昭和62年から「男女精力百貨店」として、全国で精力剤を販売するパイオニア「あかひげ薬局」。前編から続いて、横浜店・佐藤慎一氏に話を伺っている。後編では、同社で取り扱う30日分で194万円という車が買えるレベルに高価な健康食品についてや、来店客の切実な悩みについて話を伺った。男性の塗る精力剤は竿に塗るのか袋に塗るのか。この原稿を読めば、それが理由とともにわかるだろう。
■男性の「塗る」精力剤は竿と袋のどちらに塗るのか?
――精力剤として飲み薬と塗り薬がありますが、これらの違いは何でしょうか?
佐藤慎一氏(以下佐藤) 飲み薬は主に小腸から吸収されるので効き目が早いです。一方、塗り薬は皮膚から血管に入るので内臓に負担がかからないですね。ですので、内臓が弱い方ですと塗り薬を紹介していますね。
――塗り薬は、いわゆる局部に塗るんですよね?
佐藤 はい。男性の場合「袋」の部分に塗るんです。袋の部分は柔らかくて吸収がいいのと、腸と一緒で広げると面積が広いためです。ちなみに、女性用ホルモンの内服剤(飲み薬)は、市販が認められていません。婦人科でのみ処方されます。ピルもそうですよね。ですので、当店でも女性用の精力剤は塗り薬のみを提供しています。
――女性が男性ホルモン、もしくは男性が女性ホルモンを服用したり、塗ることはあるのでしょうか?
佐藤 性同一性障害の方などではあるかもしれませんが、そういった目的で来店される方は多くはいらっしゃらないですね。ただ、外陰無毛症(陰部の毛が生えない)の女性の場合、治療として男性ホルモンを塗るという認可は下りています。
――あかひげ薬局の商品は「絶倫粉」「ストロングミサイル」など、攻め一直線のネーミングで素敵です。どなたが考えているのですか?
佐藤 弊社社長、内原茂樹です。医薬品の場合弊社の一存だけでは決められないのですが、健康食品に関しては攻めたネーミング展開をしています。※
※医薬品とは病気の予防や治療を目的とし、成分、効果、副作用、用法用量、安全性等の調査を行い、厚生労働大臣、都道府県の知事から承認を受けたもの。
――確かに、あかひげ薬局の商品ラインナップを見ても、医薬品のものは「ヘヤーグロン」「トノス」など控えめですね。(前編で触れた売れ筋商品「絶倫粉」は健康食品扱い)。
――横浜店は午前9時開店、午後10時閉店(日祝は午後8時閉店)です。しかし、「朝9時! 精力剤がほしい!」という方がいるのかなと……。
佐藤 いらっしゃいますよ。開店前から待たれている方もいます。「今日の夜、デートになったけど心配だから」という方もいらっしゃいます。さまざまな事情の方に対応できるよう、なるべく長い時間開けるようにしています。
――横浜店は繁華街、伊勢佐木町の大通りに面して入り口がありますが、目立たない裏手にもひっそりとした入り口を設けていますね。どちらの入り口から訪れる方が多いですか?
佐藤 7割以上のお客様が裏手からですね。店に入るまでは、なかなかハードルが高いと思います。
――外観はどの店舗も赤を基調にしていて派手ですが、中に入ると商品のネーミングが攻めているだけで、普通の薬局という雰囲気です。スタッフの皆さんが白衣を着ていて、風邪薬なども売っていて。
佐藤 「予約制ですか?」とたまに質問をいただきますが、予約制ではないのでお気軽に来ていただければと思います。
――いわゆる繁忙期はあるのでしょうか。
佐藤 10月から翌年の3月ぐらいまでが繁忙期に当たります。12月はクリスマスなどイベントもありますし、ボーナスも入りますからね。クリスマス前は多くの方がいらっしゃいます。また、今のような暑い時期ですと「性」というより「体の健康」のために強壮剤※などを買われる方も増えますね。
※強壮剤…男性、女性ホルモンの「強精剤」と違い、栄養ドリンクや漢方薬などのように「滋養強壮」を目的としたもの。強精剤と異なり、男女共用で服用できる。なお、バイアグラは「勃起剤(勃起薬)」。
■飲み物に数滴入れるタイプの商品も提供
――夫婦、カップルの来店は多いのでしょうか?
佐藤 さまざまですね。お二人でいらして飲まれる方もいらっしゃいますし、旦那さん、奥様のどちらか1人が来て「夫が妻に(妻が夫に)もっとやる気を出してほしい」と、やる気のないパートナーに「飲ませる」ためや「性交痛」で苦しむ奥様のためにご相談に来られるケースもありますよ。
――「相手が嫌がって飲みたがらないケース」もありそうですよね。
佐藤 はい。実際よくご相談を受けますね。「媚薬系を料理に入れてもいいか?」と、妊活中の奥様から聞かれるケースもあります。加熱で成分はそこまで変わりませんが、自然のものなので商品によっては若干匂い、風味はありますので、味の濃いものに混ぜてもらえればと思います。また、飲み物に垂らすタイプの「エロチックエクスタシー」も用意しています。
――飲んでから効くまでの時間はどのくらいなのでしょうか?
佐藤 商品によってまちまちですね。医薬品は30分から1時間で効果の出るものが一般的です。
――あかひげ薬局で相談される、男性・女性で多い悩みはなんでしょうか?
佐藤 男女別というより共通しており、性欲減退、精力減退、性感減退、勃起力減退(女性の場合はクリトリスが感じないなど)ですね。やっぱり、もともとは体の健康なんですよね。ストレスがあると精力減退になりますし、また、性欲は消費しないと循環しません。元気がなくなって性交の回数がなくなると、ますますその気がなくなってしまうんですよね。セックスレスがますますセックスレスを呼んでしまいます。
妊活の場合は特に難しく、女性側があまり「子ども子ども」となって「この日は妊娠しやすいから!」となると「作業」になってしまい、男性側は引いてしまうというのはあると思いますし、実際にお客様からよくご相談を受けますね。
――今までで印象的だったお客さんや、佐藤店長が仕事をしていて、うれしく感じた瞬間について教えてください。
佐藤 70歳後半くらいのお客様が、50歳くらいの息子さんを紹介してくれたケースがありましたね。あまり親子でそういう話をすることって少ないですから、いいなあ、と思ったのでよく覚えています。
うれしいのは、お客様からお礼の言葉をいただいたときですね。高齢のご夫婦の方から、お礼にと菓子折りをいただいたこともあり、感激しました。弊社では「元気になるもの」を販売していますから、結果を出すことが大切ですので。
――確かに、ビタミン剤は「なんとなく飲んでる」でもいいですが、精力剤の場合ですと明確な「成果」が求められますよね。販売されている中で、一番高い商品は何でしょうか?
佐藤 「高天原精力源」です。約30日分で194万4,000円ですね。
――日産「マーチ」より高いんですね。
佐藤 高額ですが人気があり、リピータ―の方も多いです。弊社のオーナーが、最高の健康食品を作ろうと開発した商品で、真珠やゴウカイ、イッカクの角など「古来から良い」といわれるものをすべて入れた珠玉の商品ですよ。
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取材後、編集Y氏と私はあかひげ薬局でそのまま強壮剤のドリンクを購入した。Y氏はジャニーズコンサートの前に飲むと言っており、膝を打った。萌えたい直前に強壮剤。有意義すぎる使い方だ。鼻血も吹き出る勢いで、さぞかしいい夢が見られるだろう。
(石徹白 未亜)