経済制裁発動中のはずが……北朝鮮で日本のビールが大人気のワケ

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ルーマニア大使館員の訪問で判明した日本のビール輸入=中央下段(北朝鮮サイト「朝鮮の今日」より)
 朝鮮半島危機で日本や米国のほか、血の盟友といわれた中国からも経済制裁を受ける北朝鮮。西側メディアは「崩壊も近い」と報じているが、同国内では日本製のビールやウイスキーがブームになっているという。日本政府は北朝鮮との間ですべての輸出入を禁じているはずだが、今日も平壌では労働党幹部や成り金が、アサヒスーパードライで酒盛りをしているんだとか……。  5月11日、北朝鮮の労働新聞は「在朝ルーマニア大使館員が大同江ビール工場を参観した」と報道。ネットメディアも写真入りで報じた。  大同江ビールはドイツのビールプラントを輸入して製造している本格的なブランドで、いまや中国にも輸出されるほどに成長。スッキリとした味わいは、日本の北朝鮮マニアの間でも一目置かれる存在だ。 「報道の写真を見て驚いた。工場の冷蔵庫にアサヒスーパードライとキリン一番搾りが見える。値札も付いており、どう見ても売り物だ」とは、日本の民間研究機関で働く研究者。缶ビールならまだしも、冷蔵庫の奥に見えるのは瓶ビール。しかも、鳴り物入りのビール工場でなぜ、ライバルのアサヒやキリンが平然と売られているのか? 「金正恩時代になって、企業の自助努力でモノを売れば、一定の利益は国に上納しなくてもよくなった。大同江ビール工場も日本の密輸業者と取引をして、左党が集まる売店で売っているのだろう。金儲けの意欲が感じられる」(同)  実は韓国でも、数年前から日本の居酒屋ブームが起きている。ソウルの街角には、あちこちでアサヒスーパードライのロゴが入った看板が出されており、政治よりも先に日本のビールが南北統一してしまった格好だ。
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北朝鮮の食堂に並ぶ酒も日本ブランドが多い
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露店にも日本のウイスキーが!
 中朝を行き来するブローカーの男性は「ある程度、自由な商売ができるようになって、成り金が増えた。権力のある労働党の幹部や新しい富裕層が、日本製のビールや酒を楽しんでいる。もともと在日朝鮮人の祖国訪問の土産で、高級ウイスキーが珍しくて人気だった。今は流通が発達して、道端の露店でもサントリーのレッドやトリスの小瓶が売られている」と明かす。  日本政府は「圧力」をかけるため必死に禁輸措置を継続しているが、実態はザルで、平壌の成り金たちは浴びるように日本の酒を飲んでいる。    それにしても、準戦時体制に酒盛りとは随分と肝が据わった話だが、先のブローカー男性は「実は、北朝鮮の市民に、まったく緊張感はない。朝鮮中央テレビや官製メディアが『無慈悲な打撃で焦土化する』と煽っているが、脅しは年中行事で、慣れっこになっている。それに、北朝鮮のメディアは限られているので、ほとんどの市民は周辺国で何が起きているのか知らない」という。鎖社会も、プラスに働くことがあるようだ。

イタリアでは日本のアニメが猛烈な人気だった!? 永井豪が大好きな映画監督にその内情を聞いてみた

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超人化したエンツォ(クラウディオ・サンタマリア)をアレッシア(イレニア・パストレッリ)は『鋼鉄ジーグ』の主人公と混同する。
『マジンガーZ』『キューティーハニー』など、TVアニメのジャンルでも数々の傑作を残してきた天才漫画家・永井豪。欧州での人気も高いとウワサには聞いていたが、これほどだったとは!? イタリアで大ヒットした実写映画『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』は、1970年代にイタリアでもテレビ放映された永井豪原作アニメ『鋼鉄ジーグ』(英題『Jeeg Robot』)がきっかけで、ローマで暮らすケチなチンピラ男が正義のヒーローへと目覚めていくというユニークなアクションドラマ。イタリアでは2016年の年間興収ベスト5にランキングされ、その年のイタリア国内の映画賞を席巻するなど、多くのイタリア人の心に突き刺さった作品なのだ。来日したガブリエーレ・マイネッティ監督にイタリアでの永井豪作品の人気ぶり、そしてイタリアでこれまでスーパーヒーローものが生まれなかった社会背景について尋ねた。 ──イタリアで日本産TVアニメの放映が始まったのは1978年から。中でも永井豪原作の『UFOロボ グレンダイザー』(英題『Goldrake』)は凄まじい人気を呼び、翌年には『鋼鉄ジーグ』が放映されることになったそうですね。1976年生まれのガブリエーレ監督は当時まだ3歳だったわけですが……。 ガブリエーレ・マイネッティ イタリアでも「君の年齢で『鋼鉄ジーグ』を知っているのか?」と驚かれることがあります(笑)。でも、『鋼鉄ジーグ』はイタリアでも人気だったので、何度も夕方に再放送されていたんです。僕らの世代や僕らよりちょっと上の世代にとっては、日本のアニメーションは特別な存在。日本のアニメーションは僕らの心の中に根づいていると言っていいくらいです。最近ではテレビの地上波で日本のアニメが流れることは少なくなりましたが、ケーブルTVのアニメ専門チャンネルでは、今でも『鋼鉄ジーグ』が放送されているんです。 ──永井豪作品の中では『鋼鉄ジーグ』は、それほど評価の高い作品ではありません。ガブリエーレ監督は『鋼鉄ジーグ』のどこに魅了されたんですか? ガブリエーレ 永井豪の作品はどれも魅力的です! バイオレンスに満ちあふれていて、しかも道徳的ではありません。子どもの頃の僕は暴れん坊だったこともあって、永井豪作品の正義を押しつけようとしない作風にはとても親しみを感じました。『鋼鉄ジーグ』は日本ではあまり人気がないということも知っています。イタリアでも、より人気が高いのは『マジンガーZ』。米国ではヒーロー気取りの人間のことを『スーパーマンかよ』と揶揄しますが、イタリアでは『マジンガーかよ』と言うほど定着しているんです(笑)。でも、『鋼鉄ジーグ』は僕にとって特別な存在。『鋼鉄ジーグ』の主人公・司馬宙はいつも暴走気味で、失敗もするけど、最終的には正しいことをする。イタズラ好きだった少年時代の自分を肯定されているように思えたんです。それに磁石で手足が自由にくっついたり離れたりする、ジーグロボの玩具も素晴しかった。『ジーグ』はつまんねぇというヤツがもしいれば、僕は決闘を申し込みたい。そのくらい、僕は『ジーグ』のことを愛して止みません(笑)。『ジーグ』のことを愛しているのは僕だけではありません。イタリアのあるドキュメンタリー番組は、社会にはびこる不正を正すという内容のものなんですが、その番組のテーマ曲として『鋼鉄ジーグ』の主題歌が流れるんです。このことからも、『鋼鉄ジーグ』をはじめとする日本のアニメをイタリア人がいかに熱烈に愛しているかが分かってもらえるんじゃないでしょうか。 ──処女作には監督のすべてが込められていると言われますが、長編デビュー作に『鋼鉄ジーグ』をモチーフにすることは最初から考えていた? ガブリエーレ 最初はそうではありませんでした。イタリアでいちばん人気のある『グレンダイザー』をモチーフにできないかと考えていたんです(笑)。でも、ストーリーを考えていくうちに、自分のことしか考えないダメな主人公が内面的に徐々に変化していくという映画の内容に相応しいのは、『鋼鉄ジーグ』しかないと思うようになっていったんです。
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毛糸で編んだジーグロボのマスクを手にしたガブリエーレ・マイネッティ監督。「永井豪先生は神のような存在です」。
■明るいイタリア人の知られざる国民性とは……? ──主人公のエンツォ(クラウディオ・サンタマリア)はローマの下町で暮らすゴロツキ野郎。置き引きなどのケチな犯罪でお金を稼ぎ、後は自宅のアパートでエロDVDを観ているという最下流人生を送っている。そんなエンツォは川に不法投棄された放射性廃棄物の影響で、未知のパワーを得ることに。陽気な国イタリアのダークな部分がディテールたっぷりに描かれているのも印象的です。 ガブリエーレ 警察に追われたエンツォが飛び込むのは、テヴェレ川です。ローマ市を二分する川で、しかもローマ神話ではローマの街の始まりとなったとされているエリアでもあるんです。そんな神話の言い伝えられる川で、エンツォは洗礼を受けて生まれ変わるわけです。実際問題として、イタリアの水質汚染や土壌汚染は大変な事態になっています。かつてはテヴェレ川で子どもたちは泳いだりしたんですが、水質汚染で遊泳することは法律で禁じられています。また、ローマ市郊外の荒廃した貧しい地区では、水道代を払えない人たちが下水をシャワー代わりに浴びたりしていましたが、それも禁じられています。汚染物質がまったく処理されないまま、川などに棄てられ、深刻な環境汚染を招いている状況なんです。ナポリのあるカンパニア州では土壌汚染が酷く、ガン発生率がとんでもない数値になっています。そういう社会背景もあって、テヴェレ川に棄てられた放射性物質の影響で主人公は超人パワーを得るというアイディアを思いついたんです。 ──主人公エンツォはイタリア市民の怒りを具現化した存在でもあるんですね。イタリアではこれまで国産のスーパーヒーローが存在しなかったと聞いています。スーパーヒーローが過剰気味の日本から見ると不思議に思えるんですが、ガブリエーレ監督はその理由をどう考えていますか? ガブリエーレ スーパーヒーローものをどうすれば現代のイタリア社会で成立させることができるかを本作の脚本を書く際に熟考したのですが、素晴しいスーパーパワーが手に入った場合、すぐに社会正義をなすだろうかということがいちばんの疑問でした。実際にそんな能力が使えたら、他人のためじゃなくて自分のために使うんだろうなと(笑)。イタリア人をひとつに括ることはできませんが、イタリア人の傾向としてエゴイストな性質があると思うんです。自分や自分の身内さえよければいいと。社会問題が起きると、何かスケープゴートになるものを見つけて、それを叩くことで満足してしまう。もちろん、政治の世界などではカリスマ性のある指導者は過去に存在したと思うけれど、現代のイタリアにはスーパーヒーローと呼べる存在はいません。それなら映像文化と共に育ってきた自分たちの世代が自分たちに相応しいスーパーヒーロー像を考えてみよう、ということで生まれたのが本作。スーパーパワーを手に入れたエンツォは最初はATMを丸ごと盗むなどの犯罪行為を重ねますが、ヒロインと出逢うことで徐々に内面的に変わっていく。そして、そのヒロインが熱狂的に愛するアニメが『鋼鉄ジーグ』だったという内容になったんです。 ──付き合う女によって男が変わっていく──というドラマ展開のほうがイタリア人にはリアルだったんですね。怪力自慢の自己チュー男と頭の弱いヒロインという組み合わせはイタリア映画界の名匠フェデリコ・フェリーニの『道』(54)を彷彿させ、ホロッときます。 ガブリエーレ 確かにそうですね。イタリア人にとってはフェリーニ監督の『道』はとても特別な作品です。でも、今回の作品は『道』を意識したわけではありません。どちらかというとリュック・ベッソン監督の『レオン』(94)に近い。本作の主人公エンツォは自分のお気に入りの甘いヨーグルトばかり食べているけど、『レオン』の大男ジャン・レノが子どもみたいにミルクを飲んでいるみたいなもの。あのときのナタリー・ポートマンは少女だったけど、大人の女性のような魅力を持っていた。本作のヒロインであるアレッシア(イレニア・パストレッリ)は身体は大人の女性なんだけど、頭の中は無垢な少女のまま。『レオン』のヒロインとは対称的な設定になっているんです。
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ヴィラン役のジンガロ(ルカ・マリネッリ)。ナルシストチックな狂乱演技で物語の後半を大いに盛り上げる。
■欲望に忠実な永井豪ワールドの住人たち ──イタリアでは永井豪原作の巨大ロボットものが大人気だったようですが、日本では『デビルマン』や『キューティーハニー』は時代を越えて今も愛され続けています。他の永井豪作品はどうですか? ガブリエーレ 『キューティーハニー』は変身中に洋服が破けちゃうシーンが忘れられません(笑)。『キューティーハニー』は残念ながら、イタリアでは地上波では放映されませんでしたね。永井豪作品にはポルノチックな要素もあり、もちろんそこも大きな魅力です。『デビルマン』に関しては時間がどれだけあっても語り足りないくらい、僕は大好きです。アニメ版もコミック版もどちらの『デビルマン』も大好き。スーパーヒーローが正義のために戦うのはすっごくストレスを感じることだと思うけど、でもデビルマンは怒りのパワーが悪と戦うための原動力になっている。永井豪作品を観る度に「お前は正しい。お前はお前のままでいいんだ」と自分を肯定してもらっているように思えてくるんです。僕が映像表現の世界に進んだのは、子どもの頃に観たそういった日本のアニメーションに感動したからなんです。 ──2012年にガブリエーレ監督が撮った短編映画『Tiger Boy』は覆面を被ったプロレスラーに憧れる少年の成長ドラマでした。「強い人間になりたい」という変身願望がガブリエーレ監督作品のテーマとなっているようですね。 ガブリエーレ 『Tiger Boy』は『タイガーマスク』をモチーフにしたものです(笑)。“変身”というテーマは自分では意識していませんでしたが、そうかもしれません。僕自身は恐がりなので、強い人間になりたいという気持ちから映画を撮っている部分があるようです。スーパーヒーローのような強い人間は僕らに勇気を与えてくれますが、でもその勇気を本当に自分のものにするためには、自分自身が変わることが必要です。ようやく新作の脚本を書き終えたところで、新作は日本のアニメーションをモチーフにはしていませんが、やはり主人公に勇気を与えてくれる人物が登場します。僕が描く作品の主人公たちは変身するきっかけを探し求めているのかもしれませんね。日本は『鋼鉄ジーグ』が生まれた、僕にとっては特別な国です。日本のみなさんにも、日本のアニメで育った僕の作品に関心を持っていただけると嬉しいです。 (取材・文=長野辰次)
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『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』 監督・音楽・製作/ガブリエーレ・マイネッティ 出演/クラウディオ・サンタマリア、ルカ・マリネッリ、イレニア・パストレッリ、ステファノ・アンブロジ 配給/ザジフィルムズ 5月20日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかロードショー http://www.zaziefilms.com/jeegmovie ●ガブリエーレ・マイネッティ 1976年ローマ生まれ。ニューヨークのティッシュ・スクール・オブ・アートで演出・脚本・撮影などを学ぶ。舞台、映画、テレビなどで俳優としてのキャリアを築く一方、2011年に製作会社「Goon Films」を設立。第一弾作品として短編映画『Tiger Boy』を監督し、ブレスト・ヨーロピアン映画祭など各国の映画祭の短編部門で映画賞を受賞。長編デビュー作となった『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』はイタリアのアカデミー賞と呼ばれる「ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞」で最多16部門にノミネートされ、新人監督賞をはじめ最多7部門での受賞を遂げた。

イタリアでは日本のアニメが猛烈な人気だった!? 永井豪が大好きな映画監督にその内情を聞いてみた

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超人化したエンツォ(クラウディオ・サンタマリア)をアレッシア(イレニア・パストレッリ)は『鋼鉄ジーグ』の主人公と混同する。
『マジンガーZ』『キューティーハニー』など、TVアニメのジャンルでも数々の傑作を残してきた天才漫画家・永井豪。欧州での人気も高いとウワサには聞いていたが、これほどだったとは!? イタリアで大ヒットした実写映画『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』は、1970年代にイタリアでもテレビ放映された永井豪原作アニメ『鋼鉄ジーグ』(英題『Jeeg Robot』)がきっかけで、ローマで暮らすケチなチンピラ男が正義のヒーローへと目覚めていくというユニークなアクションドラマ。イタリアでは2016年の年間興収ベスト5にランキングされ、その年のイタリア国内の映画賞を席巻するなど、多くのイタリア人の心に突き刺さった作品なのだ。来日したガブリエーレ・マイネッティ監督にイタリアでの永井豪作品の人気ぶり、そしてイタリアでこれまでスーパーヒーローものが生まれなかった社会背景について尋ねた。 ──イタリアで日本産TVアニメの放映が始まったのは1978年から。中でも永井豪原作の『UFOロボ グレンダイザー』(英題『Goldrake』)は凄まじい人気を呼び、翌年には『鋼鉄ジーグ』が放映されることになったそうですね。1976年生まれのガブリエーレ監督は当時まだ3歳だったわけですが……。 ガブリエーレ・マイネッティ イタリアでも「君の年齢で『鋼鉄ジーグ』を知っているのか?」と驚かれることがあります(笑)。でも、『鋼鉄ジーグ』はイタリアでも人気だったので、何度も夕方に再放送されていたんです。僕らの世代や僕らよりちょっと上の世代にとっては、日本のアニメーションは特別な存在。日本のアニメーションは僕らの心の中に根づいていると言っていいくらいです。最近ではテレビの地上波で日本のアニメが流れることは少なくなりましたが、ケーブルTVのアニメ専門チャンネルでは、今でも『鋼鉄ジーグ』が放送されているんです。 ──永井豪作品の中では『鋼鉄ジーグ』は、それほど評価の高い作品ではありません。ガブリエーレ監督は『鋼鉄ジーグ』のどこに魅了されたんですか? ガブリエーレ 永井豪の作品はどれも魅力的です! バイオレンスに満ちあふれていて、しかも道徳的ではありません。子どもの頃の僕は暴れん坊だったこともあって、永井豪作品の正義を押しつけようとしない作風にはとても親しみを感じました。『鋼鉄ジーグ』は日本ではあまり人気がないということも知っています。イタリアでも、より人気が高いのは『マジンガーZ』。米国ではヒーロー気取りの人間のことを『スーパーマンかよ』と揶揄しますが、イタリアでは『マジンガーかよ』と言うほど定着しているんです(笑)。でも、『鋼鉄ジーグ』は僕にとって特別な存在。『鋼鉄ジーグ』の主人公・司馬宙はいつも暴走気味で、失敗もするけど、最終的には正しいことをする。イタズラ好きだった少年時代の自分を肯定されているように思えたんです。それに磁石で手足が自由にくっついたり離れたりする、ジーグロボの玩具も素晴しかった。『ジーグ』はつまんねぇというヤツがもしいれば、僕は決闘を申し込みたい。そのくらい、僕は『ジーグ』のことを愛して止みません(笑)。『ジーグ』のことを愛しているのは僕だけではありません。イタリアのあるドキュメンタリー番組は、社会にはびこる不正を正すという内容のものなんですが、その番組のテーマ曲として『鋼鉄ジーグ』の主題歌が流れるんです。このことからも、『鋼鉄ジーグ』をはじめとする日本のアニメをイタリア人がいかに熱烈に愛しているかが分かってもらえるんじゃないでしょうか。 ──処女作には監督のすべてが込められていると言われますが、長編デビュー作に『鋼鉄ジーグ』をモチーフにすることは最初から考えていた? ガブリエーレ 最初はそうではありませんでした。イタリアでいちばん人気のある『グレンダイザー』をモチーフにできないかと考えていたんです(笑)。でも、ストーリーを考えていくうちに、自分のことしか考えないダメな主人公が内面的に徐々に変化していくという映画の内容に相応しいのは、『鋼鉄ジーグ』しかないと思うようになっていったんです。
イタリアでは日本のアニメが猛烈な人気だった!? 永井豪が大好きな映画監督にその内情を聞いてみたの画像2
毛糸で編んだジーグロボのマスクを手にしたガブリエーレ・マイネッティ監督。「永井豪先生は神のような存在です」。
■明るいイタリア人の知られざる国民性とは……? ──主人公のエンツォ(クラウディオ・サンタマリア)はローマの下町で暮らすゴロツキ野郎。置き引きなどのケチな犯罪でお金を稼ぎ、後は自宅のアパートでエロDVDを観ているという最下流人生を送っている。そんなエンツォは川に不法投棄された放射性廃棄物の影響で、未知のパワーを得ることに。陽気な国イタリアのダークな部分がディテールたっぷりに描かれているのも印象的です。 ガブリエーレ 警察に追われたエンツォが飛び込むのは、テヴェレ川です。ローマ市を二分する川で、しかもローマ神話ではローマの街の始まりとなったとされているエリアでもあるんです。そんな神話の言い伝えられる川で、エンツォは洗礼を受けて生まれ変わるわけです。実際問題として、イタリアの水質汚染や土壌汚染は大変な事態になっています。かつてはテヴェレ川で子どもたちは泳いだりしたんですが、水質汚染で遊泳することは法律で禁じられています。また、ローマ市郊外の荒廃した貧しい地区では、水道代を払えない人たちが下水をシャワー代わりに浴びたりしていましたが、それも禁じられています。汚染物質がまったく処理されないまま、川などに棄てられ、深刻な環境汚染を招いている状況なんです。ナポリのあるカンパニア州では土壌汚染が酷く、ガン発生率がとんでもない数値になっています。そういう社会背景もあって、テヴェレ川に棄てられた放射性物質の影響で主人公は超人パワーを得るというアイディアを思いついたんです。 ──主人公エンツォはイタリア市民の怒りを具現化した存在でもあるんですね。イタリアではこれまで国産のスーパーヒーローが存在しなかったと聞いています。スーパーヒーローが過剰気味の日本から見ると不思議に思えるんですが、ガブリエーレ監督はその理由をどう考えていますか? ガブリエーレ スーパーヒーローものをどうすれば現代のイタリア社会で成立させることができるかを本作の脚本を書く際に熟考したのですが、素晴しいスーパーパワーが手に入った場合、すぐに社会正義をなすだろうかということがいちばんの疑問でした。実際にそんな能力が使えたら、他人のためじゃなくて自分のために使うんだろうなと(笑)。イタリア人をひとつに括ることはできませんが、イタリア人の傾向としてエゴイストな性質があると思うんです。自分や自分の身内さえよければいいと。社会問題が起きると、何かスケープゴートになるものを見つけて、それを叩くことで満足してしまう。もちろん、政治の世界などではカリスマ性のある指導者は過去に存在したと思うけれど、現代のイタリアにはスーパーヒーローと呼べる存在はいません。それなら映像文化と共に育ってきた自分たちの世代が自分たちに相応しいスーパーヒーロー像を考えてみよう、ということで生まれたのが本作。スーパーパワーを手に入れたエンツォは最初はATMを丸ごと盗むなどの犯罪行為を重ねますが、ヒロインと出逢うことで徐々に内面的に変わっていく。そして、そのヒロインが熱狂的に愛するアニメが『鋼鉄ジーグ』だったという内容になったんです。 ──付き合う女によって男が変わっていく──というドラマ展開のほうがイタリア人にはリアルだったんですね。怪力自慢の自己チュー男と頭の弱いヒロインという組み合わせはイタリア映画界の名匠フェデリコ・フェリーニの『道』(54)を彷彿させ、ホロッときます。 ガブリエーレ 確かにそうですね。イタリア人にとってはフェリーニ監督の『道』はとても特別な作品です。でも、今回の作品は『道』を意識したわけではありません。どちらかというとリュック・ベッソン監督の『レオン』(94)に近い。本作の主人公エンツォは自分のお気に入りの甘いヨーグルトばかり食べているけど、『レオン』の大男ジャン・レノが子どもみたいにミルクを飲んでいるみたいなもの。あのときのナタリー・ポートマンは少女だったけど、大人の女性のような魅力を持っていた。本作のヒロインであるアレッシア(イレニア・パストレッリ)は身体は大人の女性なんだけど、頭の中は無垢な少女のまま。『レオン』のヒロインとは対称的な設定になっているんです。
イタリアでは日本のアニメが猛烈な人気だった!? 永井豪が大好きな映画監督にその内情を聞いてみたの画像3
ヴィラン役のジンガロ(ルカ・マリネッリ)。ナルシストチックな狂乱演技で物語の後半を大いに盛り上げる。
■欲望に忠実な永井豪ワールドの住人たち ──イタリアでは永井豪原作の巨大ロボットものが大人気だったようですが、日本では『デビルマン』や『キューティーハニー』は時代を越えて今も愛され続けています。他の永井豪作品はどうですか? ガブリエーレ 『キューティーハニー』は変身中に洋服が破けちゃうシーンが忘れられません(笑)。『キューティーハニー』は残念ながら、イタリアでは地上波では放映されませんでしたね。永井豪作品にはポルノチックな要素もあり、もちろんそこも大きな魅力です。『デビルマン』に関しては時間がどれだけあっても語り足りないくらい、僕は大好きです。アニメ版もコミック版もどちらの『デビルマン』も大好き。スーパーヒーローが正義のために戦うのはすっごくストレスを感じることだと思うけど、でもデビルマンは怒りのパワーが悪と戦うための原動力になっている。永井豪作品を観る度に「お前は正しい。お前はお前のままでいいんだ」と自分を肯定してもらっているように思えてくるんです。僕が映像表現の世界に進んだのは、子どもの頃に観たそういった日本のアニメーションに感動したからなんです。 ──2012年にガブリエーレ監督が撮った短編映画『Tiger Boy』は覆面を被ったプロレスラーに憧れる少年の成長ドラマでした。「強い人間になりたい」という変身願望がガブリエーレ監督作品のテーマとなっているようですね。 ガブリエーレ 『Tiger Boy』は『タイガーマスク』をモチーフにしたものです(笑)。“変身”というテーマは自分では意識していませんでしたが、そうかもしれません。僕自身は恐がりなので、強い人間になりたいという気持ちから映画を撮っている部分があるようです。スーパーヒーローのような強い人間は僕らに勇気を与えてくれますが、でもその勇気を本当に自分のものにするためには、自分自身が変わることが必要です。ようやく新作の脚本を書き終えたところで、新作は日本のアニメーションをモチーフにはしていませんが、やはり主人公に勇気を与えてくれる人物が登場します。僕が描く作品の主人公たちは変身するきっかけを探し求めているのかもしれませんね。日本は『鋼鉄ジーグ』が生まれた、僕にとっては特別な国です。日本のみなさんにも、日本のアニメで育った僕の作品に関心を持っていただけると嬉しいです。 (取材・文=長野辰次)
イタリアでは日本のアニメが猛烈な人気だった!? 永井豪が大好きな映画監督にその内情を聞いてみたの画像4
『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』 監督・音楽・製作/ガブリエーレ・マイネッティ 出演/クラウディオ・サンタマリア、ルカ・マリネッリ、イレニア・パストレッリ、ステファノ・アンブロジ 配給/ザジフィルムズ 5月20日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかロードショー http://www.zaziefilms.com/jeegmovie ●ガブリエーレ・マイネッティ 1976年ローマ生まれ。ニューヨークのティッシュ・スクール・オブ・アートで演出・脚本・撮影などを学ぶ。舞台、映画、テレビなどで俳優としてのキャリアを築く一方、2011年に製作会社「Goon Films」を設立。第一弾作品として短編映画『Tiger Boy』を監督し、ブレスト・ヨーロピアン映画祭など各国の映画祭の短編部門で映画賞を受賞。長編デビュー作となった『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』はイタリアのアカデミー賞と呼ばれる「ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞」で最多16部門にノミネートされ、新人監督賞をはじめ最多7部門での受賞を遂げた。

ゲス乙女、新アルバム売り上げ「前作の7分の1」! 赤字発生で「メジャー契約打ち切り」?

 発売延期となっていたゲスの極み乙女。の最新アルバム『達磨林檎』が、“大爆死”していることがわかった。「前作は初動7万枚突破していただけに、最低でも5万枚はほしかった」(音楽誌編集者)というが……。

 5月10発売の『達磨林檎』は、初日にオリコンデイリーCDアルバムランキングで1位を獲得。売り上げは初日が6,210枚、2日目が4,523枚で、その後はトップ3落ちし、初週売り上げは1万4,762枚だった。

「同日発売のアーティストには、強豪のジャニーズもAKB48グループもおらず、絶好のリリース日程だったはずなのですが、ランキングを見ると、『達磨林檎』発売以前にアルバムをリリースしたゆずやKis‐My‐Ft2に遅れを取っていました。2016年1月、川谷絵音とベッキーの不倫騒動勃発直後に発売されたアルバム『両成敗』は、初動で7万1,583枚、累計は10万7,802枚と大ヒットしただけに、1万5,000枚割れの今作は大コケといっていいのでは。やはりゲス乙女は、騒動で多くのファンから見放されてしまったようです」(同)

 川谷は、不倫騒動後、当時未成年だったほのかりんとの飲酒デートが報じられ、グループ活動を自粛。謹慎明けの5月7日、『ワイドナショー』(フジテレビ系)に出演し、一連の騒動を振り返ったことで、復活をアピールしていた。

「しかし、今回の売り上げには、本人や周囲のスタッフも愕然としているでしょう。ゲス乙女クラスのアーティストのレコーディング費用や人件費を考えると、赤字になるかならないかのギリギリラインが、初動2万枚といったところ。そう考えると、今作は“赤字”といっていいでしょう」(スポーツ紙記者)

 不倫騒動当初、「優等生イメージに傷がついた」とされて仕事を失ったベッキーに対し、「アーティストは音楽で勝負できるから、スキャンダルは関係ない」などと擁護されていた川谷。ところが、この売り上げ状況が続けば、「当然レーベルとしても不良債権となるため、いずれはメジャー契約が打ち切られかねない。この売り上げは、昨年のベッキーに匹敵するほどの危機的状況でしょう」(同)との声も出ている。果たして川谷は、この窮地をどう切り抜けるのだろうか。

葵つかさ「変態じゅんじゅん」ネタ連発で、嵐・松本潤のイメージ大崩壊! オムツなどCMへの影響は?

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 昨年末に嵐・松本潤とのセフレ疑惑が浮上した人気AV女優・葵つかさが、レギュラー出演中のバラエティ番組『マスカットナイト・フィーバー!!!』(テレビ東京系)で“変態じゅんじゅん”ネタを連発している。  先月26日深夜放送回では、出演者がMCのおぎやはぎ・小木博明を興奮させるコメントを言っていく企画を放送。葵は、「夜中でも電話1本で駆けつけるよ」「私すご~く都合のいい女なの。だからスルだけしたら、すぐに帰ってあげるね」と、松本の女優・井上真央との“二股疑惑報道”を連想させるワードを連発。さらに、「もうアソコが“じゅんじゅん”いってる」と、松本の名前と掛けたような発言も見受けられた。  また、今月10日深夜の放送でも、小木から「最近どうなの? 変態プレイとか。聞きたいんだよ俺、葵のそういうの、毎週」と振られた葵は、「最近は、パンツの匂いを嗅いでくる……って、コラ!」と、ノリつっこみを披露。小木の口ぶりから、今後も同様のやり取りが繰り返されそうな予感だ。 「葵の捨て身のネタは、『ギリギリの笑いで面白すぎる』『つーちゃんの好感度上がった』と視聴者の間で大好評。一方、ネット上では、葵ファンから『ジャニーズに消されないか心配』『つかさちゃん、大丈夫かな』と心配する声が見受けられるほか、嵐ファンからの猛批判も。ただ、松本は報道に対し完全スルーしているうえに、芸能界とAV界は近いようで完全な畑違い。ジャニーズ事務所も、現段階では静観するしかなさそうです」(芸能記者)  葵といえば、かつて同番組で「彼氏におしっこを飲ませるのが好き」と発言したことも。これが後に、「松本のことでは?」との臆測に発展している。 「松本は現在、ビールや紅茶といったドリンク類や、紙オムツのCMに出演中。ほかにも、チョコレートやキッコーマンの調味液など、口に入る商品のCMが多く、これ以上“変態プレイ”のイメージが定着した場合、契約に支障をきたす可能性も。実害が生じた際は、ジャニーズ事務所が番組に横槍を入れてくるかもしれません」(同)  芸能界のタブーに触れたネタで、ノリに乗っている葵。松本のイメージは、どこまで崩壊していくのだろうか?

意味深なブログをつづっていたNEWS手越祐也、コンサートで涙を堪えていた!?

 「刺激を与えてもらえないなら今の環境にい続けてもつまらない」と、ジャニーズ公式携帯サイト「Johnny’s web」内のブログ「NEWS RING」につづったことで、ファンの間で波紋を呼んだ、NEWS手越祐也。

 このブログは、コンサートツアー『NEWS LIVE TOUR 2017 NEVERLAND』真っ最中の5月10日に更新され、来年グループがデビュー15周年、そして自身も30歳の節目を迎えるにあたり、「将来の進むべき道に関してもすごいよく考える」とつづっていた。手越は以前から「ずーっと、この世界にいるのかって言われたら、ちょっとわかんないな」などとバラエティ番組で漏らしていたこともあったため、……

 

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嵐・相葉『貴族探偵』、加藤あいゲスト回で自己最低! 「豪華キャストに頼るな」と厳しい声

 5月15日に放送された、嵐・相葉雅紀主演の月9ドラマ『貴族探偵』(フジテレビ系)第5話の平均視聴率が8.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)だったことがわかった。同話には、加藤あいがゲスト出演するとあって放送前から注目を集めていたが、視聴率は前話から0.9%下落する事態となった。

 同ドラマは、麻耶雄嵩の同名小説を原作とした“主人公が推理をせずに謎を解く”という前代未聞のミステリードラマ。自称“貴族”である正体不明の男・貴族探偵(相葉)、彼と推理対決を繰り広げる探偵・高徳愛香(武井咲)、貴族探偵の代わりに推理する使用人の佐藤(滝藤賢一)・田中(中山美穂)・山本(松重豊)たちの姿をコメディタッチで描いている。

「第5話では、愛香が貴族探偵の正体を突き止めるべく、彼と懇意にしているという桜川鷹亮(竜雷太)の元を訪れたところ、その屋敷で事件が発生するというストーリーが展開されました。加藤は、鷹亮の外孫・豊郷皐月役で序盤から登場し、視聴者からは『相変わらず加藤あい綺麗だな~』『加藤あい久しぶりに見たけど全然変わってない!』といった絶賛の声が上がっています」(芸能ライター)

 しかし、久しぶりのドラマ出演となる加藤をゲストに迎えても視聴率は振るわなかったようだ。

「加藤のドラマ出演は、2014年1月クールの『Dr.DMAT』(TBS系)以来3年ぶり、2015年9月に第1子を出産してから初となり、ドラマ復帰のニュースはネットで広く拡散されて注目を集めていました。ですが、ネットユーザーからは『豪華ゲストで視聴率をなんとかしようという考えが丸見え』『豪華キャストじゃなくて、もっと工夫するところがあるのでは』といった声が。結局、第5話は8.0%しか獲得することができず、第2話に記録した8.3%を下回る自己ワースト記録を更新してしまいました。初回で11.8%を獲得して、視聴率2ケタ回復が期待されている同ドラマにとって、この数字は痛いものとなってしまいましたね。また、第5、6話は前後編の構成になっているのですが、『推理モノは1話完結じゃないとモヤモヤする』『推理ドラマで前後編は禁忌』という指摘も上がっているだけに、次週はさらに数字を下げてしまう可能性もあります」(同)

 これまで橋本環奈や釈由美子がゲスト出演してきた『貴族探偵』。加藤は第6話にも出演予定なのだが、2週連続ワースト更新は避けたいところだろう。

映画『昼顔』、同じ相手と2度不倫した場合、1度目よりも罪は重くなるのか?

「ドラマのこのシーンってありえるの?」「バラエティーのあのやり方ってコンプライアンス的にどうなの?」……テレビを見ていて感じた疑問を弁護士に聞いてみる、テレビ好きのための法律相談所。

<今回の番組>
『昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜』(フジテレビ系)

<今回の疑問>
不倫は1度目と2度目で罪の重さが違う?

 2014年にフジテレビ系で放送され、上戸彩演じる平凡な主婦・紗和と斉藤工演じる既婚の高校教師・北野の禁断の恋を描いたドラマ『昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜』は、最高視聴率16.7%を記録し社会現象を巻き起こした。6月10日から公開される、この映画版では、ドラマ最終回から3年後、偶然再会してしまった2人が再び禁断の恋に堕ちてゆくというストーリーになっている。もし、同じ相手と2度不倫をした場合、不倫相手の配偶者から、慰謝料を1度目より多く請求される可能性はあるのか? アディーレ法律事務所の村松優子弁護士に聞いた。

 まず、慰謝料の法的な定義として、請求額は不倫をされた側次第で決まると村松弁護士は述べる。

「同じ相手と2度不倫をした場合、事情や状況で増減されますが、やはり2度目ということであれば、不倫された側(不倫相手の配偶者)の怒りも相当である可能性も高く、1度目よりも多い金額が請求される公算が大きいです。最終的に、いくら認められるかについては、1回目の不貞時の合意内容や不貞相手(不倫相手)の支払い状況によって、かなり変わります。仮に、1度目は慰謝料なしで合意をしている場合、請求がなかった場合も含め、2回目の際には離婚しない場合の相場は数十万円~100万円、この件で離婚に至る場合は100~300万円の慰謝料に加え、1度猶予をもらっておきながら不貞行為を再開させるのは悪質であるとして、数十万円程度上乗せした金額が認められる可能性があります。

 反対に、1回目に相手方夫婦が離婚をしていないにもかかわらず200~300万円という相場を越える高額な慰謝料の支払いをしている場合には、2回目については、少額しか支払わなくてもよいと判断されるケースもあります。もっと踏み込んで、1回目の不貞発覚ですでに夫婦関係が破綻していると判断された場合には、それ以降の不貞行為については責任が発生しない場合もあります。

 いずれにせよ、被害者に対し、共同不法行為者である不貞相手が1度目のときに慰謝料の支払いをしている場合には、その分、自分の支払うべき義務が減少または消滅していると主張できることになります」

 では、ドラマの最終回で、紗和は、北野と今後一切の接触を禁止され、違約した場合は北野の妻・乃里子に毎月30万円の慰謝料を死亡するまで支払うことを命じられるシーンがあったが、現実にこのような誓約内容はありえるのだろうか?

「裁判でそのような内容の誓約を強制されることはありませんが、当事者が真に納得の上、合意をすればありえると言えます。もっとも、接触禁止については、不可抗力や正当な理由がある接触までは法律上禁止できないため、合理的理由がない限りという留保付きの接触禁止と解されます。また、毎月30万円を死亡するまでという内容は死亡時期にもよりますが、平均余命まで生きた場合には相場を大きく超える金額となるため、支払う側が争えば、誓約自体が無効と判断される可能性があります」

 現実でも起こりうる不倫愛の復活劇。上戸演じる紗和に慰謝料を支払う能力は到底なさそうだが、果たして映画版ではどのような結末を迎えるのか、そこにも注目が集まりそうだ。

アディーレ法律事務所

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「娘の治療費のために、妻を売ります!?」夫が路上でウエディングドレス姿の妻をたたき売り!!

「娘の治療費のために、妻を売ります!?」夫が路上でウエディングドレス姿の妻をたたき売り!!の画像1
「妻を売って娘を助ける」と書いたダンボールを掲げる夫婦
 5月9日、中国安徽省阜陽市潁上県の街中で、ダンボールの切れ端を掲げる男女がいた。男は普段着だが、女はウエディングドレスのような白いワンピースを着ている。ダンボールには「売妻救女」と記されていた。つまり、「妻を売って娘を助ける」という意味だ。さらには、電子マネーでの支払いに使用する携帯番号まで書かれている。まるでSMプレイのようだが、2人は至って真剣だ。 「捜狐新聞」(5月10日付)などによると、昨年のある日、4歳の娘が腹痛を訴えたため、病院へ連れて行くと、神経芽細胞腫が見つかった。主治医いわく、まれに見る悪性腫瘍で、治癒率は非常に低いという。しかも、治療には高額な費用がかかる。これまでに夫婦は、20万元(約320万円)以上の治療費を費やしているが、このままでは経済的に治療を続けることができなくなるため、事に及んだのだった。  ショッキングなこのニュースを各メディアが報じると、ネット民からは「妻を売る? どうやって売るっていうんだ。妻だって一人の独立した人間で、あなたの付属品じゃない」「不可能とわかっていながら、こういう方法で注目を集めようとしている」「どうして夫のほうを売らないんだ?」「妻を売ることは違法で、できっこない。カネ目当ての詐欺だろ」と非難が殺到した。  一方で少数派だが、「俺が買おう」「ひと晩いくら?」と手を差し伸べようとする者(?)や、「まずは腎臓を売れ」という、いかにも中国らしい現実的なアドバイスをする者もいた。  ただいずれにしても、夫婦に同情する意見はほとんど見られない。それは報道においても同様で、法的な問題を指摘する論調ばかり。夫婦の行動は確かに間違いだったかもしれないが、一番浮かばれないのは、重病の娘である。中国は、つくづく他人に厳しい世の中である。 (文=中山介石)

『ひよっこ』有村架純と宮元信子の『あまちゃん』コンビ再び! 「春子と夏ばっぱだ」と感動の声

『ひよっこ』(NHK総合/月~土、午前8時) 茨城県北西部の村に生まれたヒロイン・谷田部みね子(有村架純)が主人公。みね子が集団就職での上京を経て、様々な経験を積みながら自分の殻を破っていく姿を描いた成長物語だ。

【サイ女の朝ドラ通信バックナンバー】
<33話~35話>『ひよっこ』みね子の蒸発した父が生きていた!? 脚本絶賛のウラで「暗い気持ちに」「つらい」
<30話~32話>『ひよっこ』みね子たちの“手紙”に視聴者ほっこり! 「なぜ低視聴率なのか理解不能」と悲鳴も
<27話~29話>『ひよっこ』、倉本聰『前略おふくろ様』のオマージュ演出!? “小ネタ”に沸く視聴者たち

■5月13日(土)/36話~5月16日(火)/38話

 36話では、みね子が、父・実(沢村一樹)、そして母・美代子(木村佳乃)も訪れた赤坂の洋食屋・すずふり亭を訪れる。みね子を温かく迎え入れる店主の鈴子(宮本信子)や料理長の省吾(佐々木蔵之介)。初めての給料で、すずふり亭の料理を食べてみたいというみね子に、省吾は休憩時間にもかかわらず、特別に店をオープンするのだった。

 2013年上半期の朝ドラ『あまちゃん』では、アイドルを目指して上京する娘・春子と、それに反対する母親・夏を演じていた宮本と有村だが、今回は上京してきた少女と、その少女を支える人物という関係で描かれている。そんな2人の姿に、視聴者からは「春子と夏ばっぱをまた見られるなんて!」「みね子に頑張れって言ってるのに、『春子、頑張れ』って空耳が聞こえる」「これは東京行きを許さなかったことで仲違いした2人のパラレルワールドなのかもしれない」と大反響。朝ドラファン必見のシーンとなったようだ。

 みね子が警察官・綿引(竜星涼)と一緒に、実が目撃された街を訪れる姿が描かれた37話。実の写真を見せて道行く人に尋ねるが、手がかりは見つからない。そんなある日、みね子たちはコーラス活動で故郷への思いがつづられた「椰子の実」を歌う。その歌を聞いたみね子の職場仲間・澄子(松本穂香)は、故郷からハガキ1枚来ない自分を恥ずかしいと感じつつ、優しい祖母のことを思い出し、布団で涙を流していた。

 38話で澄子は、ぼーっとして工場でミスを連発し、その日の夜、大好きなカレーライスが夕飯にもかかわらず、突然姿を消してしまう。みね子たちは、祖母が恋しくなり田舎に帰ろうとしているのではないかと、澄子を探して上野駅を探し回る。しかし、実は澄子は1人で銭湯に行っており、のぼせて病院に。しかもその理由は、元気を出してカレーライスをいっぱい食べるため。そう語る澄子に怒るみね子たちだが、澄子は自分を心配してくれるみね子たちの姿に、うれしさから涙を流すのだった。

 5月13日の放送では、自己最高となる平均視聴率20.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を獲得した朝ドラ『ひよっこ』。視聴者からの人気に比例して、視聴率もじわじわと上がっているようだ。