わる。次々と予想の斜め上に行き、毎回驚かせてくれるのだ。いまや、出口保行、五箇公一ら解説員は独自進化を果たし、ナレーションで起用された滝沢カレンは破壊的日本語で大ブレイクを果たした。

 有田は、若手から中堅の芸人はもちろん、芸人以外のジャンルのタレントの新たな魅力を引き出し、現在のテレビを活性化させている。

 今年はネット番組が、バラエティのジャンルでも本格的に“始まった”年と言えるだろう。それまでは地上波の番組よりも“格下”で、低予算というイメージだったが、昨年末から始まった松本人志による『ドキュメンタル』シリーズを皮切りに、浜田雅功の『戦闘車』、野性爆弾の『ザ・ワールド チャネリング』、前述の『有田と週刊プロレスと』(以上、Amazonプライム)やNetflixでは明石家さんまのロングインタビューがCMとして制作された。AbemTVでは『おぎやはぎの「ブス」テレビ』、『日村がゆく』、『フジモンが芸能界から干される前にやりたい10のこと』、『必殺!バカリズム地獄』など数多くのオリジナル番組が作られている。さらに、ジャニーズ事務所から退所した香取慎吾、稲垣吾郎、草なぎ剛による「新しい地図」が『72時間ホンネテレビ』を放送し大きな話題となった。

 これらに共通するのは、出演者も作り手も地上波の第一線で活躍する人たちだということだ。つまり、よく敵対構造で語られがちなネット番組だが、実際はそうではなく、テレビと地続き。視聴者にとってもタレントやテレビマンにとっても、テレビの可能性や楽しみ方が広がっただけなのだ。

 いわば、テレビは第二の創世記を迎えたのだ。

 そんな新たな時代を迎えたテレビがどのような進化を遂げるのか。18年はその試金石になりそうだ。
(文=てれびのスキマ http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/

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