おっさんレンタルに始まり、レンタル彼女、レンタル彼氏。はたまたレンタル家族など、さまざまな「○○レンタル」が登場している今、2016年に始まった「Woman Rental(以下、ウーマンレンタル)」というサービスが注目を集めている。
■出会い系サービスとはまったく異なる
「ウーマンレンタルとは、サイトに登録をしている20〜50代のウーマンの中から、希望の女性を1時間からレンタルできるサービスです。話し相手や相談、買い物やイベント同行など用途はさまざまですが、性的サービスや犯罪・反社会的行為、公序良俗に反する目的のレンタルは一切お断りしています。サイトそのものとしては、ウーマン自身のプロフィールを掲載する『人間レンタル(時間貸し)ポータルサイト』に近い位置づけかと思います」
そう話すのは、同サイトを運営する“表参道ノハゲ”こと、イケダシトムさん。レンタル料は、登録しているウーマンが自ら設定した1時間当たりの単価×時間を事前にクレジット決済。当日の移動交通費と飲食代はユーザーが負担するシステムだ。
「新種の出会い系サービスと間違われることがありますが、本質的にはまったく異なります。一般的なマッチングサービスは色恋目的やビジネス目的など、双方の目的が明確です。対してウーマンレンタルでは、利用者の目的は多種多様。基本のルールを守れば、目的は利用者の自由だし、その依頼を受けるかどうかもウーマンの自由。どんな依頼が来るのか、ウーマン側もワクワクしているそうです(笑)」
このサイトは商取引上、ウーマンと依頼者それぞれ個人に取引の場を提供し、決済を代行するサービスなので、雇用関係や業務委託関係にはないという。時間当たりの価格設定も、ウーマン自身が決める……双方にとって、どうやら自由度の高いサービスのようだ。
■離婚の相談も……赤の他人でなければ聞けない話
2017年12月の時点で、登録ウーマンの数は30名。人気ウーマンはプロフィールを随時非公開にすることもあるが、平均で20名前後のウーマンが名を連ねる。たびたびメディアでも取り上げられて知名度も上がり、今では月間100件のオーダーが届くという。
「ウーマンレンタル利用者の男女比は半々。年齢層も10〜60代と幅広く、職業も主婦、OL、学生や経営者などバラエティ豊かです。そのため、利用目的も多岐にわたります」
老若男女問わずウーマンを借りており、利用者の数だけ目的があるが、なかでも、お茶や食事をしながら相談に乗ってもらう「相談相手」としてのレンタルが多いとか。
「相談案件におけるキーワードで女性に多いのが『人生・自立』、男性に多いのが『恋愛・結婚』です。あとは、それぞれのウーマンの個性によって得意分野があり、子育てを終えたアラフィフのウーマンには離婚の相談、ビジネスに強いウーマンには起業相談、美容やファッションに長けていれば買い物同行などのニーズもあります」
既婚男性から“健全な非日常”として、食事しながら楽しくおしゃべりをしたい、というオーダーも。性的サービスや危険な要求などは、本当にないのだろうか?
「正直なところ、紳士的な男性利用者が多いことに驚いています。ただ、レンタルはカフェなどの公の場で行うことや、そのほかのリスク回避の方法を登録ウーマンにレクチャーして、安全なレンタルが実施されるように心がけています」
利用者のモラルとウーマンの自衛策によって、健全なサービスが運営されているようだ。
それにしても、相談に乗ってくれそうな20〜50代女性は巷にあふれているような気がするが、なぜ利用者はわざわざウーマンをレンタルするのだろうか?
「男女問わず、まったくしがらみがない赤の他人だからこそなんでも話せる、という人はとても多いと思います。親や先生には話せないことを相談したい、という学生からの依頼もありました。自分よりも多くの人生経験を積んでいる人に『話す』ことで、なんらかの『答え合わせ』をしている方が多いように感じます」
明確なアドバイスを求める依頼者もいれば、すでに自分なりの答えが出ており「背中を押してほしい」という相談や、同じ境遇にあるウーマンに共感してほしいという内容も。女性のこまやかな洞察力や共感力が、ウーマンレンタルの肝となっているのだ。
ウーマンレンタルを運営するイケダさんは、もともと「おっさんレンタル」で“表参道ノハゲ”という名で活動していた(現在は独立)。そんなイケダさんは、人と人がリアルに関わるレンタルサービスが注目を集める理由を、こう分析する。
「家族や仕事以外のリアルな『つながり』を面倒に感じて、心身ともに引きこもりがちな人が多いなか、それでもリアルに人と関わっていたいという人間の本能が、このようなサービスの需要につながっていると考えています。SNSが発達した今も、寂しさや孤独感はリアルなコミュニケーションでなければ、本質的には解消できない。そのつながりをレンタルとして割り切って利用できるおっさんレンタルやウーマンレンタルのようなサービスは、若者を中心に浸透していく可能性が高いですね」
デジタルネイティブな若い世代ほど、効率的でリアルなコミュニケーションを求めているのかもしれない。今後の展開とは?
「個人の生活とはまったく関係がない赤の他人だからこそ、本音で話せることがありますよね。そのなかでも女性に特化したツールのひとつが、ウーマンレンタルであることを“ハゲしく”お伝えしていきたいです」
ウーマンレンタルは、ただの箱。今後、コンテンツの力が上がるかどうかは、登録ウーマンの個性や活躍にかかっている、とイケダさん。
「この種のサービスは、まだまだ俗っぽく勘違いされやすいのですが、今後は在籍しているウーマンが周りの人に『ウーマンレンタルやってます』と胸を張り、利用者のみなさんが『この前ウーマンレンタルを利用したら……』と堂々と言えるようなコンテンツになることを目標にしています」
レンタルウーマンになりたいと応募してくる女性も、増えてきているという。
「応募してきてくれるのは、30~40代の年齢層の女性が圧倒的に多いです。経営者や特殊スキルをお持ちの方など、自分に自信があって、強い向上心を持っているという傾向がありますね」
明確な採用基準は設けていないが、「ウーマンレンタルのコンセプトを、しっかり理解・同意しているか」が重要だという。
「年齢に関係なく、お話をしていて『不快感』がないか、きちんと会話が噛み合うか、などを重要視しています。スキルや経歴、ビジュアルは付加価値程度ですね。幸いなことに、ほとんどの方がウーマンレンタルの趣旨をきちんと理解した上で応募していただいているようで、採用率は約80%ほどです。サイトの内容をまったく読まずに『いくら稼げますか?』というような人は、基本的にお断りしています」
ウーマンレンタルは安定的に稼げる仕事ではないため、「バイト感覚では務まらない」とイケダさん。もともとつかみどころのないサービスだがらこそ、コンセプトの共有が大切なのだろう。とはいえ、人気が高く、オーダーが多いウーマンなら、それなりに稼げるのだろうか?
「売り上げベースでいえば、過去最高で月20万円を超える方もいます。オーダー件数が多く、月に10~20件の依頼が入る方もいますが、価格設定が個々に違うため、オーダー件数が多くても売り上げが低くなってしまうことはありますね。ひとりの人間として、真の市場価値を知ることができるのが、ウーマンレンタルの面白さだと思います」
今後、大きなサービスになっていきそうなウーマンレンタル。誰にも言えないお悩みは、近くの親戚より他人のウーマンに相談してみると、解決の糸口が案外見つかるかもしれない。
(真島加代/清談社)
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