国会議員秘書歴20年以上の神澤志万です。
昨年8月の就任から9カ月がたちますが、小池百合子都知事はまだ高い人気を誇っているようです。でも、小池さんが都知事になってからの都政はどうですか? 何かと騒がしいニュースは多いですが、実は具体的に都民に示せる政策はまだ実行していないのです。
■「都民ファースト」ではなく「小池ファースト」?
たとえば豊洲新市場の問題ひとつとっても、石原慎太郎元都知事の証人喚問などで時間を稼ぎ、決断を先延ばしにしているだけのように見えます。確かに豊洲新市場は開業しても年間140億円ものランニングコストの赤字が発生するという試算もあり、納税者である都民のみなさんにとっては見過ごせない一面もありますが、今もみなさんの税金で維持費がかかっていることを意識してほしいと思います。
それに、2017年がもう半分終わりそうなのに、20年東京オリンピック・パラリンピックのことも全然進んでいませんね。5月11日には、小池知事が東京都以外の仮設施設の整備費を都の全額負担とする意向を示したと報じられました。これには安倍首相らが相当な圧力をかけたとの話もありましたが、議会を通さずに、そんな高額の公費支出を決めてしまって大丈夫なんでしょうか? 都議選にも影響が出ると思います。
これらは小池知事だけの問題ではなくて、任期途中で辞めた舛添要一前知事の責任もかなりあるのですが、石原元知事や森喜朗元首相との対立構図を打ち出す小池知事のパフォーマンスにしか見えません。小池知事の存在感を示す、というもくろみは成功しているように思います。でも、これって「都民ファースト」ではなく、「小池ファースト」になってしまっていますよね。いつまでも「決められない小池さん」のままでは、都民の心も離れて行ってしまうかもしれません。
7月2日投開票の都議選を前に、自民党都議会の危機感はすごいです。4月末の大手新聞社の世論調査では、現在の議席数56名の都議会議員のうち、3分の1の18名しか当選しないという厳しい予測が出たからです。さらに、民進党にいたっては風前の灯です。限りなくゼロに近い数字が示されていたそうです。
でも、最近、都内でよく目にする街頭演説や駅前で配布される政策リポートなどで「民進党」の文字をほとんど見かけないことにお気づきですか? 実は民進党の都議会議員や候補者は、人気が低迷している自分たちの政党名を隠すことに必死なのです。会派の名称も「民進党都議団 都議会民進党」だったものを、今年の2月に「東京改革議員団」に改名し、“民進党隠し”をしています。
小池知事の就任後、都議会では「離党ドミノ」が起こり、多くの民進党所属だった都議や候補者が小池さんの「都民ファーストの会」に移籍しました。また、民進党所属の都議の政策リポートにも小池さんとのツーショットの写真を使うなど、その人気にあやかりたいのがバレバレです。このような民進党の都議たちの動向を見ていると、民進党都議が限りなくゼロになってしまうのもわかる気がします。
■自民が狙う都知事の「スキャンダル失脚」
こうした小池人気に危機感を持つ自民党は、小池つぶし戦略の一つとして、小池知事の特別秘書である都民ファーストの会代表・野田数氏のスキャンダルを広めようとしています。
野田代表は、都議のほか、小池さんを含む国会議員の秘書をしていたことがありますが、永田町では「詐欺師」と陰口をたたかれていました。考え方も極端な右寄りで攻撃的なので、付き合いを遠慮する人が多かったです。以前、野田さんが小池事務所をクビになったという情報があったので、都知事選での小池さんの選挙責任者に野田さんが就任し、さらに特別秘書に任命された時は、永田町では「どうしちゃったの? 小池さん!」という声が上がっていました。
野田さんはとにかく口がうまいので、最初はみな信用してしまうのですが、金銭面も含めてトラブルのうわさも絶えないのです。自民党は現在、それらのトラブルを洗い出していて、証拠があるものについては、マスコミに追及をさせるようです。
その一つに、アントニオ猪木参議院議員の政策秘書をしていた時のものがあります。野田さんは、管理を任されていた政党支部の資金数百万円を着服していたのです。これが発覚して、すぐに解雇されました。猪木事務所は訴訟の準備をしていると聞きました。
この件について、自民党が猪木議員に接近していますが、なんせウワサの新妻(元愛人兼秘書)がなかなかスケジュールを教えないので、アポイントが取れず苦労しているそうです。
この新妻と野田さんは公設秘書時代から対立していて、過去にはトラブルも続出しています。たとえば、13年11月に猪木議員が北朝鮮を参議院の許可を得ずに訪問し、登院停止処分を受ける事態になったことがありました。この時、野田さんは参議院国際局へ提出する書類を作成していたのに、それに添付する行程表(飛行機の便名や出発地、到着地を記載)などに必要な情報を愛人兼秘書が頑なに教えなかったことで起きたそうです。
これらのトラブルが公になることで、小池つぶしにつながるのかは疑問ですが、永田町ではもはや「老害」と言われる猪木議員も、まだまだ世間ではカリスマ的存在として人気があるようですから、その猪木議員ともめていた野田さんが小池さんに近いとなると、少しは選挙にも影響を与えるかもしれません。